JP3241228B2 - アンモニア態窒素含有廃水の処理装置及び処理方法 - Google Patents

アンモニア態窒素含有廃水の処理装置及び処理方法

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JP3241228B2 JP03150095A JP3150095A JP3241228B2 JP 3241228 B2 JP3241228 B2 JP 3241228B2 JP 03150095 A JP03150095 A JP 03150095A JP 3150095 A JP3150095 A JP 3150095A JP 3241228 B2 JP3241228 B2 JP 3241228B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アンモニア態窒素を含
有する廃水を触媒の存在下に湿式酸化処理することによ
り、廃水中の含有物質を窒素ガス、炭酸ガス、水及び灰
分に転換せしめて廃水の無害化を行なうアンモニア態窒
素含有廃水の処理装置及び処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境保護の観点から廃水処理の質
的向上が求められ、処理水の水質基準において化学的酸
素要求物質(COD成分)のみならず、窒素成分(特に
アンモニア態窒素)の除去が重要な問題となっており、
その検討が進められている。
【0003】従来のアンモニア態窒素含有廃水の処理装
置は、その機構原理としては、生物学的硝化脱窒法、ア
ンモニアストリッピング法、塩素酸化法(ブレークポイ
ントクロリネーション法)等を採用し、それらの方法に
基づいて廃水処理を行なうべく構成されていた。
【0004】上記従来装置のうち、生物学的硝化脱窒法
により廃水処理を行なうための装置は、硝化細菌により
アンモニア態窒素を亜硝酸又は硝酸態窒素に酸化した
後、脱窒細菌により窒素ガスに還元する機構を有するも
のである。この従来装置は廃水処理コストを安価にでき
る利点があるが、微生物反応を行なわせるため、適正処
理条件の保持が難しく、高濃度のアンモニア態窒素含有
廃水或いは不定期に排出される廃水の処理には不適当で
ある。
【0005】またアンモニアストリッピング法により廃
水処理を行なうための従来装置は、被処理水をアルカリ
性条件下に大量の空気と接触させて、アンモニアを大気
中に放散させる機構を有するものである。この従来装置
は高濃度のアンモニア態窒素を含有する廃水の処理に適
しているが、アルカリ剤を必要とするので処理コストが
高価になると共に、放散させたアンモニアを回収する等
の操作が更に必要となり、装置の複雑化、大型化を招く
欠点がある。
【0006】更に、塩素酸化法により廃水処理を行なう
ための従来装置は、塩素添加によりアンモニア性窒素を
クロラミンを経て窒素ガスに酸化する機構を有するもの
である。この従来装置においては、アンモニア態窒素量
の10倍程度の塩素を添加する必要があるので、高濃度
のアンモニア態窒素を含有する廃水の処理にはコスト高
となり不適当である。
【0007】一方、近年において、アンモニア態窒素含
有廃水の処理方法として、触媒湿式酸化により処理する
方法が幾つか提案されている(特公昭59−19757
号、特公昭58−27999号等)。これらの方法は、
特定の触媒の存在下、100〜370℃の温度条件下及
び廃水が液相を保持する圧力条件下において、酸化剤と
して空気等の酸素含有ガスを供給しながら湿式酸化処理
を行ない、廃水中の含有物質を窒素ガス、炭酸ガス、水
等に転換せしめるものである。
【0008】ここにおいて、従来の湿式酸化装置は1段
階で(即ち1つの反応塔で)アンモニア態窒素を窒素ガ
スに分解する機構を備えたものとして構成されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記触媒湿式酸化法に
よる廃水処理を行なうための装置においては、装置内に
供給される酸素量によって処理水の水質が大きく変動
し、特にアンモニア態窒素含有廃水の処理を行なう際に
はその影響が大きい。即ち、酸素供給量が廃水中のアン
モニア態窒素を窒素ガスまで完全に分解するのに必要な
理論酸素要求量(ThOD)未満ではアンモニア態窒素
の一部は酸化されずに処理水中に残留することになり、
また反対に酸素供給量が廃水のThODよりも過剰にな
ると、アンモニア態窒素が残留することはなくなるもの
のアンモニア態窒素の一部が主として硝酸態窒素に変換
されて高濃度で処理水中に残留し、処理水中の全窒素濃
度としては充分な除去を行なうことができない。
【0010】従って、触媒湿式酸化法によってアンモニ
ア態窒素含有廃水を処理する場合には、廃水のアンモニ
ア態窒素濃度に対応した酸素量を過不足なく供給するこ
とが肝要であり、そうでなければ充分な全窒素の除去を
行なうことが不可能である。特に従来の湿式酸化装置は
1段処理方式(即ち1つの反応塔にて廃水処理を行なう
方式)であるため、厳密な酸素供給量の制御が要求され
るものであった。
【0011】しかし、実装置においては廃水の組成は一
定ではなく、常時変動するものであり、このような廃水
組成の変動に対応して的確に酸素供給量を制御すること
は実際上困難であり、また装置的にも複雑となる。
【0012】本発明者等は上記課題に取り組み鋭意研究
した結果、先ず第1段階において、廃水のThODより
過剰の酸素を常時供給しながらアンモニア態窒素の湿式
酸化処理を行なわせることによって、硝酸態窒素を積極
的に生成させる代わりにアンモニア態窒素を確実に酸化
し、次いで第2段階において、上記第1段階で生成した
硝酸態窒素或いは生成する可能性のある亜硝酸態窒素を
過剰量の有機物の存在下で湿式還元処理することによっ
て窒素ガスに分解し、更に第3段階において、第2段階
で消費されなかった余剰の有機物を酸素によって酸化・
除去するというように、3段階に分けて逐次的に反応を
行なわせることにより、高度な制御技術を要することな
く高能率に全窒素の除去を行なうことができるという知
見を得、この知見に基づき本発明処理装置を完成するに
至った。
【0013】即ち本発明は、厳密な酸素供給量の制御を
行なわなくてもアンモニア態窒素の完全な酸化分解を行
なうことができ、しかも亜硝酸態窒素,硝酸態窒素を含
まない良好な水質の処理水を得ることのできるアンモニ
ア態窒素含有廃水の処理装置及び処理方法を提供するこ
とを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、アンモニア
態窒素を含有する廃水を処理して窒素除去を行なう廃水
処理装置であって、廃水中のアンモニア態窒素を触媒の
存在下に湿式酸化処理して分解除去するための第1の酸
化処理塔と、上記アンモニア態窒素の湿式酸化処理の際
に生じた亜硝酸態窒素、硝酸態窒素を、水素供与体とし
て有機物を添加して触媒の存在下に湿式還元処理して除
去するための還元処理塔と、上記亜硝酸態窒素、硝酸態
窒素の湿式還元処理の際に添加した有機物の過剰分を湿
式酸化処理して分解除去するための第2の酸化処理塔と
から構成されることを特徴とするアンモニア態窒素含有
廃水の処理装置、廃水を第1酸化処理塔へ流入せしめ
る送液経路における任意の位置に、廃水中のアンモニア
態窒素濃度を測定するアンモニア態窒素濃度測定器及び
廃水の流量を測定する廃水流量検出器をそれぞれ設け、
且つアンモニア態窒素濃度測定値C及び廃水流量測定値
Qに基づいて計算される基準酸素供給量に係数αを乗じ
て最適酸素供給量を演算し、設定する演算装置を設ける
と共に、該演算装置において設定された最適酸素供給量
を信号値として入力し、第1酸化処理塔への酸素供給量
の調節を行なう第1の酸素供給量調節装置を設けた上記
記載のアンモニア態窒素含有廃水の処理装置、演算
装置は下記(1)式に基づいて最適酸素供給量を計算す
るものである上記記載のアンモニア態窒素含有廃水の
処理装置、 X=1.71×C×Q×α・・・・・・(1) 但し、 X:アンモニア態窒素除去に係る最適酸素供給量〔g−
O/hr〕 1.71:アンモニア態窒素単位重量当りの理論酸素要
求量〔g−O/g−N〕 C:廃水中のアンモニア態窒素濃度〔g−N/m3 〕 Q:廃水の流量〔m3 /hr〕 α:係数(α=1.0〜2.0) 第1酸化処理塔における湿式酸化処理により得られた
処理水を還元処理塔へ流入せしめる送液経路における任
意の位置に、処理水中の亜硝酸態窒素・硝酸態窒素濃度
を測定する亜硝酸態窒素・硝酸態窒素濃度測定器を設け
ると共に、亜硝酸態窒素・硝酸態窒素濃度測定値に基づ
いて演算装置により最適有機物供給量を演算し、設定す
る制御機構を設け、且つ演算装置において設定された最
適有機物供給量を信号値として入力し、還元処理塔への
有機物供給量の調節を行なう有機物供給量調節装置を設
けた上記〜のいずれかに記載のアンモニア態窒素含
有廃水の処理装置、演算装置により第2酸化処理塔へ
の最適酸素供給量を演算し、設定する制御機構を設け、
且つ演算装置において設定された最適酸素供給量を信号
値として入力し、第2酸化処理塔への酸素供給量の調節
を行なう第2の酸素供給量調節装置を設けた上記〜
のいずれかに記載のアンモニア態窒素含有廃水の処理装
置、第1酸化処理塔における湿式酸化処理により得ら
れた処理水が第1酸化処理塔より流出した後の経路にお
ける任意の位置に、処理水中のアンモニア態窒素濃度を
測定するアンモニア態窒素濃度測定器を設け、且つ該処
理水中のアンモニア態窒素濃度測定値に基づいて演算装
置が係数αの値を修正し、それにより修正された最適酸
素供給量を演算し、その演算結果を信号値として第1の
酸素供給量調節装置に出力する制御機構を設けた上記
又は記載のアンモニア態窒素含有廃水の処理装置、
還元処理塔における湿式還元処理により得られた処理水
が還元処理塔より流出した後の経路における任意の位置
に、処理水中の亜硝酸態窒素・硝酸態窒素濃度を測定す
る亜硝酸態窒素・硝酸態窒素濃度測定器を設け、且つ該
処理水中の亜硝酸態窒素・硝酸態窒素濃度測定値に基づ
いて演算装置により修正された最適有機物供給量を演算
し、その演算結果を信号値として有機物供給量調節装置
に出力する制御機構を設けた上記記載のアンモニア態
窒素含有廃水の処理装置、上記に記載の処理装置を
用いてアンモニア態窒素含有廃水を処理するにあたり、
第1酸化処理塔に対しては、廃水中のアンモニア態窒素
濃度の予測される上限値に対してそのアンモニア態窒素
の全量を完全に酸化するに充分な量の酸素を常時供給
し、還元処理塔に対しては、第1酸化処理塔への上記酸
素供給量下において、廃水中のアンモニア態窒素濃度が
予測される下限値に達した時に生成する硝酸態窒素の全
量を完全に還元するに充分な量の有機物を常時供給し、
更に第2酸化処理塔に対しては、還元処理塔への上記有
機物供給量下において、該有機物の全量を完全に酸化す
るに充分な量の酸素を常時供給するように構成したこと
を特徴とするアンモニア態窒素含有廃水の処理方法を要
旨とする。
【0015】本発明は3つの反応塔を備えていることを
基本構造とするものであり、それらの反応塔は2つの酸
化処理塔と1つの還元処理塔からなる。第1の酸化処理
塔は、廃水中のアンモニア態窒素を触媒湿式酸化により
酸化分解するための反応塔である。ここでは主として次
の反応が行なわれる。 4NH4 + +3O2 → 2N2 +6H2 O+4H +
【0016】この反応式によれば、アンモニア態窒素の
湿式酸化における理論酸素要求量(ThOD)は次の如
く求められる。 ThOD=(3×16×2)/(4×14)=1.71
〔g−O/g−N〕
【0017】このことから本発明装置を用いて上記湿式
酸化処理を行なう場合の基準酸素供給量:T〔g−O/
hr〕は以下の如く求められる。 T=1.71×C×Q 1.71:アンモニア態窒素単位重量当りの理論酸素要
求量〔g−O/g−N〕 C:廃水中のアンモニア態窒素濃度〔g−N/m3 〕 Q:廃水の流量〔m3 /hr〕
【0018】この基準酸素供給量に1以上の数値をとる
係数αを乗じた値の酸素量を上記酸化処理塔に供給すれ
ば、酸化反応は充分に進行し、アンモニア態窒素は完全
に酸化され、未分解分として処理水中にアンモニア態窒
素が残留するようなことは起こらない。上記係数αを乗
じた値の酸素量が本発明にいう最適酸素供給量:X〔g
−O/hr〕であり、次式により示される。 X=1.71×C×Q×α・・・・・(1)
【0019】係数αの数値は1.0〜2.0、好ましく
は1.1〜1.5である。αを1.0以上とすることに
よってアンモニア態窒素を完全に酸化するための酸素量
を常時供給できる。αが2.0を越えると、アンモニア
の硝酸への転化率が飛躍的に大きくなり、次工程の還元
処理における還元剤の添加量が増大することとなってラ
ンニングコストが高騰化し、好ましくない。尚、廃水中
に有機物(BOD)等が含有されている場合には、該有
機物が炭酸ガス等に無機化されるために必要な酸素要求
量を前記ThODに加算する必要があるが、この加算さ
れるべき酸素要求量は係数αの設定に当たって考慮する
ようにすればよい。
【0020】上記係数αを1.0〜2.0とすることに
より、第1酸化処理塔において、アンモニア態窒素(N
4 −N)は完全に酸化され、その結果、廃水中のアン
モニア態窒素の大部分は窒素ガスに分解され、一部は過
剰量の酸素によって基本的に硝酸態窒素(NO3 −N)
に変換される。これはもとより窒素化合物であるから、
除去の必要性が生じる。そこでこの硝酸態窒素を分解除
去するため処理水を還元処理塔に導き、ここで水素供与
体としての有機物の存在下に触媒湿式還元を行なう。有
機物としては、メタノール、エタノール等が一般的に用
いられるが、他に有機物を含有する生活排水を利用する
こともできる。
【0021】有機物としてメタノールを例にとると、湿
式還元反応は次の如く示される。 6HNO3 +5CH3 OH → 3N2 +13H2 O+
5CO2 この反応式から、硝酸態窒素の湿式還元における理論メ
タノール要求量(ThMe)は次の如く求められる。 ThMe=(5×32)/(6×14)=1.9〔g−
Me/g−N〕
【0022】このことから還元処理塔において硝酸態窒
素を確実に還元・除去するための最適メタノール供給
量:Y〔g−Me/g−N〕は上記理論メタノール要求
量に係数βを乗じて次式の如く示される。 Y=1.9×β・・・・・(2) 1.9:硝酸態窒素の湿式還元における理論メタノール
要求量〔g−Me/g−N〕 β:係数
【0023】係数βの数値は1.0〜3.0、好ましく
は1.1〜2.0である。なお、通常は前記第1の酸化
塔において基準酸素供給量Tより多くの酸素を供給する
(α=1.2〜1.5)ことにより亜硝酸態窒素はほと
んど生成されないが、もし亜硝酸態窒素が生成した場合
には、上記係数βを若干大きくすることで十分対応可能
である。βを1.0以上とすることによって硝酸態窒素
あるいは亜硝酸態窒素を完全に還元してN2 、CO2
2 Oに分解するためのメタノール量を常時供給でき
る。βが3.0を越えると、未反応のメタノールが増え
て無駄となり、ランニングコストが高騰化して好ましく
ない。
【0024】なお、上記メタノール供給量Yは硝酸態窒
素1g(但し窒素として)当たりに供給すべきメタノー
ル量であるから、実際に供給するメタノール量はこれ
に、還元処理塔へ流入する処理水の硝酸態窒素濃度及び
該処理水の流量のそれぞれを乗じた値である。
【0025】上記係数βを1.0〜3.0とすることに
よって、還元処理塔において、処理水中の亜硝酸態窒
素,硝酸態窒素は完全にN2 、H2 Oに還元され、その
結果、過剰分のメタノールが処理水中に含まれることに
なる。メタノールはBOD成分として処理水における汚
染物質となるものであるから、これもまた除去しなけれ
ばならない。
【0026】そこで、処理水を第2の酸化処理塔に導
き、ここで湿式酸化を行なって、メタノールの過剰分を
酸化分解する。メタノールの湿式酸化は次の反応式によ
り示される。 2CH3 OH+3O2 → 2CO2 +4H2 O この反応式から、メタノールの酸化分解における理論酸
素要求量(ThOD´)は次の如く求められる。 ThOD´=(3×2×16)/(2×32)=1.5
〔g−O/g−Me〕
【0027】そこで、メタノール過剰分を酸化分解する
に必要な理論酸素要求量は 1.5×1.9×(β−1) となり、これに係数γを乗じれば次式に示す如く最適酸
素供給量:Z〔g−O/g−N〕が求まる。 Z=1.5×1.9×(β−1)×γ・・・・・(3) 1.5:メタノールの酸化分解における理論酸素要求量
〔g−O/g−Me〕 1.9:硝酸態窒素の湿式還元における理論メタノール
要求量〔g−Me/g−N〕 β:係数 γ:係数
【0028】即ち、前述したように還元処理塔へ供給さ
れる実際のメタノール量を求めるに当たっては、該塔へ
流入する処理水の硝酸態窒素濃度を測定してこの濃度に
見合うメタノール量を演算装置により算出する訳である
が、同時に該硝酸態窒素濃度に基づき第2酸化処理塔へ
の最適酸素供給量:Zも算出される。このように、第2
酸化処理塔ヘ流入する処理水のメタノール濃度を測定し
なくても間接的に最適酸素供給量:Zを計算により求め
ることが可能である。勿論、本発明はメタノール濃度測
定器を設けて第2酸化処理塔へ流入する処理水のメタノ
ール濃度を測定し、この測定値に基づいて最適酸素供給
量を求めるようにしてもよい。
【0029】上記(3)式における係数γの数値は1.
0〜2.0、好ましくは1.0〜1.5である。γを
1.0以上とすることによってメタノールを完全に酸化
分解するに必要な酸素量を常時供給することができる。
γが2.0を越えると、酸素量があまりに過剰となり、
反応にあずからない過剰分が生じて無駄となり、ランニ
ングコストの高騰化を招く。
【0030】なお、上記酸素供給量Zは、硝酸態窒素1
g当たりに供給すべき酸素の量であるから、実際に供給
する酸素量はこれに、還元処理塔へ流入する処理水の硝
酸態窒素濃度及び該処理水の流量をそれぞれ乗じた値で
ある。
【0031】第1酸化処理塔において湿式酸化を行なう
時の温度は100〜370℃、好ましくは150〜30
0℃である。100℃未満ではアンモニア態窒素の充分
な除去を行なうことができず、また370℃を超えると
水の臨界温度を超えることになり、反応装置が複雑且つ
高価となって好ましくない。圧力は処理温度において廃
水が液相を保持する圧力を設定する。湿式酸化反応は酸
素分圧が高い程反応が速やかに進行するため、処理時の
圧力が高い程反応が速くなるが、装置圧力が高くなると
装置自体が高価となるために、目標とする処理時間、処
理効率に合わせて適宜設定すればよい。
【0032】還元処理塔において湿式還元を行なう時の
温度は100〜370℃、好ましくは150〜300℃
である。
【0033】また、第2酸化処理塔において湿式酸化を
行なう時の温度は100〜370℃、好ましくは150
〜300℃である。還元処理塔、第2酸化処理塔のいず
れにおいても圧力は処理温度において処理水が液相を保
持する圧力とすればよい。
【0034】廃水、処理水の反応塔への流入速度は、第
1酸化処理塔及び還元処理塔においては、触媒に対して
空間速度(LHSV)で1〜20hr-1の範囲内である
ことが好ましい。1hr-1未満では触媒量に対して処理
効率は上昇せずコスト的に高くなり、一方、20hr-1
を越えるとアンモニア態窒素の処理効率が充分でなく、
好ましくない。また第2酸化処理塔における流入速度
は、触媒に対して空間速度(LHSV)で2〜50hr
-1の範囲内が適当である。LHSVが2hr-1以上にお
いてメタノールは充分に分解されて消失してしまうため
に、LHSVを2hr-1未満にすることはコストの増大
を招くのみで実益がない。LHSVが50hr-1を越え
るとメタノールが充分に分解されず、好ましくない。
【0035】第1酸化処理塔及び第2酸化処理塔におけ
る湿式酸化には酸素、空気、酸素富化空気等の酸素含有
ガスが用いられるが通常は空気が用いられる。
【0036】本発明に適用される廃水としては発電所よ
り排出される廃水を始めとする各種産業廃水等が挙げら
れるが、もとよりこれらに限定されない。本発明におけ
るアンモニア態窒素(NH4 −N)とは、液相中に溶解
しているアンモニア及びアンモニウムイオンとなってい
るものの総称を意味し、例えば硫酸アンモニウム、塩化
アンモニウム等の溶解塩類、アンモニア水等が挙げられ
るが、これらに限定されるものではない。
【0037】本発明は連続的に廃水を反応塔に送って湿
式酸化処理及び湿式還元処理を行なう機構を有するが、
この連続的に供給される廃水中のアンモニア態窒素濃度
の変動範囲は例えば廃水が発電所廃水である場合は、一
般に数百〜数万mg−N/Lである。
【0038】次に、図面を参照して本発明を詳細に説明
する(尚、説明の便宜上、湿式酸化処理における反応用
ガスとして酸素ガスを用い、また湿式還元処理における
還元剤としてメタノールを用いた場合について以下説明
する)。
【0039】図1において、1は廃水中のアンモニア態
窒素を湿式酸化するための第1の酸化処理塔、2は亜硝
酸態窒素,硝酸態窒素を湿式還元するための還元処理
塔、3は還元剤過剰分を湿式酸化するための第2の酸化
処理塔である。第1酸化処理塔1及び第2酸化処理塔3
には酸化触媒が充填され、また還元処理塔2には還元触
媒が充填される。尚、第2酸化処理塔3においては、反
応温度が200℃以上であれば触媒がなくても比較的速
やかに反応が起こるため、触媒を必ずしも使用する必要
はない。しかし、反応装置の小型化及び反応時間の短縮
化を図るためには触媒を用いることが好ましい。
【0040】上記湿式酸化処理及び湿式還元処理に用い
られる触媒は、湿式酸化条件又は湿式還元条件において
活性と耐久性を兼備した固体触媒であればどのような触
媒を用いてもよく、公知の触媒の中から任意に選択でき
る。使用する触媒の形態としては、粒状、ペレット状、
ハニカム状等の一体構造体等の種々のものを採用するこ
とができる。
【0041】4はライン5を通して送液される廃水を貯
留、均一化し且つ連続的に系内に送り出すためのタンク
であり、該タンク4にはライン6を介してアンモニア態
窒素濃度測定器7が接続されている。該測定器7はタン
ク4に接続される場合に限定されず、要は廃水を第1酸
化処理塔1へ流入せしめる送液経路における任意の位置
に設けることができる。即ち、該測定器7は、廃水が第
1酸化処理塔1へ流入する以前の段階で該廃水中のアン
モニア態窒素濃度を自動測定するための測定器であり、
この測定器7には図示しない公知の例えば4〜20mA
・DCの信号に変換する変換器が接続され、上記アンモ
ニア態窒素濃度の測定値を該変換器により信号値に変換
し、演算装置8に入力するように構成されている。
【0042】9は廃水を第1酸化処理塔1に送液するた
めのポンプ、10はポンプ9の出口側に設けられた廃水
流量検出器で、この検出器10により測定された廃水流
量の測定値は図示しない変換器により信号値に変換さ
れ、演算装置8に入力されるように構成されている。
尚、ポンプ9の出口側はかなりの高圧であるので、場合
によっては廃水流量検出器10をポンプ9の入口側に設
置しても差支えない。
【0043】廃水を第1酸化処理塔1に送るライン11
にはアルカリ溶液を導くライン12及び酸素ガスを供給
するライン13が連結されている。
【0044】アルカリ溶液は、廃水処理中または処理後
に、処理水のpHがアンモニアを除去することによって
低くなり、装置その他に悪影響を及ぼすことのないよう
に添加されるものである。添加するアルカリ溶液として
は、炭酸ソーダ、苛性ソーダなど、一般に用いられてい
るアルカリ水溶液が用いられ、ポンプ14およびライン
12を通じて廃水に混合される。
【0045】なお、廃水流量および廃水中のアンモニア
態窒素の測定点は、例として以下の4つの場合が挙げら
れる。 廃水流量を、廃水タンク以降アルカリ溶液添加以前に
おいて測定し、かつ廃水中のアンモニア態窒素濃度も廃
水タンク以降アルカリ添加以前に測定する。 廃水流量を、アルカリ溶液添加以降供給酸素混合以前
において測定し、かつ廃水中のアンモニア態窒素濃度も
アルカリ溶液添加以降供給酸素混合以前に測定する。な
お、上記、の場合は、測定された廃水流量及びアン
モニア態窒素濃度をそのまま前記(1)式に代入して最
適酸素供給量を計算することができる。 廃水流量を、廃水タンク以降アルカリ溶液添加以前に
おいて測定し(これをQとする)、かつ廃水中のアンモ
ニア態窒素濃度をアルカリ溶液添加以降供給酸素混合以
前に測定する(これをC1 とする)。この場合は、アル
カリ溶液の流量をQ1 として、アルカリ溶液添加前の廃
水中のアンモニア態窒素濃度Cを下記計算式、 C=C1 (Q+Q1 )/Q より求め、このCの値と前記廃水流量Qの値とから最適
酸素供給量を計算する。 廃水流量を、アルカリ溶液添加以降供給酸素混合以前
において測定し(これをQ2 とする)、かつ廃水中のア
ンモニア態窒素濃度を廃水タンク以降アルカリ添加以前
に測定する(これをCとする)。この場合はアルカリ溶
液の流量をQ1としてアルカリ溶液添加前の廃水流量Q
を、Q=Q2 −Q1 として求め、このQの値及び前記ア
ンモニア態窒素濃度Cの値とから最適酸素供給量を計算
する。
【0046】これらは、要するに単位時間当たりのアン
モニア態窒素量を求めようとするものであり、廃水中に
アルカリ溶液が添加されてもその影響を避けるようにす
ることが必要であるためである。図1に示すフロー図
は、上記のうちの場合に相当する。
【0047】第1酸化処理塔1の入口側には熱交換器1
5及び加熱器16が設けられ、また第1酸化処理塔1の
出口側には湿式酸化処理の終了した処理水及び該酸化反
応によって発生した窒素ガス等を導く気液分離器17が
設けられている。
【0048】気液分離器17には液面コントローラ1
8、液面制御弁19、圧力コントローラ20、及び圧力
制御弁21が設けられている。
【0049】この気液分離器17から流出した処理水は
ライン22を経て還元処理塔2へ導かれ且つ気液分離器
17内において処理水と分離された窒素等のガスはライ
ン23を経て処理水槽24へ導かれるようになってい
る。
【0050】また気液分離器17には、第1酸化処理塔
1における湿式酸化により得られた処理水中の亜硝酸態
窒素・硝酸態窒素濃度を自動測定する亜硝酸態窒素・硝
酸態窒素濃度測定器25が設けられている。該測定器2
5は、第1酸化処理塔1を流出した処理水が還元処理塔
2へ流入する迄の送液経路における任意の位置に設ける
ことができ、必ずしも気液分離器17に設ける態様に限
定されるものではない。
【0051】亜硝酸態窒素・硝酸態窒素濃度の測定値は
図示しない変換器により信号値に変換され、演算装置8
に入力されるようになっている。
【0052】還元処理塔2を流出した処理水はライン2
6を経て第2酸化処理塔3に導かれるようになってい
る。27は逆止弁である。該第2酸化処理塔3の出口側
には気液分離器28が接続され、この気液分離器28は
ライン29、30を通して処理水槽24に接続されてい
る。31は液面コントローラ、32は液面制御弁、33
は圧力コントローラ、34は圧力制御弁である。
【0053】一方、演算装置8の出力側には、第1の酸
素供給量調節装置35と第2の酸素供給量調節装置36
とメタノール供給量調節装置37がそれぞれ電気的に接
続され、演算装置8からの電気信号により酸素供給量又
はメタノール供給量を制御し、演算結果により設定され
た量の酸素ガスをライン50からライン13を経て第1
酸化処理塔1へ或いはライン52からライン38を経て
第2酸化処理塔3へそれぞれ供給し、更には演算結果に
より設定された量のメタノールを、ポンプ46によりラ
イン39を経て還元処理塔2へ供給するように構成され
ている。
【0054】図中、40、41は流量調節弁、42、4
3は流量検出器、44、45はコンプレッサー、46は
メタノール注入ポンプである。尚、コンプレッサー4
4、45はそれぞれ流量調節弁40、41の後段に位置
させてもよい。
【0055】処理水槽24には、ライン47を介してア
ンモニア態窒素濃度測定器48及び亜硝酸態窒素・硝酸
態窒素濃度測定器49が接続され、処理水のアンモニア
態窒素濃度及び亜硝酸態窒素・硝酸態窒素濃度をそれぞ
れ測定し、それらの測定値は信号値に変換されて演算装
置8に入力されるようになっている。これは最終的に得
られた処理水中にアンモニア態窒素又は亜硝酸態窒素,
硝酸態窒素が含有されていないかどうかをチェックする
ためのものであり、もしアンモニア態窒素が検出された
場合には、第1酸化処理塔1において酸素供給量が不足
していることになるから、上記(1)式における係数α
を大きくする必要が生じ、測定された濃度の大きさを基
に演算装置8が係数αの値を修正し、それにより上記
(1)式に基づき修正された最適酸素供給量:Xを演算
し、その演算結果を指令信号値として第1酸素供給量調
節装置35に入力する。
【0056】また、亜硝酸態窒素,硝酸態窒素が検出さ
れた場合には、還元処理塔2においてメタノール量が不
足していることになるから、上記(2)式における係数
βを大きくする必要が生じ、測定された濃度の大きさを
基に演算装置8が係数βの値を修正し、それにより上記
(2)式に基づき修正された最適メタノール供給量:Y
を演算し、その演算結果を指令信号値としてメタノール
供給量調節装置37に入力する。
【0057】本発明は、アンモニア態窒素の湿式酸化及
び亜硝酸態窒素,硝酸態窒素の湿式還元のいずれの処理
においても、それらの反応を充分に行なわせるためにや
や過剰気味の酸素量又はメタノール量を供給するもので
あるから、後述のごとく、廃水中のアンモニア態窒素濃
度が変動する場合でも、変動するアンモニア態窒素濃度
の最大値を予め予測しておき、この最大値に対応する理
論酸素供給量に対して1〜2倍、好ましくは1.1〜
1.5倍量の酸素を供給するようにし、また亜硝酸態窒
素,硝酸態窒素の還元処理工程においては、前記湿式酸
化処理工程の処理水中に含有されるこれら酸化態窒素濃
度の最大値を予測し、その予測値より理論メタノール供
給量を算出し、算出された理論メタノール量の1〜3
倍、好ましくは1.1〜2.0倍量のメタノールを供給
するようにすることにより、変化するアンモニア態窒素
濃度及び亜硝酸態窒素・硝酸態窒素濃度を常時監視する
必要がなくなり、且つ急激な濃度変動に対しても十分に
対応できる処理が可能となる。したがって、このような
方法を採用すれば、廃水中のアンモニア態窒素濃度や最
終的に得られた処理水中のアンモニア態窒素濃度及び亜
硝酸態窒素・硝酸態窒素濃度を検出して、その結果を基
に酸素供給量及びメタノール供給量を制御するという上
記のような厳密な制御は必ずしも必要ではない。しか
し、酸素供給量及びメタノール供給量を必要最小限に留
めるためには、上記のアンモニア態窒素濃度測定器48
及び亜硝酸態窒素・硝酸態窒素濃度測定器49による検
出,制御は行なう方が好ましい。
【0058】尚、この場合、アンモニア態窒素濃度測定
器48は処理水槽24に接続せずに、特に図示しないが
気液分離器17に接続するようにしてもよい。このよう
にすれば、酸素供給量の制御を早いタイミングで行なう
ことができ、窒素除去の効率及び精度を向上できる利点
がある。
【0059】本発明においてはメタノールの湿式酸化に
当たっても、後述のごとく前段の還元処理塔に供給する
メタノール量の最大値を予測し、その供給メタノール量
のすべてを酸化するに必要な理論酸素要求量を算出し、
算出された酸素量の例えば1.0〜1.5倍量の酸素を
常時供給する方法を採用することにより、還元処理塔の
処理水中に残留するメタノール濃度を測定してその測定
値に基づいて酸素供給量を制御するといった厳密な制御
を行なわなくとも十分処理可能である。しかし必要に応
じてTOC(全有機態炭素)計等の有機物濃度測定器を
処理水槽24に接続してもよい。
【0060】アンモニア態窒素濃度測定器7、48とし
ては、例えば隔膜型アンモニア電極法によるアンモニア
態窒素分析計が用いられる。
【0061】また亜硝酸態窒素・硝酸態窒素濃度測定器
25、49としては、例えば吸光光度法による亜硝酸態
窒素・硝酸態窒素分析計が用いられ、亜硝酸態窒素はジ
アゾ化合物として発色測定し、吸光光度法による分析計
器により濃度測定が行なわれる。硝酸態窒素は一旦、亜
硝酸態窒素に還元した後、上記と同様に吸光光度法によ
る分析計器により濃度測定が行なわれる。
【0062】図1に示す本発明の実施例は、第1酸化処
理塔1及び第2酸化処理塔3における最適酸素供給量を
演算し設定する演算装置と、還元処理塔2における最適
メタノール供給量を演算し設定する演算装置とを1つの
演算装置8として構成しているが、本発明はこれに限定
されず、3つの演算装置を設けて、それぞれ各処理塔
1、2、3における上記した演算を個別に行なわせるよ
うにしてもよい。尚、演算装置は2つでもよく、2つの
処理塔における各演算を1つの演算装置で行なうように
してもよい。
【0063】上記の如く構成される本発明装置の作用を
図1に基づき説明する。タンク4より廃水を送液し、ポ
ンプ9により昇圧してライン11を通して第1酸化処理
塔1に流入せしめる。一方、ライン6を通して廃水の一
部をサンプリングし、アンモニア態窒素濃度測定器7に
より廃水中のアンモニア態窒素濃度Cを連続自動測定す
ると共に、廃水流量検出器10により廃水流量Qを測定
し、それぞれの測定値を電気信号に変換して演算装置8
に入力する。演算装置8は入力された上記測定値情報を
基に上記(1)式における係数αの数値を設定し(例え
ばα=1.2とする)、該(1)式に基づいて最適酸素
供給量Xを演算し、その演算値を電気信号に変換して第
1酸素供給量調節装置35に入力する。
【0064】該調節装置35は演算装置8からの指令に
基づき最適酸素供給量に相当する量の酸素がライン13
を流れるように調節弁40を制御する。ライン50を流
れる酸素量は流量検出器42によって検出され、この実
測流量が上記最適酸素供給量と一致するよう調節弁40
が制御される。尚、反応用ガスとして空気を用いる場合
は、最適酸素供給量を0.21で割った値(空気換算
値)が実際の空気供給量となる。
【0065】かくしてコンプレッサー44で昇圧し、上
記の如く設定された最適酸素供給量の酸素を、ライン1
3を経て廃水に混入せしめる。
【0066】尚、必要に応じて、ポンプ14及びライン
12を通して炭酸ソーダ、苛性ソーダ等のアルカリ水溶
液を廃水に混合し、廃水のpH調整を行なう。通常、廃
水のpHは8.0〜11.0に調節される。
【0067】廃水に酸素を混入した気液混合物をライン
11を経て、熱交換器15及び加熱器16に通して所定
の温度にまで加熱した後、第1酸化処理塔1へ導く。こ
こで触媒の存在下に湿式酸化反応を行なわせ、この湿式
酸化処理により得られた処理水及び窒素ガスを第1酸化
処理塔1外に取り出し、ライン51を経て気液分離器1
7へ導入する。
【0068】ここで窒素ガスと処理水との気液2相に分
離し、窒素ガスはライン23を経て処理水槽24に導入
され、ここで大気下に放出される。一方、処理水はライ
ン22を経て還元処理塔2に導入される。この気液分離
器17においては、液面コントローラ18により液面を
検出し、液面制御弁19を作動させて一定の液面を保持
すると共に、圧力コントローラ20により圧力を検出
し、圧力制御弁21を作動させて一定の圧力を保持する
ように操作される。
【0069】気液分離器17中の処理水の一部をサンプ
リングし、亜硝酸態窒素・硝酸態窒素濃度測定器25に
より処理水中の亜硝酸態窒素濃度及び硝酸態窒素濃度を
連続自動測定する。第1酸化処理塔1において、アンモ
ニア態窒素を酸化分解するのに必要且つ充分な量の酸素
量が供給されているので、通常は硝酸態窒素が生成し、
亜硝酸態窒素はほとんど生成しない。従って上記測定器
25による測定の際、硝酸態窒素が検出される。
【0070】上記測定器25による測定値を電気信号に
変換して演算装置8に入力する。尚、亜硝酸態窒素が検
出された場合は、亜硝酸態窒素濃度,硝酸態窒素濃度
を、それぞれ別個の信号に変換して演算装置8に入力し
ても、或いはそれらの濃度の合計値を1つの信号値に変
換して、演算装置8に入力するようにしてもよい。
【0071】演算装置8は入力された上記測定値情報を
基に上記(2)式における係数βの数値を設定し(例え
ばβ=1.1とする)、該(2)式に基づいて最適メタ
ノール供給量Yを演算し、その演算値を電気信号に変換
してメタノール供給量調節装置37に入力する。該装置
37は演算装置8からの指令信号に基づき、最適メタノ
ール供給量に相当する量のメタノールがライン39を流
れるようにメタノール注入ポンプ46のストローク等を
自動制御する。
【0072】メタノールはライン22を流れる処理水に
添加され、還元処理塔2に導かれる。ここで触媒の存在
下に湿式還元反応を行なわせ、この湿式還元処理により
得られた処理水をライン26を経て第2酸化処理塔3へ
導く。一方、演算装置8は上記(3)式における係数γ
の数値を設定し(例えばγ=1.1とする)、該(3)
式に基づいて最適酸素供給量Zを演算し、その演算値を
電気信号に変換して第2酸素供給量調節装置36に入力
する。
【0073】還元処理塔2において、亜硝酸態窒素,硝
酸態窒素を還元して窒素ガス化するのに必要且つ充分な
量のメタノール量が供給されているので、通常は第2酸
化処理塔3に流入した処理水中には亜硝酸態窒素,硝酸
態窒素は含有されていない。その代わり、メタノール過
剰分が含有されている虞れがあるので、その過剰分を完
全に酸化分解するのに必要且つ充分な量の酸素量即ち最
適酸素供給量Zが演算装置8により演算されるのであ
る。
【0074】第2酸素供給量調節装置36は演算装置8
からの指令信号に基づき、最適酸素供給量Zに相当する
量の酸素がライン38を流れるように調節弁41を制御
する。ライン52を流れる酸素量は流量検出器43によ
って検出され、この実測流量が上記最適酸素供給量Zと
一致するよう調節弁41が制御される。かくしてコンプ
レッサー45で昇圧し、上記の如く設定された最適酸素
供給量の酸素を、ライン38を経て処理水に混合せし
め、第2酸化処理塔へ導く。ここで触媒の存在下に湿式
酸化反応を行なわせ、この湿式酸化処理により得られた
処理水、二酸化炭素ガス及び若干の窒素ガス等を第2酸
化処理塔3外に取り出し、気液分離器28へ導入する。
【0075】ここで、二酸化炭素ガス、窒素ガス等の気
体と処理水との気液2相に分離した後、二酸化炭素ガ
ス、窒素ガス等はライン29を経て処理水槽24に導か
れ、大気下に放出され、一方、処理水はライン30を経
て熱交換器15で冷却された後、処理水槽24に導か
れ、ライン47を経て放流される。この気液分離器28
においては、液面コントローラ31により液面を検出
し、液面制御弁32を作動させて一定の液面を保持する
と共に、圧力コントローラ33により圧力を検出し、圧
力制御弁34を作動させて一定の圧力を保持するように
操作される。
【0076】上記の如く気液分離器28により処理水槽
24に流入した処理水の一部をサンプリングし、アンモ
ニア態窒素濃度測定器48により処理水中のアンモニア
態窒素濃度を連続測定すると共に、亜硝酸態窒素・硝酸
態窒素濃度測定器49により亜硝酸態窒素・硝酸態窒素
濃度を連続自動測定する。それぞれの測定値は電気信号
として出力され、演算装置8に入力される。
【0077】演算装置8は上記各濃度の測定値に基づい
て上記(1)式、(2)式の係数α、βの値を修正し、
それにより各式に基づき最適酸素供給量X、最適メタノ
ール供給量Yを演算して求める。この演算結果が修正さ
れた最適酸素供給量或いは最適メタノール供給量とな
る。
【0078】これらの演算結果は電気信号に変換されて
第1酸素供給量調節装置35、及びメタノール供給量調
節装置37に入力され、これらの調節装置35、37に
おいては修正された最適酸素供給量或いは最適メタノー
ル供給量がそれぞれライン13、39を通して供給され
るように調節弁40の制御或いはポンプ46のストロー
ク等の制御が行なわれる。
【0079】尚、係数α、βの修正は、廃水流量検出器
10の流量信号から積算した流量積算値が、タンク4出
口より第1酸化処理塔1、還元処理塔2、第2酸化処理
塔3を経由し、処理水ライン47に至る間の有効滞留容
積に達する毎に、濃度測定器48、49へのサンプリン
グ遅れ時間と、これらの測定器における分析所要時間を
加えた時間間隔で周期的に繰り返される。
【0080】本発明において、第1酸化処理塔、第2酸
化処理塔への酸素供給量の調節及び還元処理塔への有機
物供給量の調節は、これを必ずしも行なう必要はなく、
それらの供給量を一度設定した後は、以後固定値として
もよい。
【0081】即ち、アンモニア態窒素を酸化するための
酸素量及び亜硝酸態窒素、硝酸態窒素を還元するための
有機物量並びに余剰分の有機物を酸化するための酸素量
については、それぞれを過剰に供給することにより、ア
ンモニア態窒素濃度の変動に伴う上記各供給量の制御を
不要ならしめることができる。
【0082】そのためには、例えば廃水中のアンモニア
態窒素濃度の過去の測定データに基づいてその濃度の上
限値及び下限値を予め予測しておき、第1酸化処理塔に
対しては、アンモニア態窒素濃度が上限値である場合
に、アンモニア態窒素の全量を完全に酸化するに充分な
酸素量(即ち、完全に酸化するに必要な理論量よりも過
剰の酸素量)を設定する。この酸素量は、上記(1)式
に基づき求めることができる。
【0083】上記酸素量における酸素を第1酸化処理塔
1へ供給するが、該酸素供給量は固定値として設定し、
以後、継続的に同一量の酸素を供給するようにする。
尚、この場合、廃水の流量:Qが一定で変動しない場合
は実際に供給する酸素量、即ち前記(1)式により計算
される最適酸素供給量:Xを固定値としてよいが、廃水
の流量:Qが変動する場合は前記(1)式において流
量:Qを除いた部分を固定値として設定すればよい。
【0084】上記の如く、アンモニア態窒素濃度が上限
値である場合を基準として酸素供給量を設定しているの
で、アンモニア態窒素濃度が変動しても酸素供給不足は
招かず、アンモニア態窒素が処理水中に残存するような
ことはない。而して、廃水中のアンモニア態窒素濃度が
変動する場合でも、アンモニア態窒素濃度の上限値を予
め予測しておき、この上限値に対応する理論酸素要求量
に対して1〜2倍、好ましくは1.1〜1.5倍量の酸
素を常時供給することにより、廃水中のアンモニア態窒
素濃度を監視しなくても常に確実なアンモニア態窒素の
酸化処理を行なうことができ、その結果、変化するアン
モニア態窒素濃度を監視する必要がなくなり、酸素供給
量の制御が不要となる。
【0085】また、還元処理塔に対しては、第1酸化処
理塔への上記酸素供給量下において、アンモニア態窒素
濃度が下限値である場合に生成する硝酸態窒素濃度を予
め実験によって求めておき、生成するこれらの窒素の全
量を完全に還元するに充分なメタノール量(即ち、完全
に還元するに必要な量よりも過剰のメタノール量)を設
定する。このメタノール量は上記(2)式に基づき求め
ることができる。但し、前述の如く(2)式で求められ
るメタノール供給量:Yは、硝酸態窒素1g当たりに供
給するべきメタノール量であるから、還元処理塔に実際
に供給するメタノール量は、これに上記生成する硝酸態
窒素濃度及び還元処理塔に流入する処理水の流量をそれ
ぞれ乗じた値である。
【0086】上記メタノール量におけるメタノールを還
元処理塔2へ供給するが、該メタノール供給量は固定値
として設定し、以後、継続的に同一量のメタノールを供
給するようにする。
【0087】本発明者等の研究によれば、アンモニア態
窒素濃度の上限値と下限値との間に極端な差がない限
り、上述の如く第1酸化処理塔に対してアンモニア態窒
素濃度の上限値に対応して過剰量の酸素を供給する場合
において廃水中のアンモニア態窒素濃度が下限値になっ
た時、即ち、アンモニア態窒素に対する酸素の供給量が
最過剰になった時に、硝酸態窒素が最も多量に生成
(尚、亜硝酸態窒素は殆ど生成されない)されることが
わかった。従って上記の如く、アンモニア態窒素濃度が
下限値である場合に生成する硝酸態窒素の量を基準とし
てメタノール供給量を設定することにより、硝酸態窒素
濃度が変動してもその濃度は上記下限値における硝酸態
窒素濃度より低いため、メタノール供給不足は招かず、
硝酸態窒素が処理水中に残存するようなことはない。而
して、アンモニア態窒素濃度の上限値に対応する酸素供
給量下においてアンモニア態窒素濃度が下限値である場
合に生成する硝酸態窒素の濃度を予め測定又は予測し、
その値に基づいて理論メタノール要求量を算出し、算出
された理論メタノール要求量の1〜3倍、好ましくは
1.1〜2.0倍量のメタノールを常時供給することに
より、流入水中の硝酸態窒素濃度を監視しなくてもこの
酸化態窒素を確実に還元・除去することができ、その結
果、変化する硝酸態窒素濃度を監視する必要がなくな
り、メタノール供給量の制御が不要となる。
【0088】更に、第2酸化処理塔に対しては、上記メ
タノール供給量下における該メタノールの全量を完全に
酸化する(即ち、上記還元処理塔において消費されたメ
タノール量を考慮することなく、還元処理塔に供給した
メタノール全量を完全に酸化する)に充分な酸素量(即
ち、完全に酸化するに必要な量よりも過剰の酸素量)を
設定する。この酸素量は、上記(3)式を修正した下記
式により求めることができる。 Z’=1.5×1.9×β×γ・・・・・(4) 1.5:メタノールの酸化分解における理論酸素要求量
〔g−O/g−Me〕 1.9:硝酸態窒素の湿式還元における理論メタノール
要求量〔g−Me/g−N〕 β:係数(1.0〜3.0) γ:係数(1.0〜1.2)
【0089】上記酸素量における酸素を第2酸化処理塔
3へ供給するが、該酸素供給量は固定値として設定し、
以後、継続的に同一量の酸素を供給するようにする。但
し、(4)式で求められるZ’の値は、上記(3)式と
同様に硝酸態窒素1g当たりに供給すべき酸素の量であ
るから、実際に供給する酸素量はこれにアンモニア態窒
素濃度が下限値である場合に生成する上記硝酸態窒素濃
度と第2酸化処理塔に流入する処理水の流量をそれぞれ
乗じた値である。
【0090】上記の如く、第2酸化処理塔におけるメタ
ノールの酸化に当っては、前段の還元処理塔において消
費されたメタノール量を考慮することなく、還元処理塔
に供給したメタノール全量を完全に酸化するに充分な酸
素量を設定し、該酸素量を第2酸化処理塔へ供給する。
このように、還元処理後の処理水中に残存するメタノー
ル量を基準として酸素量を設定するのではなく、還元処
理塔に供給したメタノール全量を基準として酸素量を設
定し、これを第2酸化処理塔に供給するものであるか
ら、処理水中の残存メタノール量が変動しても酸素供給
不足は招かず、処理水中にメタノールが残存する虞れは
全くない。従って、変化するメタノール濃度を監視する
必要がなくなり、第2酸化処理塔への酸素供給量の制御
が不要となる。
【0091】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 実施例1 まず、以下の如くして触媒を調製した。 触媒調製例1(酸化触媒) 硝酸ジルコニル水溶液に硝酸第二鉄と硝酸パラジウムを
添加し、アンモニアを加えてpHを9とし、これをろ過
洗浄して得られたケーキを乾燥させて700℃で焼成
後、粉砕して鉄−ジルコニウム−パラジウムの酸化物粉
体を得た。かくして得られた酸化物粉体にでんぷん、水
を加えてよく混合した後、ペレット状(円筒形、平均径
5mm、長さ6mm)に成型し、乾燥後、400℃で4
時間焼成した。得られた完成触媒の組成は、重量比でF
2 3 :ZrO2 :Pd=79.5:20:0.5で
あった。 触媒調製例2(還元触媒) 市販のジルコニウム酸化物粉体に塩化白金酸を加えてよ
く混合した後、ペレット状(円筒形、平均径5mm、長
さ6mm)に成型し、乾燥後、400℃で4時間焼成し
た。得られた完成触媒の組成は、重量比でジルコニウム
酸化物:白金=99.6:0.4であった。触媒調製例
1で得られた触媒0.5リットルを第1酸化処理塔1
に、0.2リットルを第2酸化処理塔3にそれぞれ充填
した。また触媒調製例2で得られた触媒0.5リットル
を還元処理塔2に充填した。
【0092】次に、図1に示す本発明装置を用いて、同
図に示すフローに従って、下記に示す組成からなる廃水
を処理した。尚、処理に際しては、第1酸化処理塔への
空気供給量を廃水中のアンモニア態窒素濃度の変動に応
じて最適に制御し、また還元処理塔へのメタノール供給
量及び第2酸化処理塔への酸素供給量を、それぞれ還元
処理塔入口の硝酸態窒素濃度の変動に応じて制御した。 廃水組成 (NH4 2 SO4 : 4000〜6000mg/L
(848〜1270mgN/L) Na2 CO3 : 3200〜4800mg/L 但し、(NH4 2 SO4 :Na2 CO3 =1:1(モ
ル比) 本発明装置の運転条件は以下の通りである。 廃水の流量:1L/hr 第1及び第2酸化処理塔1,3における反応用ガス:
空気 還元処理塔2における還元剤:1%メタノール溶液 第1酸化処理塔1の入口温度:260℃ 還元処理塔2の入口温度:250℃ 第2酸化処理塔3の入口温度:240℃ 気液分離器17における圧力コントローラ20による
圧力制御:75kg/cm2 G 気液分離器28における圧力コントローラ33による
圧力制御:72kg/cm2 G 上記の如き条件の下で、24時間毎に廃水濃度を上記廃
水組成に示す数値範囲内において変動させ、上述のよう
に第1及び第2酸化処理塔1、3への空気供給量の制
御、並びに還元処理塔へのメタノール供給量の制御を行
ないながら、100時間の連続処理テストを行なった。
廃水中のアンモニア態窒素濃度及び処理水中のアンモニ
ア態窒素濃度、硝酸態窒素濃度、メタノール濃度の経時
変化を図2に示す。尚、亜硝酸態窒素は処理水中に検出
されなかった。
【0093】図2に示す結果によれば、処理水中にアン
モニア態窒素、硝酸態窒素及びメタノールのいずれも含
有されず、処理水質は極めて良好なことが判る。尚、硝
酸態窒素が僅かに検出されているプロット部分がある
が、これは廃水中のアンモニア態窒素濃度の急激な変化
に基づくものである。しかし現実には廃水中のアンモニ
ア態窒素濃度がこのように突如急激に変化するようなこ
とはありえないので、実際には上記の点はほとんど無視
でき、しかも検出後直ちに消失しているところをみる
と、硝酸態窒素は湿式還元により完全に窒素ガス化して
いると認められる。
【0094】実施例2 実施例1と同様の装置を用いて、実施例1におけると同
様の組成からなる廃水を処理した。但し、第1酸化処理
塔への空気供給量は廃水のアンモニア態窒素濃度が上限
値(1270mgN/L)である場合に、アンモニア態
窒素の全量を完全に酸化するに充分な量に固定し、還元
処理塔へのメタノール供給量は、廃水のアンモニア態窒
素濃度が下限値(848mgN/L)である場合に生成
する硝酸態窒素の濃度を予め実験によって求め(21.
2mgN/Lであった)、この生成する硝酸態窒素の全
量を還元するに充分な量に固定し、更に、第2酸化処理
塔への酸素供給量は、上記還元処理塔に供給したメタノ
ールの全量を完全に酸化するに充分な量に固定した。
【0095】装置の運転条件は以下の通りである。 廃水の流量:1L/hr 第1酸化処理塔1における反応用ガス:空気 8NL
/hr〔前記(1)式における係数αを1.1に設定〕 第2酸化処理塔3における反応用ガス:空気 0.3
NL/hr〔前記(4)式における係数γを1.2に設
定〕 還元処理塔2における還元剤:1%メタノール溶液
0.06g/hr〔前記(2)式における係数βを1.
5に設定〕 第1酸化処理塔1の入口温度:260℃ 還元処理塔2の入口温度:250℃ 第2酸化処理塔3の入口温度:240℃ 気液分離器17における圧力コントローラ20による
圧力制御:75kg/cm2 G 気液分離器28における圧力コントローラ33による
圧力制御:72kg/cm2 G 実施例1と同様、24時間毎に廃水濃度を廃水組成に示
す数値範囲内において変動させ、100時間の連続処理
テストを行なった。その結果、処理水中に、アンモニア
態窒素、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素、メタノールは全く
検出されなかった。
【0096】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、廃水中
のアンモニア態窒素を湿式酸化する第1酸化処理塔と、
第1酸化処理塔においてアンモニア態窒素を酸化するに
必要且つ充分な量の酸素を供給することに伴って生成す
る硝酸態窒素あるいは生成する可能性のある亜硝酸態窒
素を湿式還元する還元処理塔と、該湿式還元処理に用い
られる還元剤の過剰分を酸化分解する第2酸化処理塔と
を備えてなるものであるから、1つの反応塔で廃水中の
アンモニア態窒素の酸化処理を行なう機構の装置に比べ
て運転管理が容易であり、操作も簡便である。
【0097】而して本発明によれば、廃水組成の変動に
対応して行なわれる酸素供給量の制御に当たっても厳密
な制御は不要となり、アンモニア態窒素濃度を常時監視
する必要がなくなる。しかもこのような酸素供給量の厳
密な制御を行なわなくても全窒素の除去を完全且つ効率
良く行なうことができ、水質良好な処理水を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の実施例を示す略図である。
【図2】本発明装置を用いて廃水処理を行なった場合の
結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 第1の酸化処理塔 2 還元処理塔 3 第2の酸化処理塔
フロントページの続き (72)発明者 大内 磐 東京都文京区本郷5丁目5番16号 オル ガノ株式会社内 (72)発明者 三井 紀一郎 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地 の1 株式会社日本触媒 触媒研究所内 (72)発明者 池田 光明 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地 の1 株式会社日本触媒 触媒研究所内 (56)参考文献 特開 平2−265696(JP,A) 特開 平6−39380(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/70 C02F 1/74

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アンモニア態窒素を含有する廃水を処理
    して窒素除去を行なう廃水処理装置であって、廃水中の
    アンモニア態窒素を触媒の存在下に湿式酸化処理して分
    解除去するための第1の酸化処理塔と、上記アンモニア
    態窒素の湿式酸化処理の際に生じた亜硝酸態窒素、硝酸
    態窒素を、水素供与体として有機物を添加して触媒の存
    在下に湿式還元処理して除去するための還元処理塔と、
    上記亜硝酸態窒素、硝酸態窒素の湿式還元処理の際に添
    加した有機物の過剰分を湿式酸化処理して分解除去する
    ための第2の酸化処理塔とから構成されることを特徴と
    するアンモニア態窒素含有廃水の処理装置。
  2. 【請求項2】 廃水を第1酸化処理塔へ流入せしめる送
    液経路における任意の位置に、廃水中のアンモニア態窒
    素濃度を測定するアンモニア態窒素濃度測定器及び廃水
    の流量を測定する廃水流量検出器をそれぞれ設け、且つ
    アンモニア態窒素濃度測定値C及び廃水流量測定値Qに
    基づいて計算される基準酸素供給量に係数αを乗じて最
    適酸素供給量を演算し、設定する演算装置を設けると共
    に、該演算装置において設定された最適酸素供給量を信
    号値として入力し、第1酸化処理塔への酸素供給量の調
    節を行なう第1の酸素供給量調節装置を設けた請求項1
    記載のアンモニア態窒素含有廃水の処理装置。
  3. 【請求項3】 演算装置は下記(1)式に基づいて最適
    酸素供給量を計算するものである請求項2記載のアンモ
    ニア態窒素含有廃水の処理装置。 X=1.71×C×Q×α・・・・・・(1) 但し、 X:アンモニア態窒素除去に係る最適酸素供給量〔g−
    O/hr〕 1.71:アンモニア態窒素単位重量当りの理論酸素要
    求量〔g−O/g−N〕 C:廃水中のアンモニア態窒素濃度〔g−N/m3 〕 Q:廃水の流量〔m3 /hr〕 α:係数(α=1.0〜2.0)
  4. 【請求項4】 第1酸化処理塔における湿式酸化処理に
    より得られた処理水を還元処理塔へ流入せしめる送液経
    路における任意の位置に、処理水中の亜硝酸態窒素・硝
    酸態窒素濃度を測定する亜硝酸態窒素・硝酸態窒素濃度
    測定器を設けると共に、亜硝酸態窒素・硝酸態窒素濃度
    測定値に基づいて演算装置により最適有機物供給量を演
    算し、設定する制御機構を設け、且つ演算装置において
    設定された最適有機物供給量を信号値として入力し、還
    元処理塔への有機物供給量の調節を行なう有機物供給量
    調節装置を設けた請求項1〜3のいずれかに記載のアン
    モニア態窒素含有廃水の処理装置。
  5. 【請求項5】 演算装置により第2酸化処理塔への最適
    酸素供給量を演算し、設定する制御機構を設け、且つ演
    算装置において設定された最適酸素供給量を信号値とし
    て入力し、第2酸化処理塔への酸素供給量の調節を行な
    う第2の酸素供給量調節装置を設けた請求項1〜4のい
    ずれかに記載のアンモニア態窒素含有廃水の処理装置。
  6. 【請求項6】 第1酸化処理塔における湿式酸化処理に
    より得られた処理水が第1酸化処理塔より流出した後の
    経路における任意の位置に、処理水中のアンモニア態窒
    素濃度を測定するアンモニア態窒素濃度測定器を設け、
    且つ該処理水中のアンモニア態窒素濃度測定値に基づい
    て演算装置が係数αの値を修正し、それにより修正され
    た最適酸素供給量を演算し、その演算結果を信号値とし
    て第1の酸素供給量調節装置に出力する制御機構を設け
    た請求項2又は3記載のアンモニア態窒素含有廃水の処
    理装置。
  7. 【請求項7】 還元処理塔における湿式還元処理により
    得られた処理水が還元処理塔より流出した後の経路にお
    ける任意の位置に、処理水中の亜硝酸態窒素・硝酸態窒
    素濃度を測定する亜硝酸態窒素・硝酸態窒素濃度測定器
    を設け、且つ該処理水中の亜硝酸態窒素・硝酸態窒素濃
    度測定値に基づいて演算装置により修正された最適有機
    物供給量を演算し、その演算結果を信号値として有機物
    供給量調節装置に出力する制御機構を設けた請求項4記
    載のアンモニア態窒素含有廃水の処理装置。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の処理装置を用いてアン
    モニア態窒素含有廃水を処理するにあたり、第1酸化処
    理塔に対しては、廃水中のアンモニア態窒素濃度の予測
    される上限値に対してそのアンモニア態窒素の全量を完
    全に酸化するに充分な量の酸素を常時供給し、還元処理
    塔に対しては、第1酸化処理塔への上記酸素供給量下に
    おいて、廃水中のアンモニア態窒素濃度が予測される下
    限値に達した時に生成する硝酸態窒素の全量を完全に還
    元するに充分な量の有機物を常時供給し、更に第2酸化
    処理塔に対しては、還元処理塔への上記有機物供給量下
    において、該有機物の全量を完全に酸化するに充分な量
    の酸素を常時供給するように構成したことを特徴とする
    アンモニア態窒素含有廃水の処理方法。
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