JP3752276B2 - プラント模擬装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子力発電プラント等の産業用プラントにおける訓練員が運転訓練等を行うプラント模擬装置に係わり、特に事故訓練において実機と同等の事故模擬を行う機能を有するプラント模擬装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、プラント模擬装置は、実プラントの制御盤を模擬した模擬制御盤および操作装置を模擬した操作模擬手段とこの模擬制御盤および監視装置を模擬した監視装置模擬手段へ出力する計算機および事故模擬等を行うためのインストラクタ用コンソール等からなっている。
【0003】
従来、プラント模擬装置における各模擬手段間のデータは、各データに付された固有のデータ識別番号(PIDと称する)と共に書込まれ、読込まれることによりデータの取り合いが行われていた。
【0004】
図7は、この種のプラント模擬装置の構成を示すものである。
【0005】
図において、操作盤1または対話表示装置2から訓練員により入力される操作が操作装置模擬手段3へ入力され、操作装置模擬手段3によって操作指令101が作成され、操作信号として操作信号データベース4へ書き込まれる。
【0006】
上記する操作信号データベース4は、PID毎に操作結果が書き込まれている。プラント模擬手段5では、操作信号データベース4から必要な操作信号102を取出し、PIDと操作結果とからプラントの模擬演算を実行し、得られたプラント状態信号103がプラント状態データベース6へ書込まれる。このプラント状態データベース6は図7に示すようにPIDと計算結果とからなっている。
【0007】
次に、プラント状態データベース6の各データは、変換テーブル7によって監視装置模擬手段8の表示順序に合わせるための変換が行われ得られる監視データ104が監視装置模擬手段8へ出力される。
【0008】
一方、故障模擬を行う場合には、インストラクタ用コンソール10より故障想定箇所のデータをPIDの指定により強制的に変更させていた。例えば、図8に示すように故障模擬データベース12はPIDと故障要求フラグからなり、インストラクタ用コンソール10の故障模擬手段11から故障想定箇所のそれぞれのPID一つ一つに故障要求フラグを立てて故障模擬を行っていた。
【0009】
ここで、操作装置模擬手段3からの操作指令101の入力不良の故障模擬を行う場合、インストラクタ用コンソール10に設ける故障模擬データベース12に操作指令101のPIDと故障要求フラグ105aを入力する。これにより、故障要求フラグ105aが立った操作指令101はプラント模擬手段5へ取込まれない。従って、プラント模擬手段5からのプラント状態信号103が変化せず、操作指令101の入力不良が模擬でき、操作装置模擬手段3の故障模擬が実施できる。
【0010】
また、監視装置模擬手段8における監視データ104の入力不良の故障模擬を行う場合、インストラクタ用コンソール10より故障模擬データベース12にプラント状態のPIDと故障要求フラグ105aを入力する。これにより、故障要求フラグ105aが立ったプラント状態信号103は監視装置模擬手段8へ取込まれない。従って、対応する監視データ104が変わらないため、監視データ104の入力不良が模擬でき、監視装置模擬手段8の故障模擬が実施できる。
【0011】
ところで、上記するプラント模擬装置に対応する実際のプラントは、図9に示すように伝送ネットワークを介してデータ伝送が行われる。例えば、複数のネットワーク50a〜50nに複数の制御装置51a〜51nが接続され、さらに、計算機52や操作盤54が接続され、ネットワーク50a〜50nによってデータ伝送がされている。
【0012】
かかるネットワーク50a〜50nの故障模擬を行う場合、インストラクタがインストラクタ用コンソール10より図8に示す故障模擬データベース12の故障想定箇所のPID毎に故障要求フラグを立てて故障模擬を行っていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7および図8に示すプラント模擬装置においては、ネットワーク単位や制御装置単位等を故障模擬するための設定作業の手間が大変であるという問題がある。
【0014】
最近の産業用プラントでは、CRTオペレーションを利用して操作指令をネットワークを介してプラントの制御装置へ送るシステムが主流となってきている。また、制御装置もリレーシーケンスからソフトウェアによるシーケンスコントローラが採用され、多数のシーケンスが一枚のコントローラ基板に組み込まれるようになってきている。
【0015】
上記背景の下で、従来のプラント模擬装置では、図7および図8に示すように操作装置模擬手段3とプラント模擬手段5とのデータの取り合いは各データに付された固有のデータ識別番号(PID)により行われていた。この方法によれば、実プラントにおけるデータの取り合いをネットワークを介して行われている場合においても、何ら変更することなく操作装置模擬手段3とプラント模擬手段5とのデータの取り合いを行うことはできる。このため、故障模擬を行う場合は、インストラクタ用コンソール10より故障想定箇所のPIDに故障要求フラグを立てることにより故障模擬可能であるが、故障想定箇所が一度に多量となるような故障模擬、例えば、実プラントにおいて操作装置からの操作指令がネットワークを介してプラントに送られているシステムのネットワーク故障や制御装置の故障模擬では、インストラクタが数百点のPID一つ一つに対して故障要求フラグを立てる作業を行わなければならなかった。
【0016】
また、図7に示すように、プラント模擬手段5よりプラント状態信号103を監視データ104として監視装置模擬手段8へ出力する場合、監視装置模擬手段8の表示順序に合わせるために、プラント状態データベース6に加えて、変換テーブル7を作っていたため2つのデータベースが存在していた。このため、メモリサイズが2倍必要であり、かつ、変換のための処理が必要となっていた。
【0017】
そこで、本発明は、プラント模擬装置におけるネットワークあるいは制御装置の故障模擬の設定の手間を軽減するプラント模擬装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、監視対象のプラントと、複数のネットワーク回線を介して前記プラントへ複数の操作信号を出力するための操作装置と、前記プラントからプラント状態信号を受信する監視装置とを備えたシステムの故障模擬訓練をするプラント模擬装置において、前記操作装置を模擬して前記複数の操作信号を出力する操作装置模擬手段と、前記操作装置模擬手段から出力される前記複数の操作信号に基づいて前記プラントの模擬演算を実行し、この模擬演算により得られたプラント状態信号を出力するプラント模擬手段と、前 記監視装置を模擬して前記プラント模擬手段から出力される前記プラント状態信号を監視データとして受信する監視装置模擬手段と、訓練員の操作に応じて前記操作装置模擬手段から出力される操作信号を示す操作結果情報と前記操作信号を伝送するネットワーク回線を織別するネットワーク識別情報とを対応付けて保存する操作信号データベースと、故障模擬を実行するネットワーク回線を設定するネットワーク故障情報を保存する故障模擬データベースと、前記故障模擬データベースの前記ネットワーク故障情報を設定する故障情報設定手段とを具備し、前記プラント模擬手段は、前記操作信号データベースの前記操作結果情報にて示される操作信号のうち前記故障模擬データベースの前記ネットワーク故障情報において故障模擬の実行が設定されていない操作信号に基づいて前記模擬演算を行うことを特徴とする。
【0019】
この手段によって、訓練員による操作入力が操作信号として操作装置模擬手段により操作信号データベースへ取込まれ保存される。この際に、取込む操作信号を実プラントで伝送するネットワーク回線を識別するネットワーク情報が一緒に操作信号データベースへ保存される一方、前もってネットワーク情報毎に故障模擬実行の有無を指標で保存する故障模擬データベースへインストラクタが故障模擬手段からネットワーク情報単位で順次故障模擬実行の有無を設定しておく。訓練が開始すると故障模擬データベースと操作信号データベースが参照され、故障模擬実行の無のネットワーク情報の操作信号のみがプラント模擬手段へ出力され、演算されたプラント状態の監視データが訓練員へ知らされる。これに対して訓練員による対応操作による操作信号が入力され訓練が進行する。これにより、ネットワーク情報単位でデータ識別番号をまとめて故障模擬実行の有無が設定されるので、設定作業の手間が軽減され、従来のようにデータ識別番号毎に故障模擬実行の有無を設定する大変な時間と手間が軽減され、正確に設定できる。また、操作信号を伝送するネットワーク回線に関する故障模擬が一括して簡単に実施できる。
【0020】
請求項2の発明は、監視対象のプラントと、前記プラントへ操作信号を出力するための操作装置と、複数のネットワーク回線を介して前記プラントから複数のプラント状態信号を受信する監視装置とを備えたシステムの故障模擬訓練をするプラント模擬装置において、前記操作装置を模擬して前記操作信号を出力する操作装置模擬手段と、前記操作装置模擬手段から出力される前記操作信号に基づいて前記プラントの模擬演算を実行し、この模擬演算により得られる前記複数のプラント状態信号を出力するプラント模擬手段と、前記監視装置を模擬して前記プラント模擬手段から出力される前記複数のプラント状態信号を監視データとして受信する監視装置模擬手段と、前記プラント模擬手段から出力されるプラント状態信号を示す計算結果情報と前記計算結果情報を伝送するネットワーク回線を識別するネットワーク識別情報とを対応付けて保存するプラント状態信号データベースと、故障模擬を実行するネットワーク回線を設定するネットワーク故障情報を保存する故障模擬データベースと、前記故障模擬データベースの前記ネットワーク故障情報を設定する故障情報設定手段とを具備し、前記監視装置模擬手段は、前記プラント状態信号データベースの前記計算結果情報のうち前記故障模擬データベースの前記ネットワーク故障情報において故障模擬の実行が設定されていない計算結果情報を監視データとして受信することを特徴とする。
【0021】
この手段によって、操作信号に応じて演算され、得られるプラント状態信号とこのプラント状態信号を実プラントで伝送するネットワーク回線を識別するネットワーク情報がプラント状態データベースへ保存される一方、前もってネットワーク情報毎に故障模擬実行の有無の指標を保存する故障模擬データベースへインストラクタが故障模擬手段からネットワーク情報単位で故障模擬実行の有無の指標を設定しておく。訓練が開始されるとプラント状態データベースと故障模擬データベースとが参照され、故障模擬実行の無のネットワーク情報のプラント状態信号のみが監視データとして訓練員に知らされる。これにより、ネットワーク情報単位でデータ識別番号がまとめて故障模擬実行の有無が設定されるから設定作業の手間が軽減され、従来のようにデータ識別番号毎に故障模擬実行の有無を設定する大変な手間が回避され正確に設定できる。また、プラント状態信号を伝送するネットワーク回線に関して故障模擬が一括して簡単にできる。
【0022】
請求項3の発明は、請求項2記載の発明において、前記監視装置模擬手段は、前記プラント状態信号を知らせる前記監視装置の入力点を示す監視装置識別情報と前記監視装置識別情報に対応するネットワーク回線を識別するネットワーク識別情報とを対応付けて保存する入力点情報データベースを具備し、前記プラント状態信号データベースから受信する前記プラント状態信号の表示順序を前記入力点情報データベースの前記監視装置識別情報と前記ネットワーク識別情報とに基づいて定め、前記複数のプラント状態信号を前記定めた表示順序にて表示すべく出力することを特徴とする。
【0023】
この手段によって、操作信号に応じて演算され、得られるプラント状態信号とこのプラント状態信号を実プラントで伝送するネットワーク回線を識別するネットワーク情報とがプラント状態データベースへ保存される。そして、プラント状態データベースのデータが監視装置模擬手段へ送られ、監視装置模擬手段によって入力点情報データベースが参照され、ネットワーク情報に基づいて監視データが作成され訓練員へ知らされる。これによって、従来のようにプラント状態信号と監視データとを変換するための変換テーブルが不要となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、本発明の第1実施例を示すプラント模擬装置の構成図であり、図1が従来例を示す図7および図8と同一符号は、同一部分または相当部分を示し、両者が異なる主な点は、操作信号データベース4と故障模擬データベース12の構成を異にし、操作信号データベース4Aと故障模擬データベース12Aとしたことである。
【0026】
ここで、操作信号データベース4Aは、PIDエリア4A1と操作結果エリア4A2とネットワーク情報エリア4A3とから構成されている。また、故障模擬データベース12Aは、ネットワーク情報エリア12A1と故障要求フラグエリア12A2とからなっている。
【0027】
以上の構成で、訓練に先立ってインストラクタ用コンソール10の故障模擬データベース12Aには、ネットワーク情報、例えば、図9に示すネットワーク50a〜50nに対応する識別子a,b−nと故障要求フラグエリア12A2に実行の有無「0」または「1」がネットワーク情報毎に設定される。
【0028】
訓練員が操作盤1または対話表示装置2から操作すると操作装置模擬手段3によって操作指令101が操作信号データベース4AにPID毎に操作結果とネットワーク情報とが保存される。
【0029】
次に、プラント模擬手段5では、操作信号を取込む際に、操作信号データベース4Aのネットワーク情報に対応するインストラクタ用コンソール10に設ける故障模擬データベース12Aの故障要求フラグが参照される。この場合に対応するネットワーク情報の故障要求フラグが「1」のとき操作信号102の内の対応するPIDの操作信号102の出力が禁止される。また、対応するネットワーク情報の故障要求フラグが「0」のとき、対応する操作信号102が出力される。
【0030】
続いて、操作信号102がプラント模擬手段5によって模擬演算され、その結果が図7と同様のプラント状態データベース6へ保存され、変換テーブル7を経て監視データ104が監視装置模擬手段8へ入力され、操作盤1および対話表示装置2へ出力される。操作盤1および対話表示装置2では、訓練員が故障模擬に対してネットワーク情報の単位で対応操作がされる。
【0031】
このように第1実施例によれば、訓練員が操作盤1および対話表示装置2から操作した結果が操作装置模擬手段3により、操作信号データベース4に記憶される。この際、操作信号データベース4には、操作結果と共に、操作信号のネットワーク情報も併せて記憶される。これにより、操作信号をプラントに送るネットワークの故障模擬を行う場合、従来ではインストラクタ用コンソール10より該当するデータベースの識別番号(PID)に一つ一つ故障フラグを立てていたが、該当するネットワーク情報だけに故障フラグを立てるだけで故障模擬を行うことが可能となる。
【0032】
従って、該当するデータベースのPIDが数百点もあれば、従来インストラクタが大変な手間と時間を要していたが、ネットワーク情報としてまとめて設定するために極めて短時間に正確に設定することができる。
【0033】
図2は、本発明の第2実施例を示すプラント模擬装置の構成図である。
【0034】
図2が従来例を示す図7および図8と同一符号は、同一部分または相当部分を示し、両者が異なる主な点は、プラント状態データベース6と故障模擬データベース12の構成を異にし、プラント状態データベース6Aと故障模擬データベース12Aとしたことである。
【0035】
ここで、プラント状態データベース6Aは、PIDエリア6A1と計算結果エリア6A2とネットワーク情報エリア6A3とから構成されている。また、故障模擬データベース12Aは、ネットワーク情報エリア12A1と故障要求フラグエリア12A2とからなっている。
【0036】
以上の構成で、訓練開始前に予めインストラクタがインストラクタ用コンソール10に設ける故障模擬データベース12Aのネットワーク情報エリア12A1にネットワーク情報を設定する。例えば、図9のネットワーク50a〜50nに対応する識別子a,b−nを保存したネットワーク情報エリア12A1に対応する故障要求フラグエリア12A2へ実行の有無「0」,「1」をネットワーク情報単位毎に設定する。
【0037】
次に、訓練員が操作盤1または対話表示装置2から操作するとプラント模擬手段5によって操作信号102が取込まれ模擬演算がされPIDと計算結果とネットワーク情報とがプラント状態データベース6Aへ保存される。
【0038】
監視装置模擬手段8は、監視データ104を取込むとき対応するプラント状態信号103のネットワーク情報に対応するインストラクタ用コンソール10の故障模擬データベース12Aが参照される。この場合、ネットワーク情報に対応する故障要求フラグが「1」のとき、監視データ104としての出力が禁止される一方、プラント状態信号103の内で、ネットワーク情報に対するインストラクタ用コンソール10の故障模擬データベース12Aが「0」のとき監視データ104として出力される。
【0039】
例えば、図2に示すプラント状態データベース6AのPIDが「YYY」のとき、(図示4段目)ネットワーク情報が「b」である。この場合に故障模擬データベース12Aのネットワーク情報が「b」に対応する故障要求フラグが「1」である。従って、この場合にはプラント状態データベース6AからPID「YYY」の監視データ104の出力が禁止される。
【0040】
このように、第2実施例によれば、プラント状態信号103がプラント模擬手段5により計算され、その結果がプラント状態データベース6Aに記憶される。この際、プラント状態データベース6Aには、プラント状態信号と共に、プラント状態のネットワーク情報も併せて記憶される。これにより、プラント状態を監視装置模擬手段8に送るネットワークの故障模擬を行う場合、従来ではインストラクタ用コンソール10より該当するデータベースの識別番号(PID)に一つ一つ故障要求フラグを立てていたが、該当するネットワーク情報だけに故障要求フラグを立てるだけでまとめて故障模擬を行うことが可能となる。
【0041】
従って、該当するデータベースのPIDが数百点もあれば、従来インストラクタが大変な手間と時間を要していたが、ネットワーク情報としてまとめて設定するために極めて短時間に正確に設定することができる。
【0042】
図3は、本発明の第3実施例を示す構成図である。
【0043】
図3において、従来例を示す図7のプラント模擬手段5とプラント状態データベース6の代わりに、実プラントの制御装置を模擬実行する制御装置模擬手段13と制御状態データベース14とを備えている。
【0044】
ここで、制御状態データベース14は、制御状態データとこの制御状態データを出力する実プラントの制御装置を識別する制御装置情報とを保存する。制御装置模擬手段13は、操作信号を取込み対応する制御装置によって模擬制御演算をして得られる制御状態データを制御状態データベース14へ保存する。
【0045】
以上の構成で、制御装置模擬手段13では、操作信号102が取込まれ模擬演算される。例えば、図4に示すように制御装置模擬手段13では、一つの制御手段として信号AAと信号ABと信号ACとが入力し出力信号ADとするOR回路13aと、出力信号ADと信号AEが入力し出力信号AFとするAND回路13bとさらに、一つの制御手段として入力信号BAと入力信号BBと入力信号BCとが入力し出力信号BDのAND回路13cと信号AFと信号BDとを入力として出力信号BEとするOR回路13dがある。そして、これらには、ある単位制御手段をまとめた制御装置情報106が図示「イ」、「ロ」のように設定されている。
【0046】
次に、計算された制御状態データ107が図5に示す制御状態データベース14へ制御装置情報106と共に記憶される。この制御装置情報106は、実プラントの制御装置が使用している制御装置情報と同一のものである。
【0047】
ここで、故障模擬を行う場合には、図5に示す故障模擬データベース12Bの情報エリア12B1へ予め制御装置情報106を登録しておき、インストラクタ用コンソール10より故障模擬時に該当する制御装置情報106に対応して故障要求フラグエリア12B1へフラグを立てる。この故障要求フラグがたっている制御装置情報106が付加されてる制御状態データ107は、実プラントの制御装置の故障時の挙動に従い、制御状態データ107が強制的に変更される。
【0048】
例えば、ある制御装置について制御装置情報が同じもの、例えば、「イ」については、故障模擬データベース12Bの対応する故障要求フラグが「1」であるから監視データ104の出力が禁止される。
【0049】
このように第3実施例によれば、制御装置の状態が制御装置模擬手段13により計算され、その結果が制御状態データベース14に記憶される。この際、制御状態データベース14には、制御状態データ107と共に、制御装置をまとめた制御装置情報も併せて記憶される。これにより、制御装置の故障模擬を行う場合、従来ではインストラクタ用コンソール10より該当するデータベースの識別番号(PID)に一つ一つ故障要求フラグを立てていたが、該当する制御装置情報毎に故障要求フラグを立てるだけで故障模擬を行うことが可能となる。
【0050】
従って、故障模擬するPIDが数百点あれば、大変な手間と時間を要し、間違いのおそれもあり、確認のための手間を含めると極めて多くの時間を要するが、第3実施例によれば、極めて簡単に正確に故障フラグの設定ができる。
【0051】
図6は、本発明の第4実施例を示すプラント模擬装置の構成図である。
【0052】
図6が従来例の図7と同一符号は、同一部分または相当部分を示し、図6はプラント状態データベース6の構成を異にしプラント状態データベース6Bとする一方、変換テーブル7の代わりに監視装置模擬手段8内に入力点情報データベース15を設けている。
【0053】
プラント状態データベース6Bは、プラント状態信号と共にこのプラント状態信号を実プラントにおいて伝送するネットワーク回線を識別するネットワーク情報とを保存する。入力点情報データベース15は、訓練員へプラント状態信号を知らせる監視装置の入力点を識別する監視装置識別番号とネットワーク情報とを保存する。
【0054】
以上の構成で、プラント模擬手段5からのプラント状態信号103が、プラント状態データベース6Bへ保存される。プラント状態データベース6BはPIDエリア6B1と計算結果エリア6B2とネットワーク情報エリア6B3とからなっている。
【0055】
次に、監視装置模擬手段8がプラント状態データベース6Bからデータを取込む。この際に監視装置模擬手段8内に備える入力点情報データベース15が参照される。この入力点情報データベース15は、監視装置識別番号15A1とネットワーク情報15A2とからなっている。監視装置模擬手段8は、入力点情報データベース15のネットワーク情報を参照して同じネットワーク情報の監視装置識別番号をまとめ表示順序を定めて操作盤1または対話表示装置2へ出力する。
【0056】
このように第4実施例によれば、プラント状態がプラント模擬手段5により計算され、その結果がプラント状態データベース6Bに記憶される。この際、プラント状態データベース6Bには、プラント状態と共に、プラント状態のネットワーク情報も併せて記憶される。監視装置模擬手段8は、ネットワーク情報のデータベースを介して、プラント状態を取込む。これにより、従来ではプラント状態を監視装置模擬手段8に取込む場合、監視装置の表示順序に変換を行う変換テーブル7を作っていたが、この変換テーブル7を作ることなく、監視装置模擬手段8へ直接入力することが可能となる。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ネットワーク回線に関する故障模擬の実行をネットワーク回線単位で設定できるようにしたので、故障模擬の設定作業の手間が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例を示すプラント模擬装置の構成図である。
【図2】 本発明の第2実施例を示すプラント模擬装置の構成図である。
【図3】 本発明の第3実施例を示すプラント模擬装置の構成図である。
【図4】 図3に備える制御装置模擬手段の一例を示す説明図である。
【図5】 図3に備える制御状態データベースの一例を示す説明図である。
【図6】 本発明の第4実施例を示すプラント模擬装置の構成図である。
【図7】 従来例を示すプラント模擬装置の構成図である。
【図8】 図7に備えるインストラクタ用コンソールの故障模擬データベースの構成を示す説明図である。
【図9】 実プラントのネットワークを示す系統図である。
【符号の説明】
1,54…操作盤
2…対話表示装置
3…操作装置模擬手段
4…操作信号データベース
5…プラント模擬手段
6…プラント状態データベース
7…変換テーブル
8…監視装置模擬手段
10…インストラクタ用コンソール
11…故障模擬手段
12…故障模擬データベース
13…制御装置模擬手段
14…制御状態データベース
15…入力点情報データベース
50a〜50n…ネットワーク
51a〜51n…制御装置
52…計算機

Claims (3)

  1. 監視対象のプラントと、複数のネットワーク回線を介して前記プラントへ複数の操作信号を出力するための操作装置と、前記プラントからプラント状態信号を受信する監視装置とを備えたシステムの故障模擬訓練をするプラント模擬装置において、
    前記操作装置を模擬して前記複数の操作信号を出力する操作装置模擬手段と、
    前記操作装置模擬手段から出力される前記複数の操作信号に基づいて前記プラントの模擬演算を実行し、この模擬演算により得られたプラント状態信号を出力するプラント模擬手段と、
    前記監視装置を模擬して前記プラント模擬手段から出力される前記プラント状態信号を監視データとして受信する監視装置模擬手段と、
    訓練員の操作に応じて前記操作装置模擬手段から出力される操作信号を示す操作結果情報と前記操作信号を伝送するネットワーク回線を織別するネットワーク識別情報とを対応付けて保存する操作信号データベースと、
    故障模擬を実行するネットワーク回線を設定するネットワーク故障情報を保存する故障模擬データベースと、
    前記故障模擬データベースの前記ネットワーク故障情報を設定する故障情報設定手段とを具備し、
    前記プラント模擬手段は、前記操作信号データベースの前記操作結果情報にて示される操作信号のうち前記故障模擬データベースの前記ネットワーク故障情報において故障模擬の実行が設定されていない操作信号に基づいて前記模擬演算を行う
    ことを特徴とするプラント模擬装置。
  2. 監視対象のプラントと、前記プラントへ操作信号を出力するための操作装置と、複数のネットワーク回線を介して前記プラントから複数のプラント状態信号を受信する監視装置とを備えたシステムの故障模擬訓練をするプラント模擬装置において、
    前記操作装置を模擬して前記操作信号を出力する操作装置模擬手段と、
    前記操作装置模擬手段から出力される前記操作信号に基づいて前記プラントの模擬演算を実行し、この模擬演算により得られる前記複数のプラント状態信号を出力するプラント模擬手段と、
    前記監視装置を模擬して前記プラント模擬手段から出力される前記複数のプラント状態信号を監視データとして受信する監視装置模擬手段と、
    前記プラント模擬手段から出力されるプラント状態信号を示す計算結果情報と前記計算結果情報を伝送するネットワーク回線を識別するネットワーク識別情報とを対応付けて保存するプラント状態信号データベースと、
    故障模擬を実行するネットワーク回線を設定するネットワーク故障情報を保存する故障模擬データベースと、
    前記故障模擬データベースの前記ネットワーク故障情報を設定する故障情報設定手段とを具備し、
    前記監視装置模擬手段は、前記プラント状態信号データベースの前記計算結果情報のうち前記故障模擬データベースの前記ネットワーク故障情報において故障模擬の実行が設定されていない計算結果情報を監視データとして受信する
    ことを特徴とするプラント模擬装置。
  3. 前記監視装置模擬手段は、前記プラント状態信号を知らせる前記監視装置の入力点を示す監視装置識別情報と前記監視装置識別情報に対応するネットワーク回線を識別するネットワーク識別情報とを対応付けて保存する入力点情報データベースを具備し、
    前記プラント状態信号データベースから受信する前記プラント状態信号の表示順序を前記入力点情報データベースの前記監視装置識別情報と前記ネットワーク識別情報とに基づいて定め、前記複数のプラント状態信号を前記定めた表示順序にて表示すべく出力する
    ことを特徴とする請求項2記載のプラント模擬装置。
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