JP3757019B2 - 田植機の車体カバー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行車の後部に植付け部を配置し、植付け部の苗載台に苗マットを補充したり、施肥部に肥料を補充し易くする車体カバーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、走行車の外装部品である車体カバーは合成樹脂による一体成形され、前後中央位置より後方を上方に膨出し、ミッションケース等を被装し、該車体カバー上に運転席が載置され、該運転席より前方にフロアが成形され、運転席より後方にフロアより一段高くする作業用ステップが成形されている。該作業用ステップを踏み台にして、走行車後部に配置する施肥部に肥料を補充したり、苗載台に苗マットを供給する苗継ぎ作業を行っていた。また、前記作業用ステップは、踏み台にする作業は高所作業となっており、ゴム製のプレートが貼設され、滑り止めが施されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の車体カバー後部の作業用ステップにゴム製のプレートを貼設し、滑り止めを行う構成においては、作業者の靴底に土や泥等が付着している場合には、滑り止めの効果が少ないものとなっていた。
また、ゴム製のプレートを貼設する構成は、作業用ステップ形状に合わせてゴム体を成形し、更に、貼設する作業が必要となっており、工場における組み立て作業を煩雑にし、
コストが高くなるものとなっていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。
走行車1の後部に施肥部36を載置し、更に走行車1の後部に昇降リンク機構27を介して植付け部15を牽引する田植機において、該走行車1に、施肥部に肥料を補充し易くし、植付け部の苗載台に苗マットを補充し易くする車体カバー2を被覆し、該車体カバー2の後部に作業用ステップ2cを形設し、該作業用ステップ2cを合成樹脂の中空一体成形により構成し、中空一体成形した作業用ステップ2cの上面には複数個の凸部2mを成形し、中空一体成形した作業用ステップ2cの下面をも上方に膨出して補強部2pを成形し、該補強部2pを円錐状に成形し、該補強部2pの円錐頂部を凸部2mの裏面の窪み部2nの中心部下面に固設したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
図1は苗載台の折畳み機構を備えた田植機の全体側面図、図2は同じく平面図、図3は本発明の凸部を突出する作業用ステップを有する車体カバーの平面図、図4R>4は同じく車体カバーの正面図、図5は凸部を有する作業用ステップを示す断面図、図6は、銘板を張り付ける貼設面を有する車体カバーの側面断面図、図7は予備苗載台を示す平面図、図8は予備苗載台を示す側面図、図9R>9は苗取板の平面図、図10は苗取板の側面図、図11は予備苗載台より苗取板を用いて苗マットを取り出す状態を示す側面図である。
【0006】
まず、乗用田植機について図1、図2より全体構成から説明する。
作業者等が搭乗する走行車1の車体フレーム3前部上方にエンジンEを搭載し、ミッションケース4の前方にフロントアクスルケース5を介して前輪6を支持させると共に、前記ミッションケース4の後部にリヤアクスルケース7を連設し、該リヤアクスルケース7に後輪8を支持させる。そして、前記エンジンEを覆うボンネット9の両側に前部フロア12が形成され、該前部フロア12・12側上方に予備苗載台10・10を配設し、ステップ11を介して作業者等が搭乗する車体カバー2によって前記ミッションケース4等を覆い、前記車体カバー2上部に運転席13を取り付け、該運転席13の前方の前記ボンネット9後部に操向ハンドル14を配設している。
【0007】
また、植付け部15は八条植え用の苗載台16や複数の植付け爪17等から構成されており、前高後低に配設した苗載台16を下部レール及びガイドレール19を介して植付けケース20に左右往復摺動自在に支持させると共に、一方向に等速回転するロータリーケース21を前記植付けケース20に回転自在にさせ、該ロータリーケース21の回転軸芯を中心にして対称位置に一対の爪ケース22・22を配設し、該爪ケース22・22の先端に植付け爪17・17を固設する。
【0008】
また、前記植付けケース20の前部にローリング支点軸23を介して支持フレーム24を設け、トップリンク25及びロワーリンク26を含む昇降リンク機構27を介して走行車1後部に前記支持フレーム24を連結し、前記昇降リンク機構27を介して植付け部15を昇降させる昇降シリンダ28をロワーリンク26に連結している。そして、前記前輪6・6及び後輪8・8を走行駆動して移動すると同時に、左右に往復摺動可能な苗載台16から一株分の苗を植付け爪17によって取り出し、連続的に苗植え作業を行うように構成している。
【0009】
また、前記運転席13等が設置された運転部には走行変速レバー29、植付け昇降兼作業走行変速用副変速レバー30、植付け感度調節レバー31、主クラッチペダル32、左右ブレーキペダル33・33、サイドクラッチペダル39・39が配設され、前記植付け部15下部には均平用センタフロート34、均平用サイドフロート35が配設され、前記運転席13後方には八条用の施肥部36が配設されている。
【0010】
前記多条苗載台16は、図1、図2に示すように、左右最外端の各二条分の苗載台を分割して分割苗載台16a・16aとし、機体中央の四条を固定側苗載台16bとし、該固定側苗載台16bの左右端部の条に並行折畳み機構37を設け、前記分割苗載台16a・16aと固定側苗載台16bとを並行折畳み機構37を介して連結し、固定側苗載台16bの上方に略平行に分割苗載台16a・16aを折畳み可能に構成している。
【0011】
次に、前記予備苗載台10の形状について図1、図7、図8を用いて説明する。
該予備苗載台10は、車体フレーム3前部より上方に突出する支持フレーム50・50の途中位置に複数個(本実施例においては3つ)の予備苗載台10・10・10が支持されている。該予備苗載台10は、合成樹脂を中空ブロー成形した前後方向に長い板状体であり、予備苗載台10前後端部の左右方向中央位置に平面視台形状の取出口10a・10aが形成されている。前記予備苗載台10の載置面には前後方向に長いリブ10b・10b・・・が左右方向に一定間隔を開けて形成され、予備苗載台10の剛性が高められている。
【0012】
また、前記予備苗載台10載置面の左右両側には側部ガイド壁10c・10cが形成されている。該側部ガイド壁10cは、平面視略「コ」字状に形成され、予備苗載台10の前後端部に形成した取出口10aを除いた載置面の外周に沿って壁が形成されている。該側部ガイド壁10cは、前後方向の前後途中位置より前側(図8に紙面上の右側)の壁の高さが一段高く形成され、側部ガイド壁10cの壁高さが段差状に形成され、側部ガイド壁10cの前部に前部ガイド壁10dが形成されている。よって、この段差状に形成した側部ガイド壁10cに囲まれた予備苗載台10の載置面に、図11に示すように、苗マット51が収納されている苗箱52を載置し、乗用田植機の前進により圃場内に移動したり、後進により圃場外に移動させる際に、機体の前傾にともなわれて、予備苗載台10が前傾しても苗箱52が高さの高い前部ガイド壁10dによってガイドされており、苗箱52を前方に滑り落とすことがない。
【0013】
また、前記予備苗載台10に載置する苗箱52には、苗マット51と苗箱52との間に予め苗取板53が嵌挿されており、該苗取板53を取り出すことによって、苗マット51を崩すことなく持ち上げて、機体後部の苗載台16に苗継ぎをするようにしている。前記苗取板53は、図9、図10に示すように、前後方向に長い板状体であり、前後方向に複数個のリブ53d・53d・・・が形成され、前後方向の剛性が高められている。また、
前記苗取板53の前端部が上方向きに立設されて、途中部が前方に屈曲されて把手部53aが形成されている。該把手部53aの左右方向の中央位置に前持ち孔53bが開口されている。更に、前記苗取板53の前後の後端部の左右方向に中央位置に後持ち孔53cが開口されている。よって、苗載台16に苗継ぎを行う際には、図11に示すように、予備苗載台10に載置する苗箱52に、苗取板53が把手部53aを前方に向けて嵌挿されており、該苗取板53の後端部を持ち上げて、苗取板53の後持ち孔53cに作業者の指を引っかけて、苗取板53を引き出すと、把手部53aの内側面に苗マット51が当接され、苗マット51を載置した苗取板53が取り出され、効率良く苗継ぎ作業を行うことができる。
【0014】
次に、前記車体カバー2の形状に付いて図1R>1〜図4を用いて説明する。
前記車体カバー2は、合成樹脂による中空一体成形されており、前記操向ハンドル14を支持するボンネット9後部より、車体フレーム3の後端部まで延出されている。該車体カバー2は、前部は平状にフロア2aが形成され、車体カバー2後部は上方に一段高く膨出され、内部にミッションケースや昇降シリンダ28等を被装する運転席載置部2bと作業用ステップ2cとが成形されている。前記運転席載置部2bは左右中央部に成形され、該運転席載置部2bの左右側方から後方にかけて作業用ステップ2cが成形されている。
前記フロア2aの上面にはゴム製のプレート56が貼設されている。
【0015】
また、前記フロア2a後端部から運転席載置部2b前部若しくは作業用ステップ2c前部にかけて傾斜状に前部壁2dが成形されている。該前部壁2dの左右方向の内側位置にサイドクラッチペダル39・39を突出するサイドクラッチ用孔部2e・2eが左右に開口されている。前記サイドクラッチ用孔部2e・2eの開口位置下方のフロア後端部に、サイドクラッチペダル当接部2f・2fが形成されている。更に、前部壁2dの右側には、図6に示すように、中空ブロー成形された前面が、高さtにおいて一段凹状に落としこまれ、銘板55を貼設する貼設面2gが成形されている。従って、該貼設面2gに銘板55が貼設された場合に、機体を高速洗車機等に高圧水による洗車にて、銘板55の縁に直接に高圧水がかかることがなく、銘板55が剥がれることがない。更に、工場において張り付け作業をする際の、位置決めが行い易く、作業性を向上している。
【0016】
また、前記車体カバー2の上方に膨出した運転席載置部2bの左側には走行変速レバー29のガイド溝2hが穿孔され、運転席載置部2bの右側に昇降兼作業走行変速用副変速レバー30のガイド溝2iが穿孔され、該ガイド溝2iの後側方に植付け感度調節レバー31用の孔部2jが開口されている。また、前記ガイド溝2i後方の作業用ステップ2c上には、図示せぬ植付け株数変更レバーをガイドするガイド溝2kが穿孔されている。
【0017】
また、後部に成形した作業用ステップ2cの左右両側部が上方に膨出されたスベリガイド部2L・2Lが成形されており、苗載台16への苗マット51を継ぎ足す際に、作業用ステップ2cを踏み台として使用した場合に、作業者の足元が作業用ステップ2cより外側に滑ることが防がれている。
【0018】
次に、本発明の作業用ステップ2cの滑り止め構成について説明する。
図3〜5に示すように、前記作業用ステップ2cが中空ブロー成形された上面を上方に凸部2m・2m・・・が突出され、左右及び前後方向に一定の間隔を設けて千鳥状に配置されている。該凸部2mは上端部は平面視で円状に形成され、上面が下方に凹まれた窪み部2nが成形されている。尚、前記凸部2mの形状は円状に限定するもでなく、多角形状に形成することもできる。
【0019】
また、中空一体成形した前記作業用ステップ2cの下面は、一部が上方に膨出され複数個の補強部2p・2p・・・が成形され、補強部2p・2p・・・上端部が中空一体成形の上面に固設され、作業用ステップ2cの断面係数が高められ、剛性のある踏み台が構成されている。前記補強部2pは、円錐状に成形され、円錐頂部が凸部2mの窪み部2nの中心部下面に固設され、重心が直接かかる凸部2mが補強された安定した構成とされている。
【0020】
従って、苗継ぎ作業等において作業用ステップ2cを作業者の足場とした用いられた際に、作業者の靴底に泥等が付着している場合に、作業用ステップ2cの凸部2m・2m・・・の間に泥等が入り込み、更に凸部2m上端部に窪み部2nが形成されたことで、凸部2m上面によって確実に靴底を引っ掛けられて、滑り止めが行われる。
【0021】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
走行車1の後部に施肥部36を載置し、更に走行車1の後部に昇降リンク機構27を介して植付け部15を牽引する田植機において、該走行車1に、施肥部に肥料を補充し易くし、植付け部の苗載台に苗マットを補充し易くする車体カバー2を被覆し、該車体カバー2の後部に作業用ステップ2cを形設し、該作業用ステップ2cを合成樹脂の中空一体成形により構成し、中空一体成形した作業用ステップ2cの上面には複数個の凸部2mを成形し、中空一体成形した作業用ステップ2cの下面をも上方に膨出して補強部2pを成形し、該補強部2pを円錐状に成形し、該補強部2pの円錐頂部を凸部2mの裏面の窪み部2nの中心部下面に固設したので、別途、滑り止め用のプレート等を貼設する必要がなくなり、部品点数を減らした構成とし、さらに、工場による組み立て作業の負担を軽減んすることができ、コストの易い滑り止めを構成することができる。
また、滑り止めを行う凸部を作業用ステップ上に複数個の成形したことによって、苗載台への苗継ぎ作業や、施肥機への肥料の補充作業等を作業用ステップを足場して安定して作業することができる。
【0022】
また、中空ブロー成形した車体カバーを利用して、補強部を容易に成形することができ、安価な構成において、作業用ステップの強度が増し、作業用ステップを踏み台として作業している際に安定感を生じており、作業性を向上させた構成にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 苗載台の折畳み機構を備えた田植機の全体側面図である。
【図2】 同じく平面図である。
【図3】 本発明の凸部を突出する作業用ステップを有する車体カバーの平面図である。
【図4】 同じく車体カバーの正面図である。
【図5】 凸部を有する作業用ステップを示す断面図である。
【図6】 銘板を張り付ける貼設面を有する車体カバーの側面断面図である。
【図7】 予備苗載台を示す平面図である。
【図8】 予備苗載台を示す側面図である。
【図9】 苗取板の平面図である。
【図10】 苗取板の側面図である。
【図11】 予備苗載台より苗取板を用いて苗マットを取り出す状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 走行車
2 車体カバー
2c 作業用ステップ
2m 凸部
2p 補強部
15 植付け部
16 苗載台
36 施肥部

Claims (1)

  1. 走行車1の後部に施肥部36を載置し、更に走行車1の後部に昇降リンク機構27を介して植付け部15を牽引する田植機において、
    該走行車1に、施肥部に肥料を補充し易くし、植付け部の苗載台に苗マットを補充し易くする車体カバー2を被覆し、該車体カバー2の後部に作業用ステップ2cを形設し、
    該作業用ステップ2cを合成樹脂の中空一体成形により構成し、中空一体成形した作業用ステップ2cの上面には複数個の凸部2mを成形し、
    中空一体成形した作業用ステップ2cの下面をも上方に膨出して補強部2pを成形し、
    該補強部2pを円錐状に成形し、該補強部2pの円錐頂部を凸部2mの裏面の窪み部2nの中心部下面に固設したことを特徴とする田植機の車体カバー。
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