JP3754361B2 - 液体金属ターゲットを有するx線源 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体金属ターゲットと、液体金属ターゲットが動作時には中を流れるダクトセクションの窓ニ電子ビームを放射する電子源とを含むX線源と、そのようなX線源が設けられるX線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような種類のX線源は、DE19821939.3から公知である。液体金属ターゲットに入射するよう電子源からの電子によって横切られる窓は、その後、ターゲットの乱流によって冷却される。このような種類の冷却は、X線源の連続的な仕事量の能力(loadability)をかなり高める。しかし、仕事量の能力の更なる増加は、窓、及び、窓を取り囲むX線源の領域、即ち、窓フレームは、比較的高い熱応力の影響を受けやすいという事実によって阻止される。このような応力の起源は、特に、高エネルギーの電子の直接入射、及び、窓の下における熱い液体金属の流れによる熱の発生にある。更に、少量のエネルギー損のみを示す散乱した電子も、熱の発生に寄与する。
【0003】
これは特に、窓と窓フレームとの間の接続は、用いられる接合技術(例えば、はんだ付け、接着)に依存する限定された最大温度にのみ耐え得るので重要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、上述されたような種類の液体金属ターゲットと、電子源とを有し、その連続的な仕事量の能力を更に増加することが可能であるX線源を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的は、上述されるようなX線源によって達成され、これは、請求項1に開示されるように、ダクトセクションは、窓を含み、その中を液体金属ターゲットが流れる第1のダクトセグメントと、その中を冷媒が流れ、電子ビームが第1のダクトセグメントに作用する領域が冷却されるよう第1のダクトセグメントに接続される第2のダクトセグメントとによって形成されることを特徴とする。
【0006】
この解決策の特定の利点は、増加された熱の放散によって、更にX線源の仕事量の能力の更なる増加を可能にするという事実にあり、これは、例えば、高い走査率を有するCT装置といった高いX線量が短時間に発生されなければならない適用において、特に言える。
【0007】
従属項は、本発明の有利な更なる実施例に関連する。
【0008】
請求項2乃至5は、様々な方法によって熱の放散の更なる改善を実現する処置を開示する。請求項6及び7に開示される実施例では、ダクトセクションは、一方で所与の空間開口角で伝搬するX線ビームが妨害されず、他方で冷却による影響を許容する必要がないよう有利に構成される。
【0009】
本発明の更なる詳細、特徴、及び利点は、添付図面と供に与えられる好適な実施例の以下の説明から明らかになろう。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、X線源を概略的に示し、電子によって照射されるターゲットは、X線源の動作状態では液体である金属によって形成される。動作状態では、電子ビーム4を放射する陰極3の形式である電子源は、管エンベロープ1内の真空空間内に配置される。電子ビーム4は、ダクトシステム50のダクトセクション51に向けられ、本質的に電子を透過させる窓22、34を介し、ダクトシステム50内を流れる液体金属ターゲットに入射し、それにより、X線が発生される。ポンプ52は、熱交換器53も通過するダクトシステム50内で液体金属を循環させ、それにより、発生した熱が、冷却回路を介し液体金属から放散されることが可能となる。
【0011】
図2及び3に、ダクトシステム50のダクトセクション51の詳細を示す平面図を示す。
【0012】
図2に示されるように、ダクトセクション51は、4つの要素10、20、30、及び40からなり、それらは、(a)乃至(d)の順序で示され、この順序で互いに重ねられる。つまり、図2(a)の第1の要素10の上には、図2(b)の第2の要素20が配置され、その上には図2(c)の第3の要素30が、そして最後にその上には図2(d)に示される第4の要素40が配置されることを意味する。要素は、図2に示されるような向きで互いに取り付けられる。電子ビームは最初に、図平面に対し垂直な方向で、上方から第4の要素40に入り、続いて、第3の要素及び第2の要素を横断し、最終的に第1の要素10に入る。
【0013】
尚、電子ビームは、図2の左から右に延在する線状の焦点(ストリップ焦点)を形成すると考えられる。このような種類のストリップ焦点は、例えば、1ミリメートル×7ミリメートルの寸法を有し、出力密度を一定に保ちながら、照射される表面領域を増加するよう一般的にX線源に使用される。
【0014】
図2(a)に示される第1の要素10は、例えば、100ミリメートルの長さ、25ミリメートルの幅、及び10ミリメートルの奥行きを有する、例えば、スチール又はモリブデンといった固体の金属の本体から形成される。この金属本体の中には、組立てられたダクトセクションの動作状態において、X線が発生される液体金属ターゲットが矢印P1によって示される方向に流れる第1のダクト11が設けられる。第1のダクトの奥行きは一定ではないが、中心領域12においては、小さくなる。ダクトの奥行きは、電子ビームが入る中心領域の辺りにおいて最も小さくなり、例えば、この領域において、約200ミクロンメートルまでなる。
【0015】
図2(b)に示される第2の要素20は、約1ミリメートルの厚さを有し、そうでない場合は、第1の要素10と同一の外部寸法を有する。中心領域21内には、電子ビーム用の本質的に矩形である第1のスリット23が中に設けられる本質的に円形のインサート22が設けられる。このスリットの長手方向は、液体金属ターゲットの流れの方向に対し垂直に延在し、それにより、最適な熱の放散が達成される。
【0016】
第1のスリット23はその下側において(図示されるように)、約1ミクロンメートルの厚さを有するダイアモンド層によってシールされる。この層は、接合、接着、又は他の方法によってインサート22に取り付けられる。従って、第1のスリットは、電子を透過させるダイアモンド窓23を形成する。
【0017】
第2の要素20は、その中を液体金属ターゲットが流れることが可能となる第1の防水ダクトセグメント10、20が形成されるようネジ又は他の固定手段(図示せず)によって第1の要素10に取り付けられる。中心領域12におけるダクト11の奥行きは小さいので、この領域において、特に、ダイアモンド窓においてターゲットの流れは加速され、それにより乱流が形成される。発生する乱流は、液体を特に徹底的に且つ迅速に混ぜ合わせるので、熱エネルギーの、窓からの特に効率のよい放散を与える。これは、特に、ダイアモンド窓、及び、そのインサート22との接続における温度が重要な領域において有利である。
【0018】
第1のダクトセグメント10、20は、熱交換器53(図1参照)を通り延在する1次液体金属回路の一部を形成する。
【0019】
更に、冷媒を導き、第1のダクトセグメント10、20の上に、図2(c)及び(d)に示されるように、略90度の角度で取り付けられ、従って、第1のスリット23の上で、その長手方向において延在する第2のダクトセグメント30、40が設けられる。
【0020】
第2のダクトセグメントは、図2(c)に示されるように、例えば、スチール又はモリブデンといった金属の本体からなり、中心領域33を含む第3の要素30を含む。中心領域33には、本質的には矩形である第2のスリット34aが設けられ、これは、第2の要素20内の第1のスリット23と連続となるよう方向付けられ、且つ、形成される。金属本体内には、第2のスリット34aの長手方向に延在し、互いに平行であり、中心領域33の外側にある凹部にされた2つのダクト31、32がある。中心領域33において、ダクト31、32は、第2のスリット43aの一端の位置で互いから分岐し始め、中心領域から外れて、即ち、スリット34aの他端の位置で再び互いに平行となるよう延在し始める。従って、ダクト31、32は、第1のスリット34aが位置する中心領域33内において、本質的に円弧状にされる表面35を囲む。
【0021】
第4の要素40は本質的に、第3の要素30と同一の外形を有し、第3の要素30上に固定手段(図示せず)によって取り付けられ、それにより、第2の防水ダクトセグメント30、40が形成される。第4の要素40の中心領域41には、第2のスリット34aの本質的に矩形の開口34bが設けられる。更に、中心領域41の外面には、第3の要素30の中心領域33におけるダクト31、32によって囲まれる表面35の形状に対応する円弧状にされる凹部43が形成される。凹部は、ミリング又は他の方法によって材料を取り除くことにより形成される。
【0022】
組立てられた状態においては、第2のダクトセグメント30、40は、電子ビームのストリップ焦点が位置する凹部43の領域においては約3ミリメートルの厚さを有する。この領域の外側、つまり、この領域から上流方向、下流方向、及びこの領域に対し垂直な方向において、厚さは大きくてもよく、それにより、ダクト31、32は、広く又は深くなるよう形成されることが可能になり、従って、冷媒(2次的な液体)の粘度による流れ損が減少される。この点に関する唯一の制限は、第2のダクトセグメントの寸法及び形状は、有用なX線ビームを妨害するべきでないという条件によって課される。
【0023】
第2のダクトセグメント30、40は、2次液体回路の一部を形成し、第1のダクトセグメント、特に、第1のスリット、従って、ダイアモンド窓が位置する第1のダクトセグメントの中心領域からの熱を放散するよう作用する。この為に、第2のダクトセグメント30、40は、第1のダクトセグメント10、20に対し90度の角度で延在する。第1のダクトセグメント10、20を通る1次液体金属ターゲットの好ましい流れの方向は、図2(a)中、矢印P1によって示され、第2のダクトセグメント30、40を通る2次液体の好ましい流れの方向は、図2(c)中、矢印P2によって示される。
【0024】
この配置によって、3つの有利な効果が達成される。一方で、1次液体金属ターゲットの実用温度が下げられる。他方で、ダイアモンド窓とインサート22との間の接続の温度も下げられ、最終的には、陰極に対し正である陽極の電位の影響下で焦点の付近に入射するよう1次電子ビームから散乱される2次電子の熱効果も減少される。
【0025】
これらの効果は、第2のダクトセグメント30、40の2つのダクト31、32が、電子ビームのストリップ焦点の方向、及び、スリットの両側と平行に延在するという事実により支援される。従って、2次液体回路内の流れは、電子が入射する領域の非常に近くで導かれる。
【0026】
第2のダクトセグメントの中心領域33内におけるダクト31、32の分岐路と、第4の要素40の中心領域41内の凹部43は円弧状にされる事実によって、X線ビームは、所与の空間開口角で第2のスリット34aの開口34bから放射しなければならないという条件を満足する。通常の診断X線管においては、陽極の平面と、陽極の平面に最も近いX線との間の角度は約12度になる。図3は、上記の関係を、第1のダクトセグメント及び第2のダクトセグメントから構成されるダクトセクション51に対し示す。ここでも、1次液体金属ターゲットの好適な流れの方向は、矢印P1によって示され、2次液体の好適な流れの方向は、矢印P2によって示される。
【0027】
ダクト31、32は、第3の要素30の中心領域33内において、図3に示されるように放射するX線ビーム50がダクトによって妨害される又は減衰されることがないよう分岐する。第4の要素内の凹部43のプロポーショニングにおいても同様のことが言え、それにより、形成されるX線ビームは、これらの2つの処置が採られると、妨害されることなく円錐状に伝搬することが可能である。
【0028】
図4に従う表示では、1次液体回路及び2次液体回路は、ダクト50(図1参照)、即ち、ポンプ52によって同一の液体金属で共通に給送されることが可能であり、その場合、ダクト50は、熱交換器53を経由することが好適である。
【0029】
より詳細には、このために第1のダクト分岐片(Y片)501が設けられ、これは、ダクト50が接続され、そこから1次ダクト502及び2次ダクト503が出る。これらのダクトは、ダクトセクション51に給送し、第2のダクト分岐片504(Y片)によって再び結合されるまで続き、その後共通のダクト50として続けられる。1次ダクト502及び2次ダクト503は、ダクトセクション51の入口及び出口(互いに直角に延在する)、且つ、第1のダクト分岐片501及び第2のダクト分岐片504に接続可能であるようつながれる。
【0030】
或いは、2次液体回路は更に、液体金属ターゲットの1次回路とは別個に、及び、独立してつなげられることも可能である。この取り組み方法は、特に、例えば、特に低い粘度及び/又は高い熱伝導率を有する冷却液が使用される場合に、有用である。
【0031】
いずれの場合においても、本発明のダクトセクション51によって熱の放散が達成され、つまり、X線を発生させるよう電子ビームによって横断される窓からの熱の放散は、このような種類の公知の装置におけるよりもかなり効果的であり、それにより、実用温度を下げることが可能であるか、又は、当該のX線源における放射線強度を増加することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のX線源を示す図である。
【図2】本発明のダクトセクションの様々な要素を示す図である。
【図3】組立てられた状態にある本発明のダクトセクションを示す図である。
【図4】本発明のダクトセクションの給送を示す図である。
【符号の説明】
1 管エンベロープ
3 陰極
4 X線ビーム
10、20、30、40 ダクトセクションを構成する要素
11 第1のダクト
12、21、33、41 中心領域
22、34 窓、第1のスリット
34a 第2のスリット
31、32 ダクト
50 ダクトシステム
51 ダクトセクション
52 ポンプ
53 熱交換器
Claims (9)
- 液体金属ターゲットと、上記液体金属ターゲットが、動作時には中を流れるダクトセクションの窓に電子ビームを放射する電子源とを含むX線源であって、
上記ダクトセクションは、上記窓を含み、内部を上記液体金属ターゲットが流れる第1のダクトセグメントと、
内部を冷媒が流れ、上記電子ビームが上記第1のダクトセグメントに作用する領域を冷却するよう上記第1のダクトセグメントに接続される第2のダクトセグメントとによって形成されることを特徴とするX線源。 - 上記第1のダクトセグメント及び上記第2のダクトセグメントは、上記電子ビームが入射する方向に対し本質的に垂直に延在する平面に位置し、互いに対し約90度の角度をなすことを特徴とする請求項1記載のX線源。
- 上記第1のダクトセグメント内の上記窓は、ダイアモンド層が設けられる本質的に矩形である第1のスリットによって形成され、
上記スリットの長手方向は、上記液体金属ターゲットの流れの方向に対し本質的に垂直に延在することを特徴とする請求項1記載のX線源。 - 上記第1のダクトセグメントは、中を上記液体金属ターゲットが流れ、上記第1のスリットの領域においてくびれが設けられるダクトが設けられることを特徴とする請求項1記載のX線源。
- 上記第2のダクトセグメントは、上記電子源と上記第1のダクトセグメントとの間に配置され、本質的に矩形の第2のスリットが設けられ、
上記電子ビームは、上記第2のスリットを通り、上記第1のダクトセグメントの第1のスリットに入射することを特徴とする請求項1記載のX線源。 - 上記第2のダクトセグメントは、本質的に平行に延在するが、上記第2のスリットの領域においては、上記第2のスリットが位置する本質的に円弧状にされる表面領域を囲むよう分岐する、冷媒用の2つのダクトを含むことを特徴とする請求項5記載のX線源。
- 上記第2のスリットの開口は、上記第2のダクトセグメントに設けられ、本質的に円弧状にされる、上記外面上の凹部に位置することを特徴とする請求項5記載のX線源。
- 上記第1のダクトセグメント及び上記第2のダクトセグメントは、上記液体金属ターゲット用の共通の回路に接続され、上記第2のダクトセグメント内の上記液体金属が上記冷媒として作用することを特徴とする請求項1記載のX線源。
- 請求項1乃至8のうちいずれか一項記載のX線源を含むX線装置。
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