JP3756544B2

JP3756544B2 - 金属触媒担体の製造方法

Info

Publication number: JP3756544B2
Application number: JP10195495A
Authority: JP
Inventors: 保杉本; 文行鈴木; 健一法師人
Original assignee: Calsonic Kansei Corp
Current assignee: Calsonic Kansei Corp
Priority date: 1995-04-26
Filing date: 1995-04-26
Publication date: 2006-03-15
Anticipated expiration: 2021-03-15
Also published as: JPH08294631A

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、排ガス等を浄化するための触媒を担持する金属触媒担体の製造方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
一般に、自動車の排気系には、排ガスを浄化するために金属触媒コンバータが配置されており、この金属触媒コンバータには、排ガスを浄化するための触媒を担持する金属触媒担体が収容されている。
【０００３】
そして、従来、このような金属触媒担体の製造方法として、例えば、特開平４−１８０８３９号公報，特開平６−３９０号公報等に開示されるものが知られている。
図４および図５は、この種の金属触媒担体を外筒内に収容した金属触媒担体ユニットを示すもので、図において符号１１は、金属からなる円筒状の外筒を示している。
【０００４】
この外筒１１内には、金属触媒担体素子１３が嵌挿されている。
金属触媒担体素子１３は、図６に示すように、金属製の波板１５と平板１７とを交互に重ね、これ等を円形形状に多重に巻回して形成されている。
そして、外筒１１の排ガス流出側には、絞り部１９が形成されている。
上述した金属触媒担体ユニットは、絞り部１９が形成されていない状態の外筒１１内に、金属触媒担体素子１３を嵌挿した後、外筒１１の一側を絞り加工することにより絞り部１９を形成し、金属触媒担体素子１３を縮径し、波板１５と平板１７との接触圧力を増大し、この状態で真空炉内で熱処理し、波板１５と平板１７とを拡散接合することにより製造される。
【０００５】
このような金属触媒担体ユニットの製造方法では、金属触媒担体素子１３を外側から縮径し、波板１５と平板１７との接触圧力を増大した状態で、波板１５と平板１７との拡散接合が行われるため、波板１５と平板１７との拡散接合による接合強度を向上することができる。
また、波板１５と平板１７とが、絞り部１９の部分でのみ拡散接合されるため、波板１５と平板１７とが、排ガス流入側に向けて自由に熱変形することが可能になり、波板１５と平板１７とに生じる熱応力を低減することができる。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の製造方法では、外筒１１をプレス装置等により絞り加工して絞り部１９を形成し、金属触媒担体素子１３を外側から縮径して波板１５と平板１７との接触圧力を増大しているため、波板１５と平板１７との接触圧力を増大するために多大な工数が必要になるという問題があった。
【０００７】
そこで、波板１５と平板１７との巻回時に、波板１５と平板１７とを、比較的強く巻き上げて、波板１５と平板１７との接触圧力を増大することが考えられるが、この場合には、波板１５と平板１７との拡散接合すべき一部分のみの接触圧力を増大することが困難になるという問題があった。
本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたもので、金属触媒担体素子の一部のみを、容易，確実に拡散接合することができる金属触媒担体の製造方法を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
請求項１の金属触媒担体の製造方法は、金属製の波板と平板とを重ね多重に巻回してなる金属触媒担体素子を、高温雰囲気中において熱処理し、予め定められた前記波板と平板との拡散接合部を拡散接合する金属触媒担体の製造方法において、前記波板と平板との巻回前に、前記波板の拡散接合部に対応する位置に、前記熱処理時に残渣を残さないで揮発する揮発無残渣オイルを塗布し、その他の非拡散接合部に、前記熱処理時に所定の残渣を残して揮発する揮発有残渣オイルを塗布するとともに、前記波板への波形の成形を、回転する一対の波付ロールの間に板材を連続的に供給して行い、前記波板への前記揮発無残渣オイルおよび揮発有残渣オイルの塗布を、前記波板の波形成形時に行うことを特徴とする。
【０００９】
請求項２の金属触媒担体の製造方法は、請求項１において、前記波板への前記揮発無残渣オイルおよび揮発有残渣オイルの塗布を、前記板材の幅方向に配置される揮発無残渣オイル用の塗布部材と揮発有残渣オイル用の塗布部材により行うことを特徴とする。
【００１０】
【作用】
請求項１の金属触媒担体の製造方法では、波板と平板とを、比較的強く巻き上げて金属触媒担体素子を形成し、この金属触媒担体素子を高温雰囲気中において熱処理すると、揮発無残渣オイルが塗布された拡散接合部では、残渣を残すことなく揮発無残渣オイルが揮発し、波板と平板とが拡散接合される。
【００１１】
一方、揮発有残渣オイルが塗布された部分では、残渣を残して揮発有残渣オイルが揮発するため、残渣により、波板と平板との拡散接合が阻止される。
また、波板への揮発無残渣オイルおよび揮発有残渣オイルの塗布が、波板の波形成形時に行なわれる。
そして、揮発無残渣オイルおよび揮発有残渣オイルが塗布された板材を、回転する一対の波付ロールの間に連続的に供給することにより、板材への波形の成形が行なわれる。
請求項２の金属触媒担体の製造方法では、波板への揮発無残渣オイルおよび揮発有残渣オイルの塗布が、板材の幅方向に配置される揮発無残渣オイル用の塗布部材と揮発有残渣オイル用の塗布部材により行なわれる。
【００１３】
【実施例】
以下、本発明の金属触媒担体の製造方法の一実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
【００１４】
図１は、この実施例における波板の成形工程を、図２は波板と平板との巻回工程を示している。
図３は、この実施例により製造された金属触媒担体を示しており、この金属触媒担体２１は、金属製の波板２３と平板２５とを交互に重ね、これ等を円形形状に多重に巻回して形成されている。
【００１５】
波板２３と平板２５とは、例えば、Ｆｅ−Ｃｒ−Ａｌ合金製金属薄鋼板からなる。
波板２３と平板２５とは、排ガス流出側の幅Ｌの範囲にわたる拡散接合部２１ａにおいて、拡散接合により相互に接合されている。
そして、この拡散接合部２１ａ以外の部分が、波板２３と平板２５とが接合されない非拡散接合部２１ｂとされている。
【００１６】
上述した金属触媒担体２１は、本発明方法の一実施例により以下述べるようにして製造される。
先ず、図１に示すように、Ｆｅ−Ｃｒ−Ａｌ合金製金属薄鋼板からなる板材２３ａが、回転する一対の波付ロール２７の間に連続的に供給され、板材２３ａへの波形２３ｂの成形が行なわれる。
【００１７】
波付ロール２７の外周には、波形２３ｂに対応する歯部２７ａが形成され、一対の波付ロール２７が歯合されている。
この実施例では、波付ロール２７への板材２３ａの供給前に、板材２３ａに揮発無残渣オイルおよび揮発有残渣オイルの塗布がおこなわれる。
揮発無残渣オイルは、熱処理時に塗布部分に残渣を残さないで揮発するオイルであり、例えば、パンチオイル（商品名）がある。
【００１８】
揮発有残渣オイルは、熱処理時に塗布部分に所定の残渣を残して揮発するオイルであり、例えば、ハイランドオイル（商品名）がある。
板材２３ａの上下には、幅方向に、揮発無残渣オイル塗布用の第１の塗布部材２９と揮発有残渣オイル塗布用の第２の塗布部材３１が配置されている。
第１の塗布部材２９および第２の塗布部材３１は、例えば、フェルトからなり、揮発無残渣オイルおよび揮発有残渣オイルが含浸され、板材２３ａに押圧されている。
【００１９】
第１の塗布部材２９は、波板２３の拡散接合部２１ａに対応する位置に配置され、第２の塗布部材３１は、波板２３の非拡散接合部２１ｂに対応する位置に配置されている。
このようにして、波形２３ｂを形成された波板２３は、図２に示すように、平板２５と重ねられて巻回される。
【００２０】
この巻回は、平板２５に比較的大きな張力Ｆを作用させた状態で、芯材３３を回転することにより行われ、これにより、波板２３と平板２５とが、比較的強く巻き上げられる。
そして、巻回の終了により金属触媒担体素子３５が形成される。
この後、金属触媒担体素子３５が真空炉内に収容され、例えば、１１５０℃程度の温度で熱処理することにより、波板２３と平板２５との拡散接合部２１ａが拡散接合される。
【００２１】
上述した金属触媒担体の製造方法では、波板２３と平板２５とを、比較的強く巻き上げて金属触媒担体素子３５を形成し、この金属触媒担体素子３５を高温雰囲気中において熱処理すると、揮発無残渣オイルが塗布された拡散接合部２１ａでは、残渣を残すことなく揮発無残渣オイルが揮発し、波板２３と平板２５とが拡散接合される。
【００２２】
一方、揮発有残渣オイルが塗布された部分では、残渣を残して揮発有残渣オイルが揮発するため、残渣により、波板２３と平板２５との拡散接合が阻止される。
従って、金属触媒担体素子３５の一部のみを、容易，確実に拡散接合することができ、例えば、従来のように、絞り部を形成する必要がなくなり、工数を低減することができる。
【００２３】
また、上述した金属触媒担体の製造方法では、波板２３および平板２５への揮発無残渣オイルおよび揮発有残渣オイルの塗布が、板材２３ａの幅方向に配置される揮発無残渣オイル用の第１の塗布部材２９と揮発有残渣オイル用の第２の塗布部材３１により行なわれるため、揮発無残渣オイルおよび揮発有残渣オイルの塗布を、容易，確実に行うことができる。
【００２４】
さらに、板材２３ａに、予め揮発無残渣オイルおよび揮発有残渣オイルが塗布されるため、波付ロール２７に、別途潤滑用のオイルを供給する必要がなくなる。
なお、以上述べた実施例では、板材２３ａに塗布部材２９，３１を押圧してオイルの塗布を行った例について述べたが、本発明は、かかる実施例に限定されるものではなく、例えば、波付ロール２７に直接滴下するようにしても良い。
【００２５】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項１の金属触媒担体の製造方法では、拡散接合の熱処理時に、揮発無残渣オイルが塗布された拡散接合部では、残渣を残すことなく揮発無残渣オイルが揮発し、波板と平板とが拡散接合され、一方、揮発有残渣オイルが塗布された非拡散接合部では、残渣が残り残渣により、波板と平板との拡散接合が阻止されるため、金属触媒担体素子の一部のみを、容易，確実に拡散接合することができる。
【００２６】
また、波板への揮発無残渣オイルおよび揮発有残渣オイルの塗布が、波板の波形成形時に行なわれるため、揮発無残渣オイルおよび揮発有残渣オイルの塗布を、容易，確実に行うことができる。
そして、板材に、予め揮発無残渣オイルおよび揮発有残渣オイルが塗布されるため、波付ロールに、別途潤滑用のオイルを供給する必要がなくなる。
請求項２の金属触媒担体の製造方法では、波板への揮発無残渣オイルおよび揮発有残渣オイルの塗布が、板材の幅方向に配置される揮発無残渣オイル用の塗布部材と揮発有残渣オイル用の塗布部材により行なわれるため、揮発無残渣オイルおよび揮発有残渣オイルの塗布を、容易，確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の金属触媒担体の製造方法の一実施例の波板成形工程を示す斜視図である。
【図２】本発明の金属触媒担体の製造方法の一実施例の波板と平板との巻回工程を示す斜視図である。
【図３】本発明の金属触媒担体の製造方法の一実施例により製造された金属触媒担体を示す斜視図である。
【図４】従来の金属触媒担体ユニットを示す断面図である。
【図５】図４の正面図である。
【図６】図４の金属触媒担体の波板と平板との巻回工程を示す斜視図である。
【符号の説明】
２１金属触媒担体
２１ａ拡散接合部
２１ｂ非拡散接合部
２３波板
２３ａ板材
２３ｂ波形
２５平板
２７波付ロール
２９第１の塗布部材
３１第２の塗布部材
３５金属触媒担体素子

Claims

金属製の波板（２３）と平板（２５）とを重ね多重に巻回してなる金属触媒担体素子（３５）を、高温雰囲気中において熱処理し、予め定められた前記波板（２３）と平板（２５）との拡散接合部（２１ａ）を拡散接合する金属触媒担体の製造方法において、
前記波板（２３）と平板（２５）との巻回前に、前記波板（２３）の拡散接合部（２１ａ）に対応する位置に、前記熱処理時に残渣を残さないで揮発する揮発無残渣オイルを塗布し、その他の非拡散接合部（２１ｂ）に、前記熱処理時に所定の残渣を残して揮発する揮発有残渣オイルを塗布するとともに、
前記波板（２３）への波形（２３ｂ）の成形を、回転する一対の波付ロール（２７）の間に板材（２３ａ）を連続的に供給して行い、前記波板（２３）への前記揮発無残渣オイルおよび揮発有残渣オイルの塗布を、前記波板（２３）の波形（２３ｂ）成形時に行うことを特徴とする金属触媒担体の製造方法。
請求項１記載の金属触媒担体の製造方法において、
前記波板（２３）への前記揮発無残渣オイルおよび揮発有残渣オイルの塗布を、前記板材（２３ａ）の幅方向に配置される揮発無残渣オイル用の塗布部材（２９）と揮発有残渣オイル用の塗布部材（３１）により行うことを特徴とする金属触媒担体の製造方法。