JP3748960B2 - 硝酸性窒素含有水の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硝酸性窒素含有水の処理方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、硝酸性窒素含有水を亜鉛と接触させて硝酸性窒素を亜硝酸性窒素又はアンモニア性窒素に還元し、さらに亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素を分解して窒素ガスに変換する方法において、硝酸性窒素含有水と亜鉛の接触工程を、酸化還元電位により管理する、亜鉛の消費量を最小限に抑えることができ、管理の容易な硝酸性窒素含有水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
発電所排水、半導体製造工場排水、顔料製造工場排水などには硝酸性窒素が含まれている場合が多い。従来より、硝酸性窒素含有水の処理方法としては、特開昭61−222587号公報に提案されているような、触媒の存在下に、200〜300℃の高温、高圧下で、アンモニアにより還元して窒素ガスとする方法が知られている。しかし、このような方法では、高温、高圧下で反応を行うため、これらの条件に耐える装置を必要とし、運転及び保安にも熟練を要する。このため、本発明者らは、排水に含まれる硝酸性窒素を効率的かつ容易に分解除去する方法を開発すべく研究を重ねてきた。
例えば、特開平5−269477号公報においては、硝酸塩を含む排水に水素供与体としてヒドラジン又はヒドキシルアミンを添加して触媒存在下に加熱する方法を提案し、また、特開平6−226268号公報においては、硝酸塩を含む排水に水素ガスを排水の水素ガス溶解度より多く添加して触媒存在下に加熱する方法を提案した。これらの方法によれば、排水中の硝酸性窒素を効率的に分解することが可能であるが、水素供与体としてのヒドラジン又はヒドキシルアミンや水素ガスを取り扱う必要があるため、より簡単な硝酸性窒素含有水の処理方法が望まれた。
そこで、本発明者らはさらに研究を重ね、特開平7−328651号公報において、硝酸性窒素含有水を、水中で水素を発生する金属と接触させて、硝酸性窒素を亜硝酸性窒素又はアンモニア性窒素に還元し、さらに酸化還元触媒の存在下に反応させて窒素ガスに変換する方法を開示した。この方法によれば、水中で水素を発生する金属を充填した充填層に通水することにより、硝酸性窒素含有水と金属を接触させることができるので、より簡単かつ効率的に硝酸性窒素含有水を処理することが可能となった。この処理方法に対して、さらに金属の消費量を必要最小限にとどめ、かつ容易に工程管理を可能とする改良が要望されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、硝酸性窒素を亜鉛により還元して亜硝酸性窒素又はアンモニア性窒素とし、さらに触媒存在下に分解して窒素ガスに変換する方法において、消費する亜鉛の量を必要最小限にとどめ、かつ容易な工程管理により確実に処理することができる硝酸性窒素含有水の処理方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、pH酸性領域において亜鉛と接触させた処理水の酸化還元電位(ORP)を所定の値に調整することにより、最小限の亜鉛の消費量で硝酸性窒素を確実に除去し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、硝酸性窒素を含む排水を、pH酸性領域において亜鉛と接触させて硝酸性窒素を亜硝酸性窒素又はアンモニア性窒素に還元する第一工程と、生成した亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素を、触媒存在下に分解して窒素ガスに変換する第二工程により処理する方法において、亜鉛との接触反応を、pH3〜6の酸性領域で、酸化還元電位を150〜250mVの所定値に調整して行うとともに、第一工程を経た処理水中の溶亜鉛を凝集沈殿処理又はイオン交換処理して除去した後、前記第二工程において亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素を処理することを特徴とする硝酸性窒素含有水の処理方法を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明方法は、硝酸性窒素を含有する水に適用することができ、硝酸性窒素を無害な窒素ガス(N2)に変換する。本発明方法は、窒素分として硝酸性窒素のみを含有する水に適用することができるほか、硝酸性窒素以外に亜硝酸性窒素又はアンモニア性窒素が共存する水にも適用することができ、すべての窒素分を無害な窒素ガスに変換する。
本発明方法においては、第一工程において、硝酸性窒素を含む排水を、pH酸性領域で亜鉛と接触させ、硝酸性窒素を亜硝酸性窒素又はアンモニア性窒素に変換する。排水を亜鉛と接触させるときのpHは、2〜7であることが好ましく、3〜6であることがより好ましい。pHが2未満であると、硝酸性窒素から生成した亜硝酸性窒素が酸化されて再び硝酸性窒素となるため、全体として硝酸性窒素の除去率が低下する。pHが7を超えると、硝酸性窒素の亜硝酸性窒素又はアンモニア性窒素への変換率が著しく低下する。
亜鉛は、酸性の水中で強い還元力を有する発生期の水素を発生し、下記の化学式のごとく、硝酸性窒素を亜硝酸性窒素、窒素ガス又はアンモニア性窒素まで還元する。
Zn+2H2O → 2H+Zn(OH)2
NO3 -+2H → NO2 -+H2
2NO3 -+10H → N2+4H2O+2OH-
NO3 -+8H → NH3+2H2O+OH-
本発明方法においては、pH調整した硝酸性窒素含有水を亜鉛と接触させ、処理水の酸化還元電位が所定値となるよう調整する。酸化還元電位の所定値は、所望する最終処理水の水質に応じて選択することができるが、酸化還元電位は還元反応を行うpH、温度、対象とする排水の水質などによっても変化するので、それらの要因を考慮して所定値を設定することが好ましい。多くの場合、酸化還元電位を150〜250mVとすることにより、最終処理水中の硝酸性窒素濃度を5mg/リットル以下とすることができる。
【0006】
本発明方法においては、酸化還元電位計を使用して還元反応の状況を監視するので、容易に反応状況を把握することができ、処理水中の硝酸性窒素濃度を分析機器を使用して把握する煩雑な操作を省略することができる。また、単に亜鉛の供給量から還元反応を監視する場合には、反応に関与しない亜鉛もあり、反応状況を正確に把握しがたいが、酸化還元電位による場合は、反応状況に応じた適確な管理をすることができる。
本発明方法において、硝酸性窒素含有水を亜鉛と接触させる方法には特に制限はなく、例えば、還元反応層において排水に亜鉛粉末を添加して撹拌することができ、あるいは、粒状の亜鉛を充填したカラムに排水を通水することができる。排水への亜鉛粉末の添加方法には特に制限はなく、例えば、亜鉛粉末を直接排水に投入することができ、あるいは、粒径40μm以下の亜鉛粉末を濃度5〜20重量%程度に懸濁させたスラリーとし、ポンプにより還元反応槽へ送液することができる。還元反応槽内の処理水の酸化還元電位を測定し、酸化還元電位が所定値上限に達したときポンプを始動して亜鉛粉末スラリーを注入し、酸化還元電位が所定値下限に達したとき、ポンプを停止して亜鉛粉末スラリーの注入を止めることにより、亜鉛の添加を自動化することができ、また、亜鉛の消費量を必要最小限の量とすることができる。反応時間は、硝酸性窒素の濃度に応じて10〜60分とすることが好ましい。
粒状の亜鉛を充填したカラムに排水を通水する場合には、カラムを2系列設け、一方のカラムに好ましくはSV=0.1〜10hr-1、より好ましくはSV=0.5〜3hr-1の流速で循環させ、酸化還元電位が所定値となった時点でカラムを切り替えることにより、全体として連続で還元処理を行うことができる。
本発明方法において、硝酸性窒素を95%以上除去するために必要な亜鉛の消費量は、通常は硝酸性窒素をアンモニア性窒素まで還元するときの理論当量ないし2当量倍であり、多くの場合理論当量ないし1.5当量倍である。
【0007】
本発明方法において、硝酸性窒素含有水に重金属が含まれる場合には、亜鉛との接触により硝酸性窒素を還元したのち、処理水のpHを6〜13、好ましくはpHを8〜11とし、凝集沈澱により重金属を除去することができる。あるいは、重金属が含まれる場合は、中性とアルカリ性の2段凝集を行うことができ、また、溶出した亜鉛を他の重金属との共沈現象により除去することができる。スケール成分であるカルシウムが含まれる場合には、pHを10〜12とし、カルシウム濃度の1.2〜2当量倍の炭酸ナトリウムなどを添加したのち、同様に凝集沈澱処理を行うことができる。硝酸性窒素含有水中に重金属が含まれない場合は、亜鉛のみが水中に溶出しているので、処理水を中性にして亜鉛を不溶性とし、凝集することができる。凝集沈殿処理においては、必要に応じて凝集剤を添加することができる。凝集沈澱後の処理水中になお微量の金属が残留する場合には、必要に応じてイオン交換樹脂塔を設置し、通水することにより金属を完全に除去することができる。なお、金属の含有量が少ない場合には、金属の除去をイオン交換樹脂塔のみによって行うことができる。
【0008】
本発明方法において、第一工程の亜鉛との接触により硝酸性窒素を還元し、凝集沈殿処理又はイオン交換処理を行った処理水は、次いで、第二工程において、生成した亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素を分解する。通常は、第一工程において生成したアンモニア性窒素は、生成した亜硝酸性窒素に対して過剰量存在するので、処理水に亜硝酸ナトリウム、過酸化水素などの酸化剤を添加して触媒存在下に反応を行う。第一工程において生成した亜硝酸性窒素が、アンモニア性窒素に対して過剰量に存在する場合には、処理水にアンモニア水、アンモニウム塩などを添加して、触媒存在下に反応を行うことができる。
アンモニア性窒素と亜硝酸性窒素は、次式にしたがって反応する。
NH4 ++NO2 -→ N2+2H2
通常、アンモニア性窒素1モルに対して、亜硝酸性窒素の存在量が0.5〜1.5モルであることが好ましく、0.9〜1.1モルであることがより好ましく、0.9〜0.95モルであることがさらに好ましい。第二工程に送られる処理水について、亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素の量を分析し、必要に応じて不足する亜硝酸性窒素又はアンモニア性窒素を添加し、触媒存在下に分解反応を行う。
アンモニア性窒素1モルに対して亜硝酸性窒素を0.9〜0.95モル、すなわち、アンモニア性窒素をわずかに過剰とすることにより、接触分解後の処理水中には微量のアンモニア性窒素が残存する。この微量のアンモニア性窒素を含む処理水に、さらに過酸化水素を添加して分解することが好ましい。アンモニア性窒素と過酸化水素は、次式にしたがって反応する。
2NH4 ++3H22 → N2+6H2O+2H+
アンモニア性窒素と過酸化水素は1:1.5のモル比で反応するので、過酸化水素の添加量は亜硝酸性窒素の場合と同様にして設定することができる。アンモニア性窒素に対してわずかに過剰量の過酸化水素を添加することにより、処理水中のアンモニア性窒素は完全に窒素ガスに分解し、最終処理水中に残存しない。また、最終処理水中のごく微量の過酸化水素は、分解により水と酸素ガスとなるので、最終処理水中に有害物質として残存しない。
【0009】
本発明方法において使用する触媒としては、触媒有効成分として、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、インジウム、イリジウム、銀、金、コバルト、ニッケル及びタングステン、並びにこれらの金属の水不溶性又は水難溶性の化合物、例えば、一酸化コバルト、一酸化ニッケル、二酸化ルテニウム、三二酸化ロジウム、一酸化パラジウム、二酸化イリジウム、二酸化タングステンなどの酸化物、さらには二塩化ルテニウム、二塩化白金などの塩化物、硫化ルテニウム、硫化ロジウムなどの硫化物などよりなる群から選ばれた1種又は2種以上を、α−アルミナ、γ−アルミナ、活性炭、チタニア、ジルコニア、ゼオライト、ガラス、シリカ、シリカアルミナ、イオン交換樹脂などの担体に担持したものを挙げることができる。このような担持触媒の金属又は金属化合物の担持量は、通常、担体重量の0.05〜25重量%であることが好ましく、0.5〜3重量%であることがより好ましい。このような担持触媒は、球状、ペレット状、円柱状、破砕片状、ハニカム状、粉末状などの種々の形態で使用することができる。特に、白金をチタニア、γ−アルミナなどの粒状担体に担持させた触媒が好ましい。これらの触媒はカラムに充填し、加熱下に亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素を含有する処理水を通水して反応を行うのが好ましく、かつ、この場合は上向流通水が好ましい。
第二工程においては、第二工程に導入される処理水のpHが4〜9であることが好ましく、pHが6〜8であることがより好ましい。処理水のpHが4未満であると、亜硝酸性窒素の一部が再び硝酸性窒素に変化するおそれがある。処理水のpHが9を超えると、アンモニア性窒素と亜硝酸性窒素の反応速度が低下するおそれがある。反応温度は、80〜200℃であることが好ましく、140〜180℃であることがより好ましい。また、通水速度はSV=0.5〜20hr-1であることが好ましく、2〜10hr-1であることがより好ましい。
【0010】
図1は、本発明方法の実施の一態様を示す工程系統図である。硝酸性窒素含有水をpH調整槽1に送り、pH調整剤を添加してpH3〜6に調整する。pH調整槽には、pH計2を設け、pH計より送られる信号によりポンプ3を運転して槽内の水のpHを所定の値に調整する。pH調整を終えた処理水を還元反応槽4に送り、亜鉛粉末スラリーを添加して硝酸性窒素を還元し、亜硝酸性窒素、窒素ガス又はアンモニア性窒素とする。還元反応槽には酸化還元電位計5を設置し、処理水の酸化還元電位が所定値上限に達したときスラリーポンプ6を始動して亜鉛粉末スラリーを注入し、酸化還元電位が所定値下限に達したとき、スラリーポンプを停止して亜鉛粉末スラリーの注入を止める。また、還元反応槽にはpH計7を設け、亜鉛添加に伴うpH変動を抑えるために、pH計より送られる信号によりポンプ8を運転してpH調整剤を添加する。硝酸性窒素が還元された処理水は、凝集反応槽9へ送ってpH調整剤及び凝集剤を添加して凝集処理を行い、沈殿槽10において固液分離を行う。さらに、沈殿槽の上澄水は、イオン交換樹脂塔11へ送り、残存する微量の金属を除去する。
次いで、本発明方法の第二工程に移る。イオン交換樹脂塔からの流出水に、亜硝酸ナトリウムのような酸化剤を添加し、第1触媒塔12においてアンモニア性窒素の大部分を分解除去する。さらに、第1触媒塔から流出する処理水に、過酸化水素のような酸化剤を添加し、第2触媒塔13において残存するアンモニア性窒素を完全に除去し、最終処理水を得る。
本発明方法によれば、亜鉛と接触させた処理水の酸化還元電位を測定し、所定値に調整するよう亜鉛の添加量を管理するので、処理工程の自動化が容易であり、亜鉛の消費量を必要最小限に抑えることができ、しかも最終処理水の水質が安定する。
【0011】
【実施例】
以下に、実施例及び参考例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
参考例
硝酸性窒素17mg/リットル及びアンモニア性窒素1,000mg/リットルを含む排水に、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを1きざみに2〜9とした試料を調製し、これらの試料に亜鉛粉末を0.5g/リットルになるよう添加して室温で30分間反応させた。
反応後の水中の硝酸性窒素の濃度及び亜硝酸性窒素の濃度は、それぞれ、pH2のとき3.6mg/リットル及び1.0mg/リットル、pH3のとき0.4mg/リットル及び0.7mg/リットル、pH4のとき0.1mg/リットル及び0.7mg/リットル、pH5のとき0.1mg/リットル及び0.8mg/リットル、pH6のとき0.2mg/リットル及び0.9mg/リットル、pH7のとき8.4mg/リットル及び8.2mg/リットル、pH8のとき16.9mg/リットル及び0.1mg/リットル、pH9のとき16.5mg/リットル及び0.1mg/リットルであった。
pHと硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の濃度の関係を、第1表に示す。
【0012】
【表1】
Figure 0003748960
【0013】
pH3〜6の範囲では硝酸性窒素、亜硝酸性窒素のいずれも濃度1mg/リットル以下まで処理されている。硝酸性窒素を含む排水のpHによって、このpH範囲の中で分解処理工程のpHを決定することが望ましいことが分かる。
実施例
図1に示す工程により、硝酸性窒素とアンモニア性窒素を含む排水中の硝酸性窒素を還元処理したのち、残留するアンモニア性窒素を分解した。
硝酸性窒素50mg/リットル、亜硝酸性窒素1mg/リットル以下、アンモニア性窒素1,000mg/リットル、鉄20mg/リットル、銅1mg/リットル以下、亜鉛1mg/リットル以下及びカルシウム250mg/リットルを含み、酸化還元電位(ORP)が600mVである排水に、pHを3.5に保持して亜鉛粉末を1g/リットルになるよう添加し、室温で30分間反応させた。処理水中の窒素及び金属の濃度は、硝酸性窒素1mg/リットル、亜硝酸性窒素5mg/リットル、アンモニア性窒素980mg/リットル、鉄19mg/リットル、銅1mg/リットル以下、亜鉛1,050mg/リットル及びカルシウム245mg/リットルであり、酸化還元電位(ORP)は150mVであった。
この処理水のpHを9.5として凝集沈澱したのち、イオン交換樹脂塔に通液した。イオン交換樹脂塔から流出する処理水中の窒素及び金属の濃度は、硝酸性窒素1mg/リットル、亜硝酸性窒素5mg/リットル、アンモニア性窒素980mg/リットル、鉄1mg/リットル以下、銅1mg/リットル以下、亜鉛1mg/リットル以下及びカルシウム1mg/リットル以下であった。
イオン交換塔から流出する処理水のpHを6.5に調整したのち、アンモニア性窒素の0.9〜0.95倍当量の亜硝酸ナトリウムを添加し、触媒として0.5重量%白金/チタニア球(粒径1〜2mm)を充填した第1触媒塔に、温度160℃、SV=3hr-1で通液した。さらに、第1触媒塔から流出する処理水に、過酸化水素をアンモニア性窒素150〜200mg/リットルに相当する量を添加し、触媒として0.5重量%白金/チタニア球(粒径1〜2mm)を充填した第2触媒塔に、温度160℃、SV=10hr-1で通液した。第2触媒塔より流出する最終処理水中の窒素の濃度は、硝酸性窒素1mg/リットル、亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素はいずれも1mg/リットル以下であり、また金属の濃度は、鉄、銅、亜鉛及びカルシウムのすべてが1mg/リットル以下であった。
各工程における処理水中の窒素及び金属の濃度を、第2表に示す。
【0014】
【表2】
Figure 0003748960
【0015】
第2表の結果から、最終処理水中の全窒素濃度を10mg/リットル以下とすることは容易であり、排水規制値(平均60mg/リットル以下)の今後の上乗せ基準にも十分対応し得ることが分かる。
参考例2
硝酸性窒素17mg/リットルを含む排水に、塩酸を加えてpH3に調整した試料に、亜鉛粉末を0.25〜1.0g/リットルになるよう添加し、室温で30分間反応したのち、処理水の酸化還元電位と硝酸性窒素の濃度を測定した。
酸化還元電位と硝酸性窒素の濃度の関係は、酸化還元電位150mVのとき硝酸性窒素2.0mg/リットルであり、170mVのとき3.8mg/リットル、250mVのとき2.4mg/リットル、390mVのとき6.1mg/リットル、470mVのとき9.1mg/リットル、550mVのとき12.6mg/リットル、570mVのとき16.0mg/リットル、590mVのとき16.0mg/リットル、620mVのとき16.9mg/リットルであった。
酸化還元電位と硝酸性窒素の濃度の関係を、図2に示す。この図から、反応槽の酸化還元電位を150〜250mVとすれば、亜鉛粉末との反応により処理水中の硝酸性窒素濃度を確実に5mg/リットル以下とすることができることが分かる。すなわち、反応槽の酸化還元電位を測定し、酸化還元電位が250mVに達した
とき反応槽への亜鉛粉末の供給を開始し、酸化還元電位が150mVまで低下したとき反応槽への亜鉛粉末の供給を停止するという管理方式をとることにより、亜鉛粉末を無駄に消費することなく、確実に排水中の硝酸性窒素の濃度を所望する値まで低下することができる。
【0016】
【発明の効果】
本発明方法によれば、亜鉛と接触させた処理水の酸化還元電位を測定し、所定値に調整するよう亜鉛の添加量を管理するので、処理工程の自動化が容易であり、亜鉛の消費量を必要最小限に抑えることができ、しかも最終処理水の水質が安定する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明方法の実施の一態様を示す工程系統図である。
【図2】図2は、酸化還元電位と硝酸性窒素の濃度の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 pH調整槽
2 pH計
3 ポンプ
4 還元反応槽
5 酸化還元電位計
6 スラリーポンプ
7 pH計
8 ポンプ
9 凝集反応槽
10 沈殿槽
11 イオン交換樹脂塔
12 第1触媒塔
13 第2触媒塔

Claims (1)

  1. 硝酸性窒素を含む排水を、pH酸性領域において亜鉛と接触させて硝酸性窒素を亜硝酸性窒素又はアンモニア性窒素に還元する第一工程と、生成した亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素を、触媒存在下に分解して窒素ガスに変換する第二工程により処理する方法において、亜鉛との接触反応を、pH3〜6の酸性領域で、酸化還元電位を150〜250mVの所定値に調整して行うとともに、第一工程を経た処理水中の溶亜鉛を凝集沈殿処理又はイオン交換処理して除去した後、前記第二工程において亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素を処理することを特徴とする硝酸性窒素含有水の処理方法。
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