JP3748093B2 - 車体構造用筒状部材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の車体を構成する車体構造用筒状部材の製造方法に関し、より詳しくは、曲げ加工により湾曲状に形成されると共に矩形形状の断面を有する車体構造用筒状部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車体構造用筒状部材の製造方法としては、例えば特開平7−32076号公報に記載されているものがある。この製造方法は、図10に示すように、略円環状断面を有するアルミニウム系材料からなる筒状部材1を押し出し成形し(図10(a))、この筒状部材1を長手方向に湾曲させるべく回転引き曲げやプレス曲げ等の曲げ加工を施したのち(図10(b))、この筒状部材2の壁面を押圧して、その断面形状を略円環形状から略矩形形状に変化させ(図10(c))、さらに、これをバルジ金型の内部に保持した状態でこの筒状部材3の内部に液圧等の圧力を加え、その壁面をバルジ加工により膨出成形することにより(図10(d))、略矩形形状の断面を有する車体構造用筒状部材としてのフロントサイドメンバ4を製造するものである。
【0003】
このような従来の製造方法を用いて、例えば、断面の肉厚が自由に設定できるという押し出し材の利点を有効に活かし、サイドメンバに要求される縦方向の高い曲げ剛性と軽量化を両立させるためには、上記押し出し成形において、図11に示すように、バルジ加工後において縦壁となる縦壁相当部10aと横壁となる横壁相当部10bの肉厚がそれぞれtB,tA(tB>tA)となるように、周方向において肉厚が変化する略円環状の断面形状に成形し、この略円環状断面をなす筒状部材10に適宜曲げ加工を施し、さらに、バルジ金型内に収容すべく押圧加工を施してバルジ加工前の初期断面形状となるように成形し、さらに続いて、バルジ加工を施すことによって、図12(a)に示すような肉厚tBの縦壁10a´と肉厚tAの横壁10b´(tA>tB)からなる最終断面形状10´をなす筒状部材10を成形する方法が考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の車体構造用筒状部材の製造方法にあっては、バルジ加工工程での拡管により角部10cの縦壁10a´の薄肉部に、図12(b)に示すような局部的な肉厚減少であるヒケ10dが発生する。さらに、このヒケ10dが発生する位置は、厚肉部である横壁10b´と薄肉部である縦壁10d´との肉厚変化領域であって、この薄肉部の肉厚がさらに減少するため、サイドメンバとしての使用条件下ではここで応力が集中しやすく、ヒケ10dの程度によっては、自動車の車体構造用筒状部材として用いるには強度が不足する場合があるという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、周方向において肉厚の異なった曲げ剛性の高い、さらには軽量化が図れる矩形断面形状をなす車体構造用筒状部材の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る車体構造用筒状部材の製造方法は、周方向において肉厚が変化する閉断面形状をなす筒状部材を成形し、その後少なくとも、矩形形状をなす最終断面形状の外輪郭を画定するバルジ金型内に前記筒状部材を保持した状態で前記筒状部材の内部に圧力を加えてバルジ加工を行ない、前記バルジ加工を行なう前の初期断面形状を矩形形状をなす前記最終断面形状に成形する車体構造用筒状部材の製造方法であって、
前記バルジ加工前の初期断面形状において、前記最終断面形状の横壁となる横壁相当部から前記最終断面形状の縦壁となる縦壁相当部に向かうにつれて最初に前記バルジ金型の側壁と接触する側壁接触点の近傍領域を厚肉部に成形し、この厚肉部の板厚をtAmmとするとき、前記厚肉部は、前記側壁接触点から前記縦壁相当部の中央に向かって少なくともtA/√2mmに亘って成形されていて、この厚肉部で局所的な肉厚の減少を抑えつつ前記バルジ加工を行なう、構成となっている。
【0008】
本発明の請求項2に係る車体構造用筒状部材の製造方法は、請求項1に係る車体構造用筒状部材の製造方法において、筒状部材の前記初期断面形状につき、前記縦壁相当部の一部が前記横壁相当部よりも薄肉に成形されている、構成となっている。
【0009】
本発明の請求項3に係る車体構造用筒状部材の製造方法は、請求項1又は2に係る車体構造用筒状部材の製造方法において、筒状部材の前記初期断面形状につき、前記縦壁相当部の外側輪郭線が平坦に、かつ、前記横壁相当部が外側に凸状に湾曲するように成形されている、構成となっている。
【0010】
本発明の請求項4に係る車体構造用筒状部材の製造方法は、請求項1又は2に係る車体構造用筒状部材の製造方法において、筒状部材の前記初期断面形状につき、前記縦壁相当部の外側輪郭線が平坦に、かつ、前記横壁相当部が内側に凹状に湾曲するように成形されている、構成となっている。
【0011】
本発明の請求項5に係る車体構造用筒状部材の製造方法、請求項1又は2に係る車体構造用筒状部材の製造方法において、筒状部材の前記初期断面形状につき、前記縦壁相当部が内側に凹状に湾曲するように、かつ、前記横壁相当部が外側に凸状に湾曲するように成形されている、構成となっている。
【0012】
本発明の請求項6に係る車体構造用筒状部材の製造方法は、請求項1又は2にかかる車体構造用筒状部材の製造方法において、筒状部材の前記初期断面形状につき、前記縦壁相当部が内側に凹状に湾曲するように、かつ、前記横壁相当部が内側に凹状に湾曲するように成形されている、構成となっている。
【0013】
本発明の請求項7に係る車体構造用筒状部材の製造方法は、請求項1ないし6に係る車体構造用筒状部材の製造方法において、前記初期断面形状をなす筒状部材を押し出し加工により成形し、続いて、前記押し出し加工により得られた筒状部材に曲げ加工を施し、その後、前記バルジ加工を行なう、構成となっている。
【0014】
本発明の請求項8に係る車体構造用筒状部材の製造方法は、請求項1ないし6に係る車体構造用筒状部材の製造方法において、円環状の断面形状をなす筒状部材を押し出し加工により成形し、続いて、前記筒状部材に曲げ加工を施し、さらに続いて、前記円環状の断面形状が前記初期断面形状となるように前記筒状部材を押圧加工により成形し、その後、前記バルジ加工を行なう、構成となっている。
【0015】
本発明の請求項9に係る車体構造用筒状部材の製造方法は、請求項8に係る車体構造用筒状部材の製造方法において、前記押圧加工を行なう際に、前記筒状部材の内部に圧力を加えながら行なう、構成となっている。
【0016】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係る車体構造用筒状部材の製造方法によれば、バルジ加工前の初期断面形状において、バルジ加工後の最終断面形状の横壁となる横壁相当部から最終断面形状の縦壁となる縦壁相当部に向かうにつれて最初にバルジ金型の側壁と接触する側壁接触点の近傍領域を厚肉部に成形した状態で、バルジ加工を行うようにしていることから、バルジ加工の際に局部的な肉厚の減少が生じるのを防止することができ、これにより、曲げ剛性が高くかつ軽量の矩形断面を有する筒状部材を容易に製造することができる。
【0017】
とくに、この車体構造用筒状部材の製造方法によれば、バルジ加工前の筒状部材の初期断面形状において、厚肉部をその板厚tAの少なくとも1/√2倍の長さに亘って設けることから、バルジ加工の際にヒケ等の局部的な肉厚の減少が生じるのを一層確実に防止することができ、これにより、曲げ剛性が高くかつ軽量の矩形断面を有する筒状部材を容易に製造することができる。
【0018】
本発明の請求項2に係る車体構造用筒状部材の製造方法によれば、バルジ加工後の最終断面形状を有する筒状部材において、縦方向における曲げ剛性を高めることができると共に一層の軽量化を達成することができる。
【0019】
本発明の請求項3に係る車体構造用筒状部材の製造方法によれば、筒状部材のバルジ加工前の初期断面形状において、特に横壁相当部が外側に凸状に湾曲するように成形されていることから、縦方向における曲げ加工の際にシワあるいは割れ等の発生を防止することができ、又、バルジ金型で締め付ける際に横壁相当部の余分な材料が矩形断面形状の角部(稜線部)に押し込まれるため、バルジ加工による拡管の際の引っ張り応力を低減させて、局部的な肉厚の減少を防止することができる。
【0020】
本発明の請求項4に係る車体構造用筒状部材の製造方法によれば、筒状部材のバルジ加工前の初期断面形状において、特に横壁相当部が内側に凹状に湾曲するように成形されていることから、縦方向における曲げ加工の際にシワあるいは割れ等の発生を防止することができ、又、バルジ加工の際に加えられる内圧によって横壁相当部の余分な材料が矩形断面形状の角部(稜線部)に押し込まれるため、バルジ加工による拡管の際の引っ張り応力を低減させて、局部的な肉厚の減少を防止することができる。
【0021】
本発明の請求項5及び6に係る車体構造用筒状部材の製造方法によれば、筒状部材のバルジ加工前の初期断面形状において、横壁相当部及び縦壁相当部の両方に余分な材料部分が設けられていることから、バルジ金型で締め付けられる際の締め付け圧力、あるいは、バルジ加工の際に加えられる内圧によって、両方の余分な材料が矩形断面形状の角部(稜線部)に押し込まれるため、バルジ加工による拡管の際の引っ張り応力をより一層低減させて、局部的な肉厚の減少をより一層確実に防止することができる。
【0022】
本発明の請求項7に係る車体構造用筒状部材の製造方法によれば、曲げ加工を行なう前に、予めバルジ加工を行なう前の初期断面形状に成形していることから、曲げ加工の際に筒状部材にシワなどの加工不具合を生じることなく曲げ加工を行なうことができ、又、押圧加工の工程を削除することができ、工程の簡略化を行なうことができる。
【0023】
本発明の請求項8に係る車体構造用筒状部材の製造方法によれば、円環状の断面をなす筒状部材の状態で曲げ加工を行なうことから、この曲げ加工を比較的容易に行なうことができ、曲げ加工による大きな断面変形あるいはシワなどの加工不具合の発生を防止することができる。
【0024】
本発明の請求項9に係る車体構造用筒状部材の製造方法によれば、筒状部材の内部に圧力を加えながら押圧加工を行なうことから、円環状断面形状をなす筒状部材をバルジ加工前の矩形をなす初期断面形状の筒状部材に比較的容易に成形することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0026】
図1及び図2は、本発明に係る車体構造用筒状部材の製造方法の一実施例を示すものであり、この実施例においては、先ず、押し出し加工によりバルジ加工前の初期断面形状20´をなす筒状部材20を成形する。この初期断面形状20´は、図1に示すように、バルジ加工後に縦壁となる縦壁相当部21と、バルジ加工後に横壁となる横壁相当部22とにより形成されており、上記縦壁相当部21は、その外輪郭線が平坦となるように形成され、上記横壁相当部22は、外側に凸状に湾曲するように形成されている。
【0027】
また、縦壁相当部21の上端外側には、この縦壁相当部21と湾曲した横壁相当部22とが結合される点である上部境界点P1があり、同様に、縦壁相当部21の下端外側には、下部境界点P2がある。
【0028】
一方、初期断面形状20´の肉厚については、縦壁相当部21の中央付近が肉厚の薄い薄肉部21aとなっており、横壁相当部22が肉厚(tA)の厚い厚肉部となっている。また、この厚肉部は、上記上部境界点P1よりさらに、所定距離Lだけ縦壁相当部21まで延出して形成されて、縦壁相当部21における厚肉部21cを形成し、ここから肉厚変化部21bにて徐々に肉厚が減少し、上記薄肉部21aにつながっている。尚、この初期断面形状20´は左右対称及び上下対称に形成されている。
【0029】
上記のような初期断面形状20´をなす筒状部材20を後述するバルジ加工においてバルジ金型内に保持すると、上記上部境界点P1がバルジ金型の側壁と接触する上側の側壁接触点に相当し、上記下部境界点P2がバルジ金型の側壁と接触する下側の側壁接触点に相当することになる。
【0030】
続いて、上部初期断面形状20´をなす筒状部材20に、曲げ軸23を中心として、回転引き曲げやプレス曲げ等を適宜に用いた曲げ加工を施して、縦方向において湾曲させる。
【0031】
ここで、曲げ軸23に対して概略平行面である横壁相当部22は、外側に凸形状に湾曲するように構成されているため、曲げ加工時の面剛性が高く、従来例である略円環断面形状として押し出し成形した断面形状とほぼ同様の曲げ加工性を有することになり、曲げ加工時におけるシワなどを防止することができ、又、厚肉としているため割れも発生しにくい。
【0032】
次に、この筒状部材20を図2(a)に示すようにバルジ金型30の内部に保持した場合、縦壁相当部21の外輪郭部は平面であるため、縦壁相当部21の上部境界点P1と下部境界点P2の間がバルジ金型30を構成する側型31の側壁31aと接触する。この状態から筒状部材20の内部に適宜に圧力P(内圧)を加えながら、バルジ金型30を構成する上型32を加圧下降させ、さらに内圧Pを昇圧させると、図2(b)の状態になり、バルジ成形が完了する。
【0033】
ここで我々は、従来の問題点であるバルジ加工時の減肉によるヒケの発生について、鋭意実験検討を行なった結果、筒状部材20をバルジ金型30内に保持した状態にて、主に側型31の側壁31aと接触する上部及び下部境界点P1,P2近傍が、集中的に内圧による拡管作用で局部的に伸ばされるために、この領域にヒケが生じることが分かった。
【0034】
本実施例では、押し出し成形における筒状部材20の初期断面形状20´において、縦壁相当部21の外側面を平面とし、かつ横壁相当部22を外側に凸状の湾曲面とするとともに、この縦壁相当部21と横壁相当部22とを上記境界点P1,P2の位置にて結合する構成としていることから、この筒状部材20をバルジ金型30の内部に保持した場合、側壁31の側壁31aと接触する境界は上部境界点P1及び下部境界点P2となる。そして、この境界点P1,P2近傍を厚肉とし、又、横壁相当部22を湾曲面としているため、図2(b)のように、上型32を加圧下降させた場合、横壁相当部22の湾曲面が平面化され、矩形形状をなす最終断面形状20´´の横壁22´が形成される際に、余った材料が矩形断面形状の角部すなわち稜線部24´に押し込まれるため、バルジ加工による拡管の際にも引っ張り力の作用が少なく、肉厚減少は生じない。このため肉厚減少による部材の強度低下を招くことはない。
【0035】
ここで、バルジ加工前の筒状部材20の初期断面形状20´において、境界点P1から肉厚変化部21bの開始点までの距離Lが重要である。この距離Lが小さいと境界点P1付近にて肉厚減少によるヒケが発生するし、一方、距離Lが長すぎると剛性の割には重量が重くなる。従って、境界点P1から肉厚変化部21bの開始点までの距離Lは、厚肉部21cの肉厚をtAとした際、少なくとも
L≧tA/√2
とすることが望ましい。
【0036】
また、本実施例においては、押し出し成形により、バルジ加工を行なう前の初期断面形状に成形しているため、バルジ金型の内部に保持できるようにするために断面変形を加える押圧加工が不要となり、従来のような押圧工程を省略でき、製造が容易になる。
【0037】
上記実施例では、縦壁相当部21を平面としたが、図3に示すように、初期断面形状40´の縦壁相当部41を若干湾曲するように成形しても同様の効果が得られる。すなわち、前述実施例と同様、横壁相当部42は外側に凸状をなした湾曲面として構成され、肉厚の厚い厚肉部となっており、縦壁相当部41は内側に凹状となる湾曲面となっており、肉厚は薄肉である。また、縦壁相当部41と横壁相当部42とが結合される点すなわち上部境界点P3及び下部境界点P4は、この筒状部材40をバルジ金型内に保持した際に、側壁31の側壁31aに接触する側壁接触点に相当する。
【0038】
さらに、厚肉部41cは、境界点P3,P4より所定の距離Lだけ縦壁相当部41の中央部に向けて延伸され、ここから肉厚変化部41bにて徐々に肉厚が減少し、薄肉部41aとなるところは前述実施例と同様である。
【0039】
このようなバルジ加工前の初期断面形状40´をなす筒状部材40を図4(a)のように、バルジ金型30の内部に保持し、上型32を所定位置まで下降させるとともに、内圧Pを加えると、まず、肉厚の薄い縦壁相当部41の湾曲した部分が側壁31の側壁31aに押し付けられて、図4(a)のような形状に成形される。その後、内圧Pを上昇させるとともに上型32をさらに加圧下降させると、図4(b)に示すように、前述実施例と同様横壁相当部42の湾曲面が平面化され、矩形形状をなす最終断面形状40´´の横壁42´が形成される際に、余った材料が角部すなわち稜線部44´に押し込まれるため、最終断面形状40´´としての矩形断面化が可能となり、前述実施例同様の効果が得られる。
【0040】
また、前述実施例においては、初期断面形状20´,40´として、横壁相当部22,42を外側に凸状に湾曲させる形状としたが、図5に示すように、内側に凹状に湾曲する形状としてもほぼ同様の効果が得られる。すなわち、図5に示すように、横壁相当部52は内側に凹形状をなした湾曲面として構成され、肉厚の厚い厚肉部となっており、縦壁相当部51は平面であり、上下方向の中央部分は薄肉部51aとして成形されている。また、縦壁相当部51と横壁相当部52とが結合される点すなわち境界点P5,P6は、この筒状部材50をバルジ金型内に保持した際に、側型の側壁(図示せず)に接触する側壁接触点に相当する。
【0041】
さらに、厚肉部51cは、境界点P5,P6より所定の距離Lだけ縦壁相当部51の中央に向けて延伸され、ここから肉厚変化部51bにて徐々に肉厚が減少し、薄肉部51aとなる形状である。
【0042】
本実施例の場合も、曲げ軸53を中心に曲げ加工を行なう際、曲げ軸53と略平行な面である横壁相当部52が湾曲面でかつ厚肉となっているため、面剛性が高くシワや割れは発生しにくい。また、バルジ加工においても、横壁相当部52が湾曲面となっているため、前述実施例と同様に、内圧により横壁相当部52が平面化され、矩形形状をなす最終断面形状の横壁が形成される際に、余った材料が矩形断面の四隅の稜線部(角部)に押し込まれるため、バルジ加工による拡管の際にも引っ張り力の作用が少なく、肉厚減少は生じることがなく、前述実施例と同様の効果がある。
【0043】
図6は、筒状部材60のバルジ加工前の初期断面形状60´において、縦壁相当部61と横壁相当部62の両方を内側に凹状に湾曲するように成形した以外は、前述図5に示す実施例と同様であり、厚肉部61cを形成する境界点P7,P8から肉厚変化部61bまでの距離Lを所定寸法以上確保することにより、これまでの実施例と同様の効果が得られる。
【0044】
図7及び図8は、本実施例に係る車体構造用筒状部材の製造方法の他の実施例を示すものであり、この実施例では、円環状断面をなす筒状部材を押し出し成形した後、押圧加工により所定のバルジ加工前の初期断面形状とすることにより、前述実施例と同様の効果を得るものである。
【0045】
まず、第1工程である押し出し成形において、図7に示すような円環状の断面形状をなす筒状部材70を成形する。その肉厚は、円弧(N)の間の肉厚(tC)が厚肉部71であり、ここから肉厚変化部72にて徐々に肉厚が減少し、肉厚(tD)の薄肉部73となる形状である。なお、この円環状の断面形状は、中心線に対して上下左右対称形状である。
【0046】
ここで、この筒状部材70の断面形状としては、さらに、後工程にてバルジ金型に保持した場合の側型の側壁に接触する点である境界点P9,P10間の実距離をMとし、境界点P9,P10それぞれからそれぞれの肉厚変化部72までの距離をLとした場合、厚肉部71の円弧の長さNが、
N=M+2L(L≧tC/√2)
となるように設定する。
【0047】
続いて、このように第1工程で押し出し成形された直線状の筒状部材70に、従来例と同様に、第2工程として回転引き曲げやプレス曲げなどの任意の曲げ加工方法により湾曲させる曲げ加工を施す。さらに続いて、第3工程として第2工程で曲げ加工が施された筒状部材70に、バルジ金型30の側型31を押圧側壁として用い、又、バルジ金型30の上型32を押圧上型として用いて押圧加工を施すことにより、その断面形状を円環形状から図8(a)に示す矩形形状に変化させて、バルジ加工前の初期断面形状70´を成形する。この押圧加工により、厚肉部71が横壁相当部として、又、この厚肉部71の一部,肉厚変化部72,及び薄肉部73が縦壁相当部として成形される。この場合、境界点P9,P10から肉厚変化部72までの距離Lの関係は、これまでの実施例と同様である。
【0048】
その後、第4工程として、図8(b)に示すように、筒状部材70の内部に圧力Pを加えてバルジ加工を施すと、肉厚減少によるヒケの発生がなく、周方向において肉厚の異なった曲げ剛性の高い筒状部材が得られ、前述実施例と同様の効果が得られる。
【0049】
また、本実施例の場合は、第2工程である曲げ加工時には、円環形状断面となっており、しかも曲げ軸と略平行な面が厚肉となっているため、より小さい曲げ半径での曲げ加工においてもシワや割れが発生し難いという利点がある。
【0050】
ところで、前述実施例においては、押圧加工の際に筒状部材の内部には圧力を加えないで行なったが、例えば、図7に示す円環状断面をなす筒状部材70を用い、内圧を加えながらバルジ金型により押圧加工を行なってもよい。すなわち、筒状部材70を、バルジ内圧Pを加えた状態でバルジ金型30の内部に保持し、上型32を所定位置に保持し、内圧Pを加えながら側壁31を、筒状部材70をつぶす方向に加圧する。するとまず、肉厚の薄い縦壁相当部が側壁31に押されながらつぶれていくが、筒状部材70の内部には内圧Pが加えられているため、縦壁相当部の薄肉部73は側壁31の平面側壁31aに押し付けられながら平面状につぶれて、図9に示す断面形状となり、結果的に図2(a)に示す実施例とほぼ同形状となる。その後、内圧Pを上昇させるとともに上型32を加圧下降させると、前述実施例と同様に、矩形断面化が可能となり、同様の効果が得られる。ここにおいても、境界点P11から肉厚変化部72開始点までの距離Lの関係は前述実施例と同様である。また、本実施例でも、押圧工程はバルジ工程の中で行なうことができ、製造工程の短縮化が行なえるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る車体構造用筒状部材の製造方法による一実施例においてのバルジ加工前の初期断面形状を示す図である。
【図2】 本発明に係る車体構造用筒状部材の製造方法による一実施例においてのバルジ加工工程での断面形状の変形プロセスを示すものであり、(a)は加工前の初期断面形状をなす筒状部材をバルジ金型内に配置してバルジ加工を開始した状態、(b)はバルジ加工を終了して最終断面形状に成形された状態、をそれぞれ示す断面図である。
【図3】 本発明に係る車体構造用筒状部材の製造方法による他の実施例においてのバルジ加工前の初期断面形状を示す図である。
【図4】 本発明に係る車体構造用筒状部材の製造方法による他の実施例においてのバルジ加工工程での断面形状の変形プロセスを示すものであり、(a)は加工前の初期断面形状をなす筒状部材をバルジ金型内に配置して筒状部材の内部に圧力を加えたバルジ加工中の状態、(b)はバルジ加工を終了して最終断面形状に成形された状態、をそれぞれ示す断面図である。
【図5】 本発明に係る車体構造用筒状部材の製造方法による他の実施例においてのバルジ加工前の初期断面形状を示す図である。
【図6】 本発明に係る車体構造用筒状部材の製造方法による他の実施例においてのバルジ加工前の初期断面形状を示す図である。
【図7】 本発明に係る車体構造用筒状部材の製造方法による他の実施例において押し出し加工により筒状部材を成形する際の断面形状を示す図である。
【図8】 本発明に係る車体構造用筒状部材の製造方法による他の実施例においての加工工程での断面形状の変形プロセスを示すものであり、(a)は押圧加工によりバルジ加工前の初期断面形状をなす筒状部材を成形する状態、(b)は筒状部材の内部に圧力を加えてバルジ加工を行なう状態をそれぞれ示す断面図である。
【図9】 本発明に係る車体構造用筒状部材の製造方法による他の実施例においての押圧加工工程で圧力を加える状態を示す断面図である。
【図10】 従来の車体構造用筒状部材の製造方法を示すものであり、(a)〜(d)は各々の製造工程を示す図である。
【図11】 従来の車体構造用筒状部材の製造方法においての押し出し加工により得られた筒状部材の断面形状を示す図である。
【図12】 従来の車体構造用筒状部材の製造方法においてのバルジ加工により得られた筒状部材を示すものであり、(a)はその最終断面形状、(b)は(a)中の角部の拡大断面をそれぞれ示す図である。
【符号の説明】
20 筒状部材
20´ 初期断面形状
20´´ 最終断面形状
21 縦壁相当部
21´ 縦壁
21a 薄肉部
21b 肉厚変化部
21c 厚肉部
22 横壁相当部
22´ 横壁
23 曲げ軸
30 バルジ金型
31 側型
31a 側壁
32 上型
40 筒状部材
40´ 初期断面形状
40´´ 最終断面形状
41 縦壁相当部
41´ 縦壁
41a 薄肉部
41b 肉厚変化部
41c 厚肉部
42 横壁相当部
42´ 横壁
50 筒状部材
50´ 初期断面形状
51 縦壁相当部
51a 薄肉部
51b 肉厚変化部
51c 厚肉部
52 横壁相当部
53 曲げ軸
60 筒状部材
60´ 初期断面形状
61 縦壁相当部
61a 薄肉部
61b 肉厚変化部
61c 厚肉部
62 横壁相当部
70 筒状部材
70´ 初期断面形状
71 厚肉部
72 肉厚変化部
73 薄肉部
Claims (9)
- 周方向において肉厚が変化する閉断面形状をなす筒状部材を成形し、その後少なくとも、矩形形状をなす最終断面形状の外輪郭を画定するバルジ金型内に前記筒状部材を保持した状態で前記筒状部材の内部に圧力を加えてバルジ加工を行ない、前記バルジ加工を行なう前の初期断面形状を矩形形状をなす前記最終断面形状に成形する車体構造用筒状部材の製造方法であって、
前記バルジ加工前の初期断面形状において、前記最終断面形状の横壁となる横壁相当部から前記最終断面形状の縦壁となる縦壁相当部に向かうにつれて最初に前記バルジ金型の側壁と接触する側壁接触点の近傍領域を厚肉部に成形し、この厚肉部の板厚をtAmmとするとき、前記厚肉部は、前記側壁接触点から前記縦壁相当部の中央に向かって少なくともtA/√2mmに亘って成形されていて、この厚肉部で局所的な肉厚の減少を抑えつつ前記バルジ加工を行なう、ことを特徴とする車体構造用筒状部材の製造方法。 - 筒状部材の前記初期断面形状において、前記縦壁相当部の一部が前記横壁相当部よりも薄肉に成形されている、ことを特徴とする請求項1記載の車体構造用筒状部材の製造方法。
- 筒状部材の前記初期断面形状において、前記縦壁相当部の外側輪郭線が平坦に、かつ、前記横壁相当部が外側に凸状に湾曲するように成形されている、ことを特徴とする請求項1又は2記載の車体構造用筒状部材の製造方法。
- 筒状部材の前記初期断面形状において、前記縦壁相当部の外側輪郭線が平坦に、かつ、前記横壁相当部が内側に凹状に湾曲するように成形されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車体構造用筒状部材の製造方法。
- 筒状部材の前記初期断面形状において、前記縦壁相当部が内側に凹状に湾曲するように、かつ、前記横壁相当部が外側に凸状に湾曲するように成形されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車体構造用筒状部材の製造方法。
- 筒状部材の前記初期断面形状において、前記縦壁相当部が内側に凹状に湾曲するように、かつ、前記横壁相当部が内側に凹状に湾曲するように成形されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車体構造用筒状部材の製造方法。
- 前記初期断面形状をなす筒状部材を押し出し加工により成形し、続いて、前記押し出し加工により得られた筒状部材に曲げ加工を施し、その後、前記バルジ加工を行なう、ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか1つに記載の車体構造用筒状部材の製造方法。
- 円環状の断面形状をなす筒状部材を押し出し加工により成形し、続いて、前記筒状部材に曲げ加工を施し、さらに続いて、前記円環状の断面形状が前記初期断面形状となるように前記筒状部材を押圧加工により成形し、その後、前記バルジ加工を行なう、ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか1つに記載の車体構造用筒状部材の製造方法。
- 前記押圧加工を行なう際に、前記筒状部材の内部に圧力を加えながら行なう、ことを特徴とする請求項8に記載の車体構造用筒状部材の製造方法。
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