JP3758887B2 - パターン修正装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はパターン修正装置に関し、特に、露光用マスクに設けられたパターンの欠陥を修正するようなパターン修正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイ(PDP)や液晶ディスプレイ(LCD)などのフラットパネルディスプレイは高精細化,大型化が進んできている。これに伴い、これらの製造工程において用いられる露光用マスク原盤も高精細化,大型化し、欠陥の発生確率が高くなるとともに、その付加価値も高くなり、欠陥品を廃棄処理するのではなく、欠陥を修正することにより欠陥品を救済する方法と装置が求められてきている。
【0003】
現状では、これら露光用マスク原盤の修正は、白抜け欠陥(遮光部分が何らかの原因で抜けてしまった欠陥)は、人が手修正により墨を塗って修正を行なっている。また、黒欠陥(遮光部分が何らかの原因ではみ出してしまった欠陥)は、レーザによりカットして修正を行なっている。特に、白抜け欠陥の場合、パターンの高精細化に伴い人による手修正では限界にきており、これら欠陥を修正する装置が強く求められてきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、露光用マスク原盤の白抜け欠陥の修正は、人の手により墨を塗って修正を行なってきたが、パターンの高精細化に伴い修正が限界となってきている。さらに、露光用マスクの中でもクロムマスクの場合、塗布した墨が後の洗浄工程ではげ落ちたりするといった問題が生じている。また、エマルジョンマスクと呼ばれる写真乾板と同じ乳剤を用いて作成されるマスクについては、黒欠陥をレーザにより修正した場合、黒欠陥修正箇所にレーザカットしたことによる窪みが発生してしまい、露光時に光の散乱を起こすため、発生した窪みを修正する方法が問題となってきている。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、高精細化した露光用マスクの修正が可能なパターン修正装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るパターン修正装置は、露光用エマルジョンマスク基板上に形成された遮光パターンの欠陥部を修正するためのパターン修正装置であって、その上に露光用エマルジョンマスク基板が設置されて水平方向に移動するテーブルと、遮光パターンの遮光部分がはみ出した黒欠陥部にレーザ光を照射して切欠くためのレーザ照射機構と、レーザ照射機構によって黒欠陥部を切欠いた箇所に発生した窪みに対して、針を用いて透明ペーストを塗布する修正液塗布機構と、窪みに塗布した透明ペーストを乾燥または固着させるための第1の光源とを備えたことを特徴とする。
【0008】
好ましくは、修正液塗布機構は、遮光部分の色が抜けた白抜け欠陥部に対して、針を用いてインクを塗布し、第1の光源は、白抜け欠陥部に塗布したインクも乾燥または硬化させる。
【0009】
また好ましくは、修正液塗布機構は、遮光部分の色が抜けた白抜け欠陥部に対して、針を用いてインクを塗布し、さらに、白抜け欠陥部に塗布したインクを乾燥または固着させるための第2の光源が設けられる。
【0011】
また好ましくは、透明ペーストは、熱硬化樹脂または熱によらない紫外線硬化樹脂である。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の一実施形態の全体の構成を示す図である。図1において、パターン修正装置は、大きく分類すると、レーザおよびその光学系からなるレーザ照射機構13と、導電性ペーストあるいは欠陥修正用インクを塗布する針からなるペースト塗布機構14と、欠陥を認識する画像処理機構16と、装置全体を制御するホストコンピュータ15とから構成されており、その他にワークを搭載するXYテーブル17と、XYテーブル17上でワークを保持するチャック台18と、レーザ照射機構13を上下に駆動するZ軸テーブル19と、ペーストを乾燥させるIR光源20およびUV光源21と、モニタ22とが設けられている。
【0014】
図2は図1に示したペースト塗布機構を示す図である。図2において、インク塗布機構14は、インク塗布用の針31と、針31を垂直方向に駆動させるための位置決め用アクチュエータ32とを含む。針31は保持部材34を介してアクチュエータ32の駆動軸33の先端部に設けられる。
【0015】
さらに、インク塗布機構14は水平に設けられた回転テーブル40と、回転テーブル40上に円周方向に順次配置された複数のインクタンク43〜46と、洗浄装置37およびエアーパージ38とを含む。回転テーブル40の中心には回転軸41が設けられている。回転テーブル40には、インク塗布時に針31を通過させるための切欠き部42が形成されている。インクタンク43〜46には、白抜け欠陥部に塗布するための墨またはこれに代わる光遮光性のあるインクや、黒欠陥部をレーザカットした後の窪みに塗布するための透明ペーストなどが注入されている。また、透明ペーストとしては、エマルジョンマスクの耐熱温度を考慮し、低温で硬化または熱によらない紫外線硬化樹脂などが用いられる。
【0016】
洗浄装置37は、針31に塗布されたインクなどを洗浄するためのものである。エアーパージ装置38は、針31に付着した洗浄液などを吹き飛ばすものである。
【0017】
さらに、インク塗布機構14は、回転テーブル40の回転軸41を回転させるためのインデックス用モータ51と、回転軸41とともに回転するインデックス板52と、インデックス板52を介して回転テーブル40の位置を検出するためのインデックス用センサ53と、インデックス板52を介して回転テーブル40の回転位置が原点に復帰したことを検出するための原点復帰用センサ54とが設けられている。モータ51はセンサ53,54の出力に基づいて制御され、回転テーブル40を回転させて切欠き部42,インクタンク43〜46,洗浄装置37およびエアーパージ装置38のうちのいずれかを針31の下方に位置させる。
【0018】
次に、この発明の一実施形態の具体的な動作について説明する。エマルジョンマスク白抜け欠陥を修正する場合には、ペースト塗布機構14によって白抜け欠陥部に墨またはこれに代わる遮光性のあるインクを塗布して修正を行なう。すなわち、まず、図1に示したXYテーブル17上のチャック台18にワークを固定する。そして、XYテーブル17およびZ軸テーブル19を駆動して、ペースト塗布機構14の針31を露光用マスクの欠陥部の上方の所定の位置に位置させる。次に、回転テーブル40を回転させて、たとえば欠陥部に塗布すべきインクが蓄えられたインクタンク43を針31の下方に位置させ、アクチュエータ32によって針31を上下させ、針31の先端部にインクを付着させる。
【0019】
次に、回転テーブル40を回転させて切欠き部42を針31の下方に位置させ、アクチュエータ32によって針31を下降させて針31の先端を露光用マスクの欠陥部に接触させ、インクを欠陥部に塗布する。
【0020】
インク塗布終了後、アクチュエータ32によって針31を元の位置に上昇させ、回転テーブル40を回転させて洗浄装置37を針31の下方に位置させる。次いで、アクチュエータ32によって針31を下降させ、針31の先端部を洗浄装置37の洗浄液中に投入させ、洗浄する。
【0021】
洗浄終了後、アクチュエータ32によって針31を元の位置に上昇させ、回転テーブル40を回転させてエアーパージ装置38を針31の下方に位置させる。次いで、アクチュエータ32によって針31を下降させ、針31の先端部をエアーパージ装置38に挿入し、エアーによって針31に付着した洗浄液などを除去する。そして、エアーパージ終了後、アクチュエータ32によって針31を元の位置に上昇させる。
【0022】
一方、塗布されたインクは図1に示したIR光源20によって乾燥される。なお、インクに紫外線硬化タイプのものを用いた場合は、紫外線光源21によって固着させればよい。
【0023】
図3はエマルジョンマスク黒欠陥の修正方法を説明するための図である。まず、図3(a)に示すように、露光用マスク原盤には、所定の遮光パターンから遮光部分がはみ出して黒欠陥が生じている。この黒欠陥はレーザ照射機構13によって切欠かれて修正が行なわれる。ところが、レーザを照射した際に、図3(b)に示すように窪みが生じてしまう。そこで、この窪み部分にペースト塗布機構14を用いて図3(c)に示すように透明ペーストが塗布される。この塗布の方法は、前述の白抜け欠陥の修正方法と同じであるが、透明ペーストとして、エマルジョンマスクの耐熱温度を考慮し、低温で硬化または熱によらない紫外線硬化樹脂などが用いられる。
【0024】
なお、上述の実施形態では、エマルジョンマスクの欠陥を修正する場合について説明したが、これに限ることなくクロムマスクの修正にも適用できる。クロムマスクはガラス基板上にクロム薄膜でマスクパターンが形成されている。修正に関してエマルジョンマスクとの相違点は、クロムマスク自体が金属膜であるため、修正用ペーストにも金属ペーストが必要となる。また、洗浄条件が厳しく、修正後の金属ペーストの密着性が重要となる。
【0025】
クロムマスク白抜け欠陥の場合には、ペースト塗布機構14により白抜け欠陥部に金属ペーストを塗布して修正が行なわれる。この修正用金属ペーストには、焼成時のクロム膜へのダメージを考慮し、焼成温度の低い(300℃程度)超微粒子系の金属ペーストが用いられる。塗布後、レーザ照射機構13により焼成用レーザ光(YAGレーザ基本波(1064nm)連続発振,半導体レーザ(800nm)連続発振など)を照射し、塗布した金属ペーストの焼成を行なう。
【0026】
この場合、レーザ照射機構13に含まれるレーザ光源として、欠陥部を切欠くためにパルス発振レーザが用いられ、ペースト焼成用として連続発振レーザが用いられる。より好ましくは、連続発振とパルス発振が切替え可能なレーザ光源、たとえば波長が基本波1047mm、第2高調波523mmのレーザ光を発光するYLFレーザを用いることが考えられる。
【0027】
また、クロムマスク黒欠陥の場合には、レーザ照射機構13によりカット用レーザ光を照射し、黒欠陥部の修正を行なう。クロムマスク黒欠陥は、比較的レーザカットがしやすく、YAGレーザ基本波でも十分にカットが可能である。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、露光用マスク基板の欠陥部に修正液を塗布した針を用いて白抜け欠陥を修正し、あるいはレーザ照射機構により黒欠陥を切欠くようにしたので、エマルジョンマスクや同種のクロムマスクなどのように、高精細化し人手では修正が不可能となっていた欠陥の修正が可能となる。また、クロムマスクの白抜け欠陥部に金属ペーストを塗布し、その後焼成を行なうようにしたので、塗布部の接着力を強化できる。また、エマルジョンマスクの黒欠陥にレーザを照射して切欠いた後に窪みが生じても、透明ペーストの塗布によって修正が可能となり救済できる不良マスク基板の割合を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態の全体の構成を示す図である。
【図2】図1に示したペースト塗布機構を示す図である。
【図3】この発明の一実施形態におけるエマルジョンマスク黒欠陥の修正方法を説明するための図である。
【符号の説明】
13 レーザ照射機構
14 ペースト塗布機構
15 ホストコンピュータ
16 画像処理機構
17 XYテーブル
18 チャック台
19 Z軸テーブル
20 IR光源
21 UV光源
22 モニタ
31 針
32 アクチュエータ
43〜46 インクタンク
37 洗浄装置
38 エアーパージ
Claims (4)
- 露光用エマルジョンマスク基板上に形成された遮光パターンの欠陥部を修正するためのパターン修正装置であって、
その上に前記露光用エマルジョンマスク基板が設置されて水平方向に移動するテーブルと、
前記遮光パターンの遮光部分がはみ出した黒欠陥部にレーザ光を照射して切欠くためのレーザ照射機構と、
前記レーザ照射機構によって前記黒欠陥部を切欠いた箇所に発生した窪みに対して、針を用いて透明ペーストを塗布する修正液塗布機構と、
前記窪みに塗布した前記透明ペーストを乾燥または固着させるための第1の光源とを備えたことを特徴とする、パターン修正装置。 - 前記修正液塗布機構は、前記遮光部分の色が抜けた白抜け欠陥部に対して、前記針を用いてインクを塗布し、
前記第1の光源は、前記白抜け欠陥部に塗布した前記インクも乾燥または硬化させることを特徴とする、請求項1に記載のパターン修正装置。 - 前記修正液塗布機構は、前記遮光部分の色が抜けた白抜け欠陥部に対して、前記針を用いてインクを塗布し、
さらに、前記白抜け欠陥部に塗布した前記インクを乾燥または固着させるための第2の光源を備えたことを特徴とする、請求項1に記載のパターン修正装置。 - 前記透明ペーストは、熱硬化樹脂または熱によらない紫外線硬化樹脂であることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれかに記載のパターン修正装置。
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