JP3752853B2 - 制動力制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばエンジンとモータジェネレータとを併設した,所謂パラレルハイブリッド車両やモータジェネレータだけを原動機とする電動車両等にあって、例えば制動時にモータジェネレータを回生作動させるときに、各車輪の制動用シリンダへの作動流体圧を制御する制動力制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このような制動力制御装置としては、例えば「トヨタ プリウス 新型車解説書」(97年10月発行)に記載されるものがある。このハイブリッド車両の制動時には、本来電動機としてのモータジェネレータを発電機として使用する,つまり回生作動させて、当該制動時の制動力の一部をモータジェネレータの回生トルクで得ると共に、当該モータジェネレータで回生された電力をバッテリに充電する。このとき、制動力制御装置は、制動用シリンダへの作動流体圧の所謂協調制御を行う。この回生協調制御とは、ブレーキペダルの踏込み量を例えばマスタシリンダ圧で検出し、このマスタシリンダ圧に相当する制動力から前記モータジェネレータの回生トルクによる制動力を減じた分が、各車輪の制動用シリンダで発揮されるように作動流体圧を制御するものである。このように作動流体圧を制御する場合には、マスタシリンダから作動流体圧変動が伝わってブレーキペダルの踏み感に違和感が生じないように、マスタシリンダからの作動流体圧,つまりマスタシリンダ圧はストロークシュミレータと呼ばれるアキュームレータで吸収される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来技術では、マスタシリンダからの作動流体圧を直接増減圧制御して回生協調制御を行う。このため、制御装置に異常が生じた場合には、例えば通常の制動系,つまりマスタシリンダ圧が直接各車輪の制動用シリンダに供給される系に復帰するといった、異常時補償(フェールセーフ)が困難であるという問題がある。
【0004】
そこで、例えばこのように制動用シリンダへの作動流体圧を制御する場合には、マスタシリンダを各制動用シリンダから切り離し、それとは個別の圧力源からの作動流体圧を元圧とし、それを各車輪の制動用シリンダに接続して制御することが考えられる。この制御する作動流体圧の元圧には、例えば倍力装置と呼ばれる作動流体圧ブースターからのものを使用し、これを増圧用及び減圧用の圧力制御弁で所定圧に制御する。具体的な回生協調制御にあたっては、四輪又は駆動輪等の所定の車輪の制動用シリンダへの作動流体圧の総元圧を増圧用及び減圧用の圧力制御弁で制御する。つまり、マスタシリンダとは異なり且つブレーキペダルの踏込みと共に昇圧するブースターからの作動流体圧(以下、ブースター圧とも記す)を各車輪の制動用シリンダに供給するラインに増圧制御弁を介装して当該ブースター圧を供給又は遮断できるようにすると共に、各車輪の制動用シリンダには共通する減圧制御弁を接続して、所定の車輪の制動用シリンダの作動流体圧を同時に減圧できるようにする。このような制動力制御装置によれば、通常の制動系を残したまま、例えば前記回生協調制御のような制動用シリンダへの作動流体圧の制御系を構築することができるので、両者を切換えることで確実なフェールセーフを達成することができる。
【0005】
このような制動力制御装置で、前記減圧制御弁で減圧された各車輪の制動用シリンダからの作動流体圧はタンク等に大気開放するのが、最も簡便である。しかしながら、減圧された各車輪の制動用シリンダからの作動流体圧を、そのまま大気開放してしまうと、例えば減圧制御弁を必要以上に作動させてしまうとか、減圧制御弁を誤って開放してしまうといった誤動作で各車輪の制動用シリンダの作動流体圧が減圧され過ぎてしまうという問題が生じる。
【0006】
本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発されたものであり、マスタシリンダとは異なる個別の圧力源からの作動流体圧を各車輪の制動用シリンダに切換接続し、それを増減圧制御する際に、減圧された各車輪の制動用シリンダからの作動流体圧をリザーバに貯留するようにすることで、各車輪の制動用シリンダの作動流体圧が減圧され過ぎないようにすることができる制動力制御装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記諸問題を解決するために、本発明のうち請求項1に係る制動力制御装置は、マスタシリンダからの作動流体圧と、ブレーキペダルの踏込みによって昇圧し且つマスタシリンダとは異なる圧力源からの作動流体圧とを切り換えて、各車輪の制動用シリンダへの作動流体圧を制御する制動力制御装置であって、アンチロックブレーキ制御用アクチュエータユニットの上流側に設けられ、前記マスタシリンダとは異なる圧力源からの作動流体圧に切換状態で四統括して制動用シリンダに供給される作動流体圧を増圧する四輪統括制御用増圧制御弁と、アンチロックブレーキ制御用アクチュエータユニットの上流側に設けられ、前記マスタシリンダとは異なる圧力源から統括して制動用シリンダに供給され作動流体圧を減圧する四輪統括制御用減圧制御弁と、この四輪統括制御用減圧制御弁の下流に接続されて、減圧された制動用シリンダからの作動流体圧を貯留し且つ各制動用シリンダの作動流体圧が所定圧以下に減圧されないように制限する四輪統括制御用流体圧吸収装置とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明のうち請求項2に係る制動力制御装置は、前記請求項1の発明において、前記四輪統括制御用減圧制御弁には、前記四輪統括制御用流体圧吸収装置からの還流のみを許容する逆止弁をバイパス接続したことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明のうち請求項3に係る制動力制御装置は、前記請求項1又は2の発明において、前記個別の圧力源が、作動流体圧ブースト装置であることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の効果】
而して、本発明のうち請求項1に係る制動力制御装置によれば、四輪統括制御用減圧制御弁の下流に接続された四輪統括制御用流体圧吸収装置によって、減圧された制動用シリンダからの作動流体圧を貯留し且つ各制動用シリンダの作動流体圧が所定圧以下に減圧されないように制限する構成としたため、四輪統括制御用減圧制御弁の誤作動時にも各車輪の制動用シリンダの作動流体圧が減圧され過ぎることがない。
【0011】
また、本発明のうち請求項2に係る制動力制御装置によれば、四輪統括制御用流体圧吸収装置からの還流のみを許容する逆止弁を四輪統括制御用減圧制御弁にバイパス接続する構成としたため、例えばブレーキペダルからの足離しによって個別の圧力源からの作動流体圧が減圧されれば、当該四輪統括制御用流体圧吸収装置に貯留されている作動流体圧は、逆止弁を通って個別の圧力源側に自動的に還流される。
【0012】
また、本発明のうち請求項3に係る制動力制御装置によれば、作動流体圧ブースト装置をマスタシリンダとは個別の圧力源として用いることにより、新たな作動流体圧力源を設ける必要がなく、構造を簡潔にすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
これ以下、本発明の制動力制御装置の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は本発明の制動力制御装置を、所謂FFタイプのパラレルハイブリッド車両に適用した一例である。パラレルハイブリッド車両の原動機の一つであるエンジンEGは、電磁パウダークラッチ等のクラッチCLを介して無段変速機CVTに接続されているが、その接続途中に、例えば3相誘導モータ/発電機等で構成される交流式のモータジェネレータMGがもう一つの原動機として介装されており、前記無段変速機CVTの出力軸が、駆動輪となる前左右輪WFL,WFRに接続されている。従って、前左右輪WFL,WFRはエンジンEGでも、力行されるモータジェネレータMGでも駆動可能であり、逆にモータジェネレータMGを回生作動すれば、前左右輪WFL,WFRには回生トルク,つまり電気的制動力が作用し、同時にそのときモータジェネレータMGで回生される電力は図示されないバッテリに充電される。ちなみに、前記クラッチCLは、所謂走行クラッチとしての役割以外に、例えばエンジンEGのトルクを所要としない場合には、エンジンEGを停止し且つクラッチCLを切断して当該エンジンEGと駆動系との繋がりを遮断するのにも用いられる。
【0015】
前記エンジンEGはエンジンコントロールユニット37で制御されるように構成されており、当該エンジンコントロールユニット37は、図示されないマイクロコンピュータ等の演算処理装置を介装して構成される。そして、このエンジンコントロールユニット37では、制御入力として、例えば吸入空気量,スロットル開度,排気中の酸素量,冷却液温度,車速,エンジン回転数及びエンジン回転の位相信号等を用いて所定の演算処理を行い、例えば吸入管路内のスロットルアクチュエータへの吸入空気量制御信号,各インジェクターへの空燃比制御信号,ディストリビュータへの点火時期制御信号等を出力する。また、このエンジンコントロールユニット37は、後述のモータジェネレータコントロールユニット38からのエンジン始動及び停止を指令する指令信号に応じて、前記エンジンEGを駆動するようにもなっている。
【0016】
また、前記クラッチCL及びモータジェネレータMGはモータジェネレータコントロールユニット38で、無段変速機CVTは無段変速機コントロールユニット39で制御されるように構成されており、各コントロールユニット38,39は図示されないマイクロコンピュータ等の演算処理装置を介装して構成される。そして、前記エンジンコントロールユニット37や後述するブレーキコントロールユニット9を含めて、これらの各コントロールユニット38,39は互いに相互通信を行いながら演算処理を行うように構成されている。
【0017】
このうち、前記無段変速機コントロールユニット39は、制御入力として、選択レンジ,アクセル開度,ブレーキペダル踏込み量,入力回転数,出力回転数等を用いて所定の演算処理を行い、変速比制御信号や作動流体圧制御バルブへの作動流体圧制御信号,ライン圧制御信号を出力する。即ち、例えば車速,入力回転数,アクセル開度等に基づいて設定される目標変速比と、無段変速機CVTの入力回転数と出力回転数とに基づいて算出した変速比とが一致するように変速制御を行い、前記目標変速比は、例えば予め設定した変速パターン制御マップに基づいて設定し、車速が低下するほど変速比が大きくなり、またアクセル開度が増加するほど変速比が大きくなり、また入力回転数が増加するほど変速比が大きくなるように変速比を制御するようになっている。
【0018】
また、前記モータジェネレータコントロールユニット38は、制御入力として、車速,アクセル開度,バッテリの充電状態,バッテリ温度,入力回転数等を用いて所定の演算処理を行い、クラッチCLを制御するクラッチ制御信号及びモータジェネレータMGを実質的に駆動するインバータへのモータジェネレータ制御信号を出力し、当該インバータはこの制御信号に応じてモータジェネレータMGへの供給電流の向きと大きさとを制御する。
【0019】
即ち、例えば予め設定した走行パターン制御マップ等を参照し、前記アクセル開度からアクセルペダルが踏込み状態であると判断した場合には、現在の車両の走行状態がモータジェネレータMGのみで走行するモータ走行領域であるか、或いはエンジンEGのみで走行するエンジン走行領域であるか、通常走行はエンジンEGのみで行い、加速時にはモータジェネレータMGを使用するハイブリッド走行領域であるかなどを判定し、判定された走行領域に応じてモータジェネレータMGの力行制御並びにクラッチCLの断続制御を行うと共に、前記エンジンコントロールユニット37に指令信号を出力する。また、アクセルペダルが開放状態であると判定した場合には、車速が零であれば、停車中であると判断してクラッチCLを開放状態とする。また、車速が零でなく且つ後述するブレーキコントロールユニット9でアンチロックブレーキ制御が行われていないときには、例えば図示されないエネルギ回収量算出マップを参照しながら車速やシフト位置等に応じた発電量を算出設定し、この発電量に応じてモータジェネレータMGを発電機として所謂回生作動させ、その電力を図示されないバッテリに回収する。また、この算出した発電量は回生制動トルクとしてブレーキコントロールユニット9に通知する。一方、ブレーキコントロールユニット9でアンチロックブレーキ制御が行われている場合には、当該ブレーキコントロールユニット9からの実際の制動状況情報に基づいて、モータジェネレータMGの回生作動を中止する。
【0020】
一方、各車輪WFL〜WRRには、流体圧制動手段である制動用シリンダとしてホイールシリンダ1FL〜1RRが取付けられており、ブレーキペダル3の踏込みと共に昇圧するマスタシリンダ2或いはその手前のブースター4と各ホイールシリンダ1FL〜1RRとの間には、当該ホイールシリンダ1FL〜1RRへの作動流体圧を制御するためのブレーキアクチュエータユニット10が介装されている。このブレーキアクチュエータユニット10の詳細については後段に詳述するが、当該ブレーキアクチュエータユニット10は、図示されないマイクロコンピュータ等の演算処理装置を介装したブレーキコントロールユニット9によって制御される。また、このブレーキコントロールユニット9も、前記エンジンコントロールユニット37,モータジェネレータコントロールユニット38,無段変速機コントロールユニット39と相互通信を行いながら制御を進める。
【0021】
次に、図2にブレーキアクチュエータユニット10の詳細を示す。このブレーキアクチュエータユニット10は、四輪全てへの作動流体圧をマスタシリンダから切り離して増減圧制御する四輪統括制御用アクチュエータユニット5,各車輪のロック傾向を回避して制動距離の確保と舵取効果とを両立するためのアンチロックブレーキ制御用アクチュエータユニット6,及び前輪への作動流体圧のみを主として減圧方向に制御する前輪制御用アクチュエータユニット7を備えて構成される。
【0022】
図中に示すマスタシリンダ2はブレーキペダル3の踏込み量に応じた同等の作動流体圧を二系統に出力可能であって、基本的に前左輪のホイールシリンダ(以下、単に前左ホイールシリンダとも記す)1FLと後右輪のホイールシリンダ(後右ホイールシリンダ)1RRとはマスタシリンダ2の一方の系統に接続され、前右輪のホイールシリンダ(前右ホイールシリンダ)1FRと後左輪のホイールシリンダ(後左ホイールシリンダ)1RLとがマスタシリンダ2の他方の系統に接続されて、所謂X配管形式を構成している。このX配管形式の優位性は、周知のように、何れか一方の配管系統に異常が生じても、残る他方の配管系統によって前輪側と後輪側,車両左方側と右方側とで制動力をバランスし、もって車両安定性を確保できる点にある。なお、ブレーキペダル3とマスタシリンダ2との間にはブースター4が介装されているが、その構造などの詳細については後述する。
【0023】
ここでは、理解を容易にするためにアンチロックブレーキ制御用アクチュエータユニット6の構造から各ホイールシリンダ1FL〜1RR側の構成について説明する。このアンチロックブレーキ制御用アクチュエータユニット6内の圧力制御バルブ構造は、従来既存の還流タイプのものと同様であり、例えば前記マスタシリンダ2からの一方の系統を二つに分岐すると共に、他方の系統も二つに分岐し、夫々の分岐先にアンチロックブレーキ制御用増圧制御バルブ51FL〜51RRを介して各ホイールシリンダ1FL〜1RRを接続する。これらの増圧制御バルブ51FL〜51RRは、異常時補償,所謂フェールセーフのために常時開の二位置切換ソレノイドバルブからなる。なお、各増圧制御バルブ51FL〜51RRには、各ホイールシリンダ1FL〜1RRからマスタシリンダ2側への作動流体の還流だけを許容するチェックバルブ52FL〜52RRをバイパス接続する。
【0024】
また、前記アンチロックブレーキ制御用増圧制御バルブ51FL〜51RRの下流側には、常時閉の二位置切換ソレノイドバルブからなるアンチロックブレーキ制御用減圧制御バルブ53FL〜53RRを接続し、その出力側を各系統毎に共通のリザーバ54P,54Sとポンプ55P,55Sとに分岐接続し、ダンパ56P,56Sを介して各ポンプ55P,55Sの吐出側を前記マスタシリンダ2の各系統に接続する。これにより、各ホイールシリンダ1FL〜1RRの作動流体圧は前記減圧制御バルブ53FL〜53RR,ポンプ55P,55S,ダンパ56P,56Sを介してマスタシリンダ2の各系統に還流される。
【0025】
このアンチロックブレーキ制御用アクチュエータユニット6は、主として通常時は、車輪速度センサからの車輪速度信号等に基づいて前記ブレーキコントロールユニット9内で実行されるアンチロックブレーキ制御演算処理に従って制御される。即ち、各車輪速度と車体速度との関係を監視し、例えばそのスリップ率が所定値以上となって各車輪がロックしそうになると、前記増圧制御バルブ51FL〜51RRを閉じて当該車輪のホイールシリンダ1FL〜1RRの作動流体圧を保持し、更にその車輪のロック傾向が回復しないときには各ポンプ55P,55Sを作動させながら減圧制御バルブ53FL〜53RRを開いて当該ホイールシリンダ1FL〜1RRの作動流体圧をマスタシリンダ2側に還流して減圧し、これにより車輪速度が回復してきたら一旦減圧制御バルブ53FL〜53RRを閉じて当該ホイールシリンダ1FL〜1RRの作動流体圧を保持した後、所定時間毎に所定時間だけ増圧制御バルブ51FL〜51RRを開いて当該ホイールシリンダ1FL〜1RRの作動流体圧を少しずつ増圧する,所謂緩増圧を行う。この一連の動作を繰返して行うことで、制動距離を確保可能で且つ舵取効果の高いスリップ率,即ち目標車輪速度の近傍で各車輪速度を確実に減速し、もって制動距離と舵取効果を両立しながら車体速度を確実に減速する。なお、前述のようにモータジェネレータを回生作動しているときに、何れかのホイールシリンダ1FL〜1RRに対してアンチロックブレーキ制御(減圧)が開始された場合の、その他の各アンチロックブレーキ制御用のアクチュエータの作動については後段に詳述する。
【0026】
また、本実施形態では、前記前左右輪アンチロックブレーキ制御用増圧制御バルブ51FL,51FRの各下流側と前左右ホイールシリンダ1FL,1FRとの間に前輪制御用アクチュエータユニット7を介装している。この前輪制御用アクチュエータユニット7は、前記前左右輪アンチロックブレーキ制御用増圧制御バルブ51FL,51FRの各下流側と前左右ホイールシリンダ1FL,1FRとの間に介装された常時開の二位置切換ソレノイドバルブからなる前左右輪減圧制御用切換バルブ41FL,41FRと、これにバイパス接続されて前左右ホイールシリンダ1FL,1FRからマスタシリンダ2側への還流のみを許容するチェックバルブ42FL,42FRと、更にこれにバイパス接続されて実質的に前左右ホイールシリンダ1FL,1FRへの作動流体圧を減圧可能なプロポーショニングバルブ43FL,43FRとからなる。ちなみに、前記プロポーショニングバルブ43FL,43FRの出力圧は、例えばマスタシリンダ2側の入力圧に対して、それが比較的低いときには、当該入力圧の増圧勾配よりも小さな増圧勾配で少しずつ増圧し、当該入力圧が所定値以上になると、当該入力圧の増圧勾配と同じ増圧勾配で増圧するようなものが適用される。
【0027】
この前輪制御用アクチュエータユニット7は、主として前記ブレーキコントロールユニット9内で実行される前左右輪減圧制御演算処理に従って制御される。即ち、モータジェネレータを回生作動させるときには、前記前左右輪減圧制御用切換バルブ41FL,41FRを閉作動させて、プロポーショニングバルブ43FL,43FRによって前左右ホイールシリンダ1FL,1FRの作動流体圧をマスタシリンダ2側の供給圧よりも減圧制御する。つまり、本実施形態の車両はFFタイプであって、エンジンもモータジェネレータも前輪にしか接続されていない。従って、モータジェネレータによる回生トルクも前輪にのみ付与されるので、この回生トルクによる制動力分だけ前左右ホイールシリンダ1FL,1FRの作動流体圧を減圧する必要がある。逆に言えば、モータジェネレータによる回生トルクが前輪にのみ付与される場合に、四輪全てのホイールシリンダの作動流体圧を減圧するだけでは、前輪側の制動力が後輪側のそれより大きくなって、例えばアンチロックブレーキ制御が早期に開始されてしまうなどの問題が発生する。そこで、本実施形態では回生トルクによる制動力分だけプロポーショニングバルブ43FL,43FRによって前左右ホイールシリンダ1FL,1FRの作動流体圧を減圧するのである。但し、モータジェネレータによる回生トルクは、例えば車速によって変化する。本実施形態では、例えば中高速時に発生可能な,比較的安定しているが小さい回生トルク分だけプロポーショニングバルブで減圧できるようにした。
【0028】
次に、前記四輪統括制御用アクチュエータユニット5の前に、前記ブースター4及び当該ブースター4への作動流体圧力源について説明する。本実施形態のようなハイブリッド車両では、エンジンが停止されることもあるので、ブースター4への作動流体圧力源として電動ポンプ11を用いる。この電動ポンプ11でメインリザーバ8内の作動流体を吸入し、チェックバルブ12を通過して吐出する。この電動ポンプ11の吐出側にアキュームレータ13を接続し、更にブースター4の入力側に接続する。前記アキュームレータ13の上流側と下流側とには夫々圧力スイッチ14,15を配設しておき、どちらが低くなっても電動ポンプ11が作動するようにすることで、アキュームレータ13内の作動流体圧,つまりブースター4への供給流体圧を所定値以上に維持することができる。
【0029】
前記ブースター4の基本的な構造は既存のものと同様である。即ち、図3に示す(図はブレーキペダル3を踏込んだ状態)ようにブレーキペダル3の踏込みがない状態では、インプットシャフト71が図示右方に後退しており、その結果、スチールボール72はスプリング74によってバルブシート73に押付けられるので、ピストン75の外周から取入れられている前記アキュームレータ13からの作動流体圧は、当該ピストン75内部のシリンダ室76内に流入できず、当該ピストン75を押圧する力は発生しない。なお、前記シリンダ室76は、ブースタボディ70の内側にも連通している。また、ピストン75にはマスタシリンダ2に連結されるロッド77が延設されている。また、図中の符号78,79は、ブレーキペダル3の踏込みがない状態で、ピストン75及びロッド77を図示右方に後退させるためのリターンスプリングである。
【0030】
この状態からブレーキペダル3が踏込まれると、バルブシート73との間に介装されているスプリング80の弾性力に抗してインプットシャフト71が図示左方に移動され、その先端部がスプリング74の弾性力に抗してホルダ82ごとスチールボール72を図示左方に移動し、もってスチールボール72がバルブシート73から離間する。すると、インプットシャフト71とバルブシート73との隙間から当該インプットシャフト71に穿設されたポート81を通って、前記アキュームレータ13からの作動流体圧がピストン75内のシリンダ室76内に流入し、これがバルブシート73ごとピストン75を図示左方に押圧するから、ロッド77はマスタシリンダ2側に移動されて当該マスタシリンダ2内の作動流体圧が増圧する。勿論、この後、インプットシャフト71によってもバルブシート73ごとピストン75は左方に押圧されることはあるが、必ず作動流体圧によるピストン押圧の方が先になされるので、ブレーキペダル3の踏力は小さくても大きな推進力を得ることができ、これによってマスタシリンダ2内の作動流体圧は倍増(ブースト)される。
【0031】
次いで、或る程度、ブレーキペダル3を踏込んだ状態で当該ブレーキペダル3の踏込みを停止すると、スプリング80の弾性力によってバルブシート73とインプットシャフト71とが離間し、状態としてはバルブシート73に対してインプットシャフト71が相対的に図示右方に後退され(但し、インプットシャフト71はスチールボール72に当接している)、これによって前記スチールボール72がスプリング74の弾性力によって再びバルブシート73に押付けられるので、両者の隙間が閉塞されて前記シリンダ室76内の作動流体圧が封入され、その封入圧によってピストン75及びロッド77をマスタシリンダ2側に移動した状態に維持する補助力が得られる。
【0032】
一方、こうした状態からブレーキペダル3から足を離すと、フリーになったインプットシャフト71が前記スプリング80によって更に図示右方に後退され、スチールボール72はバルブシート73に当接したまま、スチールボール72とインプットシャフト71とが離間する。すると、シリンダ室75内の作動流体圧は、インプットシャフト71とバルブシート73との隙間から、当該インプットシャフト71の先端部から穿設されている流路83,インプットシャフトガイド84に形成された流路85,86,ブースターボディ70に形成された流路87を通ってメインリザーバ8に還流する。
【0033】
このように本実施形態のブースター4では、ブレーキペダル3の踏込み開始から常時、前記アキュームレータ13からの作動流体圧がシリンダ室76内に流入して昇圧する。そこで、本実施形態では、このシリンダ室76内の作動流体圧を、ブレーキペダル3の踏込みと共に昇圧し且つマスタシリンダ2の作動流体圧とは異なる流体圧源からの作動流体圧として取出すための流路88をバルブボディ70に形成した。ここから取出された作動流体圧は、後述する四輪統括制御用アクチュエータユニット5に取込まれて、回生時の制動力制御に利用される。
【0034】
次に、前記四輪統括制御用アクチュエータユニット5の全体構成について説明する。まず、前記マスタシリンダ2からの二系統の作動流体圧の各系統に、前記ブースター4から取出した作動流体圧をパイロット圧とする二位置切換パイロットバルブからなる回生切換バルブ21P,21Sが介装されている。この二位置切換パイロットバルブからなる回生切換バルブ21P,21SのPポートはマスタシリンダ2の各系統の出力側に接続され、同じくそのAポートが前記アンチロックブレーキ制御用増圧制御バルブ51FL〜51RRに分岐され、そのBポートは一種のアキュームレータからなるストロークシミュレータ22P,22Sに接続されている。そして、この回生切換バルブ21P,21Sは、パイロット圧のないノーマル状態で、前記PポートとAポートとを連通すると共にチェックバルブ20P,20SによってBポートからPポート及びAポートへの還流のみを許容する。また、パイロット圧による切換状態では、Aポートを遮断し、PポートとBポートとを連通する。ちなみに、前記ストロークシミュレータ22P,22Sのリターンスプリングには、前記ブースター4やマスタシリンダ2で発生する作動流体圧反力と等価なバネ定数のものが使用されており、余剰の作動流体はメインリザーバ8に還元される。また、各回生切換バルブ21P,21Sの上流側と下流側とには、夫々圧力センサ23P,23S及び圧力センサ24P,24Sが設けられている。
【0035】
一方、前記ブースター4の作動流体圧取出系統は、常時閉の電磁二位置切換バルブからなるフェールセーフバルブ25を介して前記回生切換バルブ21P,21Sのパイロット圧として分岐供給される。また、このフェールセーフバルブ25には、ブースター4側への還流のみを許容するチェックバルブ26と、常時閉の二位置切換パイロットバルブからなるバイパスバルブ27とを並列にバイパス接続し、当該バイパスバルブ27のパイロット圧は前記フェールセーフバルブ25の下流圧(又はバイパスバルブ27自身の下流圧)とする。これにより、原則的にフェールセーフバルブ25を開状態とすると、その下流圧,即ちバイパスバルブ27のパイロット圧が増圧するので当該バイパスバルブ27も開状態となり、ブースター4からの作動流体圧が低い状態でフェールセーフバルブ25を閉状態とすると、その下流圧,即ちバイパスバルブ27のパイロット圧が減圧するので当該バイパスバルブ27も閉状態となる。
【0036】
また、前記フェールセーフバルブ25と各回生切換バルブ21P,21Sとの間にはオリフィス28を介装し、このオリフィス28に、回生切換バルブ21P,21S(のパイロット圧)への流入だけを許容するチェックバルブ29をバイパス接続する。なお、これらのオリフィス28とチェックバルブ29とは、図面では分岐上流側に代表して一つずつ設けているが、分岐下流側に、夫々一つずつ,つまり各回生切換バルブ21P,21Sごとに介装するようにしてもよい。
【0037】
また、前記フェールセーフバルブ25の下流側又はバイパスバルブ27の下流側には、常時開の二位置切換ソレノイドバルブからなる四輪統括制御用増圧制御バルブ30と、常時閉の二位置切換ソレノイドバルブからなる四輪統括制御用減圧制御バルブ31と、四輪統括制御用リザーバ32とが直列に接続されている。そして、前記四輪統括制御用増圧制御バルブ30と四輪統括制御用減圧制御バルブ31との間を圧力制御シリンダ16の入力ポートに接続する。なお、前記四輪統括制御用増圧制御バルブ30には、前記圧力制御シリンダ16及び前記四輪統括制御用リザーバ32からの還流のみを許容するチェックバルブ33と、所定圧力以上で当該増圧制御バルブ30の上流側作動流体圧をリリーフするリリーフバルブ34とを並列にバイパス接続する。また、前記四輪統括制御用減圧制御バルブ31には、前記四輪統括制御用リザーバ32からの還流のみを許容するチェックバルブ35をバイパス接続する。また、前記四輪統括制御用リザーバ32は、リターンスプリングの抗力でピストンを支持するタイプのものであり、通常のブレーキ操作で生じる全ホイールシリンダ1FL〜1RRからの作動流体圧減圧量を吸収可能な容量を有する。また、必要に応じて圧力制御シリンダ16の入力作動流体圧を検出するための圧力センサ36を取付けてもよい。
【0038】
前記圧力制御用シリンダ16は、同じ形状,つまり少なくとも入力側の受圧面積も出力側の受圧面積も等しいピストン17P,17Sを内装するシリンダ部18P,18Sを、一つのシリンダボディ内に対向して配設したものであり、各シリンダ部18P,18Sの出力ポートは、前記回生切換バルブ21P,21Sより下流側で夫々前記マスタシリンダ2からの各系統に接続されている。勿論、各シリンダ部18P,18Sのリターンスプリング19P,19Sも、バネ定数を始めとする同等の仕様のものが用いられている。つまり、入力される作動流体圧に対して、二つのシリンダ部18P,18Sから同じ作動流体圧をマスタシリンダ2からの前記二つの各系統に出力することができる。また、前記各ピストン17P,17Sの入力側の受圧面積と出力側の受圧面積との所謂受圧面積比は、マスタシリンダ2の出力圧と前記ブースター4から取出した作動流体圧との比に一致又はほぼ一致してある。
【0039】
前記四輪統括制御用アクチュエータユニット5は、主として前記ブレーキコントロールユニット9内で実行される四輪統括制御演算処理に従って制御される。即ち、制動力制御装置として何らの異常も検出されないときには、前記フェールセーフバルブ25を開いておき、アンチロックブレーキ制御が行われていない状態でブレーキペダル3が踏込まれると、ブースター4から取出している作動流体圧が増圧されるので、前記フェールセーフバルブ25の下流圧をパイロット圧とするバイパスバルブ27も切換えられて開かれる。また、このフェールセーフバルブ25の下流圧は、チェックバルブ29を通って前記回生切換バルブ21P,21Sにもパイロット圧として供給されるから、当該回生切換バルブ21P,21Sは切換状態となり、それより下流側,つまりホイールシリンダ1FL〜1RR側は遮断され、マスタシリンダ2の各系統は前記ストロークシミュレータ22P,22Sに接続される。従って、マスタシリンダ2の各系統の作動流体圧はストロークシミュレータ22P,22S内のピストンを作動するが、そのリターンスプリングがマスタシリンダ2やブースター4内の反力と同等の反力を発生するので、運転者はブレーキペダル3の踏込みに違和感を感じない。
【0040】
一方で、例えば前述のように車速や変速比等からモータジェネレータによる回生トルクを求めることができるから、それによる前左右輪の制動力を算出しておき、マスタシリンダ側の圧力センサ23P,23Sで検出した作動流体圧から、当該作動流体圧が各ホイールシリンダ1FL〜1RRに供給されたときの制動力を算出し、両者の差分値からなる制動力とホイールシリンダ側の圧力センサ24P,24Sで検出した作動流体圧に応じた制動力とが一致するように、前記圧力制御シリンダ16からの出力圧を制御する。ここで、前記圧力制御シリンダ16は、前記X配管された二つの系統に同等の作動流体圧を供給することができるから、それらを同じように増減圧制御するためには、当該圧力制御シリンダ16への入力圧を増減圧制御すればよい。このとき、圧力制御シリンダ16の出力圧と入力圧との比は、前記二つのシリンダ部18P,18Sのピストン17P,17Sの受圧面積比の逆比であるから、要求される作動流体圧,つまり出力圧の増減圧量に対する入力圧の増減圧量が設定される。そして、この入力圧の増減圧量に応じて、前記四輪統括制御用増圧制御バルブ30と四輪統括制御用減圧バルブ31とを開閉制御すればよい。なお、この圧力制御シリンダ16への入力圧の増減圧制御については、例えば従来既存のデューティ比によるPWM(Pulse Width Modulation)制御等が適用できるので、その詳細な説明については省略する。また、前記四輪統括制御用減圧バルブ31によって減圧された分の各ホイールシリンダ1FL〜1RRからの作動流体圧は前記四輪統括制御用リザーバ32に貯留される。なお、この四輪統括制御用リザーバ32では、リターンスプリングの抗力とバランスする圧力までしか各ホイールシリンダ1FL〜1RRの作動流体圧を減圧できないことから、四輪統括制御用減圧バルブ31を開放したとしても、各ホイールシリンダ1FL〜1RRの作動流体圧は当該リターンスプリングの抗力とバランスする流体圧以下に減圧されることはない。
【0041】
また、例えば前記回生切換バルブがソレノイド駆動のものであるときには、ソレノイドを駆動するための電気的構造が必要になるし、前述のようなブレーキペダル3の踏込みによる回生作動時間が長くなると、例えばそのソレノイドの励磁時間が長くなって発熱量が大きくなったり、エネルギー損が大きくなったりするという問題が発生するが、本実施形態では、回生切換バルブ21P,21Sを駆動するために、ブレーキペダル3の踏込み中に常時発生するブースター4内の作動流体圧をパイロット圧として用いているので、構造が簡潔になると共に余分な発熱量やエネルギー損を抑制防止することができる。
【0042】
また、このような回生作動中のブレーキペダル3の踏込み時にあって、当該ブレーキペダル3を少しだけ戻してブースター4から取出している作動流体圧が減圧しようとしても、前記回生切換バルブ21P,21Sへのパイロット圧は前記オリフィス28を通ってゆっくりとしか減圧しないので、当該回生切換バルブ21P,21Sが誤ってノーマル位置に戻るのを抑制防止し、回生協調制御を継続することができる。一方、ブレーキペダル3の踏込み時には、ブースター4から取出した作動流体圧は、オリフィス28を通らずにチェックバルブ29側から回生切換バルブ21P,21のパイロット圧として流入するので、必要な応答性を確保することができる。
【0043】
また、この状態から、ブレーキペダル3から足を離すと、前述のようにブースター4から取出している作動流体圧も減圧するので、前記回生切換バルブ21P,21Sのパイロット圧も前記オリフィス28を通ってゆっくりと減圧し、当該回生切換バルブ21P,21Sはノーマル位置に戻ってマスタシリンダ2が再びホイールシリンダ1FL〜1RR側に接続される。また、前記四輪統括制御用リザーバ32内の作動流体は前記チェックバルブ35を通って、圧力制御シリンダ16内の作動流体と共にチェックバルブ33,チェックバルブ26を通ってブースター4に還流する。
また、ブレーキペダル3の踏込みのない状態で異常が検出されると、前記フェールセーフバルブ25を閉状態とすれば、次にブレーキペダル3が踏込まれてもバイパスバルブ27も閉状態に維持されるのでブースター4内の作動流体圧はそれより下流側に供給されず、回生切換バルブ21P,21Sはマスタシリンダ2とホイールシリンダ1FL〜1RRとを連通状態に維持してフェールセーフ機能が得られる。
【0044】
これに対して、ブレーキペダル3が踏込まれた状態で異常が検出されると、前記と同様にフェールセーフバルブ25が即座に閉状態とされる。しかしながら、このときにはフェールセーフバルブ25を閉状態としても、当該フェールセーフバルブ25の下流圧,つまりチェックバルブ26のブースター4側の作動流体圧が高いので、回生切換バルブ21P,21Sのパイロット圧が封入されて減圧せず、当該回生切換バルブ21P,21Sはマスタシリンダ2からの作動流体系統を遮断したままになる。しかしながら、このときには封入された回生切換バルブ21P,21Sのパイロット圧,即ちフェールセーフバルブ25の下流圧が前記バイパスバルブ27のパイロット圧として作用するので、当該バイパスバルブ27は開状態に維持される。従って、同様のフェールセーフ対策として、四輪統括用増圧制御バルブ30は開状態に,四輪統括用減圧制御バルブ31は閉状態に維持されるから、ブースター4から取出した作動流体圧は圧力制御シリンダ16を通って前記二つの系統に供給され続けるので、少なくともブレーキペダル3から足を離すまでは、当該作動流体圧による制動を維持することができる。そして、前記圧力制御シリンダ16の二つのシリンダ部18P,18Sのピストン17P,17Sの受圧面積比を、マスタシリンダ2の出力圧とブースター4から取出す作動流体圧の比に設定しているので、このときに得られる圧力制御シリンダ16からの作動流体圧はマスタシリンダ2からのそれと同等となり、制動力を安定させ、違和感が生じることもない。
【0045】
また、これ以外にも、前記圧力制御シリンダ16の二つのシリンダ部18P,18Sのピストン17P,17Sの受圧面積比を、マスタシリンダ2の出力圧とブースター4から取出す作動流体圧の比に設定することにより、圧力制御シリンダ16からの作動流体圧がマスタシリンダ2からのそれと同等となることから、アンチロックブレーキ制御用アクチュエータユニットより下流側の制御態様を、マスタシリンダ2からの作動流体圧に対するそれと共用化して制御を容易にすることができる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態では、前記マスタシリンダとは個別の圧力源であるブースターからの作動流体圧を増減圧制御する四輪統括制御用増圧制御バルブ30,四輪統括制御用減圧制御バルブ31の更に下流に、流体圧吸収装置としての四輪統括制御用リザーバ32を配設し、このリザーバ32で、減圧された各ホイールシリンダ1FL〜1RRからの作動流体圧を貯留すると共に、例えばそのリターンスプリングの抗力によって各ホイールシリンダ1FL〜1RRの作動流体圧が所定流体圧以下まで減圧されないようにしたため、例えば前記四輪統括制御用減圧制御バルブ31を必要以上に作動させてしまうとか、減圧制御弁を誤って開放してしまうといった誤動作時にも、各ホイールシリンダ1FL〜1RRの作動流体圧を減圧し過ぎてしまうことがない。
【0047】
なお、上記実施例では、前輪減圧制御用アクチュエータユニットやアンチロックブレーキアクチュエータユニットを併設した場合について説明したが、これらは必要に応じて設定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制動力制御装置を適用したハイブリッド車両の概略構成図である。
【図2】図1のブレーキアクチュエータユニットの一例を示す流体圧回路図である。
【図3】図2のブースターの説明図である。
【符号の説明】
1FL〜1RRはホイールシリンダ(制動用シリンダ)
2はマスタシリンダ
3はブレーキペダル
4はブースター
5は四輪統括制御用アクチュエータユニット
6はアンチロックブレーキ制御用アクチュエータユニット
7は前輪制御用アクチュエータユニット
8はメインリザーバ
9はブレーキコントロールユニット
10はブレーキアクチュエータユニット
11は電動ポンプ
16は圧力制御シリンダ
17P,17Sはピストン
18P,18Sはシリンダ部
21P,21Sは回生切換バルブ
22P,22Sはストロークシミュレータ
25はフェールセーフバルブ
27はバイパスバルブ
28はオリフィス
30は四輪統括制御用増圧制御バルブ
31は四輪統括制御用減圧制御バルブ
32は四輪統括制御用リザーバ
33はチェックバルブ
34はリリーフバルブ
35はチェックバルブ
37はエンジンコントロールユニット
38はモータジェネレータコントロールユニット
39は無段変速機コントロールユニット
41FL,41FRは前左右輪減圧制御用切換バルブ
42FL,42FRはチェックバルブ
43FL,43FRはプロポーショニングバルブ
EGはエンジン
MGはモータジェネレータ
CVTは無段変速機

Claims (3)

  1. マスタシリンダからの作動流体圧と、ブレーキペダルの踏込みによって昇圧し且つマスタシリンダとは異なる圧力源からの作動流体圧とを切り換えて、各車輪の制動用シリンダへの作動流体圧を制御する制動力制御装置であって、アンチロックブレーキ制御用アクチュエータユニットの上流側に設けられ、前記マスタシリンダとは異なる圧力源からの作動流体圧に切換状態で四統括して制動用シリンダに供給される作動流体圧を増圧する四輪統括制御用増圧制御弁と、アンチロックブレーキ制御用アクチュエータユニットの上流側に設けられ、前記マスタシリンダとは異なる圧力源から統括して制動用シリンダに供給され作動流体圧を減圧する四輪統括制御用減圧制御弁と、この四輪統括制御用減圧制御弁の下流に接続されて、減圧された制動用シリンダからの作動流体圧を貯留し且つ各制動用シリンダの作動流体圧が所定圧以下に減圧されないように制限する四輪統括制御用流体圧吸収装置とを備えたことを特徴とする制動力制御装置。
  2. 前記四輪統括制御用減圧制御弁には、前記四輪統括制御用流体圧吸収装置からの還流のみを許容する逆止弁をバイパス接続したことを特徴とする請求項1に記載の制動力制御装置。
  3. 前記個別の圧力源が、作動流体圧ブースト装置であることを特徴とする請求項1又は2に記載の制動力制御装置。
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