JP3750810B2 - 半導体圧力センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、センサ感度が増大出来て、レンジアビリティが拡大され、出力リップルが減少出来る半導体圧力センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5は、従来より一般に使用されている従来例の構成説明図である。
図において、3はシリコン基板1に設けられ受圧ダイヤフラム2を形成する凹部受圧ダイヤフラムである。
【0003】
4は、凹部3が形成された面と反対の面の、受圧ダイヤフラム2の中央部側に半導体プロセスにより設けられた第1の振動子である。
5は、凹部3が形成された面と反対の面の、受圧ダイヤフラム2の周縁部側に半導体プロセスにより設けられた第2の振動子である。
【0004】
以上の構成において、図5に示す如く、矢印A方向より圧力が印加されると受圧ダイヤフラム2の中央部側に配置されている第1の振動子には圧縮歪が加わり張力が減少し、共振周波数が減少する。
【0005】
これに対し、受圧ダイヤフラム2の周縁部側に配置されている第2の振動子は、矢印A方向より圧力が印加されると引張り歪が加わり張力が増加し、共振周波数が増加する。
このように、第1,第2の振動子4,5では、圧力印加に対して、周波数が逆相に変化する。
【0006】
したがって、圧力印加前に第1,第2の振動子4,5がそれぞれf4,f5の周波数で振動していて、圧力印加後にそれぞれΔf4,Δf5だけ変化したとすれば、センサ感度は|Δf4/f4|+|Δf5/f5|で表され、振動子が1本の場合よりも2本の方が感度が高くなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような装置においては、以下の間題点がある。
矢印A方向より圧力が印加される場合、第1の振動子4は、ある圧力で座屈して振動が止まるが、第2の振動子5には常に引張り歪が加わり、座屈することがない。
【0008】
振動子は張力が小さいほどゲージファクタが大きく、同じ歪量で比較すると、張力が小さいほどセンサ感度が大きくとれる。
したがって、第1の振動子4には座屈しないために、ある一定以上の初期張力が必要となるが、圧力が印加されても座屈することが無い第2の振動子5の初期張力は、小さいほど高感度のセンサとなる。
【0009】
現在はセンサチップ製作プロセス上、第2の振動子5にも第1の振動子4と同じ初期張力が付加されているため、その第2の振動子5の感度を落としていることになり、センサ感度を損している。
【0010】
本発明の目的は、上記の課題を解決するもので、センサ感度が増大出来て、レンジアビリティが拡大され、出力リップルが減少出来る半導体圧力センサを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明では、請求項1記載の圧力測定装置においては、
シリコン基板に設けられ受圧ダイヤフラムを形成する凹部と、前記凹部が形成された面と反対の面の前記受圧ダイヤフラムの中央部側に半導体プロセスにより設けられ測定レンジ範囲内で座屈を生じないような初期張力が付与された少なくとも一個の第1の振動子と、前記凹部が形成された面と反対の面の前記受圧ダイヤフラムの周縁部側に半導体プロセスにより設けられ前記第1の振動子より初期張力が小にされた少なくとも一個の第2の振動子とを具備し前記受圧ダイヤフラムの前記凹部が形成された面と反対の面に測定圧が加えられたことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項2においては、
シリコン基板に設けられ受圧ダイヤフラムを形成する凹部と、前記凹部が形成された面と反対の面の前記受圧ダイヤフラムの周縁部側に半導体プロセスにより設けられ測定レンジ範囲内で座屈を生じないような初期張力が付与された少なくとも一個の第2の振動子と、前記凹部が形成された面と反対の面の前記受圧ダイヤフラムの中央部側に半導体プロセスにより設けられ前記第2の振動子より張力が小にされた少なくとも一個の第1の振動子とを具備し前記受圧ダイヤフラムの前記凹部が形成された面に測定圧が加えられたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項3においては、請求項1又は請求項2記載の半導体圧力センサにおいて、
前記第1、第2の振動子がボロンの不純物拡散により張力が付加され、かつそれぞれ異なる不純物濃度を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項4においては、請求項1又は請求項2記載の半導体圧力センサにおいて、
前記第1、第2の振動子がリンの不純物拡散により張力が付加され、かつそれぞれ異なる不純物濃度を有することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下図面を用いて本発明を詳しく説明する。
図1は本発明の一実施例の要部構成説明図、図2は図1の平面図、図3は図1の製作工程説明図である。
図において、図5と同一記号の構成は同一機能を表す。
以下、図5と相違部分のみ説明する。
【0016】
図において、11は、凹部3が形成された面と反対の面の受圧ダイヤフラムの中央部側に半導体プロセスにより設けられた少なくとも一個の第1の振動子である。
【0017】
12は、凹部3が形成された面と反対の面の2受圧ダイヤフラム2の周縁部側に半導体プロセスにより設けられ、第1の振動子11より張力が小にされた少なくとも一個の第2の振動子である。
【0018】
以上の構成において、第1,第2の2本の振動子11,12には、それぞれ異なった張力が付加されたものである。
第1,第2の振動子11,12を形成するには、シリコン基板1を2つの領域に分けて不純物の拡散を行う。
【0019】
最終的には、一方の領域A1に第1の振動子11が、他方の領域A2には第2の振動子12がそれぞれ形成される。
【0020】
図3は、具体的な製造方法の一実施例である。
(1)図3の工程1に示す如く、シリコン基板1の第1の振動子11の形成部分(領域A1)をマスクB1し、ボロン(B)やリン(P)等の不純物拡散を第2の振動子12の形成部分(領域A2)に行う。
図3の工程2に示す如く、これにより領域A2には引張り張力が発生する。
【0021】
(2) 次に,図3の工程3に示す如く、領域A2をマスクB2し、領域A1に同様に不純物拡散を行う。
図3の工程3に示す如く、これにより領域A1にも引張り張力が発生する。
【0022】
不純物拡散は1000℃程度の高温で行うため、先に不純物を拡散した領域A2は高温でアニールされることにより歪が緩和し、張力が減少する。
この時点で、図3の工程4に示す如く、領域A1の張力>領域A2の張力となる。
【0023】
(3)図3の工程5に示す如く、 領域A1に第1の振動子11、領域A2に第2の振動子12を形成する。
なお、張力の制御は、不純物の量、不純物拡散の温度、時間を調整して行う。
【0024】
この結果、
(1)第1,第2の振動子11,12の張力を所定の異なった張力に制御することにより、単位歪量あたりの周波数変化率を大きくすることが出来、センサ感度の大きい半導体圧力センサが得られる。
【0025】
(2)センサ感度が増大できるので、レンジアビリティを拡大出来る半導体圧力センサが得られる。
(3)センサ感度が増大できるので、出力リップルが減少出来る半導体圧力センサが得られる。
【0026】
(4)ボロン(リン)の不純物拡散により張力の異なるP型(n型)の振動子11,12を容易に製作することができ、単位歪量あたりの周波数変化率の大きい振動子を容易に製作することができる半導体圧力センサが得られる。
【0027】
図4は、本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
本実施例においては、シリコン基板1に、矢印B方向から圧力が印加される場合である。
この場合には、図1実施例と比較して、第1,第2の振動子の張力の張力の大きさを逆にすればよい。
【0028】
図において、21は、凹部3が形成された面と反対の面の受圧ダイヤフラム2の中央部側に半導体プロセスにより設けられた少なくとも一個の第1の振動子である。
【0029】
22は、凹部3が形成された面と反対の面の受圧ダイヤフラム2の周縁部側に半導体プロセスにより設けられ、第1の振動子21より張力が大にされた少なくとも一個の第2の振動子である。
【0030】
矢印B方向から圧力が印加される場合、第1の振動子21には常に引張り歪が発生し、第2の振動子,22には常に圧縮歪が発生する。
この場合、第2の振動子22は、ある一定以上の圧力で座屈するが、第1の振動子21は座屈しない。
【0031】
したがって、図1実施例とは逆に、第2の振動子22の張力を大きくしておき、第1の振動子21の張力を座屈しない範囲で、できるだけ小さくしておけば、第1の振動子21の感度を大きくすることができる。
【0032】
以上の構成において、図3の製作工程説明図で、領域A1と領域A2の不純物拡散の順番を逆にすることにより、第1の振動子21の張力<第2の振動子22の張力が実現できる。
【0033】
この結果、
(1)第1,第2の振動子21,22の張力を所定の異なった張力に制御することにより、単位歪量あたりの周波数変化率を大きくすることが出来、センサ感度の大きい半導体圧力センサが得られる。
【0034】
(2)センサ感度が増大できるので、レンジアビリティを拡大出来る半導体圧力センサが得られる。
(3)センサ感度が増大できるので、出力リップルが減少出来る半導体圧力センサが得られる。
【0035】
(4)ボロン(リン)の不純物拡散により張力の異なるP型(n型)の振動子21,22を容易に製作することができ、単位歪量あたりの周波数変化率の大きい振動子を容易に製作することができる半導体圧力センサが得られる。
【0036】
なお、以上の説明は、本発明の説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。したがって本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形をも含むものである。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1又請求項2によれば、次のような効果がある。
(1)第1,第2の振動子の張力を所定の異なった張力に制御することにより、単位歪量あたりの周波数変化率を大きくすることが出来、センサ感度の大きい半導体圧力センサが得られる。
【0038】
(2)センサ感度が増大できるので、レンジアビリティを拡大出来る半導体圧力センサが得られる。
(3)センサ感度が増大できるので、出力リップルが減少出来る半導体圧力センサが得られる。
【0039】
本発明の請求項3又請求項4によれば、次のような効果がある。
ボロン(リン)の不純物拡散により張力の異なるP型(n型)の振動子を容易に製作することができ、単位歪量あたりの周波数変化率の大きい振動子を容易に製作することができる半導体圧力センサが得られる。
【0040】
従って、本発明によれば、センサ感度が増大出来て、レンジアビリティが拡大され、出力リップルが減少出来る半導体圧力センサを実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の要部構成説明図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の製作工程説明図である。
【図4】本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
【図5】従来より一般に使用されている従来例の要部構成説明図である。
【図6】図5の平面図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板
2 受圧ダイヤフラム
3 凹部
4 第1の振動子
5 第2の振動子
11 第1の振動子
12 第2の振動子
21 第1の振動子
22 第2の振動子
A1 領域
A2 領域
B1 マスク
B2 マスク
Claims (4)
- シリコン基板に設けられ受圧ダイヤフラムを形成する凹部と、
前記凹部が形成された面と反対の面の前記受圧ダイヤフラムの中央部側に半導体プロセスにより設けられ測定レンジ範囲内で座屈を生じないような初期張力が付与された少なくとも一個の第1の振動子と、
前記凹部が形成された面と反対の面の前記受圧ダイヤフラムの周縁部側に半導体プロセスにより設けられ前記第1の振動子より初期張力が小にされた少なくとも一個の第2の振動子と
を具備し前記受圧ダイヤフラムの前記凹部が形成された面と反対の面に測定圧が加えられたことを特徴とする半導体圧力センサ。 - シリコン基板に設けられ受圧ダイヤフラムを形成する凹部と、
前記凹部が形成された面と反対の面の前記受圧ダイヤフラムの周縁部側に半導体プロセスにより設けられ測定レンジ範囲内で座屈を生じないような初期張力が付与された少なくとも一個の第2の振動子と、
前記凹部が形成された面と反対の面の前記受圧ダイヤフラムの中央部側に半導体プロセスにより設けられ前記第2の振動子より張力が小にされた少なくとも一個の第1の振動子と
を具備し前記受圧ダイヤフラムの前記凹部が形成された面に測定圧が加えられたことを特徴とする半導体圧力センサ。 - 前記第1、第2の振動子がボロンの不純物拡散により張力が付加され、かつそれぞれ異なる不純物濃度を有すること
を特徴とする請求項1又は請求項2記載の半導体圧力センサ。 - 前記第1、第2の振動子がリンの不純物拡散により張力が付加され、かつそれぞれ異なる不純物濃度を有すること
を特徴とする請求項1又は請求項2記載の半導体圧力センサ。
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