JP5338107B2 - 砥石およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、砥粒及びボリイミド樹脂バインダーを含む砥石、およびその製造方法に関する。
従来より、様々な形状や寸法及び組成の切削砥石が当技術分野で周知である。ソーイング、穴開け、ドレッシング、研削、ラッピング、ポリッシングその他の研磨用途で、円形砥石又はカップ形砥石の周縁又は外周に超砥粒(例えば、ダイヤモンド又は立方晶窒化ホウ素(CBN))を含む研削砥石も当技術分野で周知である。研削砥石の典型的なものは、使用時にホイールを回転させるための開口又はスピンドルを有する中心金属円板から形成される。ホイールの外周にはダイヤモンド含有母材が結合している。ダイヤモンドを樹脂で囲んだホイールでは、作業者は圧縮成形によって樹脂を硬化させて樹脂セグメントを内側円板に結合する。
これら砥石を本体その他の支持体に取り付けることで、コンクリート、アスファルト、メーソンリー、セラミック、煉瓦、花崗岩、大理石その他の岩石などの硬い耐摩耗性材料を切削できる工具を製造できる。
この様なダイヤモンドホイールなどの樹脂結合砥石のバインダ樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、PVA、ウレタン樹脂などが用いられているが、苛酷な研削加工や耐熱性が要求される研削条件ではポリイミド樹脂をバインダとして用いる研究が既に行なわれ、その初期では、ピロメリット酸無水物と4,4−ジアミノジフェニルエーテルとの重合を行いイミド化によって得られるピロメリット酸系ポリイミド樹脂を用いる砥石が開発されていた。
しかしながら、当該のポリイミド樹脂はガラス転移温度が420℃と耐熱性が高く溶融加工性が無いために、金属粉末バインダーを用いる砥石と同様に加圧圧縮成形と焼結成形を行うが、他物質との接着性に乏しいことが知られており、砥石としての機械的な耐久性、すなわち研削性能について充分とは云えないため、更なる改善が求められていた。このため、特許文献1には、芳香族テトラカルボン酸成分として、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸もしくはその酸二無水物などのビフェニルテトラカルボン酸類を用いて製造したポリイミド樹脂をバインダ樹脂として用いる耐熱性樹脂結合砥石が提案されている。
また、特許文献2には、ポリイミド樹脂は、熱硬化性樹脂であるビスマレイミド系ポリイミドを用い、その具体例として、N,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニノレ)メタン、及び2,2’−ビス(4−(4−マレイミイドフェノキシ)フェニル)プロパンなどを用いて、更に造膜助剤として多価アルコール化合物を配合したビスマレイミド系ポリイミド樹脂を用いることが提案されている。
また、特許文献3には、研削研磨用砥石の内部に研削研磨液に可溶な粒子を含有させた研削研磨用砥石において、砥粒と、合成樹脂のマイクロカプセルに封入した可溶性粒子とを合成樹脂の結合剤内に分散して構成したことを特徴とする研削研磨用砥石が提案されている。
しかしながら近年では、砥石による研削作業の苛酷化が更に進み、耐熱性と機械的特性(特に耐摩耗性)が更に向上した樹脂結合砥石が求められているが、これまで、そのような要求に答えられる樹脂結合砥石は開発されていない。
一方、耐熱性と機械的特性が共に高い砥石としては、結合材として金属を用いた金属結合砥石(メタルボンド砥石)が知られているが、このような金属結合砥石は、研削抵抗が低いことが知られている。また、金属結合砥石は耐摩耗性については優れているが、樹脂結合砥石に比べて切れ味のシャープさが不足することが問題であるとされている。
特開2004−090159号公報 特開2005−230983号公報 特開平7−227765号公報 特許第2590213号掲載公報
本発明の課題は、耐熱性と機械的特性が更に向上したポリイミド樹脂結合砥石を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究の結果、ダイヤモンド又は立方晶窒化ホウ素(CBN)などの超砥粒とポリイミド樹脂バインダーによる研削砥石は、ポリイミド樹脂が、特定の粒子径を有することで、砥粒との接着性が改善され研削性に優れる砥石とできることを見出した。更には特定の加圧圧縮成形と焼結成形を行うことで、その機械特性が向上しより研削性に優れる砥石とできることを見出した。
すなわち本発明は次のとおりである。
1.バインダー樹脂と、砥粒とを含む組成物を圧縮成形して得られる砥石において、前記バインダー樹脂が、数平均粒子径0.1〜9μmのポリイミド粒子であり、該ポリイミドの閉環率が50%〜95%であり、前記ポリイミドが、酸二無水物成分として、少なくともピロメリット酸二無水物を重縮合させて得られたポリイミドであることを特徴とする砥石。
2.前記バインダー樹脂の数平均粒子径が、0.1以上、4.5μm未満である1記載の砥石。
3.前記ポリイミド粒子が球状粒子である1又は2記載の砥石。
.前記組成物が、金属粉末をさらに含む1ないしのいずれかに記載の砥石。
.前記砥粒が、ダイヤモンド系、CBN(立方晶窒化ホウ素)系、アルミナ系、窒化珪素系、炭化ケイ素系及びジルコニア系からなる群から選択される少なくとも1種である1ないしのいずれかに記載の砥石。
.バインダー樹脂と、砥粒とを含む組成物を圧縮成形することを含む砥石の製造方法において、前記バインダー樹脂が、数平均粒子径0.1〜9μmのポリイミド粒子であり、該ポリイミドの閉環率が50%〜95%であり、前記ポリイミドが、酸二無水物成分として、少なくともピロメリット酸二無水物を重縮合させて得られたポリイミドであることを特徴とする砥石の製造方法。
.(a)室温〜250℃の温度条件下、100〜10000kgf/cmの圧力をかけて、圧粉体とする第1工程と、
(b)上記圧粉体を、真空又は不活性ガス雰囲気中、350〜500℃で、0.1〜300時間熱処理する第2工程と、
(c)上記熱処理体に、350〜500℃の温度条件下、50〜5000kgf/cmの圧力をかける第3工程とを含む方法により圧縮成形を行なう記載の方法。
後述する実施例および比較例より明らかなように、本発明の特性を有するポリイミド粉末は、ダイヤモンドや金属粉末からなる研削砥石組成物を構成するバインダーとして有用であり、特に本発明の製造方法で製造された砥石は研削性に優れる傾向が得られた。この発明の方法で製造された研削工具は、前記特性を有する芳香族ポリイミドを砥粒の結合剤として用いることで、砥粒層の成形性、砥粒との密着性においても優れているので、砥石性能が極めて安定して優れているのである。
本発明の好ましい形態について、以下に説明する。
<酸無水物>
本発明に用いるポリイミド樹脂において、その前駆体となるポリアミック酸を製造するために用いられる酸無水物化合物は、通常、下記一般式(1)で示される構造を有するものである。
Figure 0005338107
〔式中、R’は炭素数2以上の脂肪族基、環式脂肪族基、単環式脂肪族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる群より選ばれた四価の基を表す。〕
R’としては、特に限定されるものではないが耐熱性の点からは、ベンゼン環が好ましい。酸無水物のより具体的な例としては、ピロメリット酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルファイド二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−カルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ−(2,2,2,)−オクト(7)−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、p−フェニレン−ビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレングリコールビス(トリメリット酸無水物)、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフロロプロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕ヘキサフロロプロパン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルファイド二無水物、ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕スルホン二無水物、などが挙げられる。これらにおいて、砥石の研削性の観点から、ピロメリット酸二無水物及び3,4,3’、4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等が好ましく、特にピロメリット酸二無水物が好ましい。本発明で用いられるポリイミドは、酸二無水物成分として、少なくともピロメリット酸二無水物を重縮合させて得られたポリイミドである。なお、これらの酸無水物は、単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせても用いることもできる。

<ジアミン>
本発明に用いるポリイミド樹脂において、その前駆体となるポリアミック酸を製造するために用いられるジアミン化合物は、通常、下記一般式(2)で示される構造を有するものである。
N−R−NH (2)
〔式中、Rは炭素数2以上の脂肪族基、環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる群より選ばれた二価の基を表す。〕
Rとしては、特に限定されるものではないが耐熱性の点からは、ベンゼン環が好ましい。ジアミン化合物のより具体的な例としては、次のものがあるがこれらに限定されない。例えば、2,2−ビス(4−アミノ−フェニル)プロパン、2,6−ジアミノ−ピリジン、ビス−(4−アミノ−フェニル)ジエチルシラン、ビス−(4−アミノ−フェニル)ジフェニルシラン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ベンジジン、3,3’−ジクロル−ベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、ビス−(4−アミノ−フェニル)エチルホスフィンオキサイド、ビス−(4−アミノ−フェニル)−N−ブチルアミン、ビス−(4−アミノ−フェニル)−N−メチルアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニル、N−(3−アミノフェニル)−4−アミノベンズアミド、4−アミノフェニル−3−アミノ安息香酸、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジフロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジブロム−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(3−アミノ−フェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−フェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−フェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジアミノジフェニルスルファイド、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルスルファイド、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルスルファイド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス−p−(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス−(p−β−アミノ−t−ブチル−フェニル)エーテル、ビス−p−(β−メチル−δ−アミノ−ペンチル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−メタフェニレンジアミン、m−キシレンジアミン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジアミノフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジクロロ−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン(前記におけるいくつかのフェニルプロパン系化合物でプロパン骨格へのフェニル系置換基位置が記載されていないものについては、その位置は特に限定されず何れでも良いが、1,3位であることが好ましい)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルスルファイド、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルファイド、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルファイド、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルスルファイド、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルファイド、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノ−プロピルテトラメチレンジアミン、3−メチルへプタメチレンジアミン、4,4’−ジメチルへプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノ−ドデカン、1,2−ビス−(3−アミノ−プロポキシ)−エタン、2,2−ジメチル−プロピレンジアミン、3−メトキシ−ヘキサメチレンジアミン、3,3’−ジメチルベンジジン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルへプタメチレンジアミン、5−メチル−ノナメチレンジアミン、2,17−ジアミノ−アイコサデカン、1,4−ジアミノ−シクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノ−オクタデカン等が挙げられる。これらにおいて、研削性の観点から、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び3,3’−ジアミノジフェニルスルホン等が好ましく、特に4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが好ましい。これらジアミン類は、単独でも用いることができるし、2種以上組み合わせて用いることもできる。
<極性溶媒>
また、本発明に用いるポリイミド樹脂において、その前駆体となるポリアミック酸の重合溶液(ポリアミック酸溶液)では、ポリアミック酸の重合溶媒に対する濃度は、0.1〜40重量%が好ましく、1〜30重量%がより好ましい。
ポリアミック酸溶液の溶媒、すなわち重合溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルリン酸トリアミド、γ−ブチロラクトン、などの極性溶媒を単独にまたは混合して用いることができる。また、これらの極性溶媒の単独または混合溶媒に一般的有機溶媒であるケトン類、エステル類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類、エチレン性不飽和結合を含有するアミド化合物などがある。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロルエタン、1,4−ジクロルブタン、トリクロルエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドンなどを混合してもかまわない。これらにおいて、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が好ましい。特にN,N−ジメチルアセトアミドが好ましい。これらの溶媒は、単独でも用いることができるし、2種以上を混合して用いることもできる。
<ポリアミック酸(ポリイミド前駆体)>
本発明におけるピロメリット酸系ポリイミド(酸無水物成分として、ピロメリット酸二無水物を用いたポリイミド、下記一般式(3))の前駆体のポリアミック酸とは、加熱処理を行ったときにポリイミドを形成するものならば、特にその構造は限定されない。たとえば、下記式(4)、(5)の構造で示される。
Figure 0005338107
(Rは、2価の芳香族残基)
Figure 0005338107
(Rは、2価の芳香族残基)
Figure 0005338107
(Rは、2価の芳香族残基)
<粒径(直径)が、0.1〜9μmのポリイミド粉末>
本発明の砥石の製造に用いられる、上記粒径を有するポリイミド粉末自体は公知であり、その製造方法も公知である(特許文献4)。以下、この製造方法の好ましい例を具体的に記載するが、ポリイミド粉末の製造方法はこれに限定されるものではない。
先ず、芳香族テトラカルボン酸二無水物および芳香族ジアミンの略等モルを、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒中、0〜80℃の温度条件で反応させポリアミド酸溶液とする。ここで得られたポリアミド酸は、上記一般式(3)で表わされる繰り返し単位を主要構造単位とする重合体である。またポリアミド酸の重合度は、対数粘度で0.2〜5.0dl/gが好ましい。
次にここに、アミド系溶媒に対し、1.0〜5.0倍体積の溶解度パラメーターが9.0〜10.0(cal/cm31/2であるポリアミド酸の貧溶媒、および脂肪族酸無水物(脱水閉環剤、後述)を添加し、0〜100℃、好ましくは0〜60℃の温度条件で、化学的に脱水閉環し、ポリイミドとする。なお、溶解度パラメーターは、各種溶媒について公知であり、例えば、Polymer Handbook Fourth Edition, John Wiley & Sons, Inc. 1999, 688-694頁に記載されている。貧溶媒の具体例としては、アセトン(9.9)、メチルエチルケトン(9.3)、テトラヒドロフラン(9.1)、1,4−ジオキサン(10.0)、クロロホルム(9.3)、酢酸エチル(9.1)等を挙げることができるが特にアセトンが好ましい。(かっこ内は「Polymer Hand book(上掲)」からの引用による、溶解度パラメーター値(cal/cm31/2)。なお、これらの貧溶媒は、単独でも用いることができるし、2種以上を混合して用いることもできる。
アミド系溶媒と貧溶媒との体積比は重要なポイントであり、貧溶媒が少ないと、ゲル化が起きるか、または1次粒径の小さすぎる粉末が生じる。また貧溶媒が多すぎると、粒径が大きくなりすぎ好ましくない。しかるに、アミド系溶媒に対し、上記した特定の溶解度パラメーターを持つ貧溶媒を、特定量混合させることにより、本発明に係る球状ポリイミド粉末を得ることができる。ここでより好ましい実施態様として、ポリアミド酸として、ピロメリット酸二無水物と、4,4′−ジアミノジフェニルエーテルより得られるポリアミド酸、貧溶媒としてアセトン、アセトン/アミド系溶媒の体積比として、1.8〜4.0を挙げることができる。
脱水閉環剤となる脂肪族酸無水物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、酢酸ギ酸無水物等が挙げられるが、これらの添加量は、アミド酸単位に対し、0.8当量以上用いることが好ましい。添加量の上限は特に限定されないが、通常、3.0当量程度である。また、脱水閉環反応の触媒として、3級アミンを添加すると、イミド化の速度を早めることができる。このような3級アミンとしては、ピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2,6−ルチジン、イソキノリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。このような3級アミンの添加量は、通常、酸無水物の重量に対し、0.5〜4.0当量程度である。これらの脂肪族酸無水物や3級アミンは、それぞれ、単独でも用いることができるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
以上のようにして、イミド化反応を行なわせると、微細なポリイミド粉末が懸濁した状態のスラリー状溶液が得られるが、これを減圧ろ過、遠心脱水、スプレードライ等の工程にかけ、粉末として取り出す。必要に応じてさらに洗浄した後、最終的には乾燥工程を経て、成形に供するポリイミド粉末とする。この乾燥温度は通常250℃以下、好ましくは200℃以下が良い。乾燥温度250℃以上ではイミド閉環率が95%を越えてしまい好ましくない(イミド閉環率については後述)。また、この手法によると、生成したポリイミドは自動的に50%以上のイミド閉環率を持っており、乾燥工程でイミド化を推進させる必要は特にない。
上記の手法により、本発明に用いる0.1から9μmの粒子径(1次粒子径)を有するポリイミド粉末を得ることができるが、本発明の砥石用バインダーとして使用するには、さらに乾燥工程を経て得たポリイミド粉末をミキサー等を用いて、固まり(1次粒子の凝集体、二次粒子)を解砕することが好ましい。この解砕処理は、ミキサーや、アトマイザー、ボールミルなどを用いることで行うことができ、凝集粒子のない粒径0.1以上4.5μm未満のポリイミド粉末を得ることができる。
また、更に好ましくは、酸無水物成分としてピロメリット酸二無水物、ジアミン成分として4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを使用し上記の手法を用いることで、本発明に用いる0.1μm以上4.5μmの粒子径(1次粒子径)を有するポリイミド粉末を得ることが好ましい。本発明の砥石用バインダーとして使用するには、さらに乾燥工程を経て得たポリイミド粉末をミキサー等を用いて、固まり(1次粒子の凝集体、二次粒子)を解砕することが好ましい。この解砕処理は、ミキサーや、アトマイザー、ボールミルなどを用いることで行うことができ、凝集粒子のない粒径0.1以上4.5μm未満のポリイミド粉末を得ることができる。この解砕処理は、ミキサーや、アトマイザー、ボールミルなどを用いることで行うことができ、凝集粒子のない粒径0.1以上4.5μm未満のポリイミド粉末を得ることができる。
<数平均粒子径>
粒度測定法としては、計数法を用いた。具体的には本発明のポリイミド粉末の一次粒子径を以下のとおり測定した。ポリイミド粉末の一次粒子径は、SEM(走査電子顕微鏡)を用いて約3000倍に拡大し粒子を写真撮影し、写真上の粒子の100個以上について、最も長い径を測定し、数平均の平均粒子径を算出した(粒度測定法の計数法は、たとえば、日本粉体工業技術協会の粉体成形ハンドブック、頁56〜57、S62年2月27日、日刊工業新聞社に記載されている)。
また、上記方法により製造される、本発明に用いられるポリイミド粒子は、電子顕微鏡で観察して、粒径が0.1〜9μmであり、好ましくは球状粒子である。かつ、比表面積として、5〜19m2/gを有することが好ましい。球状であることは、本発明の極めて好ましい特徴であり、従来の再沈殿法によるポリイミド粉末と異なる点である。なお、「球状」は、粒子の電子顕微鏡写真において、最も長い径に対する最も短い径の比が0.9〜1.0、好ましくは0.95〜1.0であることを意味する。上記方法によれば、球に近い粒子が製造されるので、球状か否かは、粒子の顕微鏡写真を目視で判定することも可能である。
また、ここで粒径とは粉末の1次粒径を指し、好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは、0.1以上4.5μm未満である。1次粒径が0.1μm以下になると、2次凝集により逆に粗大化するため、前記ミキサー等による解砕が困難となるため好ましくなく、一方、10μm以上では、大きすぎて、合着性が劣り好ましくない。
また比表面積は、BET法による窒素ガス等温吸着試験により求めることができるが、5m2/g未満では、合着性が乏しく好ましくなく、19m2/gを越えると、かさ高くなりすぎ、極度に取り扱いにくくなるため好ましくない。
<イミド閉環率>
本発明に用いるポリイミド樹脂において、そのイミド閉環率は、50〜95%である。イミド閉環率とは、前駆体のポリアミック酸がポリイミドに閉環された割合のことであり、種々の手法により定量化することができるが、赤外吸収スペクトルを用いるのが、最も簡便である。
すなわち一般式(1)で示すような構造を持つイミド基は、600cm-1付近に特性吸収を有しているため、ベンゼン環の振動に基づく890cm-1近傍の吸収を標準とし、両者の吸光度比αをイミド閉環率の指標とする。次にイミド閉環が100%完結したと見なされる試料についてαを測定し、次式によりイミド閉環率を求める。後で述べる実施例においては、被験体をさらに真空中400℃で熱処理したものを、イミド閉環率100%の試料として用いた。本発明のポリイミド粉末のイミド閉環率は50〜95%であるが、ここでイミド閉環率が95%を越えると、成形時の合着性(粉末が圧縮により互いに接着する性質)が損なわれ、成形品の強度が低下するため好ましくない。また、50%未満では、成形時にガスの発生が多くなり、好ましくない。本発明に用いるポリイミド樹脂のイミド閉環率は70〜80%が好ましい。
<結晶化度>
また本発明に用いるポリイミド粉末の結晶化度は、15%未満が好ましい。結晶化度は、X線回折法により測定して、好ましくは0〜15%である。結晶化度が15%を越えると、実質的に成形困難となり好ましくない。
以上のように、本発明のポリイミド粉末は、好ましくは特定範囲の物性を有した球状粉末であるが、このような粉末は、特許文献4に記載された製造方法を用いると得られるが、従来から広く用いられている再沈殿法あるいは、溶液中加熱法では得ることができない。
<砥粒>
本発明で使用する砥粒は、従来から用いられているものでよく、天然ダイヤモンド粉末あるいはその表面に金属をコーティングしたもの、合成ダイヤモンド粉末あるいはその表面にNiやCuなどの金属をコーティングしたダイアモンド系、立方晶窒化ホウ素(CBN、あるいはSBN等と称されるもの)あるいは金属被覆されたCBN(CBNC)などのCBN系、アルミナ(Al)等のアルミナ系、窒化ケイ素等の窒化ケイ素系、SiCなどの炭化ケイ素系、ジルコニア等のジルコニア系、ZnO2、べんがら等の砥粒が挙げられる。これらの砥粒は、単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の砥石の製造に用いられる組成物は、上記したポリイミド粒子及び砥粒に加え、金属粉末を含むことが好ましい。ポリイミド樹脂に加え、金属粉末をバインダーとして用いることにより耐磨耗性がさらに向上する。金属粉末の代表例としては、アルミニウム粉末、銅粉末、ニッケル粉末、及びアルミニウム、銅、およびニッケルのうちのいずれか一種を含む合金粉末を挙げることができる。好ましいのは銅合金粉末であり、特に好ましいのは銅−錫合金粉末(ブロンズ粉末)である。金属粉末の平均粒径は5〜20μmの範囲にあることが望ましい。金属粉末を含む場合、圧縮成形に供される組成物の組成は、組成物の全体積を基準として、上記のポリイミド樹脂粉末が30〜80容量%、好ましくは50〜75容量%、金属粉末が10〜70容量%、好ましくは15〜50容量%、そしてダイヤモンド微粒子等の砥粒が5〜30容量%、好ましくは5〜20容量%とからなることが好ましい(言うまでもなく、合計は100容量%を超えない)。
<砥石>
本発明の砥石は、上記した組成物を圧縮成形することにより製造することができ、好ましくは、上記組成物の成形体を得た後、この成形体を、好ましくは、500〜10000kg/cmの加圧下に350〜500℃に加熱焼成することにより製造することができる。より具体的には、例えば、先ず、切削加工などにより所定形状の台金を形成し、この台金にローレット或いは細線溝加工を施し、この溝に接着剤を塗布、乾燥した後に、成形型との間で環状溝を作って砥粒部を形成する。その砥粒部の形成は、従来一般的には、先ず、所要の粒度分布を有する砥粒を選択し、この砥粒に結合剤を所定割合加え均一に混合する。そして、この混合物をホットプレス成形型との間の環状溝に充填し、台金、ホットプレス成形型とともに所定温度に制御しながらホットプレス成形する。このホットプレス成形における加熱ないし加圧の条件は、砥粒の被覆金属の種類、結合剤の種類、金属被覆量、金属で被覆された砥粒と結合剤との混合割合などによって異なり、特に、ホットプレスにおける保持温度は結合剤の成形反応を安定化させ、有機高分子材料からなる結合剤が軟化あるいは粘度の低下(流動化)を起こし、含有ガスを放出する範囲の温度に制御することが必要であるが、通常、上記した圧力及び温度下で好ましく製造することができる。また、加圧は含有ガスによる結合剤の膨張を抑制すると同時に、砥粒を被覆する金属を塑性変形させ、砥粒相互の被覆金属の密着を促進する条件にすることで製造することができる。
更に、本発明では、鋭意検討の結果、砥石の加圧成形方法が、以下の3つの工程からなる加圧成形方法によって製造を行うことにより、砥石としての耐摩耗性が高く、特に砥石の角が摩耗しにくい特徴を付与できることがわかった。すなわち、本発明の砥石製造方法では、以下の3つの工程からなる加圧成形方法をおこなうことが、更に好ましい。
(a)室温〜250℃の温度条件下、100〜10000kgf/cm2の圧力をかけて、圧粉体とする第1工程。
(b)上記圧粉体を、真空ないしは不活性ガス雰囲気中、350〜500℃で、0.1〜300時間熱処理する工程。
(c)上記熱処理体に、350〜500℃の温度条件下、50〜5000kgf/cmの圧力をかける第3工程。
先ず、第1工程は、上記組成物を圧縮し、圧縮体とする工程であるが、加熱温度は室温〜250℃、好ましくは、220℃以下とし、ガスの発生を極力抑えることが好ましい。250℃を超えるとガス発生が多くなり、割れ、クラックなどが起こり易いため好ましくない。また、圧力は100〜10000kgf/cmが好ましく、さらに好ましくは500〜10000kgf/cmである。100kgf/cm未満では圧縮不十分であり、最終的に低強度の砥石成形品しか得られないため好ましくなく、また10000kgf/cmを超える加圧は実用的ではない。加圧時間は成形する砥石の厚みによって異なり、1mm厚のものならば数秒程度でよいが、それより長時間行ってもなんら差し支えない。10mm厚では、3分以上加圧することが好ましい。
第1工程で得られた圧粉体は、続いて第2工程にかけられるが、第2工程の目的は、圧粉体中に含まれるガス成分を除去し、続く第3工程で加熱圧縮した際に、割れ、クラックなどが発生しないようにする点にある。この第2工程は、真空ないしは、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気中、350〜500℃の温度で、0.1から300時間行われる。空気中では樹脂の劣化が起きるため好ましくない。また350℃未満ではガス成分の除去が不十分となるため好ましくなく、500℃を超えると樹脂が熱分解するため好ましくない。より好ましい温度範囲は、370〜450℃である。また圧粉体を、上記温度範囲に急速昇温すると、一度に多量のガスが発生するため、膨れが生じ易い。したがって、膨れない程度に時間をかけて昇温する必要がある。厚さ10mmの場合においては、通常、3〜30℃/時間の昇温速度が好ましい。本発明でいうところの熱処理時間、すなわち、0.1〜300時間は、上記温度範囲に到達した後の時間であり、好ましくは、0.2〜100時間である。熱処理時間が上記範囲より短い場合は、ガス成分の除去が不十分となり好ましくなく、長い場合は樹脂の劣化が起きてくるため好ましくない。また厚い砥石成形品ほど、長時間処理する必要がある。
第2工程で得られた熱処理体は、続いて第3工程にかけられる。第3工程の目的は、高温下で加圧することにより砥石成形品の密度を上げ、その結果として、機械強度および砥石としての研削性能を向上させる点にある。第3工程の温度と圧力の条件は、各々、350〜500℃、50〜5000kgf/cmであり、好ましくは、370〜480℃、100〜5000kgf/cmである。温度が上記範囲より低いと密度向上の効果がないため好ましくなく、高い場合は樹脂の劣化が起きて好ましくない。また圧力が50kgf/cm未満ではやはり密度が向上せず好ましくない。また加圧時間は通常5から60分程度が良い。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳述する。
実施例1
4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)60.07g(0.3mol)を1.2リットルのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、これにピロメリット酸二無水物(PMDA)65.44g(0.3mol)を徐々に加えた、添加終了後、さらに1時間攪拌を続けたところ、ηinh(DMAc中、濃度0.5g/dl、30℃で測定)が2.90のポリアミド酸溶液が得られた。次にこれを、水浴で30℃に温調し、3.36リットルのアセトンを徐々に加えて、均一な溶液とした。激しく攪拌しながら、無水酢酸180mlおよびピリジン360mlを加えたところ、約5分後に、ポリイミドの黄色い粉末が析出した。これをろ過し、アセトンで洗浄した後、空気中160℃で5時間乾燥したところ、103gのポリイミド粉末が得られた(収率82%)。更にこの乾燥粉末を、ミキサー(ナショナル電気ミキサーMX−915C)を用いて、「高速」で60secの処理を2回行い、凝集体を解砕した。
このポリイミド粉末は表1に示すような特性を持つ1〜3μmφの球状粉末であった。粒子径については、SEM(電子顕微鏡)で3000倍の写真撮影を行い、粒子200個について一次粒子径を測定した。その結果平均粒子径は2.1μmであった。
続いてこのポリイミド粉末粉末70容量%、Cu粉末20容量%(関東化学株式会社<63μm)、そしてダイヤモンド微粒子(爆発式ダイヤモンド粉末、0.1〜3μm)10容量%とからなる配合を行い、この配合物の加圧成形は次の様な方法で行った。30mm×30mm×3mmtの角板用金型に前記配合物を充填し、金型を250℃に昇温した。先ず500kg/cmの圧力でガス抜きを行い、その後1000kg/cmの圧力で5分間の加圧成形を行った。その後、400℃に昇温し、2000kg/cmの圧力で5分間の加圧成形を行い、砥石(成形体)を得た。
得られた砥石(成形体)を、プラスチックの滑り磨耗試験方法(JIS K7218 1986)に準拠して、研削性を評価した。砥石(成形体、前記30mm×30mm×3mmt)を、金属リング(S45C)と接触させ、接触圧力(面圧)を10kg/cm、周速度を20m/minとする研削条件として、相手材(金属製リング、S45C)の研削性、砥石(成形体)の評価を行った。
実施例2
実施例1で得た配合物を30mm×30mm×3mmtの角板用金型に充填し、先ず、室温において500kg/cmの圧力でガス抜きを行い、続いて2000kgf/cm2の圧力で5分間の加圧成形を行い、圧粉体を得た(第1工程)。次に、この圧粉体を窒素雰囲気中400℃の温度で5時間処理し熱処理体を得た(第2工程)。次に熱処理体を再度金型に設置し、徐々に昇温し、最終的に450℃まで加熱した。この昇温過程でガスが発生するため、時々放圧しガスを抜くようにする。圧力1000kgf/cm2で450℃で5分間保った後、加圧したまま冷却し、300℃以下になったところで取り出し、砥石(成形体)を得た(第3工程)。
比較
実施例1において、乾燥温度を300℃とするほかは実質的に同様な方法を用い、ポリイミド粉末を得た。この粉末は表1に示すように、イミド閉環率100%となっており、成形後の物性は実施例1に比べて低下していた。
実施例
DDE60.07g(0.3mol)を1.2リットルのDMAcに溶解し、これにPMDA32.72g(0.15mol)、およびベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)48.33g(0.15mol)を徐々に加えた。添加終了後、さらに1時間攪拌を続けたところ、ηinhが2.10のポリアミド酸溶液が得られた。次にこれを、水浴で30℃に温調し、3.96リットルのアセトンを徐々に加えて、均一な溶液とした。激しく攪拌しながら、無水酢酸180mlおよびピリジン360mlを加えたところ、約10分後に、ポリイミドの黄色い粉末が析出した。これをろ過し、アセトンで洗浄した後、空気中160℃で5時間乾燥したところ、126gのポリイミド粉末が得られた(収率97%)。
続いてこのこのポリイミド粉末粉末70容量%、Cu粉末20容量%(関東化学株式会社<63μm)そしてダイヤモンド微粒子(爆発式ダイヤモンド粉末、0.1〜3μm)10容量%とからなる組成物の加圧成形は次の様な方法で行った。すなわち、30mm×30mm×3mmtの角板用金型に配合粉末を充填し、室温において先ず、500kgf/cm2の圧力でガス抜きを行い、続いて2000kgf/cm2の圧力をかけ約5分間保持した後圧粉体を得た(第1工程)。次に、この圧粉体を窒素雰囲気中400℃の温度で5時間処理し熱処理体を得た(第2工程)。次に熱処理体を再度金型に設置し、徐々に昇温し、最終的に450℃まで加熱する。この昇温過程でガスが発生するため、時々放圧しガスを抜くようにする。圧力1000kgf/cm2で450℃で5分間保った後、加圧したまま冷却し、300℃以下になったところで取り出し、研削砥石を得た(第3工程)。
比較例
実施例1と同様な方法でポリアミド酸を重合した後、特公昭39−30060号公報に開示されている方法に従い、次のように溶液中加熱イミド化を行った。すなわち、ポリイミド酸溶液に、ピリジン30mlを添加後、油浴で150℃に加熱し、1時間攪拌した。冷却後、沈殿をろ過し、アセトンで洗浄した後、空気中、160℃で5時間乾燥し、100gのポリイミド粉末を得た(収率96%)。
このポリイミド粉末は表1に示すような特性を持つ14〜28μmφの球状粉末であった。粒子径については、SEM(電子顕微鏡)で3000倍の写真撮影を行い、粒子200個について粒子径を測定した。その結果平均粒子径は15μmであった。この粉末の特性を表1に示したが、イミド閉環率が100%に近く、また結晶化度が高いことが大きな特徴である。
続いて実施例1と同様に成形を行ったが、上記2点の特徴のため粉末の合着性が全くなく、手で簡単に折れるようなもろい成形品しか得られなかった。また、粉末の形状は球状であったが、実施例1の粉末に比べ、かさ高く、取り扱いにくかった。これは、比表面積が非常に大きいことからもわかるように、ミクロポーラスな構造をしているためと考えられる。
比較例
実施例において、添加するアセトンを6.2リットルとするほかは、実質的に同様な方法で重合を行った。しかし、得られたポリイミド粉末は表1に示すように粗大なものであった。
Figure 0005338107
砥石(成形体)の研削性評価の概略を示す図である。
符号の説明
1 砥石(成形体)評価材
2 金属性リング(S45C)相手材

Claims (7)

  1. バインダー樹脂と、砥粒とを含む組成物を圧縮成形して得られる砥石において、前記バインダー樹脂が、数平均粒子径0.1〜9μmのポリイミド粒子であり、該ポリイミドの閉環率が50%〜95%であり、前記ポリイミドが、酸二無水物成分として、少なくともピロメリット酸二無水物を重縮合させて得られたポリイミドであることを特徴とする砥石。
  2. 前記バインダー樹脂の数平均粒子径が、0.1以上、4.5μm未満である請求項1記載の砥石。
  3. 前記ポリイミド粒子が球状粒子である請求項1又は2記載の砥石。
  4. 前記組成物が、金属粉末をさらに含む請求項1ないしのいずれか1項に記載の砥石。
  5. 前記砥粒が、ダイヤモンド系、CBN(立方晶窒化ホウ素)系、アルミナ系、窒化珪素系、炭化ケイ素系及びジルコニア系からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1ないしのいずれか1項に記載の砥石。
  6. バインダー樹脂と、砥粒とを含む組成物を圧縮成形することを含む砥石の製造方法において、前記バインダー樹脂が、数平均粒子径0.1〜9μmのポリイミド粒子であり、該ポリイミドの閉環率が50%〜95%であり、前記ポリイミドが、酸二無水物成分として、少なくともピロメリット酸二無水物を重縮合させて得られたポリイミドであることを特徴とする砥石の製造方法。
  7. (a)室温〜250℃の温度条件下、100〜10000kgf/cmの圧力をかけて、圧粉体とする工程と、
    (b)上記圧粉体を、真空又は不活性ガス雰囲気中、350〜500℃で、0.1〜300時間熱処理する工程と、
    (c)上記熱処理体に、350〜500℃の温度条件下、50〜5000kgf/cmの圧力をかける工程とを含む方法により圧縮成形を行なう請求項記載の方法。
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