JP3752492B2 - 自転車用ハブ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自転車用ハブ、特に、自転車の車輪を回転自在にフレームに装着するための自転車用ハブに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自転車の車軸であるハブは、自転車のフォーク(フレーム)に着脱自在かつ回転不能に装着されるハブ軸と、ハブ軸に回転自在に装着される筒状のハブシェルと、ハブシェルをハブ軸に対して回転自在に支持する軸受とを備えている。
【0003】
このように構成された自転車用ハブにおいて、ハブシェル内部に、たとえば前照灯用の電源としての発電機構を組み込んだものが知られている(特許文献1参照)。このように発電機構をハブシェル内部に組み込むと、車輪のリム(タイヤを固定する金属製の環状部分)に接触するタイプの発電装置による発電に比べ、発電効率が向上し、車輪の回転ロスが減少する。
【0004】
前記従来の公報に開示された自転車用ハブでは、前照灯はフロントフォークに設けられたランプスティに装着されている。このため、車輪のハブ軸から配線を取り出して、フロントフォークに取り付けられた前照灯に接続している。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−69731号公報。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の自転車用ハブでは、自転車を組み立てる工場で自転車用ハブ内に組み込まれた発電機構からランプへ配線を行う必要があり、配線作業が煩わしい。しかも、ランプへの配線が外部に露出するため、配線がものに引っ掛かったり配線切れしたりするおそれがある。また車輪を交換する際には、車輪を外すときに配線を自転車用ハブ又はランプから外してさらに車輪を取り付ける際に配線を自転車用ハブ又はランプに接続しなければならず、配線のために車輪の交換が煩わしい作業になる。このように従来の自転車用ハブでは、自転車用ハブからランプへ配線しなければならないとともに配線が外部に露出するので、配線に係わる不具合が生じるおそれがある。
【0007】
本発明の課題は、発電機構を有する自転車用ハブにおいて、ランプへの配線に係わる不具合を生じにくくすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明1に係る自転車用ハブは、自転車の車輪を回転自在にフレームに装着するためのハブであって、ハブ軸と、ハブシェルと、軸受と、発電機構と、2つのランプとを備えている。ハブ軸は、フレームに回転不能に装着される軸である。ハブシェルは、ハブ軸の外周側に配置されハブ軸に対して回転自在なものである。軸受は、ハブシェルとハブ軸との間に配置されるものである。発電機構は、ハブシェル内部に配置され、ハブ軸とハブシェルとの相対回転により発電を行う機構である。2つのランプは、ハブシェルの両端に配置されかつハブ軸に回転不能に係止され発電機構からの電力により点灯するものである。2つのランプは、ハブ軸の両端に各別に回転不能に取り付けられる取付ブラケットを有し、取 付ブラケットは、ハブシェルの両端とフレームとの間に各別に配置されている。
【0009】
この自転車用ハブでは、車輪が回転してハブシェルがハブ軸に対して相対回転すると、発電機構が発電する。この電力がハブシェルの両端に配置されたランプに供給されランプが点灯する。ここでは、ランプをハブシェルの両端に配置したので、発電機構からランプへの配線がハブ外に露出しにくくなる。このため、配線の露出による不具合を解消できる。また、配線を自転車の組み立て工場ではなく、自転車用ハブの製造工場で行えるので、自転車の組み立て工場では、自転車用ハブを使用して車輪を組み立てるだけでよくランプへの配線作業を必要としない。このため、配線作業に係わる不具合を解消できる。さらに、車輪の交換の際にはランプとともに交換できる。このため、車輪交換における配線に係わる不具合も解消できる。しかも、自転車用ハブを自転車のフレームに組み込むだけで、ランプも装着できるので、ランプの自転車への装着作業も不要になる。また、ランプがハブ軸に回転不能に装着されているので、ハブ軸をフレームに対して回り止めすればランプの照射角度の調整が不要になる。さらに、ランプで前方を照射した場合に車輪のリムにより生じる影を打ち消すことができる。また、ランプの取付ブラケットとハブシェルとの間にフレームのたとえばフロントフォークが配置されないので、ハブシェルとランプとを一体化しやすい。
【0010】
発明2に係る自転車用ハブは、発明1に記載のハブにおいて、2つのランプは発電機構に対して直列接続されている。この場合には、1つのスイッチで2つのランプをオンオフできるので、スイッチ回路が簡素になるとともにスイッチ操作が容易になる。
【0011】
発明3に係る自転車用ハブは、発明1に記載のハブにおいて、2つのランプは発電機構に対して並列接続されている。この場合には、2つのランプを個別にオンオフできるので、明るさに応じて照度を二段階に変更できる。また、いずれかのランプが切れても点灯しつづけることができる。
【0012】
発明4に係る自転車用ハブは、発明1から3のいずれかに記載のハブにおいて、発電機構からランプに至る回路に配置されランプを点灯・消灯するための少なくともひとつのスイッチをさらに備える。この場合には、スイッチによりランプをオンオフすることができる。
【0013】
発明5に係る自転車用ハブは、発明4に記載のハブにおいて、スイッチは手動操作によりオンオフする。この場合には、スイッチが手動操作によりオンオフするので、スイッチ回路が安価になる。
【0014】
発明6に係る自転車用ハブは、発明4に記載のハブにおいて、自転車の周囲の明るさを検出する照度センサをさらに備え、スイッチは、照度センサの出力に応じてオンオフする。この場合には、周囲の照度に応じてランプが自動的にオフオフするので、煩わしい点灯・消灯操作が不要になる。
【0015】
発明7に係る自転車用ハブは、発明1から6のいずれかに記載のハブにおいて、2つのランプは、取付ブラケットと、取付ブラケットにねじ止め固定される第1ケース部材と、第1ケース部材にねじ止め固定される第2ケース部材と、両ケース部材に挟まれた状態で固定されるレンズと、レンズに装着されるリフレクタと、リフレクタに係止される電球装着部と、電球装着部に装着される電球と、を有する。
【0016】
発明8に係る自転車用ハブは、発明7に記載のハブにおいて、第1ケース部材は、取付ブラケットを覆うように配置されている。
【0017】
【発明の実施の形態】
<全体構成>
図1において、本発明の一実施形態を採用した自転車101は、前輪用のフロントフォーク98を含むフレーム102と、ハンドル104と、チェーンやペダル等から成る駆動部105と、スポーク99を有する前輪106及び後輪107とを備えている。
【0018】
フロントフォーク98の先端には、本発明の一実施形態によるフロントハブ(自転車用ハブの一例)1が装着されている。このフロントハブ1は、図2に示すように、発電機能及び前照灯機能を兼ね備えたハブである。自転車101の前輪106及びフロントフォーク98にフロントハブ1を組み込むと発電した電力を外部で配線することなく前照灯に供給することができるようになる。
【0019】
図2に示すように、フロントハブ1は、ハブ軸10の両端部が左右両方のフロントフォーク98に固定され、両ハブフランジ12a,13aにスポーク99が固定される。なお、図2に示す軸Xは自転車の前輪106の回転軸である。
【0020】
フロントハブ1は、図2に示すように、ハブ軸10と、第1及び第2筒状部材12,13を有するハブシェル11と、2つの軸受14,15と、ダイナモ(発電機構)30と、第1及び第2ランプユニット40,41とを備えている。
【0021】
ハブ軸10は、その両端が調整ナット2やカムレバー3によってフロントフォーク98の先端部に固定される。このハブ軸10には、後述するダイナモ30のステータヨーク33a,33bや筒状コアヨーク35が固定される。また、ハブ軸10には、ダイナモ30からの配線39及び両ランプユニット40,41を接続するための配線70(図3)を通すための配線溝10a,10bが外周面に軸方向に沿って配置されている。配線溝10aは、ダイナモ30からの配線39を通すための溝であり、この実施形態では、ダイナモ30の装着部分からハブ軸10の図2右端に向けて形成されている。配線溝10bは、両ランプユニット40,41を接続する配線70を通すための溝であり、この実施形態では、ハブ軸10の全長にわたり形成されている。またダイナモ30を装着する部分を除く外周面には雄ねじ部10cが形成されている。
【0022】
ハブシェル11の第1筒状部材12は、ダイナモ30の周囲を覆うように配置される部材であって、たとえばアルミニウム合金製である。第1筒状部材12は、環状の第1ハブフランジ12aと、第1円筒部12bと、環状傾斜部12cと、係合筒部12dとから構成されている。
【0023】
第1ハブフランジ12aには、円周方向に等間隔に、スポーク99の直径に対応するスポーク係止孔12eが複数形成されている。このスポーク係止孔12eには、スポーク99が係止される。第1円筒部12bは、第1ハブフランジ12aの内周端から図2左側に延びる円筒状の部分である。この第1円筒部12bの内周面にはダイナモ30のキャップ36が装着される。環状傾斜部12cは、第1円筒部12bの図2左側端から内方左側に向かって延びている。そして、その環状傾斜部12cの内周端から左側に向かって、円筒状の係合筒部12dが延びている。
【0024】
第2筒状部材13は、たとえば、アルミニウム合金製である。第2筒状部材13は、環状の第2ハブフランジ13aと、第2ハブフランジ13aの内周端から図2右側に延びる第2円筒部13bとから構成されている。第2ハブフランジ13aの外周部には、円周方向に等間隔に、スポーク99の直径に対応するスポーク係止孔13cが形成されている。スポーク係止孔13cは、スポーク係止孔12eと半ピッチずれて形成されている。このスポーク係止孔13cにスポーク99が係止されている。第2円筒部13bは、第2ハブフランジ13aの内周端から図2右側に延びる円筒状の部分である。第2円筒部13bの右側の部分は係合筒部13dとなっており、この係合筒部13dの外周面が第1筒状部材12の係合筒部12dの内周面とカシメ固定することによって、両筒状部材12,13が回転不能に連結されている。
【0025】
軸受14は、複数の玉14aと、これらの玉14aを保持する玉押し14b及び玉受け14cとから構成されている。玉押し14bはハブ軸10の雄ねじ部10cにねじ込み固定され、玉受け14cは後述するダイナモ30のキャップ36の内周部に固定される。これにより、軸受14は、ダイナモ30のキャップ36及びキャップ36に装着される第1筒状部材12をハブ軸10に対して回転自在に支持することになる。
【0026】
軸受15は、複数の玉15aと、これらの玉15aを保持する玉押し15b及び玉受け15cとから構成されている。玉押し15bはハブ軸10の雄ねじ部10cにねじ込み固定され、玉受け15cは、第2筒状部材の左端内周部に固定されている。軸受15は、第2筒状部材13をハブ軸10に対して回転自在に支持している。
【0027】
ダイナモ30は、主として、内側固定子31と、外側回転子32とから構成されている。このダイナモ30により発電された電力は、配線39によりランプユニット40,41に供給される。また、外部に取り出して電源として使用することも可能である。
【0028】
内側固定子31は、主として、クロー型の2つのステータヨーク33a,33bと、コイルが巻かれたボビン34と、筒状コアヨーク35とから構成されている。ステータヨーク33a,33b、ボビン34、及び筒状コアヨーク35は、組み付けられると一体となって内側固定子を構成する。この内側固定子31は、ハブ軸10の雄ねじ部10cにねじ込まれた1対のフランジ部材38a,38bにより挟持されて回転不能に固定されている。
【0029】
外側回転子32は、主として、キャップ36に円周方向に等間隔に分割して装着された永久磁石37を有している。この永久磁石37には、等間隔で交互にN極とS極とが着磁されており、合計28極のそれぞれがステータヨーク33a,33bのクローと対向している。
【0030】
第1及び第2ランプユニット40,41は、ハブシェル11の両端に配置されている。第1ランプユニット40は、図3及び図4に示すように、ハブ軸10に回転不能に固定される取付ブラケット50と、取付ブラケット50にねじ止め固定される第1ケース部材51と、第1ケース部材51にねじ止め固定される第2ケース部材52とを有している。また、ランプユニット40は、両ケース部材51,52に挟まれた状態で装着されるレンズ54と、レンズ54に装着されるリフレクタ55と、リフレクタ55に係止される電球装着部56と、電球装着部56に着脱自在に装着される電球57とを有している。
【0031】
取付ブラケット50は、金属製の部材であり、ハブ軸10の雄ねじ部10cに螺合するナット59によりハブ軸10に玉押し14b(図2)に接触した状態で回転不能に固定されている。取付ブラケット50は、ハブ軸10に装着される筒状部60と、筒状部60に固着された板状部61とを有している。
【0032】
筒状部60の内周面にはハブ軸10の配線溝10bに係合する係止突起60aが形成されている。これにより筒状部60は、ハブ軸10に対して回転不能に係止される。
【0033】
板状部61は、小径部分と大径部分とが略半円状に形成された部材である。板状部61には、ダイナモ30からの配線39及びランプユニット40,41を連結する配線70を通すための配線スリット61aが配線溝10a,10bに対向する位置に形成されている。配線スリット61aは、筒状部60の外径より径方向外方まで直径に沿って形成され、筒状部60の外周部を通って配線溝10a,10bに向かって配線39,70が通れるようになっている。板状部61には、第1ケース部材51を取り付けるための2つのねじ孔61bが形成されている。
【0034】
なお、図2では、説明の便宜のために配線溝10a,10bとねじ孔61bとを同じ断面で図示しているが、図3に示すように、実際には両者は90度ずれて配置されている。このねじ孔に取付ボルト71をねじ込んで第1ケース部材51を取付ブラケット50に固定している。
【0035】
第1ケース部材51は、たとえば合成樹脂製の部材であり、取付ブラケット50を覆うように配置されている。第1ケース部材は、取付ブラケット50を覆うカバー部62と、カバー部62と一体形成され、内部にレンズ54及びリフレクタ55の一部や後述するスイッチ58の一部を収納する空間が形成された収納部63とを有している。カバー部62には、ナット59を配置可能な貫通孔62aが形成されている。貫通孔62aの両側には、2本の取付ボルト71がそれぞれ貫通するボルト装着孔62bが形成されている。ボルト装着孔62bは段付き孔であり、段部に取付ボルト71の頭部が係止される。収納部63の前部内側面には、収納されるレンズ54を抜け止めする第1係止溝63aがレンズ54の周囲の一部を覆うように形成されている。収納部63の外側面には、第2ケース部材52を取り付けるための取付ビス72がねじ込まれる3つのねじ穴63bが収納空間の周囲に形成されている。
【0036】
第2ケース部材52は、第1ケース部材51の収納部63とでレンズ54やリフレクタ55を収納するように構成されている。第2ケース部材52の前部内側面にも第1係止溝63aに連続してレンズ54の周囲を係止する第2係止溝52aが形成されている。第2ケース部材52の後部には、スイッチ58が装着されている。スイッチ58は、たとえば手動操作によりオンオフする2位置のトグルスイッチであり、電球57をオンオフするために設けられている。第2ケース部材52の周囲には、取付ビス72が貫通する3つの取付座52bが形成されている。
【0037】
レンズ54は、後部が開口するやや先細りの透明樹脂製の箱状部材である。レンズ54の先端には、図2に示すように中心が脹らんだ凸レンズ部54aが形成されている。レンズ54の周囲には他の部分から突出した帯状の抜け止め突起54bが周囲を囲むように形成されている。この抜け止め突起54bが第1及び第2係止溝63a,52aに係合することにより、レンズ54が抜け止めされた状態で両ケース部材51,52に装着される。
【0038】
リフレクタ55は、たとえば合成樹脂製の部材であり、レンズ54の後部の開口部分にはまり込む形状である。リフレクタ55の前面には、表面がめっき処理された中心が凹んだ湾曲面55aが形成されている。リフレクタ55の中心には、電球が貫通する電球装着孔55bが形成されている。リフレクタ55の後部外周面には、レンズ54の後端面に当接する突起部55cが形成されている。突起部55cの外周面はレンズ54の外周面と面一になるように形成されている。
【0039】
電球装着部56は、電球57が固定されるソケットである。電球装着部56は、リフレクタ55の後面に着脱自在に係止されている。電球装着部56には、電球に電気的に接続される2つの端子(図示せず)が設けられており、配線39と、スイッチ58を介して配線70が接続されている。
【0040】
第2ランプユニット41は、スイッチ58を有していない点を除いて実質的に第1ランプユニット40と同様な構成である。第2ランプユニット41は、図5に示すように、取付ブラケット80と、第1ケース部材81と、第2ケース部材82とを有している。また、第2ランプユニット41は、レンズ84と、リフレクタ85と、電球装着部86と、電球87とを有している。取付ブラケット80は、取付ブラケット50と鏡像関係の形状の部材である。第1及び第2ケース部材81,82は、スイッチ58を収納する部分がないことを除いて第1及び第2ケース部材51,52と実質的に同様な形状である。レンズ84、リフレクタ85、電球装着部86及び電球87は、第1ランプユニット40のものと同様な形状である。
【0041】
次に、第1及び第2ランプユニット40,41とダイナモ30との間の配線について説明する。
【0042】
この実施形態では、図6に示すように、2つの電球57,87は配線溝10bに配置された配線70により直列に接続されており、スイッチ58は、たとえばダイナモ30と電球57との間に配置されている。なお、スイッチ58の位置は電球57と電球87との間でも、電球87と接地との間でもよく、さらに第2ランプユニット41側に設けてもよい。このように直列接続すると1つのスイッチ58で2つのランプユニット40,41を同時にオンオフできる。
【0043】
次に、フロントハブ1内のダイナモ30による発電について説明する。
【0044】
自転車101の走行にしたがって、フロントフォーク98に対してスポーク99が回転すると、フロントフォーク98に固定されている内側固定子31に対して、スポーク99に固定され軸受14により内側固定子31に対し回転自在とされている外側回転子32が回転する。すると、ステータヨーク33a,33bの外側を永久磁石37が回転する。
【0045】
これにより、ステータヨーク33a,33bは、一方が永久磁石37からN極の磁束供給を受けるときには他方がS極の磁束供給を受け、一方が永久磁石37からS極の磁束供給を受けるときには他方がN極の磁束供給を受ける。すなわち、ステータヨーク33a,33bの外側を永久磁石37が回転することにより、ステータヨーク33aがN極でステータヨーク33bがS極である第1状態、及びステータヨーク33aがS極でステータヨーク33bがN極である第2状態が繰り返されて、両ステータヨーク33a,33bを磁気的に連結している筒状コアヨーク35に軸X方向の交番磁束が発生する。このボビン34の内側に発生する交番磁束によって、ボビン34のコイルに電流が発生し発電がなされる。
【0046】
スイッチ58をオンした状態で走行して発電がなされると、その電力が配線39及びスイッチ58を通って電球57に供給されるとともに、配線70を通って電球87に供給され、第1及び第2ランプユニット40,41がオンする。
【0047】
ここでは、第1及び第2ランプユニット40,41をハブシェル11の両側に設けたので、ダイナモ30からランプユニット40,41への配線39,70がフロントハブ1外に露出しにくくなる。このため、配線の露出による不具合を解消できる。また、配線39,70を自転車の組み立て工場ではなく、フロントハブ1の製造工場で行えるので、自転車の組み立て工場では、フロントハブ1を使用して前輪106を組み立てるだけでよくランプユニット40,41への配線作業を必要としない。このため、配線作業に係わる不具合を解消できる。さらに、前輪106の交換の際にはランプユニット40,41とともに交換できる。このため、車輪交換における配線に係わる不具合も解消できる。しかも、フロントハブ1を自転車のフレームに組み込むだけで、ランプユニット40,41も装着できるので、ランプユニット40,41の装着作業も不要になる。
【0048】
また、ランプユニット40,41をハブシェル11の両側に配置したので、前方を照射した場合に前輪106により生じる影を打ち消すことができる。
【0049】
[他の実施形態]
(a)前記実施形態に加えて、たとえば図7に示すように、第2ランプユニット41側の電球87と並列にスイッチ120を設け、電球87を短絡するような回路を追加してもよい。この場合、スイッチ58をオンした状態でスイッチ120をオンオフすると、電球87をオンオフすることができる。また、スイッチ120をオフした状態でスイッチ58をオンオフすると電球57,87を同時にオンオフすることができる。また、電球87が切れても電球57をオンオフすることができる。
【0050】
なお、2つのスイッチ58,120を用いる代わりに、オフ位置と2つのオン位置とを有する3位置のスイッチを用いて、ひとつのスイッチで上記と同様な切換動作を行うこともできる。すなわち、図7においてスイッチ120を3位置のスイッチとして、配線70のオン、短絡回路のオン及び両者のオフを行えるようにすることにより、1つのスイッチで上記と同様な切換動作を行える。
【0051】
(b)2つの電球57,87を直列接続する構成に変えて並列接続してもよい。この場合、図8に示すように配線39を左右に分岐させ、スイッチ121,122を介して電球57,87に接続させればよい。この場合、両ランプユニット40,41にスイッチ121,122を設ける必要がある。この構成では1本の配線39で済むので、配線溝10aだけをハブ軸10の両端にわたり形成すればよい。また、それぞれのランプユニット40,41にスイッチ121,122に設けることにより個別にランプユニット40,41をオンオフできる。また、ひとつのランプが切れても他のランプをオンすることができる。
【0052】
なお、並列接続の場合にもスイッチを分岐前に配置することにより1つのスイッチで2つのランプユニット40,41を同時にオンオフすることもできる。この場合、スイッチまでの配線と、スイッチから分岐して両電球57,87に接続する配線との2本の配線が必要になり、ハブ軸に配線溝が2つ必要になる。
【0053】
(c)前記実施形態では、手動操作のスイッチでランプユニット40,41をオンオフさせたが、図9〜図12に示すように、周囲の光の照度に応じて2つのランプユニット40,41を自動的にオンオフするように構成してもよい。
【0054】
図9では、ランプユニット40,41の電球57,87を直列接続しており、ダイナモ30と電球57との間に自動オンオフ回路124を配置している。自動オンオフ回路124には、光センサ125が接続されており、光センサ125からの出力により所定未満の照度になると、自動オンオフ回路124は内部のスイッチ回路をオンし、所定以上の照度ではオフする。
【0055】
図10及び図11では2つの電球57,87を並列接続している。図10では、自動オンオフ回路124で2つの電球57,87を同時にオンオフしている。また、図11では、自動オンオフ回路124内に2つのスイッチ回路を設け、それぞれの電球57,87を個別にオンオフできるように構成している。この場合、光センサ125の照度により夕暮れなどの比較的明るいうちはいずれかひとつの電球をオンし、暗くなると両方の電球57,87をオンしてもよい。
【0056】
また、自動オンオフ回路124で、たとえば、速度センサからの信号やダイナモ30から自転車の走行速度に応じて抽出された信号を用い、速度に応じて2つの電球57,87のオンオフを制御してもよい。たとえば、たとえば15km/h未満の低速走行時には、いずれかひとつの電球をオンし、それより高速になると両方の電球57,87をオンしてもよい。
【0057】
図12では、直列に接続された電球57,87を接続する配線70に配置された3位置のスイッチ126を有する自動オンオフ回路124を設けている。このスイッチ126は、図7に示した2つのスイッチ58,120で構成した回路を1つのスイッチで実現したものである。具体的には、両電球57,87をオンするために配線70をオンする位置と、電球87をオフするために配線70を接地する短絡回路をオンする位置と、両電球57,87をオフするための中間位置(図12に示す位置)との3位置を有するスイッチである。このスイッチを光センサ125の出力に応じてオンオフする。また、上述したものと同様に、たとえば、速度センサからの信号やダイナモ30から自転車の走行速度に応じて抽出された信号を用い、照度に加えて速度に応じて2つの電球57,87のオンオフを制御してもよい。たとえば、所定未満の照度になると、15km/h未満の低速走行時には短絡回路をオンする位置にスイッチ126を切り換えて電球57だけをオンし、それより高速になると配線70をオンする位置に切り換えて両方の電球57,87をオンしてもよい。
【0058】
(d)前記実施形態では、自転車用ハブとしてフロントハブ1を例示したが、本発明はリアハブにも適用できる。その場合、ランプユニットを尾灯や方向指示器として使用できる。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、ランプをハブシェルの少なくとも一端に設けたので、発電機構からランプへの配線がハブ外に露出しにくくなる。このため、配線の露出による不具合を解消できる。また、配線を自転車の組み立て工場ではなく、自転車用ハブの製造工場で行えるので、自転車の組み立て工場では、自転車用ハブを使用して車輪を組み立てるだけでよくランプへの配線作業を必要としない。このため、配線作業に係わる不具合を解消できる。さらに、車輪の交換の際にはランプ毎交換できる。このため、車輪交換における配線に係わる不具合も解消できる。しかも、自転車用ハブを自転車のフレームに組み込むだけで、ランプも装着できるので、ランプの装着作業も不要になる。また、ランプがハブ軸に回転不能に装着されているので、ハブ軸をフレームに対して回り止めすればランプの照射角度の調整が不要になる。さらに、ランプで前方を照射した場合に車輪のリムにより生じる影を打ち消すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るフロントハブが装着される自転車の概略図。
【図2】 フロントハブの断面図。
【図3】 第1ランプユニットの分解斜視図。
【図4】 第1ランプユニットの側面図。
【図5】 第2ランプユニットの側面図。
【図6】 両ランプユニットの配線図。
【図7】 他の実施形態の図6に相当する図。
【図8】 他の実施形態の図6に相当する図。
【図9】 他の実施形態の図6に相当する図。
【図10】 他の実施形態の図6に相当する図。
【図11】 他の実施形態の図6に相当する図。
【図12】 他の実施形態の図6に相当する図。
【符号の説明】
1 フロントハブ(自転車用ハブ)
10 ハブ軸
11 ハブシェル
14,15 軸受
30 ダイナモ(発電機構)
40,41 第1及び第2ランプユニット
57,87 電球
58,120,121,122,126 スイッチ
98 フロントフォーク(フレーム)
101 自転車
106 前輪(車輪)
124 自動オンオフ回路
125 光センサ
Claims (8)
- 自転車(101)の車輪(106)を回転自在にフレーム(102)に装着するための自転車用ハブ(1)であって、
前記フレーム(102)に回転不能に装着されるハブ軸(10)と、
前記ハブ軸(10)の外周側に配置され前記ハブ軸(10)に対して回転自在なハブシェル(11)と、
前記ハブシェル(11)と前記ハブ軸(10)との間に配置される軸受(14),(15)と、
前記ハブシェル(11)内部に配置され、前記ハブ軸(10)と前記ハブシェル(11)との相対回転により発電を行う発電機構(30)と、
前記ハブシェル(11)の両端に配置されかつ前記ハブ軸(10)に回転不能に係止され前記発電機構(30)からの電力により点灯する前照灯としての2つのランプ(40),(41)と、を備え、
前記2つのランプ(40),(41)は、前記ハブ軸(10)の両端に各別に回転不能に取り付けられる取付ブラケット(50),(80)を有し、
前記取付ブラケット(50),(80)は、前記ハブシェル(11)の両端と前記フレーム(102)との間に各別に配置されている、自転車用ハブ。 - 前記2つのランプ(40),(41)は前記発電機構(30)に対して直列接続されている、請求項1に記載の自転車用ハブ。
- 前記2つのランプ(40),(41)は前記発電機構(30)に対して並列接続されている、請求項1に記載の自転車用ハブ。
- 前記発電機構(30)から前記ランプ(40),(41)に至る回路に配置され前記ランプ(40),(41)を点灯・消灯するための少なくともひとつのスイッチ(58),(120),(121),(122),(124),(126)をさらに備える、請求項1から3のいずれかに記載の自転車用ハブ。
- 前記スイッチ(58),(120),(121),(122)は手動操作によりオンオフする、請求項4に記載の自転車用ハブ
- 前記自転車の周囲の明るさを検出する照度センサ(125)をさらに備え、
前記スイッチ(124),(126)は、前記照度センサ(125)の出力に応じてオンオフする、請求項4に記載の自転車用ハブ。 - 前記2つのランプ(40),(41)は、
前記取付ブラケット(50),(80)と、
前記取付ブラケット(50),(80)にねじ止め固定される第1ケース部材(51),(81)と、
前記第1ケース部材(51),(81)にねじ止め固定される第2ケース部材(52),(82)と、
前記両ケース部材(51),(52),(81),(82)に挟まれた状態で固定されるレンズ(54),(84)と、
前記レンズ(54),(84)に装着されるリフレクタ(55),(85)と、
前記リフレクタ(55),(85)に係止される電球装着部(56),(86)と、
前記電球装着部(56),(86)に装着される電球(57),(87)と、を有する、請求項1から6のいずれか1項に記載の自転車用ハブ。 - 前記第1ケース部材(51),(81)は、前記取付ブラケット(50),(80)を覆うように配置されている、請求項7に記載の自転車用ハブ。
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