JP3758353B2 - 連続鋳造装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、特に高融点金属を浮揚溶解炉で溶解して下部の流出口からダイスを通して出湯して連続鋳造する連続鋳造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は従来例の構成図を示す。この図4において、1は耐火物で形成されたるつぼ、2は溶湯、3は前記るつぼ1の底部に装着され、該るつぼ1内の溶湯を鋳造する際に溶湯2を冷却して棒材4に成形するダイス、5は前記ダイス3により鋳造された棒材4を挟んで下方に引き抜く円筒ローラ、6は鋳造前にるつぼ1内の溶湯2が落下するのを防止するためにダイス3内に装着する栓を兼ねたスターティングブロックを示す。
【0003】
この図3において、るつぼ1は耐火物で形成されて、図示されていない溶解設備で溶解された溶湯2を受湯して保持しており、るつぼ1の底部にはダイス3が装着されている。そして、ダイス3の下方には図示されていない駆動モータに接続された円筒ローラ5が配されて、溶湯2が落下するのを防止する栓をかねた、溶湯2と同質材の棒材または先端のみ同質材としたスターティングブロック6が挿入されて円筒ローラ5で保持されている。
【0004】
上記の構成において、円筒ローラ5を図示されていない駆動モータで駆動してスターティングブロック6をゆっくりと引き抜き、それに連れて、ダイス3内に導かれた溶湯2が凝固して棒材4に連続して鋳造される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで従来の構成では、溶湯はセラミック、または黒鉛のるつぼ等の耐火物に接触しており、以下のような問題がある。
▲1▼耐火物が溶融金属へ混入し、製品の質を低下させる。
▲2▼耐火物は溶融金属により磨耗損傷するので耐火物を定期的に交換する必要がある。
【0006】
▲3▼耐火物の耐熱温度以上の融点の金属の鋳造が困難である。
▲4▼連続的に金属を円筒ローラで引き抜く際には、該金属の凝固点をダイス中に維持しなければならない。しかし高融点の金属を浮揚溶解炉で溶解、保持して連続鋳造する場合、出湯のために溶湯をるつぼの底部に近づけるとるつぼへの伝達熱が増加するので溶湯表面の温度が低下する。また、流出口に装着されたダイスは流出口と接触しているので冷却されてダイスに接触した溶湯の温度を降下させる。さらに、鋳造された棒材からの放熱により溶湯が冷却される。これらの熱損により、溶湯がダイスの入り口近辺で凝固して安定して連続鋳造することが困難になる場合がある。
【0007】
このダイス入り口近辺での高融点金属溶湯の凝固を防ぐには、ダイスの肉圧を厚くして流出口からの熱伝達によるダイス表面温度降下を抑制することが考えられるが、流出口を広げると溶解時に溶湯が浮揚しないか、またはるつぼと溶湯とが接近しすぎて、また溶湯底部への誘導電流の発生量が減少してその部分への加熱入力が減少することと相まって溶湯底部に薄皮が張り流出口からの出湯を阻止する問題が生じる。そのために流出口を過度に広げることはできない。
【0008】
この発明は上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、高純度金属ないし高融点金属の連続鋳造を可能とした連続鋳造装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1記載の発明は、有底の円筒状に形成されその底部に溶湯を出す流出口を形成した金属製のるつぼ、およびるつぼの外径側に設けられた誘導コイルを備えた浮揚溶解炉と、前記流出口に装着され連続鋳造時にその内部を通過中に溶湯を凝固させて棒材に鋳造するダイスと、該棒材を引き抜く円筒ローラとから構成される連続鋳造装置において、導電性材料で形成し、中央部に鋳造された棒材を通過させる連通穴を有し、前記ダイスを下側から支持する支持体を設けて、該支持体を誘導加熱して、鋳造された棒材に該支持体から熱伝達するようにしたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に発明は、有底の円筒状に形成されその底部に溶湯を出す流出口を形成した金属製のるつぼ、およびるつぼの外径側に設けられた誘導コイルを備えた浮揚溶解炉と、前記流出口に装着され連続鋳造時にその内部を通過中に溶湯を凝固させて棒材に鋳造するダイスと、該棒材を引き抜く円筒ローラとから構成される連続鋳造装置において、前記ダイスの下方に、鋳造された棒材を外周側から加熱するヒータを設けたことを特徴とする。
【0011】
上記請求項1または2の構成により、被溶解金属はるつぼとは非接触の浮揚状態で、溶解、保温されるので、るつぼからの混入物がなく、非汚染で高純度な棒材を鋳造することことが可能になる。
また、鋳造された棒材を、ダイス下方で外周側から加熱しているので、下方に引き抜かれた棒材からの放熱損が溶湯に熱伝導するのを抑制でき、溶湯の凝固点を安定してダイス内に保ことが可能になる。
【0012】
さらに、溶湯がるつぼ内で浮揚していることから高融点金属の溶解が可能であり、栓の使用と相乗して溶解中に流出口から溶湯が流出する湯漏れ現象を防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の実施の形態の主要部の構成図を示す。この図1において、従来例と同一符号を付したものは略同一機能を有するのでその説明は省略する。この図1において、10は有底の円筒状に形成され円筒状部に放射状に略等間隔で設けられた縦長のスリットを有する良導電金属製のるつぼ、10aはるつぼ10の底部に形成された溶湯11の流出口、12は被溶解材に、電磁誘導によって流れる渦電流を利用して主に溶解、加熱電力を与える上誘導コイル、13は被溶解材に、電磁誘導によって流れる渦電流を利用して溶湯に主に浮揚力を与える下誘導コイル、14は上誘導コイル12に電流を供給する交流電源,15は下誘導コイル13に電流を供給する交流電源を示す。16は、上記るつぼ10、誘導コイル12、13 から構成した浮揚溶解炉を示す。この浮揚溶解炉16に交流電源14、15を加えて浮揚溶解装置が構成される。
【0014】
17は流出口10aに挿入して装着された、溶湯11を通過中に冷却、凝固させるダイス(このダイスが鋳型となる)、18は前記ダイス17を支持する導電性金属製の支持体、19はダイス17内に先端部が挿入され、溶解初期の溶湯の落下流出を防止する栓を兼ねた棒状のスターティングブロック、20はスターティングブロック19および鋳造された棒材4を引き抜く円筒ローラを示し、このダイス17と、支持体18と、スターティングブロック19、および円筒ローラ20と、浮揚溶解装置とで連続鋳造装置を構成している。
【0015】
この図1において、るつぼ10は電気的に絶縁された2つ以上のセグメントを誘導コイル12、13の内側に並べて有底の円筒状に形成され円筒状部に放射状に略等間隔で設けられた縦長のスリットおよび底部に流出口10aを形成して構成される。このるつぼ10内に被溶解材料が入れられており、上下誘導コイル12、13で発生する磁束はセグメント間のスリットの隙間、および流出口10aからるつぼ内に進入して被溶解材料と鎖交する。るつぼ10を構成する各セグメントは溶けないように内部に冷却水を通す水路10bが形成され水冷されている。
【0016】
上下誘導コイル12、13の電流は、電気的に絶縁されたそれぞれのセグメントに渦電流を誘導するとともに、被溶解材料にも渦電流を誘導する。このるつぼ10と被溶解材料とに流れる渦電流の方向は対向する表面部分では互いに逆方向を向いているので磁気的に反発力となり、るつぼ10は固定されているので被溶解材料には浮揚力が働きこの浮揚力が被溶解材料の重量より大きければ被溶解材料はるつぼ10から離れて浮揚する。被溶解材料は抵抗損により熱を発生して加熱し続ける。このために被溶解材料は浮揚状態で溶解する。ここで被溶解材料はるつぼ10への接触を防ぐために、るつぼ10の中央部分に安定して位置することが望ましい。このるつぼ10内で安定して浮揚させるために、るつぼ底部側になるほど被溶解材料の重量に対抗するるつぼ10からの電磁反発力を大きくする必要がある。この電磁反発力をるつぼ底部で大きくするために、るつぼ底部に巻かれた下誘導コイル13には上誘導コイル12に比べて大きい浮揚力が得られるように低い周波数の交流電源15から電流を供給し、上誘導コイル12には被溶解材料を溶解する高周波電流が別の交流電源14から供給されることが行われている。
【0017】
連続鋳造に使用する金属の溶解および保温用の装置を浮揚溶解装置とすることにより、溶解時に溶湯が他の物と接触しないために異物の混入が極めて少ないこと、融点の高い材料でも溶解が可能であること、熱伝導損失が小さいこと等の特長が利用できる。
そして、るつぼ10の流出口10aに装着されたダイス17の外周側は前記流出口10aにより冷却されて、溶湯11がダイス17内を通過中に凝固して棒材4になるようにしている。また、ダイス17の下部は導電性金属製の支持体18が配備され、下誘導コイル13により加熱され高温で保持されて鋳造された棒材4を外周側から加熱して以下の棒材表面からの放熱で溶湯11が過冷却されないようにして、凝固点が安定してダイス17内に維持されるようにしている。
【0018】
また、ダイス17を流出口10aの全長に渡って挿入することによって鋳造時に溶湯11でるつぼ10が損傷するのを防止している。
ダイス17内には溶解初期の溶湯の落下を防止する栓を兼ねた、鋳造初期に溶湯11と溶着して、凝固した溶湯を適切な速度で引き抜くためのスターティングブロック19が挿入されている。このスターティングブロック19は溶解初期の溶湯の落下、流出を防止するとともに、溶解途中の停電、または電源系統の故障等により溶解が中断された場合に大量の溶湯11がダイス17内に流入して該ダイス17内で凝固しきれない溶湯11が落下して、るつぼ10下方の円筒ローラ20、その他の装置を焼損したり、周囲に飛散したりするのを防止する。
【0019】
上記の構成において、連続鋳造は以下のように実施される。まず、図示されていない溶解材料投入手段からるつぼ10内に溶解材料を投入して、浮揚溶解装置16の溶解運転が開始され、溶解材料はるつぼ10内で浮揚した状態で溶解される。溶解終了後直ちにあるいは保温運転を経た後、主に下誘導コイル13への電力を浮揚力を弱めるように調整して出湯を開始し、同時に円筒ローラ20を駆動してスターティングブロック19を徐々に引き抜き操作し連続鋳造運転に移行する。なお、ダイス17を支持する支持体18は下誘導コイル15により誘導加熱されて高温に保持され、この支持体18内のスターティングブロック19を熱伝達で加熱している。
【0020】
スターティングブロック19を徐々に引き抜くと溶湯11はダイス17内に導かれてダイス17内を通過する過程で冷却されて先のものから凝固して円柱状の棒材4となる。この棒材4の形成によりスターティングブロック19の引き抜き抵抗が増大するが、鋳片は先のものがスターティングブロック19の先端に溶着するので以降はその引き抜き抵抗に抗してスターティングブロック19が強制的に引き抜かれる。そしてスターティングブロック19が完全にダイス17から引き抜かれた後は、鋳造された円柱状の棒材4が円筒ローラ20によって引き抜き操作され、連続鋳造が続行される。
【0021】
図2はこの発明の別の実施の形態の主要部の構成図を示す。この図1において、10は有底の円筒状に形成され円筒状部に放射状に略等間隔で設けられた縦長のスリットを有する良導電金属製のるつぼ、10aはるつぼ10の底部に形成された溶湯11の流出口、12は被溶解材に、電磁誘導によって流れる渦電流を利用して主に溶解、加熱電力を与える上誘導コイル、13は被溶解材に、電磁誘導によって流れる渦電流を利用して溶湯に主に浮揚力を与える下誘導コイル、14は上誘導コイル12に電流を供給する交流電源,15は下誘導コイル13に電流を供給する交流電源を示す。16は、上記るつぼ10、誘導コイル12、13 から構成した浮揚溶解炉を示す。この浮揚溶解炉16に交流電源14、15を加えて浮揚溶解装置が構成される。
【0022】
17は流出口10aに挿入して装着された、溶湯11を通過中に冷却、凝固させるダイス(このダイスが鋳型となる)、19はダイス17内に先端部が挿入され、溶解初期の溶湯の落下流出を防止する栓を兼ねた棒状のスターティングブロック、20はスターティングブロック19および鋳造された棒材4を引き抜く円筒ローラ、21は鋳造された棒材をダイス17の下方で外周側から加熱するヒータを示し、このダイス17と、支持体18と、ヒータ21と、スターティングブロック19、および円筒ローラ20と、浮揚溶解装置とで連続鋳造装置を構成している。
【0023】
この図2が図1と異なる点は、支持体18を誘導加熱してその支持体18で鋳造された棒材を加熱する代わりに、ヒータ21を用いて棒材を加熱するようにした点である。
【0024】
【発明の効果】
この発明によれば、溶解部を浮揚溶解炉としているので、炉壁からの耐火物の混入が無く、高純度ないし高融点金属の連続鋳造を可能とする効果がある。またスターティングブロック、および鋳造された棒材はダイスの下方で加熱されているのでスターティングブロック、および鋳造された棒材からの放熱損により溶湯が冷却されることが防止され、凝固点を安定してダイス内に保ことが可能になり、安定して連続鋳造できる効果がある。また、そのことにより鋳造欠陥を未然に防ぐ効果がある。
【0025】
また、スターティングブロックが連続鋳造時の栓を兼ねるようにしたので、スターティングブロックをした溶解運転の状態からそのままスターティングブロックを引き抜き操作して連続鋳造運転に移行できる。したがって栓とスターティングブロックとを別々に設ける場合に比較して、操作性の向上および装置の簡略化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態の主要部の構成図
【図2】 この発明の別の実施の形態の主要部の構成図
【図3】 従来例の構成図
【符号の説明】
10 るつぼ
10a 流出口
11 溶湯
12 上誘導コイル
13 下誘導コイル
14、15 交流電源
16 浮揚溶解炉
17 ダイス
18 支持体
19 スターティングブロック
20 円筒ローラ
21 ヒータ
【発明の属する技術分野】
この発明は、特に高融点金属を浮揚溶解炉で溶解して下部の流出口からダイスを通して出湯して連続鋳造する連続鋳造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は従来例の構成図を示す。この図4において、1は耐火物で形成されたるつぼ、2は溶湯、3は前記るつぼ1の底部に装着され、該るつぼ1内の溶湯を鋳造する際に溶湯2を冷却して棒材4に成形するダイス、5は前記ダイス3により鋳造された棒材4を挟んで下方に引き抜く円筒ローラ、6は鋳造前にるつぼ1内の溶湯2が落下するのを防止するためにダイス3内に装着する栓を兼ねたスターティングブロックを示す。
【0003】
この図3において、るつぼ1は耐火物で形成されて、図示されていない溶解設備で溶解された溶湯2を受湯して保持しており、るつぼ1の底部にはダイス3が装着されている。そして、ダイス3の下方には図示されていない駆動モータに接続された円筒ローラ5が配されて、溶湯2が落下するのを防止する栓をかねた、溶湯2と同質材の棒材または先端のみ同質材としたスターティングブロック6が挿入されて円筒ローラ5で保持されている。
【0004】
上記の構成において、円筒ローラ5を図示されていない駆動モータで駆動してスターティングブロック6をゆっくりと引き抜き、それに連れて、ダイス3内に導かれた溶湯2が凝固して棒材4に連続して鋳造される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで従来の構成では、溶湯はセラミック、または黒鉛のるつぼ等の耐火物に接触しており、以下のような問題がある。
▲1▼耐火物が溶融金属へ混入し、製品の質を低下させる。
▲2▼耐火物は溶融金属により磨耗損傷するので耐火物を定期的に交換する必要がある。
【0006】
▲3▼耐火物の耐熱温度以上の融点の金属の鋳造が困難である。
▲4▼連続的に金属を円筒ローラで引き抜く際には、該金属の凝固点をダイス中に維持しなければならない。しかし高融点の金属を浮揚溶解炉で溶解、保持して連続鋳造する場合、出湯のために溶湯をるつぼの底部に近づけるとるつぼへの伝達熱が増加するので溶湯表面の温度が低下する。また、流出口に装着されたダイスは流出口と接触しているので冷却されてダイスに接触した溶湯の温度を降下させる。さらに、鋳造された棒材からの放熱により溶湯が冷却される。これらの熱損により、溶湯がダイスの入り口近辺で凝固して安定して連続鋳造することが困難になる場合がある。
【0007】
このダイス入り口近辺での高融点金属溶湯の凝固を防ぐには、ダイスの肉圧を厚くして流出口からの熱伝達によるダイス表面温度降下を抑制することが考えられるが、流出口を広げると溶解時に溶湯が浮揚しないか、またはるつぼと溶湯とが接近しすぎて、また溶湯底部への誘導電流の発生量が減少してその部分への加熱入力が減少することと相まって溶湯底部に薄皮が張り流出口からの出湯を阻止する問題が生じる。そのために流出口を過度に広げることはできない。
【0008】
この発明は上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、高純度金属ないし高融点金属の連続鋳造を可能とした連続鋳造装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1記載の発明は、有底の円筒状に形成されその底部に溶湯を出す流出口を形成した金属製のるつぼ、およびるつぼの外径側に設けられた誘導コイルを備えた浮揚溶解炉と、前記流出口に装着され連続鋳造時にその内部を通過中に溶湯を凝固させて棒材に鋳造するダイスと、該棒材を引き抜く円筒ローラとから構成される連続鋳造装置において、導電性材料で形成し、中央部に鋳造された棒材を通過させる連通穴を有し、前記ダイスを下側から支持する支持体を設けて、該支持体を誘導加熱して、鋳造された棒材に該支持体から熱伝達するようにしたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に発明は、有底の円筒状に形成されその底部に溶湯を出す流出口を形成した金属製のるつぼ、およびるつぼの外径側に設けられた誘導コイルを備えた浮揚溶解炉と、前記流出口に装着され連続鋳造時にその内部を通過中に溶湯を凝固させて棒材に鋳造するダイスと、該棒材を引き抜く円筒ローラとから構成される連続鋳造装置において、前記ダイスの下方に、鋳造された棒材を外周側から加熱するヒータを設けたことを特徴とする。
【0011】
上記請求項1または2の構成により、被溶解金属はるつぼとは非接触の浮揚状態で、溶解、保温されるので、るつぼからの混入物がなく、非汚染で高純度な棒材を鋳造することことが可能になる。
また、鋳造された棒材を、ダイス下方で外周側から加熱しているので、下方に引き抜かれた棒材からの放熱損が溶湯に熱伝導するのを抑制でき、溶湯の凝固点を安定してダイス内に保ことが可能になる。
【0012】
さらに、溶湯がるつぼ内で浮揚していることから高融点金属の溶解が可能であり、栓の使用と相乗して溶解中に流出口から溶湯が流出する湯漏れ現象を防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の実施の形態の主要部の構成図を示す。この図1において、従来例と同一符号を付したものは略同一機能を有するのでその説明は省略する。この図1において、10は有底の円筒状に形成され円筒状部に放射状に略等間隔で設けられた縦長のスリットを有する良導電金属製のるつぼ、10aはるつぼ10の底部に形成された溶湯11の流出口、12は被溶解材に、電磁誘導によって流れる渦電流を利用して主に溶解、加熱電力を与える上誘導コイル、13は被溶解材に、電磁誘導によって流れる渦電流を利用して溶湯に主に浮揚力を与える下誘導コイル、14は上誘導コイル12に電流を供給する交流電源,15は下誘導コイル13に電流を供給する交流電源を示す。16は、上記るつぼ10、誘導コイル12、13 から構成した浮揚溶解炉を示す。この浮揚溶解炉16に交流電源14、15を加えて浮揚溶解装置が構成される。
【0014】
17は流出口10aに挿入して装着された、溶湯11を通過中に冷却、凝固させるダイス(このダイスが鋳型となる)、18は前記ダイス17を支持する導電性金属製の支持体、19はダイス17内に先端部が挿入され、溶解初期の溶湯の落下流出を防止する栓を兼ねた棒状のスターティングブロック、20はスターティングブロック19および鋳造された棒材4を引き抜く円筒ローラを示し、このダイス17と、支持体18と、スターティングブロック19、および円筒ローラ20と、浮揚溶解装置とで連続鋳造装置を構成している。
【0015】
この図1において、るつぼ10は電気的に絶縁された2つ以上のセグメントを誘導コイル12、13の内側に並べて有底の円筒状に形成され円筒状部に放射状に略等間隔で設けられた縦長のスリットおよび底部に流出口10aを形成して構成される。このるつぼ10内に被溶解材料が入れられており、上下誘導コイル12、13で発生する磁束はセグメント間のスリットの隙間、および流出口10aからるつぼ内に進入して被溶解材料と鎖交する。るつぼ10を構成する各セグメントは溶けないように内部に冷却水を通す水路10bが形成され水冷されている。
【0016】
上下誘導コイル12、13の電流は、電気的に絶縁されたそれぞれのセグメントに渦電流を誘導するとともに、被溶解材料にも渦電流を誘導する。このるつぼ10と被溶解材料とに流れる渦電流の方向は対向する表面部分では互いに逆方向を向いているので磁気的に反発力となり、るつぼ10は固定されているので被溶解材料には浮揚力が働きこの浮揚力が被溶解材料の重量より大きければ被溶解材料はるつぼ10から離れて浮揚する。被溶解材料は抵抗損により熱を発生して加熱し続ける。このために被溶解材料は浮揚状態で溶解する。ここで被溶解材料はるつぼ10への接触を防ぐために、るつぼ10の中央部分に安定して位置することが望ましい。このるつぼ10内で安定して浮揚させるために、るつぼ底部側になるほど被溶解材料の重量に対抗するるつぼ10からの電磁反発力を大きくする必要がある。この電磁反発力をるつぼ底部で大きくするために、るつぼ底部に巻かれた下誘導コイル13には上誘導コイル12に比べて大きい浮揚力が得られるように低い周波数の交流電源15から電流を供給し、上誘導コイル12には被溶解材料を溶解する高周波電流が別の交流電源14から供給されることが行われている。
【0017】
連続鋳造に使用する金属の溶解および保温用の装置を浮揚溶解装置とすることにより、溶解時に溶湯が他の物と接触しないために異物の混入が極めて少ないこと、融点の高い材料でも溶解が可能であること、熱伝導損失が小さいこと等の特長が利用できる。
そして、るつぼ10の流出口10aに装着されたダイス17の外周側は前記流出口10aにより冷却されて、溶湯11がダイス17内を通過中に凝固して棒材4になるようにしている。また、ダイス17の下部は導電性金属製の支持体18が配備され、下誘導コイル13により加熱され高温で保持されて鋳造された棒材4を外周側から加熱して以下の棒材表面からの放熱で溶湯11が過冷却されないようにして、凝固点が安定してダイス17内に維持されるようにしている。
【0018】
また、ダイス17を流出口10aの全長に渡って挿入することによって鋳造時に溶湯11でるつぼ10が損傷するのを防止している。
ダイス17内には溶解初期の溶湯の落下を防止する栓を兼ねた、鋳造初期に溶湯11と溶着して、凝固した溶湯を適切な速度で引き抜くためのスターティングブロック19が挿入されている。このスターティングブロック19は溶解初期の溶湯の落下、流出を防止するとともに、溶解途中の停電、または電源系統の故障等により溶解が中断された場合に大量の溶湯11がダイス17内に流入して該ダイス17内で凝固しきれない溶湯11が落下して、るつぼ10下方の円筒ローラ20、その他の装置を焼損したり、周囲に飛散したりするのを防止する。
【0019】
上記の構成において、連続鋳造は以下のように実施される。まず、図示されていない溶解材料投入手段からるつぼ10内に溶解材料を投入して、浮揚溶解装置16の溶解運転が開始され、溶解材料はるつぼ10内で浮揚した状態で溶解される。溶解終了後直ちにあるいは保温運転を経た後、主に下誘導コイル13への電力を浮揚力を弱めるように調整して出湯を開始し、同時に円筒ローラ20を駆動してスターティングブロック19を徐々に引き抜き操作し連続鋳造運転に移行する。なお、ダイス17を支持する支持体18は下誘導コイル15により誘導加熱されて高温に保持され、この支持体18内のスターティングブロック19を熱伝達で加熱している。
【0020】
スターティングブロック19を徐々に引き抜くと溶湯11はダイス17内に導かれてダイス17内を通過する過程で冷却されて先のものから凝固して円柱状の棒材4となる。この棒材4の形成によりスターティングブロック19の引き抜き抵抗が増大するが、鋳片は先のものがスターティングブロック19の先端に溶着するので以降はその引き抜き抵抗に抗してスターティングブロック19が強制的に引き抜かれる。そしてスターティングブロック19が完全にダイス17から引き抜かれた後は、鋳造された円柱状の棒材4が円筒ローラ20によって引き抜き操作され、連続鋳造が続行される。
【0021】
図2はこの発明の別の実施の形態の主要部の構成図を示す。この図1において、10は有底の円筒状に形成され円筒状部に放射状に略等間隔で設けられた縦長のスリットを有する良導電金属製のるつぼ、10aはるつぼ10の底部に形成された溶湯11の流出口、12は被溶解材に、電磁誘導によって流れる渦電流を利用して主に溶解、加熱電力を与える上誘導コイル、13は被溶解材に、電磁誘導によって流れる渦電流を利用して溶湯に主に浮揚力を与える下誘導コイル、14は上誘導コイル12に電流を供給する交流電源,15は下誘導コイル13に電流を供給する交流電源を示す。16は、上記るつぼ10、誘導コイル12、13 から構成した浮揚溶解炉を示す。この浮揚溶解炉16に交流電源14、15を加えて浮揚溶解装置が構成される。
【0022】
17は流出口10aに挿入して装着された、溶湯11を通過中に冷却、凝固させるダイス(このダイスが鋳型となる)、19はダイス17内に先端部が挿入され、溶解初期の溶湯の落下流出を防止する栓を兼ねた棒状のスターティングブロック、20はスターティングブロック19および鋳造された棒材4を引き抜く円筒ローラ、21は鋳造された棒材をダイス17の下方で外周側から加熱するヒータを示し、このダイス17と、支持体18と、ヒータ21と、スターティングブロック19、および円筒ローラ20と、浮揚溶解装置とで連続鋳造装置を構成している。
【0023】
この図2が図1と異なる点は、支持体18を誘導加熱してその支持体18で鋳造された棒材を加熱する代わりに、ヒータ21を用いて棒材を加熱するようにした点である。
【0024】
【発明の効果】
この発明によれば、溶解部を浮揚溶解炉としているので、炉壁からの耐火物の混入が無く、高純度ないし高融点金属の連続鋳造を可能とする効果がある。またスターティングブロック、および鋳造された棒材はダイスの下方で加熱されているのでスターティングブロック、および鋳造された棒材からの放熱損により溶湯が冷却されることが防止され、凝固点を安定してダイス内に保ことが可能になり、安定して連続鋳造できる効果がある。また、そのことにより鋳造欠陥を未然に防ぐ効果がある。
【0025】
また、スターティングブロックが連続鋳造時の栓を兼ねるようにしたので、スターティングブロックをした溶解運転の状態からそのままスターティングブロックを引き抜き操作して連続鋳造運転に移行できる。したがって栓とスターティングブロックとを別々に設ける場合に比較して、操作性の向上および装置の簡略化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態の主要部の構成図
【図2】 この発明の別の実施の形態の主要部の構成図
【図3】 従来例の構成図
【符号の説明】
10 るつぼ
10a 流出口
11 溶湯
12 上誘導コイル
13 下誘導コイル
14、15 交流電源
16 浮揚溶解炉
17 ダイス
18 支持体
19 スターティングブロック
20 円筒ローラ
21 ヒータ
Claims (2)
- 有底の円筒状に形成されその底部に溶湯を出す流出口を形成した金属製のるつぼ、およびるつぼの外径側に設けられた誘導コイルを備えた浮揚溶解炉と、前記流出口に装着され連続鋳造時にその内部を通過中に溶湯を凝固させて棒材に鋳造するダイスと、該棒材を引き抜く円筒ローラとから構成される連続鋳造装置において、導電性材料で形成し、中央部に鋳造された棒材を通過させる連通穴を有し、前記ダイスを下側から支持する支持体を設けて、該支持体を誘導加熱して、鋳造された棒材に該支持体から熱伝達するようにしたことを特徴とする連続鋳造装置。
- 有底の円筒状に形成されその底部に溶湯を出す流出口を形成した金属製のるつぼ、およびるつぼの外径側に設けられた誘導コイルを備えた浮揚溶解炉と、前記流出口に装着され連続鋳造時にその内部を通過中に溶湯を凝固させて棒材に鋳造するダイスと、該棒材を引き抜く円筒ローラとから構成される連続鋳造装置において、前記ダイスの下方に、鋳造された棒材を外周側から加熱するヒータを設けたことを特徴とする連続鋳造装置。
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- 1998-01-30 JP JP01760198A patent/JP3758353B2/ja not_active Expired - Fee Related
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