JP3756666B2 - 多孔質膜の形成方法及びその形成装置 - Google Patents

多孔質膜の形成方法及びその形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体集積回路素子における層間絶縁膜として用いられる多孔質膜の形成方法及びその形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路の高集積化の進展に伴い、金属配線同士の間の寄生容量である配線間容量の増加に起因する配線遅延時間の増大が半導体集積回路の高性能化の妨げとなっている。配線遅延時間は金属配線の抵抗と配線間容量との積に比例するいわゆるRC遅延と言われるものである。
【0003】
従って、配線遅延時間を低減するためには、金属配線の抵抗を小さくするか又は配線間容量を小さくすることが必要である。
【0004】
配線間容量を小さくする方法としては、配線同士の間に形成される層間絶縁膜の比誘電率を小さくすることが考えられ、層間絶縁膜として従来のシリコン酸化膜とは異なる材料を用いることが検討されている。
【0005】
0.25μmの最小加工寸法を有する半導体集積回路では、層間絶縁膜としてシリコン酸化膜にフッ素を添加した材料が用いられつつある。フッ素添加シリコン酸化膜の比誘電率は、3.3〜3.9程度であって、従来のシリコン酸化膜の4.2〜4.5に比べて小さいので、配線間容量の低減ひいては遅延時間の低減に効果的であることが報告されている。
【0006】
ところが、半導体集積回路の微細化がさらに進展することは明らかであり、最小加工寸法が0.1μm以下の半導体集積回路では、比誘電率が2.0以下である層間絶縁膜を用いることが、実用的な処理速度を実現するためには必須であると考えられている。
【0007】
そこで、比誘電率が一層小さい低誘電率層間絶縁膜として、有機膜及び多孔質膜の検討が盛んに行われている。
【0008】
現在知られている層間絶縁膜を材料物性の観点から検討すると、有機膜は比誘電率が小さく、その中でもパーフルオロカーボンポリマーは比誘電率が最も小さい材料である。パーフルオロカーボンポリマーの比誘電率は最小のもので1.9程度である。
【0009】
多孔質膜は、膜内部に非常に微細な空孔(ナノメーター程度以下の径を有する空孔)を多数有している。空孔は、理想的には真空の比誘電率に近い1という極めて小さい比誘電率を有するものと期待される。従って、多孔質膜中に含まれる空孔の含有率が高ければ高いほど多孔質膜の比誘電率は低下することになる。
【0010】
第1の多孔質膜の形成方法としては、有機高分子を多成分系の溶媒中に溶解させて相分離させた状態で基板上に塗布し、その後、塗布膜を乾燥させて多孔質膜を形成する方法が提案されている。
【0011】
また、第2の多孔質膜の形成方法としては、シラノール縮合体微粒子の溶液を基板上に塗布した後、塗布膜中のシラノール縮合体微粒子を溶媒の蒸発を抑えつつ縮合させることによって、SiO2 を骨格とする多孔質酸化膜を形成する方法が提案されている。
【0012】
さらに、第3の多孔質膜の形成方法としては、シラノール縮合体微粒子の溶液中に、熱や光により分解して気体を生成する化合物を混合し、混合溶液を基板上に塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜に対して熱や光を加えて発泡させて多孔質膜を形成する方法も提案されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したパーフルオロカーボンポリマーは、炭素−炭素の骨格を有しており、骨格形成に関与する結合以外はすべてフッ素で終端されているため、基板との密着性が悪い。これは、パーフルオロカーボンポリマーは、炭素−フッ素結合の分極が小さく、化学反応性も低いため、基板の表面に形成されている金属膜や酸化膜との相互作用が小さいので、基板との接着が起こりにくいためである。
【0014】
また、パーフルオロカーボンポリマーのうち比誘電率の低いものでは、ガラス転移温度が100℃以下であるため、熱処理工程が不可欠である半導体プロセスには使用することが困難である。
【0015】
以上説明したように、パーフルオロカーボンポリマーからなる有機絶縁膜は、比誘電率は小さいが、基板との密着性が良くないと共に半導体プロセスにおける熱処理に弱いという問題がある。
【0016】
また、前記第1の多孔質膜の形成方法では、有機高分子の相分離によってミクロンオーダーの相が形成されてしまうため、空孔のサイズが半導体集積回路の配線間スペースよりも大きくなってしまうので、金属配線層の形成に悪影響を及ぼすという問題がある。
【0017】
また、前記第1の多孔質膜の形成方法により得られる多孔質膜においては、有機高分子が膜構造の骨格になっているため、多孔質膜の機械的強度が低いという問題もある。
【0018】
また、前記第1〜第3の多孔質膜の形成方法は、多孔質膜を形成するための前駆体溶液を基板上に塗布することにより形成する方法であり、このような塗布法を用いる場合、前駆体溶液を予め調整する必要があるという問題、並びに、前駆体溶液自体が化学変化を起こしやすいため、経時劣化を起こしてしまうので、前駆体溶液を低温下で保存する必要及び保存期間の管理の必要がある等の点で生産性が良くないという問題がある。
【0019】
また、塗布法においては、前駆体溶液を基板上に滴下した後、基板を回転運動させて前駆体溶液の溶媒を蒸発させることにより、多孔質膜の形成を行なうが、回転運動に伴って多くの前駆体溶液が廃液になってしまうため、膜形成に有効に利用される前駆体溶液量は滴化した前駆体溶液量に比べて減少してしまうので、コスト及び自然環境に対する負担の点で問題が大きい。
【0020】
前記に鑑み、本発明は、前駆体溶液を用いることなく比誘電率の低い層間絶縁膜を形成できるようにして、前駆体溶液の調整を不要にすると共に膜形成用材料の有効利用を図ることを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明に係る多孔質膜の形成方法は、大気圧以下の圧力に保たれていると共に基板を保持している処理室内に気体状のシラン誘導体、気体状の酸化剤及び気体状の揮発性有機物をそれぞれ互いに独立して導入すると共に、処理室内をシラン誘導体と酸化剤とからなるシラノールが形成される一方揮発性有機物の揮発が抑制される温度下に保つことにより、気相中においてシラン誘導体と酸化剤とからなるシラノールを形成した後、形成されたシラノールを縮合させながら該シラノールに揮発性有機物を分子状に含有させて揮発性有機物含有低分子重合体を形成し、その後、揮発性有機物含有低分子重合体を基板上に堆積させて揮発性有機物含有シラノール縮合体膜を形成するシラノール縮合体膜形成工程と、基板を加熱処理することにより、揮発性有機物含有シラノール縮合体膜から揮発性有機物を揮発させて該揮発性有機物が揮発した跡に空孔を形成して多孔質膜を形成する多孔質膜形成工程とを備えている。
【0022】
本発明に係る多孔質膜の形成方法によると、気相中においてシラン誘導体と酸化剤とからなるシラノールを形成し、シラノールを縮合させながら該シラノールに揮発性有機物を分子状に含有させて揮発性有機物含有低分子重合体を形成した後、基板上に揮発性有機物含有シラノール縮合体膜を堆積した後、揮発性有機物含有シラノール縮合体膜から揮発性有機物を揮発させて多孔質膜を形成するため、得られる多孔質膜には分子サイズの多数の空孔が得られる。
【0023】
本発明の多孔質膜の形成方法において、気体状のシラン誘導体は、アルキル基又はフェニル基を有する有機シランガスとシランガスとの混合気体からなることが好ましい。
【0024】
本発明の多孔質膜の形成方法において、シラン誘導体はシランであり、シラノール縮合体膜形成工程は、シラン誘導体及び酸化剤をシラノール中にSi−Hが存在するような混合割合で処理室に導入する工程を含むことが好ましい。
【0025】
本発明の多孔質膜の形成方法において、シラノール縮合体膜形成工程は、揮発性有機物含有シラノール縮合体膜に対してアミンによる処理を行なう工程を含むことが好ましい。
【0026】
本発明の多孔質膜の形成方法において、揮発性有機物は、アンモニア又は塩基性化合物であることが好ましい。
【0027】
本発明の多孔質膜の形成方法において、塩基性化合物はアミン誘導体であることが好ましい。
【0028】
本発明の多孔質膜の形成方法において、揮発性有機物は、シラン誘導体と酸化剤とからなるシラノールが揮発性有機物を含有しながら揮発性有機物含有低分子重合体を形成する縮合反応の速度に比べて、揮発性有機物が揮発する速度の方が遅くなるような大きい分子量を有していることが好ましい。
【0029】
本発明の多孔質膜の形成方法は、シラノール縮合体膜形成工程よりも前に、基板の表面をアンモニア誘導体からなるプラズマを用いてプラズマ処理する工程をさらに備えていることが好ましい。
【0030】
本発明の多孔質膜の形成方法において、シラノール縮合体膜形成工程は、処理室内に気体状のシラン誘導体及び気体状の酸化剤を導入して基板の表面に、気体状のシラン誘導体と気体状の酸化剤とからなるシラノール重合体層を形成した後に、処理室内に気体状の揮発性有機物を導入して揮発性有機物含有シラノールを形成する工程を含むことが好ましい。
【0031】
本発明に係る多孔質膜の形成装置は、基板を保持すると共に保持した基板の温度を制御する第1の基板保持台と、気体状のアミン誘導体を導入するアミン誘導体導入手段と、導入されたアミン誘導体からなるプラズマを生成するプラズマ生成手段とを有する第1の処理室と、基板を保持すると共に保持した基板の温度を制御する第2の基板保持台と、気体状のシラン誘導体を基板上に供給する第1のガス供給手段と、気体状の酸化剤を基板上に供給する第2のガス供給手段と、気体状の揮発性有機物を基板上に供給する第3のガス導入手段とを有する第2の処理室と、第1の基板保持台に保持されている基板を第2の基板保持台に移載する移載手段を有する移載室とを備えている。
【0032】
本発明の多孔質膜の形成装置によると、第1の処理室において、気体状のアミン誘導体を導入すると共に、導入されたアミン誘導体からなるプラズマを生成すると、第1の基板保持台に保持されている基板の表面はアミン誘導体からなるプラズマによってプラズマ処理されるため、基板の表面に金属窒化水素化物層又はシリコン窒化水素化物層が形成される。
【0033】
次に、表面に金属窒化水素化物層又はシリコン窒化水素化物層が形成された基板を第2の処理室に移送すると共に、第2の処理室に気体状のシラン誘導体、酸化剤及び揮発性有機物を互いに独立に導入すると、気相中においてシラン誘導体と酸化剤とからなるシラノールが形成され、形成されたシラノールは分子状の揮発性有機物を含有しながら縮合するため揮発性有機物含有シラノールが形成され、その後、揮発性有機物含有シラノールは揮発性有機物含有シラノール縮合体膜となって基板上に堆積される。第1の処理室において、基板の表面には金属窒化水素化物層又はシリコン窒化水素化物層が形成されているため、これらの窒化水素化物層は基板と揮発性有機含有シラノール縮合体膜との密着性を向上させる。
【0034】
次に、揮発性有機含有シラノール縮合体膜が形成された基板を再び第1の処理室に移送して、基板を加熱すると、揮発性有機物含有シラノール縮合体膜から揮発性有機物が揮発し、揮発性有機物が揮発した跡に空孔を形成するため、分子サイズの多数の空孔を有する多孔質膜を形成することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る多孔質膜の形成方法について、図1(a)〜(c)及び図2を参照しながら説明する。
【0036】
まず、処理室の圧力を例えば10Torrの真空度にした状態で、シラン誘導体としての気体状のモノシラン(SiH4 )を流量2l/minで、揮発性有機物としてのブチル酢酸(CH3CH2CH2COOH )をバブリングさせた後、ヘリウムをキャリアーとして流量2l/minで、酸化剤としての過酸化水素(H22)をバブリングさせた後、ヘリウムをキャリアーとして流量4l/minで、互いに独立して処理室内にそれぞれ導入する。また、処理室内に設置されシリコンウエハを保持している基板支持台の温度を例えば100℃に制御する。
【0037】
このようにすると、図1(a)及び(b)に示すように、モノシランと過酸化水素とが反応してシラノール(Si(OH)4 )が生成された後、図1(c)に示すように、気相中においてシラノールが縮合してシラノール縮合体が生成されると共にシラノール縮合体の内部にブチル酢酸の分子(図1(c)において点々で示す。)が取り込まれる。ブチル酢酸がシラノール縮合体中に有効に取り込まれる理由としては、[化1]に示すように、気相中においてブチル酢酸のカルボキシル基(−COOH基)とシラノールの水酸基(OH基)とが比較的強い相互作用を行なって水素結合すること、及びブチル酢酸の蒸気圧が低いために液化し易いこと等が考えられる。
【0038】
【化1】
Figure 0003756666
【0039】
基板1の温度が100℃であると、シラノールがシラノール縮合体になる脱水縮合反応はブチル酢酸の揮発に比べて早く進行するため、シラノールの脱水縮合反応はブチル酢酸をシラノール縮合体中に含有しながら起こる。
【0040】
次に、図2に示すように、ブチル酢酸を含有するシラノール縮合体は縮合反応の進行に伴って基板1の上に堆積するので、基板1の上には揮発性有機物含有シラノール縮合体膜2(多孔質膜前駆体膜)が形成される。
【0041】
次に、基板1を例えば160℃に加熱して、揮発性有機物含有シラノール縮合体膜2に含有されているブチル酢酸を揮発させることにより、揮発性有機物含有シラノール縮合体膜2におけるブチル酢酸が揮発した跡に空孔を形成して多孔質膜を形成する。
【0042】
図3(a)〜(c)は、揮発性有機物含有シラノール縮合体膜2からブチル酢酸3が揮発し、揮発した跡に空孔4が形成される状態を示し、図4は図3(a)におけるA部分の拡大模式構造を示している。すなわち、図3(a)に示す揮発性有機物含有シラノール縮合体膜2を160℃の温度に加熱すると、図3(b)に示すように、揮発性有機物含有シラノール縮合体膜2に含有されているブチル酢酸3が揮発し、ブチル酢酸3が抜けた跡に空孔4が形成されるので、図3(c)に示すように、空孔4が形成されたシラノール縮合体膜2が硬化して多孔質膜5が得られる。
【0043】
次に、多孔質膜5が形成された基板1を大気圧近傍の不活性ガス雰囲気化又は減圧下において400℃程度に加熱することにより多孔質膜を硬化させる。
【0044】
この場合、多孔質膜5に対して400℃の熱処理を行なっても、多孔質膜5中に形成されている空孔4が潰れることなく保持されることを確認した。また、得られる多孔質膜5の比誘電率は2.1であった。
【0045】
通常、シラノールの縮合反応により形成されるシリカ膜においては、低温では未反応のシラノールが残存しており、400℃程度の高温で熱処理をすることによって残存するシラノールを更に縮合反応させて、シラノールを含まないシリカ膜に変化させる。この場合、シリカ膜の膜強度が十分に大きくない場合、すなわち、シリカ膜の膜強度がシラノールの脱水縮合反応の進行に伴う体積収縮に抗するほど大きくない場合には、シリカ膜全体の収縮が起こるので、シリカ膜中の空孔が潰れてなくなってしまう。
【0046】
ところが、第1の実施形態においては、基板1の温度を100℃に設定した状態で揮発性有機物含有シラノール縮合体膜2を堆積しているため、400℃の熱処理に十分に耐える程度にシラノールの縮合反応が進むので、多孔質膜5中に形成されている空孔4は潰れることなく残存する。
【0047】
(基板温度についての検討)
ところで、堆積時の基板1の温度を低くすればするほど、シラノール縮合体膜2中に取り込まれるブチル酢酸3の量が増加し、シラノール縮合体膜2の空孔含有率は増加するが、熱処理による収縮量は大きくなる。また、シラノール縮合体膜2中のブチル酢酸3の増加は空孔4の径の増大を招く。
【0048】
一方、堆積時の基板1の温度を高くすると、シラノールの縮合反応が進行するため、シラノール縮合体膜2の強度が向上し、熱処理による膜収縮が少なくなるので、多孔質膜5中に形成されている空孔4が熱処理によって潰れることなく残存する程度は大きくなる。しかしながら、堆積時の基板1の温度を高くすると、ブチル酢酸3の揮発速度が速くなるため、シラノール縮合体膜2中に取り込まれるブチル酢酸3の量が減少するので、シラノール縮合体膜2の空孔含有率は減少する。
【0049】
従って、基板1の温度としては、ブチル酢酸3が分子としてシラノール縮合体中に有効に取り込まれると共に、シラノールが縮合してシラノール縮合体が形成される速度がブチル酢酸3が揮発する速度に比べて速くなるような温度を選択することが好ましい。
【0050】
(揮発性有機物の分子量についての検討)
基板1の温度が所定温度である場合、ブチル酢酸を代表例として挙げた揮発性有機物の分子量によって揮発速度を制御することができる。すなわち、分子量が小さいほど、蒸気圧が高くなって揮発速度が速くなる一方、分子量が大きいほど、蒸気圧が低くなって揮発速度は遅くなる。従って、分子量の大きい揮発性有機物を用いる方が多孔質化には有利である。
【0051】
揮発性有機物が酸である場合、揮発性有機物が重合反応に触媒的に作用するので、重合反応は速くなる。このため、蒸気圧の高いつまり分子量の小さい酸である揮発性有機物を用いる場合には、酸解離定数の大きい有機物を用いることが好ましい。このようにすると、気相中における酸の濃度が高くなるので重合反応が促進される。
【0052】
(揮発性有機物の種類についての検討)
揮発性有機物としては、ブチル酢酸に代えて、カルボキシル基又はその他の極性基を有する有機物を用いることができる。この場合でも、ブチル酢酸と同様、揮発性有機物の極性基とシラノールの水酸基との相互作用による水素結合によって揮発性有機物がシラノール縮合体中に取り込まれる。
【0053】
揮発性有機物としては、シラノールの重合を促進しないつまり反応性のない有機物例えばブタノール等を用いることもできる。この場合には、有機物を含有するシラノール縮合体膜を基板の上に形成した後、アンモニア等の塩基性気体により重合反応を促進することが好ましい。すなわち、基板上に形成された揮発性有機物含有シラノール縮合体膜をアンモニアガスに曝すことにより、シラノール縮合体膜の重合反応を揮発性有機物を含有した状態で進行させる。重合反応が十分に進んだ後、基板温度を高くして揮発性有機物を揮発させる。この場合、基板温度は揮発性有機物の沸点よりも十分に高くする。ブタノールを用いる場合には、基板温度としては100℃以上が適当である。
【0054】
反応性のない有機物としては、ブタノールに代えて、長鎖のアルキルアルコール、アリルアルコール、アルキルアルデヒド、アリルアルデヒド、アルキルケトン、アリルケトン、アルキルアミド又はアリルアミド等を用いても、多孔質膜を容易に得ることができる。
【0055】
また、揮発性有機物としては、アンモニア、又はトリメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、プロピルアミン、ジブチルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン若しくはトリブチルアミン等の塩基性化合物を用いることができる。揮発性有機物としてアンモニア又は塩基性化合物を用いると、これらは塩基性であるため、シラノール縮合体中に分子状で取り込まれた後に揮発して空孔を形成する機能のほかに、シラノールの重合を促進する機能を有する。
【0056】
(シラン誘導体の種類についての検討)
シラン誘導体としては、モノシランに代えて、一般式:SiH4 、RSiH3 、R12SiH2 又はR123SiH (但し、R、R1、R2及びR3 はアルキル基又はフェニル基である。)で表わさせる有機シランを用いることができる。アルキル基を有する有機シランとしてはメチルシラン又はジメチルシランが挙げられ、フェニル基を有する有機シランとしてはフェニルシラン又はジフェニルシランを挙げることができる。
【0057】
アルキル基又はフェニル基は疎水性の基であるから、シラン誘導体としてアルキル基又はフェニル基を有する有機シランを用いると、得られる多孔質膜も疎水性になって水分を吸収し難くなる。もっとも、有機シランを用いて得られる多孔質膜は、基板との密着性及び強度の点で問題がある。
【0058】
従って、シラン誘導体として、アルキル基又はフェニル基を有する有機シランガスとシランガスとの混合気体を用いることが好ましい。このようにすると、水分を吸収し難いと共に、基板との密着性及び強度に優れた多孔質膜を得ることができる。
【0059】
(酸化剤の種類についての検討)
酸化剤としては、シラン誘導体と反応してシラノールを生成する過酸化物を広く用いることができ、過酸化物の例としては、過酸化水素のほかに過酢酸誘導体等が挙げられる。
【0060】
(シラン誘導体と酸化剤との混合比についての検討)
モノシランと過酸化水素との混合比としては、過酸化水素に対するモノシランの化学量論比が1/2以下、つまりモノシラン/過酸化水素のモル比が0.5以下になるようにすることが好ましい。このようにすると、モノシランと過酸化水素とからなるシラノールが縮合してシラノール縮合体を形成した後、揮発性有機物を含有しながら揮発性有機物含有シラノール縮合体膜となって基板上に堆積する際に、モノシランは完全にシラノールすなわちSi(OH)4 にはならず、疎水性のSi−Hが部分的に残存する。このため、揮発性有機物含有シラノール縮合体膜から揮発性有機物が揮発した跡に形成される空孔にSi−Hが露出し、空孔に露出したSi−Hが空孔の周壁を疎水性にするので、多孔質膜の吸湿性が抑制される。
【0061】
以上説明したように、第1の実施形態によると、シラン誘導体と酸化剤とが反応して得られるシラノールを揮発性有機物が存在する気相中において縮合させてシラノール縮合体を形成するため、シラノール縮合体の内部に分子状の揮発性有機物が取り込まれた後、シラノールの縮合反応の進行に伴って揮発性有機物を含有するシラノール縮合体が基板の上に堆積して、揮発性有機物含有シラノール縮合体膜が形成される。その後、揮発性有機物含有シラノール縮合体膜に含まれている揮発性有機物を揮発させて、その跡に分子サイズの空孔を形成するので、分子サイズの多数の空孔を有する多孔質膜を得ることができる。
【0062】
ところで、多孔質膜の空孔のサイズが数十nm程度の大きさとなると、空孔内に配線用の金属が侵入して配線間の絶縁耐圧が低下し、電気的なストレス等によって配線間のショートを引き起こしてしまう恐れがある。
【0063】
ところが、第1の実施形態によると、多孔質膜の空孔が分子サイズであるため、空孔の密度を高めて比誘電率を極めて小さくしても、配線間の絶縁耐圧が低下する恐れがないので、多孔質層間絶縁膜としての特性には問題がない。
【0064】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態として、多孔質膜の形成方法における基板と多孔質膜との密着性を向上させる処理方法について説明する。
【0065】
シラノールの縮合反応により形成される多孔質膜は、基板との密着性が従来のCVD酸化膜に比べて非常に劣ることが知られている。特に、シラノール縮合体多孔質膜は金属膜との密着性が低いので金属膜との間で剥離が生ずる。
【0066】
このため、金属膜との剥離を回避するために、金属とシラノール縮合体多孔質膜との間にCVD酸化膜を形成する方法が知られている。
【0067】
ところが、金属とシラノール縮合体多孔質膜との間にCVD酸化膜を介在させると、配線間に比誘電率の高いCVD酸化膜が存在することになり、実効的な配線間容量の増大を招くので、電気特性上好ましくない。
【0068】
そこで、第2の実施形態においては、基板と多孔質膜との密着性を向上させることにより、金属とシラノール縮合体多孔質膜との間にCVD酸化膜を形成しなくてもよいようにして、実効的な配線間容量の増大の防止を図っている。
【0069】
(第1の処理方法)
基板と多孔質膜との密着性を向上させる第1の処理方法は、基板上にCVD法により揮発性有機物含有シラノール縮合体膜を形成する前に、基板をアンモニアプラズマに曝すものである。
【0070】
第1の処理方法によると、アンモニアプラズマに曝された基板の表面においては、金属膜の表面には極薄い金属窒化水素化物層が形成され、また、酸化膜の表面にはシリコン窒化水素化物層が形成される。これらの窒化水素化物層に存在するアミノ基とシラノール縮合体膜の構成材料であるシラノールとが反応するため、基板の金属膜及び酸化膜の表面とシラノール縮合体膜との間で強い化学結合が形成され、これによって、基板とシラノール縮合体膜との密着性が大きく向上す(第2の処理方法)
基板と多孔質膜との密着性を向上させる第2の処理方法は、基板をシラン及び酸化剤のみからなる混合気体(つまり揮発性有機物を含まない混合気体)に曝した後、該混合気体に気体状の揮発性有機物を混合するものである。
【0071】
第2の処理方法によると、基板の表面に基板との密着性の高いシラノール重合体層が極めて薄く形成され、該シラノール重合体層の上に揮発性有機物含有シラノール縮合体膜が形成される。シラノール重合体層が基板と揮発性有機物含有シラノール縮合体膜との密着層として作用するので、基板と多孔質膜との密着性が向上する。
【0072】
尚、第1の処理方法により形成される窒化水素化物層及び第2の処理方法により形成されるシラノール重合体層は、いずれも数分子程度の厚さにすることが可能であって、その厚さを非常に薄くできるので、実効的な配線間容量の増大を招くことがない。
【0073】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る多孔質膜の形成装置について、図5〜図7を参照しながら説明する。
【0074】
図5は第3の実施形態に係る多孔質層間絶縁膜の形成装置の平面構造を示している。図5に示すように、第1の処理室としてのアンモニア処理室10、第2の処理室としての多孔質膜形成室20、第1のロードロック室30及び第2のロードロック室40が移載室50の周囲に配置されており、該移載室50には、移載手段としての3軸駆動方式のロボットアーム60が設けられている。
【0075】
図6はアンモニア処理室10の断面構造を示しており、内部圧力が制御される第1のチャンバー11内の下部に基板1を保持する第1のウエハ保持台12が配置されている。第1のウエハ保持台12は第1の温度制御装置13に接続されたヒーター12aを内蔵しており、これによって、第1のウエハ保持台12に保持される基板1は所定の温度に制御される。第1のチャンバー11内の上部には第1のウエハ保持台12と対向するように第1のガス導入部14が設けられており、第1のガス導入部14の内部には、多数のガス吹き出し口を有するアンモニア導入管15が設けられている。第1のガス導入部15は、アンモニア導入管15により導入されるアンモニアをプラズマ化するための高周波電力を供給する高周波電力供給源16に接続されており、これによって、チャンバー11の内部においてアンモニアプラズマが生成される。
【0076】
図7は多孔質膜形成室20の断面構造を示しており、内部圧力が制御される第2のチャンバー21内の下部にはウエハ状の基板1を保持する第2のウエハ保持台22が配置されている。第2のウエハ保持台22は第2の温度制御装置23に接続されたヒーター22aを内蔵しており、これによって、第2のウエハ保持台22に保持される基板1は所定の温度に制御される。第2のチャンバー21内の上部には第2のウエハ保持台22と対向するように第2のガス導入部24が設けられており、第2のガス導入部24の内部には、それぞれが多数のガス吹き出し口を有する揮発性有機物導入管25、シラン誘導体導入管26及び酸化剤導入管27が互いに独立して設けられている。第2のガス導入部24は加熱手段28に接続されたヒーター24aを内蔵しており、これによって、揮発性有機物導入管25、シラン誘導体導入管26及び酸化剤導入管27から導入される気体は所定の温度に加熱された状態で基板1の表面に供給される。
【0077】
尚、図7においては、図示を省略したが、多孔質膜形成室20にクリーニングガスとしての弗酸を導入する弗酸導入管を設け、弗酸の48wt%水溶液をバブリングさせた後、ヘリウムガスをキャリアガスとして、減圧状態の多孔質膜形成室20に導入してもよい。このようにすると、多孔質膜形成装置20に導入された弗酸蒸気は、多孔質膜形成装置20の壁面に付着したシリコン酸化物と反応し、シリコンフルオライドと水とになる。そして、シリコンフルオライド及び水は多孔質膜形成装置20の外部に排出されるので、多孔質膜形成装置20の壁面に付着したシリコン酸化物は確実に除去される。
【0078】
以下、第3の実施形態に係る多孔質層間絶縁膜の形成装置を用いて、第2の実施形態において第1の処理方法として説明した前処理工程及び第1の実施形態として説明した多孔質膜の形成工程を連続して行なう方法について説明する。
【0079】
まず、ロボットアーム60により、シリコンウエハよりなる基板1を第1のロッドロック室30を経由してアンモニア処理室10の内部に移送し、第1のウエハ保持台12に保持する。次に、アンモニア処理室10の内部にアンモニア導入管15からアンモニアを導入すると共に、第1のガス導入部14に高周波電力供給源16から高周波電力を供給してしてアンモニアプラズマを生成する。このようにすると、基板1の表面のシリコン酸化膜とアミノ基とが反応して、シリコン窒化水素化物層が形成される。その後、第1のウェハ保持台12のヒーター12aにより基板1を加熱すると、シリコン窒化水素化物層の形成が促進される。
【0080】
次に、ロボットアーム60により基板1をアンモニア処理室10から30Torrの真空度に保持された多孔質膜形成室20に移送し、第2のウエハ保持台22に保持すると共にヒーター22aの温度を100℃に制御する。その後、シラン誘導体導入管26からシラン誘導体としての気体状のモノシランを流量2l/minで、揮発性有機物導入管25から揮発性有機物としてのバブリングされたブチル酢酸をヘリウムをキャリアーとして流量2l/minで、酸化剤導入管27から酸化剤としてのバブリングされた過酸化水素をヘリウムをキャリアーとして流量4l/minでそれぞれ導入する。
【0081】
このようにすると、モノシランと過酸化水素とが反応してシラノールが形成され、形成されたシラノールはブチル酢酸と相互作用により水素結合して気相中でシラノール縮合体を形成すると共に、形成されたシラノール縮合体はシラノールの縮合反応に伴ってブチル酢酸を分子状で含有する。その後、ブチル酢酸を含有するシラノール縮合体はシラノールの縮合反応の進行に伴って基板1の上に堆積するので、基板1の上にブチル酢酸を含有するシラノール縮合体膜が形成される。この場合、アンモニア処理室10において、基板1の上にシリコン窒化水素化物層が形成されているため、シリコン窒化水素化物層のアミノ基とシラノール縮合体膜のシラノール基とが反応してシロキサン結合を形成するので、基板1とシラノール縮合体膜との密着性が向上する。
【0082】
次に、シラノール縮合体膜が形成された基板1を大気圧に近い不活性ガス雰囲気に保持されたアンモニア処理室10に移送すると共に、基板1を160℃に加熱する。このようにすると、シラノール縮合体膜の内部においてシラノール縮合体の重合が進行してシロキサンネットワークが形成されると共に、シラノール縮合体膜中に分子状で取り込まれているブチル酢酸は揮発する。このブチル酢酸の揮発に伴って、シラノール縮合体膜中には分子サイズの空孔が多数形成される。
【0083】
尚、アンモニア処理室10において基板1を160℃に加熱する際に、アンモニア導入管16からアンモニアガスを導入してもよい。このようにアンモニアガスを導入すると、シロキサンネットワークの形成を著しく促進することができる。従って、アンモニア処理室10内にアンモニアガスを導入することによって、基板1を加熱する温度を下げることも可能である。
【0084】
また、シロキサンネットワークが形成された後に、シラノール縮合体膜中に取り込まれているブチル酢酸の揮発を促進するために、アンモニア処理室20の真空度を大気圧近傍から数百mTorrにまで減圧してもよい。
【0085】
尚、第3の実施形態においては、基板1とシラノール縮合体膜との密着性を向上させるための前処理工程と、シラノール縮合体膜の内部においてシラノール縮合体の重合を進行させてシロキサンネットワークを有する揮発性有機物含有シラノール縮合体膜を形成する工程とを、アンモニア処理室10において行なうため、処理室の数を低減できるので、多孔質層間絶縁膜の形成装置のコストの削減を図ることができる。もっとも、コスト削減よりも処理工程の流れを優先する場合には、揮発性有機物含有シラノール縮合体膜を形成するための処理室をアンモニア処理室10と別個に設けてもよい。
【0086】
次に、多孔質膜が形成された基板1を大気圧近傍の不活性ガス雰囲気化又は減圧下において400℃程度に加熱することにより、多孔質膜を硬化させる。このようにすると、半導体集積回路の加工プロセスに適応しうる多孔質層間絶縁膜を得ることができる。この400℃程度の加熱処理はいずれの処理室で行なってもよく、アンモニア処理室10、多孔質膜形成室20又はこれらと異なる他の処理室で行なってもよい。
【0087】
【発明の効果】
本発明に係る多孔質膜の形成方法によると、シラノールに分子状の揮発性有機物が含有されたシラノール縮合体からなる揮発性有機物含有シラノール縮合体膜から揮発性有機物を揮発させて、その跡に分子サイズの空孔を形成して多孔質膜を形成するため、前駆体溶液を用いることなく比誘電率の低い多孔質膜を形成できるので、前駆体溶液の調整が不要になると共に多孔質膜形成用材料の有効利用を図ることができる。
【0088】
また、多孔質膜には分子サイズの多数の空孔が形成されるため、空孔の密度を高めて比誘電率を極めて小さくしても、配線間の絶縁耐圧が低下する恐れがないので、電気的特性に問題がない比誘電率の小さい多孔質層間絶縁膜を形成することができる。
【0089】
本発明の多孔質膜の形成方法において、気体状のシラン誘導体がアルキル基又はフェニル基を有する有機シランガスとシランガスとの混合気体からなると、水分を吸収し難いと共に、基板との密着性及び強度に優れた多孔質膜を得ることができる。
【0090】
本発明の多孔質膜の形成方法において、シラン誘導体がシランであり、シラノール縮合体膜形成工程が、シラン誘導体及び酸化剤をシラノール中にSi−Hが存在するような混合割合で処理室に導入する工程を含むと、多孔質膜における空孔に露出する部位にSi−Hが存在し、該Si−Hが空孔の周壁を疎水性にするので、多孔質膜の耐吸湿性を向上させることができる。
【0091】
本発明の多孔質膜の形成方法において、シラノール縮合体膜形成工程が揮発性有機物含有シラノール縮合体膜に対してアミンによる処理を行なう工程を含むと、シラノールの重合反応が促進されるため、揮発性有機物含有シラノール縮合体膜に揮発性有機物が十分に含まれた後に揮発性有機物が揮発することになるので、多孔質膜における空孔の数が増加して比誘電率が一層低減する。また、揮発性有機物としてシラノールの重合を促進しない、つまり反応性のない有機物を用いる場合でも、シラノールの重合反応が促進される。
【0092】
本発明の多孔質膜の形成方法において、揮発性有機物がアンモニア又は塩基性化合物であると、塩基性のアンモニア又は塩基性化合物は、シラノール縮合体中に取り込まれた後に揮発して空孔を形成する働きをするほかに、シラノールの重合反応を促進する働きも行なう。
【0093】
本発明の多孔質膜の形成方法において、塩基性化合物はアミン誘導体であると、シラノールの重合反応を確実に促進することができる。
【0094】
本発明の多孔質膜の形成方法において、揮発性有機物が、シラン誘導体と酸化剤とからなるシラノールが揮発性有機物を含有しながら揮発性有機物含有シラノール縮合体を形成する縮合反応の速度に比べて、揮発性有機物が揮発する速度の方が遅くなるような大きい分子量を有していると、揮発性有機物の蒸気圧が低くなって揮発速度は遅くなるので、揮発性有機物含有シラノール縮合体に含まれる揮発性有機物の数ひいては多孔質膜における空孔の数が増加するので、比誘電率が小さくなる。
【0095】
本発明の多孔質膜の形成方法が、シラノール縮合体膜形成工程よりも前に、基板の表面をアンモニア誘導体からなるプラズマを用いてプラズマ処理する工程をさらに備えていると、基板の表面に金属窒化水素化物層又はシリコン窒化水素化物層が形成されるので、基板と揮発性有機物含有シラノール縮合体膜との密着性、ひいては基板と多孔質膜との密着性が大きく向上する。この場合、金属窒化水素化物層又はシリコン窒化水素化物層の厚さは薄いので、実効的な配線間容量の増大は起こらない。
【0096】
本発明の多孔質膜の形成方法において、シラノール縮合体膜形成工程が、処理室内に気体状のシラン誘導体及び酸化剤を導入して基板の表面にシラノール重合体層を形成した後に、処理室内に気体状の揮発性有機物を導入する工程を含むと、シラノール重合体層が基板と有機含有シラノール縮合体膜との密着性を向上させるので、基板と多孔質膜との密着性が向上する。この場合、シラノール重合体層の厚さは薄いので、実効的な配線間容量の増大は起こらない。
【0097】
本発明に係る多孔質膜の形成装置によると、第1の処理室において、基板の表面に金属窒化水素化物層又はシリコン窒化水素化物層を形成した後、第2の処理室において、金属窒化水素化物層又はシリコン窒化水素化物層の上に揮発性有機物含有シラノール縮合体膜を堆積し、その後、第1の処理室において、揮発性有機物含有シラノール縮合体膜から揮発性有機物を揮発させて、その跡に空孔を形成することができるので、分子サイズの多数の空孔を有し且つ基板との密着性に優れた多孔質膜を確実に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係る多孔質膜の形成方法を示す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る多孔質膜の形成方法を示す模式図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る多孔質膜の形成方法を示す模式図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る多孔質膜の形成方法を示す模式図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る多孔質膜の形成装置を示す平面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る多孔質膜の形成装置におけるアンモニア処理室を示す断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る多孔質膜の形成装置における多孔質膜形成室を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 シラノール縮合体膜
3 ブチル酢酸
4 空孔
5 多孔質膜
10 アンモニア処理室
11 第1のチャンバー
12 第1のウェハ保持台
12aヒーター
13 第1の温度制御装置
14 第1のガス導入部
15 アンモニア導入管
16 高周波電力供給源
20 多孔質膜形成室
21 第2のチャンバー
22 第2のウエハ保持台
22aヒーター
23 第2の温度制御装置
24 第2のガス導入部
24a ヒーター
25 揮発性有機物導入管
26 シラン誘導体導入管
27 酸化剤導入管
30 第1のロードロック室
40 第2のロードロック室
50 移載室
60 ロボットアーム

Claims (10)

  1. 大気圧以下の圧力に保たれていると共に基板を保持している処理室内に気体状のシラン誘導体、気体状の酸化剤及び気体状の揮発性有機物をそれぞれ互いに独立して導入すると共に、前記処理室内を前記シラン誘導体と前記酸化剤とからなるシラノールが形成される一方前記揮発性有機物の揮発が抑制される温度下に保つことにより、気相中において前記シラン誘導体と前記酸化剤とからなるシラノールを形成した後、形成されたシラノールを縮合させながら該シラノールに前記揮発性有機物を分子状に含有させて揮発性有機物含有シラノール縮合体を形成し、その後、前記揮発性有機物含有シラノール縮合体を前記基板上に堆積させて揮発性有機物含有シラノール縮合体膜を形成するシラノール縮合体膜形成工程と、
    前記基板を加熱処理することにより、前記揮発性有機物含有シラノール縮合体膜から前記揮発性有機物を揮発させて該揮発性有機物が揮発した跡に空孔を形成してシラノール縮合体からなる多孔質膜を形成する多孔質膜形成工程とを備え、
    前記揮発性有機物は、極性基を有する有機物であって、ブチル酢酸、ブタノール、長鎖のアルキルアルコール、アリルアルコール、アルキルアルデヒド、アリルアルデヒド、アルキルケトン、アリルケトン、アルキルアミド又はアリルアミドであり、
    前記シラノール縮合体膜形成工程においては、前記気相中において、前記揮発性有機物の前記極性基と前記シラノールの水酸基とが水素結合することにより該揮発性有機物が前記シラノール縮合体中に取り込まれることを特徴とする多孔質膜の形成方法。
  2. 前記気体状のシラン誘導体は、アルキル基又はフェニル基を有する有機シランガスとシランガスとの混合気体からなることを特徴とする請求項1に記載の多孔質膜の形成方法。
  3. 前記シラン誘導体はシランであり、
    前記シラノール縮合体膜形成工程は、前記シラン誘導体及び酸化剤を前記シラノール中にSi−Hが存在するような混合割合で前記処理室に導入する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の多孔質膜の形成方法。
  4. 前記シラノール縮合体膜形成工程は、前記揮発性有機物含有シラノール縮合体膜に対してアミンによる処理を行なう工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の多孔質膜の形成方法。
  5. 前記揮発性有機物は、ブタノール、長鎖のアルキルアルコール、アリルアルコール、アルキルアルデヒド、アリルアルデヒド、アルキルケトン、アリルケトン、アルキルアミド又はアリルアミドであって、
    前記シラノール縮合体膜形成工程の後、前記基板上に形成された前記揮発性有機物含有シラノール縮合体膜を塩基性気体に曝すことにより、該シラノール縮合体膜の重合反応を前記揮発性有機物を含有した状態で進行させる重合反応工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の多孔質膜の形成方法。
  6. 前記多孔質膜形成工程において、基板温度は前記揮発性有機物の沸点よりも高いことを特徴とする請求項5に記載の多孔質膜の形成方法。
  7. 前記揮発性有機物は、ブチル酢酸であって、前記シラン誘導体と前記酸化剤とからなるシラノールが前記揮発性有機物を含有しながら前記揮発性有機物含有シラノール縮合体を形成する縮合反応の速度に比べて、前記揮発性有機物が揮発する速度の方が遅くなるような大きい分子量を有していることを特徴とする請求項1に記載の多孔質膜の形成方法。
  8. 前記シラノール縮合体膜形成工程よりも前に、前記基板の表面をアミン誘導体からなるプラズマを用いてプラズマ処理する工程をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の多孔質膜の形成方法。
  9. 前記シラノール縮合体膜形成工程は、前記処理室内に前記気体状のシラン誘導体及び前記気体状の酸化剤を導入して前記基板の表面に、前記気体状のシラン誘導体と前記気体状の酸化剤とからなるシラノール重合体層を形成した後に、前記処理室内に前記気体状の揮発性有機物を導入して前記揮発性有機物含有シラノールを形成する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の多孔質膜の形成方法。
  10. 基板を保持すると共に保持した基板の温度を制御する第1の基板保持台と、気体状のアミン誘導体を導入するアミン誘導体導入手段と、導入されたアミン誘導体からなるプラズマを生成するプラズマ生成手段とを有する第1の処理室と、
    基板を保持すると共に保持した基板の温度を制御する第2の基板保持台と、気体状のシラン誘導体を基板上に供給する第1のガス供給手段と、気体状の酸化剤を基板上に供給する第2のガス供給手段と、気体状の揮発性有機物を基板上に供給する第3のガス導入手段とを有する第2の処理室と、
    前記第1の基板保持台に保持されている基板を前記第2の基板保持台に移載する移載手段を有する移載室とを備え、
    前記揮発性有機物は、ブチル酢酸、ブタノール、長鎖のアルキルアルコール、アリルアルコール、アルキルアルデヒド、アリルアルデヒド、アルキルケトン、アリルケトン、アルキルアミド又はアリルアミドであることを特徴とする多孔質膜の形成装置。
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