JP3754526B2 - 燃焼装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、給水を加熱して給湯を行う給湯回路と、浴槽内の水を循環させて加熱する循環回路と、これらを接続する注湯回路とを有する複合式燃焼装置に関し、特に、給湯回路にバイパス通路及びそれを開閉するバイパス弁を備えた燃焼装置における注湯制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
複合式燃焼装置は、給湯栓から湯を給湯する給湯回路と、浴槽内の水を循環させて加熱する追い焚き循環回路と、給湯回路と追い焚き循環回路とを接続し、給湯回路から出湯する湯を追い焚き循環回路内を経由させて浴槽へ落とし込む注湯回路とを備えている。
【0003】
給湯回路から出湯される湯を浴槽へ注湯するときに、浴槽の水位を測定する圧力センサが、浴槽に接続されている回路(例えば注湯回路)に設けられている。
【0004】
現在広く使用されている圧力センサを備えた燃焼装置では、施工時に行われる記憶モードのときに浴槽の循環金具の上の基準水位に対する配管内の圧力値を基準水位の圧力値として記憶し、その後の注湯運転時においては、その基準水位の圧力値との比較から、浴槽内の水位を求めている。
【0005】
この圧力センサは、その検出値にばらつきがあるとともに経年変化による検出値の変動が大きく、その検出値の補正を頻繁に行う必要がある。一般的な圧力センサは、内部にダイヤフラムなどを有してそのダイヤフラムに加えられる圧力によりダイヤフラムが変形し、その変形の程度を検出値として出力する。そのため、燃焼装置は、自動湯張り運転のとき複雑な注湯工程により、一旦基準水位を再現し、その時の圧力センサの検出値を記憶済みの基準水位の圧力値と比較して補正している。
【0006】
図5は、実行モードによる自動湯張り運転のフローチャートであり、図6は、それに対応した浴槽の水位を示す図である。
【0007】
図6を参照しながら図5を説明すると、自動湯張り運転は、リモコンから水位と温度を設定して自動スイッチをONすることで始まる(S11)。まず、追い焚き循環回路内の循環ポンプを運転して(S12)、風呂流水スイッチがOFFであるかどうかをチェックし(S13)、ONの場合は、循環金具以上の残水が浴槽にあると判断して、追い焚き運転(S25)に移行し、OFFの場合は、まず循環ポンプの呼び水程度の少量(例えば10リットル)を注湯電磁弁を開くことで浴槽に注湯する(S14)。そして、循環ポンプをONさせて、流水スイッチがOFFかどうかのチェックを行う(S15,S16)。ONの場合は、追い焚き運転(S25)に移行し、OFFの場合は、循環金具の下に達する水量を注湯する(S17)。記憶モード時に浴槽の循環金具のしたまでの水量(10+Xリットル)が記憶されているので、それらの記憶値を利用すれば、浴槽が空だった場合に必要な水量を知ることができるので、その量だけの注湯が行われる。
【0008】
そして、注湯電磁弁を閉じて、循環ポンプをONにして風呂流水スイッチがOFFかどうかのチェックを行う(S19)。循環金具よりも上に水位が来ている場合は、流水スイッチがONするので、追い焚き運転(S25)に移行し、OFFの場合は浴槽は最初は空であったと判断して、注湯電磁弁を開いて循環金具の上の基準水位Paまで注湯する(S20)。この場合も、記憶モード時に記憶した値Yリットルが利用される。
【0009】
次に、圧力センサの出力が取り込まれる(S21)。このときに検出される圧力センサの値が基準水位Paに対応する値である。圧力センサの出力値が得られると、もう一度循環ポンプを回し(S22)、風呂流水スイッチがONしていることを確認した後(S23)、循環ポンプを停止する。そして、上記圧力センサの検出値が、記憶モード時に記憶した循環金具の上の基準水位まで注湯したときの圧力センサ検出値と比較され、異なる場合は、圧力センサに経年変化が生じたことを意味し、基準水位の圧力値が新しい検出値に補正される(S24)。具体的には、制御部のマイクロコンピュータに接続される不揮発性メモリに書き換えされる。
【0010】
ステップS13、16、19にて、循環金具よりも上に水位があると判断された場合は、設定温度近辺まで追い焚きされる(S25)。その後、設定温度近傍まで温度が上昇すると、圧力センサの圧力値が検出される(S26)。
【0011】
その後、設定水位まで注湯する工程がステップS27、28、29に従って、行われる。この注湯工程では、注湯電磁弁を開いて注湯を行い、注湯電磁弁を閉じて循環ポンプを停止した後、浴槽の水位を圧力センサから検出する。そして、Zリットル注湯され、設定水位に達したと判断されると(S27)、設定温度まで追い焚きが行われ(S30)、最後に沸き上げブザーが出力される(S31)。
【0012】
以上のように、使用者から湯張りの指令を受けたときに行われる自動湯張り運転のとき、圧力センサに経年変化が生じているときは、その検出値の補正が行われていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、給湯回路において、給水管を流れる水の一部を熱交換器を通過させずに出湯管へ導くバイパス通路が設けられているものがあり、そのバイパス通路には、その通路を開閉するバイパス弁が取り付けられている。そして、通常、上述の自動湯張り運転を行っているとき、その注湯量を把握するために、バイパス弁を閉じた状態で注湯が行われる。なぜならば、注湯量は、熱交換器へ送り込まれる水量を検出する流量センサの検出値に基づいており、この流量センサはバイパス通路に流れる流量を検出しないからである。
【0014】
一般的に、バイパス弁は、ギアモータで動かされ、そのギアモータの軸の回転をホールICで検出することによって、バイパス弁の開閉が検出される。このとき、例えばOリングの損傷又は経年変化などにより、バイパス弁が閉じられているにもかかわらず、バイパス弁に洩れが発生する場合がある。この洩れが発生すると、バイパス管からの水が注湯管を流れて注湯されるため、流量センサにより検出する注湯量と実際の注湯量が相違する。そのため、例えば、上記基準水位Paにおける圧力センサの検出する圧力値が変化する。
【0015】
そうすると、圧力センサ自体の変化でないにもかかわらず、基準水位Paにおける圧力値が異なるため、上述のフローチャートに示したように、圧力センサの補正(S24)が行われてしまう。
【0016】
このように、バイパス弁に漏れがあると、圧力センサの補正が不正確になり、設定された水位まで正確に注湯を行うことができない。
【0017】
そこで、本発明の目的は、バイパス弁に漏れがある場合においても、設定水位までの注湯を正確に行うことができる燃焼装置を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、本発明の第一の構成によれば、給水を加熱して給湯を行う給湯回路と、浴槽内の水を循環して加熱する循環回路と、該給湯回路と該循環回路とを接続する注湯回路とを有し、該給湯回路は給水を熱交換器から迂回させるバイパス管と、該バイパス管を開閉するバイパス弁とを備えている燃焼装置において、前記浴槽の水量を検出する水量センサと、該水量センサからの出力に基づいて注湯を制御する注湯制御部とを有し、
該注湯制御部は、前記バイパス弁の洩れが検出されたとき、あらかじめ記憶されている前記浴槽の基準水位までの水量に基づいて注湯量を制御する第一のモードに代わって、前記水量センサの検出値に基づいて前記基準水位までの水量を求め、該求められた水量に基づいて注湯量を制御する第二のモードによる注湯制御を行うことを特徴とする燃焼装置を提供することにより達成される。
【0019】
又、上記目的は、本発明の第二の構成によれば、給水を加熱して給湯を行う給湯回路と、浴槽内の水を循環して加熱する循環回路と、該給湯回路と該循環回路とを接続する注湯回路とを有し、該給湯回路は給水を熱交換器から迂回させるバイパス管と、該バイパス管を開閉するバイパス弁とを備えている燃焼装置において、
前記浴槽の水位を検出する圧力センサと、該圧力センサからの出力に基づいて注湯を制御する注湯制御部とを有し、
該注湯制御部は、前記バイパス弁の洩れが検出されたとき、あらかじめ記憶されている前記浴槽の開口面積に基づいて注湯量を制御する第一のモードに代わって、前記圧力センサの検出値に基づいて前記浴槽の換算開口面積を求め、該求められた換算開口面積に基づいて注湯量を制御する第二のモードによる注湯制御を行うことを特徴とする燃焼装置を提供することにより達成される。
【0020】
又、上記目的は、本発明の第三の構成によれば、給水を加熱して給湯を行う給湯回路と、浴槽内の水を循環して加熱する循環回路と、該給湯回路と該循環回路とを接続する注湯回路とを有し、該給湯回路は給水を熱交換器から迂回させるバイパス管と、該バイパス管を開閉するバイパス弁とを備えている燃焼装置において、
前記浴槽の水量を検出する水量センサと、前記浴槽の水位を検出する圧力センサと、該水量センサ及び該圧力センサからの出力に基づいて注湯を制御する注湯制御部とを有し、
該注湯制御部は、前記バイパス弁の洩れが検出されたとき、あらかじめ記憶されている前記浴槽の基準水位までの水量及び前記浴槽の開口面積に基づいて注湯量を制御する第一のモードに代わって、前記水量センサの検出値に基づいて前記基準水位までの水量及び前記圧力センサの検出値に基づいて前記浴槽の換算開口面積を求め、該求められた水量及び換算開口面積に基づいて注湯量を制御する第二のモードによる注湯制御を行うことを特徴とする燃焼装置を提供することにより達成される。
【0021】
又、上記目的は、本発明の第四の構成によれば、給水を加熱して給湯を行う給湯回路と、浴槽内の水を循環して加熱する循環回路と、該給湯回路と該循環回路とを接続する注湯回路とを有し、該給湯回路は給水を熱交換器から迂回させるバイパス管と、該バイパス管を開閉するバイパス弁とを備えている燃焼装置において、
前記浴槽の水量を検出する水量センサと、該水量センサからの出力に基づいて注湯を制御する注湯制御部とを有し、
該注湯制御部は、前記バイパス弁の洩れが検出されたとき、且つその洩れ量の変化が所定量以上であるとき、あらかじめ記憶されている前記浴槽の基準水位までの水量に基づいて注湯量を制御する第一のモードに代わって、前記水量センサの検出値に基づいて前記基準水位までの水量を求め、該求められた水量に基づいて注湯量を制御する第二のモードによる注湯制御を行うことを特徴とする燃焼装置を提供することにより達成される。
【0022】
又、上記目的は、本発明の第五の構成によれば、給水を加熱して給湯を行う給湯回路と、浴槽内の水を循環して加熱する循環回路と、該給湯回路と該循環回路とを接続する注湯回路とを有し、該給湯回路は給水を熱交換器から迂回させるバイパス管と、該バイパス管を開閉するバイパス弁とを備えている燃焼装置において、
前記浴槽の水位を検出する圧力水量センサと、該圧力センサからの出力に基づいて注湯を制御する注湯制御部とを有し、
該注湯制御部は、前記バイパス弁の洩れが検出されたとき、且つその洩れ量の変化が所定量以上であるとき、あらかじめ記憶されている前記浴槽の開口面積に基づいて注湯量を制御する第一のモードに代わって、前記圧力センサの検出値に基づいて前記浴槽の換算開口面積を求め、該求められた換算開口面積に基づいて注湯量を制御する第二のモードによる注湯制御を行うことを特徴とする燃焼装置を提供することにより達成される。
【0023】
又、上記目的は、本発明の第六の構成によれば、給水を加熱して給湯を行う給湯回路と、浴槽内の水を循環して加熱する循環回路と、該給湯回路と該循環回路とを接続する注湯回路とを有し、該給湯回路は給水を熱交換器から迂回させるバイパス管と、該バイパス管を開閉するバイパス弁とを備えている燃焼装置において、
前記浴槽の水量を検出する水量センサと、前記浴槽の水位を検出する圧力センサと、該水量センサ及び該圧力センサからの出力に基づいて注湯を制御する注湯制御部とを有し、
該注湯制御部は、前記バイパス弁の洩れが検出されたとき、且つその洩れ量の変化が所定量以上であるとき、あらかじめ記憶されている前記浴槽の基準水位までの水量及び前記浴槽の開口面積に基づいて注湯量を制御する第一のモードに代わって、前記水量センサの検出値に基づいて前記基準水位までの水量及び前記圧力センサの検出値に基づいて前記浴槽の換算開口面積を求め、該求められた水量及び換算開口面積に基づいて注湯量を制御する第二のモードによる注湯制御を行うことを特徴とする燃焼装置を提供することにより達成される。
【0024】
さらに、前記第四乃至第六の構成において、前記洩れ量の変化量は、好ましくは、前記バイパス弁から洩れた水が前記熱交換器から出湯される湯に合流する前後の湯の温度差に基づいて求められる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に従って説明する。しかしながら、本発明の技術的範囲がこの実施の形態に限定されるものではない。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態である燃焼装置の構成を示す図である。図1によれば、燃焼装置1は、給湯回路10と、浴槽に接続される追い焚き循環回路20と、それらを接続する注湯回路30を有する。本発明における燃焼装置1の給湯回路10は、バイパス管13及びそれを開閉するバイパス弁14を備えており、さらに、熱交換器11、水量センサ12、入水温度センサ15、熱交換器温度センサ16、出湯温度センサ17、水流スイッチ18、給湯口19が設けられる。給湯口19の栓が開かれると、水量センサ12が検出して、ガス元電磁弁4を開き、比例弁3の開度が調整されてバーナー2の能力が制御される。その結果、出湯温度が設定温度になるように、フィードフォワード及びフィードバック制御が行われる。
【0027】
循環回路20内には、熱交換器21、温度センサ22、循環ポンプ23と水流スイッチ24が設けられる。5はバーナーであり、電磁弁6を介して、元ガス弁4のガス導入部に接続される。浴槽40内の循環金具41以上に水位があるか否かの検出は、循環ポンプ23を駆動し、流水スイッチ24が流水を感知するか否かにより行われる。また、追い焚き運転は、循環ポンプ23を駆動しながら、バーナー25を着火させて温度センサ22が設定温度になるまで燃焼することにより行われる。
【0028】
注湯回路30には、それを開閉する注湯電磁弁31及び浴槽40の水位を検出する圧力センサ32が備えられている。そして、上記したセンサ及び電磁弁などのアクチュエータ類は、マイクロコンピュータを搭載する制御部50に図示しない配線により接続されている。さらに、リモコン51から水位、温度及び運転モードなどが制御部50に入力される。
【0029】
また、バイパス弁14の洩れの有無は、熱交換器温度センサ16と出湯温度センサ17の温度差から検出することが可能である。即ち、注湯中は、バイパス弁14は閉じた状態で行われるので、バイパス弁14に洩れがなければ、両温度はほぼ等しいが、洩れが生じていると、バイパス管13からの水の混入により、出湯温度センサ17の温度が熱交換器温度センサ16の温度より低くなるからである。
【0030】
図2は、上記のような燃焼装置の構成において、バイパス弁14の洩れの有無に対応した浴槽40の水位と水量センサ12が検出する注湯量の関係を示す図である。洩れがない場合は、直線Aに示すように、注湯量QB で基準水位Paまで注湯され、その後、設定水位Psまで注湯される。一方、バイパス弁14が洩れている場合、直線Bで示すように、水量センサ12で検出されない洩れ量も注湯されるので、基準水位Paになるように上述のフローチャートに従って、水量センサ12の検出値に基づいて注湯量QB が注湯されると、基準水位Paを超えて注湯される(点N)。
【0031】
従って、従来は、基準水位Paでの圧力センサ32の検出値が変化したと判断され、圧力センサ32の補正が行われる(図5ステップS24参照)。即ち、点Nの水位における圧力センサ32の検出値が、点M即ち基準水位Paにおける検出値として補正されてしまう。
【0032】
このように、バイパス弁14からの水の洩れによって、圧力センサ32の経年変化が生じていない場合であっても、圧力センサ32の検出値が誤って補正されてしまう。そのため、バイパス弁14から水が洩れているときは、補正後の圧力センサ32の検出値を用いて設定水位Psまで注湯しようとすると、水位Pbの位置からPs−Paの水位ΔP1分の流量が注湯され、設定水位Psを超えてしまい、水位不良又は湯が浴槽からあふれるなどの不具合が生じる。
【0033】
そこで本発明の実施の形態においては、バイパス弁14の漏れが検出されたときは、以下に説明する水量センサ補正モードによる注湯制御が行われる。即ち、水量センサ補正モードにおいては、バイパス弁14に洩れがある場合、燃焼装置の設置後最初に行われる記憶モードによる自動湯張り運転で設定される基準水位Paまでの水量及び浴槽40の換算開口面積を設定し直すことにより、設定水位Psまでの正確な注湯を行う。
【0034】
図3は、図5で説明した従来のフローチャートに上記水量センサ補正モードを付加した本発明の実施の形態のフローチャートである。また、図4は、このフローにおける浴槽40の水位を示す図である。図4を参照しながら図3を説明する。自動スイッチがONされて自動湯張り運転が開始されると(S11)、追い焚き循環回路20内の循環ポンプ23を運転して(S12)、風呂流水スイッチ24がOFFであるかどうかをチェックする(S13)。ここで、ONの場合は、従来同様に循環金具41以上の残水が浴槽にあると判断して、追い焚き運転(S25)に移行するが、OFFの場合は、バイパス弁14の洩れの有無が検出される(S41)。洩れの有無は、上述したように、出湯温度センサ17と熱交換器温度センサ16との温度差から検出する。
【0035】
洩れがない場合は、ステップS14以降の上述した実行モードによる注湯制御が行われる。一方、洩れが検出された場合は、さらに、その洩れ量が所定量以上であるか否かが検出される(S42)。ステップS42については後に詳述する。そして、洩れ量が所定量以上であると、ステップS43乃至ステップS52の水量センサ補正モードによる注湯制御が行われる。
【0036】
まず、ステップS43において、aリットル(例えば40リットル)が注湯される。そして、循環ポンプ23をONさせて(S44)、流水スイッチ24がOFFかどうかのチェックを行う(S45)。ONの場合は、追い焚き運転(S25)に移行し、OFFの場合は、bリットル(例えば10リットル)が注湯される(S46)。
【0037】
そして、注湯電磁弁31を閉じ、循環ポンプ23をONにして(S47)、風呂流水スイッチ24がOFFかどうかのチェックを行う(S48)。循環金具41よりも上に水位が来ている場合は、流水スイッチ24がONするので、追い焚き運転(S25)に移行し、OFFの場合は、さらにbリットル注湯され、流水スイッチ24がONになるまで繰り返される。
【0038】
循環ポンプ23を回し、風呂流水スイッチ24がONしていることが確認されると、さらにbリットル注湯され(S49)、そのときの水位が基準水位Paとして圧力センサ32の出力が検出され(S50)、その検出値と基準水位Paまでの注湯量(図2におけるQA )が記憶される。
【0039】
ところで、この注湯される流量は、水量センサ12が検出する流量であり、バイパス弁14からの洩れ量は含まれていない。従って、検出される流量と、実際に注湯されている流量は異なる。図2によれば、洩れがない場合の直線Aに比べ、洩れがある場合の直線Bは、バイパス弁14からの洩れ分も注湯されているため、検出流量に対する水位の変化率が大きい。従って、見かけ上、少ない流量で基準水位Paに達する(点L)。しかしながら、流水スイッチ24がONになる水位に変化はなく、そのため、基準水位Paの水位もほとんど変化しない。そこで、設置後最初の記憶モードによる自動湯張り運転において、洩れがない状態で求められ、記憶されている基準水位Paまでの注湯量QB に代わって、基準水位Paにおける水量センサ12の検出流量を注湯量QA に記憶し直すことにより、洩れがある場合であっても、水量センサ12の検出流量に基づいた基準水位Paまでの注湯が可能となる。
【0040】
図3に戻り、さらに、基準水位Paまで注湯された後、その水位からさらにcリットル(例えば30リットル)が注湯が注湯される(S51)。そして、その水位Pbにおける圧力センサ32の出力が検出される(S52)。さらに、水位Paから水位Pbまでの注湯量cリットルと圧力センサ32の検出値の変化Pb−Paから換算される浴槽40の開口面積S(以下換算開口面積という)が、
S=c/Pb−Pa ・・・(1)
により求められる(S53)。
【0041】
換算開口面積Sは、設置後最初の記憶モードによる自動湯張り運転において求められており、その値は、基準水位Paまでの注湯量QB 同様にあらかじめ制御部50に記憶されている。従来は、水位Pbから設定水位Psまでの注湯量は、記憶されている換算開口面積S及び設定水位Psまでの水位に基づいて行われている。しかしながら、洩れがある場合、記憶されている換算開口面積Sに基づいた注湯量ΔQ1を注湯すると、図4に示すように、設定水位Psを超えてしまう。これは、実際の注湯量が、記憶されている洩れがない場合の換算開口面積Sに基づいて演算された注湯量より多いからである。
【0042】
そこで、本発明の実施の形態においては、バイパス弁14に洩れがある場合は、あらかじめ記憶されている換算開口面積Sに代わって、ステップS53によって求められた換算開口面積S、即ち図4における直線Bの傾き(傾きは1/Sを表している)に基づいて設定水位Psまでの注湯量ΔQ2を求める。
【0043】
そして、この注湯量ΔQ2に従って、さらに設定水位Psまで注湯される(ステップS27乃至S29)。これにより、水量センサ12が検出する見かけの流量に基づいて設定水位Psまで注湯することが可能となる。
【0044】
上記基準水位Paまでの注湯量及び換算開口面積Sは、具体的には、制御部50のマイクロコンピュータに接続される不揮発性メモリに書き換えされる。
【0045】
ここで、ステップS42について説明する。ステップS41において、洩れが検出された場合であっても、すでに、その洩れ量において、上記水量センサ補正モードの運転が行われ、上記基準水位Paまでの注湯量及び換算開口面積Sが書き換えられている場合は、再度、水量センサ補正モードを行う必要がない。そこで、ステップS42において、洩れ量が変化しない場合は、ステップS14以降の実行モードによる注湯制御が行われる。この洩れ量の変化は、上述のように、出湯温度センサ17及び熱交換器温度センサ16の温度差によって検出される。具体的には、例えば温度差が2度以上変化したときは、水量センサ補正モードによる注湯制御を行う。洩れ量の変化が所定量未満の場合に、ステップS14以降の実行モードの注湯制御を行うのは、設定水位Psまでの注湯時間が水量センサ補正モードと比較して短縮される利点というがあるからである。
【0046】
本発明における燃焼装置は、図1に示した構造に限られず、例えば、一缶二水路式燃焼装置のような燃焼装置であってもよい。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、給湯回路のバイパス弁の漏れが検出されたときは、水量センサ補正モードによる自動湯張り運転が行われ、基準水位までの注湯量及び浴槽の換算開口面積が書き換えられ、書き換えられた値に基づいて設定水位までの注湯が行われる。従って、洩れ量が追加されて基準水位が変化し、それによって、圧力センサが不正確に補正され、設定水位を超えて注湯される水位不良や湯の浴槽からのあふれなどが防止される。
【0048】
また、洩れ量が所定量変化した場合においても、基準水位までの注湯量及び浴槽の換算開口面積が書き換えられるので常に正確な注湯量制御を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における燃焼装置の構成例である。
【図2】バイパス弁の洩れの有無に対応した浴槽の水位と水量センサが検出する注湯量の関係を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかるフローチャートである。
【図4】水量センサ補正モードにおける浴槽の水位を示す図である。
【図5】従来の自動湯張り運転におけるフローチャートである。
【図6】従来の自動湯張り運転時の浴槽の水位を示す図である。
【符号の説明】
1 燃焼装置
10 給湯回路
12 水量センサ
13 バイパス管
14 バイパス弁
20 追い焚き循環回路
30 注湯回路
32 圧力センサ
40 浴槽
50 制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、給水を加熱して給湯を行う給湯回路と、浴槽内の水を循環させて加熱する循環回路と、これらを接続する注湯回路とを有する複合式燃焼装置に関し、特に、給湯回路にバイパス通路及びそれを開閉するバイパス弁を備えた燃焼装置における注湯制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
複合式燃焼装置は、給湯栓から湯を給湯する給湯回路と、浴槽内の水を循環させて加熱する追い焚き循環回路と、給湯回路と追い焚き循環回路とを接続し、給湯回路から出湯する湯を追い焚き循環回路内を経由させて浴槽へ落とし込む注湯回路とを備えている。
【0003】
給湯回路から出湯される湯を浴槽へ注湯するときに、浴槽の水位を測定する圧力センサが、浴槽に接続されている回路(例えば注湯回路)に設けられている。
【0004】
現在広く使用されている圧力センサを備えた燃焼装置では、施工時に行われる記憶モードのときに浴槽の循環金具の上の基準水位に対する配管内の圧力値を基準水位の圧力値として記憶し、その後の注湯運転時においては、その基準水位の圧力値との比較から、浴槽内の水位を求めている。
【0005】
この圧力センサは、その検出値にばらつきがあるとともに経年変化による検出値の変動が大きく、その検出値の補正を頻繁に行う必要がある。一般的な圧力センサは、内部にダイヤフラムなどを有してそのダイヤフラムに加えられる圧力によりダイヤフラムが変形し、その変形の程度を検出値として出力する。そのため、燃焼装置は、自動湯張り運転のとき複雑な注湯工程により、一旦基準水位を再現し、その時の圧力センサの検出値を記憶済みの基準水位の圧力値と比較して補正している。
【0006】
図5は、実行モードによる自動湯張り運転のフローチャートであり、図6は、それに対応した浴槽の水位を示す図である。
【0007】
図6を参照しながら図5を説明すると、自動湯張り運転は、リモコンから水位と温度を設定して自動スイッチをONすることで始まる(S11)。まず、追い焚き循環回路内の循環ポンプを運転して(S12)、風呂流水スイッチがOFFであるかどうかをチェックし(S13)、ONの場合は、循環金具以上の残水が浴槽にあると判断して、追い焚き運転(S25)に移行し、OFFの場合は、まず循環ポンプの呼び水程度の少量(例えば10リットル)を注湯電磁弁を開くことで浴槽に注湯する(S14)。そして、循環ポンプをONさせて、流水スイッチがOFFかどうかのチェックを行う(S15,S16)。ONの場合は、追い焚き運転(S25)に移行し、OFFの場合は、循環金具の下に達する水量を注湯する(S17)。記憶モード時に浴槽の循環金具のしたまでの水量(10+Xリットル)が記憶されているので、それらの記憶値を利用すれば、浴槽が空だった場合に必要な水量を知ることができるので、その量だけの注湯が行われる。
【0008】
そして、注湯電磁弁を閉じて、循環ポンプをONにして風呂流水スイッチがOFFかどうかのチェックを行う(S19)。循環金具よりも上に水位が来ている場合は、流水スイッチがONするので、追い焚き運転(S25)に移行し、OFFの場合は浴槽は最初は空であったと判断して、注湯電磁弁を開いて循環金具の上の基準水位Paまで注湯する(S20)。この場合も、記憶モード時に記憶した値Yリットルが利用される。
【0009】
次に、圧力センサの出力が取り込まれる(S21)。このときに検出される圧力センサの値が基準水位Paに対応する値である。圧力センサの出力値が得られると、もう一度循環ポンプを回し(S22)、風呂流水スイッチがONしていることを確認した後(S23)、循環ポンプを停止する。そして、上記圧力センサの検出値が、記憶モード時に記憶した循環金具の上の基準水位まで注湯したときの圧力センサ検出値と比較され、異なる場合は、圧力センサに経年変化が生じたことを意味し、基準水位の圧力値が新しい検出値に補正される(S24)。具体的には、制御部のマイクロコンピュータに接続される不揮発性メモリに書き換えされる。
【0010】
ステップS13、16、19にて、循環金具よりも上に水位があると判断された場合は、設定温度近辺まで追い焚きされる(S25)。その後、設定温度近傍まで温度が上昇すると、圧力センサの圧力値が検出される(S26)。
【0011】
その後、設定水位まで注湯する工程がステップS27、28、29に従って、行われる。この注湯工程では、注湯電磁弁を開いて注湯を行い、注湯電磁弁を閉じて循環ポンプを停止した後、浴槽の水位を圧力センサから検出する。そして、Zリットル注湯され、設定水位に達したと判断されると(S27)、設定温度まで追い焚きが行われ(S30)、最後に沸き上げブザーが出力される(S31)。
【0012】
以上のように、使用者から湯張りの指令を受けたときに行われる自動湯張り運転のとき、圧力センサに経年変化が生じているときは、その検出値の補正が行われていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、給湯回路において、給水管を流れる水の一部を熱交換器を通過させずに出湯管へ導くバイパス通路が設けられているものがあり、そのバイパス通路には、その通路を開閉するバイパス弁が取り付けられている。そして、通常、上述の自動湯張り運転を行っているとき、その注湯量を把握するために、バイパス弁を閉じた状態で注湯が行われる。なぜならば、注湯量は、熱交換器へ送り込まれる水量を検出する流量センサの検出値に基づいており、この流量センサはバイパス通路に流れる流量を検出しないからである。
【0014】
一般的に、バイパス弁は、ギアモータで動かされ、そのギアモータの軸の回転をホールICで検出することによって、バイパス弁の開閉が検出される。このとき、例えばOリングの損傷又は経年変化などにより、バイパス弁が閉じられているにもかかわらず、バイパス弁に洩れが発生する場合がある。この洩れが発生すると、バイパス管からの水が注湯管を流れて注湯されるため、流量センサにより検出する注湯量と実際の注湯量が相違する。そのため、例えば、上記基準水位Paにおける圧力センサの検出する圧力値が変化する。
【0015】
そうすると、圧力センサ自体の変化でないにもかかわらず、基準水位Paにおける圧力値が異なるため、上述のフローチャートに示したように、圧力センサの補正(S24)が行われてしまう。
【0016】
このように、バイパス弁に漏れがあると、圧力センサの補正が不正確になり、設定された水位まで正確に注湯を行うことができない。
【0017】
そこで、本発明の目的は、バイパス弁に漏れがある場合においても、設定水位までの注湯を正確に行うことができる燃焼装置を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、本発明の第一の構成によれば、給水を加熱して給湯を行う給湯回路と、浴槽内の水を循環して加熱する循環回路と、該給湯回路と該循環回路とを接続する注湯回路とを有し、該給湯回路は給水を熱交換器から迂回させるバイパス管と、該バイパス管を開閉するバイパス弁とを備えている燃焼装置において、前記浴槽の水量を検出する水量センサと、該水量センサからの出力に基づいて注湯を制御する注湯制御部とを有し、
該注湯制御部は、前記バイパス弁の洩れが検出されたとき、あらかじめ記憶されている前記浴槽の基準水位までの水量に基づいて注湯量を制御する第一のモードに代わって、前記水量センサの検出値に基づいて前記基準水位までの水量を求め、該求められた水量に基づいて注湯量を制御する第二のモードによる注湯制御を行うことを特徴とする燃焼装置を提供することにより達成される。
【0019】
又、上記目的は、本発明の第二の構成によれば、給水を加熱して給湯を行う給湯回路と、浴槽内の水を循環して加熱する循環回路と、該給湯回路と該循環回路とを接続する注湯回路とを有し、該給湯回路は給水を熱交換器から迂回させるバイパス管と、該バイパス管を開閉するバイパス弁とを備えている燃焼装置において、
前記浴槽の水位を検出する圧力センサと、該圧力センサからの出力に基づいて注湯を制御する注湯制御部とを有し、
該注湯制御部は、前記バイパス弁の洩れが検出されたとき、あらかじめ記憶されている前記浴槽の開口面積に基づいて注湯量を制御する第一のモードに代わって、前記圧力センサの検出値に基づいて前記浴槽の換算開口面積を求め、該求められた換算開口面積に基づいて注湯量を制御する第二のモードによる注湯制御を行うことを特徴とする燃焼装置を提供することにより達成される。
【0020】
又、上記目的は、本発明の第三の構成によれば、給水を加熱して給湯を行う給湯回路と、浴槽内の水を循環して加熱する循環回路と、該給湯回路と該循環回路とを接続する注湯回路とを有し、該給湯回路は給水を熱交換器から迂回させるバイパス管と、該バイパス管を開閉するバイパス弁とを備えている燃焼装置において、
前記浴槽の水量を検出する水量センサと、前記浴槽の水位を検出する圧力センサと、該水量センサ及び該圧力センサからの出力に基づいて注湯を制御する注湯制御部とを有し、
該注湯制御部は、前記バイパス弁の洩れが検出されたとき、あらかじめ記憶されている前記浴槽の基準水位までの水量及び前記浴槽の開口面積に基づいて注湯量を制御する第一のモードに代わって、前記水量センサの検出値に基づいて前記基準水位までの水量及び前記圧力センサの検出値に基づいて前記浴槽の換算開口面積を求め、該求められた水量及び換算開口面積に基づいて注湯量を制御する第二のモードによる注湯制御を行うことを特徴とする燃焼装置を提供することにより達成される。
【0021】
又、上記目的は、本発明の第四の構成によれば、給水を加熱して給湯を行う給湯回路と、浴槽内の水を循環して加熱する循環回路と、該給湯回路と該循環回路とを接続する注湯回路とを有し、該給湯回路は給水を熱交換器から迂回させるバイパス管と、該バイパス管を開閉するバイパス弁とを備えている燃焼装置において、
前記浴槽の水量を検出する水量センサと、該水量センサからの出力に基づいて注湯を制御する注湯制御部とを有し、
該注湯制御部は、前記バイパス弁の洩れが検出されたとき、且つその洩れ量の変化が所定量以上であるとき、あらかじめ記憶されている前記浴槽の基準水位までの水量に基づいて注湯量を制御する第一のモードに代わって、前記水量センサの検出値に基づいて前記基準水位までの水量を求め、該求められた水量に基づいて注湯量を制御する第二のモードによる注湯制御を行うことを特徴とする燃焼装置を提供することにより達成される。
【0022】
又、上記目的は、本発明の第五の構成によれば、給水を加熱して給湯を行う給湯回路と、浴槽内の水を循環して加熱する循環回路と、該給湯回路と該循環回路とを接続する注湯回路とを有し、該給湯回路は給水を熱交換器から迂回させるバイパス管と、該バイパス管を開閉するバイパス弁とを備えている燃焼装置において、
前記浴槽の水位を検出する圧力水量センサと、該圧力センサからの出力に基づいて注湯を制御する注湯制御部とを有し、
該注湯制御部は、前記バイパス弁の洩れが検出されたとき、且つその洩れ量の変化が所定量以上であるとき、あらかじめ記憶されている前記浴槽の開口面積に基づいて注湯量を制御する第一のモードに代わって、前記圧力センサの検出値に基づいて前記浴槽の換算開口面積を求め、該求められた換算開口面積に基づいて注湯量を制御する第二のモードによる注湯制御を行うことを特徴とする燃焼装置を提供することにより達成される。
【0023】
又、上記目的は、本発明の第六の構成によれば、給水を加熱して給湯を行う給湯回路と、浴槽内の水を循環して加熱する循環回路と、該給湯回路と該循環回路とを接続する注湯回路とを有し、該給湯回路は給水を熱交換器から迂回させるバイパス管と、該バイパス管を開閉するバイパス弁とを備えている燃焼装置において、
前記浴槽の水量を検出する水量センサと、前記浴槽の水位を検出する圧力センサと、該水量センサ及び該圧力センサからの出力に基づいて注湯を制御する注湯制御部とを有し、
該注湯制御部は、前記バイパス弁の洩れが検出されたとき、且つその洩れ量の変化が所定量以上であるとき、あらかじめ記憶されている前記浴槽の基準水位までの水量及び前記浴槽の開口面積に基づいて注湯量を制御する第一のモードに代わって、前記水量センサの検出値に基づいて前記基準水位までの水量及び前記圧力センサの検出値に基づいて前記浴槽の換算開口面積を求め、該求められた水量及び換算開口面積に基づいて注湯量を制御する第二のモードによる注湯制御を行うことを特徴とする燃焼装置を提供することにより達成される。
【0024】
さらに、前記第四乃至第六の構成において、前記洩れ量の変化量は、好ましくは、前記バイパス弁から洩れた水が前記熱交換器から出湯される湯に合流する前後の湯の温度差に基づいて求められる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に従って説明する。しかしながら、本発明の技術的範囲がこの実施の形態に限定されるものではない。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態である燃焼装置の構成を示す図である。図1によれば、燃焼装置1は、給湯回路10と、浴槽に接続される追い焚き循環回路20と、それらを接続する注湯回路30を有する。本発明における燃焼装置1の給湯回路10は、バイパス管13及びそれを開閉するバイパス弁14を備えており、さらに、熱交換器11、水量センサ12、入水温度センサ15、熱交換器温度センサ16、出湯温度センサ17、水流スイッチ18、給湯口19が設けられる。給湯口19の栓が開かれると、水量センサ12が検出して、ガス元電磁弁4を開き、比例弁3の開度が調整されてバーナー2の能力が制御される。その結果、出湯温度が設定温度になるように、フィードフォワード及びフィードバック制御が行われる。
【0027】
循環回路20内には、熱交換器21、温度センサ22、循環ポンプ23と水流スイッチ24が設けられる。5はバーナーであり、電磁弁6を介して、元ガス弁4のガス導入部に接続される。浴槽40内の循環金具41以上に水位があるか否かの検出は、循環ポンプ23を駆動し、流水スイッチ24が流水を感知するか否かにより行われる。また、追い焚き運転は、循環ポンプ23を駆動しながら、バーナー25を着火させて温度センサ22が設定温度になるまで燃焼することにより行われる。
【0028】
注湯回路30には、それを開閉する注湯電磁弁31及び浴槽40の水位を検出する圧力センサ32が備えられている。そして、上記したセンサ及び電磁弁などのアクチュエータ類は、マイクロコンピュータを搭載する制御部50に図示しない配線により接続されている。さらに、リモコン51から水位、温度及び運転モードなどが制御部50に入力される。
【0029】
また、バイパス弁14の洩れの有無は、熱交換器温度センサ16と出湯温度センサ17の温度差から検出することが可能である。即ち、注湯中は、バイパス弁14は閉じた状態で行われるので、バイパス弁14に洩れがなければ、両温度はほぼ等しいが、洩れが生じていると、バイパス管13からの水の混入により、出湯温度センサ17の温度が熱交換器温度センサ16の温度より低くなるからである。
【0030】
図2は、上記のような燃焼装置の構成において、バイパス弁14の洩れの有無に対応した浴槽40の水位と水量センサ12が検出する注湯量の関係を示す図である。洩れがない場合は、直線Aに示すように、注湯量QB で基準水位Paまで注湯され、その後、設定水位Psまで注湯される。一方、バイパス弁14が洩れている場合、直線Bで示すように、水量センサ12で検出されない洩れ量も注湯されるので、基準水位Paになるように上述のフローチャートに従って、水量センサ12の検出値に基づいて注湯量QB が注湯されると、基準水位Paを超えて注湯される(点N)。
【0031】
従って、従来は、基準水位Paでの圧力センサ32の検出値が変化したと判断され、圧力センサ32の補正が行われる(図5ステップS24参照)。即ち、点Nの水位における圧力センサ32の検出値が、点M即ち基準水位Paにおける検出値として補正されてしまう。
【0032】
このように、バイパス弁14からの水の洩れによって、圧力センサ32の経年変化が生じていない場合であっても、圧力センサ32の検出値が誤って補正されてしまう。そのため、バイパス弁14から水が洩れているときは、補正後の圧力センサ32の検出値を用いて設定水位Psまで注湯しようとすると、水位Pbの位置からPs−Paの水位ΔP1分の流量が注湯され、設定水位Psを超えてしまい、水位不良又は湯が浴槽からあふれるなどの不具合が生じる。
【0033】
そこで本発明の実施の形態においては、バイパス弁14の漏れが検出されたときは、以下に説明する水量センサ補正モードによる注湯制御が行われる。即ち、水量センサ補正モードにおいては、バイパス弁14に洩れがある場合、燃焼装置の設置後最初に行われる記憶モードによる自動湯張り運転で設定される基準水位Paまでの水量及び浴槽40の換算開口面積を設定し直すことにより、設定水位Psまでの正確な注湯を行う。
【0034】
図3は、図5で説明した従来のフローチャートに上記水量センサ補正モードを付加した本発明の実施の形態のフローチャートである。また、図4は、このフローにおける浴槽40の水位を示す図である。図4を参照しながら図3を説明する。自動スイッチがONされて自動湯張り運転が開始されると(S11)、追い焚き循環回路20内の循環ポンプ23を運転して(S12)、風呂流水スイッチ24がOFFであるかどうかをチェックする(S13)。ここで、ONの場合は、従来同様に循環金具41以上の残水が浴槽にあると判断して、追い焚き運転(S25)に移行するが、OFFの場合は、バイパス弁14の洩れの有無が検出される(S41)。洩れの有無は、上述したように、出湯温度センサ17と熱交換器温度センサ16との温度差から検出する。
【0035】
洩れがない場合は、ステップS14以降の上述した実行モードによる注湯制御が行われる。一方、洩れが検出された場合は、さらに、その洩れ量が所定量以上であるか否かが検出される(S42)。ステップS42については後に詳述する。そして、洩れ量が所定量以上であると、ステップS43乃至ステップS52の水量センサ補正モードによる注湯制御が行われる。
【0036】
まず、ステップS43において、aリットル(例えば40リットル)が注湯される。そして、循環ポンプ23をONさせて(S44)、流水スイッチ24がOFFかどうかのチェックを行う(S45)。ONの場合は、追い焚き運転(S25)に移行し、OFFの場合は、bリットル(例えば10リットル)が注湯される(S46)。
【0037】
そして、注湯電磁弁31を閉じ、循環ポンプ23をONにして(S47)、風呂流水スイッチ24がOFFかどうかのチェックを行う(S48)。循環金具41よりも上に水位が来ている場合は、流水スイッチ24がONするので、追い焚き運転(S25)に移行し、OFFの場合は、さらにbリットル注湯され、流水スイッチ24がONになるまで繰り返される。
【0038】
循環ポンプ23を回し、風呂流水スイッチ24がONしていることが確認されると、さらにbリットル注湯され(S49)、そのときの水位が基準水位Paとして圧力センサ32の出力が検出され(S50)、その検出値と基準水位Paまでの注湯量(図2におけるQA )が記憶される。
【0039】
ところで、この注湯される流量は、水量センサ12が検出する流量であり、バイパス弁14からの洩れ量は含まれていない。従って、検出される流量と、実際に注湯されている流量は異なる。図2によれば、洩れがない場合の直線Aに比べ、洩れがある場合の直線Bは、バイパス弁14からの洩れ分も注湯されているため、検出流量に対する水位の変化率が大きい。従って、見かけ上、少ない流量で基準水位Paに達する(点L)。しかしながら、流水スイッチ24がONになる水位に変化はなく、そのため、基準水位Paの水位もほとんど変化しない。そこで、設置後最初の記憶モードによる自動湯張り運転において、洩れがない状態で求められ、記憶されている基準水位Paまでの注湯量QB に代わって、基準水位Paにおける水量センサ12の検出流量を注湯量QA に記憶し直すことにより、洩れがある場合であっても、水量センサ12の検出流量に基づいた基準水位Paまでの注湯が可能となる。
【0040】
図3に戻り、さらに、基準水位Paまで注湯された後、その水位からさらにcリットル(例えば30リットル)が注湯が注湯される(S51)。そして、その水位Pbにおける圧力センサ32の出力が検出される(S52)。さらに、水位Paから水位Pbまでの注湯量cリットルと圧力センサ32の検出値の変化Pb−Paから換算される浴槽40の開口面積S(以下換算開口面積という)が、
S=c/Pb−Pa ・・・(1)
により求められる(S53)。
【0041】
換算開口面積Sは、設置後最初の記憶モードによる自動湯張り運転において求められており、その値は、基準水位Paまでの注湯量QB 同様にあらかじめ制御部50に記憶されている。従来は、水位Pbから設定水位Psまでの注湯量は、記憶されている換算開口面積S及び設定水位Psまでの水位に基づいて行われている。しかしながら、洩れがある場合、記憶されている換算開口面積Sに基づいた注湯量ΔQ1を注湯すると、図4に示すように、設定水位Psを超えてしまう。これは、実際の注湯量が、記憶されている洩れがない場合の換算開口面積Sに基づいて演算された注湯量より多いからである。
【0042】
そこで、本発明の実施の形態においては、バイパス弁14に洩れがある場合は、あらかじめ記憶されている換算開口面積Sに代わって、ステップS53によって求められた換算開口面積S、即ち図4における直線Bの傾き(傾きは1/Sを表している)に基づいて設定水位Psまでの注湯量ΔQ2を求める。
【0043】
そして、この注湯量ΔQ2に従って、さらに設定水位Psまで注湯される(ステップS27乃至S29)。これにより、水量センサ12が検出する見かけの流量に基づいて設定水位Psまで注湯することが可能となる。
【0044】
上記基準水位Paまでの注湯量及び換算開口面積Sは、具体的には、制御部50のマイクロコンピュータに接続される不揮発性メモリに書き換えされる。
【0045】
ここで、ステップS42について説明する。ステップS41において、洩れが検出された場合であっても、すでに、その洩れ量において、上記水量センサ補正モードの運転が行われ、上記基準水位Paまでの注湯量及び換算開口面積Sが書き換えられている場合は、再度、水量センサ補正モードを行う必要がない。そこで、ステップS42において、洩れ量が変化しない場合は、ステップS14以降の実行モードによる注湯制御が行われる。この洩れ量の変化は、上述のように、出湯温度センサ17及び熱交換器温度センサ16の温度差によって検出される。具体的には、例えば温度差が2度以上変化したときは、水量センサ補正モードによる注湯制御を行う。洩れ量の変化が所定量未満の場合に、ステップS14以降の実行モードの注湯制御を行うのは、設定水位Psまでの注湯時間が水量センサ補正モードと比較して短縮される利点というがあるからである。
【0046】
本発明における燃焼装置は、図1に示した構造に限られず、例えば、一缶二水路式燃焼装置のような燃焼装置であってもよい。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、給湯回路のバイパス弁の漏れが検出されたときは、水量センサ補正モードによる自動湯張り運転が行われ、基準水位までの注湯量及び浴槽の換算開口面積が書き換えられ、書き換えられた値に基づいて設定水位までの注湯が行われる。従って、洩れ量が追加されて基準水位が変化し、それによって、圧力センサが不正確に補正され、設定水位を超えて注湯される水位不良や湯の浴槽からのあふれなどが防止される。
【0048】
また、洩れ量が所定量変化した場合においても、基準水位までの注湯量及び浴槽の換算開口面積が書き換えられるので常に正確な注湯量制御を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における燃焼装置の構成例である。
【図2】バイパス弁の洩れの有無に対応した浴槽の水位と水量センサが検出する注湯量の関係を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかるフローチャートである。
【図4】水量センサ補正モードにおける浴槽の水位を示す図である。
【図5】従来の自動湯張り運転におけるフローチャートである。
【図6】従来の自動湯張り運転時の浴槽の水位を示す図である。
【符号の説明】
1 燃焼装置
10 給湯回路
12 水量センサ
13 バイパス管
14 バイパス弁
20 追い焚き循環回路
30 注湯回路
32 圧力センサ
40 浴槽
50 制御部
Claims (7)
- 給水を加熱して給湯を行う給湯回路と、浴槽内の水を循環して加熱する循環回路と、該給湯回路と該循環回路とを接続する注湯回路とを有し、該給湯回路は給水を熱交換器から迂回させるバイパス管と、該バイパス管を開閉するバイパス弁とを備えている燃焼装置において、
前記浴槽の水量を検出する水量センサと、該水量センサからの出力に基づいて注湯を制御する注湯制御部とを有し、
該注湯制御部は、前記バイパス弁の洩れが検出されたとき、あらかじめ記憶されている前記浴槽の基準水位までの水量に基づいて注湯量を制御する第一のモードに代わって、前記水量センサの検出値に基づいて前記基準水位までの水量を求め、該求められた水量に基づいて注湯量を制御する第二のモードによる注湯制御を行うことを特徴とする燃焼装置。 - 給水を加熱して給湯を行う給湯回路と、浴槽内の水を循環して加熱する循環回路と、該給湯回路と該循環回路とを接続する注湯回路とを有し、該給湯回路は給水を熱交換器から迂回させるバイパス管と、該バイパス管を開閉するバイパス弁とを備えている燃焼装置において、
前記浴槽の水位を検出する圧力センサと、該圧力センサからの出力に基づいて注湯を制御する注湯制御部とを有し、
該注湯制御部は、前記バイパス弁の洩れが検出されたとき、あらかじめ記憶されている前記浴槽の開口面積に基づいて注湯量を制御する第一のモードに代わって、前記圧力センサの検出値に基づいて前記浴槽の換算開口面積を求め、該求められた換算開口面積に基づいて注湯量を制御する第二のモードによる注湯制御を行うことを特徴とする燃焼装置。 - 給水を加熱して給湯を行う給湯回路と、浴槽内の水を循環して加熱する循環回路と、該給湯回路と該循環回路とを接続する注湯回路とを有し、該給湯回路は給水を熱交換器から迂回させるバイパス管と、該バイパス管を開閉するバイパス弁とを備えている燃焼装置において、
前記浴槽の水量を検出する水量センサと、前記浴槽の水位を検出する圧力センサと、該水量センサ及び該圧力センサからの出力に基づいて注湯を制御する注湯制御部とを有し、
該注湯制御部は、前記バイパス弁の洩れが検出されたとき、あらかじめ記憶されている前記浴槽の基準水位までの水量及び前記浴槽の開口面積に基づいて注湯量を制御する第一のモードに代わって、前記水量センサの検出値に基づいて前記基準水位までの水量及び前記圧力センサの検出値に基づいて前記浴槽の換算開口面積を求め、該求められた水量及び換算開口面積に基づいて注湯量を制御する第二のモードによる注湯制御を行うことを特徴とする燃焼装置。 - 給水を加熱して給湯を行う給湯回路と、浴槽内の水を循環して加熱する循環回路と、該給湯回路と該循環回路とを接続する注湯回路とを有し、該給湯回路は給水を熱交換器から迂回させるバイパス管と、該バイパス管を開閉するバイパス弁とを備えている燃焼装置において、
前記浴槽の水量を検出する水量センサと、該水量センサからの出力に基づいて注湯を制御する注湯制御部とを有し、
該注湯制御部は、前記バイパス弁の洩れが検出されたとき、且つその洩れ量の変化が所定量以上であるとき、あらかじめ記憶されている前記浴槽の基準水位までの水量に基づいて注湯量を制御する第一のモードに代わって、前記水量センサの検出値に基づいて前記基準水位までの水量を求め、該求められた水量に基づいて注湯量を制御する第二のモードによる注湯制御を行うことを特徴とする燃焼装置。 - 給水を加熱して給湯を行う給湯回路と、浴槽内の水を循環して加熱する循環回路と、該給湯回路と該循環回路とを接続する注湯回路とを有し、該給湯回路は給水を熱交換器から迂回させるバイパス管と、該バイパス管を開閉するバイパス弁とを備えている燃焼装置において、
前記浴槽の水位を検出する圧力水量センサと、該圧力センサからの出力に基づいて注湯を制御する注湯制御部とを有し、
該注湯制御部は、前記バイパス弁の洩れが検出されたとき、且つその洩れ量の変化が所定量以上であるとき、あらかじめ記憶されている前記浴槽の開口面積に基づいて注湯量を制御する第一のモードに代わって、前記圧力センサの検出値に基づいて前記浴槽の換算開口面積を求め、該求められた換算開口面積に基づいて注湯量を制御する第二のモードによる注湯制御を行うことを特徴とする燃焼装置。 - 給水を加熱して給湯を行う給湯回路と、浴槽内の水を循環して加熱する循環回路と、該給湯回路と該循環回路とを接続する注湯回路とを有し、該給湯回路は給水を熱交換器から迂回させるバイパス管と、該バイパス管を開閉するバイパス弁とを備えている燃焼装置において、
前記浴槽の水量を検出する水量センサと、前記浴槽の水位を検出する圧力センサと、該水量センサ及び該圧力センサからの出力に基づいて注湯を制御する注湯制御部とを有し、
該注湯制御部は、前記バイパス弁の洩れが検出されたとき、且つその洩れ量の変化が所定量以上であるとき、あらかじめ記憶されている前記浴槽の基準水位までの水量及び前記浴槽の開口面積に基づいて注湯量を制御する第一のモードに代わって、前記水量センサの検出値に基づいて前記基準水位までの水量及び前記圧力センサの検出値に基づいて前記浴槽の換算開口面積を求め、該求められた水量及び換算開口面積に基づいて注湯量を制御する第二のモードによる注湯制御を行うことを特徴とする燃焼装置。 - 請求項4乃至6において、
前記洩れ量の変化量は、前記バイパス弁から洩れた水が前記熱交換器から出湯される湯に合流する前後の湯の温度差に基づいて求められることを特徴とする燃焼装置。
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