JP2002239695A - 連続鋳造方法及び連続鋳造設備 - Google Patents

連続鋳造方法及び連続鋳造設備

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JP2002239695A
JP2002239695A JP2001038354A JP2001038354A JP2002239695A JP 2002239695 A JP2002239695 A JP 2002239695A JP 2001038354 A JP2001038354 A JP 2001038354A JP 2001038354 A JP2001038354 A JP 2001038354A JP 2002239695 A JP2002239695 A JP 2002239695A
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meniscus
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copper plate
electromagnetic coil
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Takashi Osako
隆志 大迫
Kimio Inagaki
公男 稲垣
Sho Ishizaka
祥 石坂
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Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 種々の横断面寸法の鋳型においても、少ない
鋳型用設備で最適な磁場条件を作りだし、ノロカミ疵や
負偏析を発生させることなく等軸晶率を高める。 【解決手段】 本発明による連続鋳造用鋳型1は、溶鋼
10と接触して凝固殻11を形成させる鋳型銅板5と、
メニスカス13を含む高さ位置又は電磁コイル7の上端
がメニスカス直下高さの位置となるように鋳型銅板外側
に設けられ、モールドパウダー14で覆われた鋳型内溶
鋼を水平方向に旋回流動させるための電磁コイルと、鋳
型銅板と電磁コイルとの間であって且つメニスカスを含
む高さ位置に、高さ方向に少なくとも2以上に分割さ
れ、各々着脱可能として設けられた強磁性体の磁気遮蔽
体8とを具備している。本発明の連続鋳造方法は、この
鋳型を用いて、磁気遮蔽体の設置範囲を鋳造する鋳片の
直径に応じて変更し、この磁気遮蔽体によってメニスカ
ス位置の移動磁界を遮断しつつ鋳造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造方法及び
その設備に関するもので、詳しくは、鋳型内の溶鋼を電
磁コイルにより旋回しつつ連続鋳造する方法及びその設
備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造においては、鋳片中心部の
凝固組織を等軸晶とし、鋳片の中心偏析を防止する手段
として、電磁攪拌法が知られている。この電磁攪拌法
は、凝固界面近傍に強制的に溶鋼流動を発生させること
で、凝固組織の樹枝状晶を溶断し、鋳片中心部に等軸晶
を得ようとするものである。
【0003】電磁攪拌法のうち、リニアモーター型及び
旋回型の電磁攪拌装置では、移動磁界が鋳型内溶鋼に印
加され、移動磁界により溶鋼中に誘導される渦電流と印
加された磁界との相互作用により電磁気力が発生し、こ
の電磁気力により溶鋼が強制的に攪拌される。この攪拌
によって凝固界面の樹枝状晶が溶断され、溶断された樹
枝状晶は落下して鋳片中心部に堆積すると共に、結晶生
成の核となって等軸晶が得られる。
【0004】この移動磁界の発生装置としては、一般
に、連続鋳造用鋳型銅板を周回するように配置された電
磁コイルが用いられる。鋳片凝固組織の等軸晶率を高め
るためには、攪拌力を大きくする必要があるが、攪拌力
を大きくすると、鋳型内溶鋼湯面(以下「メニスカス」
と記す)では遠心力によりメニスカス周辺部の溶鋼が持
ち上がり、メニスカスは中心部が低くなった凹状の形状
となるので、メニスカス周辺部では溶鋼上に存在するモ
ールドパウダーの溶融層が薄くなる。その結果、未溶融
のモールドパウダーの凝固殻への巻き込みが発生した
り、凝固殻と鋳型銅板との間隙へのモールドパウダーの
流れ込み量が少なくなって、凝固殻が鋳型銅板と焼き付
き、ブレークアウトを誘発する。又、溶鋼流速の増加に
伴って凝固界面の濃化溶鋼が洗い流され、溶質濃度が低
くなる、所謂、負偏析が鋳片表層部に発生する。
【0005】これらの問題を解決すべく、特開平4−2
20149号公報には、鋳型銅板と電磁コイルとの間
で、且つ、メニスカスを含む範囲に強磁性体の材料から
なる磁気遮蔽体を設置した連続鋳造設備が開示されてい
る。図4に同号公報に開示された連続鋳造設備を示す。
【0006】図4に示すように、同号公報による連続鋳
造用鋳型1は、外筒2と、外筒2に挿入された内筒3
と、内筒3に挿入され、溶鋼と接触して凝固殻を形成さ
せる円筒状鋳型銅板4とから構成され、外筒2と内筒3
との間に形成される環状空間6には、電磁コイル7が配
置され、又、内筒3は上下2つの部分からなっており、
上部は強磁性体からなる磁気遮蔽体8であり、下部はオ
ーステナイト系ステンレス鋼等の磁束が通り易い材料で
構成されている。この磁気遮蔽体8はメニスカスを中心
として上下の必要範囲に設けられている。
【0007】この磁気遮蔽体8により、メニスカス位置
の移動磁界が吸収され、モールドパウダーの巻き込みや
負偏析の原因となる攪拌力が低下される。一方、メニス
カスから離れた部分には十分な磁束が浸透し、等軸晶化
を促進させるために必要な攪拌力が得られる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、円筒状鋳型
銅板4の横断面寸法、即ち鋳造する鋳片の直径が異なる
と、鋳型1内に滞在する溶鋼量が変わるために、十分な
等軸晶を形成させるための攪拌力が変化する。即ち、鋳
型内の溶鋼量が多くなれば、大きな攪拌力が必要にな
る。大きな攪拌力を得るためには鋳型銅板4の内面にお
ける磁束密度を高める必要があるが、磁束密度を高めた
場合、磁気遮蔽体8の設置範囲が一定であるならば、メ
ニスカスの溶鋼流速は増加してしまう。これを防止する
ためには、磁気遮蔽体8の設置範囲を広くしてメニスカ
スの溶鋼流速を抑制する必要がある。
【0009】このように、鋳片の横断面寸法に応じて磁
気遮蔽体の設置範囲を変更する必要があるが、上述の特
開平4−220149号公報に開示された鋳型では、磁
気遮蔽体が溶接又は埋め込みボルト等によって内筒と固
定されており、磁気遮蔽体の設置範囲は一定となる構造
である。従って、同号公報による連続鋳造設備では、各
々の横断面の鋳型銅板に対応して磁気遮蔽体を組み込ん
だ内筒が必要となり、設備コストは極めて高いものとな
る。
【0010】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
その目的とするところは、種々の横断面寸法の鋳片を鋳
造する際にも、少ない鋳型用設備で最適な磁場条件を造
りだし、ノロカミ疵や負偏析を発生させることなく、等
軸晶率を高めることのできる連続鋳造方法及び連続鋳造
設備を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明による連続鋳造方
法は、電磁コイルを、メニスカスを含む高さ位置又は電
磁コイルの上端がメニスカス直下高さの位置となるよう
に鋳型銅板外側に設け、この電磁コイルに誘導される移
動磁界によってモールドパウダーで覆われた鋳型内溶鋼
を水平方向に旋回流動させて連続鋳造する際に、鋳型銅
板と電磁コイルとの間であって且つメニスカスを含む高
さ位置に、2以上に分割可能で且つ各々着脱可能な強磁
性体の磁気遮蔽体を設け、この磁気遮蔽体のメニスカス
からの設置範囲を鋳型銅板の横断面積に応じて変更して
磁気遮蔽体によりメニスカス位置の移動磁界を遮断しつ
つ鋳造することを特徴とするものである。
【0012】又、本発明による連続鋳造設備は、溶鋼と
接触して凝固殻を形成させる鋳型銅板と、メニスカスを
含む高さ位置又は電磁コイルの上端がメニスカス直下高
さの位置となるように鋳型銅板外側に設けられ、モール
ドパウダーで覆われた鋳型内溶鋼を水平方向に旋回流動
させるための電磁コイルと、鋳型銅板と電磁コイルとの
間であって且つメニスカスを含む高さ位置に、高さ方向
に少なくとも2以上に分割され、各々着脱可能として設
けられた強磁性体の磁気遮蔽体と、を具備したことを特
徴とするものである。
【0013】本発明による連続鋳造設備は、鋳型銅板
と、電磁コイルと、強磁性体の磁気遮蔽体とを具備して
いる。電磁コイルは、鋳型内の溶鋼を旋回流動させるた
めに、メニスカスを含む高さ位置又は電磁攪拌用コイル
の上端がメニスカス直下高さの位置となるように、鋳型
銅板の外側に設けられている。磁気遮蔽体は、鋳型銅板
と電磁コイルとの間であって且つメニスカスを含む高さ
位置に設けられている。
【0014】上記のような磁気遮蔽体が設けられている
理由は以下のとおりである。中心偏析のない鋳片を得る
ために、電磁コイルにより溶鋼に大きな攪拌力を付与し
て、等軸晶率を高めようとすると、メニスカス周辺部の
溶鋼が遠心力により持ち上がるので、溶鋼上のモールド
パウダーの溶融厚みがメニスカス周辺部で薄くなる。こ
のように、モールドパウダーの溶融厚みがメニスカス周
辺部で薄くなると、鋳片にノロカミ疵やタテワレ疵が発
生する。従って、大きな攪拌力を維持しつつ、しかもモ
ールドパウダーの溶融厚みが薄くならないようにするた
めには、メニスカス周辺の溶鋼の攪拌力のみを弱めてや
れば良い。このようにすれば、メニスカス周辺部の盛り
上がりが防止される。
【0015】メニスカス周辺部分の攪拌力を弱めるため
には、メニスカス周辺部分に作用する磁束を減少させれ
ば良い。本発明による連続鋳造設備では、電磁コイルと
鋳型銅板との間で、且つ、メニスカスを含む高さの位置
に、鋳型銅板を囲むように純鉄や鋼等の強磁性体の磁気
遮蔽体が配置されるので、メニスカス部分を通る磁束が
遮蔽され、メニスカス周辺部分に作用する磁束が減少す
る。
【0016】そして、本発明では、この磁気遮蔽体を2
以上に分割し、そして各々を着脱可能としているので、
鋳型銅板の横断面積に応じて磁気遮蔽体を最適な範囲に
配置することができ、1種類の電磁コイルによって種々
の横断面の鋳型銅板においても最適な磁場条件を造りだ
すことが可能となり、その結果、ノロカミ疵や負偏析を
発生させることなく、等軸晶率を高めることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態
の1例を示す図であって、連続鋳造用鋳型の縦断面概略
図である。
【0018】図1に示すように、横断面が円形の鋳片1
2を鋳造するための連続鋳造用の鋳型1は、一番外側に
ある外筒2と、外筒2に挿入された内筒3と、内筒3に
挿入され、溶鋼10と接触して凝固殻11を形成させる
円筒状の鋳型銅板4とから構成されている。鋳型銅板4
は押え金物9によって内筒3と固定されている。内筒3
と円筒状の鋳型銅板4との間には、冷却水流路5が設け
られており、鋳型銅板4は冷却水流路を流れる冷却水で
常時冷却されている。外筒2の内筒3側の部分には、凹
状の環状空間6が設けられており、この環状空間6に移
動磁場を発生する電磁コイル7が装着されている。
【0019】電磁コイル7は、鋳型1内の溶鋼10を旋
回させる移動磁場を発生するものであれば良く、リニア
モーター型でも又旋回型でも、どちらでも良い。電磁コ
イル7は最大1テスラ程度の磁束密度を発生させるもの
を用いれば良い。又、電磁コイル7に供給する電流の周
波数は、内筒3及び鋳型銅板4での磁束の減衰を防止す
るために、1〜20Hz程度の低周波電源を用いるのが
好ましい。
【0020】内筒3と電磁コイル7との間には、強磁性
体からなる磁気遮蔽体8が周回して設置されている。こ
の場合、磁気遮蔽体8は、磁気遮蔽体8aと磁気遮蔽体
8bと磁気遮蔽体8cの3つの部材に分割されており、
磁気遮蔽体8aは外筒2と内筒3との間に嵌合して配置
され、磁気遮蔽体8bと磁気遮蔽体8cは内筒3の外側
に埋め込みボルト等により脱着可能に取り付けられてい
る。ここで、例えば、磁気遮蔽体8aをメニスカス13
から下方に100mmまでの範囲に設置し、磁気遮蔽体
8b及び磁気遮蔽体8cの長さを25mmとしておけ
ば、磁気遮蔽体8b又は磁気遮蔽体8cを脱着すること
により、磁気遮蔽体8のメニスカス13からの設置範囲
を100mm、125mm、150mmの3水準に変更
することができる。磁気遮蔽体8を構成する強磁性体と
しては、純鉄、普通鋼、フェライト、コバルト、ニッケ
ル等を用いることができる。これらの強磁性体で磁気遮
蔽体8を構成した場合には、磁気遮蔽体8の厚みを10
〜25mmとすれば、磁束はほとんど通過しない。一
方、内筒3は、オーステナイト系ステンレス鋼等の磁束
が通り易い材料で構成されている。
【0021】上述のように、磁気遮蔽体8を内筒3と電
磁コイル7との間に設置すると、磁気遮蔽体8に吸収さ
れた電磁エネルギーは熱になるが、この磁気遮蔽体8
は、環状空間6内を流れる冷却水によって内筒3及び電
磁コイル7と共に冷却されているため、磁気遮蔽体8が
過度に加熱されることはない。
【0022】このような構成の鋳型1を用いて、鋳片1
2を鋳造するに際しては、先ず、転炉や二次精錬炉等で
精錬して溶鋼10を得る。次いで、溶鋼10を溶鋼保持
容器(図示せず)からタンディッシュ(図示せず)に注
入し、タンディッシュの底部に設置された浸漬ノズル1
5を介して鋳型銅板4内に鋳造する。メニスカス13上
にはモールドパウダー14を添加し、浸漬ノズル15の
先端をメニスカス13に浸漬させて鋳造する。溶鋼10
は鋳型銅板4と接触して冷却され、凝固殻11を形成す
る。凝固殻11を連続的に鋳型1の下方に引き抜き、二
次冷却帯(図示せず)で内部まで凝固させて鋳片12を
得る。この鋳造中、電磁コイル7に電力を供給して鋳型
1内の溶鋼10を攪拌する。
【0023】鋳片12の凝固組織の等軸晶率を高め、且
つ、鋳片12のノロカミ疵や負偏析等を防止するために
は、鋳型1内の溶鋼10の流動を以下のように制御する
ことが好ましい。即ち、メニスカス13では、溶鋼流速
を25〜50cm/secとすることが好ましい。溶鋼
流速が50cm/secを越えると、ノロカミ疵の発生
頻度が高くなり、一方、溶鋼流速が25cm/sec未
満では、鋳片12にブローホールが発生しやすくなるか
らである。又、メニスカス13から100mm下方で
は、70cm/secまでの溶鋼流速で攪拌することが
できる。この位置では溶鋼流速を70cm/secに近
づける程、鋳片12の等軸晶率が増加する。但し、溶鋼
流速が70cm/secを越えるとメニスカス13の溶
鋼流速が速くなり、ノロカミ疵の発生頻度が増加するの
で好ましくない。更に、メニスカス13から200mm
下方では、溶鋼流速を30〜45cm/secとするこ
とが好ましい。溶鋼流速が45cm/secを越えると
負偏析が発生し、一方、溶鋼流速が30cm/sec未
満になると等軸晶率が低下する。
【0024】上記の溶鋼流速値を目標として、電磁コイ
ル7に供給する電力、及び、磁気遮蔽体8の設置範囲を
鋳型銅板4の横断面積、即ち鋳片12の直径に応じて設
定し、鋳型1内における溶鋼流動を制御する。
【0025】但し、上記の溶鋼流速値とするための、電
磁コイル7への供給電力及び磁気遮蔽体8の設置範囲
は、鋳型1の構成や鋳型1を構成する材質により各々の
鋳型1で変化する。従って、各々の鋳型1において磁気
遮蔽体8の設置範囲並びに供給電力を変更した試験を予
め実施して、鋳型銅板4の内面の磁束密度を測定してお
き、それに基づいて決定することが好ましい。又、実際
に鋳造して確認することもできる。鋳造時の溶鋼流速
は、例えば、メニスカス13ではメニスカス13に浸漬
させた耐火物製棒状体の傾きから測定することができ、
又、メニスカス13から離れた位置では、樹枝状晶の成
長方向や溶質元素の負偏析度から逆算することができ
る。
【0026】上述の鋳型1の構成において、内径及び外
径が同一の磁気遮蔽体8を用いて鋳型銅板4の横断面積
即ち鋳片12の直径を変更するには、内筒3の厚み、又
は鋳型銅板4の厚み、若しくは冷却水流路5の厚みを変
更して対処することとする。但し、内筒3の厚み及び鋳
型銅板4の厚みを過度に厚くすると、電磁コイル7から
発生する磁束が吸収され、鋳型銅板4の内面において所
望する磁束密度が得られなくなる場合が発生する。又、
鋳型銅板4の厚み及び冷却水流路5の厚みを過度に厚く
すると、冷却能が低下して、鋳造作業に支障を来す場合
が発生する。このような場合には、外筒2や内筒3、及
び磁気遮蔽体8を含め鋳型1の全体の寸法を変更する
か、若しくは、磁気遮蔽体8を厚みの異なる別なものと
変更する等により対処するものとする。
【0027】このようにして鋳造することにより、必要
最低限の少ない鋳型用設備で、ノロカミ疵や負偏析がな
く、且つ、凝固組織の等軸晶率が高く、中心偏析が軽減
された、種々の横断面寸法の鋳片12を鋳造することが
できる。
【0028】又、図2は、本発明の実施の形態の他の例
を示す図であって、連続鋳造用鋳型の縦断面概略図であ
る。この鋳型1Aも、横断面が円形の鋳片12を鋳造す
るためのものであり、図1に示す鋳型1に対して異なる
ことは、内筒3が上下2つの部分からなっており、上部
は強磁性体で構成され、磁気遮蔽体8dを兼ねており、
下部はオーステナイト系ステンレス鋼等の磁束が通り易
い材料で構成され、これらは溶接等によって接合されて
いることと、内筒3と電磁コイル7との間には、強磁性
体からなる磁気遮蔽体8e及び磁気遮蔽体8fが、磁気
遮蔽体8dの直下から、内筒3の外側に埋め込みボルト
等により脱着可能に取り付けられていることの2点であ
る。即ち、鋳型1と鋳型1Aとで異なることは、鋳型1
Aにおいては、磁気遮蔽体8が、内筒3の一部を構成す
る磁気遮蔽体8dと、脱着可能な磁気遮蔽体8e及び磁
気遮蔽体8fとで構成されていることである。その他の
構造は図1に示す鋳型1と同一であり、同一の部分は同
一符号により示し、その説明は省略する。
【0029】この鋳型1Aにおいて、鋳片12を鋳造す
るに際しては、前述した鋳型1における鋳造方法と実質
的に同一方法で鋳造することとする。この場合も前述し
たように、各々の鋳型1Aにおいて磁気遮蔽体8の設置
範囲並びに供給電力を変更した試験を予め実施して、鋳
型銅板4の内面の磁束密度を測定しておき、それに基づ
いて磁気遮蔽体8の設置範囲並びに供給電力を決定する
ことが好ましい。
【0030】鋳型1Aにおいて、内径及び外径が同一の
磁気遮蔽体8、即ち内径及び外径が同一の内筒3を用い
て鋳型銅板4の横断面積を変更するには、鋳型銅板4の
厚み、又は冷却水流路5の厚みを変更して対処すること
とする。但し、鋳型銅板4の厚みを過度に厚くすると、
電磁コイル7から発生する磁束が吸収され、鋳型銅板4
の内面において所望する磁束密度が得られなくなる場合
が発生し、又、鋳型銅板4の厚み及び冷却水流路5の厚
みを過度に厚くすると、冷却能が低下して、鋳造作業に
支障を来す場合が発生する。このような場合には、外筒
2や内筒3を含め鋳型1の全体の寸法を変更する等によ
り対処するものとする。
【0031】このようにして鋳造することにより、必要
最低限の少ない鋳型用設備で、ノロカミ疵や負偏析がな
く、且つ、凝固組織の等軸晶率が高く、中心偏析が軽減
された、種々の横断面寸法の鋳片12を鋳造することが
できる。
【0032】尚、上記説明では、磁気遮蔽体8を3分割
としているが、2以上であれば幾つに分割しても良く、
又、分割される各部材の長さや厚みを各々で変更しても
良い。又、上記説明は、外筒2及び内筒3を具備した構
造の鋳型1に本発明を適用した例を示したが、本発明は
上記構造の鋳型1に限るわけではなく、冷却水流路とな
るスリットを有する鋳型銅板と、その背後に設置される
バックプレートとを具備したスラブ連続鋳造設備におい
ても適用することができる。
【0033】
【実施例】図1に示す鋳型において、磁気遮蔽体の設置
範囲を変更したときの鋳型銅板内面の磁束密度を測定し
た。用いた連続鋳造設備は湾曲型のビレット連続鋳造設
備で、鋳型銅板は、直径が170mmの鋳片を鋳造する
ためのもので、鋳型銅板の長さは700mmである。磁
気遮蔽体として普通鋼を用い、磁気遮蔽体の設置範囲
は、鋳型銅板の上端から200mm下方位置までの範囲
と、鋳型銅板の上端から250mm下方位置までの範囲
の2水準とした。鋳型銅板の上端から100mm下方位
置がメニスカス位置となるので、メニスカスからの設置
範囲は100mm下方位置及び150mm下方位置まで
となる。用いた電磁コイルは、3相2極の旋回型であ
り、外径が561mm、内径が350mm、長さが40
0mmで、最大磁場強度が1テスラであり、この電磁コ
イルの上端を鋳型銅板の上端から100mm下方位置に
配置した。又、比較として磁気遮蔽体を設置しない場合
の磁束密度も測定した。
【0034】図3に、電磁コイルに200Aの電流を供
給した際の、鋳型銅板内面の磁束密度の分布を示す。図
中、●印は、磁気遮蔽体を鋳型銅板の上端から200m
m下方位置まで配置したときの測定値、▲印は、磁気遮
蔽体を鋳型銅板の上端から250mm下方位置まで配置
したときの測定値、○印は、磁気遮蔽体を設置しないと
きの測定値である。尚、磁束密度は、鋳型銅板壁面から
20mm中心側に離れた位置で測定した結果である。
【0035】図3に示すように、磁気遮蔽体を設置する
ことにより、鋳型銅板上端から100mm下方位置(メ
ニスカス位置に想到)における磁束密度は低く、そし
て、磁気遮蔽体を設置した範囲までは磁束密度は低い状
態に維持されることが分かった。しかし、磁気遮蔽体を
鋳型銅板の上端から250mm下方位置まで配置した場
合には、磁束密度が全体的に低くなることも分かった。
これらの磁束密度の分布状態を踏まえ、この3つの条件
で鋳片を鋳造し、鋳片の表面及び凝固組織を調査した。
【0036】その結果、磁気遮蔽体を鋳型銅板の上端か
ら200mm下方位置まで配置した場合には、ノロカミ
疵及び負偏析がなく、且つ、等軸晶率が高く、鋳片中心
部まで等軸晶で充填された鋳片が得られた。又、磁気遮
蔽体を鋳型銅板の上端から250mm下方位置まで配置
した場合には、ノロカミ疵及び負偏析はなかったが、等
軸晶率が低く、鋳片中心部には樹枝状晶が混在した鋳片
が得られた。一方、磁気遮蔽体を配置しなかった場合に
は、等軸晶率は高く、鋳片中心部まで等軸晶で充填され
ていたが、ノロカミ疵及び負偏析が発生し、鋳片の表面
手入れが必要で、且つ、負偏析による材質のばらつきも
発生した。
【0037】これらの結果から、直径が170mmの鋳
片を鋳造する場合には、電磁コイルに200Aの電流を
供給すると共に、磁気遮蔽体をメニスカスから100m
m下方位置まで設置することが最適であることが分かっ
た。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、磁気遮蔽体の設置範囲
を変更することにより同一の電磁コイルを用いて、ノロ
カミ疵及び負偏析がなく且つ中心偏析が軽減された、種
々の横断面寸法の鋳片を鋳造することができ、鋳型用設
備の削減による製造コストの削減等、工業上有益な効果
がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す図であって、
連続鋳造用鋳型の縦断面概略図である。
【図2】本発明の実施の形態の他の例を示す図であっ
て、連続鋳造用鋳型の縦断面概略図である。
【図3】磁気遮蔽体の設置範囲を変更したときの、鋳型
銅板内面の磁束密度の分布を示す図である。
【図4】従来の連続鋳造用鋳型の縦断面概略図である。
【符号の説明】
1 鋳型 2 外筒 3 内筒 4 鋳型銅板 5 冷却水流路 6 環状空間 7 電磁コイル 8 磁気遮蔽体 9 押え金物 10 溶鋼 11 凝固殻 12 鋳片 13 メニスカス 14 モールドパウダー 15 浸漬ノズル
フロントページの続き (72)発明者 石坂 祥 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4E004 AA09 MB12 NB04 NC01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電磁コイルを、メニスカスを含む高さ位
    置又は電磁コイルの上端がメニスカス直下高さの位置と
    なるように鋳型銅板外側に設け、この電磁コイルに誘導
    される移動磁界によってモールドパウダーで覆われた鋳
    型内溶鋼を水平方向に旋回流動させて連続鋳造する際
    に、鋳型銅板と電磁コイルとの間であって且つメニスカ
    スを含む高さ位置に、2以上に分割可能で且つ各々着脱
    可能な強磁性体の磁気遮蔽体を設け、この磁気遮蔽体の
    メニスカスからの設置範囲を鋳型銅板の横断面積に応じ
    て変更して磁気遮蔽体によりメニスカス位置の移動磁界
    を遮断しつつ鋳造することを特徴とする連続鋳造方法。
  2. 【請求項2】 溶鋼と接触して凝固殻を形成させる鋳型
    銅板と、メニスカスを含む高さ位置又は電磁コイルの上
    端がメニスカス直下高さの位置となるように鋳型銅板外
    側に設けられ、モールドパウダーで覆われた鋳型内溶鋼
    を水平方向に旋回流動させるための電磁コイルと、鋳型
    銅板と電磁コイルとの間であって且つメニスカスを含む
    高さ位置に、高さ方向に少なくとも2以上に分割され、
    各々着脱可能として設けられた強磁性体の磁気遮蔽体
    と、を具備したことを特徴とする連続鋳造設備。
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