JP2009028629A - 硝酸性窒素及びカルシウムイオンを含む排水の処理方法 - Google Patents

硝酸性窒素及びカルシウムイオンを含む排水の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 硝酸性窒素とカルシウムイオンとを含有する排水から、陰極において硝酸性窒素をアンモニアに還元し、陽極において塩素又は活性酸素を生成し、生成した両者を反応させて硝酸性窒素を効率的に除去する方法の提供。
【解決手段】 その排水の処理方法は、硝酸性窒素とカルシウムイオンとを含有する排水に可溶性亜硫酸塩を混合してカルシウム分を亜硫酸カルシウムとして固液分離し、固液分離後の液体に塩素イオン源化合物を添加して、導電体の陰極と塩素発生用の陽極とを備えた無隔膜電解槽を使用して電解処理することにより、陽極で生成する次亜塩素酸イオンと、陰極で硝酸イオンが電解還元されてできるアンモニウムイオンとを反応させて脱窒することを特徴とする。なお、この方法はステンレス表面に付着するスケールを溶解した排水を中和、沈降処理等により重金属等を分離除去した後に放出される硝酸性窒素とカルシウムイオンとが共存する排水の場合にも好適に使用できる。
【選択図】 図2

Description

本願発明は、硝酸性窒素及びカルシウムイオンを含む排水を効率的に脱窒する排水処理方法に関する。
より詳しくは、本願発明は、硝酸性窒素及びカルシウムイオンを含む排水に関し、共存するカルシウムイオンによる電流効率の低減を回避する、すなわち特に使用電気量を低減させることができる、電解により硝酸性窒素を分解して脱窒する排水処理方法に関する。
硝酸性窒素成分を含む排水は、凝集沈殿法その他の薬剤添加による処理が難しく、専ら嫌気性細菌による生物処理が行われる。
その生物処理方法は、アンモニア性窒素を硝酸性窒素に変換する硝化工程と、硝酸性窒素を窒素ガスに変換する脱窒工程の2工程により行われるため、2つの異なる反応槽が必要となると共に、著しく長い処理時間を要するため、処理効率が著しく悪いという問題があった。
また、この生物処理方法では、脱窒素細菌を保有するために、大容量の嫌気槽が必要となり、設備建設コスト高騰、装置設置面積の増大を招くという問題もある。
さらに、この脱窒素細菌の活動は、周囲の温度環境、被処理水中に含有される成分等により著しく影響される。
そのため、特に温度が低くなる冬場になると活動が低下し、その結果脱窒素作用が低下し処理効率が不安定となるという問題もある。
また、負荷変動に弱い。すなわち被処理水中の窒素濃度の変動に追従して脱窒素能力を制御するのが困難である。
このようなことに加えて、近年排水中の窒素の総量が規制されるなど排水処理基準の厳格化などとあいまって有効、かつ、簡易な処理方法の開発機運が高まっている。
特に、高濃度、小規模の排水処理ニーズに対応できる処理方法が求められている。
近年、それに対処する方法として電解を利用した硝酸性窒素含有排水の処理方法が提案されている(非特許文献1)。
特許第3530511号 特開2007−62430公報 特開2007−105673公報 Electrochemistry,70,No.2(2002)、N HIRO,T KOIZUMI,T RAKUMA,D TAKAOKA,K TAKIZAWA 神鋼ファウドラー技報 第33巻 第1号(1989/3).第17〜22頁(特に21〜22頁参照)
その方法は、電解槽の陰極において硝酸イオン(NO3 -)を還元して亞硝酸イオン(NO2 -)を生成し、次いでそのNO2 -を更に還元してアンモニアを生成し、他方陽極においては塩素あるいは活性酸素を生成し、それら生成したアンモニアと塩素あるいは活性酸素とを反応させて、アンモニアを窒素にすることにより排水を脱窒する方法であり、それは特許文献1においても従来技術として開示されている。
その提案されている電解を利用した硝酸性窒素含有排水の処理方法においては、陽極側で塩素あるいは活性酸素の生成に加えて、陰極側で生成した亞硝酸イオンが陽極側に拡散し、そこにおいて酸化して硝酸イオンを生成する逆反応も副次的に発生し、窒素除去効率を低下させるという問題が生じている。
さらに、陰極側においても、陽極で生成した塩素が陰極側に拡散し、そこにおいて還元されて塩素イオンを生成する逆反応も副次的に発生し、窒素除去効率を低下させるという問題が生じている。
前記のようなことから、この硝酸性窒素含有排水の処理方法においては、電気エネルギーが副次反応にも消費され非効率となっている。
この問題を解消するための技術も前記特許文献1で既に提案されており、それはイオン交換膜を隔膜として陰極室と陽極室とに区画した電解槽を用いて、硝酸性窒素を含有する排水を陰極室に供給して電解を行い、アンモニアを生成した後、そのアンモニアを溶存する排水を陽極室に移動させ、アンモニアと、陽極室で生成した塩素から形成した次亜塩素酸、又は酸素とを、反応させて窒素を生成させて脱窒する方法である。
ところで、この特許文献1で提案されたイオン交換膜を隔膜として用いる電解による脱窒方法では、電解とアンモニアからの窒素の生成反応とが交互に行われており、その硝酸性窒素含有排水の処理は、間欠的で不連続なものとなっている。
また、この方法では、前記したとおり隔膜が存在し、陰極室と陽極室の間では、陰極室から陽極室に処理液を移送するためのポンプが設置されている。
以上のとおりであり、隔膜を使用して電解により脱窒する場合には、装置構造及び処理操作が複雑となることが避けられず、十分に満足すべきものではなかった。
そのようなことから、本発明者は、前記した電解による排水処理の長所を生かし、かつ無隔膜での電解を用いて硝酸性窒素を含有する排水を脱窒する方法の簡単な構造及び単純操作等の利点を生かしつつ、電気エネルギーの浪費を極力低減できる、効率的な硝酸性窒素含有排水の処理方法を開発すべく鋭意努めた。
その結果、本発明者は、例えばアンモニア性窒素1000ppm前後の単純なアンモニア溶液中では溶解し難いアルミニウム又は鉄が、それらに加えて陰極として電荷を印加した場合、具体的には硝酸性窒素の存在下においてアンモニアが生成するような電解条件下では、局部電池を形成し容易に硝酸イオンを還元しながら溶解するという意外な現象を見出したものである。
また、その際には、その溶解に伴って電子を放出すると共に合わせて硝酸性窒素成分をも還元し、それにより硝酸イオンを生成する逆反応あるいは塩素イオンを生成する逆反応により浪費した電気量を見掛上補填できることをも見出した。
そして、本発明者は、それら発見した事実を利用して効率的に硝酸性窒素含有排水を処理し、脱窒することを可能とした、新たな硝酸性窒素を含む排水の処理技術の開発に成功し、既に提案した(特許文献2及び3)。
本発明者は、前記した電解による排水処理の利点、特に電気エネルギーの浪費を極力低減できる長所を各種の硝酸性窒素含有排水の処理に生かすべく、硝酸性窒素及びカルシウムイオン含有排水の脱窒処理に試みた。
その硝酸性窒素及びカルシウムイオン含有排水としては、管材等のステンレス鋼2次製品の製造工程である表面処理工程において排出される排水処理した後の放出用排水が挙げられる。
このステンレス鋼2次製品の製造工程においては通常熱処理が行われており、その際には表面にスケールと称される金属酸化物が生成し、これを除去するために硝酸とフッ化水素酸とで表面処理しており、この表面処理工程においては硝酸を含む強酸性の排水が排出される。
この高濃度の硝酸排水は、ステンレス表面のスケールを溶解したものであるから、それにはフッ素成分と共に、ステンレスに含有する成分である鉄、クロム、ニッケル等の重金属も含有されていることになる。
この排水中に含有される重金属及びフッ素成分は既に濃度規制の対象となっていて、除去することが義務付けられており、そのために凝集沈殿処理が行われている。
その除去方法の具体例を示すと、硫酸第1鉄、重亜硫酸ナトリウム等の還元剤を前記排水中に添加して、6価のクロムをまず3価に還元し、それと共に凝集剤の添加とpH調整を行い、排水中の重金属を水酸化物として析出させ固液分離して除去する方法があり、その際のpH調整剤としては、安価な水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム塩が一般的に使用されている(非特許文献2)。
他方、その際のフッ素成分の除去方法としては、前記の場合と同様に水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム塩を用い、それを更に過剰に添加して、排水中のフッ素成分を溶解度の低いフッ化カルシウムとして析出させ、固液分離することが一般的で広く実施されている。
前記した重金属及びフッ素成分を分離した後の排水中には、数百から数千ppmのカルシウム成分と、100〜10,000ppmの硝酸性窒素(NO3 -)が含まれているといわれており、本発明者らはこの排水を2種入手し、分析したところ、それぞれ4980ppm及び3300ppm含有されていることを確認した。
そのようなことから、本発明者は、この重金属及びフッ素成分を除去した後の硝酸性窒素とカルシウムイオンとが共存する排水中から硝酸性窒素を除去すべく前記長所を有する無隔膜電解を行ったところ意外にも電流効率が低く電気エネルギーの浪費があり、硝酸性窒素を効率的に除去できないことがわかった。
そのようなことから、これについて更に検討したところ、陰極においては、硝酸性窒素が亜硝酸性窒素を経由してアンモニアになる還元反応に加えて、カルシウムイオンがpHの高い陰極近傍で水酸化カルシウム又は炭酸カルシウムとして析出し、その結果として硝酸イオンの還元を妨げることに起因することが判明した。
本発明者は、この点に関し更に調査したところ、カルシウムの共存は、200mg/L前後の濃度であれば無視できる程度であるが、500mg/L程度になると、30〜60%程度の大幅な電流効率の低下を招くことがわかった。
また、200mg/L未満の比較的低濃度のカルシウム共存であっても、電解を継続するにしたがって陰極表面には固体物質が析出しており、それが炭酸カルシウムと水酸化カルシウムの混合物であることもわかった。
これは徐々に成長して陰極における硝酸還元の電流効率を低下させると共に剥離除去し難いスケールとなり、装置メンテナンスを非効率化することもわかった。
そこで、本発明者は、このカルシウムを電解前に固液分離により除去すべく各種物質を用いて鋭意検討したところ、カルシウムは意外にも比較的安価な化合物である亜硫酸ナトリウムにより低濃度になるまで除去できることがわかった。
その際には、排水中に硝酸性窒素とカルシウムイオンとが単純に共存する場合だけでなく、ステンレスを表面処理した後に排出される重金属及びフッ素成分を含有する排水を中和、沈降処理により一応浄化処理した後に放出される硝酸性窒素とカルシウムイオンとが共存する排水の場合、すなわち鉄、クロム、ニッケル等の重金属、及びフッ素成分が残留する場合においてもそれが残留しない場合と同様に固液分離により除去できることがわかった。また塩素イオンが共存しても適用できることがわかった。
前記のとおりであるから、本発明は、硝酸性窒素とカルシウムイオンとを含有する排水、例えばステンレスを表面処理後に排出される重金属及びフッ素成分を含有する排水を中和、沈降処理により一応浄化処理した後に放出される硝酸性窒素とカルシウムイオンとが共存する排水から硝酸性窒素を効率的に除去する方法を開発することを解決すべき課題、すなわち目的とするものである。
特に、陰極においては硝酸性窒素を亜硝酸性窒素を経由してアンモニア性窒素に還元し、陽極においては塩素あるいは活性酸素を生成し、それら生成したアンモニアと塩素あるいは活性酸素とを反応させて、硝酸性窒素を排水中から除去する際にカルシウムの共存に伴う電流効率の低減を解消することができる方法を提供することを課題とするものである。
本願発明は、前記課題を達成するための硝酸性窒素及びカルシウムイオンを含む排水の処理方法は、硝酸性窒素とカルシウムイオンとを含有する排水に可溶性亜硫酸塩を混合してカルシウム分を亜硫酸カルシウムとして固液分離し、固液分離後の液体に塩素イオン源化合物を混合して、無隔膜電解槽を使用して電解処理することにより、陽極で生成する塩素と、陰極で硝酸イオンが電解還元されてできるアンモニアとを反応させて脱窒することを特徴とするものである。
そして、その排水の処理方法においては以下のことを採用するのが好ましい。
(1)硝酸性窒素とカルシウムイオンとを含有する排水に可溶性亜硫酸塩を混合した後、更に希硫酸を混合してpHを6.5〜7.5にすること(これにより亜硫酸塩の添加量を低減できる)。
(2)硝酸性窒素とカルシウムイオンとを含有する排水中の硝酸性窒素濃度が120ppm以上、カルシウムイオン濃度が200ppm以上であること。
(3)カルシウム分を亜硫酸カルシウムとして固液分離した後の排水中のカルシウムイオンが200ppm未満であること。
また、本発明は以下の場合にも好適に使用できるが、その際には電解液中にフッ素が残留する場合には電極に使用する材料はフッ素に対し耐食性を有すものを選択する必要がある。
(4)硝酸性窒素とカルシウムイオンとを含有する排水がフッ素成分をも含有するものである場合。
(5)硝酸性窒素とカルシウムイオンとを含有する排水がステンレス表面のスケールを硝酸及びフッ化水素酸で溶解した廃液からクロムを塩基性カルシウム化合物により水酸化物として固液分離し、更にフッ素成分を消石灰でフッ化カルシウムとして固液分離した後の分離液を含有する場合。
本発明の硝酸性窒素を含む排水の処理方法は、隔膜を使用することなく電解を行うことにより硝酸性窒素を含む排水を処理するものであり、隔膜を使用する場合に比し、装置構造が簡単で、処理操作が単純である。
さらに、本発明では、電解時の電流効率を低減させるカルシウムを電解前に極度に低濃度になるまで、極めて簡単な分離操作である固液分離により除去し、その後電解を行っており、効率的に硝酸性窒素を分離除去できる。
なお、本発明の排水の処理方法においても、電解による排水処理の利点である、高濃度及び小規模の排水処理ニーズに対応でき、負荷変動に強い(すなわち、電流制御によって容易に処理能力を追従させることができる)という点は勿論有するものである。
以下において、本発明に関し発明を実施するための最良の形態に関し図1及び図2を用いて詳述するが、本発明は、この実施の形態によって何等限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。
その図1は本発明の排水の処理方法及び付設する前処理工程を含む全体像のプロセスを示すものであるが、その図においては、「Ca除去」と、「電解」のプロセスが本発明に該当するものである。
また、図2は本発明の排水の処理方法を具体的に図示するものである。
その図1において、「Cr除去」と「F除去」の工程は、本発明の処理対象の「硝酸性窒素とカルシウムイオンとを含有する排水」が形成されるまでの前処理工程であり、これを具備することは好ましい態様ではあるが、それらは本発明の一部をなすものではない。
なお、この前処理工程は、ステンレスの熱処理過程において表面に形成されたスケールを溶解処理した後に排出される重金属及びフッ素成分を含有する排水を処理するに際には、既に採用されているものであり別段目新しいものではない。
その前処理工程では、本発明の好ましい処理対象排水となる「硝酸性窒素とカルシウムイオンとを含有する排水」が形成されるのであり、図1においては、ステンレスの熱処理過程において表面に形成されるスケールを表面処理した後に排出される重金属及びフッ素成分を含有する排水を「原水」と表示している。
その図1において、「Cr除去」と「F除去」の工程は、前記したとおり、従前より採用されており、本発明の処理対象の「硝酸性窒素とカルシウムイオンとを含有する排水」が形成されるまでの過程を示すものである。
その「Cr除去」工程においては、原水に硫酸第1鉄、重亜硫酸ナトリウム、消石灰、水酸化ナトリウム及び硫酸を混合して、含有するクロムを3価に還元する共に、pHを中性付近の6程度にし3価のクロムを含む重金属イオンを水酸化物として析出させて固液分離する。
なお、その原水は、前記したとおりステンレスの熱処理過程において表面に形成されるスケールを濃硝酸及びフッ化水素酸を含有する表面処理液で表面処理した後に排出される排水である。
この「Cr除去」工程により重金属を固液分離した分離液に、「F除去」工程では、消石灰及び水酸化ナトリウムを混合してpHを8〜9程度の弱アルカリ性にしてフッ素成分をフッ化カルシウムとして固液分離するものであり、分離後の分離液中のフッ素濃度は8〜12ppm程度である。
このフッ素成分を分離した後の分離液が、本発明の処理対象排水である「硝酸性窒素とカルシウムイオンとを含有する排水」であり、これに亜硫酸ナトリウム等の可溶性亜硫酸塩を混合して亜硫酸カルシウムを析出させ、カルシウム成分を分離する「Ca除去」工程になるが、この工程からが本発明の工程である。
この「Ca除去」工程後、カルシウム濃度が極端に低減した、硝酸性窒素とカルシウムイオンとを含有する排水に食塩を混合し、その後電解して、陽極で生成する塩素と、陰極で硝酸イオンが電解還元されてできるアンモニアとを反応させて、本発明では脱窒するものであり、この工程が図1における「電解」工程であり、本発明は「Ca除去」と「電解」工程とからなるものである。
前記とおりであるから、「Ca除去」と「電解」工程とを有する本発明について、図2を用いて以下において詳述する。
本発明の処理対象排水である「硝酸性窒素とカルシウムイオンとを含有する排水」を配管11より脱カルシウム槽1に供給する共に亜硫酸ナトリウムを配管12より供給して両者を混合反応させて亜硫酸カルシウムを析出させる。
その反応後脱カルシウム槽1の上部より配管13を経て上澄液を取り出してフィルタ5に供給し、濾液を循環槽3に送給する。
他方、脱カルシウム槽1の下部に沈降した亜硫酸カルシウムのスラリーは配管17を経て取り出され、残留塩素分解槽に送給される。
この残留塩素分解槽では、排水中の酸化性の塩素成分の分解を行う。すなわち、電解処理後の排水中には未反応の塩素、それから生成した次亜塩素酸、塩素酸が残留しているので、これらを分解する。
本発明で分離される亜硫酸カルシウムは還元剤であるから、これを酸化性の塩素成分の分解に有効利用するのが好ましい。
本発明においては、処理対象排水は、硝酸性窒素とカルシウムイオンとを含有する排水であれば、特段限定されることはないが、前記図1において図示された「Cr除去」と「F除去」の工程により前処理されたものが好ましい。
すなわち、ステンレスの熱処理過程において表面に形成されたスケールを溶解処理し、その後に排出される重金属及びフッ素成分を含有する排水を図1に図示された「Cr除去」と「F除去」の工程により処理されたものが好ましい。特にフッ素はチタンを腐食するので、電極にチタンを使う場合には予め除く必要がある。
さらに、処理対象排水は、硝酸性窒素が120ppm以上、カルシウムイオンが2000ppm以上であることが好ましい。
また、処理対象排水から亜硫酸カルシウムを形成して脱カルシウムを行う際に使用する亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩については、可溶性亜硫酸塩であれば特に制限されることなく各種のものが使用でき、亜硫酸カリウム、重亜硫酸カリウムあるいは重亜硫酸ナトリウム等が例示でき、その亜硫酸塩は水溶液として脱カルシウム後の処理対象排水に添加するのが好ましいが、固体のまま添加混合してもよい。
その際の亜硫酸塩の使用料は、カルシウム1モルに対して、1〜2モルであるのが好ましい。
カルシウム分を亜硫酸カルシウムとして固液分離した後の脱カルシウム排水中のカルシウムイオン濃度は200ppm未満が好ましく、より好ましくは100ppm未満がよく、その脱カルシウム後の処理対象排水は、配管14から食塩が添加混合され、無隔膜電解槽2に循環ポンプにより送給され、電解後配管16により循環槽3に返送されるが、食塩混合後の循環槽内における食塩濃度は500ppm以上が好ましい。
この電解槽への送給と返送とは循環ポンプにより繰り返し行われ、前記処理対象排水は、循環槽3と電解槽との間で循環される。
本発明は、前記したとおり硝酸性窒素とカルシウムイオンとを含有する排水に食塩を混合した後に電解することにより、陽極で塩素を発生し、その塩素により次亜塩素酸塩を形成することができ、陰極では硝酸イオンを電解還元してアンモニアを生成し、それは溶解してアンモニウムイオンを形成することができ、生成した両者を反応させることにより、アンモニアを分解して、排水を脱窒するものである。
その電解槽における硝酸性窒素の分解反応を示すと以下のとおりである。
[陰極反応]
NO3 -+H2O+2e-→NO2 -+2OH- 式(1)
NO2 -+5H2O+6e-→NH3+7OH- 式(2)
[陽極反応]
2Cl-→Cl2+2e
[分解反応]
2NH3+3Cl2→N2+6HCl
本発明における硝酸性窒素の分解反応及び電解槽の機能は前記のとおりであるから、本発明の排水の処理方法において使用する無隔膜電解槽については、前記機能を有するものであれば、特段制限されることなく各種構造のものが使用でき、それには平行多板型、円筒型、流動床型、固定床型を例示することができる。
さらに、それらへの給電方法としては、単極式、あるいは複極式等が例示できるが、安定した処理性能が得られる点で直流単極式の円筒型又は平行多板型が好ましい。
それら電解槽の陽極構造については、発生した塩素が処理水中に容易に放散し次亜塩素酸塩を生成し易いように網又は穴あき板とするのがよい。
また、本発明者は、アルミニウム又は鉄の溶解に伴って電子を放出すると共に合わせて硝酸性窒素成分をも還元し、それにより硝酸イオンを生成する逆反応あるいは塩素イオンを生成する逆反応により浪費した電気量を見掛上補填できることをも見出し、その事実を利用して効率的に硝酸性窒素含有排水を処理する電解槽を最近開発しており(特許文献2及び3)、本発明ではその電解槽も好ましく使用できる。
それら電解槽の電極材料についていえば、陰極材料は特に制限されないが、硝酸イオン還元の電流密度を高くでき、競合反応である水素発生に対する過電圧の高いものが好ましい。その材料には、炭素鋼、銅、銅合金、錫、亜鉛あるいは不浸透性炭素等が例示できるが、価格の点で炭素鋼がよい。
それに対して、陽極材料については、前記処理水に加えて、発生した塩素及びそれにより生成した次亜塩素酸塩に対し耐食性を有することが必要であり、それらに対し耐食性を有するものであれば特に制限されることなく、各種のものが使用できる。
それには、寸法安定性電極(DSE)、不浸透性炭素、ガラス状炭素あるいはフェライト、ホウ素入ダイヤモンド薄膜等が例示できるが、汎用性と有効塩素生成の効率の点でチタン基材表面に酸化ルテニウムもしくはそれを含む複合酸化物層、又は白金/イリジウムの重量比が3/7となるように白金とイリジウムの複合酸化物層を被覆したDSE、残留フッ素が多い場合は不浸透性炭素が好ましい。
その電解槽における電解時の電流密度は特段制限されることはないが、10〜100mA/cm2が好ましい。
さらに、印加電圧についても特段制限されることはないが、2〜8Vが好ましい。
このようにして電解が繰り返し行われた循環槽内の排水は、その硝酸性窒素濃度が所定濃度に低下した段階で、切り替え弁が開放され、配管18を経て残留塩素分解槽4に移送されるが、その所定濃度は0〜120ppmの範囲が好ましい。
さらに、この残留塩素分解槽4には、脱カルシウム槽1で析出した亜硫酸カルシウムを含有するスラリーも搬送され、該槽内で両者は混合され、未反応の塩素、それから生成した次亜塩素酸、塩素酸等の酸化性の塩素成分が分解され塩素イオンとなる。
この残留塩素分解槽4の上部からは、上澄液がポンプにより配管19から取り出されフィルタ6に送給され、ろ液は放流水として放出される。
他方、底部からは亜硫酸カルシウムを含有する汚泥が汚泥引抜ポンプにより配管20を経て取り出される。
以下において、本発明の複数の実施例及び比較例を示すが、本発明は、これら実施例及び比較例によって何等限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。
硝酸性窒素をNとして2850mg/L、Caを4780mg/Lを含む排水41リットル(L)に亜硫酸ナトリウム(無水)800gを添加して、室温(約20℃)で攪拌しながら、180分間反応させ、希硫酸を添加してpHを7.1に調整してから析出した固形分を沈降させて上澄液を取り出し組成を分析したところ、その組成は硝酸性窒素がNとして2777mg/L、Caが16mg/Lであった。また沈降した固形分は沈降性の良い白色結晶で、その組成は含水状態でCaが13.5%、Sが10.5%であった。
次に、前記上澄液40Lに塩化ナトリウム500gを添加して無隔膜、定電流(1500A)で120分間電解した。その際には陽極は酸化ルテニウムを焼き付けしたチタンラス板(DSE)、陰極は銅合金製のラス板を使用した。
電解終了後、液組成を分析したところ、その組成はアンモニア性窒素がNとして0mg/L、亜硝酸性窒素がNとして0mg/L、硝酸性窒素がNとして95mg/L、Caが10mg/Lであった
硝酸性窒素をNとして2850mg/L、Caを4780mg/Lを含む排水41リットル(L)に亜硫酸ナトリウム(無水)800gを添加して、室温(約20℃)で攪拌しながら、180分間反応させてから析出した固形分を沈降させて上澄液を取り出し組成を分析したところ、その組成は硝酸性窒素がNとして2780mg/L、Caが54mg/L、pH9.1であった。また沈降した固形分は沈降性の良い白色結晶で、その組成は含水状態でCaが14%、Sが11.3%であった。
次に、前記上澄液40Lに塩化ナトリウム500gを添加して無隔膜、定電流(1500A)で120分間電解した。その際には陽極は酸化ルテニウムを焼き付けしたチタンラス板(DSE)、陰極は銅合金製のラス板を使用した。
電解終了後、液組成を分析したところ、その組成はアンモニア性窒素がNとして0mg/L、亜硝酸性窒素がNとして0mg/L、硝酸性窒素がNとして94.5mg/L、Caが11mg/Lであった。
[比較例]
硝酸性窒素をNとして2850mg/L、Caを4780mg/Lを含む排水41リットル(L)に炭酸ナトリウム(無水)920gを添加して、室温(約20℃)で攪拌しながら、220分間反応させてから析出した固形分を沈降させて上澄液を取り出し組成を分析したところ、その組成は硝酸性窒素がNとして2640mg/L、Caが620mg/Lであった。また沈降した固形分は沈降性の良い白色結晶で、その組成はCaが12.8%であった。
次に、前記上澄液40Lに塩化ナトリウム500gを添加して無隔膜、定電流(1500A)で120分間電解した。その際には陽極は酸化ルテニウムを焼き付けしたチタンラス板(DSE)、陰極は銅合金製のラス板を使用した。
電解終了後、液組成を分析したところ、その組成はアンモニア性窒素がNとして0mg/L、亜硝酸性窒素がNとして4mg/L、硝酸性窒素がNとして2135mg/L、Caが370mg/Lであった。
実施例1及び2、比較例を対比すると、亜硫酸塩を使用してカルシウムイオンを予め分離除去した場合には、炭酸塩を用いた場合に比し、カルシウムイオンが高度に分離除去できることがわかる。
さらに、亜硫酸塩を使用した場合においては、pHを希硫酸で低下させ、中性付近にした場合にはそれを行わない場合には比し、より高度にカルシウムイオンを分離除去できることがわかる。
また、一定電流(1500A)で同一時間(120分)電解した場合において、Ca濃度が620mg/Lと高い比較例の場合には、大量の硝酸性窒素が分解せずに残留し、電流効率が低いこともわかる。
本発明の排水の処理方法及び付設する前処理工程を含む全体像のプロセスを示す図。 本発明の排水の処理方法を具体的に示す図。
符号の説明
1 脱カルシウム槽
2 無隔膜電解槽
3 循環槽
4 残留塩素分解槽
5、6 フィルタ
11〜20 配管

Claims (6)

  1. 硝酸性窒素とカルシウムイオンとを含有する排水に可溶性亜硫酸塩を混合してカルシウム分を亜硫酸カルシウムとして固液分離し、固液分離後の液体に塩素イオン源化合物を混合して、無隔膜電解槽を使用して電解処理することにより、陽極で生成する塩素と、陰極で硝酸イオンが電解還元されてできるアンモニアとを反応させて脱窒することを特徴とする硝酸性窒素及びカルシウムイオンを含む排水の処理方法。
  2. 硝酸性窒素とカルシウムイオンとを含有する排水がフッ素成分をも含有するものである請求項1に記載の硝酸性窒素及びカルシウムイオンを含む排水の処理方法。
  3. 硝酸性窒素とカルシウムイオンとを含有する排水がステンレス表面のスケールを硝酸及びフッ化水素酸で溶解した廃液からクロムを塩基性カルシウム化合物により水酸化物として固液分離し、更にフッ素成分を消石灰でフッ化カルシウムとして固液分離した後の分離液を含む排水である請求項1又は2に記載の硝酸性窒素及びカルシウムイオンを含む排水の処理方法。
  4. 硝酸性窒素とカルシウムイオンとを含有する排水に可溶性亜硫酸塩を混合した後、更に希硫酸を混合してpHを6.5〜7.5にする請求項1、2又は3に記載の硝酸性窒素及びカルシウムイオンを含む排水の処理方法。
  5. 硝酸性窒素とカルシウムイオンとを含有する排水中の硝酸性窒素濃度が120ppm以上、カルシウムイオン濃度が200ppm以上である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の硝酸性窒素及びカルシウムイオンを含む排水の処理方法。
  6. カルシウム分を亜硫酸カルシウムとして固液分離した後の排水中のカルシウムイオンが200ppm未満である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の硝酸性窒素及びカルシウムイオンを含む排水の処理方法。
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CN109485204A (zh) * 2018-11-23 2019-03-19 深圳市泰力废旧电池回收技术有限公司 一种三元材料生产废水处理方法
CN111875174A (zh) * 2020-08-05 2020-11-03 江苏道同环境科技有限公司 一种废水脱氮除钙一体化装置及方法
CN112250131A (zh) * 2020-09-23 2021-01-22 陕西华源矿业有限责任公司 一种氨氮废水处理方法

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