JP7276865B2 - X線管球、x線分析装置及びx線管球におけるターゲットの冷却方法 - Google Patents

X線管球、x線分析装置及びx線管球におけるターゲットの冷却方法 Download PDF

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Description

本発明は、X線管球、X線分析装置及びX線管球におけるターゲットの冷却方法に関する。
特許文献1には、X線管装置(X線管球)であって、ターゲットを固定した陽極の底面中心に向かって冷却ノズルから冷却用絶縁油を噴射するとともに、陽極の底面に底面部フィンを設けたものが記載されている。
また、特許文献2には、回折用X線管球であって、X線放射部材(ターゲット)の裏面に、複数条の冷却フィンを平行に設けた放熱部材を接合し、当該冷却フィンに沿って冷却水の管路を形成したものが記載されている。
特開2003-36806号公報 実願昭54-122920号(実開昭56-41454号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム
一般に、X線管球のターゲットの冷却は、特許文献1にも記載されているように、陽極であるターゲットに対し、電子線が衝突する側とは反対の側から、純水などの冷却流体をノズルから噴出して衝突させる構造が用いられている。
図1は典型的なターゲット901の冷却構造900を示す断面模式図である。同図において、ターゲット901は陽極でもある支持台902上に固定されており、ターゲット901の上方(図中上側)に配置された図示しない陰極から電子線903がターゲット901に向かって照射され、電子線903とターゲット901との衝突によりX線が放射される。この時、電子線903とターゲット901の衝突により発熱が生じる。
支持台902の下方(図中下側)には、支持台902に向かって開口するノズル904が配置され、支持台902に向けて冷却流体である水の噴流905を吹き付け、支持台902をその裏側から冷却する。したがって、ターゲット901の表面で発生した熱は支持台902に伝播し、吹き付けられた水により運び去られる。
この時、冷却性能を高めるため、ノズル904は、噴流905を最も高温となる部分に直接吹き付けるように配置される。すなわち、電子線903がターゲット901に衝突して発熱する位置の丁度真裏に噴流905を吹き付ける位置に置かれる。なお、電子線903の断面形状は、陰極の形状に応じた幅のある形状となるから、ターゲット901が発熱する位置も幅のある形状となる。このターゲット901が発熱する位置の中心を発熱中心と呼ぶこととすると、ノズル904は発熱中心に向けて噴流905を吹き付けるように配置されることになる。
図2は、冷却構造900における冷却流体の流速vを発熱中心からの距離rに対して示したグラフの典型的な例である。同グラフに示すように、発熱中心の近傍の狭い領域では流速vは高い値を示すものの、距離rが増加し、発熱中心から遠ざかると流速vは急激が低下するため、発熱中心の近傍を除く大部分の領域では、流速vは低い値にとどまる。
このことは、典型的なターゲットの冷却構造900では、発熱中心付近の極めて狭い領域でしか効率の良い冷却、すなわち冷却流体への熱伝達がなされず、その周辺部は冷却にほとんど寄与していないことを示している。そしてそれだけにとどまらず、本発明の発明者らは、次のような点において、図示の冷却構造900が不利であることを見出した。すなわち:
・噴流衝突をさせると、冷却流体の運動エネルギーの大部分が流体摩擦により熱となって失われてしまう。
・固体表面から冷却流体への熱伝達は、固体表面付近に形成される乱流境界層における熱輸送が支配的であるから、図1における支持台902の裏側近傍を流れる流体(図中a)は冷却に寄与するが、支持台902の裏側から離れた位置を流れる流体(図中b)は冷却にほとんど寄与しない。
すなわち、ノズル904から冷却流体の噴流905を作り出すために流体ポンプにより与えたエネルギーの相当の部分は、噴流衝突により失われるか、冷却にほとんど寄与しない流体流れを作り出すために消費されてしまう。このことは、ターゲット901の冷却に、流量及び加圧の点で過大な性能の流体ポンプが必要となっていることを意味する。その結果として、X線管球を用いる装置、例えば、X線分析装置の小型化や低消費エネルギー化が妨げられ、また、装置のコスト増が生じていると考えられる。
また、別の観点からは、X線出力を増大させることができなくなっているという問題も生じているといえる。すなわち、X線出力を増大させるために電子線903の強度を高めると、発熱量も増大する。ターゲット901の融解を防ぐためには、より高性能の流体ポンプを用意して、ノズル904からの噴流905の流量、すなわち流速を増大させ、冷却性能を高めなければならないが、噴流905の流速を高めるため、流体に高圧を加えると、噴流905内にキャビテーションが発生し、エロ―ジョンにより支持台902を著しく損傷してしまう。そのため、流体への加圧には限界があり、結果として、X線出力には限界が生じているのである。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、効率よく冷却が行えるX線管球及びかかるX線管球を備えたX線分析装置を得ることである。
上記課題を解決すべく本出願において開示される発明は種々の側面を有しており、それら側面の代表的なものの概要は以下の通りである。
(1)電子線を放出する電子線放出部と、前記電子線が衝突する第1の面を有するターゲットと、前記ターゲットの前記第1の面と反対の面である第2の面の側に固定された固体熱拡散部材と、前記固体熱拡散部材の前記ターゲットと反対の側に配置され、冷却流体が膜状流れを形成する膜状流路を形成する流路形成部材と、を有し、前記固体熱拡散部材には、前記ターゲットと反対の側に向かって突出する凸形状部が形成され、前記電子線の放出方向から見て、前記凸形状部の中心は、前記電子線が前記ターゲットに衝突して発熱する発熱中心と重畳し、前記膜状流路は、前記凸形状部の表面の少なくとも一部に沿った形状であるとともに、前記膜状流路の厚みdは、前記膜状流路の幅及び長さのいずれか小さい値lに対して、d≦l/2である、X線管球。
(2)(1)において、前記膜状流路は、前記電子線の放出方向から見て、前記発熱中心から所定の距離における前記冷却流体の平均流速が、前記発熱中心における前記冷却流体の平均流速より大きくなる形状である、X線管球。
(3)(1)または(2)において、前記膜状流路は、前記発熱中心から所定の距離の位置において流路断面積が最小となる形状である、X線管球。
(4)(1)~(3)のいずれかにおいて、前記凸形状部は、球頭形状又は尖頭形状である、X線管球。
(5)(1)~(4)のいずれかにおいて、前記冷却流体を前記膜状流路に導入する導入管部が、前記導入管部の中心軸と前記凸形状部の中心軸とが同軸となるように設けられる、X線管球。
(6)(1)~(3)及び(5)のいずれかにおいて、前記膜状流路は、前記冷却流体の流入口及び流出口を有し、前記凸形状部を囲繞する円環形状である、X線管球。
(7)(6)において、前記流入口及び前記流出口は、前記凸形状部を挟み、前記膜状流路の互いに反対の側に配置される、X線管球。
(8)(6)又は(7)において、前記膜状流路は、前記流出口の位置において、流れの異なる前記冷却流体を分離する分離壁を有する、X線管球。
(9)(1)~(8)のいずれかにおいて、前記膜状流路は、前記電子線の放出方向から見て、前記電子線が前記ターゲットに衝突して発熱する発熱領域の長手方向を長軸とする長円又は楕円形状である、X線管球。
(10)(1)~(9)のいずれかにおいて、前記流路形成部材は、前記冷却流体の流れ方向に沿った整流フィンを有する、X線管球。
(11)(1)~(10)のいずれかのX線管球を備えたX線分析装置。
(12)X線管球におけるターゲットの冷却方法であって、電子線が衝突する第1の面を有するターゲットの前記第1の面と反対の面である第2の面の側に固定された固体熱拡散部材と、前記固体熱拡散部材の前記ターゲットと反対の側に配置される流路形成部材により、前記ターゲットを冷却する冷却流体が膜状流れを形成する膜状流路を形成し、前記固体熱拡散部材には、前記ターゲットと反対の側に向かって突出する凸形状部が形成され、前記電子線の放出方向から見て、前記凸形状部の中心は、前記電子線が前記ターゲットに衝突して発熱する発熱中心と重畳し、前記膜状流路は、前記凸形状部の表面の少なくとも一部に沿った形状であるとともに、前記膜状流路の厚みdは、前記膜状流路の幅及び長さのいずれか小さい値lに対して、d≦l/2であり、電子線放出部から前記電子線を放出し、前記電子線の放出方向から見て、前記冷却流体を、前記発熱中心における前記冷却流体の平均流速に比して、前記発熱中心の周辺部における前記冷却流体の平均流速の方が大きくなる膜状流路に流すことにより、前記ターゲットを冷却する、X線管球におけるターゲットの冷却方法。
典型的なターゲットの冷却構造を示す断面模式図である。 典型的なターゲットの冷却構造における冷却流体の流速を発熱中心からの距離に対して示したグラフの典型的な例である。 本発明の第1の実施形態に係るX線管球の構造を示す概略断面図である。 本発明に係るX線管球の冷却構造の概念を説明する模式拡大断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るX線管球の冷却構造の具体的構造を示す断面図である。 図5に示した本発明の第1の実施形態に係るX線管球の冷却構造の流路形成部材の断面斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係るX線管球の冷却構造の具体的構造を示す断面図である。 図7に示した本発明の第2の実施形態に係るX線管球の冷却構造の流路形成部材の断面斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係るX線管球の冷却構造の具体的構造を示す断面図である。 図9のX-X線による平面断面図である。 図9及び図10に示した本発明の第3の実施形態に係るX線管球の冷却構造の流路形成部材の上面斜視図である。 本発明の第4の実施形態に係るX線管球の冷却構造の具体的構造を示す断面図である。 図12のXIII-XIII線による平面断面図である。 図12の矢線hで示した冷却流体の流れを、別の方向から示した様子が示されている図である。 本発明の第4の実施形態の変形例に係る流路形成部材の、図12に示したXV方向から見た斜視図である。 本発明の第4の実施形態の変形例に係る流路形成部材を、図15とは反対に、上面側から見た斜視図である。 本発明の各実施形態に係る冷却構造と従来より存在する噴流衝突型の冷却構造の冷却性能を比較して示すグラフである。 本発明に係るX線管球を備えたX線分析装置の概略構成図である。
以下、本発明の第1の実施形態に係るX線管球100を、図3~図5を参照して説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態に係るX線管球100の構造を示す概略断面図である。X線管球100は、主として概略円筒形状のベース1と、ベース1に取り付けられた、同じく有底円筒形状のセラミックス製のハウジング2とにより構成される真空管(いわゆる熱電子管)であり、その内部は気密に保たれ、減圧され真空状態とされている。また、X管球100がX線分析装置等のX線を利用する機器に取り付けられる際には、機器側に用意されたX線管球100の取り付けアタッチメントとなるヘッダー3に取り付けられる。図3では、理解を容易とするため、X線管球がヘッダー3に取り付けられた状態で図示している。
ベース1は、適宜の金属材料、本例では銅製であり、その内部には、陰極となるフィラメント5と陽極となるターゲット6が配置される。図3には示していないが、フィラメント5は、収束電極に囲繞されていてもよい。フィラメント5から飛び出した熱電子による電子線7は、陽極であるターゲット6に衝突し、特定の方向にX線8を生じる。ベース1の側面には、ベリリウムやリンデマンガラスなどのX線を透過する物質により窓9が設けられており、X線8は窓9を通って外部に取り出され、種々の利用に供される。
フィラメント5は、ハウジング2を貫通する電極10により外部の変圧器に電気的に接続され、電子の供給を受けるとともに、ジュール熱により加熱される。すなわち、フィラメント5及び電極10は、電子線放出部を構成する。
ターゲット6の電子線が衝突する面と反対の面の側には、冷却構造11が設けられ、ヘッダー3に設けられた冷却流体供給管12から、図示しない外部のポンプにより加圧された冷却流体を受け入れ、ターゲット6を冷却後、ヘッダー3に設けられた冷却流体排出管13から排出する。加熱された冷却流体は、好ましくは、図示しないラジエータなどにより冷却され、再度冷却流体供給管12へと循環される。冷却構造11は、本例では、ヘッダー3、後述する固体熱拡散部材14を含む部材により構成されているため、X線管球100がX線を利用する機器に取り付けられることによって冷却構造11が構成されるようになっているが、これに替え、X線管球100単独で冷却構造11が構成されており、ヘッダー3をX線管球100を機器に取り付ける際の単なるアタッチメントとしてもよい。
なお、図3に示したX線管球100の基本構造は、代表的な封入型のセラミック製X線管球100の例である。当該開示は、公知の、もしくは代替の他のX線管球100の構造、例えば、封入型ガラス製X線管球や、開放型X線管球を採用することを妨げるものではない。
図4は、本発明に係るX線管球100の冷却構造11の概念を説明する模式拡大断面図である。ターゲット6の電子線7が衝突する面(図中上側の面)を第1の面と称することとし、かかる第1の面と反対の面(図中下側の面)を第2の面と称することとすると、ターゲット6の第2の面の側には、固体熱拡散部材14が固定される。
ここで、固体熱拡散部材14は、ターゲット6で発生する熱を速やかに拡散及び冷却する目的でターゲット6の第2の面の側に取り付けられる部材又は構造を指している。図3に示したX線管球100の例では、固体拡散部材14とベース1とは別部材として作成され、固体熱拡散部材14がベース1に取り付けられることにより、ベース1の一部を構成する構造となっているが、両者を一体のものとして、ベース1に固体熱拡散部材14として機能する構造を作成するようにしてもよい。
固体熱拡散部材14とターゲット6とは、熱伝達が速やかに行われるように固定が行われる。固定の手法としては、金属箔を用いたロウ付け等が挙げられる。また、固体熱拡散部材14とターゲット6とは直接接するように固定されていても、両者の間に熱伝導率の高い適宜の層、例えばダイヤモンド薄膜等を介して固定されていてもよい。固体熱拡散部材14は、熱伝導率が高い、すなわち、固体熱拡散に優れた材質により形成され、そのような材質としては、例えば銅である。
固体熱拡散部材14は、ターゲット6を支持する台座である(この点においては、固体熱拡散部材14と図1に示した支持台902とは機能を一にしている)と同時に、ターゲット6において生じた熱を固体熱拡散部材14中に速やかに拡散する機能を有している。この熱拡散の速度は速く、ターゲット6にて生じた熱は速やかに固体熱拡散部材14の裏面、すなわち、ターゲット6とは反対の側の面へと伝導する。
固体熱拡散部材14の裏面の側には流路形成部材15が配置され、冷却流体が通過する流路を固体熱拡散部材14と流路形成部材15との間に形成する。図4では固体熱拡散部材14の裏面と流路形成部材15の流路を形成する面を模式的にターゲット6の第2の面とおおむね平行な面として示しているが、流路の形状はこれに限られない。種々の具体的な流路の形状を示す実施形態は後ほど示す。
ここで、ターゲット6の発熱中心をOとし、平面視、すなわち、電子線7の放出方向から見て、発熱中心Oからの距離をrと置くこととする。この時、流路形成部材15は、発熱中心Oに対する周辺領域Pにおいて、固体熱拡散部材14の裏面の表面に沿った形状となる膜状流路を形成する点に特徴がある。図4では、膜状流路は固体熱拡散部材14の裏面の表面に平行なものを例示しているが、膜状流路の形状は必ずしも固体熱拡散部材14の裏面の表面に平行でなくともよい。
すなわち、図4に示すように、発熱中心Oから0<r<rであるような距離r、rをとり、rが0からrまでの範囲を中心領域C、rがrからrまでの範囲を周辺領域Pとすると、流路形成部材15により形成される流路は、周辺領域Pにおいて、膜状流路となる部分を含んでいる。ここで、膜状流路、すなわち、流路が膜状であるとは、流路の厚み(固体熱拡散部材14の裏面に垂直な方向の長さ)が、流路の幅(固体熱拡散部材14の裏面に平行であって、流体流れに垂直な方向の長さ)及び、流路の長さ(固体熱拡散部材14の裏面に平行であって、流体流れに平行な方向の長さ)より十分に小さいことを指す。
定性的には、膜状流路の厚みは、固体熱拡散部材14の裏面から流路中を流れる冷却流体への熱伝達を効率化できる厚みとすればよい。先に述べたとおり、この熱伝達は乱流境界層による影響が支配的であるから、基本的な考え方としては、固体熱拡散部材14の裏面に沿って形成され発達する乱流境界層を妨げず、かつ、乱流境界層に寄与しない冷却流体の輸送量を小さくできるような厚みを選択すればよいことになる。十分に発達した乱流境界層の厚みをδとすると、乱流境界層は、固体熱拡散部材14の裏面と流路形成部材15の上面の両方に形成されるから、膜状流路の厚みdは、
Figure 0007276865000001
となるような実用的に小さい値を選択すればよいことになる。
実用的には、δの値は冷却流体の種類や、流速等の運転時の条件により変化するため、dの大きさを一義的に定めることは難しいが、一般的なX線分析装置に用いられるX線管球100において、水を冷却流体として用いると想定すると、0.1mm≦d≦10mmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは、0.2mm≦d≦5mmとするとよい。
また、膜状流路の厚みdが膜状流路の幅及び、膜状流路の長さより十分に小さいとは、例えば、膜状流の幅及び長さのいずれか小さい値をlとしたときに、d≦l/2であることをいうものとしてよく、より好ましくはd≦l/5ととするとよい。
このような設計が好ましい理由は次のとおりである。すなわち、膜状流路においては、流路の厚みdが十分に小さいため流路断面積が小さく、冷却流体の流速が早くなるため、固体熱拡散部材14の裏面から流路中を流れる冷却流体への熱伝達が速やかに行われ、なおかつ、冷却に寄与しない冷却流体の輸送量が小さいため、冷却の効率が良い。
そして、中心領域Cと周辺領域Pの面積比は、
Figure 0007276865000002
となり、噴流衝突を生じる中心領域Cはごく狭い領域として設計することができるため、r/rの値は2以上とすることが容易である。仮にr/rを2として設計すると、P/Cは3となり、周辺領域Pの面積は中心領域Cに比して3倍の大きさを持つこととなる。このように、面積の大きい周辺領域Pにおいて膜状流路を形成することで、より広い面積についてより効率の良い冷却ができることとなり、結果として、冷却構造11の冷却効率が大幅に向上する。
Figure 0007276865000003
Figure 0007276865000004
Figure 0007276865000005
で定義することができ、rにおいて、
Figure 0007276865000006
この条件は、より面積の大きい周辺領域Pにおける熱交換を大きくすることをいうものであり、冷却構造11の設計によっては、中心領域Cにおける冷却を行わないようなものも可能である。その場合には、発熱中心Oにおける冷却流体の流れが存在しないことになる。
また、周辺領域Pにおいて、冷却流体の流速が最大となることが好ましい。すなわち、膜状流路は、r<r<rとなるような所定のrmにおいて、冷却流体が最大流速vとなる形状であるとよい。このことは、図4に模式的に示したように、膜状流路が、発熱中心Oから所定の位置rmにおいて、冷却流体の流路断面積が最小となる形状であることを意味している。
この冷却流体が最大流速vとなる位置は、熱交換が最も効率よく行われる位置であるから、発熱中心Oに近い位置であることが好ましく、一例として、周辺領域Pの中間位置であるr=(r+r)/2より発熱中心O側に配置する。しかしながら、最大流速vとなる位置は任意であり、必ずしもここで述べた条件に当てはまらない設計でもよい。
Figure 0007276865000007
図5は、図3にも示した本発明の第1の実施形態に係るX線管球100の冷却構造11の具体的構造を示す断面図である。
冷却構造11において、固体熱拡散部材14の表側の面にはターゲット6が固定されている。電子線7は、その中心軸がこのターゲット6の中心と一致するように照射されるため、図中一点鎖線で示したターゲット6の中心の位置が発熱中心Oとなる。
固体熱拡散部材14の裏側の面は平坦ではなく、同図に示すように、発熱中心Oを中心として、固体熱拡散部材14の裏側に向かって凸となるように突出する凸形状部16を有している。本実施形態では、凸形状部16は、発熱中心Oを中心軸とする軸対称(回転対称)の形状であり、その先端が半球となる、球頭形状となっている。また、凸形状部16の周囲は、図中上に向かって凹となる半円環面であり、凸形状部16とは滑らかに接続されている。半円環面の外周は、図中下に向かって立ち上がる壁面となっており、固体熱拡散部材14の裏側の面に設けられ、中心に凸形状部16が立設された窪みを形成している。
かかる窪みには、図中下方から流路形成部材15が図中の位置まで挿入され、固体熱拡散部材14と流路形成部材15との間に冷却流体の流路が形成される。流路形成部材15の材質は特に限定はないが、本実施形態ではステンレスである。流路形成部材15はおおむね円筒形状であり、流路形成部材15のターゲット6側の(すなわち、図中上側の)先端は、固体熱拡散部材14の裏面形状と相補的な関係にあたる形状となっている。本実施形態では、上に凸となる半円環面であり、流路形成部材15が適正に配置された際に、固体熱拡散部材14との間にわずかな隙間が形成されるよう設計される。
流路形成部材15のターゲット6と反対の側(すなわち、図中下側)には、ヘッダー3と接続され、冷却流体を流路に導入する開口である導入管部29が形成される。本実施形態では、導入管部29は、凸形状部16の中心軸でもある発熱中心Oを通る軸と同軸に設けられる円筒形状の部分である。導入管部29にヘッダー3の上方(図中上側)に突き出した部分が差し込まれることにより、前室17が形成され、導入管部29とヘッダー3の冷却流体供給管12と液密に接続されるとともに、流路形成部材15の位置が設計された位置に定まる。したがって本例では、前室17はおおむね円柱形状であり、その中心軸もまた、発熱中心Oを通る軸と同軸である。図5に示した断面形状は、そのような形状の一例である。
なお、本実施形態では、凸形状部16、導入管部29及び前室17の中心軸はいずれも発熱中心Oを通る軸と同軸であるが、これら各部の中心軸は必ずしも発熱中心Oを通り軸に対し同軸でなくともよく、ターゲット6の側から見て、凸形状部16やターゲット6の幾何中心に対して同軸であってもよい(ただし、多くの設計においては、これらは一致することが多いと考えられる)。また、導入管部29の形状は円筒形状に限定されず、多角筒形状その他の任意の筒形状であってもよく、前室17は円柱形状に限定されず、多角柱形状その他の任意の柱状であってもよい。
ヘッダー3は、固体熱拡散部材14の窪みをターゲット6と反対の側から封鎖し、固体熱拡散部材14と流路形成部材15との間に形成された流路を冷却流体供給管12及び冷却流体排出管13と接続するとともに、前述したように、流路形成部材15の位置を固体熱拡散部材14に対して所定の位置に定める。
冷却流体供給管12から流入した冷却流体は、矢線aに示すように、凸形状部16の下方の中心領域Cに形成された前室17から、凸形状部16の周囲へと流入する。そして冷却流体は、周辺領域Pにおいて、固体熱拡散部材14と流路形成部材15間に形成された膜状流路F中を膜状流れとなって通過する。
すなわち、本実施形態にて示されるように、ターゲット6にて生じた熱を、固体熱拡散部材14を介して、凸形状部16へと拡散させることにより、冷却可能表面積を増大させ、さらに、かかる凸形状部16の表面に沿った流路を設けて冷却流体を凸形状部16の表面に沿って流すことにより、冷却効率を飛躍的に高めるとともに、冷却流体流れにおける圧力損失を低減するものである。
図5には、流路が膜状流路Fとなっている区間を白抜き矢印で示した。膜状流路Fでは、流路断面積が他の部分に比して小さくなるため、冷却流体の流速は増大し、効率よく固体熱拡散部材1からの熱交換を受ける。
その後、冷却流体は流路形成部材15の外周面を矢線bに示すように下方に向かって流下し、円管状の後室18へと流入し、冷却流体排出管13から排出される。前室17及び後室18は、冷却流体の流れにより生じる圧損を小さくするために流路断面積が大きくとられており、前室17及び後室18における流速は膜状流路Fに比して十分に小さい。このような設計により、冷却構造11に十分な冷却流体を供給するためのポンプに要求される昇圧性能は低く抑えられる。
図5より明らかなように、本実施形態の膜状流路Fは、平面視において、発熱中心Oから等方的に広がる流れであるから、流路の厚みが同じ場所であれば、より発熱中心Oに近い位置のほうが流路断面積が小さい。そのため、本実施形態では、冷却流体の最大流速vが得られる位置Mは、図示したように、上向きに凸となる半円環面形状の膜状流路Fの中心側に近い位置となる。
図6は、図5に示した本発明の第1の実施形態に係るX線管球100の冷却構造11の流路形成部材15の断面斜視図である。同図では、流路形成部材15は、その中心軸を通る平面により、図5にも表れていたその断面形状が示されている。流路形成部材15は、全体としておおむね円筒形状をしており、図中上側に示した上辺の半円環面が膜状流路の壁面の一部を構成する。また、図中下側に示した肉厚の部分が円筒形状の導入管部29となっている。
図7は、本発明の第2の実施形態に係るX線管球100の冷却構造11の具体的構造を示す断面図である。本実施形態は、先の実施形態に対し、冷却構造11の具体的形状のみが異なり、その他の点において差異はないため、X線管球100の全体構成を示す図として、図3を援用することとし、また、両実施形態において同等又は対応関係にある部材については同符号を付して、重複する説明についてはこれを省略するものとする。
本実施形態に係る冷却構造11では、凸形状部16が、発熱中心Oを中心軸とする尖頭形状となっている。ここでは、凸形状部16は、発熱中心Oを軸に持つ下向きに凸の円錐形状である。また、流路形成部材15の形状も、凸形状部16に対応した形状となっている。すなわち、周辺部Pの内周側においては、凸形状部16と相補的な形状となる、下向きに凹となる円錐面であり、周辺部Pの外周側では、上向きに凸となる半円環面であり、両者は滑らかに接続されている。
この円錐面から半円環面にそって膜状流路Fが図示のごとく形成されており、冷却流体の最大流速vが得られる位置Mは、膜状流路Fの入り口付近となる。また、図7より容易に看取できるように、膜状流路Fとその前後の流路において、流路の壁面は、冷却流体を流した際の流れ線に沿った形状となるように設計されており、この区間において流れの壁面からの剥離や、渦が生じないようになされている。このように、流路形成部材15の表面形状を、冷却流体の流れ線に沿った表面形状とすることで、流れの乱れによるエネルギー損失を抑えることができ、冷却構造11に十分な冷却流体を供給するためのポンプに要求される昇圧性能の低下に寄与する。
また、本実施形態においては、前室17は、流路形成部材15の導入管部29にヘッダー3の上方(図中上側)に突き出した部分が接続されることにより形成される円柱形状の空間であり、円筒形状の導入管部29及び前室17の中心軸は、凸形状部16の中心軸と同軸となっている。先の実施形態と同様に、前室17及び後室18は、冷却流体の流れにより生じる圧損を小さくするために流路断面積が大きくとられており、前室17及び後室18における流速は膜状流路Fに比して十分に小さい。
図8は、図7に示した本発明の第2の実施形態に係るX線管球100の冷却構造11の流路形成部材15の断面斜視図である。同図においても、流路形成部材15は、その中心軸を通る平面により、図7にも表れていたその断面形状が示されている。本実施形態においても、流路形成部材15は、全体としておおむね円筒形状をしており、図中上側に示した上辺の半円環面から、図中下方に連続する円錐面が膜状流路の壁面の一部を構成する。また、図中下側に示した、円錐面が連続する円筒形状の部分が導入管部29となっている。
図9は、本発明の第3の実施形態に係るX線管球100の冷却構造11の具体的構造を示す断面図である。本実施形態もまた、先の実施形態に対し、冷却構造11の具体的形状のみが異なり、その他の点において差異はないため、X線管球100の全体構成を示す図として、図3を援用するとともに、また、各実施形態において同等又は対応関係にある部材については同符号を付して、重複する説明についてはこれを省略する。
本実施形態に係る冷却構造11では、固体熱拡散部材14の裏面は平坦であり、裏側から見て、平坦な底を持つ円筒上の窪みを有する形状となっている。かかる窪みの中に、流入口19及び流出口21と、流口19及び流出口21と接続された円環状膜状流路20を形成する流路形成部材15が挿入され、ヘッダー3により冷却流体供給管12と流入口19が接続されるとともに、冷却流体排出管13と流出口21がそれぞれ接続される。
円環状膜状流路20は、図9の紙面に垂直な面内に広がる円環形状の流路であり、図7で示した断面図では本来現れないが、説明の便宜上、図9の奥行方向に見える円環状膜状流路20の入口と出口を示した。円環状膜状流路20自体は、固体熱拡散部材14の裏面と流路形成部材15の表面との間に形成され、その流れの厚さ方向の断面は、図9に現れているように扁平な矩形となっている。冷却構造11における膜状流路Fが形成されている区間は、円環状膜状流路20が形成されている区間と一致する。その区間を図9の白抜き矢印にて示した。
図10は、図9のX-X線による平面断面図である。円環状膜状流路20は、平面視において円環形状であり、その一方の側に冷却流体供給管12と接続される流入口19が設けられ、その他方の側に冷却流体排出管13と接続される流出口21が設けられる。なお、本例では、流入口19と流出口21の断面を円形として示したが、必ずしもこれらは円形でなくてもよく、他の形状であってもよい。
したがって、図9の冷却流体供給管12から流入した冷却流体は、矢線cで示したようにターゲット6側に向かって流れ、流入口19に流入する。そして、図10の矢線dに示したように、冷却流体の流れは、流入口19から同図における上下方向の二手に分かれ、円環状膜状流路20内を円周方向に流れて、流出口21で合流し、流出する。円環状膜状流路20から流出した冷却流体は、図9の矢線eに示すように、流出口21からターゲット6から離れる方向に流れ、冷却流体排出管13から流出する。
図11は、図9及び図10に示した本発明の第3の実施形態に係るX線管球100の冷却構造11の流路形成部材15の上面斜視図である。同図に示されるように、流路形成部材15の上面中心部には柱状の凸部となる柱頭部26が形成され、その周囲に断面矩形の円環状の窪みである円環状凹部27が設けられている。円環状凹部27の柱頭部26に対して反対となる側にそれぞれ、流入口19及び流出口21が穿孔されている。円環状凹部27の外側は、円環状に上側に向かって突き出す円環状壁28となっている。
柱頭部26及び円環状壁28の円環状凹部27の底面に対する高さは等しくなっており、図9の断面図に示されるように、流路形成部材15が冷却構造11に組み込まれると、固体熱拡散部材14の底面と柱頭部26及び円環状壁28の上面が面接触する。このとき、固体熱拡散部材14と流路形成部材15とは、その接触面において熱伝達がなされるため、柱頭部26は、固体熱拡散部材14の熱を下方に向かって拡散する、凸形状部16として機能することになる。かかる凸形状部16は、図9に示されているように、発熱中心Oを通る軸に沿って下方に伸びており、冷却流体が円環状膜状流路20内を凸形状部16の外周面に沿って流れることにより、円滑な熱交換がなされる。
本実施形態では、図9~図11より明らかなように、発熱中心Oにおいては流路が形成されておらず、冷却流体の流れが存在していないため、ターゲット6において発生した熱の冷却流体への熱交換は、専ら周辺領域Pのみにて行われる。また、流入口19及び流出口21の断面積は十分大きく設計され、流入口19及び流出口21内での冷却流体の流速を低く抑えて冷却流体の流れにより生じる圧損を小さくするよう企図されている。
また、冷却流体の最大流速vは、円環状膜状流路20の断面中央付近で得られ、円周方向に沿っておおむね一定となる。
図12は、本発明の第4の実施形態に係るX線管球100の冷却構造11の具体的構造を示す断面図である。本実施形態もまた、先の実施形態に対し、冷却構造11の具体的形状が異なっており、その他の点において実質的な差異はないため、X線管球100の全体構成を示す図として、図3を援用するとともに、また、各実施形態において同等又は対応関係にある部材については同符号を付して、重複する説明についてはこれを省略する。
また、本実施形態に係る冷却構造11においても、第の実施形態と同様に、固体熱拡散部材14の裏面は平坦であり、裏側から見て、平坦な底を持つ円筒上の窪みを有する形状となっている。かかる窪みの中に、流路形成部材15が挿入され、ヘッダー3により冷却流体供給管12と流入口19が接続されるとともに、冷却流体排出管13と流出口21がそれぞれ接続される構造も同様である。流路形成部材15は、流口19及び流出口21と接続された楕円環状膜状流路24を形成する。
本実施形態に係る円環状膜状流路24は、図12の紙面に垂直な面内に広がる円環形状の流路であり、図12で示した断面図では本来現れないが、説明の便宜上、図12の奥行方向に見える楕円環状膜状流路24の入口と出口を示した。また、流出口21も本来図12の断面には表れないが、その位置を示している。楕円環状膜状流路24の出口と流出口21の位置は、図中破線で示した。
また、流路形成部材15の図中右側の流出口21と重なり合う位置には、分離壁22が設けられている。分離壁22の形状および意義については後述する。円環状膜状流路24は、固体熱拡散部材14の裏面と流路形成部材15の表面との間に形成され、その流れの厚さ方向の断面は、図12に現れているように扁平な矩形である。冷却構造11における膜状流路Fが形成されている区間は、円環状膜状流路24が形成されている区間と一致し、その区間は白抜き矢印にて示されている。
図13は、図12のXIII-XIII線による平面断面図である。円環状膜状流路24は、平面視において長軸Hを有する円環形状であり、その一方の側に冷却流体供給管12と接続される流入口19が設けられ、その他方の側に冷却流体排出管13と接続される流出口21が設けられる。また、流出口21には、分離壁22が設けられ、流入口19から二手に分かれた流路を、流出口21の位置において隔てている。
図12に戻り、冷却流体供給管12より注入された冷却流体は、矢線fに示したように発熱中心Oを通る中心線に沿ってターゲット6に向かって進み、斜め上方に向かう前室17を通過して流入口19から楕円環状膜状流路24へと流入する。
図13に示されるように、流入口19から楕円環状膜状流路2へと流入した冷却流体は、矢線gに示されるように図中上下の二手に分かれて楕円環状膜状流路24内をその周方向に流れる。そして、流入口19と反対の側において、流出口21から流出する。この際に、上下に二手に分かれた互いに異なる流れは、分離壁22により分離され、互いに衝突することなく流出口21へと流れ出すようにされている。
これは、流出口21の位置において、二手に分かれた冷却流体の流れがほぼ互いに対向する向きとなり、これらの流れを衝突させると流れが大きく乱れるため、エネルギー損失を生じるためである。このエネルギー損失は、冷却流体を冷却構造11に流す上での圧力損失の増大という形で顕在化するため、流れの衝突によるエネルギー損失があると、その分冷却流体を送り出すポンプの能力が高いものが必要となってしまう恐れがある。そこで、分離壁22により流れの異なる冷却流体を分離し、流れの衝突を防いでいる。
流出口21より流出した冷却流体は、図12の矢線hに示すように、ターゲット6から遠ざかる方向へと流れ、冷却流体排出管13から排出される。ここで、図14は、図13のXIV-XIV線における断面図である。図13のXI-XI線は、流出口21及び分離壁22を含む楕円環状膜状流路24の周方向に沿った線である。
図14には、図12の矢線hで示した冷却流体の流れを、別の方向から示した様子が示されている。分離壁22により隔てられた楕円環状膜状流路24から流出口21に流入した冷却流体は、分離壁22の両面に沿ってターゲット6から遠ざかる方向に流下し、分離壁22が途切れる後室18において合流し、その後冷却流体排出管13へと流れていく。図14より明らかなように、分離壁22の下側における流れの合流時には、二手に分かれた流れの向きはほぼ同じとなっているため、流れの衝突は起こらず、冷却流体のスムーズな流れが形成される。
なお、本実施形態において、分離壁22は冷却媒体の流れによるエネルギー損失を低減させ、圧力損失を低減させる上で有効な手段ではあるが、本実施形態における楕円環状膜状流路24を用いたターゲット6の冷却を行う上で必須のものではない。圧力損失が許容範囲内であったり、ターゲット6に対する冷却性能が十分に得られるなどの事情の下では、分離壁22を省略して、図13に示した冷却流体の矢線gで示した流れが、流出口21の位置で合流するようにしてもよい。
本実施形態に係る冷却構造11における最大流速vは、円環状膜状流路24の断面中央付近で得られ、周方向に沿っておおむね一定となる。
また、本実施形態において、図13に示すように、円環状膜状流路24は円形ではなく、軸Hを長軸とする円環形状とされている。この理由は次のとおりである。すなわち、ターゲット6において電子線7が衝突し発熱を生じる発熱領域の形状は、一般に、発熱中心Oに対し、等方的ではなく特定の方向に偏りを持つ。具体的には、一定長さの直線状の細長い領域となる。図13には、この発熱領域23の形状を示した。なお、発熱領域2の形状が直線状となるのは、図3に示すように、電子線7を放出する陰極となるフィラメント5が細長い直線状の形状をしているためであり、電子線7の断面形状はこのフィラメント5の形状に左右されるからである。
したがって、このように特定の方向に偏りを持つ発熱領域23における発熱による熱伝播は等方的でなく、その長手方向に引き伸ばされた形状となる。楕円環状膜状流路24は、このように特定の方向に偏りを持つ発熱領域23が想定される場合に、発熱領域23の長手方向に長軸Hを持つ楕円環形状とすることで、その流路の全長にわたり、交換される熱量を偏ることなく均等とする効果がある。このようにすることで、楕円環状膜状流路24の流れに沿っての固体熱拡散部材14の温度変化が小さくなるため、特定の位置において高温となり、冷却流体が膜沸騰を生じて冷却性能を損なうような事態が防止される。
なお、楕円環状膜状流路24の離心率(又は扁平率)は、発熱領域23の長手方向長さなどに応じて適宜決定すればよい。この決定は、実験的に、またはコンピュータシミュレーションにより最適な形状を求めることになされてよい。また、楕円環状膜状流路24の平面形状は、必ずしも楕円でなくともよい。長円や、その他、発熱領域23に応じた等方的でない任意の形状を選択してよい。
図15は、本発明の第4の実施形態の変形例に係る流路形成部材15の、図12に示したXV方向から見た斜視図である。本変形例では、同図にみられるように、前室17中に整流フィン25が複数立設されており、図中手前方向から流入した冷却流体が、前室17を通過して、流路形成部材15の周縁部に向かって流れの向きが変えられ、図中奥に見える、流入口19へと流れていく際に、渦を生じるなどの流れの乱れが生じにくい構造となっている。
この整流フィン25は、望ましい流れの向きに沿った方向に延びる板状部材として流路形成部材15に形成される。本変形例では、整流フィン25は、前室17内に設けられたが、整流フィン25の配置位置はこれに限定されず、楕円環状膜状流路2内やその流入口19及び流出口21、その前後の前室17及び後室18を含む、冷却流体の流路のいかなる場所に設けてもよい。整流フィン25は、冷却流体の流れの向きや断面が急激に変化するなど、流れの乱れが生じやすい場所に適宜設けるとよく、必要でなければ必ずしも設けなくともよい。
整流フィン25を流路中に立設することにより、流路表面の面積は増大し、また整流フィン25の分だけ流路断面積が減少するため、摩擦抵抗が増大し、管摩擦損失は少なくとも増大する。一方で、整流フィン25による整流効果により、流れの乱れによる損失は減少するので、整流効果による圧力損失が整流フィン25を設置することによる管摩擦損失を上回る場合には、整流フィン25を設置した方が有利となる。整流フィン25の設置の有無、設置位置およびその形状は、冷却流体の流れの条件に応じて適宜決定するとよい。
図16は、本発明の第4の実施形態の変形例に係る流路形成部材15を、図15とは反対に、上面側から見た斜視図である。同図に示すように、流路形成部材15の上面中心部には柱状の凸部となる柱頭部26が形成され、その周囲に断面矩形の楕円環状の窪みである楕円環状凹部30が設けられている。流入口19、流出口21の位置及び形状、分離壁22の形状も同図によく表れている。
本実施形態においても、図12の断面図に示されるように、流路形成部材15が冷却構造11に組み込まれると、固体熱拡散部材14の底面と柱頭部26が面接触し、その接触面において熱伝達がなされるため、柱頭部26は、固体熱拡散部材14の熱を下方に向かって拡散する、凸形状部16として機能することになる。かかる凸形状部16もまた、図12に示されているように、発熱中心Oを通る軸に沿って下方に伸びており、冷却流体が楕円環状膜状流路24内を凸形状部16の外周面に沿って流れることにより、円滑な熱交換がなされる。
以上説明した各実施形態に係る冷却構造11の冷却性能を、各実施形態に共通する所定の条件下においてコンピュータシミュレーションを行うことにより評価した。冷却性能の評価対象となる指標として、冷却流体が冷却構造11を通過する際の圧力損失ΔP(冷却流体供給管12と冷却流体排出管13における静水圧差)、冷却構造11に生じる最高温度T、冷却構造11の冷却流体の流路の表面に生じる最高温度である流路表面最高温度Tcmの3点を選択し、比較のため、典型的なターゲット901の冷却構造900としてすでに説明した従来より存在するものを噴流衝突型として示す。
共通する条件として、発熱領域23における発熱を1000W、発熱領域23の大きさを幅0.4m、長手方向長さを8mm、冷却流体の体積流量Qを4000cm/min、冷却流体の初期温度を25℃とし、冷却流体として水を選択した。その際の各指標の値を、図17のグラフに示した。
同グラフでは、圧力損失ΔPについては左軸目盛にkPaを単位として、最高温度T及び流路表面最高温度Tcmについては右軸目盛に℃を単位として示した。なお、最高温度Tと流路表面最高温度Tcmには温度の開きがあるため、右軸目盛は一定目盛ではない。
グラフより明らかなように、最高温度Tは、従来の噴流衝突型がおおよそ492℃であるのに対し、実施形態1乃至実施形態4のものは476℃~496℃の範囲にとどまっており、大きな差はなく、噴流衝突型に比して遜色がないことがわかる。最高温度Tは、発熱中心Oにおけるターゲット6の直下で得られるから、ターゲット6の溶融を生じることなく冷却がなされているといえる。
圧力損失ΔPについては、従来の噴流衝突型がおおよそ91kPaであるのに対し、実施形態1乃至実施形態4のものは17kPa~54kPaの範囲となり、おおよそ20%~60%に低減されている。特に、実施形態2のものは圧力損失が17kPaと約18%に、また、実施形態1のものは圧力損失が32kPaと35%に低減されており、これら実施形態に係る冷却構造11が圧力損失の低減に特に有利であることが看取できる。
流路表面最高温度Tcmについては、従来の噴流衝突型がおおよそ183℃であるのに対し、実施形態1乃至実施形態4のものは86℃~136℃の範囲となり、47℃~97℃の低減が達成されている。流路表面最高温度Tcmが従来の噴流衝突型のように、沸点(水の場合は常圧で100℃。冷却構造11の流路内では加圧されているためこれよりやや高い温度となる)を大幅に上回ると、その位置により冷却流体が膜沸騰を起こし、冷却性能が著しく損なわれる恐れが高いが、実施形態1乃至実施形態4のもののように、沸点を下回るか、又は沸点に近い温度であればその恐れはなく、安定した冷却性能が得られていると考えられる。
以上示した通り、本発明の各実施形態に係る冷却構造11においては、ターゲット6に対する十分な冷却性能を維持しつつ、流路における圧力損失ΔP及び流路表面最高温度Tcmの大幅な低減が達成されており、冷却性能の効率化がなされている。圧力損失ΔPが小さいため、より性能の低いポンプを使用することが可能であり、ポンプの小型化や低コスト化に寄与する。また、流路表面最高温度Tcmが低いため、電子線出力を増大させても引き続き良好な冷却性能を維持することができ、また、冷却流体の流量を増加させることも容易である。
以上説明した実施形態において、第1及び第2の実施形態に係る冷却構造11では、凸形状部16を固体熱拡散部材14の裏面構造として形成し、第3及び第4の実施形態に係る冷却構造11では、凸形状部16を流路形成部材15の一部として形成する構成としたが、凸形状部16をどの部材により形成するかには特段の限定はなく、X線管球をヘッダー3に取り付けた状態で、固体熱拡散部材14から熱拡散が生じる形態で凸形状部16が形成されていればよい。したがって、凸形状部16を固体熱拡散部材14又は流路形成部材15の一部として形成する構成に限られず、別の独立した部材により凸形状部16を形成しても、さらには複数の部材が組み合わされることにより凸形状部16を形成するようにしてもよい。
また、上説明における発熱中心Oは、平面視における発熱量の重心位置として観念されるべき位置であるが、この位置を正確に(測定などにより)定めることは容易でなく、またその実用上の必要性も大きくないと考えられるため、電子線7が照射される領域の幾何学的中心や、ターゲット6の幾何学的中心を簡易的に発熱中心Oと看做して差し支えない。そして、上説明した各実施形態では、凸形状部16の中心軸が発熱中心Oを通る軸と一致するものとして説明したが、両者は厳密に一致している必要はない。少なくとも、平面視において、凸形状部16が形成されている領域内に発熱中心Oが含まれていればよい。
また、第1及び第2の実施形態において、膜状流路Fの厚さを定めるため、膜状流路Fの一部分に適宜のスペーサを設けてもよい。具体的には、固体熱拡散部材14、流路形成部材15、又はその両方の膜状流路Fの壁面となる面の一部分に所定厚さの突起を設け、両部材を突き当てるように組み立てることにより、所定厚さの膜状流路Fが正確かつ簡易に構成されるようにしてよい。あるいは、別途所定厚さのスペーサ部材を用意し、固体熱拡散部材14と流路形成部材15の間に挟み込むようにしてこれら部材を組み立てるようにしてもよい。これらのスペーサの位置及び数は任意であるが、膜状流路Fの複数の箇所にあることが好ましい。
また、上説明した各実施形態では、固体熱拡散部材14と流路形成部材15の間に膜状流路Fが形成されるものとして説明したが、流路形成部材15を、単独で膜状流路Fが形成される形状として作成し、かかる流路形成部材15と固体熱拡散部材14間で熱伝達がなされるように組み立てるものであってもよい。流路形成部材15を精度良く作製することで、膜状流路Fの寸法精度を容易に高いものとすることができる。
第4の実施形態では、楕円形状の楕円環状膜状流路24が楕円形状であり、膜状流路F及び凸形状部16の平面視における幾何学形状が楕円又は長円となっているものを示したが、かかる点を第1乃至第3の実施形態に適用し、膜状流路F及び凸形状部16の平面視における幾何学形状を楕円又は長円としてもよい。また、第4の実施形態で示した分離壁22を、第3の実施形態における流出口21に設けてもよい。
図18は、本発明に係るX線管球100を備えたX線分析装置200の例の概略構成図である。同図中(a)は、X線分析装置200の概略システム構成を示すブロック図、(b)はX線回折装置201の概略構成を示す図である。
(a)を参照し、X線分析装置200は、X線回折装置201、結晶相同定装置202、及び表示装置203を含んで構成されている。なお、表示装置203は、例えば、フラットパネルディスプレイ装置等からなり、結晶相同定装置202と一体に構成されていてもよい。
結晶相同定装置202は、入力手段211、記憶部212、解析部213、及び出力手段214を含んで構成されている。結晶相同定装置202は、一般的なコンピュータにより実現することができ、その場合、例えば、入力手段211及び出力手段214は入出力インターフェイス等、記憶部212はハードディスクやメモリ等、解析部213はCPU 等から構成される。記憶部212には、データベースが記憶されている。データベースには、既知の複数の結晶相のX線回折パターンの、2θ-Iプロファイルにおけるピーク位置及びピーク強度比のデータが、格子面の距離d対強度比Iのデータ(d-Iデータ)として登録されている。記憶部212は、外付けのハードディスク等であってもよい。
解析部213は、X線回折装置201から入力手段211を介して入力されたX線回折データを、記憶部212に記憶する。そして、解析部213は、記憶部212に記憶されたX線回折データに対して情報処理を行って、処理結果を記憶部212に記憶し、また出力手段214を介して、処理結果を表示装置203に表示させる。
(b)を参照し、X線回折装置201は、ゴニオメータ204、X線発生装置205、コリメータ206、X線検出器207、制御ユニット208、及び入出力装置209を含んで構成されている。ゴニオメータ204は、測角器であり、その中心部には、試料210を搭載して回転する試料台が設けられている。X線発生装置205から発生したX線は、ピンホールを有するコリメータ206を通過して細いビーム状の線束となり、試料210へ照射される。X線検出器207は、試料210により回折されたX線を検出する。試料210へ照射されるX線の、試料210の格子面からの角度θであるとき、回折角度は2θとなる。制御ユニット208は、コンピュータ、シーケンサ、専用回路等により構成されており、ゴニオメータ204、X線発生装置205、及びX線検出器207を制御する。入出力装置209は、測定条件等を制御ユニット208へ入力し、またX線検出器207が検出したX線回折データを結晶相同定装置202へ出力する。なお、図18(b)は、反射型のX線回析装置を示しているが、透過型のX線回析装置であってもよい。また、X線検出器は、2次元検出器に限らず、0次元検出器又は1次元検出器を用い、試料又は検出器を移動又は回転させる構成であってもよい。
X線回折装置201のX線発生装置205には、上述した各実施形態に係るX線管球100が装着され、電極10(図3参照)に電流を供給することで、X線を発生させる。また、X線管球100には、別途設置した流体ポンプり冷却流体が供給され循環することにより冷却がなされる。
最後に、本発明の各実施形態に係るX線管球100の製造方法を説明する。なお、以下のX線管球100の製造方法の説明にあたっては、これまで説明した各実施形態に関する図3、図5~12を適宜参照されたい。
X線管球の製造方法は、大きく区分して、(1)各部材の製造工程、(2)各部材の組み立て工程、及び(3)真空引き工程の3工程からなる。
まず(1)の各部材の製造工程においては、各部材を公知の方法にて製造する。本発明の各実施形態においては、特に、冷却構造11の構造に特徴があるため、この点について説明を加え、公知の部材の製造方法についてはこれを省略することとする。
固体熱拡散部材14は、銅などの熱伝導率に優れた金属片に対し、凸形状部16等の流路表面となる表面形状を加工する。この加工は、コンピュータ制御によるマシニングセンタなどを利用した切削加工で行ってよく、複雑な流路形状を設計通りに作成することができる。なお、この加工は、切削に限定されず、鍛造、鋳造、放電加工など他の各種の手法を用い又は併用してもよい。
固体熱拡散部材14の表面には、金属単結晶より切りだされた銅、タングステンなどのターゲット片が、銅箔や金箔を用いたロウ付けにより密に固定される。この際に、固体熱拡散部材14とターゲット片との間には隙間なく、熱伝達が阻害されないように注意が払われる。
流路形成部材15やヘッダー3、ベース1についても、適宜機械旋盤やマシニングセンタによる加工により成型が行われる。流路形成部材15は、実施形態3及び4に示した例のように、固体熱拡散部材14と熱的に接触し、その一部として凸形状部16を構成するものである場合には、固体熱拡散部材14と同様に、熱伝導率に優れた金属性とすることが望ましい。そのような金属の例は、銅である。ハウジング2は、セラミック原料粉を圧粉成型の後焼結することにより成型され、電極10やフィラメント5が取り付けられる。
このように各部材が製造された後、(2)の組み立て工程において、各部材が液密・気密に組み立てられる。各部材間の固定には、適宜の手法、例えば接着、圧着、ねじ込み、ねじの利用など各種の公知の方法を適宜用いてよい。
X線管球100の組み立て終了後、(3)の真空引き工程において、ベース1に設けられる図示されていない排気口を真空ポンプに接続し、内部の気体を吸引してベース1及びハウジング2内の空間を真空状態とする。排気口は真空引きの後に封鎖され、真空ポンプが取り外された後もベース1及びハウジング2内の空間の真空状態が維持される。
以上の工程によりX線管球100が製造される。製造されたX線管球100は、上述のX線分析装置200のほか、各種のX線利用機器に取り付けられ、利用される。
以上説明した本発明の各実施形態は、本発明を具体化した例として示したものであり、本発明の技術的範囲をその具体的態様に限定するものではない。各実施形態は、当業者により、その利用の対応に応じて必要となる変形がなされてよく、また、各実施形態にて示した構成を互いに組み合わせてもよい。本明細書にて示された本発明の技術的範囲は、そのようになされた変形や組合せを含むものである。
1 ベース、2 ハウジング、3 ヘッダー、5 フィラメント、6 ターゲット、7 電子線、8 X線、9 窓、10 電極、11 冷却構造、12 冷却流体供給管、13 冷却流体排出管、14 固体熱拡散部材、15 流路形成部材、16 凸形状部、17 前室、18 後室、19 流入口、20 円環状膜状流路、21 流出口、22 分離壁、23 発熱領域、24 楕円環状膜状流路、25 整流フィン、26 柱頭部、27 円環状凹部、28 円環状壁、29 導入管部、30 楕円環状凹部、100 X線管球、200 X線分析装置、201 X線回折装置、202 結晶相同定装置、203 表示装置、204 ゴニオメータ、205 X線発生装置、206 コリメータ、207 X線検出器、208 制御ユニット、209 入出力装置、210 試料、900 冷却構造、901 ターゲット、902 支持台、903 電子線、904 ノズル、905 噴流。

Claims (12)

  1. 電子線を放出する電子線放出部と、
    前記電子線が衝突する第1の面を有するターゲットと、
    前記ターゲットの前記第1の面と反対の面である第2の面の側に固定された固体熱拡散部材と、
    前記固体熱拡散部材の前記ターゲットと反対の側に配置され、冷却流体が膜状流れを形成する膜状流路を形成する流路形成部材と、を有し、
    前記固体熱拡散部材には、前記ターゲットと反対の側に向かって突出する凸形状部が形成され、前記電子線の放出方向から見て、前記凸形状部の中心は、前記電子線が前記ターゲットに衝突して発熱する発熱中心と重畳し
    前記膜状流路は、前記凸形状部の表面の少なくとも一部に沿った形状であるとともに、前記膜状流路の厚みdは、前記膜状流路の幅及び長さのいずれか小さい値lに対して、d≦l/2である、
    X線管球。
  2. 前記膜状流路は、前記電子線の放出方向から見て、前記発熱中心から所定の距離における前記冷却流体の平均流速が、前記発熱中心における前記冷却流体の平均流速より大きくなる形状である、請求項1に記載のX線管球。
  3. 前記膜状流路は、前記発熱中心から所定の距離の位置において流路断面積が最小となる形状である請求項1又は2記載のX線管球。
  4. 前記凸形状部は、球頭形状又は尖頭形状である請求項1~3のいずれか1項に記載のX線管球。
  5. 前記冷却流体を前記膜状流路に導入する導入管部が、前記導入管部の中心軸と前記凸形状部の中心軸とが同軸となるように設けられる請求項1~4のいずれか1項記載のX線管球。
  6. 前記膜状流路は、前記冷却流体の流入口及び流出口を有し、前記凸形状部を囲繞する円環形状である請求項1~3及び5のいずれか1項に記載のX線管球。
  7. 前記流入口及び前記流出口は、前記凸形状部を挟み、前記膜状流路の互いに反対の側に配置される請求項6記載のX線管球。
  8. 前記膜状流路は、前記流出口の位置において、流れの異なる前記冷却流体を分離する分離壁を有する請求項6又は7記載のX線管球。
  9. 前記膜状流路は、前記電子線の放出方向から見て、前記電子線が前記ターゲットに衝突して発熱する発熱領域の長手方向を長軸とする長円又は楕円形状である、
    請求項1~8のいずれか1項に記載のX線管球。
  10. 前記流路形成部材は、前記冷却流体の流れ方向に沿った整流フィンを有する、
    請求項1~9のいずれか1項に記載のX線管球。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載のX線管球を備えたX線分析装置。
  12. X線管球におけるターゲットの冷却方法であって、
    電子線が衝突する第1の面を有するターゲットの前記第1の面と反対の面である第2の面の側に固定された固体熱拡散部材と、前記固体熱拡散部材の前記ターゲットと反対の側に配置される流路形成部材により、前記ターゲットを冷却する冷却流体が膜状流れを形成する膜状流路を形成し、
    前記固体熱拡散部材には、前記ターゲットと反対の側に向かって突出する凸形状部が形成され、前記電子線の放出方向から見て、前記凸形状部の中心は、前記電子線が前記ターゲットに衝突して発熱する発熱中心と重畳し、
    前記膜状流路は、前記凸形状部の表面の少なくとも一部に沿った形状であるとともに、前記膜状流路の厚みdは、前記膜状流路の幅及び長さのいずれか小さい値lに対して、d≦l/2であり、
    電子線放出部から前記電子線を放出し、
    前記電子線の放出方向から見て、前記冷却流体を、前記発熱中心における前記冷却流体の平均流速に比して、前記発熱中心の周辺部における前記冷却流体の平均流速の方が大きくなる膜状流路に流すことにより、前記ターゲットを冷却する、X線管球におけるターゲットの冷却方法。
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