JP3753161B2 - 給湯器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は給湯器に関し、詳しくはバイパスミキシング方式の給湯器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、熱交換器をバイパスするバイパス路を備えた給湯器が知られている。こうした給湯器は、バイパス路に流路を開閉するバイパス弁を備え、設定温度が低温(例えば50℃未満)の場合には、バイパス弁を開弁して混合した湯を出湯することで熱交換器の低温腐食を防止し、設定温度が高温(例えば50℃以上)の場合には、バイパス弁を閉弁して熱交換器の湯をそのまま出湯することで、高温出湯を可能としている。
【0003】
また、器具に通水される水の流量を検出する流量センサを備え、その検出値が基準流量以上となった時にバーナの燃焼動作を開始すると共に、設定温度が低温(50℃未満)であればバイパス弁を開弁して混合した湯での出湯を行なう。このように出湯動作中は設定温度に応じてバイパス弁の開閉を切替えるが、出湯停止中は設定温度に関係なくバイパス弁を閉弁し、バイパス路の冷水が出湯路から熱交換器に回り込むことにより熱交換器側の湯温が低下して、出湯停止後短時間での再出湯にもかかわらず低温の湯が供給されることを防止する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、設定温度が低温(50℃未満)での出湯時には、熱交換器の出口温度は設定温度より高温となっているため、給湯栓が閉じられ出湯動作が停止された直後には、熱交換器内には設定温度より高温の湯が滞留している。しかも、熱交換器の余熱が熱交換器内に滞留している湯に伝わって湯の後沸き現象が生じ、熱交換器内の湯温は更に高温となる。この状態で給湯栓が開かれると、流量センサにより基準流量を検出してバイパス弁を開弁するまでの間、熱交換器内の高温の湯がそのまま出湯されてしまい、設定温度が低温であるため使用者が不用意に湯に触れてしまうことが考えられ、危険であった。また、バイパス弁が開弁するまでの間熱交換器に滞留した湯が多量に流されてしまうことにより、点火時には熱交換器内の湯は低温になり、その後のアンダーシュートが大きかった。
【0005】
本発明の給湯器は上記課題を解決し、間欠再出湯時の出湯温度のオーバーシュート及びアンダーシュートを低減することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の給湯器は、
給水路から供給された水をバーナの燃焼熱により加熱して出湯路に供給する熱交換器と、
上記熱交換器をバイパスして上記給水路と上記出湯路とを連通するバイパス路と、
器具に供給される水の流量もしくは上記熱交換器に供給される水の流量を検出する流量センサと、
設定温度を設定する温度設定手段と、
上記流量センサの検出値が第1基準流量を越えた時にバーナの燃焼動作を開始し、出湯温度が上記設定温度に近づくように燃焼制御する燃焼制御手段と、
上記バイパス路に設けられ、流路を開閉するバイパス弁と、
出湯動作中に上記設定温度が所定値未満の場合に上記バイパス弁を開弁し、所定値以上の場合に閉弁し、止水中には閉弁するバイパス弁制御手段と
を備えた給湯器において、
上記バイパス弁制御手段は、上記流量センサの検出値が上記第1基準流量より小さい第2基準流量を越え、かつ設定温度が所定温度以下である場合に、上記バイパス弁を開弁することを特徴とすることを要旨とする。
【0007】
上記構成を有する本発明の給湯器は、止水中はバイパス弁を閉弁して、バイパス路の水が出湯路に回り込むことを防ぐ。ここで給湯栓が開かれて流量センサの検出値が第2基準流量を越えると、設定温度が所定値未満であるかを判断し、所定値未満であればバイパス弁を開弁する。更に流量が増加して、流量センサの検出値が第1基準流量を越えると、バーナの燃焼動作を開始し、出湯温度が設定温度に近づくよう燃焼制御を開始する。設定温度が所定値未満に設定された状態での出湯時には、バイパス弁を開弁しているため、熱交換器内の湯温は設定温度より高くなっている。ここで給湯栓が閉じられ、出湯動作を停止してバイパス弁を閉弁した直後には、熱交換器内に設定温度より高温の湯が滞留している。しかも、熱交換器の余熱が熱交換器内に滞留している湯に伝わって湯の後沸き現象が生じ、熱交換器内の湯温は更に高温となる。この状態で再び給湯栓が開かれると、流量センサの検出値が第2基準流量以上となってバイパス弁が開弁されるまでの間、熱交換器内の高温の湯がそのまま送り出されるが、第2基準流量を第1基準流量より小さくすることで、開栓されてからバイパス弁が開弁するまでの時間を短縮するため、早くバイパス路の水を高温湯に混合することができる。また、バイパス弁を早く開弁することにより、熱交換器内に滞留している湯が流れる量を少なくすることができるため、熱交換器内の湯温の低下を少なくすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の給湯器の好適な実施例について説明する。図1は本発明の一実施例としての給湯器の概略構成図である。この給湯器は、給水路1と出湯路2とが接続される熱交換器3と、熱交換器3をバイパスするバイパス路4と、熱交換器3を流れる水を加熱するためのバーナ5と、バーナ5にガスを供給するガス供給路6と、燃焼制御を司どるコントローラ7とを備える。給水路1のバイパス路4との分岐部aより上流側には入水流量を検出する流量センサ8を備える。また出湯路2のバイパス路4との合流部bより下流側には出湯温度を検出する温度センサ9を備え、更にその下流側には給湯栓10が接続される。またバイパス路4には、流路を開閉するバイパス弁11を備える。またガス供給路6には、流路の開閉を行なうメイン電磁弁12,元電磁弁13と、ガス供給量を調節する比例弁14とを備える。
【0009】
コントローラ7は、図示しない周知の算術論理演算回路を構成するCPU,RAM,ROMと、各種センサからの信号を入力する入力インタフェースと、各種アクチュエータに駆動信号を出力する出力インタフェース等から構成される。またコントローラ7には、設定温度を設定するための操作スイッチを備えたリモコン15が接続される。
【0010】
またコントローラ7は、第1基準流量(本実施例では2.5リットル/分)と、その値より小さい第2基準流量(本実施例では1.0リットル/分)とを記憶しており、流量センサ8の検出値が第2基準流量(1.0リットル/分)以上で、なおかつリモコン15により設定された設定温度が50℃未満の場合にバイパス弁11を開弁し、また流量センサ8の検出値が第1基準流量(2.5リットル/分)を越えた時にバーナ5への点火動作を行なうと共に、出湯動作を開始する。また、所定の消火流量(本実施例では2.0リットル/分)を記憶しており、流量センサ8の検出値が所定の消火流量(2.0リットル/分)未満となった時に、バーナ5を消火して出湯動作を停止すると共に、バイパス弁11を閉弁する。
【0011】
次に、コントローラ7の行う制御処理について図2のフローチャートを用いて説明する。止水中はバイパス弁11を閉弁することで、バイパス路4の水が出湯路2に回り込むことを防ぐ。ここで給湯栓10が開かれ、流量センサ8の検出値が第2基準流量(1.0リットル/分)以上になると(S1)設定温度をチェックし(S2)、50℃未満であれば(S2:YES)バイパス弁11を開弁する(S3)。更に流量が増加して流量センサ8の検出値が第1基準流量(2.5リットル/分)を越えた時に(S4:YES)、図示しない点火装置によりバーナ5への点火を行うと共に(S5)、出湯動作を開始する。コントローラ7は温度センサ9の検出する出湯温度を設定温度に近づけるように、比例弁14の開度を調節してバーナ5の燃焼量を調節する出湯温制御を行う(S6)。
【0012】
給湯栓10が閉じられ、流量センサ8の検出値が所定の消火流量(2.0リットル/分)未満になると(S7:YES)、メイン電磁弁12,元電磁弁13を閉弁してバーナ5を消火し(S8)、出湯動作を停止すると共に、バイパス弁11を閉弁する(S9)。
【0013】
例えばバイパス率が42パーセントである場合、水温が10℃の時に設定温度が40℃に設定された状態で給湯栓10が開かれ、出湯動作を開始すると、バイパス弁11を開弁することにより、熱交換器3の出口温度は62℃となる。ここで、給湯栓10が閉じられてバイパス弁11を閉弁すると、バイパス路4では約10℃、出湯路2のバイパス路4との合流部bより下流側は約40℃、出湯路2のバイパス路4との合流部bより上流側は約62℃といった温度分布になり、熱交換器3内に滞留した湯は後沸き現象により更に高温となる。この状態で再び給湯栓10が開かれると、図3のグラフに示すように熱交換器3内の高温の湯がそのまま出湯されて出湯温度が上昇するが、流量センサ8の検出値が増加し、検出流量が第2基準流量(1.0リットル/分)に達した時点でバイパス弁11を開弁すると、熱交換器3からの高温の湯はバイパス路4からの水と混合して出湯されるため、出湯温度が低下する。また、バイパス弁11を早く開弁することで、バーナ5の点火前の熱交換器3内の流量が減少するため、熱交換器3の温度低下が少なくなる。
【0014】
従来の給湯器では、破線aに示すように出湯動作開始と同時にバイパス弁11を開弁していたため、破線bに示すように出湯温度は大きくオーバーシュートしてしまう。しかし本実施例の給湯器では、出湯動作開始前にバイパス弁11を開弁するため、オーバーシュートを低減することができる。また、点火前の熱交換器3内の流量を減らすことで、熱交換器3の温度低下を少なくできるため、アンダーシュートも低減でき、出湯温度の安定が速くなる。
【0015】
以上説明したように、本実施例の給湯器によれば、本来バイパス弁11を開弁して冷水と混合して出湯するための高温の湯が、間欠再出湯時にそのまま出湯される時間を短くしてオーバーシュートを低減するため、安全性が高い。また、混合して出湯する場合の設定温度は低温であることにより、使用者が不用意に湯に触れると考えられ、そういった低温設定時の出湯温度のオーバーシュートを防ぐため、実用的である。また、バイパス弁11を閉弁した状態での間欠再出湯時にも、後沸き現象により出湯温度が設定温度より高温になることがあるが、この場合設定温度が高温であることにより、使用者が高温湯がでることを意識して使用するため、問題にならない。また、熱交換器3の温度低下を少なくしてアンダーシュートを低減できるため、出湯温度の安定が速い。また、止水時にはバイパス弁11を閉じて、バイパス路4の冷水が熱交換器3内に回り込むことを防ぐことにより、熱交換器3側の湯温低下を小さくするため、出湯停止後短時間での再出湯にもかかわらず低温の湯が供給されることを防ぐことができる。また、給湯栓10を僅かに開けた状態のように第1基準流量(2.5リットル/分)以下で通水された場合にも、第2基準流量(1.0リットル/分)以上であればバイパス弁11を開くことにより、バイパス路4の冷水を混合して供給するため安全である。また、バイパス弁11を開弁するための流量基準値をバーナ5への点火動作を行なうための流量基準値より小さくするといった手法を採るため構成が簡単である。
【0016】
尚、本実施例においてはバイパス弁11を開弁するための第2基準流量を一定値としたが、出湯停止からの経過時間を計測し、経過時間が長くなるほど第2基準流量を増やし、所定時間以上経過した場合には第1基準流量と同じにしてもよい。このように第2基準流量を変えることにより、熱交換器3内の温度低下に応じたタイミングでバイパス路の冷水を混合して、アンダーシュートの発生を低減することができる。また同様に、設定温度や温度センサ9の検出温度等に応じて、第2基準流量を変化させてもよい。また、流量センサ8は給水路1のバイパス路4との分岐部aより下流側に設けてもよく、また出湯路2に設けてもよい。
【0017】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0018】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の給湯器によれば、バイパス弁を開弁しての混合出湯での間欠再出湯時に、バイパス弁を早く開弁してオーバーシュートを低減するため、安全性が高い。また、混合して出湯する場合の設定温度は低温であることにより、使用者が不用意に湯に触れると考えられ、そういった低温設定時の出湯温度のオーバーシュートを防ぐため、実用的である。また、バイパス弁を閉弁した状態での間欠再出湯時にも、後沸き現象により出湯温度が設定温度より高温になることがあるが、この場合設定温度が高温であることにより、使用者が高温湯がでることを意識して使用するため、問題にならない。また、熱交換器内の湯温の低下を少なくすることによりアンダーシュートを低減できるため、出湯温度を早く安定させることができる。また、止水時にはバイパス弁を閉じ、バイパス路の冷水が熱交換器内に回り込むことを防ぐことにより、熱交換器側の湯温低下を小さくするため、出湯停止後短時間での再出湯にもかかわらず低温の湯が供給されることを防ぐことができる。また、第1基準流量以下で通水された場合にも、第2基準流量以上であればバイパス弁を開くことにより、バイパス路の冷水と混合されて供給されるため安全性が高い。また、バイパス弁を開弁するための流量基準値をバーナの燃焼動作を開始するための流量基準値より小さくするといった手法を採るため構成が簡単である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての給湯器の概略構成図である。
【図2】コントローラの行なう制御処理を表すフローチャートである。
【図3】出湯温度の変化を表すグラフである。
【符号の説明】
1…給水路、 2…出湯路、 3…熱交換器、 4…バイパス路、
5…バーナ、 6…ガス供給路、 7…コントローラ、 8…流量センサ、
9…温度センサ、 10…給湯栓、 14…比例弁。
Claims (1)
- 給水路から供給された水をバーナの燃焼熱により加熱して出湯路に供給する熱交換器と、
上記熱交換器をバイパスして上記給水路と上記出湯路とを連通するバイパス路と、
器具に供給される水の流量もしくは上記熱交換器に供給される水の流量を検出する流量センサと、
設定温度を設定する温度設定手段と、
上記流量センサの検出値が第1基準流量を越えた時にバーナの燃焼動作を開始し、出湯温度が上記設定温度に近づくように燃焼制御する燃焼制御手段と、
上記バイパス路に設けられ、流路を開閉するバイパス弁と、
出湯動作中に上記設定温度が所定値未満の場合に上記バイパス弁を開弁し、所定値以上の場合に閉弁し、止水中には閉弁するバイパス弁制御手段と
を備えた給湯器において、
上記バイパス弁制御手段は、上記流量センサの検出値が上記第1基準流量より小さい第2基準流量を越え、かつ設定温度が所定温度以下である場合に、上記バイパス弁を開弁することを特徴とする給湯器。
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- 1996-07-02 JP JP19286996A patent/JP3753161B2/ja not_active Expired - Lifetime
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