JP3755436B2 - ポリイミド成形体の製造法およびポリイミド成形体 - Google Patents

ポリイミド成形体の製造法およびポリイミド成形体 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、良好な成形体物性とともに生産性の高いビフェニルテトラカルボン酸系のポリイミド成形体の製造法およびポリイミド成形体に関する。
この発明によれば、一度に複数の成形が可能であることから生産性が優れ、得られるポリイミド粉末成形体の密度が原料であるポリイミド樹脂粉末の真密度に近く、高剛性で機械的強度が大きく成形体の線膨張係数に異方性が実質的に認められないという特長を有している。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリイミド粉末成形体としては、ピロメリット酸成分と4,4’−ジアミノジフェニレエ−テルとから得られるピロメリット酸系ポリイミド粉末成形体が高靭性および良好な切削加工性を有していることから、幅広く使用されている。
しかし、ピロメリット酸系ポリイミド成形体は吸水率が高くアウトガスが多く、耐薬品性や寸法安定性が低い。
【0003】
このため、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分系のポリイミド粉末成形体が提案された。
この3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸系のポリイミド粉末成形体については、例えば、特特開昭57−200452号公報(特公平2−48571号公報)、特開昭57−200453号公報などに、N−メチル−2−ピロリドン中で3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とを重合・イミド化させて得たイミド化率が95%以上の芳香族ポリイミド粉末の加熱・圧縮成形体を得た例が記載されている。
さらに、微粒子状グラファイトなどの無機質粉末を含有するポリイミド粉末成形体が、特開昭63−81160号公報に記載されている。
これらの文献によると、上記ポリイミド粉末成形体は機械的強度に優れていることが示されている。
【0004】
しかし、高強度で高耐熱性のポリイミド粉末成形体は、伸びが小さいためか、成形体を切削加工等によって種々の形状に二次加工する際さいなどの成形時に、欠けたりして複雑な形状への成形が困難である、つまり強靭さや切削加工性が低いという問題点が指摘されている。
このため、成形体の伸びおよび機械強度を大きくするために加熱圧縮成形時の粉体どうしの融着性を改良するための試みがなされた。
【0005】
例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とから得られるポリイミドに熱可塑性ポリイミドを混合して得られるポリイミド粉末を圧縮成形する方法が試みられたが、性質の全く異なる両成分の均一混合が困難であり、得られる成形体の機械的強度および伸びは未だ満足できるレベルに達するものではなく、また耐熱性が却って低下するという問題点が指摘されている。
さらに、ポリアミック酸粉末(凝集体)を一旦取り出して、加熱・乾燥・粉砕してポリイミド粉末とし、これを圧縮成形して成形体を得る試みもなされている。
しかし、ポリアミック酸粉末を加熱イミド化する際の粉末の凝集体の生成を防止する加熱時の温度コントロ−ルが難しく、またポリアミック酸粉末に金属不純物が混入しやすく、実用的でないという指摘がされている。
【0006】
このため、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、その酸エステルまたはその酸二無水物二無水物および2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、その酸エステルまたはその酸二無水物とp−フェニレンジアミンとを重合、イミド化して得られるポリイミド樹脂粉末の高温高圧での加熱圧縮成形法、例えば成形温度450℃、成形圧力3000kgf/cm2で一軸プレスによって加熱焼成と加圧・圧縮を同時に行うポリイミド成形体の製法が提案された。
この成形体の製法によって得られるポリイミド成形体は、大きな強度を示すが、成形体の線膨張係数に異方性が認められしかも生産性が低く、大量に生産する場合にはコストの面に問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、この発明の目的は、ピロメリット酸成分と4,4’−ジアミノジフェニレエ−テルとからなるピロメリット酸系ポリイミド粉末成形体の有する高吸水率でアウトガスが多く耐薬品性や寸法安定性が低いという物性を改良し、機械的強度が大きく生産性の高いポリイミド成形体の製法およびポリイミド成形体を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、この発明は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、その酸エステルまたはその酸二無水物および2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、その酸エステルまたはその酸二無水物とフェニレンジアミンとを重合、イミド化して得られるポリイミド樹脂粉末を約800〜5000kgf/cm2の圧力で成形する工程、加圧物を約450〜550℃で低圧下、好適には無加圧焼成する工程、焼成した成形体を金属カプセルに真空封入する工程、次いで封入した成形体を不活性雰囲気、好適にはアルゴン雰囲気下で等方的に約460〜550℃で加熱圧縮する工程からなるポリイミド成形体の製造法に関する。
また、この発明は、成形体の密度が1.44〜1.48g/cm3の範囲内にある前記の製法によって製造されるポリイミド成形体に関する。
また、この発明は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物成分を70モル%以上、フェニレンジアミン成分を70モル%以上含有するポリイミド粉末をHIP法を含む成形法によって成形してなり、曲げ強度が約85MPa以上であるポリイミド成形体に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の好ましい態様を列記する。
1)ポリイミド樹脂を構成する芳香族テトラカルボン酸成分の割合が、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分が85〜97モル%で、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分が15〜3モル%である前記に記載のポリイミド成形体の製造法。
2)等方的に加熱圧縮する工程が、HIP(ヒ−ト アイソスタチック プレッシャ−)法で行われる前記に記載のポリイミド成形体の製造法。
3)さらに、部品成形後100〜350℃で30分〜24時間程度加熱して応力緩和処理する前記に記載のポリイミド成形体の製造法。
【0010】
この発明においては、ポリイミド粉末として、好適には3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、その酸エステルまたはその酸二無水物および2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、その酸エステルまたはその酸二無水物とp−フェニレンジアミおよび/またはm−フェニレンジアミンン[パラ−および/またはメタ−、つまりp−フェニレンジアミン:m−フェニレンジアミン(モル比)=100:0〜0:100、好適にはp−フェニレンジアミン:m−フェニレンジアミン(モル比)=98:2〜0:100]とを重合、イミド化して得られるポリイミド樹脂粉末を使用する。
このポリイミド粉末は、好適にはガラス転移温度(Tg)が室温〜400℃の温度範囲では観測れない高耐熱性の芳香族ポリイミド、好適には結晶性を有する高耐熱性の芳香族ポリイミドから主としてなる固形分の少なくとも一部、特にほぼ全面をアモルファスポリイミドの薄層で覆った構造を有しているものが好ましい。
前記のポリイミド粉末によれば、成形の際に粉末粒子表面のポリマ−軟化が充分で、かつ相互に結合するため、耐熱性と機械的強度、伸びが高度にバランスした成形品が得られると考えられる。
また、このポリイミド粉末は、ビフェニルテトラカルボン酸類とフェニレンジアミンとを必須の出発原料とするため、低吸水率で耐薬品性の成形体を与える。
【0011】
前記の芳香族ポリイミドの粉末は、好適には、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸あるいはその酸二無水物またはその酸と炭素数3以下の低級アルコ−ルとのエステル化物、および2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸あるいはその酸二無水物またはその酸と炭素数3以下の低級アルコ−ルとのエステル化物(いずれも好適には酸二無水物)を、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸類を全テトラカルボン酸成分に対して約3モル%以上15モル%以下の割合で含む芳香族テトラカルボン酸成分と、p−フェニレンジアミンとを、場合により悪影響を及ぼさない範囲でさらに他の芳香族テトラカルボン酸二無水物と他の芳香族ジアミンとを、略等モル量公知の方法で有機極性溶媒中で、重合およびイミド化することによって得られる。
前記のポリイミド粉末は、高分子量で、平均粒子径(一次粒子)が1〜20μm程度であることが好ましい。
また、前記のポリイミド粉末は、粒径が32μmより大きい粒子を含まないものが好ましい。粒径が32μmより大きい粒子は分級によって除去することが好ましい。
【0012】
前記の方法によって、結晶性芳香族ポリイミドの微小粒子を生成させながら高分子量化、イミド化後、非結晶性ポリイミドを不溶性にしてポリイミド粉末を析出させた後、粉末回収して、2層構造を有するポリイミド粉末であって、残存反応溶媒が少なく均一なポリイミド粒子を容易に得ることができる。
この場合、アモルファスポリイミドの割合が多くなると、ポリイミド粒子どうしが凝集した凝集体が多量に生成し、得られた成形体の物性を低下させる原因となる。
【0013】
前記の他の芳香族テトラカルボン酸類としては、ピロメリット酸またはその酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸またはその酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパンまたはその酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタンまたはその酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エ−テルまたはその酸二無水物などを挙げることができる。前記の他の芳香族テトラカルボン酸成分は芳香族テトラカルボン酸成分中30モル%以下が好ましい。
【0014】
前記の他の芳香族ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、1,4−ビス(4−アミノ−フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−フェノキシ)ベンゼンなどを挙げることができる。前記の他の芳香族ジアミン成分は芳香族ジアミン成分中30モル%以下が好ましい。
【0015】
前記の芳香族ポリイミド粉末は、例えば、不活性ガス存在下に、15〜100重量%がアミド系溶媒および85〜0重量%が沸点180℃以上の非アミド系溶媒からなり、水を0.5〜5重量%含有する反応溶媒中に、好適には溶液中の全モノマ−の割合が2〜25重量%となるように、前記の芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とを略等モル加え、生成する水を留出させながら昇温し、100℃以上180℃未満の範囲内の温度で微細粒子を析出させ、160〜250℃の範囲内の温度で反応を0.5〜20時間継続して、対数粘度(30℃、0.5g/100ml濃硫酸)が0.2〜1.5であり、イミド化率が95%以上であるポリイミド粉末を取得することによって製造される。
前記の非アミド系溶媒、水はポリアミック酸合成に先立って混合溶媒として使用してもよく、またはポリアミック酸合成後、反応溶液に添加してもよい。
【0016】
前記の微細粒子の析出段階に先立って、100℃以上180℃未満に反応溶液の温度を調節後イミド化触媒、好適にはイミダゾ−ル系イミド化触媒を反応系に添加し前記の加熱条件でイミド化することによって、イミド化速度を調節することにより、生成ポリイミド粉末の粒度および粒度分布を調節することもできる。
【0017】
前記のアミド系溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルカプロラクタムが挙げられ、特にN−メチル−2−ピロリドンが好適に使用される。
【0018】
前記のイミド化反応終了後、ポリイミド粉末を取得する方法としては特に制限はなく、例えば、反応混合物をそのままあるいは室温まで冷却した後、芳香族ポリイミド粉末を濾別し、その粉末を溶媒で洗浄し、乾燥する方法が採用できる。前記の洗浄用の溶媒としては、反応溶媒と置換しうる低沸点溶媒であれば何でもよく、水とメタノ−ル、エタノ−ルやイソプロパノ−ル(IPA)などのアルコ−ル類、特にIPAが好適である。
また、乾燥は250℃以下の常圧、減圧のいずれでも行える。好ましくは200℃以下で減圧乾燥する方法が採用される。好ましくは乾燥後の粉末は350℃で1時間加熱による重量減少率が1%以下、特に0.5%以下となる乾燥状態とすることが好ましい。
前記の芳香族ポリイミド粉末は、特に粉砕しなくてもよいが、ヘンシェルミキサ−、ウイリ−ミルなどによって粉砕してもよい。また、重合時に生成するごく少量の凝集体を分離除去する目的で振動ふるいにより凝集体を分離してもよい。
【0019】
この発明においては、ポリイミド樹脂粉末を約800〜約5000kgf/cm2の圧力で成形する工程、加圧物を約450〜550℃で無加圧焼成する工程、焼成した成形体を金属カプセルに真空封入する工程、次いで封入した成形体をアルゴン雰囲気下で等方的に約460〜550℃、好適には約470〜550℃で加熱圧縮する工程によって、ポリイミド粉末成形体を製造する。
【0020】
前記のポリイミド樹脂粉末を約800kgf/cm2〜約5000kgf/cm2の圧力で成形する際に、室温〜200℃で、好適には室温で、一軸プレスあるいはCIP成形等によってポリイミド樹脂粉末を所定の形状に成形する。
この発明においては、前記ポリイミド樹脂粉末の低温での加圧物を、好ましくは0.5〜10気圧程度の低圧下、特に無加圧下(大気圧下)で約450〜550℃、特に470〜550℃で、好適には窒素ガス、ヘリウムガスなどの不活性気流中で焼成する。
前記の約450〜550℃で焼成する工程は、昇温速度0.5〜10℃/分で約450℃以上に昇温して行うことが好ましい。前記の範囲内の温度での加熱時間は5〜30分間程度が好ましい。
前記の無加圧下加熱成形された成形体を焼成炉内で0.5〜10℃/分の冷却冷却速度で冷却することが成形体の物性向上に好ましい。
【0021】
この発明においては、前記の焼成した成形体の1個以上、好適には多数個をSUS箔などの金属カプセル中に真空封入し、封入した成形体を窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰囲気下、好適にはアルゴン雰囲気下や低融点合金を媒体として圧力を等方的に加えて、約460〜550℃、好適には約470〜550℃で、圧力は好適には約500〜5000kgf/cm2、特に約500〜2000kgf/cm2で加熱圧縮して成形する。
前記の成形体の等方的加熱圧縮法は、いわゆるHIP(ヒ−ト アイソスタチック プレッシャ−)装置によるHIP法が好適である。
さらに、この発明の方法によって部品成形後、100〜350℃で30分〜24時間程度加熱して応力緩和処理するとポリイミド成形体の寸法変化が生じないので好適である。
【0022】
前記の粉末成形体の製造のさいに、人造ダイヤモンド、シリカ、マイカ、カオリン、、タルク、窒化ほう素、酸化アルミニウム、酸化鉄、グラファイト、硫化モリブデン、硫化鉄などの無機充填剤、あるいはふっ素樹脂などの有機充填剤などの各種の充填剤を前記のポリイミド粉末と混合して使用することができる。
この充填剤の添加は、内部添加、外部添加のいずれの方法で配合したものでもよい。
【0023】
この発明の方法によって得られるポリイミド成形体は、従来公知の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸類とフェニレンジアミンとから加熱圧縮成形して得られるポリイミド粉末成形体の優れた耐熱性、剛性を低下させることなく、良好な伸び、低吸水性、寸法安定性、高生産性を実現することができる。この発明のポリイミド成形体は、好適には3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物成分を70モル%以上、パラ−および/またはメタ−フェニレンジアミン成分を70モル%以上を含有するポリイミド粉末をHIP法を含む成形法によって成形してなり、曲げ強度が約85MPa以上、特に約90MPa以上である。
【0024】
この発明のポリイミド成形体は、アウトガスが少なく、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性(高温、洗浄後)が要求される放電処理装置分野の各種部品用の成形体用途に使用することができる。
さらに、この発明のポリイミド成形体は、アウトガスが少なく、研磨性(耐熱性)を要求される光学分野の成形体用途に使用することができる。
さらに、この発明のポリイミド樹脂成形体は、耐プラズマ性、真空特性、剛性、切削加工性および耐熱性を要求される半導体製造装置のインナ−部品用に使用することができる。
【0025】
【実施例】
以下、この発明の実施例を示す。以下の各例において、ポリイミド粉末成形体の種々の物性は、次の試験方法によって測定したものである。
引張り特性:ASTM D−638 に準拠して測定した。
曲げ特性:ASTM D−790 に準拠して測定した。
線膨張係数(25〜450℃):ASTM E−233 に準拠して測定した。
熱変形温度:ASTM D−648 に準拠して測定した。
吸水率:ASTM D−570 に準拠し、成形体を水中、23℃×24時間放置後の吸水率を測定した。
【0026】
線膨張係数の異方性:成形体のMD方向(成形体の厚さ方向)の線膨張係数(CTE)とTD方向(成形体の幅方向)の線膨張係数(CTE)を測定した。
CTE(MD)/CTE(TD)が0.95〜1.05である場合を線膨張係数の等方性が良好とし、0.9以下か1.1以上の場合を線膨張係数の等方性が不良とし、0.9〜0.95か1.05〜1.1の場合を線膨張係数の等方性が普通とした。
【0027】
耐プラズマ特性:株式会社モリエンジニアリング製のプラズマ発生装置を使用し、RIEモ−ドで、酸素ガス中、出力700W、圧力65Pa、温度145℃の条件で成形体にプラズマ照射し、成形体のエッチング速度を経時的に測定した。 真空ガス放出特性:電子科学株式会社製の高精度昇温脱離ガス分析装置EMD−WA1000を使用して300℃での到達真空度を測定した。
【0028】
実施例1
温度計、攪拌機、窒素導入管および水分定量器を備えた四ツ口フラスコに、窒素ガスを通しながら、乾燥した2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)とのモル比a−BPDA/s−BPDA=7/93の割合で、ジアミンとしてp−フェニレンジアミン、重合溶媒としてNMPを使用し、ポリマ−濃度17重量%、温度:195℃、時間:4時間で反応させた。N−メチル−2−ピロリドン溶液中に分散したポリイミド樹脂粒子を濾過によって回収し、更に、これを4倍量の熱イオン水で3回洗浄し、4倍量のIPAで1回洗浄後、200℃で減圧乾燥して、対数粘度(30℃、0.5g/100ml濃硫酸)が1.28で、イミド化率が95%以上のポリイミド樹脂粒子を得た。
【0029】
得られたポリイミド樹脂粒子は、透過型電子顕微鏡による観察から結晶性ポリイミド粒子の表面の全部を非結晶性のポリイミドからなる被覆層で覆ってなる2層構造を有しており、ガラス転移温度は400℃まで観測されず、平均粒子径は9.3μmであった。
【0030】
得られたポリイミド樹脂粒子を予め約1000kgf/cm2(80MPa)の圧力で一軸プレス成形した100mm×100mm×10mm(厚み)のプレフォ−ム体をイナ−トオ−ブンを使用して500℃で15分間ほど無加圧焼成した。この成形体200枚を神戸製鋼所社製のHIP成形装置を使用して1.8ton/cm2(HIP圧力:196MPa)の圧力でアルゴン雰囲気下、500℃の条件で15分間加熱圧縮してHIP成形して、良好な物性を有するポリイミド成形体を得た。
【0031】
得られた成形体の物性を次に示す。
ポリイミド成形体の物性:
伸び 4.4%
成形体密度 1.46g/cm3
曲げ強度 135MPa
曲げ弾性率 7.2GPa
線膨張係数(MD、25〜450℃) 40ppm/℃
CTE(MD)/CTE(TD)1.03
熱変形温度 476℃
真空中ガス放出特性(300℃) 3.3×10-6Torr・l/sec・cm2
酸素プラズマエッチング速度 5.0μm/cm2・hr
吸水率 0.07%
【0032】
実施例2
プレフォ−ム成形時の圧力を98MPa、HIP成形時の温度を480℃に変えた他は実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の物性を次に示す。
ポリイミド成形体の物性:
伸び 3.5%
成形体密度 1.47g/cm3
曲げ強度 137MPa
曲げ弾性率 7.3GPa
CTE(MD)/CTE(TD) 0.98
熱変形温度 473℃
真空中ガス放出特性(300℃) 3.3×10-6Torr・l/sec・cm2
酸素プラズマエッチング速度 4.9μm/cm2・hr
吸水率 0.05%
【0033】
実施例3
プレフォ−ム成形時の圧力を196MPa、HIP成形時の圧力を176MPaに変えた他は実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の物性を次に示す。
ポリイミド成形体の物性:
伸び 4.0%
成形体密度 1.46g/cm3
曲げ強度 134MPa
曲げ弾性率 7.1GPa
CTE(MD)/CTE(TD) 1.01
熱変形温度 478℃
真空中ガス放出特性(300℃) 3.3×10-6Torr・l/sec・cm2
酸素プラズマエッチング速度 5.1μm/cm2・hr
吸水率 0.05%
【0034】
実施例4
プレフォ−ム成形時の圧力を392MPa、HIP成形時の圧力を147MPaに変えた他は実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の物性を次に示す。
ポリイミド成形体の物性:
伸び 4.7%
成形体密度 1.45g/cm3
曲げ強度 132MPa
曲げ弾性率 6.9GPa
CTE(MD)/CTE(TD) 1.04
熱変形温度 473℃
真空中ガス放出特性(300℃) 3.3×10-6Torr・l/sec・cm2
酸素プラズマエッチング速度 4.8μm/cm2・hr
吸水率 0.1%
【0035】
実施例5
実施例1〜4で得られた成形体を各々250℃で12時間加熱して応力緩和した。いずれも形状の均一性、寸法精度が改良された。
【0036】
比較例1
成形圧力392MPa、成形温度500℃で一軸プレスにより加熱圧縮成形して、成形体を得た。
得られた成形体は線膨張係数の異方性の大きいものであった。物性を次に示す。
ポリイミド成形体の物性:
成形体密度 1.47g/cm3
曲げ強度 109MPa
曲げ弾性率 7.4GPa
CTE(MD)/CTE(TD) 1.29
酸素プラズマエッチング速度 5.2μm/cm2・hr
吸水率 0.03%
【0037】
比較例2
プレフォ−ム成形時の圧力を196MPaとし加熱しないで得たプレフォ−ムを、HIP成形した他は実施例1と同様にして、HIP成形した。
成形時に割れが発生した。
【0038】
比較例3
プレフォ−ム成形時の圧力を196MPa、HIP成形時の温度を400℃に変えた他は実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の物性を次に示す。
ポリイミド成形体の物性:
成形体密度 1.35g/cm3
曲げ強度 110MPa
曲げ弾性率 4.7GPa
CTE(MD)/CTE(TD) 1.10
吸水率 1.7%
【0039】
実施例6
実施例1で使用したポリイミド微粒子75重量%に対して200メッシュの人造ダイヤモンド25重量%を乾式ブレンドし、得られたブレンド品をステンレス製の砥石基盤を組み込んだ所定の金型内の空隙部に充填し、98MPaの圧力で一軸プレス成形した。この一軸プレス成形体を500℃であらかじめ焼成した後、実施例1と同様の条件でHIP成形を行って、ステンレス基盤に完全に組み付けられたダイヤモンド微粒子を含むポリイミド成形体を有する砥石を得た。この砥石は外観も良好で、良好な性能を示した。
【0040】
【発明の効果】
この発明は以上詳述したような構成を有しているため、下記のような効果を奏する。
この発明のポリイミド成形体の製法は、多数の成形体を同時に焼成することを可能であり、高い生産性が達成される。
しかも、この発明によって得られる成形体は、良好な高耐熱性、強度、低線膨張係数および線膨張係数等方性、および低吸水率を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例6で得られたポリイミド成形体を有する砥石の斜視図である。
【符号の説明】
1 ポリイミド成形体
2 砥石基盤
3 砥石

Claims (5)

  1. 3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸、その酸エステルまたはその酸二無水物および2,3,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸、その酸エステルまたはその酸二無水物とフェニレンジアミンとを重合、イミド化して得られるポリイミド樹脂粉末を800〜5000kgf/cm2の圧力で成形する工程、加圧物を450〜550℃で低圧下焼成する工程、焼成した成形体を金属カプセルに真空封入する工程、次いで封入した成形体をアルゴン等不活性雰囲気下で等方的に460〜550℃で加熱圧縮する工程からなるポリイミド成形体の製造法。
  2. ポリイミド樹脂を構成する芳香族テトラカルボン酸成分の割合が、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸成分が85〜97モル%で、2,3,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸成分が15〜3モル%である請求項1に記載のポリイミド成形体の製造法。
  3. 等方的に加熱圧縮する工程が、HIP(ヒ−ト アイソスタチック プレッシャ−)法で行われる請求項1に記載のポリイミド成形体の製造法。
  4. さらに、部品成形後100〜350℃で30分〜24時間程度加熱して応力緩和処理する請求項1に記載のポリイミド成形体の製法。
  5. 成形体の密度が1.44〜1.48g/cm3の範囲内にある請求項1〜3のいずれかに記載の製造法によって製造されるポリイミド成形体。
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