JP3750044B2 - 耐熱性フィルムの製造方法および耐熱性フィルム - Google Patents

耐熱性フィルムの製造方法および耐熱性フィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性フィルムの表面改質方法および表面改質された耐熱性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
耐熱性フィルムは、電子部品などのフレキシブルプリント配線板(FPC)に用いる基材として; TAB(Tape Automated Bonding)の基材絶縁フィルムとして; あるいは半導体装置における支持部材などの種々の材料と半導体素子等との接合材の絶縁基材であるLOC用テープなどとして、用いられている。このような用途では、基材となるフィルムの接着性が大きいことが望まれる。特に近年の高密度配線や微細加工といった細密化に伴い、その要求レベルは益々厳しくなってきている。
【0003】
耐熱性フィルムはまた、磁気記録媒体のベース材料としても用いられる。このような場合においても、フィルムの耐熱性と共に、高い接着性が求められる。
【0004】
これまでに、耐熱性フィルムの接着性を向上させる表面改質方法として、コロナ放電処理、アルカリ処理、サンドブラスト処理等の種々の技術が提案され実施されている。
【0005】
提案されている方法のうち、プラズマ放電処理方法は、例えばポリイミドフィルムに対してコロナ放電処理と比較して良好な改質効果を発現させ得る。プラズマ放電処理とはいわゆるグロー放電処理であり、コロナ放電処理と比較して強い電力パワーを与えることが可能であるからである。より具体的には、コロナ放電処理に際しては、通常20〜500W・min/m2 程度の電力密度で処理されるのが通常であるのに対し、グロー放電処理では数千W・min/m2 の電力密度での放電が可能であることにより、耐熱性フィルム表面の改質効果が大きく向上するためと推定される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、プラズマ放電処理では、長尺のフィルムを連続的に処理するに際しては、コロナ放電処理と比較して均一処理が難しい、あるいは欠陥を生じさせやすいという問題点があった。プラズマ放電処理を行う場合は、高電力密度で連続処理されるため、均質かつ安定的に表面処理するためには処理されるフィルムが安定的に走行することが必須となる。即ちロールツーロールでフィルムが搬送される際に、プラズマチャンバー内はもちろんのこと、チャンバー前後での安定した搬送性を確保する必要がある。
【0007】
ところが高電力密度でプラズマ放電処理され、高度に表面改質されたフィルムは、安定的な搬送性を確保できなかった。高電力密度であるが故に、処理されたフィルムが高度に帯電し、あるいは高度に表面処理され、ロールとの密着性が向上して、ロールとの抵抗が大きくなり、ロールへの巻き付きが発生するためと推定される。
【0008】
さらに処理後のフィルムをロール状に巻き取るとフィルム同士が強く密着して繰り出しが安定的にできなかったり、あるいは繰り出そうとしてフィルムが破けて繰り出しができなかったりする問題が発生していた。また、フィルム同士が密着してしまう結果、フィルムの部分的あるいは全面で表面改質効果が失われるあるいは低下するという問題も生じていた。
【0009】
そこで、本発明者はかかる問題を解決し、安価かつ簡便に、しかも安定的にプラズマ放電処理する方法を鋭意検討した結果、本発明に至ったのである。
【0010】
即ち、安定的に均一処理ができない、あるいは欠陥を生じさせる原因について鋭意検討した結果、プラズマ放電処理では大きな放電電力密度で処理されるため、長尺のフィルムを連続的に処理するに際しては、安定的にフィルムを走行させることや異物等の付着が無い状態が必須要件であるとの結論に至ったのである。そして、フィルム表面に微細な突起を形成させることにより、フィルムが安定的に走行することが可能となり、その結果、連続的にかつ安定的な製造が可能となり、かつ均質な改質効果が得られ、また欠陥、破壊(穴が空く等)が抑制されることを見出した。さらに処理後に巻き取られたフィルムは次工程に使用する際安定的に繰り出すことが可能となる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨とするところは、厚み20μm未満の耐熱性フィルムであって、無機微細粒子によって表面に微細な突起を形成させた後、プラズマ放電処理を施してなることを特徴とする耐熱性フィルムの製造方法にある。また、耐熱性フィルム前駆体を化学的にキュアして得られる耐熱性フィルムであって、無機微細粒子によって表面に微細な突起を形成させた後、プラズマ放電処理を施してなることを特徴とする耐熱性フィルムの製造方法にある
【0012】
かかる耐熱性フィルムの製造方法において、上記無機微細粒子が、SiO2、TiO2、CaHPO4、およびCa227からなる群より選択される少なくとも1種であることにある。
【0013】
本発明の要旨とするところは、厚み20μm未満の耐熱性フィルムであって、無機微細粒子によって表面に微細な突起を形成させた後、プラズマ放電処理を施してなる、耐熱性フィルムにある。また、本発明の要旨とするところは、耐熱性フィルム前駆体を化学的にキュアして得られる耐熱性フィルムであって、無機微細粒子によって表面に微細な突起を形成させた後、プラズマ放電処理を施してなる、耐熱性フィルムにある
【0014】
かかる耐熱性フィルムの要旨とするところは、すべり摩擦係数が0.1以上1以下、静摩擦係数が0.2以上2以下、および表面粗さ(Ra値)が1nm以上200nm以下、好ましくは、1nm以上100nm以下、より好ましくは1nm以上50nm以下であることにある。また、かかる耐熱性フィルムの要旨とするところは、前記無機微細粒子が、SiO 2 、TiO 2 、CaHPO 4 、およびCa 2 2 7 からなる群より選択される少なくとも1種であることにある
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の用語「耐熱性フィルム」とは、ガラス転移温度が100℃以上、または融点が300℃以上、またはJISC4003で規定される長期連続使用温度の最高許容温度が121℃以上の樹脂からなるフィルムのことをいう。
【0016】
このような耐熱性フィルムは、例えば芳香族ポリイミド、ポリアミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等の芳香族系ポリマーやポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等である。
【0017】
このうち特に好ましくは、ポリイミド樹脂フィルムである。ここでいうポリイミド樹脂とは特に限定されず、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドあるいはポリエステルイミド等を挙げることができ、非熱可塑性、熱可塑性、熱硬化性のいずれをも含む。ポリイミド樹脂の分子構造は限定されないが、例えば下記一般式(1)
【0018】
【化1】
Figure 0003750044
【0019】
で表される繰り返し単位を有する樹脂が含まれる。
好ましくは、式中、R1 は4価の有機基であり、より好ましくは、少なくとも1個の芳香環を有してなり、かつ結合すべき隣接するカルボニル基とは芳香環が直接結合している。具体的には、R1 は、例えば以下の化学式
【0020】
【化2】
Figure 0003750044
【0021】
(式中、Xは、化3
【0022】
【化3】
Figure 0003750044
【0023】
からなる群から選択される1つの2価の官能基であり、R4 はCH3 −、Cl−、Br−、F−、CH3 O−であり、1つの官能基中に複数含まれている場合には、R4 は同一であってもよくまた異なっていてもよい)で表される官能基の群から選択される少なくとも1種で有り得る。
【0024】
化学式(1)の式中、R2 は、2価の有基機であり、好ましくは少なくとも1個の芳香環を有してなり、かつ結合すべき隣接する窒素原子とは芳香環が直接結合している。具体的には、R2 は、
【0025】
【化4】
Figure 0003750044
【0026】
(式中、R4 は、CH3 −、Cl−、Br−、F−、CH3 O−であり、R4 が同じ官能基に2つ以上含まれる場合には、同一であっても異なっていてもよい)で表される官能基の群から選択される少なくとも1種または2種以上であり得る。
【0027】
好ましいポリイミド樹脂は、ピロメリット酸二無水物と4,4' −ジアミノジフェニルエーテルとから誘導される骨格を主体とするポリイミド、またはピロメリット酸二無水物と4,4' −ジアミノジフェニルエーテルおよびパラフェニレンジアミンとから誘導される骨格を主体とするポリイミド、またはピロメリット酸二無水物及び3,3' ,4,4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物または3,3' ,4,4' −ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物と4,4' −ジアミノジフェニルエーテルおよびパラフェニレンジアミンとから誘導される骨格を主体とするポリイミド、ピロメリット酸二無水物及びp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)と4,4' −ジアミノジフェニルエーテルおよびパラフェニレンジアミンとから誘導される骨格を主体とするポリイミド、3,3' ,4,4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミン及び/または4,4' −ジアミノジフェニルエーテルとから誘導される骨格を主体とするポリイミドである。
【0028】
ここでフィルムとは、厚み数μm〜数mmの平板な形状の樹脂を指す。通常のフィルムの厚みは3〜300μmであり、好ましくは5〜125μm、より好ましくは5〜75μm、さらに好ましくは5〜50μmである。薄いフィルムほどフィルム搬送性等の問題点が顕著となるため、本発明の効果が十分に得られる。従って、本発明においては、フィルムの厚みが5μm〜15μmの範囲にある場合にその効果が顕著となる。
【0029】
本発明の無機微細粒子は特に限定されず、通常フィラーとして用いられる粒子である。例えば、耐熱性フィルムとして好適なポリイミドに対して加工工程中及び加工後、さらに使用される用途に要求される諸特性に何ら影響または変化を与えない化学種、粒度、量をもって選択される。例えばSiO2 、TiO2 等の他、IIa族のアルカリ土類金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ra)のオルトリン酸塩化合物、中でもCaHPO4 、Ca2 2 7 等の電気的に絶縁物である化学種を好適に挙げることができ、これらのうち、1種または2種以上の混合物として用いることができる。導電性の化学種であっても、フィルムそのものの絶縁性に影響を及ぼさない量であれば添加しても差し支えない。
【0030】
上記した無機微細粒子により、耐熱性フィルムの表面に微細な突起を形成させる方法としては特に制約はなく、従来公知の技術あるいはその応用範囲を利用できる。例えば、フィルム中に無機微細粒子を添加する方法、あるいはフィルム表面に無機微細粒子を担持させ、局在化させる方法がある。
【0031】
フィルム中に無機粒微細粒子を添加する方法としては、例えばフィルムの成形工程前のドープや溶融した樹脂等に添加する方法が挙げられる。
【0032】
ポリイミドを例にしてさらに詳しく説明する。まず、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンと概ね等モル用い、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系有機極性溶媒中で反応させてポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の溶液を得る。さらに得られたポリアミド酸溶液をエンドレスベルトあるいはドラム等の支持体上にフィルム状にキャストして自己支持性のあるフィルムを得、これを支持体から引き剥がした後に端部を保持して、テンター炉等を用いて段階的に加熱処理して最終的に450℃〜550℃程度にまで焼成処理しポリイミドフィルムを得る。必要に応じてポリアミド酸の溶液に化学的イミド化剤である無水酢酸等の脱水剤とイソキノリン、キノリン、β−ピコリン等のピコリン類等の3級アミン類を併用して混合した後、支持体上にフィルム上にキャストして成形してもよい。この化学的イミド化方法で得られるポリイミドフィルムの方が、特性上も生産性からも好ましい。
【0033】
無機微細粒子は、上記したポリイミドの製造工程において、ポリアミド酸溶液を支持体上にフィルム状にキャストする前の任意の工程でポリアミド酸溶液に添加し得る。具体的には、ポリアミド酸合成前の有機極性溶媒中に添加分散させたのち、酸無水物類とジアミン類を反応させる方法、反応途中に添加する方法、最終的に得られたポリアミド酸溶液に添加混合する方法などいずれの方法でもよい。このうち、特に好ましくは、ポリアミド酸合成前の有機極性溶媒中に添加分散させたのちに酸無水物類とジアミン類を反応させる方法か該反応途中に添加する方法を採用し、無機微細粒子を凝集させずに均一に分散させる。
【0034】
ここで用いられる無機微細粒子の粒子径は0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmを主体とし得る。10μmを越える大きな粒子を添加するとフィルム表面に突起を形成することに有効ではあるが、実質的にフィルムに物理的損傷を与える場合があり、フィルムの機械的強度の低下を招くなどの不都合が生じる。一方、0.5μmよりも小さい粒径では機械的強度の低下などフィルム本来が有する特性に与える影響は小さいが、本発明の効果を発現させるのに有効な大きさの突起を形成させるのが困難となる。
【0035】
無機微細粒子の添加量は、フィルムの重量に対して、0.01〜0.5重量%程度が好ましい。
【0036】
フィルム表面に無機微細粒子を担持させる方法を説明する。例えば、上記のポリイミドフィルム製造において、前駆体のポリアミド酸の有機溶媒溶液を支持体上にキャストした後、自己支持性のあるフィルムを得、これを支持体から引き剥がした後に、その表面に無機微細粒子の分散液を塗布し、必要に応じて乾燥した後、引き続きテンター炉等を用いて加熱処理してポリイミドフィルムを得る方法が挙げられるが、これに限定されない。この方法において、無機微細粒子を分散させる液としては、沸点が50〜230℃程度の低沸点有機溶媒が好ましく用いられる。このような低沸点有機溶媒は、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン等である。この方法で用いられる無機微細粒子は前記した化学種を使用できるが、粒度は0.01〜10μm、好ましくは0.01〜1μm、特には0.02〜0.5μmのものが好ましい。この方法の場合には、無機微細粒子が表面に局在しているため、この粒径範囲で十分な突起が形成される。
【0037】
本発明におけるプラズマ放電処理は、いわゆる真空プラズマ処理あるいは減圧プラズマ処理、および常圧プラズマ処理あるいは大気圧プラズマ処理などであり得る。特に常圧プラズマ処理は比較的設備費等が安価であり好ましく用いられる。プラズマ処理において、一般に1000W・min/m2 以上の電力密度で長尺品が連続的に処理される。
【0038】
プラズマ放電処理に用い得る電極は、金属、ガラス、石英、セラミック等を、表面をグロー放電によって励起されたプラズマのエネルギーによって分解されない誘電体で被覆して作成する。電極に印加する高電圧の周波数は、1〜500KHz、好ましくは1〜20KHzであり、2000〜8000V、好ましくは3000〜5000Vの電圧印加によりグロー放電が起こる。
【0039】
常圧下においては、特定の気体組成物中でグロー放電処理される。気体組成物としては希ガス、例えばアルゴン、ヘリウムあるいはこれらの混合ガスを主成分とし、必要に応じて副成分として反応性ガスを混合できる。反応性ガスとしては二酸化炭素、窒素、酸素、アンモニア、シランなどが挙げられ、さらにはアセトンやメタンなどの有機低沸点化合物や有機性ガスの使用も可能である。
【0040】
希ガスと反応性ガスとの比率は、希ガスが80容量%以上、好ましくは90〜95容量%の範囲である。希ガスの割合が少ないと安定な放電ができなくなる一方、反応性ガスが少ないと十分な表面改質効果が得られない。
【0041】
本発明の表面に微細突起を形成させたフィルムは、表面に微細突起のないフィルムと比較して、プラズマ放電処理や表面改質の程度が同じ場合でも、ロールとの密着性及び巻き取られた後のフィルム同士の密着が改善される。
【0042】
具体的には、本発明の表面改質された耐熱性フィルムのすべり摩擦係数は、ASTM−1894に則り、フィルム同士の面で測定した場合に0.1以上1以下、好ましくは0.1以上0.7以下、最も好ましくは0.1以上0.5以下である。すなわち、すべり摩擦係数は小さい方がよいが、0.1より小さい値では、フィルム搬送時にロールとの抵抗が小さ過ぎて、蛇行等の不安定走行が生じる。
【0043】
本発明の表面改質された耐熱性フィルムの静摩擦係数は、ASTM−1894に則り、フィルム同士の面で測定した場合に0.2以上2以下、好ましくは0.2以上1.5以下、さらに好ましくは0.2以上1以下、最も好ましくは0.2以上0.7以下である。すなわち、静摩擦係数が0.2より小さいと、フィルムを巻き取った後、例えば輸送中にいわゆる巻ずれが生じたりする。
【0044】
本発明の表面改質された耐熱性フィルムの表面粗さは、ZYGO社製の New View200 with ZOOM で測定長さが100μm、カットオフ値0.008mmで測定されるRa値が1nm以上、好ましくは3nm以上、さらに好ましくは5nm以上であることが好ましい。上限は、好ましくは、200nmであり、より好ましくは100nmであり、特に好ましくは50nmである。すなわち、200nmより大きいと、FPCや磁気記録媒体などのベース材料として使用する際に、接着剤や磁性体等を塗工する場合に、接着剤や磁性体をはじいたりして、均一な被覆ができない、などの問題が生じる。
【0045】
本発明の表面改質効果の発現は、フィルム表面に微細な突起が形成されたことにより、フィルム搬送時のロール等との接触面積あるいは巻き取られた後のフィルム同士の接触面積が減ったことによると推測される。
【0046】
以下に本発明の好ましい態様を実施例で説明するが、これらの実施例は本発明を説明するためのものであり、限定するためのものではない。当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更、修正、及び改変を行い得る。
【0047】
【実施例】
(実施例1)
N,N−ジメチルホルムアミドに4,4' −ジアミノジフェニルエーテルを溶解させ、さらに粒径1〜5μmを主体とするCaHPO4 を添加して十分に攪拌し分散させる。次いでピロメリット酸二無水物を4,4' −ジアミノジフェニルエーテルに対して97mol%まで粉末のまま添加し、さらにピロメリット酸二無水物のN,N−ジメチルホルムアミドの7%溶液を、ピロメリット酸二無水物の総量が4,4' −ジアミノジフェニルエーテルに対しておよそ等モル(100mol%)になるよう添加し、3500ポイズのポリアミド酸溶液を得た。反応は窒素雰囲気中で行われ、ポリアミド酸溶液濃度は最終的に15wt%となるよう設定した。
【0048】
得られたポリアミド酸溶液に、アミド酸残基に対して、無水酢酸を2倍モル量及びイソキノリンを0.2倍モル量混合した後、エンドレスベルト上にキャストし、100℃で5分乾燥して得られる自己支持性のフィルムを引き剥し、次いで端部を固定した後テンター炉にて段階的に昇温して最終的に500℃で1分焼成し、厚み12.5μmのポリイミドフィルム長尺品を得た。
【0049】
次にこのフィルムを常圧プラズマ処理した。この時のガス組成はAr/He/O2=80/20/3(VOL/VOL)で圧力は760Torrとした。内部に冷媒として水を通した鉄製の棒状電極を、厚さ1mmのガラスで被覆した高電圧印加電極を25対配置し、周波数5KHz、出力5KWの条件で形成されたグロー放電を、走行速度5m/min(処理電力密度1000W・min/m)のフィルムに施して処理し、巻き取った。
【0050】
(実施例2)
実施例1と同様にして厚み7.5μmのポリイミドフィルム長尺品を得た。このフィルムに実施例1と同条件で常圧プラズマ処理を施して巻き取った。
【0051】
(実施例3)
ジアミン成分として4,4' −ジアミノジフェニルエーテルとパラフェニレンジアミンを全ジアミン成分に対しそれぞれ70モル%および30モル%用い、酸成分として3,3' ,4,4' −ビフェニルテトラカルボン酸2無水物とピロメリット酸二無水物を全酸二無水物成分に対し40モル%および60モル%用いる他は実施例1と同様にして厚み12.5μmのポリイミドフィルム長尺品を得た。但し、ピロメリット酸二無水物は、57モル%と3モル%に分割し、3モル%相当は、実施例1と同様にDMF溶液として添加した。このフィルムに実施例1と同条件で常圧プラズマ処理を施して巻き取った。
【0052】
(実施例4)
N,N−ジメチルホルムアミドに4,4' −ジアミノジフェニルエーテルを酸無水物成分あるいは全ジアミン成分に対して70mol%の量を溶解させた。次いでピロメリット酸二無水物を粉末のまま全量添加して溶解させる。次いで粒径1〜5μmを主体とするCaHPO4 をN,N−ジメチルホルムアミドに十分に分散させた懸濁液(10wt%)を添加して十分に攪拌混合する。このプレポリマー溶液に、パラフェニレンジアミンのN,N−ジメチルホルムアミドの溶液(濃度10wt%)を、全ジアミン成分に対して約30mol%の量添加し、3500ポイズのポリアミド酸溶液を得た。反応は窒素雰囲気中で行われ、ポリアミド酸溶液濃度は最終的に15wt%となるよう設定した。
【0053】
得られたポリアミド酸溶液に、アミド酸残基に対して無水酢酸を、2倍モル量及びイソキノリンを同0.2倍モル量混合した後、エンドレスベルト上にキャストし、100℃で5分乾燥して得られる自己支持性のフィルムを引き剥し、次いで端部を固定した後テンター炉にて段階的に昇温して最終的に500℃で1分焼成し、厚み10μmのポリイミドフィルム長尺品を得た。
【0054】
次にこのフィルムを常圧プラズマ処理した。この時のガス組成はAr/He/N2=60/40/5(VOL/VOL)で圧力は760Torrとした。内部に冷媒として水を通した鉄製の棒状電極を、厚さ1mmのガラスで被覆した高電圧印加電極を25対配置し、周波数5KHz、出力4.5KWの条件で形成されたグロー放電を、走行速度2.5m/min(処理電力密度1800W・min/m)のフィルムに施して処理し、巻き取った。
【0055】
(比較例1)
ポリアミド酸の溶液を合成する工程でCaHPO4 を添加しないほかは、実施例1と同様の方法で厚み12.5μmのポリイミドフィルム長尺品を得た。得られたフィルムを実施例1と同様の条件で常圧プラズマ処理を施そうと試みたが、安定的に走行せず巻き取ることができなかった。
【0056】
(比較例2)
ポリアミド酸の溶液を合成する工程でCaHPO4 を添加しないほかは、実施例4と同様の方法で厚み10μmのポリイミドフィルム長尺品を得た。
【0057】
得られたフィルムを実施例4と同様の条件で常圧プラズマ処理を施した。辛うじて安定走行を確保して巻き取ることができたが、繰り出そうとしたところ、フィルム同士の密着が強く、安定的に繰り出すことができなかった。
【0058】
実施例1〜4および比較例1〜2で得られた耐熱性フィルムの特性を表1に示す。なお、フィルム帯電量の測定は、春日電機(株)製KS−471を用い、フィルムロール中央部から10cmの位置に測定器をセットして5m/分の速度でフィルムを繰り出して行なった。但し、表示される+/−については無視して絶対値として評価した。
【0059】
【表1】
Figure 0003750044
【0060】
表中、「測定不能」とあるのは、すべり摩擦係数が大きいことが原因と見られるスティックスリップ現象の為に、測定ができなかったことを示す。
【0061】
【発明の効果】
本発明の耐熱性フィルムの表面改質方法によれば、高電力密度での放電処理を行っても、安定的に製造できかつ均質な表面改質が可能となる。
【0062】
また、処理後のフィルムは次工程で使用される際にも安定的にロールツーロールでの繰り出し及び搬送が可能となる。

Claims (7)

  1. 耐熱性フィルムの表面に無機微細粒子によって微細な突起を形成させた後、プラズマ放電処理を施してなることを特徴とする(3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸またはその無水物もしくはエステルを含む芳香族テトラカルボン酸成分とp−フェニレンジアミンを含む芳香族ジアミン成分とから得られた芳香族ポリイミド中に微粒子状の無機フィラーが分散された厚みが20〜125μmのポリイミドフィルムに、少なくとも一方の側の表面における元素組成中の無機フィラーの金属元素の量が0.03〜0.5原子%増加し、かつその表面における酸素/炭素比が0.01〜0.20増加するようにプラズマ放電処理することによって表面を改質するポリイミドフィルムの製造方法を除く)耐熱性フィルムの製造方法。
  2. ポリアミド酸の溶液に脱水剤と三級アミンを混合し、支持体上にキャストして成形して得られるポリイミドフィルムであって、該ポリイミドフィルム中に無機微細粒子を含有させて、前記無機微細粒子によって表面に微細な突起を形成させたポリイミドフィルムに、プラズマ放電処理を施してなることを特徴とする耐熱性フィルムの製造方法。
  3. 前記無機微細粒子が、SiO2、TiO2、CaHPO4、およびCa227からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐熱性フィルムの製造方法。
  4. 耐熱性フィルム(3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸またはその無水物もしくはエステルを含む芳香族テトラカルボン酸成分とp−フェニレンジアミンを含む芳香族ジアミン成分とから得られた芳香族ポリイミド中に微粒子状の無機フィラーが分散された厚みが20〜125μmのポリイミドフィルムであって、少なくとも一方の側の表面における元素組成中の無機フィラーの金属元素の量が0.03〜0.5原子%増加し、かつその表面における酸素/炭素比が0.01〜0.20増加するようにプラズマ放電処理することによって表面が改質されたポリイミドフィルムを除く)の表面に無機微細粒子によって微細な突起を形成させた後、プラズマ放電処理を施してなる、耐熱性フィルム。
  5. ポリアミド酸の溶液に脱水剤と三級アミンを混合し、支持体上にキャストして成形して得られるポリイミドフィルムであって、該ポリイミドフィルム中に無機微細粒子を含有させて、前記無機微細粒子によって表面に微細な突起を形成させたポリイミドフィルムに、プラズマ放電処理を施してなる、耐熱性フィルム。
  6. すべり摩擦係数が0.1〜1、静摩擦係数が0.2〜2、および表面粗さ(Ra値)が1nm〜200nmであることを特徴とする請求項4又は5に記載の耐熱性フィルム。
  7. 前記無機微細粒子が、SiO2、TiO2、CaHPO4、およびCa227からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の耐熱性フィルム。
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