JP3752841B2 - 制動力制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばエンジンとモータジェネレータとを併設した,所謂パラレルハイブリッド車両やモータジェネレータだけを原動機とする電動車両等にあって、例えば制動時にモータジェネレータを回生作動させるときに、各車輪の制動用シリンダへの作動流体圧による制動力を制御する制動力制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このような制動力制御装置としては、例えば「トヨタ プリウス 新型車解説書」(97年10月発行)に記載されるものがある。この制動力制御装置は、例えば前輪を駆動するハイブリッド車両の原動機の一部としてモータジェネレータを備えているが、制動時には本来電動機としてのこのモータジェネレータを発電機として使用する,つまり回生作動させて、その制動力の一部をモータジェネレータの回生トルクで得る,即ち電気的な制動力を付与すると共に、当該モータジェネレータで回生された電力をバッテリに充電するために、作動流体圧の所謂協調制御が行われる。この回生協調制御とは、ブレーキペダルの踏込み量を例えばマスタシリンダ圧で検出し、このマスタシリンダ圧に相当する制動力から前記モータジェネレータの回生トルクによる制動力を減じた分が、流体圧制動手段として各車輪に設けられている制動用シリンダで発揮されるように、主として作動流体圧を減圧制御するものである。このように作動流体圧を制御する場合には、マスタシリンダは各制動用シリンダから切り離されて、その作動流体圧,つまりマスタシリンダ圧はストロークシュミレータと呼ばれるアキュームレータで吸収される。そして、制御する作動流体圧の元圧は、例えば倍力装置と呼ばれる作動流体圧ブースターからのものを使用し、これを増圧用及び減圧用の圧力制御弁で所定圧に制御する。
【0003】
ちなみに、この従来技術では、各車輪のロック傾向回避のために,所謂アンチロックブレーキ制御装置を備えており、このアンチロックブレーキ制御装置の上流側で四輪の制動用シリンダへの作動流体圧の総元圧を増減用及び減圧用の圧力制御弁で制御する。また、アンチロックブレーキ制御装置が作動する状況は、制動力過多の状況であるから、またアンチロックブレーキ制御装置が作動流体圧を減圧したときの車輪速度の回復の妨げにならないように、モータジェネレータの回生作動を中止する,つまり電気的な制動力の付与を中止する。なお、この種のハイブリッド車両では、エンジンが停止状態になることもあるので、前記作動流体圧ブースターは,所謂エンジンの吸入負圧を用いたものではなく、電動ポンプを用いたものが適用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の制動力制御装置では、比較的効率よく電力を回収でき、燃費効果も高いが、その反面で制動力配分が不安定になり易いという問題がある。即ち、前輪の制動力と後輪の制動力とは、荷重移動等に伴う理想的な制動力配分があり、この制動力配分に応じた制動力配分を予め設定しておいても、当該制動力配分の状態から四輪全ての制動用シリンダの作動流体圧を減圧すると、回生トルクによる制動力が付与される前輪側が制動力過多の状態になり、例えばアンチロックブレーキ制御が早期に開始されてしまうなどの問題が生じる。これは、例えば後輪だけに回生トルクによる制動力が付与される場合には、逆に当該後輪側が制動力過多の状態になる。
【0005】
本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発されたものであり、回生トルクによる電気的制動力が付与される車輪に対して、それらの車輪の制動用シリンダの作動流体圧だけを比較的小さく同時に減圧制御可能な手段を備え、車両で達成したい減速度(車両を制動する側に作用する加速度)が比較的小さな所定減速度より小さいときには、この制御手段のみで電気的制動力が付与される車輪の制動用シリンダの作動流体圧だけを減圧することで制動力配分を確保し、更に減速度が大きくなったら、モータジェネレータで発生可能な制動力に応じて、四輪全ての制動用シリンダの作動流体圧を減圧制御することで、回生される電力を最大限に大きくして燃費効果を高めることができる制動力制御装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記諸問題を解決するために、本発明のうち請求項1に係る制動力制御装置は、前後何れか一方の左右輪に対して電気的な制動力を付与する電気的制動手段と、各車輪の制動用シリンダへの作動流体圧によって当該車輪に制動力を付与する流体圧制動手段と、前記前後何れか一方の左右輪の制動用シリンダの作動流体圧だけを同時に制御する所定輪作動流体圧制御手段と、四輪の制動用シリンダの作動流体圧を同時に制御する四輪作動流体圧制御手段と、車両の目標減速度を検出する目標減速度検出手段と、前記電気的制動手段で達成可能な電気的制動力を算出する電気的制動力算出手段と、前記目標減速度検出手段で検出された目標減速度が予め設定された所定目標減速度より小さいときには、前記電気的制動手段によって前後何れか一方の左右輪に電気的制動力を付与しながら、前記所定輪作動流体圧制御手段によって前後何れか一方の左右輪の制動用シリンダの作動流体圧だけを同時に減圧制御し、且つ前記目標減速度検出手段で検出された目標減速度が前記予め設定された所定目標減速度より大きいときには、前記電気的制動手段によって前後何れか一方の左右輪に電気的制動力を付与しながら、前記電気的制動力算出手段で算出された当該電気的制動手段による電気的制動力に応じて、少なくとも四輪作動流体圧制御手段によって四輪の制動用シリンダの作動流体圧を同時に減圧制御する減圧制御調整手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
この発明は、モータジェネレータ等の電気的制動手段の回生トルクによる制動力が、例えば車速やバッテリの充電状態等によって変化することに着目している。即ち、例えば車速が或る程度以上高い領域では回生トルクによる制動力(=減速度)は比較的小さな値に安定するが、中低速領域では制動力(=減速度)が大きくなる。そこで、例えばマスタシリンダの作動流体圧等から推定される車両で発生される目標減速度が所定目標減速度より小さいときには、電気的制動力が付与される車輪の制動用シリンダの作動流体圧だけを、例えば当該所定目標減速度に応じた制動力分だけ同時に減圧することで、前後輪の制動力配分を安定させ且つ可能な電力を回生して燃費効果を高めることができる。一方、車両で発生される目標減速度が所定目標減速度より大きいときには、発生可能な電気的制動力が大きい可能性もあるから、この発生可能な電気的制動力を算出し、この電気的制動力分に応じて四輪の制動用シリンダの作動流体圧を同時に減圧することで、回生可能な電力を可及的に回生して燃費効果を高めることができる。
【0008】
また、本発明のうち請求項2に係る制動力制御装置は、前記請求項1の発明において、前記減圧制御調整手段は、前記電気的制動手段による前後何れか一方の左右輪への電気的制動力が付与されなくなったら、前記四輪作動流体圧制御手段による四輪の制動用シリンダの作動流体圧の減圧制御を先に解除することを特徴とする請求項1に記載の制動力制御装置。
【0009】
この発明は、例えばアンチロックブレーキ制御等によって回生協調制御が中止された場合等を想定している。即ち、例えばアンチロックブレーキ制御が開始されると回生協調制御が中止されるが、このとき先ず最初に四輪の制動用シリンダの作動流体圧の減圧制御を解除する,つまり四輪の制動用シリンダに作用している制動力を通常状態に戻すことによって、前後輪の制動力配分を安定させ、もってアンチロックブレーキ制御の制御性を確保することができる。
【0010】
また、本発明のうち請求項3に係る制動力制御装置は、前記請求項1又は2の発明において、前記目標減速度検出手段は、ブレーキペダルの踏込みによるマスタシリンダからの作動流体圧から車両の目標減速度を算出するものであることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明のうち請求項4に係る制動力制御装置は、前記請求項1乃至3の発明において、少なくとも前記四輪作動流体圧制御手段は、マスタシリンダからの作動流体圧と、ブレーキペダルの踏込みによって昇圧し且つマスタシリンダとは異なる圧力源からの作動流体圧とを切り換えて制御するものであることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明のうち請求項5に係る制動力制御装置は、前記請求項4の発明において、前記個別の圧力源が、作動流体圧ブースト装置であることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の効果】
而して、本発明のうち請求項1に係る制動力制御装置によれば、例えばマスタシリンダの作動流体圧等から推定される目標減速度が予め設定された所定目標減速度より小さいときには、前後何れか一方の左右輪に電気的制動力を付与しながら、当該前後何れか一方の左右輪の制動用シリンダの作動流体圧だけを同時に減圧制御し、その目標減速度が前記所定目標減速度より大きいときには、前後何れか一方の左右輪に電気的制動力を付与しながら、その電気的制動力に応じて四輪の制動用シリンダの作動流体圧を同時に減圧制御する構成としたため、車両の目標減速度が所定目標減速度より小さいときには、前後輪の制動力配分を安定させ且つ可能な電力を回生して燃費効果を高めることができ、車両の目標減速度が所定目標減速度より大きいときには、回生可能な電力を可及的に回生して燃費効果を高めることができる。
【0014】
また、本発明のうち請求項2に係る制動力制御装置によれば、電気的制動力が付与されなくなったら、四輪の制動用シリンダの作動流体圧の減圧制御を先に解除する構成としたため、例えばアンチロックブレーキ制御が開始された直後に前後輪の制動力配分を安定させることができる。
【0015】
また、本発明のうち請求項3に係る制動力制御装置によれば、ブレーキペダルの踏込みによるマスタシリンダからの作動流体圧から車両の目標減速度を算出する構成としたため、運転者が要求する目標減速度を早期に検出して制御の応答性や制御性を高めることができる。
【0016】
また、本発明のうち請求項4に係る制動力制御装置によれば、マスタシリンダからの作動流体圧と、ブレーキペダルの踏込みによって昇圧し且つマスタシリンダとは異なる圧力源からの作動流体圧とを切り換えて、前記少なくとも二以上の車輪の制動用シリンダが接続された系統への作動流体圧を制御する構成としたために、作動流体圧が制御されているときにも、踏込まれたブレーキペダルの違和感を抑制防止することができる。
【0017】
また、本発明のうち請求項5に係る制動力制御装置によれば、作動流体圧ブースト装置をマスタシリンダとは個別の圧力源として用いることにより、新たな作動流体圧力源を設ける必要がなく、構造を簡潔にすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
これ以下、本発明の制動力制御装置の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明の制動力制御装置を、所謂FFタイプのパラレルハイブリッド車両に適用した一例である。パラレルハイブリッド車両の原動機の一つであるエンジンEGは、電磁パウダークラッチ等のクラッチCLを介して無段変速機CVTに接続されているが、その接続途中に、例えば3相誘導モータ/発電機等で構成される交流式のモータジェネレータMGがもう一つの原動機として介装されており、前記無段変速機CVTの出力軸が、駆動輪となる前左右輪WFL,WFRに接続されている。従って、前左右輪WFL,WFRはエンジンEGでも、力行されるモータジェネレータMGでも駆動可能であり、逆にモータジェネレータMGを回生作動すれば、前左右輪WFL,WFRには回生トルク,つまり電気的制動力が作用し、同時にそのときモータジェネレータMGで回生される電力は図示されないバッテリに充電される。ちなみに、前記クラッチCLは、所謂走行クラッチとしての役割以外に、例えばエンジンEGのトルクを所要としない場合には、エンジンEGを停止し且つクラッチCLを切断して当該エンジンEGと駆動系との繋がりを遮断するのにも用いられる。
【0020】
前記エンジンEGはエンジンコントロールユニット37で制御されるように構成されており、当該エンジンコントロールユニット37は、図示されないマイクロコンピュータ等の演算処理装置を介装して構成される。そして、このエンジンコントロールユニット37では、制御入力として、例えば吸入空気量,スロットル開度,排気中の酸素量,冷却液温度,車速,エンジン回転数及びエンジン回転の位相信号等を用いて所定の演算処理を行い、例えば吸入管路内のスロットルアクチュエータへの吸入空気量制御信号,各インジェクターへの空燃比制御信号,ディストリビュータへの点火時期制御信号等を出力する。また、このエンジンコントロールユニット37は、後述のモータジェネレータコントロールユニット38からのエンジン始動及び停止を指令する指令信号に応じて、前記エンジンEGを駆動するようにもなっている。
【0021】
また、前記クラッチCL及びモータジェネレータMGはモータジェネレータコントロールユニット38で、無段変速機CVTは無段変速機コントロールユニット39で制御されるように構成されており、各コントロールユニット38,39は図示されないマイクロコンピュータ等の演算処理装置を介装して構成される。そして、前記エンジンコントロールユニット37や後述するブレーキコントロールユニット9を含めて、これらの各コントロールユニット38,39は互いに相互通信を行いながら演算処理を行うように構成されている。
【0022】
このうち、前記無段変速機コントロールユニット39は、制御入力として、選択レンジ,アクセル開度,ブレーキペダル踏込み量,入力回転数,出力回転数等を用いて所定の演算処理を行い、変速比制御信号や作動流体圧制御バルブへの作動流体圧制御信号,ライン圧制御信号を出力する。即ち、例えば車速,入力回転数,アクセル開度等に基づいて設定される目標変速比と、無段変速機CVTの入力回転数と出力回転数とに基づいて算出した変速比とが一致するように変速制御を行い、前記目標変速比は、例えば予め設定した変速パターン制御マップに基づいて設定し、車速が低下するほど変速比が大きくなり、またアクセル開度が増加するほど変速比が大きくなり、また入力回転数が増加するほど変速比が大きくなるように変速比を制御するようになっている。
【0023】
また、前記モータジェネレータコントロールユニット38は、制御入力として、車速,アクセル開度,バッテリの充電状態,バッテリ温度,入力回転数等を用いて所定の演算処理を行い、クラッチCLを制御するクラッチ制御信号及びモータジェネレータMGを実質的に駆動するインバータへのモータジェネレータ制御信号を出力し、当該インバータはこの制御信号に応じてモータジェネレータMGへの供給電流の向きと大きさとを制御する。
【0024】
即ち、例えば予め設定した走行パターン制御マップ等を参照し、前記アクセル開度からアクセルペダルが踏込み状態であると判断した場合には、現在の車両の走行状態がモータジェネレータMGのみで走行するモータ走行領域であるか、或いはエンジンEGのみで走行するエンジン走行領域であるか、通常走行はエンジンEGのみで行い加速時にはモータジェネレータMGを使用するハイブリッド走行領域であるかなどを判定し、判定された走行領域に応じてモータジェネレータMGの力行制御並びにクラッチCLの断続制御を行うと共に、前記エンジンコントロールユニット37に指令信号を出力する。また、アクセルペダルが開放状態であると判定した場合には、車速が零であれば、停車中であると判断してクラッチCLを開放状態とする。また、車速が零でなく且つ後述するブレーキコントロールユニット9でアンチロックブレーキ制御が行われていないときには、例えば図示されないエネルギ回収量算出マップを参照しながら車速やシフト位置等に応じた発電量を算出設定し、この発電量に応じてモータジェネレータMGを発電機として所謂回生作動させ、その電力を図示されないバッテリに回収する。一方、ブレーキコントロールユニット9でアンチロックブレーキ制御が行われている場合には、当該ブレーキコントロールユニット9からの実際の制動状況情報に基づいて、モータジェネレータMGの回生作動を中止する。
【0025】
一方、各車輪WFL〜WRRには、流体圧制動手段である制動用シリンダとしてホイールシリンダ1FL〜1RRが取付けられており、ブレーキペダル3の踏込みと共に昇圧するマスタシリンダ2或いはその手前のブースター4と各ホイールシリンダ1FL〜1RRとの間には、当該ホイールシリンダ1FL〜1RRへの作動流体圧を制御するためのブレーキアクチュエータユニット10が介装されている。このブレーキアクチュエータユニット10の詳細については後段に詳述するが、当該ブレーキアクチュエータユニット10は、図示されないマイクロコンピュータ等の演算処理装置を介装したブレーキコントロールユニット9によって制御される。また、このブレーキコントロールユニット9も、前記エンジンコントロールユニット37,モータジェネレータコントロールユニット38,無段変速機コントロールユニット39と相互通信を行いながら制御を進める。
【0026】
次に、図2にブレーキアクチュエータユニット10の詳細を示す。このブレーキアクチュエータユニット10は、四輪全てへの作動流体圧をマスタシリンダから切り離して増減圧制御する四輪統括制御用アクチュエータユニット5,各車輪のロック傾向を回避して制動距離の確保と舵取効果とを両立するためのアンチロックブレーキ制御用アクチュエータユニット6,及び前輪への作動流体圧のみを主として減圧方向に制御する前輪制御用アクチュエータユニット7を備えて構成される。
【0027】
図中に示すマスタシリンダ2はブレーキペダル3の踏込み量に応じた同等の作動流体圧を二系統に出力可能であって、基本的に前左輪のホイールシリンダ(以下、単に前左ホイールシリンダとも記す)1FLと後右輪のホイールシリンダ(後右ホイールシリンダ)1RRとはマスタシリンダ2の一方の系統に接続され、前右輪のホイールシリンダ(前右ホイールシリンダ)1FRと後左輪のホイールシリンダ(後左ホイールシリンダ)1RLとがマスタシリンダ2の他方の系統に接続されて、所謂X配管形式を構成している。このX配管形式の優位性は、周知のように、何れか一方の配管系統に異常が生じても、残る他方の配管系統によって前輪側と後輪側,車両左方側と右方側とで制動力をバランスし、もって車両安定性を確保できる点にある。なお、ブレーキペダル3とマスタシリンダ2との間にはブースター4が介装されているが、その構造などの詳細については後述する。
【0028】
ここでは、理解を容易にするためにアンチロックブレーキ制御用アクチュエータユニット6の構造から各ホイールシリンダ1FL〜1RR側の構成について説明する。このアンチロックブレーキ制御用アクチュエータユニット6内の圧力制御バルブ構造は、従来既存の還流タイプのものと同様であり、例えば前記マスタシリンダ2からの一方の系統を二つに分岐すると共に、他方の系統も二つに分岐し、夫々の分岐先にアンチロックブレーキ制御用増圧制御バルブ51FL〜51RRを介して各ホイールシリンダ1FL〜1RRを接続する。これらの増圧制御バルブ51FL〜51RRは、常時開の二位置切換ソレノイドバルブからなる。なお、各増圧制御バルブ51FL〜51RRには、各ホイールシリンダ1FL〜1RRからマスタシリンダ2側への作動流体の還流だけを許容するチェックバルブ52FL〜52RRをバイパス接続する。
【0029】
また、前記アンチロックブレーキ制御用増圧制御バルブ51FL〜51RRの下流側には、常時閉の二位置切換ソレノイドバルブからなるアンチロックブレーキ制御用減圧制御バルブ53FL〜53RRを接続し、その出力側を各系統毎に共通のリザーバ54P,54Sとポンプ55P,55Sとに分岐接続し、ダンパ56P,56Sを介して各ポンプ55P,55Sの吐出側を前記マスタシリンダ2の各系統に接続する。
【0030】
このアンチロックブレーキ制御用アクチュエータユニット6は、車輪速度センサからの車輪速度信号等に基づいて前記ブレーキコントロールユニット9内で実行されるアンチロックブレーキ制御演算処理に従って制御される。即ち、各車輪速度と車体速度との関係を監視し、例えばそのスリップ率が所定値以上となって各車輪がロックしそうになると、前記増圧制御バルブ51FL〜51RR及び前記減圧制御バルブ53FL〜53RRを動作させ、作動流体圧を減圧、保持、増圧に制御し、車輪のロックを防止する。
【0031】
また、本実施形態では、前記前左右輪アンチロックブレーキ制御用増圧制御バルブ51FL,51FRの各下流側と前左右ホイールシリンダ1FL,1FRとの間に前輪制御用アクチュエータユニット7を介装している。この前輪制御用アクチュエータユニット7は、前記前左右輪アンチロックブレーキ制御用増圧制御バルブ51FL,51FRの各下流側と前左右ホイールシリンダ1FL,1FRとの間に介装された常時開の二位置切換ソレノイドバルブからなる前左右輪減圧制御用切換バルブ41FL,41FRと、これにバイパス接続されて前左右ホイールシリンダ1FL,1FRからマスタシリンダ2側への還流のみを許容するチェックバルブ42FL,42FRと、更にこれにバイパス接続されて実質的に前左右ホイールシリンダ1FL,1FRへの作動流体圧を減圧可能なプロポーショニングバルブ43FL,43FRとからなる。ちなみに、このプロポーショニングバルブ43FL,43FRは、既存のプロポーショニングバルブとリリーフバルブとの組合せで構成されており、図3に示すように、当該プロポーショニングバルブ43FL,43FRの出力圧は、例えばマスタシリンダ2側の入力圧に対して、それが比較的低いときには、当該入力圧の増圧勾配よりも小さな増圧勾配で少しずつ増圧し(プロポーショニングバルブとしての作動領域)、当該入力圧が所定値以上になると、当該入力圧の増圧勾配と同等の増圧勾配で増圧する(リリーフバルブとしての作動領域)ようなものが適用される。そして、この実施形態では、前記増圧勾配が同等となる領域で、入力圧に対して出力圧が、車両減速度で約0.1G(Gravity:重力加速度)に相当する制動力差を発生するような作動流体圧特性になっている。
【0032】
前記前輪制御用アクチュエータユニット7は、前記ブレーキコントロールユニット9内で実行される後述する図5の演算処理に従って制御される。即ち、例えばモータジェネレータを回生作動させるときには、前記前左右輪減圧制御用切換バルブ41FL,41FRを閉作動させて、プロポーショニングバルブ43FL,43FRによって前左右ホイールシリンダ1FL,1FRの作動流体圧をマスタシリンダ2側の供給圧よりも減圧制御する。つまり、本実施形態の車両はFFタイプであって、エンジンもモータジェネレータも前輪にしか接続されていない。従って、モータジェネレータによる回生トルクも前輪にのみ付与されるので、この回生トルクによる制動力分だけ前左右ホイールシリンダ1FL,1FRの作動流体圧を減圧する必要がある。逆に言えば、モータジェネレータによる回生トルクが前輪にのみ付与される場合に、四輪全てのホイールシリンダの作動流体圧を減圧するだけでは、前輪側の制動力が後輪側のそれより大きくなって、例えばアンチロックブレーキ制御が早期に開始されてしまうなどの問題が発生する。そこで、本実施形態では、車両の目標減速度が小さいときには、回生トルクによる制動力分だけプロポーショニングバルブ43FL,43FRによって前左右ホイールシリンダ1FL,1FRの作動流体圧を減圧するのである。但し、モータジェネレータによる回生トルクは、後述するように例えば車速によって変化する。本実施形態では、例えば中高速時に発生可能な,比較的安定しているが小さい回生トルク分だけプロポーショニングバルブで減圧できるようにした。
【0033】
次に、前記四輪統括制御用アクチュエータユニット5の前に、前記ブースター4及び当該ブースター4への作動流体圧力源について説明する。本実施形態のようなハイブリッド車両では、エンジンが停止されることもあるので、ブースター4への作動流体圧力源として電動ポンプ11を用いる。この電動ポンプ11でメインリザーバ8内の作動流体を吸入し、チェックバルブ12を通過して吐出する。この電動ポンプ11の吐出側にアキュームレータ13を接続し、更にブースター4の入力側に接続する。前記アキュームレータ13の上流側と下流側とには夫々圧力スイッチ14,15を配設しておき、どちらが低くなっても電動ポンプ11が作動するようにすることで、アキュームレータ13内の作動流体圧,つまりブースター4への供給流体圧を所定値以上に維持することができる。
【0034】
前記ブースター4の基本的な構造は既存のものと同様である。即ち、図4に示す(図はブレーキペダル3を踏込んだ状態)ようにブレーキペダル3の踏込みがない状態では、インプットシャフト71が図示右方に後退しており、その結果、スチールボール72はスプリング74によってバルブシート73に押付けられるので、ピストン75の外周から取入れられている前記アキュームレータ13からの作動流体圧は、当該ピストン75内部のシリンダ室76内に流入できず、当該ピストン75を押圧する力は発生しない。なお、前記シリンダ室76は、ブースタボディ70の内側にも連通している。また、ピストン75にはマスタシリンダ2に連結されるロッド77が延設されている。また、図中の符号78,79は、ブレーキペダル3の踏込みがない状態で、ピストン75及びロッド77を図示右方に後退させるためのリターンスプリングである。
【0035】
この状態からブレーキペダル3が踏込まれると、バルブシート73との間に介装されているスプリング80の弾性力に抗してインプットシャフト71が図示左方に移動され、その先端部がスプリング74の弾性力に抗してホルダ82ごとスチールボール72を図示左方に移動し、もってスチールボール72がバルブシート73から離間する。すると、インプットシャフト71とバルブシート73との隙間から当該インプットシャフト71に穿設されたポート81を通って、前記アキュームレータ13からの作動流体圧がピストン75内のシリンダ室76内に流入し、これがバルブシート73ごとピストン75を図示左方に押圧するから、ロッド77はマスタシリンダ2側に移動されて当該マスタシリンダ2内の作動流体圧が増圧する。勿論、この後、インプットシャフト71によってもバルブシート73ごとピストン75は左方に押圧されることはあるが、必ず作動流体圧によるピストン押圧の方が先になされるので、ブレーキペダル3の踏力は小さくても大きな推進力を得ることができ、これによってマスタシリンダ2内の作動流体圧は倍増(ブースト)される。
【0036】
次いで、或る程度、ブレーキペダル3を踏込んだ状態で当該ブレーキペダル3の踏込みを停止すると、スプリング80の弾性力によってバルブシート73とインプットシャフト71とが離間し、状態としてはバルブシート73に対してインプットシャフト71が相対的に図示右方に後退され(但し、インプットシャフト71はスチールボール72に当接している)、これによって前記スチールボール72がスプリング74の弾性力によって再びバルブシート73に押付けられるので、両者の隙間が閉塞されて前記シリンダ室76内の作動流体圧が封入され、その封入圧によってピストン75及びロッド77をマスタシリンダ2側に移動した状態に維持する補助力が得られる。
【0037】
一方、こうした状態からブレーキペダル3から足を離すと、フリーになったインプットシャフト71が前記スプリング80によって更に図示右方に後退され、スチールボール72はバルブシート73に当接したまま、スチールボール72とインプットシャフト71とが離間する。すると、シリンダ室75内の作動流体圧は、インプットシャフト71とバルブシート73との隙間から、当該インプットシャフト71の先端部から穿設されている流路83,インプットシャフトガイド84に形成された流路85,86,ブースターボディ70に形成された流路87を通ってメインリザーバ8に還流する。
【0038】
このように本実施形態のブースター4では、ブレーキペダル3の踏込み開始から常時、前記アキュームレータ13からの作動流体圧がシリンダ室76内に流入して昇圧する。そこで、本実施形態では、このシリンダ室76内の作動流体圧を、ブレーキペダル3の踏込みと共に昇圧し且つマスタシリンダ2の作動流体圧とは異なる流体圧源からの作動流体圧として取出すための流路88をバルブボディ70に形成した。ここから取出された作動流体圧は、後述する四輪統括制御用アクチュエータユニット5に取込まれて、回生時の制動力制御に利用される。
【0039】
次に、前記四輪統括制御用アクチュエータユニット5の全体構成について説明する。まず、前記マスタシリンダ2からの二系統の作動流体圧の各系統に、前記ブースター4から取出した作動流体圧をパイロット圧とする二位置切換パイロットバルブからなる回生切換バルブ21P,21Sが介装されている。この二位置切換パイロットバルブからなる回生切換バルブ21P,21SのPポートはマスタシリンダ2の各系統の出力側に接続され、同じくそのAポートが前記アンチロックブレーキ制御用増圧制御バルブ51FL〜51RRに分岐され、そのBポートは一種のアキュームレータからなるストロークシミュレータ22P,22Sに接続されている。そして、この回生切換バルブ21P,21Sは、パイロット圧のないノーマル状態で、前記PポートとAポートとを連通すると共にチェックバルブ20P,20SによってBポートからPポート及びAポートへの還流のみを許容する。また、パイロット圧による切換状態では、Aポートを遮断し、PポートとBポートとを連通する。ちなみに、前記ストロークシミュレータ22P,22Sのリターンスプリングには、前記ブースター4やマスタシリンダ2で発生する作動流体圧反力と等価なバネ定数のものが使用されており、余剰の作動流体はメインリザーバ8に還元される。また、各回生切換バルブ21P,21Sの上流側と下流側とには、夫々圧力センサ23P,23S及び圧力センサ24P,24Sが設けられている。
【0040】
一方、前記ブースター4の作動流体圧取出系統は、常時閉の電磁二位置切換バルブからなるフェールセーフバルブ25を介して前記回生切換バルブ21P,21Sのパイロット圧として分岐供給される。また、このフェールセーフバルブ25には、ブースター4側への還流のみを許容するチェックバルブ26と、常時閉の二位置切換パイロットバルブからなるバイパスバルブ27とを並列にバイパス接続し、当該バイパスバルブ27のパイロット圧は前記フェールセーフバルブ25の下流圧(又はバイパスバルブ27自身の下流圧)とする。これにより、原則的にフェールセーフバルブ25を開状態とすると、その下流圧,即ちバイパスバルブ27のパイロット圧が増圧するので当該バイパスバルブ27も開状態となり、ブースター4からの作動流体圧が低い状態でフェールセーフバルブ25を閉状態とすると、その下流圧,即ちバイパスバルブ27のパイロット圧が減圧するので当該バイパスバルブ27も閉状態となる。
【0041】
また、前記フェールセーフバルブ25と各回生切換バルブ21P,21Sとの間にはオリフィス28を介装し、このオリフィス28に、回生切換バルブ21P,21S(のパイロット圧)への流入だけを許容するチェックバルブ29をバイパス接続する。なお、これらのオリフィス28とチェックバルブ29とは、図面では分岐上流側に代表して一つずつ設けているが、分岐下流側に、夫々一つずつ,つまり各回生切換バルブ21P,21Sごとに介装するようにしてもよい。
【0042】
また、前記フェールセーフバルブ25の下流側又はバイパスバルブ27の下流側には、常時開の二位置切換ソレノイドバルブからなる四輪統括制御用増圧制御バルブ30と、常時閉の二位置切換ソレノイドバルブからなる四輪統括制御用減圧制御バルブ31と、四輪統括制御用リザーバ32とが直列に接続され、更に当該リザーバ32のリターン分をメインリザーバ8に還流する。そして、前記四輪統括制御用増圧制御バルブ30と四輪統括制御用減圧制御バルブ31との間を圧力制御シリンダ16の入力ポートに接続する。なお、前記四輪統括制御用増圧制御バルブ30には、前記圧力制御シリンダ16からの還流のみを許容するチェックバルブ33と、所定圧力以上で当該増圧制御バルブ30の上流側作動流体圧をリリーフするリリーフバルブ34とを並列にバイパス接続する。また、前記四輪統括制御用減圧制御バルブ31には、前記四輪統括制御用リザーバ32からの還流のみを許容するチェックバルブ35をバイパス接続する。また、必要に応じて圧力制御シリンダ16の入力作動流体圧を検出するための圧力センサ36を取付けてもよい。
【0043】
前記圧力制御用シリンダ16は、同じ形状,つまり少なくとも入力側の受圧面積も出力側の受圧面積も等しいピストン17P,17Sを内装するシリンダ部18P,18Sを、一つのシリンダボディ内に対向して配設したものであり、各シリンダ部18P,18Sの出力ポートは、前記回生切換バルブ21P,21Sより下流側で夫々前記マスタシリンダ2からの各系統に接続されている。勿論、各シリンダ部18P,18Sのリターンスプリング19P,19Sも、バネ定数を始めとする同等の仕様のものが用いられている。つまり、入力される作動流体圧に対して、二つのシリンダ部18P,18Sから同じ作動流体圧をマスタシリンダ2からの前記二つの各系統に出力することができる。また、前記各ピストン17P,17Sの入力側の受圧面積と出力側の受圧面積との所謂受圧面積比は、マスタシリンダ2の出力圧と前記ブースター4から取出した作動流体圧との比に一致又はほぼ一致してある。
【0044】
前記四輪統括制御用アクチュエータユニット5は、前記ブレーキコントロールユニット9内で実行される後述する図5の演算処理に従って制御される。即ち、例えば制動力制御装置として何らの異常も検出されないときには、前記フェールセーフバルブ25を開いておき、アンチロックブレーキ制御が行われていない状態でブレーキペダル3が踏込まれると、ブースター4から取出している作動流体圧が増圧されるので、前記フェールセーフバルブ25の下流圧をパイロット圧とするバイパスバルブ27も切換えられて開かれる。また、このフェールセーフバルブ25の下流圧は、チェックバルブ29を通って前記回生切換バルブ21P,21Sにもパイロット圧として供給されるから、当該回生切換バルブ21P,21Sは切換状態となり、それより下流側,つまりホイールシリンダ1FL〜1RR側は遮断され、マスタシリンダ2の各系統は前記ストロークシミュレータ22P,22Sに接続される。従って、マスタシリンダ2の各系統の作動流体圧はストロークシミュレータ22P,22S内のピストンを作動するが、そのリターンスプリングがマスタシリンダ2やブースター4内の反力と同等の反力を発生するので、運転者はブレーキペダル3の踏込みに違和感を感じない。
【0045】
一方で、例えば前述のように車速や変速比等からモータジェネレータによる回生トルクを求めることができるから、それによる前左右輪の制動力を算出しておき、マスタシリンダ側の圧力センサ23P,23Sで検出した作動流体圧から、当該作動流体圧が各ホイールシリンダ1FL〜1RRに供給されたときの制動力を算出し、両者の差分値からなる制動力とホイールシリンダ側の圧力センサ24P,24Sで検出した作動流体圧に応じた制動力とが一致するように、前記圧力制御シリンダ16からの出力圧を制御する。ここで、前記圧力制御シリンダ16は、前記X配管された二つの系統に同等の作動流体圧を供給することができるから、それらを同じように増減圧制御するためには、当該圧力制御シリンダ16への入力圧を増減圧制御すればよい。このとき、圧力制御シリンダ16の出力圧と入力圧との比は、前記二つのシリンダ部18P,18Sのピストン17P,17Sの受圧面積比の逆比であるから、要求される作動流体圧,つまり出力圧の増減圧量に対する入力圧の増減圧量が設定される。そして、この入力圧の増減圧量に応じて、前記四輪統括制御用増圧制御バルブ30と四輪統括制御用減圧バルブ31とを開閉制御すればよい。なお、前記四輪統括制御用減圧バルブ31によって減圧された分の作動流体圧は前記四輪統括制御用リザーバ32に原則的に貯留される。
【0046】
また、例えば前記回生切換バルブがソレノイド駆動のものであるときには、ソレノイドを駆動するための電気的構造が必要になるし、前述のようなブレーキペダル3の踏込みによる回生作動時間が長くなると、例えばそのソレノイドの励磁時間が長くなって発熱量が大きくなったり、エネルギー損が大きくなったりするという問題が発生するが、本実施形態では、回生切換バルブ21P,21Sを駆動するために、ブレーキペダル3の踏込み中に常時発生するブースター4内の作動流体圧をパイロット圧として用いているので、構造が簡潔になると共に余分な発熱量やエネルギー損を抑制防止することができる。
【0047】
また、このような回生作動中のブレーキペダル3の踏込み時にあって、当該ブレーキペダル3を少しだけ戻してブースター4から取出している作動流体圧が減圧しようとしても、前記回生切換バルブ21P,21Sへのパイロット圧は前記オリフィス28を通ってゆっくりとしか減圧しないので、当該回生切換バルブ21P,21Sが誤ってノーマル位置に戻るのを抑制防止し、回生協調制御を継続することができる。一方、ブレーキペダル3の踏込み時には、ブースター4から取出した作動流体圧は、オリフィス28を通らずにチェックバルブ29側から回生切換バルブ21P,21のパイロット圧として流入するので、必要な応答性を確保することができる。
【0048】
また、この状態から、ブレーキペダル3から足を離すと、前述のようにブースター4から取出している作動流体圧も減圧するので、前記回生切換バルブ21P,21Sのパイロット圧も前記オリフィス28を通ってゆっくりと減圧し、当該回生切換バルブ21P,21Sはノーマル位置に戻ってマスタシリンダ2が再びホイールシリンダ1FL〜1RR側に接続される。また、前記四輪統括制御用リザーバ32内の作動流体は前記チェックバルブ35を通って、圧力制御シリンダ16内の作動流体と共にチェックバルブ33,チェックバルブ26を通ってブースター4に還流する。
【0049】
ちなみに、ブレーキペダル3の踏込み中にアンチロックブレーキ制御を開始すべき状況になると、前述のように回生作動が中止され、合わせて制動力の回生協調制御も中止される。
【0050】
また、ブレーキペダル3の踏込みのない状態で異常が検出されると、前記フェールセーフバルブ25を閉状態とすれば、次にブレーキペダル3が踏込まれてもバイパスバルブ27も閉状態に維持されるのでブースター4内の作動流体圧はそれより下流側に供給されず、回生切換バルブ21P,21Sはマスタシリンダ2とホイールシリンダ1FL〜1RRとを連通状態に維持してフェールセーフ機能が得られる。
【0051】
これに対して、ブレーキペダル3が踏込まれた状態で異常が検出されると、前記と同様にフェールセーフバルブ25が即座に閉状態とされる。しかしながら、このときにはフェールセーフバルブ25を閉状態としても、当該フェールセーフバルブ25の下流圧,つまりチェックバルブ26のブースター4側の作動流体圧が高いので、回生切換バルブ21P,21Sのパイロット圧が封入されて減圧せず、当該回生切換バルブ21P,21Sはマスタシリンダ2からの作動流体系統を遮断したままになる。しかしながら、このときには封入された回生切換バルブ21P,21Sのパイロット圧,即ちフェールセーフバルブ25の下流圧が前記バイパスバルブ27のパイロット圧として作用するので、当該バイパスバルブ27は開状態に維持される。従って、同様のフェールセーフ対策として、四輪統括用増圧制御バルブ30は開状態に,四輪統括用減圧制御バルブ31は閉状態に維持されるから、ブースター4から取出した作動流体圧は圧力制御シリンダ16を通って前記二つの系統に供給され続けるので、少なくともブレーキペダル3から足を離すまでは、当該作動流体圧による制動を維持することができる。そして、前記圧力制御シリンダ16の二つのシリンダ部18P,18Sのピストン17P,17Sの受圧面積比を、マスタシリンダ2の出力圧とブースター4から取出す作動流体圧の比に設定しているので、このときに得られる圧力制御シリンダ16からの作動流体圧はマスタシリンダ2からのそれと同等となり、制動力を安定させ、違和感が生じることもない。
【0052】
また、これ以外にも、前記圧力制御シリンダ16の二つのシリンダ部18P,18Sのピストン17P,17Sの受圧面積比を、マスタシリンダ2の出力圧とブースター4から取出す作動流体圧の比に設定することにより、圧力制御シリンダ16から出力される一次側及び二次側作動流体圧PC/C-P ,PC/C-S がマスタシリンダ2からの一次側及び二次側マスタシリンダ圧PM/C-P ,PM/C-S と同等となることから、アンチロックブレーキ制御用アクチュエータユニットより下流側の制御態様を、マスタシリンダ2からの作動流体圧に対するそれと共用化して制御を容易にすることができる。
【0053】
次に、前記ブレーキコントロールユニット9内で実行される,前輪回生協調制御並びに四輪統括回生協調制御のための基本的な演算処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。この演算処理は、図示されない個別のゼネラルフローによって、モータジェネレータが回生作動されているときに実行されるマイナプログラムであり、例えば所定のサンプリング時間ΔT毎にタイマ割込処理によって実行され続ける。また、この演算処理では特に通信のためのステップを設けていないが、この演算処理で算出設定された種々の情報はマイクロコンピュータ中の随時記憶装置に更新記憶されるし、また必要なプログラムやマップ等の情報は随時記憶装置から読出されるものとする。
【0054】
また、実際のステップの説明の前に、演算処理中で用いられるフラグや制御信号について説明すると、SBRK はブレーキスイッチ制御信号であり、ブレーキペダルの踏込みで“1”,足放しで“0”となるディジタル信号である。また、FABS はアンチロックブレーキ制御フラグであり、何れかのホイールシリンダに対してアンチロックブレーキ制御(減圧)開始で“1”にセットされ、アンチロックブレーキ制御の完全な終了で“0”にリセットされるものである。
【0055】
この演算処理では、まずステップS1で前記ブレーキスイッチ制御信号SBRK が“1”のON状態であるか否かを判定し、当該ブレーキスイッチ制御信号SBRK がON状態である場合にはステップS2に移行し、そうでない場合にはステップS3に移行する。
【0056】
前記ステップS2では、前記アンチロックブレーキ制御フラグFABS が“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該アンチロックブレーキ制御フラグFABS がセット状態である場合にはステップS4に移行し、そうでない場合には前記ステップS3に復帰する。
【0057】
前記ステップS4では、前記圧力センサ23P,23Sで検出される一次側及び二次側マスタシリンダ圧PM/C-P ,PM/C-S を読込んでからステップS5に移行する。
【0058】
前記ステップS5では、例えば前記一次側マスタシリンダ圧PM/C-P に所定の比例係数KP を乗じた値と、二次側マスタシリンダ圧PM/C-S に所定の比例係数KS を乗じた値との積値などから、運転者が所望としている目標減速度としての所望減速度GD を算出してからステップS6に移行する。
【0059】
前記ステップS6では、前記ステップS5で算出された所望減速度GD が、例えば0.1G程度に設定された所定目標減速度としての所定減速度G0 以下であるか否かを判定し、当該所望減速度GD が所定減速度G0 以下である場合にはステップS7に移行し、そうでない場合にはステップS8に移行する。
【0060】
前記ステップS7では、図示されない個別の演算処理に従って、前記前輪制御用切換バルブ41FL,41FRを閉(切換)とする制御信号を創成出力してからステップS9に移行する。
【0061】
前記ステップS9では、前輪制御フラグFFRT を“1”にセットしてからステップS10に移行する。
また、前記ステップS3では、四輪統括制御フラグFTTL が“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該四輪統括制御フラグFTTL がリセット状態である場合にはステップS11に移行し、そうでない場合には前記ステップS10に移行する。
【0062】
前記ステップS10では、図示されない個別の演算処理に従って、前記四輪統括制御用増圧制御バルブ30を開,四輪統括制御用減圧制御バルブ31を閉とする制御信号を創成出力してからステップS12に移行する。なお、このときには後述するようにアンチロックブレーキ制御以外の車輪のホイールシリンダが不要に増圧されるというアンチロックブレーキ制御開始時の問題を回避するために、圧力制御シリンダ16への作動流体圧を緩増圧してもよい。
【0063】
そして、前記ステップS12では、四輪統括制御フラグFTTL を“0”にリセットしてからメインプログラムに復帰する。
一方、前記ステップS11では、前輪制御フラグFFRT が“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該前輪制御フラグFFRT がセット状態である場合にはステップS13に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。
【0064】
前記ステップS13では、図示されない個別の演算処理に従って、前記前輪制御用切換バルブ41FL,41FRを開(戻し)とする制御信号を創成出力してからステップS14に移行する。
【0065】
前記ステップS14では、前輪制御フラグFFRT を“0”にリセットしてからメインプログラムに復帰する。
また、前記ステップS8では、図示されない個別の演算処理に従って、例えば図6の制御マップ検索等により、車速VSPやバッテリ充電状態SOCから、前記モータジェネレータで発生可能な回生制動力BFREG を算出設定してからステップS15に移行する。
【0066】
前記ステップS15では、前記切換用所定減速度G0 に相当する所定制動力BF0 ,つまり当該所定減速度G0 に必要な制動力と、前記ステップS8で算出設定された回生制動力BFREG との制動力差分値ΔBFREG に例えば所定の比例係数KC を乗じる等して、当該制動力差分値ΔBFREG に応じた四輪統括減圧量ΔPREG-TTL を算出設定してからステップS16に移行する。
【0067】
前記ステップS16では、図示されない個別の演算処理に従って、前記ステップS15で算出設定された四輪統括減圧量ΔPREG-TTL に応じた,つまり当該四輪統括減圧量ΔPREG-TTL を達成するための四輪統括制御用増圧制御バルブ30及び減圧制御バルブ31に対する制御信号を創成出力してからステップS17に移行する。
【0068】
前記ステップS17では、四輪統括制御フラグFTTL を“1”にセットしてからメインプログラムに復帰する。
次に、例えば図6の制御マップ検索等により前記ステップS8で算出される回生制動力BFREG の算出原理について説明する。本実施形態のモータジェネレータは、例えば図6に示すように車速VSPに応じて回生制動力BFREG が変化する特性を有する。即ち、車速零程度では、所謂クリープトルクを発生させるために回生制動力BFREG が負値になっている,つまり駆動力が与えられるようになっており、そこから車速VSPの増速に伴って回生制動力BFREG は正値の領域で増加する。しかしながら、車速VSPの低速領域で増加傾きが次第に小さくなってゆき、車両減速度0.25G相当程度でリミッタがかかる。更に、車速VSPが増速すると、回生制動力BFREG が減少に転じ、中速領域から高速領域にかけては車両減速度0.1G相当程度に漸近して安定する。また、バッテリ充電状態SOCによっても発生可能な回生制動力BFREG は変化し、例えばバッテリ充電状態SOCが高い(バッテリが十分に充電されている)ときには、モータジェネレータが発電できない,つまりリミッタが作用することから回生制動力BFREG も小さくなる。但し、本実施形態のようなハイブリッド車両では、極力バッテリ電力で走行するように設定されているから、バッテリが常時完全充電されていることは少なく、従ってバッテリ充電状態SOCは回生制動力BFREG を補正するなどに用いられる。
【0069】
次に、前記図5の演算処理の作用について、図7を用いながら説明する。この演算処理では、ブレーキスイッチ制御信号SBRK がON状態で且つアンチロックブレーキ制御フラグFABS がリセットされているとき,つまりブレーキペダルが踏込まれ且つアンチロックブレーキ制御が開始されていないときに、前記図5の演算処理のステップS1及びステップS2を経てステップS4以後に移行し、読込まれた一次側及び二次側マスタシリンダ圧PM/C-P ,PM/C-S から、次のステップS5で運転者が要求し且つ車両の目標減速度としての所望減速度GD が算出される。そして、この所望減速度GD が、前記0.1G程度に設定されている所定目標減速度としての所定減速度G0 以下であるときにはステップS7以後に移行する。
【0070】
このステップS7では、前記前輪制御用切換バルブ41FL,41FRを閉(切換)とする制御信号が創成出力されるので、前述のようにプロポーショニングバルブ43FL,43FRによって、前左右ホイールシリンダ1FL,1FRへの作動流体圧に対して車両減速度0.1G程度相当の減圧がなされる。即ち、ほぼ全ての車速VSPで発生可能な車両減速度0.1G程度の回生制動力BFREG をモータジェネレータで発生しながら、それに相当する減圧を行うことで前輪への総制動力を一定に保持することができ、従ってこのときには前後輪の制動力配分は、モータジェネレータを回生作動させる前後で変化しない。なお、次のステップS9では前輪制御フラグFFRT がセットされる。また、続くステップS10では四輪統括制御用増圧制御バルブ30を開,減圧制御バルブ31を閉とする制御信号が創成出力されるから、前述のように圧力制御シリンダ16から一次側及び二次側に供給される作動流体圧PC/C-P ,PC/C-S は、前記一次側及び二次側マスタシリンダ圧PM/C-P ,PM/C-S に等しい。また、続くステップS12では四輪統括制御フラグFTTL がリセットされる。
【0071】
従って、この状態でブレーキペダルから足放しするとかアンチロックブレーキ制御が開始される,即ちブレーキスイッチ制御信号SBRK がOFF状態となるか或いはアンチロックブレーキ制御フラグFABS がセットされると、ステップS1又はステップS2からステップS3に移行するが、このときには四輪統括制御フラグFTTL がリセットされているのでステップS11に移行し、前輪制御フラグFFRT はセットされているからステップS13以後に移行する。このステップS13では、前記前輪制御用切換バルブ41FL,41FRを開(戻し)とする制御信号が創成出力されるので、前左右ホイールシリンダ1FL,1FRがアンチロックブレーキ制御用アクチュエータユニット6に連通され、それまでの減圧制御が終了する。勿論、このようなときにはモータジェネレータの回生作動も解除されるので、アンチロックブレーキ制御による変化量を除いて、前輪への総制動力は変動しない。また、続くステップS14では、前左右輪への作動流体圧制御が終了したとして前輪制御フラグFFRT をリセットする。
【0072】
これに対して、前記所望減速度GD が所定減速度G0 より大きい場合には、前記ステップS6からステップS8に移行して、前述のようにモータジェネレータで発生可能な回生制動力BFREG が算出設定される。次に、前記ステップS15で、この回生制動力BFREG と、前記所定減速度G0 に相当する所定制動力BF0 との制動力差分値ΔBFREG を求め、この制動力差分値ΔBFREG に応じた四輪統括減圧量ΔPREG-TTL が算出され、続くステップS16で、この四輪統括減圧量ΔPREG-TTL に応じた四輪統括制御用増圧制御バルブ30及び減圧制御バルブ31への制御信号が創成出力される。つまり、本実施形態では、前記所望減速度GD が零から次第に大きくなるときには、前輪のみへの回生協調制御が行われ、次いで所望減速度GD が所定減速度G0 を越えてから、四輪の回生協調制御が行われることになる。このとき、前記ステップS15では、既に開始されている前輪のみへの回生協調制御に伴う制動力,つまり前記所定減速度G0 に相当する所定制動力BF0 とモータジェネレータで発生可能な回生制動力BFREG との制動力差分値ΔBFREG を求めるが、これは四輪のホイールシリンダ1FL〜1RRへの作動流体圧を減圧すれば得られる回生制動力であり、またその分だけ電力回生量を増加して燃費を向上することも可能である。そして、続くステップS17で四輪統括制御フラグFTTL をセットする。
【0073】
ここまでの制御態様を図7に纏めた。前輪側制動力と後輪側制動力との間には、前述のように荷重移動に伴う理想制動力配分がある。つまり、前輪側の制動力が増加すればするほど、荷重が前方に移動することから、後輪側の制動力の割合を減少しないと後輪がロックしてしまうのである。一般的(コンベンショナル)な車両では、折れ点以上で増圧傾きが小さくなるプロポーショニングバルブ等を用いて、前後輪の制動力配分を理想制動力配分に近づけている。本実施形態でも、基本的な前後輪の制動力配分は、前記一般的な車両の折れ点以下のそれと同様に設定してあるので、前記所望減速度GD が所定減速度G0 (=0.1G)以下の領域ではその制動力配分が保持され、同時にどの車速領域でも回生可能な電力を確実に回生して燃費効果を高めることができる。
【0074】
これに対して、前述のように四輪への作動流体圧を同時に減圧する四輪統括回生協調(減圧)制御を行うと、前輪側制動力配分が大きくなり過ぎて,所謂制動力過多となり、車輪がロックしてしまう限界がある。これが図7に示す早期ロック限界制動力配分である。そして、本実施形態では、所望減速度GD が所定減速度G0 (=0.1G)より大きい領域では、モータジェネレータで現在発生可能な回生制動力BFREG を求め、これと前記所定制動力BF0 との制動力差分値ΔBFREG に応じた四輪統括減圧量ΔPREG-TTL だけ、四輪のホイールシリンダ1FL〜1RRへの作動流体圧を減圧するのである。つまり、所望減速度GD が所定減速度G0 (=0.1G)より大きい領域では、発生可能な回生制動力に応じて、図7に示す一般的な車両の制動力配分と早期ロック限界制動力配分との間の,図示斜線部分を減少方向に制御し、回生可能な電力を可及的に回生して燃費効果を高めることができる。
【0075】
一方、この四輪統括回生協調制御の状態から、アンチロックブレーキ制御が開始されるなどすると、前記四輪統括制御フラグFTTL がセットされているので、前記図5の演算処理のステップS3からステップS10に移行して、先ず最初に四輪統括制御用増圧制御バルブ30を開,減圧制御バルブ31を閉として、当該四輪統括回生協調制御を中止する。そして、次のステップS12で四輪統括制御フラグFTTL がリセットされるので、次のサンプリング時刻で図5の演算処理が実行されるとステップS3からステップS11を経てステップS13に移行するので、ここで前輪回生協調制御が中止される。このように、特にアンチロックブレーキ制御の開始に伴ってモータジェネレータの回生作動が解除されると、先ず最初に四輪統括回生協調制御を中止することにより、当該アンチロックブレーキ制御開始直後に前後輪の制動力配分を安定させることができる。
【0076】
なお、この四輪統括回生協調制御が行われているときにアンチロックブレーキ制御が開始され、回生制動力が未だ残存している状態で、アンチロックブレーキ制御用アクチュエータユニット6の上流圧である圧力制御シリンダ16の一次側作動流体圧PC/C-P 及び二次側作動流体圧PC/C-S を即座に増圧すると、例えば前左ホイールシリンダ1FLへの作動流体圧がアンチロックブレーキ制御により保持又は減圧状態にあるときには、当該前左ホイールシリンダ1FLには二次側作動流体圧PC/C-S が及ばないから、同じ系統に接続されている後右ホイールシリンダ1RRへの二次側作動流体圧PC/C-S が二次側マスタシリンダ圧PM/C-S より高い流体圧まで増圧される。また、このようにアンチロックブレーキ制御用アクチュエータユニット6の上流側で二次側作動流体圧PC/C-S が増圧し過ぎると、その反動で前記圧力制御シリンダ16内の二次側ピストン17Sが押し戻され、その結果、入力圧が高くなって一次側ピストン17Pは押し出され、結果的に一次側作動流体圧PC/C-P も一次側マスタシリンダ圧PM/C-P より高い圧力に増圧される恐れがある。そして、このように作動流体圧がマスタシリンダ圧より高い圧力になると制動力過多となる。従って、特にアンチロックブレーキ制御が開始されたときには、圧力制御シリンダ16の出力圧,つまり前記一次側作動流体圧PC/C-P 及び二次側作動流体圧PC/C-S が次第に増圧されるように、四輪統括制御用増圧制御バルブ30を緩増圧制御するとよい。
【0077】
また、本実施形態では前記マスタシリンダ圧PM/C-P ,PM/C-S から所望減速度GD を算出するため、運転者が要求する減速度を早期に検出して制御の応答性や制御性を高めることができる。
【0078】
以上より、本実施形態における前記モータジェネレータMG及びモータジェネレータコントロールユニット38が本発明の電気的制動手段を構成し、以下同様に、前記各車輪のホイールシリンダ1FL〜1RRが流体圧制動手段を構成し、前記前輪制御用アクチュエータユニット7が所定輪作動流体圧制御手段を構成し、前記四輪統括制御用アクチュエータユニット5が四輪作動流体圧制御手段を構成し、前記圧力センサ23P,23S及び図5の演算処理のステップS4及びステップS5が目標減速度検出手段を構成し、前記図5の演算処理のステップS8が電気的制動力算出手段を構成し、前記ステップS4及びステップS5及びステップS8を除く図5の演算処理全体が減圧制御調整手段を構成している。
【0079】
なお、上記実施例では、アンチロックブレーキ制御用アクチュエータユニットを併設した場合について説明したが、これらは必要に応じて設定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制動力制御装置を適用したハイブリッド車両の概略構成図である。
【図2】図1のブレーキアクチュエータユニットの一例を示す流体圧回路図である。
【図3】図2のプロポーショニングバルブの特性説明図である。
【図4】図2のブースターの説明図である。
【図5】図1のブレーキコントロールユニットで実行される演算処理の一実施形態を示すフローチャートである。
【図6】図5の演算処理で用いられる制御マップである。
【図7】図5の演算処理の作用説明図である。
【符号の説明】
1FL〜1RRはホイールシリンダ(制動用シリンダ)
2はマスタシリンダ
3はブレーキペダル
4はブースター
5は四輪統括制御用アクチュエータユニット
6はアンチロックブレーキ制御用アクチュエータユニット
7は前輪制御用アクチュエータユニット
8はリザーバ
9はブレーキコントロールユニット
10はブレーキアクチュエータユニット
11は電動ポンプ
12はチェックバルブ
13はアキュームレータ
14は圧力スイッチ
15は圧力スイッチ
16は圧力制御シリンダ
17P,17Sはピストン
18P,18Sはシリンダ部
19P,19Sはリターンスプリング
20P,20Sはチェックバルブ
21P,21Sは回生切換バルブ
22P,22Sはストロークシミュレータ
23P,23Sは圧力センサ
24P,24Sは圧力センサ
25はフェールセーフバルブ
26はチェックバルブ
27はバイパスバルブ
28はオリフィス
29はチェックバルブ
30は四輪統括制御用増圧制御バルブ
31は四輪統括制御用減圧制御バルブ
32は四輪統括制御用リザーバ
33はチェックバルブ
34はリリーフバルブ
35はチェックバルブ
37はエンジンコントロールユニット
38はモータジェネレータコントロールユニット
39は無段変速機コントロールユニット
41FL,41FRは前左右輪減圧制御用切換バルブ
42FL,42FRはチェックバルブ
43FL,43FRはプロポーショニングバルブ
EGはエンジン
MGはモータジェネレータ
CVTは無段変速機

Claims (5)

  1. 前後何れか一方の左右輪に対して電気的な制動力を付与する電気的制動手段と、各車輪の制動用シリンダへの作動流体圧によって当該車輪に制動力を付与する流体圧制動手段と、前記前後何れか一方の左右輪の制動用シリンダの作動流体圧だけを同時に制御する所定輪作動流体圧制御手段と、四輪の制動用シリンダの作動流体圧を同時に制御する四輪作動流体圧制御手段と、車両の目標減速度を検出する目標減速度検出手段と、前記電気的制動手段で達成可能な電気的制動力を算出する電気的制動力算出手段と、前記目標減速度検出手段で検出された目標減速度が予め設定された所定目標減速度より小さいときには、前記電気的制動手段によって前後何れか一方の左右輪に電気的制動力を付与しながら、前記所定輪作動流体圧制御手段によって前後何れか一方の左右輪の制動用シリンダの作動流体圧だけを同時に減圧制御し、且つ前記目標減速度検出手段で検出された目標減速度が前記予め設定された所定目標減速度より大きいときには、前記電気的制動手段によって前後何れか一方の左右輪に電気的制動力を付与しながら、前記電気的制動力算出手段で算出された当該電気的制動手段による電気的制動力に応じて、少なくとも四輪作動流体圧制御手段によって四輪の制動用シリンダの作動流体圧を同時に減圧制御する減圧制御調整手段とを備えたことを特徴とする制動力制御装置。
  2. 前記減圧制御調整手段は、前記電気的制動手段による前後何れか一方の左右輪への電気的制動力が付与されなくなったら、前記四輪作動流体圧制御手段による四輪の制動用シリンダの作動流体圧の減圧制御を先に解除することを特徴とする請求項1に記載の制動力制御装置。
  3. 前記目標減速度検出手段は、ブレーキペダルの踏込みによるマスタシリンダからの作動流体圧から車両の目標減速度を算出するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の制動力制御装置。
  4. 少なくとも前記四輪作動流体圧制御手段は、マスタシリンダからの作動流体圧と、ブレーキペダルの踏込みによって昇圧し且つマスタシリンダとは異なる圧力源からの作動流体圧とを切り換えて制御するものであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の制動力制御装置。
  5. 前記個別の圧力源が、作動流体圧ブースト装置であることを特徴とする請求項4に記載の制動力制御装置。
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