JP3757195B2 - ヒステリシスコンパレータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、IC化に適するよう改良されたヒステリシスコンパレータの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5には従来のヒステリシスコンパレータの構成の一例を示した。
図5のヒステリシスコンパレータは、大きく分けて、比較器を構成するための差動増幅回路EAと、しきい値電圧を提供するための抵抗R1とR2と、ヒステリシス特性を発現させるための抵抗R3とトランジスタM31の直列回路とから構成されている。ここで差動増幅回路EAの非反転入力端子はヒステリシスコンパレータの入力端子1に接続され、差動増幅回路EAの出力端子はヒステリシスコンパレータの出力端子2に接続される。また、抵抗R1とR2の直列回路は電源供給ラインVCCとグランドとの間に接続され、抵抗R3とトランジスタM31の直列回路は抵抗R2に対して並列接続される。そして、抵抗R1とR2の共通接続点は差動増幅回路EAの反転入力端子に、トランジスタM31のゲートは差動増幅回路EAの出力端子に、それぞれ接続された回路構成となっている。
【0003】
このような構成のヒステリシスコンパレータでは、初期状態としてトランジスタM31がオフ状態であったとすると、差動増幅回路EAの非反転入力端子には電源供給ラインVCCの電圧が抵抗R1とR2において分圧されることで得られた第1のしきい値電圧が供給される。ここで入力端子1に供給される入力信号の電圧が第1のしきい値電圧よりも低い場合、差動増幅回路EAの出力はローレベルとなる。しかし入力信号の電圧値が上昇し、それが抵抗R1とR2の共通接続点に現れる第1のしきい値電圧よりも高くなると、差動増幅回路EAの出力はハイレベルに転換する。
【0004】
この時、トランジスタM31はオン状態に切り替わり、抵抗R2と抵抗R3が並列状態となって、差動増幅回路EAの非反転入力端子には第1のしきい値電圧よりも低い第2のしきい値電圧が供給されるようになる。このため、入力信号の電圧が第1のしきい値電圧より低下しても差動増幅回路EAの出力はハイレベルであり続け、さらに第2のしきい値電圧よりも低下した時にようやく差動増幅回路EAの出力はローレベルに転換する。差動増幅回路EAの出力がローレベルになるとトランジスタM31はオフ状態に切り替わり、差動増幅回路EAの非反転入力端子には初期状態と同じ第1のしきい値電圧が供給されることになる。
このような動作により、図5のヒステリシスコンパレータでは、出力端子2から出力される出力信号にヒステリシス特性が発現することになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図5に示すようなヒステリシスコンパレータは、構成が簡素で実用的であるが、回路の構成要素として抵抗素子を必要とするため、集積回路上に形成するには不向きであった。
すなわち、近年の集積回路はMOS技術によって製造されるのが一般的であるが、このMOS製造技術において抵抗素子はトランジスタ素子よりも広い形成面積を必要とする。
【0006】
また、出力信号のヒステリシス特性の電圧差は3つの抵抗R1〜R3の抵抗値に依存しているが、半導体基板上に抵抗素子を形成する場合、形成領域の形状寸法だけでなく、他の要因、例えば半導体中にドープされた不純物やコンタクト部の接触抵抗、抵抗領域外の線路の抵抗成分などによっても抵抗値が変化する。このため、3つの抵抗R1〜R3の抵抗値とその比率を全製品で厳密に揃えるのは困難で、特性の均一化を図りにくいといった難点があった。
そこで本発明は、抵抗素子を使用せずに得た安定度の高い電圧をしきい値電圧として供給すように構成し、もって集積回路化の容易なヒステリシスコンパレータを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明は、一方の入力端子に入力信号が供給される差動増幅回路と、主電流路が直列接続され、ゲートが共通接続された第1と第2のトランジスタを有し、安定した出力電圧を発生させる定電圧発生回路と、出力信号に応じて定電圧発生回路の出力電圧を段階的に変化させるヒステリシス回路とを具備し、ヒステリシス回路によって変化した定電圧発生回路の出力電圧を第1のしきい値電圧あるいは第2のしきい値電圧として差動回路の他方の入力端子に供給することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
デプレッション型の第1のトランジスタとエンハンスメント型の第2のトランジスタを直列接続し、ダイオード接続された第3のトランジスタと電流源を直列接続する。第3のトランジスタと電流源の接続点から第1と第2のトランジスタの共通接続された各ゲートにバイアスを供給するようにして、第1と第2のトランジスタの主電流路の共通接続点から安定度の高い出力電圧が得られる定電圧発生回路を構成する。一方の入力端子に外部からの入力信号が供給される差動増幅回路の他方の入力端子に対し、この定電圧発生回路の出力電圧をしきい値電圧として供給する。
【0009】
そして、定電圧発生回路の出力電圧を段階的に変化させ、差動増幅回路の出力信号にヒステリシス特性を持たせるためのヒステリシス回路を設ける。
具体的には、定電圧発生回路の第3のトランジスタにダイオード接続された第4のトランジスタを直列接続し、同第2のトランジスタに第4のトランジスタとカレントミラー回路を構成する第5のトランジスタを直列接続する。そして、差動増幅回路の出力信号に応じて連動した動作をする第1と第2のスイッチを、それぞれ第4のトランジスタ、第5のトランジスタに対して並列に接続し、第1の形態のヒステリシス回路を構成する。
【0010】
あるいは、新たに設けた第2の電流源にダイオード接続された第4のトランジスタを直列接続し、定電圧発生回路の第2のトランジスタに第4のトランジスタとカレントミラー回路を構成する第5のトランジスタを直列接続する。そして、差動増幅回路の出力信号に応じて動作する第1スイッチを第4のトランジスタのゲート・ソース間に接続し、第2の形態のヒステリシス回路を構成する。
第1の形態のヒステリシス回路は、第1と第2のスイッチの開閉によって第1と第4のトランジスタのゲート・ソース間電圧を変化させ、これにより定電圧発生回路の出力電圧を変化させる。一方、第2の形態のヒステリシス回路は、第1のスイッチの開閉によって第1のトランジスタのゲート・ソース間電圧を変化させ、これにより定電圧発生回路の出力電圧を変化させる。
【0011】
【実施例】
集積回路化が容易となるように改良された、本発明によるヒステリシスコンパレータの第1の実施例の回路を図1に示した。
図1のヒステリシスコンパレータは、差動増幅回路EA1と定電圧発生回路VG1とヒステリシス回路HC1とから構成され、その各部回路は、各回路間とその内部がそれぞれ次のように接続構成されている。
【0012】
先ず差動増幅回路EA1は、差動動作をするトランジスタM01とトランジスタM02のソースを共通接続し、その共通接続されたソースは電流源I01を介してグランドに接続する。トランジスタM02のドレインは、ダイオード接続されたトランジスタM04を介して電源供給ラインVCCに接続し、トランジスタM01のドレインは、トランジスタM04と共にカレントミラー回路を構成するトランジスタM03介して電源供給ラインVCCに接続する。そして電源供給ラインVCCとグランドとの間には電流源I02とトランジスタM05を直列接続し、トランジスタM05のゲートはトランジスタM01のドレインに接続した構成となっている。
【0013】
ここで、トランジスタM01のゲートは差動増幅回路EA1の一方の入力端子としてヒステリシスコンパレータの入力端子1に接続され、トランジスタM05のドレインは差動増幅回路EA1の出力端子としてヒステリシスコンパレータの出力端子2に接続される。そして、トランジスタM02のゲートは差動増幅回路EA1の他方の入力端子として定電圧発生回路VG1に接続されている。
【0014】
次に定電圧発生回路VG1は、デプレッション型のトランジスタM11とエンハンスメント型のトランジスタM12の主電流路を直列に接続し、トランジスタM11のドレインを電源供給ラインVCCに接続する。ダイオード接続したトランジスタM13のゲートをトランジスタM11とトランジスタM12の共通接続されたゲートに接続し、トランジスタM13のドレインを電流源I11を介して電源供給ラインVCCに接続した構成となっている。
ここで、トランジスタM11とトランジスタM12の主電流路の共通接続点は定電圧発生回路VG1の出力端子として差動増幅回路EA1内のトランジスタM02のゲートに接続されている。そしてトランジスタM12およびトランジスタM13の各ソースはそれぞれヒステリシス回路HC1の所定位置に接続されている。
【0015】
最後にヒステリシス回路HC1は、トランジスタM14とトランジスタM15の各ゲートと各ソースをそれぞれ共通接続し、トランジスタM14をダイオード接続にする。トランジスタM14の主電流路に並列にトランジスタMS1を接続し、トランジスタM15の主電流路に並列にトランジスタMS2を接続した構成となっている。
ここで、トランジスタM14のドレインは定電圧発生回路VG1内のトランジスタM13のソースに接続され、トランジスタM15のドレインは定電圧発生回路VG1内のトランジスタM12のソースに接続され、トランジスタMS1とトランジスタMS2のそれぞれのゲートは共通接続された上で出力端子2に接続されている。
【0016】
以上のような構成を持つ図1のヒステリシスコンパレータでは、先ずトランジスタM13とトランジスタM14の主電流路に電流源I11からの電流が流れることにより、定電圧発生回路VG1とヒステリシス回路HCが動作を開始する。なお、この時のトランジスタMS1とMS2は初期状態としてオフ状態とする。
ここで、トランジスタM14とトランジスタM15はカレントミラー回路を構成しているため、トランジスタM15のドレイン電流はトランジスタM14のドレイン電流(=電流源I11の供給電流)と、トランジスタM14とM15の各{W/L}(=チャネル幅/チャネル長)の比によって決定される。
【0017】
このように、各トランジスタM11〜M15に、電流源I11から供給される電流と、当該電流とトランジスタM14、M15の各{W/L}によって決まる電流とが流れることにより、トランジスタM11とM12の主電流路の共通接続点には、定電圧発生回路VG1の出力電圧Voutとして次式のような電圧が現れる。
Vout=VGS14+VGS13−VGS11(=VTH1) (式1)
ただし、VGS14はトランジスタM14のゲート・ソース間電圧、VGS13はトランジスタM13のゲート・ソース間電圧、VGS11はトランジスタM11のゲート・ソース間電圧である。そして、この式1の定電圧発生回路VG1の出力電圧Voutは、第1のしきい値電圧VTH1として差動増幅回路EA1の他方の入力端子に供給されることになる。
【0018】
入力端子1に供給される入力信号の電圧が上の第1のしきい値VTH1よりも低い場合、差動増幅回路EA1から出力端子2に供給される出力信号はローレベルとなる。ところが入力信号の電圧が上昇し、第1のしきい値VTH1よりも高くなると、差動増幅回路EA1から出力端子2に供給される出力信号はハイレベルとなる。するとトランジスタMS1、MS2がオン状態に転換し、トランジスタM12とM13のソース端子は直接、グランドに接続される。その結果、定電圧発生回路VG1の出力電圧Voutは、次の式2のようにトランジスタM14のゲート・ソース間電圧の分だけ減少する。
Vout=VGS13−VGS11(=VTH2) (式2)
そして、この定電圧発生回路VG1の出力電圧Voutは、入力信号の電圧が第1のしきい値VTH1よりも高くなった直後から、第2のしきい値電圧VTH2として差動増幅回路EA1の他方の入力端子に供給されることになる。
【0019】
ただし、厳密には式1と式2の中のトランジスタM11のゲート・ソース間電圧VGS11が同一であるとは限らない。それは、トランジスタ素子のゲート・ソース間電圧はドレイン電流に依存し、トランジスタM15が短絡されることでトランジスタM11のドレイン電流が変化する場合が有るためである。ここでは説明の簡略化と理解の容易化のため、式1と式2のトランジスタM11のゲート・ソース間電圧VGS11は同一とし、図1中の各トランジスタM12〜M15は、そうなるように形成されているものとする。
【0020】
各式1、2から明らかなように、第2のしきい値電圧VTH2は第1のしきい値電圧VTH1よりも低い。このため、入力信号の電圧が第1のしきい値電圧VTH1より低くなっても、第2のしきい値電圧VTH2よりも高ければ、差動増幅回路EA1の出力信号はハイレベルを維持する。そして、入力信号の電圧が第2のしきい値電圧VTH2よりも低くなってようやく、差動増幅回路EA1の出力信号はローレベルとなる。差動増幅回路EA1の出力信号がローレベルとなるとトランジスタMS1とMS2はオフ状態に転換し、定電圧発生回路VG1の出力電圧Voutは式1で表わされる電圧値(第1のしきい値電圧VTH1)に復帰する。
図1のヒステリシスコンパレータでは、このような動作によって、出力信号に図2に示すようなヒステリシス特性が発現することになる。
【0021】
この図1のヒステリシスコンパレータは、従来のヒステリシスコンパレータよりも回路構成要素の数がはるかに多い。しかし、抵抗素子を使用していないので半導体基板上でのヒステリシスコンパレータの占有面積が増加することはほとんど無い。また、定電圧発生回路VG1の出力電圧は、電流源I11の出力電流の値と、トランジスタM11〜M15の比較的制御が容易な物理的パラメータ、例えば{W/L}など、によって設定されるため、特性の均一化が容易である。
【0022】
なお、先の説明では、便宜上、トランジスタM11のゲート・ソース間電圧VGS11を同一としたが、トランジスタMS1、MS2のオン・オフ状態に伴ってトランジスタM11のドレイン電流が変化するように各トランジスタM12〜M15を形成すれば、トランジスタM11のゲート・ソース間電圧VGS11はドレイン電流に応じて変化する。これを利用すれば出力信号に現れるヒステリシス特性をトランジスタM14のゲート・ソース間電圧だけでなく、トランジスタM15のドレイン電流によっても調整することが出来る。このため設計の自由度が上がるという付帯効果も得られる。
【0023】
また、図1のヒステリシスコンパレータは、トランジスタMS1、MS2がオン状態の時には、定電圧発生回路VG1とヒステリシス回路HC1の部分が特開平9−237126号公報に示された定電圧発生回路と同じ回路構成となる。このため、トランジスタM11とM12の主電流路の共通接続点には安定度の高い電圧が得られ、各トランジスタM11〜M15の形成条件を適切に設定することで温度変化の影響をほとんど受けない電圧とすることができる。これにより、出力信号のヒステリシス特性を周囲温度の変化に対して変動し難くいものとすることができる。なお、定電圧発生回路VG1の安定度の高い電圧を発生する機構については先の文献に譲る。
【0024】
図3には本発明によるヒステリシスコンパレータの第2の実施例の回路を示した。
図3において、先ず差動増幅回路EA2は、差動動作をするトランジスタM01とトランジスタM02のソースを共通接続し、その共通接続されたソースは電流源I01を介してグランドに接続する。トランジスタM01のドレインは、ダイオード接続されたトランジスタM06を介して電源供給ラインVCCに接続し、トランジスタM02のドレインは、トランジスタM06と共にカレントミラー回路を構成するトランジスタM07介して電源供給ラインVCCに接続する。
【0025】
そして電源供給ラインVCCとグランドとの間にはトランジスタM08と電流源I03を直列接続し、トランジスタM08のゲートはトランジスタM02のドレインに接続した構成となっている。
ここで、トランジスタM01のゲートは差動増幅回路EA2の一方の入力端子としてヒステリシスコンパレータの入力端子1に接続され、トランジスタM08のドレインは差動増幅回路EA2の出力端子としてヒステリシスコンパレータの出力端子2に接続される。そして、トランジスタM02のゲートは差動増幅回路EA2の他方の入力端子として定電圧発生回路VG2に接続されている。
【0026】
次に定電圧発生回路VG2は、デプレッション型のトランジスタM21とエンハンスメント型のトランジスタM22の主電流路を直列に接続し、トランジスタM21のドレインを電源供給ラインVCCに接続する。ダイオード接続したトランジスタM23のゲートをトランジスタM21とトランジスタM22の共通接続されたゲートに接続し、トランジスタM23のドレインを電流源I21を介して電源供給ラインVCCに接続する。そして、トランジスタM22とトランジスタM23のそれぞれのソースをグランドに接続した構成となっている。
ここで、トランジスタM11とトランジスタM12の主電流路の共通接続点は定電圧発生回路VG1の出力端子として差動増幅回路EA1内のトランジスタM02のゲートに接続されている。
【0027】
最後にヒステリシス回路HC2は、トランジスタM24とトランジスタM25の各ゲートと各ソースをそれぞれ共通接続し、トランジスタM24をダイオード接続にする。トランジスタM24のドレインは電流源I22を介して電源供給ラインVCCに接続し、トランジスタM24とトランジスタM25の共通接続されたソースをグランドに接続する。そしてトランジスタM24のゲート・ソース間にトランジスタMS3を接続した構成となっている。
ここで、トランジスタM25のドレインは定電圧発生回路VG1内のトランジスタM21、M22の主電流路の共通接続点に接続され、トランジスタMS3のゲートは出力端子2に接続されている。
【0028】
以上のような構成とした図3の回路において、差動増幅回路EA2は、その回路構成上、入力端子1に入力信号が供給されていない場合、すなわち初期状態ではトランジスタM02、トランジスタM08がオン状態となって出力端子2の位置の出力信号をハイレベルにする。出力信号がハイレベルであることにより、ヒステリシス回路HC2のトランジスタMS3はオン状態となり、トランジスタM25はオフ状態となる。この時、トランジスタM21とM22の主電流路の共通接続点には次の式3で表わされる出力電圧Voutが現れる。
Vout=VGS23−VGS21 ( I22 )(=VTH1) (式3)
【0029】
ここで、VGS23はトランジスタM23のゲート・ソース間電圧、VGS11 ( I22 )はトランジスタM21の主電流路に実質的にトランジスタM22に流入する電流I22のみが流れる時のトランジスタM21のゲート・ソース間電圧である。そして、この式3で表わされる定電圧発生回路VG2の出力電圧Voutは、第1のしきい値電圧VTH1として差動増幅回路EA2の他方の入力端子に供給されることになる。
【0030】
入力端子1に供給される入力信号の電圧が第1のしきい値VTH1よりも低い場合、差動増幅回路EA2から出力端子2に供給される出力信号はハイレベルとなる。ところが入力信号の電圧が上昇し、第1のしきい値VTH1よりも高くなると、差動増幅回路EA2から出力端子2に供給される出力信号はローレベルとなる。するとトランジスタMS3はオフ状態に転換し、トランジスタM24、M25に電流が流れるようになる。そしてトランジスタM21の主電流路にはトランジスタM22に流入する電流I22の他にトランジスタM25に流入する電流I25も流れ、トランジスタM21のゲート・ソース間電圧は電圧VGS11 ( I22 )よりも大きい電圧VGS11 ( I22+I25 )となる。
【0031】
その結果、トランジスタM21とM22の主電流路の共通接続点には次の式4で表わされる出力電圧Voutが現れる。
Vout=VGS23−VGS21 ( I22+I25 )(=VTH2) (式4)
この式4の定電圧発生回路VG2の出力電圧Voutは、入力信号の電圧が第1のしきい値VTH1よりも高くなった直後から、第2のしきい値電圧VTH2として差動増幅回路EA2の他方の入力端子に供給されることになる。
【0032】
トランジスタM21のゲート・ソース間電圧はVGS11 ( I22 )<VGS11 ( I22+I25 )であるため、第2のしきい値電圧VTH2は第1のしきい値電圧VTH1よりも低い。このため、入力信号の電圧値が第1のしきい値電圧VTH1より低くなっても、第2のしきい値電圧VTH2よりも高ければ、差動増幅回路EA2の出力信号はローレベルを維持する。そして、入力信号の電圧が第2のしきい値電圧VTH2よりも低くなってようやく、差動増幅回路EA2の出力信号はハイレベルに復帰する。差動増幅回路EA2の出力信号がハイレベルとなるとトランジスタMS3はオン状態に転換し、定電圧発生回路VG2の出力電圧Voutは式3で表わされる電圧値(第1のしきい値電圧VTH1)に復帰する。
図3のヒステリシスコンパレータでは、このような動作によって出力信号に図4に示すようなヒステリシス特性が発現することになる。
【0033】
図1のヒステリシスコンパレータは、定電圧発生回路VG1の出力電圧(=しきい値電圧)を、トランジスタM14のゲート・ソース間電圧の有無とトランジスタM11のゲート・ソース間電圧の電流依存性を利用して変化させるものであった。これに対して図3のヒステリシスコンパレータは、定電圧発生回路VG2の出力電圧(=しきい値電圧)を、トランジスタM21のゲート・ソース間電圧の電流依存性のみを利用して変化させるものである。原理と構成に若干の違いがあるが、図3の回路は図1と同様に、半導体基板上でのヒステリシスコンパレータの占有面積が増加することは無く、特性の均一化が容易である。また、安定度の高い電圧が得られ、周囲温度の変化に対して特性変動を起こし難くすることができる。
【0034】
なお、図3のヒステリシスコンパレータは、図1のヒステリシスコンパレータに比べて、第1と第2のしきい値電圧の電圧幅を広くすることは困難である。しかし図3のヒステリシスコンパレータは、図1のヒステリシスコンパレータに比べて、ダイオード接続されるトランジスタの直列段数が少ないため、近年における集積回路の駆動電圧の低電圧化に対応することが容易であるという特徴を有している。
【0035】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によるヒステリシスコンパレータは、デプレッション型の第1のトランジスタとエンハンスメント型の第2のトランジスタの直列回路を有し、第1と第2のトランジスタの主電流路の共通接続点から安定度の高い出力電圧が得られる定電圧発生回路を構成する。一方の入力端子に外部からの入力信号が供給される差動増幅回路の他方の入力端子に対し、この定電圧発生回路の出力電圧をしきい値電圧として供給する。そして、定電圧発生回路の出力電圧を段階的に変化させ、差動増幅回路の出力信号にヒステリシス特性を持たせるためのヒステリシス回路を設けた構成を特徴としている。
【0036】
このような本発明によれば、抵抗素子を使用しないトランジスタ回路でヒステリシスコンパレータが構成される。回路構成要素の数は増加するが、半導体基板上でのヒステリシスコンパレータの占有面積が増加することが無く、しかも特性の均一化が容易である。また、周囲温度の変化に対して特性変動を起こし難くすることができる。これにより、集積回路化の容易なヒステリシスコンパレータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるヒステリシスコンパレータの第1の実施例の回路図。
【図2】 図1の回路の出力信号に現れるヒステリシス特性を表わす図。
【図3】 本発明によるヒステリシスコンパレータの第2の実施例の回路図。
【図4】 図3の回路の出力信号に現れるヒステリシス特性を表わす図。
【図5】 従来の代表的なヒステリシスコンパレータの構成を示す図。
【符号の説明】
1:入力端子 2:出力端子 EA1:差動増幅回路
VG1:定電圧発生回路
I11:電流源
M11、M21:トランジスタ(第1のトランジスタ:デプレッション型)
M12、M22:トランジスタ(第2のトランジスタ:エンハンスメント型)
M13、M23:トランジスタ(第3のトランジスタ)
HC1:ヒステリシス回路
M14、M24:トランジスタ(第4のトランジスタ)
M15、M25:トランジスタ(第5のトランジスタ)
MS1:トランジスタ(第1のスイッチ)
MS2:トランジスタ(第2のスイッチ)
MS3:トランジスタ(第3のスイッチ)
I22:電流源(第2の電流源)
Claims (4)
- 外部からの入力信号に対してヒステリシス特性を示す出力信号を発生させるためのヒステリシスコンパレータであって、
一方の入力端子に該入力信号が供給される差動増幅回路と、
デプレッション型の前記第1のトランジスタと、エンハンスメント型の前記第2のトランジスタと、ダイオード接続された第3のトランジスタとを具備し、該第1と第2のトランジスタの主電流路直列され、該第1と第2と第3のトランジスタのゲートが共通接続され、安定した出力電圧を発生させる定電圧発生回路と、
所定の電流源から電流供給を受ける第4のトランジスタと、該第4のトランジスタとカレントミラー回路を構成し、該第1のトランジスタを流れる電流の少なくとも一部が通過する該第5のトランジスタとを具備し、該第5のトランジスタの主電流路の状態を該出力信号に応じて制御することで電流依存性を持つ該第1のトランジスタのゲート・ソース間電圧を変化させ、該出力信号に応じて該定電圧発生回路の出力電圧を段階的に変化させるヒステリシス回路とを具備し、
該ヒステリシス回路によって変化した該定電圧発生回路の出力電圧を第1のしきい値電圧あるいは第2のしきい値電圧として該差動回路の他方の入力端子に供給することを特徴とするヒステリシスコンパレータ。 - 前記定電圧発生回路が、前記第3のトランジスタに直列に設けられた第1の電流源を具備し、該第3のトランジスタと該第1の電流源の接続点が前記第1と第2のトランジスタのゲートの共通接続点と接続された構成を持つことを特徴とする、請求項1に記載したヒステリシスコンパレータ。
- 前記ヒステリシス回路が、ダイオード接続された第4のトランジスタと、該第4のトランジスタとゲート同士が共通接続された第5のトランジスタと、前記出力信号に応じて第4のトランジスタのドレイン・ソース間を短絡すると同時に該第4のトランジスタをオフ状態にする第1のスイッチと、該第1のスイッチに連動して該第5のトランジスタのドレイン・ソース間を短絡する第2のスイッチとを具備し、
該第4のトランジスタは前記第3のトランジスタに直列に接続され、該第5のトランジスタは前記第2のトランジスタに直列に接続された構成を持つことを特徴とする、請求項2に記載したヒステリシスコンパレータ。 - 前記ヒステリシス回路が、ダイオード接続された第4のトランジスタと、該第4のトランジスタとゲート同士が共通接続される第5のトランジスタと、前記出力信号に応じて第4のトランジスタをオフ状態にする第3のスイッチと、該第4のトランジスタに直列接続された第2の電流源とを具備し、
該第5のトランジスタは前記第2のトランジスタに並列に接続された構成を持つことを特徴とする、請求項2に記載したヒステリシスコンパレータ。
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