JP3748705B2 - 複合式燃焼装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば給湯機能と追焚き機能等の複数の機能を備えた複合式燃焼装置に係り、特にそのパイロットバーナ用の電磁弁を省略して省電力をはかることができる改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の複合式燃焼装置は、図10に示すように構成されている。
図において、この燃焼装置は複合式の給湯器であり、複合式給湯器1は、風呂の追焚き用のバーナ1と給湯用のバーナ2を備えており、それぞれ風呂用の熱交換器3と給湯用の熱交換器4とを加熱して、風呂の追焚きと給湯の二つの機能を備えるようになっている。
【0003】
風呂用の熱交換器3は、バーナ1にて加熱されると、浴槽16の湯が循環する自然循環式の風呂釜で構成されている。
【0004】
一方、給水管6は、水ガバナ7が収容されたダイヤフラムケース7bに接続されている。そして、ダイヤフラムケース7bの内部には、通水の水流の差圧で動くダイヤフラム7aが収容されており、このダイヤフラム7aでダイヤフラムケース7b内は高圧側と低圧側との画成されている。したがって、通水時に差圧で動くダイヤフラム7aに取り付けられた水ガバナ7により、水圧が変わっても水量がほぼ一定に維持される。またダイヤフラムケース7b内の通路内には湯温つまみ8が接続されて、給水量を調整できるようになっている。
【0005】
また、ダイヤフラムケース7b内のら水ガバナ7をへて、水圧に対して水量が一定となった後に水通路は給湯管31を通り、給湯側熱交換器4に向かって流れる。一方ダイヤフラムケース7の低圧側には、バイパス管6aが接続され、このバイパス管6aは上記給湯管31に接続されている。ダイヤフラムケース7bの低圧側と高圧側は、熱交換器4またはオリフィス81を介してつながっているので、通水がない時には、低圧側と高圧側の圧力は給水圧力と一致し、ダイヤフラム7aは中央に位置して移動しない。通水があると熱交換器4またはオリフィス81の圧力損失分だけ水圧に差を生じ、ダイヤフラム7aが右側に動き、水流が給水圧に応じて多く流れようとすると、水ガバナが水路を塞いで流量をコントロールするようになっている。
【0006】
さらに、給湯管31には水流スイッチ9が接続されており、次の三箇所に給湯できるようになっている。
すなわち、水流スイッチ9の下流には第1の出湯管12と、出湯栓切り替えレバー11を介してシャワー管13及び第2の出湯管14が接続され、給湯管31と第2の出湯管14の間には水電磁弁10を介してバイパス管14aが設けられている。
【0007】
一方、風呂および給湯の各バーナに対して燃料供給を行う燃料供給系は、図示しないガス供給源から延びるガス管に接続されて、ガス供給系を開閉するための元ガス電磁弁18を備えている。この元ガス電磁弁18の下流は、分岐箇所37にて給湯用ガス管34と風呂用ガス管35とパイロット用ガス管36の三つに分岐している。
【0008】
給湯用ガス管34は、給湯用ガスガバナ19介して給湯用ガスの開閉弁である第1の電磁弁23と、第2の電磁弁24とが接続されて、さらに給湯用ガスバーナ2に接続されている。そして、この第2の電磁弁24は、上述の湯温つまみ8に連動している。
【0009】
風呂用ガス管35は、風呂用ガスガバナ20を介して、風呂ガス電磁弁29が接続され、さらに風呂用ガスバーナ1に接続されている。
パイロット用ガス管36は、パイロット用ガス電磁弁22を介してパイロット用バーナ21に接続されている。
このパイロット用バーナ21は、上述の風呂用及び給湯用バーナに隣接して配置されており、パイロット用バーナの火炎は、風呂用及び給湯用の各バーナの点火に際して、これらバーナに火を移すことができるようになっている。
【0010】
したがって、この複合式給湯器の各燃焼に先立って、このパイロット用バーナに点火動作をさせるために、点火手段として、点火電極27と、この点火電極27に高電圧を送るイグナイタ28と、パイロットバーナ21に燃焼火炎を検出するフレームロッド26及び/または熱電対25が設けられている。
【0011】
以上のように構成された複合式給湯器1では、給湯運転にあっては、使用者が給湯栓切替えレバーを操作して水路を閉の位置から出湯側等に切り換えると、水流スイッチ9がオンして以下の動作が行われる。あるいは、風呂運転においては、使用者が図示しない風呂スイッチを押すことにより以下の動作が行われる。
すなわち、内蔵電池の電力により、元ガス電磁弁18及びパイロットガス電磁弁22を開いて、パイロットバーナ21に燃料ガスを供給し、点火装置(イグナイタ)28の高電圧を電極27から火花放電することによって、パイロットバーナ21に点火する。
そして、このパイロットバーナ21の火炎は、給湯用ガスバーナ2及び/または風呂用バーナ1を燃焼するために、この燃焼に先立って燃焼されることで、これらふたつのバーナの燃焼の際には、燃料ガスに点火する機能を果たす。
また、このパイロット用ガス管36には、分岐部37の後段にパイロット用電磁弁22を設けていることから、給湯や風呂運転の運転・停止ごとに、このパイロットバーナ21を燃焼させたり、消火させたりするようになっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような複合式給湯器1においては、上記したように器具内に多数の電装品を備えている。そして、特に上記パイロットバーナに対応して、パロット用に電磁弁22を設けて、これを図示しない内蔵電池の電力で駆動していることから、パイロットバーナの燃焼のたびに電力を消耗するという問題があった。
すなわち、内蔵電池に蓄積された電力には限りがあることから、省電力をはからなければならいないところ、上述のように駆動頻度の多いパイロットバーナ用のガス管を電磁弁で開閉すると、その分内蔵電池の電力を消耗してしまう。
また、パイロットバーナ21は、給湯や風呂運転の運転切り替えごとに消火しないで、つけたままにして、パイロット用電磁弁22を省略する方法も考えられる。
【0013】
しかし、このようにすると、運転が中断したときにも、パイットバーナ21は燃焼したままとなり、続いて給湯運転すると、給湯用熱交換器4も加熱されているので、給湯運転開始と同時に給湯用熱交換器4内の高温の湯が出湯されて(後沸きという現象)、危険であるという問題もある。
また、パイロットバーナ21が常時燃焼していると、その分燃料の消費が増大し、無駄に燃料を消費してしまう。
【0014】
この発明は、上記課題を解決するためになされたもので、給湯運転開始にともなう後沸き現象を防止して、同時に省電力及び省燃費をはかることができる複合式燃焼装置を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、請求項1の発明によれば、第1のバーナ及び第2のバーナに隣接して配置したパイロットバーナと、前記各バーナにそれぞれ燃料ガスを供給する燃料供給系と、前記第1及び第2のバーナの一方に関連して設けた給湯管に接続した水流検知手段と、この燃料供給系を開閉する元ガス電磁弁とを備えており、前記燃料供給系のパイロットバーナ用のガス供給管を分岐させて、一方の分岐管は手動の器具栓装置を介して前記パイロットバーナへ接続され、他方の分岐管は通水の際の差圧を利用した水圧自動ガス弁を介して前記パイロットバーナへ接続され、前記元ガス電磁弁は、前記器具栓装置の開き操作及び/又は前記水流検知手段の検知結果により開動作するように構成されており、さらに、前記器具栓装置は、器具栓の動きに対応したガス弁を備えた器具栓装置であり、前記器具栓を手動で開き前記パイロットバーナに燃料ガスを送り、燃焼を開始すると、前記パイロットバーナの燃焼を検出する熱電対からの駆動電流を受けて、前記ガス弁の開状態を保持する構成とした複合式燃焼装置により、達成される。
【0016】
請求項1の構成によれば、例えば一方のバーナにより、風呂の追焚きを行う風呂燃焼運転の場合は、使用者が上記器具栓装置の弁体を開くと、これと連動して元ガス電磁弁が開く。これにより、パイロット用のガス供給管から一方の分岐管に燃料ガスが供給されて、パイロット用バーナに供給されることにより、所定のタイミングで点火動作を行うことでパイロットバーナの燃焼を行うことができる。
【0017】
また、他方のバーナにより例えば給湯燃焼運転を行う場合には、給湯栓を開くことで、給水管から水が送られると、給湯側の水流検知手段が作動し、これにより、元ガス電磁弁が開いてパイロット用ガス供給管に燃料ガスが送られる。次いで、水圧自動ガス弁から他方の分岐管に上記燃料ガスが送られる。この燃料ガスは、この他方の分岐管から、パイロット用バーナに供給されることにより、所定のタイミングで点火動作を行うことでパイロットバーナの燃焼を行うことができる。
このように、パイット用のガス供給管に専用の電磁弁を設けることなく、パイロットバーナの燃焼を制御することができ、さらに、専用の電磁弁を駆動するための電力を消費することもない。
【0021】
しかも、器具栓装置は、器具栓の動きに対応したガス弁を備えた器具栓装置であり、器具栓を手動で開き前記パイロットバーナに燃料ガスを送り、燃焼を開始すると、パイロットバーナの燃焼を検出する熱電対からの駆動電流を受けて、ガス弁の開状態を保持するようになっている。このため、点火動作後に使用者が器具栓から手をはなした後においても、ガス弁は開状態をたもち、燃料ガスが送られ続けるので、パイロットバーナは燃焼を継続することができる。この場合、ガス弁の開きを保持するための電力は、熱電対により供給されるので、内蔵電池等の消耗はない。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る複合式燃焼装置としての給湯器の主な構成を示す系統図であり、図10と同じ符号を付した箇所は、これとほぼ共通の構成である。
図において、複合式燃焼装置50は、複合式の給湯器であり、風呂の追焚き用のバーナ1と給湯用のバーナ2を備えていて、それぞれ風呂用の熱交換器3と給湯用の熱交換器4とを加熱して、風呂の追焚きと給湯の二つの機能を備えるようになっている。さらに、制御部62と、内蔵電池63を備えており、制御部62は後述するように複合式燃焼装置50の運転を制御するとともに、電池63の電力を必要とする電送品に供給する。
【0024】
この複合式燃焼装置50の風呂側は自然循環式風呂釜であり、燃焼の熱で浴槽16の温水が自然に循環し、加熱されるものである。
上記風呂用の熱交換器3は追焚き循環管路5に接続され、この追焚き管路5は循環金具15を介して浴槽16に接続されている。また、風呂用バーナ1には空焚き加熱防止装置64が設けられている。また、この部分を強制循環式に構成してもよく、この場合には、循環管路5には追焚きポンプや水流スイッチを設けるようにする。
【0025】
一方、給湯側を説明すると、給水管6はダイヤフラムケース7bに接続されている。水ガバナ7を収容するダイヤフラムケース7b内にはダイヤフラム7aが収容されている。
給水管6により供給された水はダイヤフラムケース7bに入った後に、管路6b,6cの2つに分岐して合流点6dに至る。管路6bは給湯用熱交換器4を通る管路であり、管路6cは、管路上に配置されたオリフィス(図示せず)を通って合流点6dに至るものである。オリフィスを通る管路6cは、熱交換器4のバイパス管である。ダイヤフラムケース7bの高圧側7dから出た水は、上記二つの管路6b,6cを通る間の圧損により圧力が下がる。したがって、合流点6dでの圧力(動圧)は、ダイヤフラムケース7bの高圧側7dよりも下がる。したがって、この合流点6dと給水圧との圧力差により、上記ダイヤフラム7aが動かされるようになっている。
【0026】
また、給水管6には、湯温つまみ8が接続されており、ダイヤフラムケース7bの下端には水抜き栓7cが設けられている。尚、ダイヤフラムケース7bの低圧側からは管路6aが延びて給湯管31に接続され合流点6dの圧力を受けられるようにしている。
上記ダイヤフラムケース7bは、ダイヤフラム7aにより高圧側7dと低圧側7eに区分けされている。この高圧側7dと低圧側7eとは、出湯栓が閉められているときには同圧だが、開かれた時には、低圧側7eは、熱交換器4内の圧損等の分だけ高圧側7dより圧力が下がる。
これにより、出湯栓が開かれて給水管6から通水があると、ダイヤフラム7aは上記圧力差に基づいて、図1において右側に動く。この動きを受けて、水圧自動ガス弁58の弁体71は、内蔵スプリングの付勢力に抗して右方に動き、後述する分岐管57からの燃料ガスをガス管69に送り、燃料ガスが流れるようになっている。つまり、水ガバナー7は通水時に生じる上記差圧によって動き、通水した時にのみ水圧自動ガス弁が開いて、管路69に燃料ガスを送る。
【0027】
さらに、給湯管31には、加圧逃がし装置59と検知手段としての水流スイッチ9が接続されており、次の三箇所に給湯できるようになっている。
すなわち、水流スイッチ9の下流には第1の出湯管12と、出湯栓切り替えレバー11を介してシャワー管13及び第2の出湯管14が接続され、給湯管31と第2の出湯管14の間には水電磁弁10を介してバイパス管14aが設けられている。また、給湯側に関連して器具内には給湯加熱防止装置65及び器体加熱防止装置61が設けられ、上記風呂側の空焚き加熱防止装置64と接続されている。尚、上記水流スイッチ9は、フローセンサ等の他の検知手段を用いてもよい。
【0028】
一方、風呂および給湯の各バーナに対して燃料供給を行う燃料供給系は、図示しないガス供給源から延びるガス管に接続されて、ガス供給系を開閉するための元ガス電磁弁68を備えている。この元ガス電磁弁68の下流は、給湯用ガス管34と風呂用ガス管35と第1のパイロット用ガス管36の三つに分岐している。
【0029】
給湯用ガス管34は、給湯用ガスガバナ19及び給湯用ガスの開閉弁である第1の電磁弁23を介して二組のバーナでなる給湯側バーナ2に接続されている。給湯側バーナ2は第1のバーナ2−1と第2のバーナ2−2で構成されており、第2のバーナ2−2には能力切り換え用の第2の電磁弁24が介設けられている。したがって、この能力切替え弁24を開閉することで、第1のバーナ2−1のみの燃焼と、第1及び第2のバーナの両方による高い能力による運転とを行うことができる。そして、この第2の電磁弁24は、上述の湯温つまみ8に連動している。
【0030】
風呂用ガス管35は、風呂用ガスガバナ20を介して、風呂ガス電磁弁29が接続され、さらに風呂用ガスバーナ1に接続されている。
第1のパイロット用ガス管36は、器具内の分岐箇所67にて、一方の分岐管56と他方の分岐管57とに分岐されている。
【0031】
上記他方の分岐管57は、水圧自動ガス弁58の上流側に接続されている。この水圧自動ガス弁58は、下流側に上記水ガバナ7の高圧側7eが接続されている。そして、水圧自動ガス弁58は、その弁体ケース内で弁体71が低圧側7dに向かって付勢されており、この弁体71は、ダイヤフラム7aが、通水による上述した差圧により右方に押されると、開いて、水圧自動ガス弁58の上流側から導入される燃料ガスは、下流側に接続されてパイロット用バーナ21まで延びる第2のパイロット用ガス管69に送りだされるようになっている。
これにより、後述するように、給湯運転がされた場合に、ダイヤフラム7a及び水圧自動ガス弁58の機能により、燃料ガスがパイロット用バーナ21に供給される。
【0032】
上記一方の分岐管56は、風呂燃焼運転に関連する。つまり、この一方の分岐管56は、器具栓装置51に接続されている。器具栓装置51が後述するように操作されて、ガス弁の弁体55が開くと、ガス出口から管路91に燃料ガスが送られる。管路91は、第2のパイロットバーナ用ガス管69に接続されているので、これによりパイロットバーナ21に燃料ガスが送られる。
このパイロット用バーナ21は、上述の風呂用及び給湯用バーナに隣接して配置されており、パイロット用バーナの火炎は、風呂用及び給湯用の各バーナの点火に際して、これらバーナに火を移すことができるようになっている。
【0033】
したがって、この複合式給湯器の各燃焼に先立って、このパイロット用バーナに点火動作をさせるために、点火手段として、点火電極27と、点火電極27に高電圧を送るイグナイタ28と、パイロットバーナ21に燃焼火炎を検出するフレームロッド26及び/または熱電対25が設けられている。図1においては、このフレームロッド26と熱電対25は、図示の都合上ひとつのものとして示されている。
【0034】
次に、複合式燃焼装置50の上記器具栓装置51と安全燃焼装置について説明する。
器具栓装置51は、風呂燃焼に際しての点火手段と、燃焼安全装置の一部を構成している。この器具栓装置51は、図4に示されているように、ケース51aの上端から露出した器具栓つまみ53と、器具栓つまみ53に連設した器具栓52を備えており、器具栓52の下端部にはケース51a内で磁力により吸着される金属で構成した弁体55とを備えている。そして、上記ケース51a内には、器具栓52を上方に付勢する付勢手段としてのスプリング53aと、弁体55を上方に付勢する付勢手段としてのスプリング53bとが収容されている。
上記ケース51aは、ガス出口71aとガス入口72とを備えており、上記弁体55は、このガス出口71aとガス入口72の境界を開閉するようになっている。また、ケース51aの下端には電磁石39が固定されており、この電磁石39は熱電対25に接続されている。
一方、器具栓52の動きを検知する検知手段としてのマイクロスイッチ78が配置されており、このマイクロスイッチ78は、図2の説明として後述するように、制御部62に接続されている。そして、後述するように、マイクロスイッチ78の動作により、制御部62は、元ガス電磁弁68に指示を与えるようになっている。
【0035】
これにより、後述するように、使用者が器具栓つまみ53を押し込んで、弁体55を下降させると図3(b)に示すように、金属製の弁体55は、ケース51a内でスプリング53bの張力に抗して下降して、上記境界を開くので、ガス入口72から導入された燃料ガスは境界をこえて上昇し、ガス出口71aから上述のようにパイロット用バーナ21に供給される。したがって、上記点火装置28と電極27により、燃料ガスに点火されることによって、パイロットバーナ21が燃焼を行う。そして、パイロットバーナ21の燃焼中は、熱電対25の起電力が電磁石39に与えられるので、電磁石39が所定の磁界を形成する。この磁界が弁体55を吸着する力は、上記スプリング53bよりも強く設定されているために、この磁界により、金属製の弁体55が吸着されるので、上記境界を開状態に保持することになる。したがって、使用者が器具栓つまみ53から手をはなしても、弁体55は開位置に保持される。
【0036】
これに対して、パイロット用バーナ21の燃焼が停止したり、後述ように、安全装置により熱電対25の起電力が消滅すると、図3(a)に示すように、電磁石39の磁界が消えて、スプリング53bの力により弁体55は上方に押されて、境界を塞ぐので、燃料ガスの供給が停止される。
【0037】
次に、上記熱電対25に関連して設けられる安全装置について説明する。
図4に示すように、熱電対25から延びる導通ラインの一端は上記構成でなる空焚き加熱防止装置64と接続され、この空焚き加熱防止装置64から延びる導通ラインはさらに器体加熱防止装置61に接続され、この器体加熱防止装置61からのびる導通ラインは給湯加熱防止装置65に入って、さらに熱電対25に戻るループを形成している。
【0038】
図4に示すように、給湯用熱交換器4の近傍に設けた給湯加熱防止装置65と風呂熱交換器3の近傍に設けた風呂の空焚き加熱防止装置64は、同じ構成でなり、図5を参照して説明する。
この加熱防止装置64,65は、ケース91の先端に露出して設けられ、熱膨張率の異なる二枚の金属板73a,73bを合わせて形成したバイメタル73と、このバイメタル73の金属板73aから下方に延びる押動バー73cの動作により開閉される接点74を有するバイメタルスイッチでなっている。
【0039】
加熱防止装置64,65は、作動前は図5(a)に示すように、バイメタル73はスイッチレバー74aを動作させることがないので、この状態では接点74は閉じており導通している。そして、周囲温度が上昇すると、バイメタル73を構成する二枚の金属板73a,73bは熱による膨張率の違いから、金属板73aは、73bよりも延びて、下方に凸の形状となり、図5(b)に示すように、バイメタル73の押動バーン73cがスイッチレバー74aの根元付近を下降させるので、接点74がオープンとなり、電気的導通が切れるようになっている。
【0040】
さらに、図4に示した器体加熱防止装置61は図7に詳しく示されている。
図7(a)において、器体加熱防止装置61カンケース81の両端に上記導通ラインのそれぞれの一端を形成する一方のリード線82と他方のリード線83が接続されている。リード線83は、ケース81内に充填された感温ペレット84を貫通して金属製の円板84aに接触している。
一方、ケース81の他端から入るリード線82は、ケース81内でスプリング26により右方向に押された可動電極85に接続しており、可動電極85に隣接して円板85aが配置されている。そして、円板84aと85aの間には導通金属でなるスプリング87が配置されている。
【0041】
ここで、器体加熱防止装置61の周囲温度が上昇し、例えば摂氏188度を越えると、ケース81内で感温ペレット84が溶解し、図7(b)に示すように、スプリング86,87が延びてしまう。これにより、可動電極85は奥側に押されて、リード線82と接触しなくなることから、リード線82と83の間の導通が切れるようになっている。
【0042】
したがって、このような燃焼安全装置では、空焚き加熱防止装置64,器体加熱防止装置61,給湯加熱防止装置65のいずれかにおいて、導通が切れると、図4の熱電対25の起電力は、上記器具栓装置51の電磁石39へ駆動電流が供給されなくなる。これにより、弁体55はスプリング53aにより押し上げられて、ガス入口72とガス出口71aの間の境界を塞ぐので、パイロットバーナ21に対する燃料ガスの供給が停止されようになっている。
【0043】
また、図4の過圧逃がし装置59は、図6に示すように構成されている。
図6の(a)に示すように、過圧逃がし装置59は、給湯用熱交換器4の給湯管路78内に第1の開口77aを有し、外部と連通する第2の開口77bを備えるケース75と、第1の開口77aを塞ぐ弁体76と、この弁体76を第1の開口77aに押しつける付勢手段としてケース75内に収容されたスプリング79とを有している。
【0044】
通常の状態においては、図6の(a)に示すように、弁体76は第1の開口77aを塞いでいる。ここで、給湯用熱交換器4内の圧力が高まり管路78の圧力が高まると、この圧力は図6(b)に示すように、弁体76をスプリング79の付勢力に抗して外側に押す。これにより、弁体76は第1の開口77aを開いて、高圧の蒸気を第2の開口77bから外部に排出する。これによって、熱交換器4の一部がやぶれて破損するといった事態を有効に回避できるようになっている。
【0045】
図2は制御部62による複合式燃焼装置50の電気的構成の要部を示すブロック図である。
図において、制御部62は、後述する制御内容を行わせるために、所定のリレー回路等で構成してもよいし、CPUとその制御内容を記憶させた不揮発性のメモリを内蔵して構成してもよい。以下は、CPUと制御プログラムを用いた例を中心に説明する。
【0046】
制御部62には、点火手段として、イグナイタ28と電極27が接続されている。また制御部62には、火炎検出手段としてのフレームロッド26が接続されている。このフレームロッド26は、火炎の整流作用を利用して火炎の燃焼を検出するためのものである。フレームロッド26には、制御部62に接続された内蔵電池63の供給する電力を制御部62内のコンデンサやトランス等で構成した所定の昇圧手段で昇圧して、供給するようになっている。したがって、制御部62はフレームロッド26を用いて検出するために所定のタイマを内蔵し、所定の時間,例えば30秒間隔で上記電力供給を行い、間欠的に火炎検出をすれば、省電力をはかることができる。
また、フレームロッド26ではなく、熱電対25を利用して上記と同様の方法で火炎検出をおこなってもよく、その場合はフレームロッド26を省略することができる。
【0047】
さらに、制御部62には、給湯側の水流スイッチ9が接続されている。また、制御部62には、上記内蔵電池63が接続されている。
【0048】
さらに、制御部62には、熱電対25と、器具栓装置51、検知手段としてのマイクロスイッチ78と、元ガス電磁弁68が接続されている。制御部62は、器具栓装置51の器具栓が手動で操作されたときには、これをマイクロスイッチ78で検知して、元ガス電磁弁68に内蔵電池63から駆動電流を送り、その弁体を開くようになっている。
【0049】
そして、これらの動作を含めて、上述した安全動作を行うために、制御部62と、熱電対25と、器具栓装置51と、検知手段(マイクロスイッチ)78と、空焚き過熱防止装置64と、器体過熱防止装置61と、給湯過熱防止装置65とにより安全燃焼装置92を構成するようになっている。
【0050】
次に、この複合式燃焼装置50の点火動作の一例を図8及び図9を参照しながら説明する。
図8は、複合式燃焼装置50の給湯運転を行うさいの点火動作の例を示している。
図において、使用者は、図1の符号12,13,14のうちのひとつまたは複数の出湯栓(図示せず)を開く(ST1)。
これにより、給水管6から導入された水は、水ガバナ7を通って給湯管31を通り、水流スイッチ9をオンさせる(ST2)。この水流スイッチ9のオン信号は制御部62に伝えられ、制御部62は、元ガス電磁弁68に内蔵電池63の駆動電流を供給して、その弁体を開く(ST3)。
これにより、ガス供給系17は、給湯ガバナ19を介して、給湯ガス管34へ燃料ガスを送り込む。
【0051】
次いで、給水中の水流の流れで生じる差圧によりダイヤフラム7aが図1の右方向に移動し、この移動は水圧自動ガス弁58の弁体71に伝えられ、他方の分岐管57からの燃料ガスが第2のパイロット用ガス管69を介して、パイロットバーナ21に送られる。
次に、制御部62は点火手段としての点火装置28を動作させて火花放電することにより、パイロット用バーナ21に点火する(ST5)。
【0052】
続いて、制御部62はフレームロッド26にて、パイロットバーナ21の着火を確認する(ST6)。尚、着火が確認できない場合は、例えば所定時間の間上記点火動作を繰り返しおこない、それでも着火が確認できない場合には、元ガス電磁弁68の駆動電流を切る。これにより、燃料ガスが燃料供給系から送られなくなるので、ガスが器具内にたまることがない。
【0053】
そして、制御部62は、ST6の火炎検出により着火が確認されたら、給湯ガス管34の第1の電磁弁23を開く(ST8)。
【0054】
これにより、給湯用バーナ2に、これと隣接したパイロットバーナ21の火が火移りして、給湯用バーナ2に着火する(ST9)。尚、このときの湯温調節つまみ8の位置に応じて、制御部62は能力切替え弁である第2の電磁弁24を開いて、最大能力の燃焼をおこなう。
【0055】
また、給湯栓が閉じられると、水流がとまり水圧自動ガス弁58は、上記と逆に動作するので、パイロット用ガス管36の燃料ガスは、水圧自動ガス弁58の位置で止められる。これによりパイロットバーナ21の燃焼が停止して、熱電対25の起電力が止まるのと同時に、水流スイッチ9のオフ信号が制御部62に入る。制御部62は、第1の給湯ガス電磁弁23と第2の給湯ガス電磁弁24及び元ガス電磁弁68を閉じる。これにより、燃料供給系からの燃料ガスの供給が停止する。
【0056】
図9は、複合式燃焼装置50の風呂の追焚き燃焼運転を行うさいの点火動作の例を示している。
図において、使用者が器具栓装置51の器具栓つまみ53(図4参照)を押し込むと(ST11)、この押し込んだ力により器具栓装置51内の弁体55を開く。また、器具栓装置51の器具栓つまみ53が押し込まれたことにより、マイクロスイッチ78がオンして、このオン信号を制御部62が受け、制御部62は元ガス電磁弁68を開く(ST13,14)。
【0057】
これにより、燃料供給系17からの燃料ガスが元ガス電磁弁68を通り、第1のパイロット用ガス管36から、器具栓装置51に送られる。器具栓装置の弁体55は上述した原理で燃料ガスを第2のパイロット用ガス管69を介して、パイロットバーナ21に送る。
【0058】
次いで、制御部62は、器具栓つまみ53の動きが上述のようにマイクロスイッチ78に伝えられることにより、そのオン信号を受けて、点火手段としての点火装置28を動作させて火花放電し、パイロット用バーナ21に点火する(ST15)。
【0059】
続いて、制御部62はフレームロッド26にて、パイロットバーナ21の着火を確認する(ST16)。尚、着火が確認できない場合は、例えば所定時間の間上記点火動作を繰り返しおこない、それでも着火が確認できない場合には、元ガス電磁弁68の駆動電流を切る。これにより、燃料ガスが燃料供給系から送られなくなるので、ガスが器具内にたまることがない。
【0060】
ST16で火炎検出し始めると、同時に熱電対25は、器具栓装置51の電磁石39に駆動電流を送りはじめ、その弁体55を開状態に保持する。これにより、燃料供給系からの燃料ガスは、パイロットバーナ21へ継続して送られる。(ST17)。
【0061】
次いで、制御部62は、ST16の火炎検出により着火を確認したら、ST17と同時に風呂ガス電磁弁29を開く(ST18)。これにより、燃料供給系17から風呂ガスガバナ20を介して、風呂ガス管35を通る燃料ガスが風呂バーナ1に供給される。
これにより、風呂用バーナ1に、これと隣接したパイロットバーナ21の火が火移りして点火され(ST19)、給湯用バーナ1に着火し、追焚き運転が行われる。
【0062】
したがって、この複合式燃焼装置では、パイロットバーナ21の燃焼を断続するために、従来のように内蔵電池で駆動する専用の電磁弁を必要としないので、その分省電力を図ることができる。
しかも、安全燃焼装置92を構成する複数の安全装置が危険な状態を検出すると、熱電対25による器具栓装置51の電磁石への電力供給が止まるので、過熱等の危険な状態が生じた場合にも、確実に燃焼を止めることができる。
【0063】
本発明は上述の実施形態に限定されない。例えば器具栓つまみ53と器具栓51を離れた位置に配置して、その間をワイヤ等により接続するように構成してもよい。
さらに、本発明は、例えば燃料ガスとして灯油をガス化した燃料ガスを用いる燃焼装置にも適用できる。
また、燃焼装置の燃焼機能は、給湯や風呂の追焚きに限らず、暖房装置等種々の機能を備えた燃焼装置にも適用できる。
【0064】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、給湯運転開始にともなう後沸き現象を防止して、同時に省電力及び省燃費をはかることができる複合式燃焼装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る複合式燃焼装置の主な構成を示す系統図。
【図2】図1の複合式燃焼装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】図1の複合式燃焼装置の器具栓装置の動作例を示す説明図。
【図4】図1の複合式燃焼装置の安全装置の構成を示す説明図。
【図5】図1の複合式燃焼装置の安全装置の一部の構成を詳しく示す説明図。
【図6】図1の複合式燃焼装置の安全装置の一部の構成を詳しく示す説明図。
【図7】図1の複合式燃焼装置の安全装置の一部の構成を詳しく示す説明図。
【図8】図1の複合式燃焼装置の給湯燃焼の点火動作の例を示すフローチャート。
【図9】図1の複合式燃焼装置の風呂の追焚き燃焼の点火動作の例を示すフローチャート。
【図10】従来の複合式燃焼装置の構成例を示す系統図。
【符号の説明】
1 風呂用バーナ
2 給湯用バーナ
3 風呂用熱交換器
4 給湯用熱交換器
5 循環管路
6 給水管
7 ダイヤフラムケース
9 水流スイッチ
17 燃料供給系(管)
21 パイロットバーナ
25 熱電対
27 電極
28 点火装置
31 給湯管
33 追焚き水流スイッチ
34 給湯用ガス管
35 風呂用ガス管
36 第1のパイロット用ガス管
51 器具栓装置
53 器具栓つまみ
56 一方の分岐管
57 他方の分岐管
58 水圧自動ガス弁
61 器体過熱防止装置
62 制御部
63 内蔵電池
64 空焚き過熱防止装置
65 給湯過熱防止装置
68 元ガス電磁弁
Claims (1)
- 第1のバーナ及び第2のバーナに隣接して配置したパイロットバーナと、
前記各バーナにそれぞれ燃料ガスを供給する燃料供給系と、
前記第1及び第2のバーナの一方に関連して設けた給湯管に接続した水流検知手段と、
この燃料供給系を開閉する元ガス電磁弁と
を備えており、
前記燃料供給系のパイロットバーナ用のガス供給管を分岐させて、一方の分岐管は手動の器具栓装置を介して前記パイロットバーナへ接続され、他方の分岐管は通水の際の差圧を利用した水圧自動ガス弁を介して前記パイロットバーナへ接続され、
前記元ガス電磁弁は、前記器具栓装置の開き操作及び/又は前記水流検知手段の検知結果により開動作するように構成されており、
さらに、前記器具栓装置は、器具栓の動きに対応したガス弁を備えた器具栓装置であり、前記器具栓を手動で開き前記パイロットバーナに燃料ガスを送り、燃焼を開始すると、前記パイロットバーナの燃焼を検出する熱電対からの駆動電流を受けて、前記ガス弁の開状態を保持する構成とした
ことを特徴とする複合式燃焼装置。
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- 1998-02-20 JP JP05611598A patent/JP3748705B2/ja not_active Expired - Fee Related
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