JP4862876B2 - アンモニア態窒素の分解除去方法及びその装置 - Google Patents
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Description
このようなアンモニア態窒素などの窒素汚濁物質を多く含む排水の処理方法としては、一般的に硝化脱窒素処理等の生物学的処理方法が知られている。しかしながら、これらの方法では、アンモニア態窒素を含有する水溶液(以下、アンモニア態窒素含有水と呼称することがある。)が定常的に排出される場合、処理量に対して装置が大型となり費用が高くなること、また処理水中に含まれるアンモニア態窒素の負荷変動などの影響で微生物が死滅した場合、復旧までに多大な時間を要し、アンモニア態窒素含有水の処理工程の停止を余儀なくされること等により、必ずしも効率的な処理方法とはいえない。
(1)処理水中のアンモニア態窒素の濃度を手分析で求め、その都度塩素系酸化剤の添加量を決定する必要がある。
(2)過剰となった塩素により、アンモニア態窒素が硝酸態窒素にまで酸化されてしまい、全窒素(T−N)としては除去率の低下を招き、特に、全窒素の放流が規制されている閉鎖性水域において富栄養化の問題につながる。
(3)そのため、大過剰とならないように、塩素系酸化剤の添加に対する監視を行う必要がある。
(4)過剰の塩素添加により、処理時にアンモニア態窒素含有水のpHが低下し、必要量以上のアルカリ性中和剤を要することとなる。
(5)副生物として発生したクロラミン類を分解するために、還元剤を必要とする。
(6)酸化分解処理後、クロラミン類などの残留塩素濃度を手分析で求め、その都度還元剤の注入量を決定する必要がある。
(7)クロラミン類の還元分解反応後、処理水を放流する前に、処理水中のアンモニア態窒素及び残留塩素の濃度の分析を行い、処理の完結を確認する必要がある。
前記酸性水溶液(A)を第1の反応槽に流送し、該反応槽内のpHを連続的に計測しながら、pHを3.0〜5.0に調整するようにpH調整剤の添加量を自動的に制御し、次いで、得られたpH調整後の酸性水溶液(B)を第2の反応槽に流送し、該反応槽内のpH及び酸化還元電位を連続的に計測しながら、pHを7.5〜9.5に、かつ酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を450〜550mVに調整するようにpH調整剤と塩素系酸化剤の添加量のそれぞれを自動的に制御することを特徴とするアンモニア態窒素の分解除去方法が提供される。
前記酸性水溶液(A)の流量及び濃度の負荷変動に応じて、該酸性水溶液(A)を反応槽内に流送するに先立って分割し、分割した一方の水溶液(A1)を第1の反応槽に流送し、該反応槽内のpHを連続的に計測しながら、pHを3.0〜5.0に調整するようにpH調整剤の添加量を自動的に制御し、次いで、得られたpH調整後の酸性水溶液(B)を第2の反応槽に流送し、該反応槽内のpH及び酸化還元電位を連続的に計測しながら、pHを7.5〜9.5に、かつ酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を450〜550mVに調整するようにpH調整剤と塩素系酸化剤の添加量のそれぞれを自動的に制御し、続いて、得られた酸化分解後の水溶液(C)を第3の反応槽に流送し、該反応槽内で、分割した他方の水溶液(A2)を混合し、該水溶液(C)中の過剰の遊離残留塩素を還元することを特徴とするアンモニア態窒素の分解除去方法が提供される。
アンモニア態窒素を含有する酸性水溶液の流量及び濃度の負荷変動を抑制する貯槽、該水溶液のpHを予備的に調整するpH制御装置を備えた第1の反応槽、及びアンモニア態窒素を酸化分解する反応を制御するpH制御装置と酸化還元電位制御装置を備えた第2の反応槽を含むことを特徴とするアンモニア態窒素の分解除去装置が提供される。
アンモニア態窒素を含有する酸性水溶液(A)の貯槽、該酸性水溶液(A)を水溶液(A1)と水溶液(A2)に分割し流量割合を調節する分割装置、該水溶液(A1)のpHを予備的に調整するpH制御装置を備えた第1の反応槽、水溶液(B)のアンモニア態窒素を酸化分解する反応を制御するpH制御装置と酸化還元電位制御装置を備えた第2の反応槽、及び該水溶液(C)に、該水溶液(A2)を混合し、過剰の遊離残留塩素を還元する第3の反応槽を含むことを特徴とするアンモニア態窒素の分解除去装置が提供される。
まず、本発明のアンモニア態窒素の分解除去方法の第1の態様に関して、その技術的意義について説明する。
ところで、上記アンモニア態窒素の分解除去方法は、前述した不連続点塩素処理法のよるものであり、アンモニア態窒素の酸化分解反応を行う反応槽にpH調整剤と塩素系酸化剤を添加し、pH及びORPの調整を行なう処理法である。ここで、塩素系酸化剤を添加し、発生した遊離残留塩素(Cl2、HClO、ClO−等)を酸化剤として利用するものであり、一般に、次の反応式(2)〜(7)からなる複雑な逐次反応が進行し、通常、pH及びORPがともに安定しないので、設定した条件に反応を制御するのは困難である。
反応式(3):NH3+HClO→NH2Cl+H2O
反応式(4):NH2Cl+HClO→NHCl2+H2O
反応式(5):NHCl2+HClO→NCl3+H2O
反応式(6):NH2Cl+NHCl2→N2+3HCl
反応式(7):NH2Cl+NHCl2+HClO→N2O+4HCl
すなわち、本発明に係る不連続点塩素処理法においては、酸化反応時のpH及びORPの変動が、pH調整剤及び塩素系酸化剤の過剰添加を招くとともに副生物の発生にもつながることに着目し、過剰の遊離残留塩素の発生を抑制するためには、酸化反応時のpH及びORPの変動を抑制することが肝要である。そのため、反応槽内のpH及びORPを連続的に計測しながら、自動的にpH調整剤及び塩素系酸化剤を添加する機能を有するpH制御装置及びORP制御装置を用いるとともに、上記のように、一旦、pHを酸化反応時よりも低い3.0〜5.0の所定値に予備的に調整し、次いで、酸化反応時にpHを7.5〜9.5に調整する2段構えの調整が効果的である。これにより、酸化反応時に添加するpH調整剤が最小限に抑えられ、制御性が向上するため、アンモニア態窒素の酸化分解反応時のpH変動を防止することができる。
また、第2の反応槽でのpHとしては、7.5〜9.5であり、好ましくは9.0であり、このときその変動幅を好ましくは±0.3に制御する。すなわち、前記pHが9.5を超えると、アンモニア及び塩素ガスの気中への揮散が多くなる。一方、前記pHが7.5未満では、塩素系酸化剤による酸化反応の速度が速いので、上記逐次反応の制御が困難である。
ここで、アンモニア態窒素含有水のpHを9.0±0.3の条件に調整し、塩素ガスを添加した場合のアンモニア態窒素除去率及びアンモニア態窒素の硝酸態窒素への酸化率(以下、硝酸態窒素発生率と呼称する。)とORP(Ag/AgCl電極基準)の関係を調査した結果を図3に示す。
したがって、酸化反応時において、ORPを連続的に監視し、ORP(Ag/AgCl電極基準)が500±50mVとなるように塩素系酸化剤の供給と停止の操作を自動的に制御することで、過剰添加を防止することができる。これにより、その後に還元剤を添加する操作が不必要な処理法が提供される。
上記アンモニア態窒素の分解除去装置は、アンモニア態窒素を含有する酸性水溶液の流量及び濃度の負荷変動を抑制する貯槽、該水溶液のpHを予備的に調整するpH制御装置を備えた第1の反応槽、及びアンモニア態窒素を酸化分解する反応を制御するpH制御装置と酸化還元電位制御装置を備えた第2の反応槽を含むことを特徴とする。
次に、pH調整後の水溶液は、酸化反応槽(第2の反応槽)4に定量供給される。酸化反応槽(第2の反応槽)4には、pH制御装置とORP制御装置が備えられる。すなわち、pH計(図示していない。)による連続測定と、その変動に連動した苛性ソーダ水溶液の供給が、苛性ソーダ貯槽2からの中和剤注入ポンプ7により、自動的に行なわれる。また、ORP計(図示していない。)による連続測定と、その変動に連動した塩素ガスの供給が、循環ポンプ8による酸化反応槽(第2の反応槽)4の循環水系統に設けたエゼクター10で、自動的に行なわれる。なお、ここで、反応の安定化のため、撹拌機11を設けることが好ましい。最後に、処理後の水溶液は、処理水貯槽5を経由して、送液ポンプ9で分解除去装置から排出される。
これにより、第2の反応槽において、所定のpHのままほぼ変動することなく、アンモニア態窒素含有水を処理することが可能であった。
上記アンモニア態窒素の分解除去装置は、アンモニア態窒素を含有する酸性水溶液(A)の貯槽、該酸性水溶液(A)を水溶液(A1)と水溶液(A2)に分割し流量割合を調節する分割装置、該水溶液(A1)のpHを予備的に調整するpH制御装置を備えた第1の反応槽、水溶液(B)のアンモニア態窒素を酸化分解する反応を制御するpH制御装置と酸化還元電位制御装置を備えた第2の反応槽、及び該水溶液(C)に、該水溶液(A2)を混合し、過剰の遊離残留塩素を還元する第3の反応槽を含むことを特徴とする。
なお、pH調整槽(第1の反応槽)3に供給されるアンモニア態窒素含有水の処理は、図1と同様である。すなわち、分割されたアンモニア態窒素含有水は、予備的にpH調整するため、pH調整槽(第1の反応槽)3に定量供給される。pH調整槽(第1の反応槽)3には、pH制御装置が備えられる。すなわち、pH計(図示していない。)による連続測定と、その変動に連動した苛性ソーダ水溶液の供給が、苛性ソーダ貯槽2からの中和剤注入ポンプ7により、自動的に行なわれる。次に、pH調整後の水溶液は、酸化反応槽(第2の反応槽)4に定量供給される。酸化反応槽(第2の反応槽)4には、pH制御装置とORP制御装置が備えられる。すなわち、pH計(図示していない。)による連続測定と、その変動に連動した苛性ソーダ水溶液の供給が、苛性ソーダ貯槽2からの中和剤注入ポンプ7により、自動的に行なわれる。また、ORP計(図示していない。)による連続測定と、その変動に連動した塩素ガスの供給が、循環ポンプ8による酸化反応槽(第2の反応槽)4の循環水系統に設けたエゼクター10で、自動的に行なわれる。なお、ここで、反応の安定化のため、撹拌機11を設けることが好ましい。
最後に、酸化反応槽(第2の反応槽)4で処理後の水溶液は、処理水貯槽(第3の反応槽)5に供給され、同時に供給される分割された未処理のアンモニア態窒素含有水と混合され、該処理後の水溶液中の過剰の遊離残留塩素を還元し、消費した後、送液ポンプ9で分解除去装置から排出される。
(1)硝酸態窒素の分析:還元蒸留−インドフェノール青吸光光度法(JIS K 0102 43.2.1)で行った。
(2)全窒素(T−N)の分析:硫酸ヒドラジニウム還元法(JIS K 0102 45.3)で行った。
(3)アンモニア態窒素は、全窒素の測定値から、硝酸態窒素の測定値を差し引くことで算出した。
図1に示す分解除去装置を使用し、アンモニア態窒素含有水の酸化分解処理を行なった。
アンモニア態窒素含有水として、pH:1.4、アンモニア態窒素:87mg/L、硝酸態窒素:3mg/L及び全窒素(T−N):90mg/Lの酸性水溶液を用いた。
ここで、まず、上記アンモニア態窒素含有水を第1の反応槽へ流送し、苛性ソーダを添加して、pHを4.0に調整した後、第2の反応槽へ流送し、pH調整剤として、苛性ソーダを添加し、pHを9.0±0.3に調整しながら、酸化剤として塩素ガスを添加し、ORP(Ag/AgCl電極基準)を450〜550mVの範囲で調整した。その後、得られた処理後の水溶液の分析から、アンモニア態窒素除去率、硝酸態窒素発生率及び全窒素(T−N)除去率を求めた。その結果、アンモニア態窒素除去率は95%、硝酸態窒素発生率は2%、及び全窒素(T−N)除去率は93%であった。
図2に示す分解除去装置を使用し、アンモニア態窒素含有水の酸化分解処理を行なった。
アンモニア態窒素含有水として、pH:1・3、アンモニア態窒素:92mg/L、硝酸態窒素:3mg/L及び全窒素(T−N):95mg/Lの酸性水溶液を用いた。
ここで、まず、上記アンモニア態窒素含有水を、第1の反応槽用:第3の反応槽用=7:3の比率で分割し、それぞれ第1の反応槽と第3の反応槽へ流送した。ここで、第1の反応槽では、苛性ソーダを添加して、pHを4.0に調整した後、第2の反応槽へ流送し、pH調整剤として、苛性ソーダを添加し、pHを9.0±0.3に調整しながら、酸化剤として塩素ガスを、ORP(Ag/AgCl電極基準)が450mVに到達するまで添加した。続いて、第2の反応槽の処理後の水溶液を第3の反応槽へ流送し、分割したアンモニア態窒素含有水と混合した。
その後、第2の反応槽、及び第3の反応槽から得られた処理後の水溶液の分析を行なった。その結果、第2の反応槽から得られた処理後の水溶液のアンモニア態窒素濃度は6.6mg/L、硝酸態窒素濃度は6.4mg/L、及び全窒素(T−N)濃度は13mg/Lであり、第3の反応槽から得られた処理後の水溶液のアンモニア態窒素濃度は34mg/L、硝酸態窒素濃度は5.5mg/L、及び全窒素(T−N)濃度は39mg/Lであった。なお、第2の反応槽から得られた処理後の水溶液の過剰の遊離残留塩素は完全に消費された。
このとき、第2の反応槽における全窒素(T−N)除去率として、図4より90%を想定すると計算上、第2の反応槽からの反応後の処理水と直接第3の反応槽へ送られたアンモニア態窒素含有水とが混合されると、全窒素(T−N)負荷では35mg/L(=95mg/L×0.3+95mg/L×(1−0.9)×0.7)となる。したがって、第3の反応槽から得られた処理後の水溶液の全窒素(T−N)濃度は39mg/Lに対し、高い精度で全窒素(T−N)を制御することができることが分かる。
2 苛性ソーダ貯槽
3 pH調整槽(第1の反応槽)
4 酸化反応槽(第2の反応槽)
5 処理水貯槽(第3の反応槽)
6 送液ポンプ
7 中和剤注入ポンプ
8 循環ポンプ
9 送液ポンプ
10 エゼクター
11 撹拌機
Claims (5)
- アンモニア態窒素を含有する酸性水溶液(A)に、pH調整剤と塩素系酸化剤とを添加して、該アンモニア態窒素を酸化分解して除去する方法において、
前記酸性水溶液(A)を第1の反応槽に流送し、該反応槽内のpHを連続的に計測しながら、pHを3.0〜5.0に調整するようにpH調整剤の添加量を自動的に制御し、次いで、得られたpH調整後の酸性水溶液(B)を第2の反応槽に流送し、該反応槽内のpH及び酸化還元電位を連続的に計測しながら、pHを7.5〜9.5に、かつ酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を450〜550mVに調整するようにpH調整剤と塩素系酸化剤の添加量のそれぞれを自動的に制御することを特徴とするアンモニア態窒素の分解除去方法。 - アンモニア態窒素を含有する酸性水溶液(A)に、pH調整剤と塩素系酸化剤とを添加して、該アンモニア態窒素を酸化分解して除去する方法において、
前記酸性水溶液(A)の流量及び濃度の負荷変動に応じて、該酸性水溶液(A)を反応槽内に流送するに先立って分割し、分割した一方の水溶液(A1)を第1の反応槽に流送し、該反応槽内のpHを連続的に計測しながら、pHを3.0〜5.0に調整するようにpH調整剤の添加量を自動的に制御し、次いで、得られたpH調整後の酸性水溶液(B)を第2の反応槽に流送し、該反応槽内のpH及び酸化還元電位を連続的に計測しながら、pHを7.5〜9.5に、かつ酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を450〜550mVに調整するようにpH調整剤と塩素系酸化剤の添加量のそれぞれを自動的に制御し、続いて、得られた酸化分解後の水溶液(C)を第3の反応槽に流送し、該反応槽内で、分割した他方の水溶液(A2)を混合し、該水溶液(C)中の過剰の遊離残留塩素を還元することを特徴とするアンモニア態窒素の分解除去方法。 - 前記酸性水溶液(A)を分割する際、前記水溶液(A1)と前記水溶液(A2)の割合を、前記水溶液(C)中の過剰の遊離残留塩素を還元するに十分な量であり、かつ酸化分解後の水溶液が所望のアンモニア態窒素濃度を満足するように調節することを特徴とする請求項2に記載のアンモニア態窒素の分解除去方法。
- 請求項1に記載のアンモニア態窒素の分解除去方法に用いる装置であって、
アンモニア態窒素を含有する酸性水溶液の流量及び濃度の負荷変動を抑制する貯槽、該水溶液のpHを予備的に調整するpH制御装置を備えた第1の反応槽、及びアンモニア態窒素を酸化分解する反応を制御するpH制御装置と酸化還元電位制御装置を備えた第2の反応槽を含むことを特徴とするアンモニア態窒素の分解除去装置。 - 請求項2に記載のアンモニア態窒素の分解除去方法に用いる装置であって、
アンモニア態窒素を含有する酸性水溶液(A)の貯槽、該酸性水溶液(A)を水溶液(A1)と水溶液(A2)に分割し流量割合を調節する分割装置、該水溶液(A1)のpHを予備的に調整するpH制御装置を備えた第1の反応槽、水溶液(B)のアンモニア態窒素を酸化分解する反応を制御するpH制御装置と酸化還元電位制御装置を備えた第2の反応槽、及び該水溶液(C)に、該水溶液(A2)を混合し、過剰の遊離残留塩素を還元する第3の反応槽を含むことを特徴とするアンモニア態窒素の分解除去装置。
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