JP3747963B2 - 高耐熱性ポリエチレン微多孔膜 - Google Patents

高耐熱性ポリエチレン微多孔膜 Download PDF

Info

Publication number
JP3747963B2
JP3747963B2 JP18166996A JP18166996A JP3747963B2 JP 3747963 B2 JP3747963 B2 JP 3747963B2 JP 18166996 A JP18166996 A JP 18166996A JP 18166996 A JP18166996 A JP 18166996A JP 3747963 B2 JP3747963 B2 JP 3747963B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyethylene
microporous membrane
film
molecular weight
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP18166996A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH107831A (ja
Inventor
卓也 長谷川
孝彦 近藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Chemicals Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Chemicals Corp filed Critical Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority to JP18166996A priority Critical patent/JP3747963B2/ja
Publication of JPH107831A publication Critical patent/JPH107831A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3747963B2 publication Critical patent/JP3747963B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Cell Separators (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電池用セパレーターに適したポリエチレン微多孔膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレン微多孔膜は精密濾過膜、電池用セパレーター、コンデンサー用セパレーター、等に使用されている。これらのうち電池用セパレーター、特にリチウムイオン電池用セパレーターとして使用する際には微多孔膜の機械強度や透過性の様な一般的特性に加えて、電池内部が過熱した際にセパレーターが溶融して電極を覆う皮膜となり、電流を遮断する事によって電池の安全性を確保するという「ヒューズ効果」が求められている。
【0003】
ポリエチレン微多孔膜の場合には、ヒューズ効果が発現する温度すなわちヒューズ温度は概ね130〜150℃であることが知られており、何らかの理由で電池内部が過熱してもヒューズ温度に達した時点で前記微多孔膜が溶融して電極を被服となって覆うので電流が遮断され、電池反応が停止する。ところが温度上昇が極めて急激な場合にはヒューズ後もさらに電池温度が上昇し、結果的に前記皮膜が破れて電流が復帰(ショート)してしまうことがあり安全性に問題があった。このような過酷な条件下でも電池の安全性を確保できるような高い耐熱性を持ったポリエチレン微多孔膜の開発が課題とされていた。
【0004】
例えば、特開平4−206257号公報では、ポリエチレンよりも高融点のポリプロピレンをポリエチレンにブレンドすることによって耐熱性を向上させる方法が開示されている。かかる方法によれば、微多孔膜におけるある程度の耐熱性の向上は期待されるが、ポリプロピレンがブレンドされているとは言え過熱による溶融後に容易に流動して破膜してしまい、電池の安全性の確保という点では本質的な改善とはなっていなかった。また、ポリプロピレンはポリエチレンと相溶性が低く、微多孔膜の中で両者が分離するため強度が低下するという欠点があった。
【0005】
一方、特開平3−105851号公報では、特定量の超高分子量ポリエチレンを高分子量のポリエチレンにブレンドすることによって機械強度を向上させる方法が開示されている。超高分子量ポリエチレンは溶融後もかなりの粘度、すなわち形状保持性を有するため前記公開公報に開示の方法によるポリエチレン微多孔膜は副次的に溶融後の破膜も起こり難くなったが、過酷な条件下ではやはり破膜してしまい、先の公報に開示の発明と同様に本質的な解決とはなっていない。
【0006】
さらに、特開昭56−73857号公報、特開昭63−205048号公報、特開平3−274661号公報、特開平1−167344号公報、特開平6−329823号公報などではポリオレフィン微多孔膜を架橋することによって機械強度、酸化強度、耐熱強度、等を向上させる方法が開示されている。
これらの方法によれば、架橋によって溶融時の粘度が上昇するため比較的高い形状保持性を付与することが可能であるが、電池の高性能化に伴い更に過酷な条件にも対応できるような高耐熱性ポリエチレン微多孔膜が要求されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は上述の問題点を解決し、機械強度・透過性・生産性に優れ、かつ過酷な状況下でも電池の安全性を確保できるような極めて高い耐熱性を有するポリエチレン微多孔膜を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、所定の架橋密度および収縮残存率を有するポリエチレン微多孔膜は、極めて高い耐熱性を有することを見出し本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の第1は架橋点間分子量が20万以下、収縮残存率が15%以上、気孔率が20〜80%、ゲル分率が80%以上であり、透過性であるポリエチレン微多孔膜を用いたことを特徴とする電池用セパレータである。
【0009】
また、本発明の第は 透過法による平均孔径が0.001〜0.1μmであることを特徴とする請求項に記載の電池用セパレータである。
さらに、本発明の第は請求項1または2に記載の電池用セパレータを用いた電池である。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
電池の中でポリエチレン微多孔膜が加熱され、ヒューズ温度近辺に達すると、結晶の融解に伴って微多孔膜の強度が低下すると共に、延伸配向の解放によって強い収縮応力が発生し、ポリエチレン微多孔膜はかなり破膜しやすい状況となる。このとき、例えば電極上の活物質との接触点等で微多孔膜が破れる事によってショートするものと思われる。
すなわち、溶融時の微多孔膜の強度が耐熱性向上のための一つの要因をなしていると考えられるが、このような性質は、例えば次に述べるような溶融突き刺し強度によって定量的に評価する事ができる。
【0011】
《溶融突き刺し強度》
溶融突き刺し強度は、所定の治具で拘束したポリエチレン微多孔膜を融点以上に加熱したシリコンオイル中で溶融し、該溶融フィルムに対して所定の金属針を押しつけたときの破断時の荷重より求められる。
例えば、一般のポリエチレン微多孔膜は耐熱性が極めて低いため、シリコンオイルに浸漬すると、溶融突き刺し強度の測定以前に収縮応力によって破膜してしまう。これに対してポリプロピレンや超高分子量ポリエチレンをブレンドしたポリエチレン微多孔膜は、これらのブレンド効果によって150℃程度の低温であれば溶融後もある程度の溶融突き刺し強度を示すようになるが、高温ではやはりシリコンオイルに浸漬した時点で破膜する。すなわち、ブレンドによる耐熱性の向上は比較的低温域に限定されたものであることが分かる。
【0012】
一方、電子線照射等の架橋処理によって溶融強度を向上させたポリエチレン微多孔膜は、温度によらず200℃程度の高温でもある程度の溶融突き刺し強度を有するため、ブレンド膜よりも更に高い耐熱性を示すことができる。しかし、従来技術では架橋処理に伴う各種の弊害(加工性の低下・膜の収縮・強度の低下・ヒューズ温度の上昇・ヒューズ効果の緩慢化等)を回避するため架橋密度が比較的低く、例えば粒径の粗い活物質によって微多孔膜が大変形を受ける場合など、さらに高い耐熱性を要求される場合には、その溶融突き刺し強度は十分とは言えなかった。
【0013】
これに対して本発明者らは、これらの弊害を回避しつつ極めて高い架橋密度を有するポリエチレン微多孔膜の製造技術を確立し、従来にない高架橋密度のポリエチレン微多孔膜を製造した。その結果、架橋密度がポリマー分子鎖あたり概ね1個を超えるようになると、微多孔膜の溶融突き刺し強度が飛躍的に向上する事を見い出した。この架橋密度の限界値は理論上のゲル化条件とよく一致しており、3次元架橋の完成に伴って分子量が見かけ上無限大となることにより、溶融時の流動性が実質的に失われて強度が飛躍的に向上したものと考えられる。
本発明における溶融突き刺し強度は10g以上、好ましくは15g以上、更に好ましくは20g以上である。溶融突き刺し強度が10g以下では電池の用途や使用条件によっては十分な耐熱性を示すことができない。
【0014】
《架橋点間分子量》
架橋密度は、溶融時の架橋ポリエチレン微多孔膜に対してゴム弾性理論を適用したときの応力−歪み曲線から求められる架橋点間分子量によって評価することができる。
本発明において、溶融突き刺し強度が飛躍的に向上するための条件は架橋密度がポリマー分子鎖あたり概ね1個を超えることであるが、このことは架橋点間分子量が原料ポリエチレンの分子量よりも小さくなることと対応する。ここで、ポリエチレン微多孔膜に使用される原料ポリエチレンの平均分子量が、概ね10万以上あるいは20万以上である事を考慮すると、架橋点間分子量を少なくとも20万以下、好ましくは10万以下にすれば、原料ポリエチレンの分子量を問わず前記条件を達成することが可能である。
一方、比較的高分子量のポリエチレンを使用する場合には、架橋点間分子量が原料ポリエチレンの平均分子量以下(例えば平均分子量70万のポリエチレンであれば70万以下)であれば前記範囲にかかわらず溶融突き刺し強度の飛躍的な向上を達成できることは言うまでもない。
【0015】
《収縮残存率》
セパレーターの耐熱性は架橋処理によって顕著に向上するが、耐熱性が向上してもショートの一因となる収縮応力はできうるかぎり低減しておくことが好ましい。
例えば、本発明の製造方法において、架橋を施すタイミングは大きく分けて延伸前と延伸後がある。このうち延伸後に架橋すると、延伸によって引き延ばされた分子が架橋点で固定されているためヒューズ時の微多孔膜の収縮を抑えることが可能であり、このため延伸前の架橋と比較して同じゲル分率でもさらに該膜の耐熱性を向上させることができる。
【0016】
一方、延伸前に架橋すると、ヒューズした微多孔膜は架橋時の形状に戻ろうとして大きな収縮応力が発生するため、電池構造によっては延伸後に架橋した微多孔膜の場合と比較してショートしやすくなる場合がある。
上述のことから明らかな如く、ヒューズ時の微多孔膜の収縮のしにくさは、その収縮残存率によって評価される。本発明に係る微多孔膜の収縮残存率は15%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上である。
【0017】
《ゲル分率》
架橋構造の尺度であるゲル分率はASTM D2765に準拠した測定法によって評価する事が可能であるが、溶融突き刺し強度の飛躍的な向上に必要なゲル分率は架橋点間分子量と同様、原料ポリエチレンの平均分子量に依存するため、一概にその範囲を定めることは難しい。
例えば、平均分子量25万程度のポリエチレンでは概ね80%以上のゲル分率が必要であるが、平均分子量14万程度のポリエチレンでは概ね50%以上のゲル分率でも溶融突き刺し強度の飛躍的な向上を達成することが可能である。
【0018】
ただし、常温での強度は一般に原料ポリエチレンの平均分子量に依存するため平均分子量14万程度のポリエチレンを使用する場合は電池の用途によっては強度が不足する場合がある。このため、常温での強度を想定した場合は平均分子量としては20万以上が好ましく、このようなポリエチレンの使用を前提とした場合、ゲル分率としては80%以上が好ましい。
ゲル分率の上限は主に製造条件によって制限されるが、たとえば電子線照射による架橋の場合、99%以上のゲル分率を達成することは一般に難しい。ただし本発明においては99%以上のゲル分率は必ずしも必要ではなく、もっぱら99%以下の照射でも十分な溶融突き刺し強度を付与することが可能である。
【0019】
《ヒューズ特性》
本発明のポリエチレン微多孔膜のヒューズ温度は、簡易セル測定におけるインピーダンスの温度依存性より求める事が出来る。本発明に係る微多孔膜のヒューズ温度は100℃〜160℃、好ましくは110℃〜140℃、さらに好ましくは120℃〜135℃である。前記ヒューズ温度が160℃より高いと電池用セパレーターとして用いた際に、電解液の変質や電極の暴走反応等が懸念される。また、自動車の内部など、高温下での使用が不可避であることを考慮すると微多孔膜の100℃未満のヒューズ温度は好ましくない。
【0020】
このように、本発明に係るポリエチレン微多孔膜は高い耐熱性を有するが、その他の一般物性に関しても25μ換算透気度2000秒以下、破断強度500kg/cm2 以上であり、耐熱性のみならず機械強度や透過性においても従来のポリエチレン微多孔膜を凌駕する性能を備えている。
本発明で使用するポリエチレンはエチレンを主体とした結晶性の重合体である高密度ポリエチレンもしくはエチレンとα−オレフィンとの共重合体が好ましく、さらにこれらにポリプロピレン、中密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、EPR等のポリオレフィンを30%以下の割合でブレンドしたものでも差し支えない。
【0021】
ポリエチレンの重量平均分子量は10万から400万、好ましくは20万から100万、さらに好ましくは20万から70万の範囲である。分子量が10万より小さいとシートの延伸時に破断しやすく、400万より大きいとシート製造用の熱溶液の製造が困難になると共に得られた微多孔膜のヒューズ効果も緩慢となるため好ましくない。また、ブレンドや多段重合等の手段によって使用するポリマーの重量平均分子量を好ましい範囲に調節しても差し支えない。
【0022】
微多孔膜の膜厚は1〜500μm、好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは15〜50μmであり、前記膜厚が1μmより小さいとその機械強度が十分ではなく、500μmより大きいと電池の小型軽量化に支障が生じる。
微多孔膜の気孔率は20〜80%、好ましくは30〜60%であり、気孔率が20%より小さいと透過性が十分ではなく、80%より大きいと十分な機械強度が得られない。
【0023】
微孔の平均孔径はプルラン等の水溶性高分子を用いた透過法によって測定することができる。本発明に係る微多孔膜の微孔の平均孔径は0.001〜0.1μm、好ましくは0.005〜0.05μm、さらに好ましくは0.01〜0.03μmであり、平均孔径が0.001μmより小さいと透過性が充分ではなく、平均孔径が0.1μmより大きいとヒューズ効果が緩慢になるために好ましくない。
【0024】
微多孔膜の突き刺し強度は300g以上、好ましくは400g以上、さらに好ましくは450g以上である。前記突き刺し強度が300gより小さいと脱落した活物質等によってセパレーターが短絡する可能性がある。
次に本発明のポリエチレン微多孔膜の製造方法について説明する。
本発明のポリエチレン微多孔膜の製造方法は、成膜工程、延伸工程、抽出工程の3工程を基本とする。
【0025】
《成膜工程》
本発明の中間製品である高分子ゲルは、ポリエチレンを融点以上で可塑剤に溶解して熱溶液とし、これを結晶化温度以下まで冷却する事によって調製する。
ここでいう可塑剤とは、その沸点以下の温度でポリエチレンと均一な溶液を形成しうる有機化合物の事であり、具体的には、デカリン、キシレン、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、デシルアルコール、ノニルアルコール、ジフェニルエーテル、n−デカン、n−ドデカン、パラフィン油等が挙げられる。このうちパラフィン油、ジオクチルフタレートが好ましい。高分子ゲル中の可塑剤の割合は特に限定はされないが、20%から90%、好ましくは50%から70%である。20%以下では適当な気孔率を有する微多孔膜を得る事が難しく、90%以上では熱溶液の粘度が低下してシートの連続成形が困難になる。
【0026】
成膜方法については特に限定されないが、例えば、押出機に高密度ポリエチレンのパウダーと可塑剤を供給し、200℃程度の温度で溶融混練したあと、通常のハンガーコートダイから冷却ロールの上へキャストすることによって数10μmから数mm厚のシートを連続的に成形することができる。
本発明においては超高分子量ポリエチレンを必須成分としないため、特別な加熱溶解設備を必要とせず、押出機にポリエチレンと可塑剤を添加するだけで極めて簡便に均質なシートの調製を行うことが可能である。
【0027】
《延伸工程》
次に得られたシートを少なくとも1軸方向に延伸することによって延伸膜とする。延伸方法としては特に限定されないが、テンター法、ロール法、圧延法等が使用できる。このうち、テンター法による同時2軸延伸が好ましい。延伸温度は常温から高分子ゲルの融点、好ましくは80〜130℃、さらに好ましくは100〜125℃である。延伸倍率は面積倍率で4〜400倍であり、好ましくは8〜200倍、さらに好ましくは16〜100倍である。延伸倍率4倍以下ではセパレーターとして強度が不十分であり、400倍以上では延伸が困難であるのみならず得られた微多孔膜の気孔率の低下等の弊害が生じやすい。
【0028】
《抽出工程》
次に、延伸膜から可塑剤を抽出除去する事によって微多孔膜とする。抽出方法としては特に限定されないが、パラフィン油やジオクチルフタレートを使用する場合には塩化メチレンやMEK等の有機溶媒で抽出したあと、得られた微多孔膜のヒューズ温度以下で加熱乾燥することによって除去することができる。また、可塑剤にデカリン等の低沸点化合物を使用する場合は微多孔膜のヒューズ温度以下で加熱乾燥するだけで除去することが可能である。いずれの場合も膜の収縮による物性低下を防ぐため、膜を拘束することが好ましい。
【0029】
《架橋》
架橋処理のタイミングとしては、上記の3工程の何れか、もしくはその前後において行うことが可能であるが、高い架橋密度を有するシートの延伸は一般に困難であるため、延伸工程後に架橋処理を行うことが好ましく、抽出工程後に架橋処理を行うことがさらに好ましい。
架橋の方法としては、紫外線や電子線、ガンマ線に代表される電離放射線、さらには架橋剤や架橋助剤の添加による化学架橋等が挙げられるが、このうち電子線照射による方法が好ましい。
【0030】
電子線照射を行うときの線量は1〜200Mrad、好ましくは2Mrad〜100Mrad、さらに好ましくは5Mrad〜50Mradである。線量が小さすぎると十分な架橋密度が得られず、線量が大きすぎると微多孔膜が劣化して機械強度が低下する場合がある。電子線照射による架橋効率は、一般に照射温度やサンプルの冷却状況、さらには酸素濃度等の影響を強く受けるため、これらの条件を最適化することで低線量でも十分な架橋処理を施すことが可能となる。照射サンプルの架橋点間分子量やゲル分率を参照しながらあらかじめ照射条件を確立しておくことが好ましい。
【0031】
照射時の加速電圧も特に制限されないが、たとえば30μm程度の微多孔膜に照射を行う場合は、200kV程度の加速電圧で良好に架橋処理を行うことができる。
また、一度に高線量を照査すると電子線のエネルギーでポリエチレンが加熱され、膜が溶融する等の不都合が生じやすい。このため、線量を10Mrad以上にするときは数回に分けて照射することが好ましい。
また、いずれの製法においても微多孔膜を架橋後に熱処理することによって、同じ線量でも実質的な架橋密度(ゲル分率)を高めることが可能である。
以上の製法によって得られたポリエチレン微多孔膜は、寸法安定性を高めるため必要に応じて更にそのヒューズ温度以下で熱処理に供してもよい。また、熱処理後に更に架橋処理を行ってもかまわない。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施の形態に基づいてさらに詳細に説明する。
実施例において示す試験方法は次の通りである。
(1)膜厚
ダイヤルゲージ(尾崎製作所:PEACOCK No25)にて測定した。
(2)気孔率
20cm角のサンプルを微多孔膜から切り取り、その体積と重量を求め、得られた結果から次式を用いて計算した。
気孔率(%)=100×(体積(cm3) −重量(g) /0.95)/体積(cm3)
【0033】
(3)平均孔径
1.SEM法:走査型電子顕微鏡にて測定した。
2.透過法:0.5kg/cm2 の差圧下で0.05重量%のプルラン(昭和電工製)の水溶液を循環させたときに、濾液中に含まれるプルラン濃度を示差屈折率測定から求めた。そして、阻止率50%になるプルランの分子量Mと同水溶液の固有粘度[η]から次式を用いて平均孔径d(μm)を測定した
[η]M=2.1×1021((d/2)2 3/2
(4)ゲル分率
ASTM D2765に基づき一定の大きさに切り取った微多孔膜のサンプルの沸騰パラキシレン中での12時間可溶分抽出後の重量変化より、抽出前の試料の質量に対する抽出後の残存質量の比として次式により求めた。
ゲル分率(%)=100×残存質量(g)/試料質量(g)
【0034】
(5)突き刺し強度
カトーテック製KES−G5ハンディー圧縮試験器を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、突き刺し速度2mm/secの条件で突き刺し試験を行い、最大突き刺し荷重を突き刺し強度(g)とした。また、突き刺し強度に25(μm)/膜厚(μm)を乗じることによって25μ換算突き刺し強度とした。
(6)溶融突き刺し強度
ポリエチレン微多孔膜を内径13mm、外径25mmのSUS製ワッシャ2枚の間に挟み込み、周囲をクリップで留めたあとあらかじめ160℃に加熱したシリコンオイル(信越化学工業:KF-96-10CS)中に浸漬し、サンプルを溶融させた。このシリコンオイル中の溶融サンプルに対して(5)と同様の方法で溶融突き刺し強度(g)を測定した。
【0035】
(7)架橋点間分子量
ポリエチレン微多孔膜を約25×100mmの大きさに切り出し、あらかじめ160℃に加熱したシリコンオイル(信越化学工業:KF-96-10CS)中に手早く浸して均一に収縮させ、無配向・無孔状態のサンプルとした。このサンプルを塩化メチレンでよく洗浄したあと幅5mm、長さ30mmの試験片を切り出し、膜厚を測定した。この試験片を高温槽付きの引っ張り試験機(ミネベア社製TCM−500)を用いて、温度160℃、チャック間20mm、速度100mm/minの条件で引っ張り試験を行った。
【0036】
このときの応力s(kg/cm2 ) を、α−α-2(αは伸長比[α=L/L0])に対してプロットすると、緩やかなS字状の曲線が得られる。この曲線はα−α-2が概ね2から4のときに最小の勾配をとるが、このとき試験片が理想的なエントロピー弾性状態にあると仮定すると、架橋点間分子量<Mc>は、最小勾配A(kg/cm2 ) と絶対温度Tを用いて次式から求めることができる。
<Mc>=ρRT/A
ここで、ρ(g/cm 3 ) は測定温度における試験片の密度、Rは気体定数である。
【0037】
(8)収縮残存率
内径54mm、外径86mm、厚さ2mmの円形の金枠2枚の間にフッ素ゴム2枚を介して微多孔膜のサンプルを挟み込み、周囲をクリップで固定した。この状態の膜を160℃のシリコンオイル(信越化学工業:KF-96-10CS)に1分間浸漬して熱処理を行い、未架橋部分の配向を除去した。次に金枠の内径に沿ってサンプルを切り出し、改めて160℃のシリコンオイルに1分間浸漬し、このときのサンプルの収縮残存率を、サンプルの長径aと短径bから次式より計算した。
収縮残存率(%)=(ab/542 )×100
【0038】
(9)ヒューズ温度
電解液としてプロピレンカーボネートとブチロラクトンの混合溶媒(体積比=1:1)に1.0Mの濃度となるようにホウフッ化リチウムを加えて調整した液を用い、直径16mmに切り抜いたポリエチレン微多孔膜に電解液を含浸させ、この膜を2枚のニッケル製電極を使用して20kg/cm2 の圧力で挟み込み、室温から20℃/minで昇温したときのインピーダンス変化を1V、1kHzの条件下で測定した。この測定においてインピーダンスが1000Ωに達した温度を微多孔膜のヒューズ温度とした。
(10)吸収線量
電子線照射装置内の照射位置において、フィルム線量計にて測定した線量を被照射試料の吸収線量とした。
【0039】
(比較例1、2)および(実施例1〜3)
重量平均分子量25万の高密度ポリエチレン(密度0.956)38.25部、メルトインデックス0.017の線状共重合ポリエチレン(密度0.929、プロピレン含有量1.6モル%)6.75部、パラフィン油(松村石油研究所:P350P)55部を35mmの2軸押出機を用いて200℃で混練して熱溶液を調製し、リップ間1800μmのハンガーコートダイから30℃に温度を調整した冷却ロール上に同熱溶液をキャストして厚さ1800μmの高分子ゲルのシートを作成した。このシートを連続式の同時2軸延伸機を用いて7×7倍に延伸したあと塩化メチレンでパラフィン油を抽出除去し、ポリエチレン微多孔膜を作成した。該ポリエチレン微多孔膜を表1上段に示すような条件で架橋処理を行った。このときの加速電圧は150kVであった。結果を表1下段に示す。
【0040】
【表1】
Figure 0003747963
【0041】
(実施例4〜6)
重量平均分子量14万の高密度ポリエチレン(密度0.962)40部、パラフィン油(松村石油研究所:P350P)60部を、バッチ式溶融混練機(東洋精機:ラボプラストミル)を用いて200℃・50rpmで5分間混練した。得られた混練物を200℃の加熱プレスで成形したあと水冷プレスで冷却し、厚さ1000μmのシートを作った。このシートをバッチ式の同時2軸延伸機(東洋精機)を用いて6×6倍に延伸し、その後塩化メチレンでパラフィン油を抽出除去し、ポリエチレン微多孔膜を作成した。該ポリエチレン微多孔膜を表2上段に示すような条件で架橋処理を行った。このときの加速電圧は150kVであった。結果を表2下段に示す。
【0042】
【表2】
Figure 0003747963
【0043】
(実施例7)および(比較例3、4)
重量平均分子量25万の高密度ポリエチレン28部、メルトインデックス0.017の線状共重合ポリエチレン(密度0.929、プロピレン含有量1.6モル%)12部、パラフィン油(松村石油研究所:P350P)60部を35mmの2軸押出機を用いて200℃で混練して熱溶液を調製し、リップ間1400μmのハンガーコートダイから30℃に温度を調整した冷却ロール上に同熱溶液をキャストして厚さ1600μmの高分子ゲルのシートを作成した。このシートを連続式の同時2軸延伸機を用いて7×7倍に延伸したあと塩化メチレンでパラフィン油を抽出除去し、ポリエチレン微多孔膜を作成した。該ポリエチレン微多孔膜を表3上段に示すような条件で架橋処理を行った。このときの加速電圧は150kVであった。結果を表3下段に示す。
【0044】
【表3】
Figure 0003747963
【0045】
【発明の効果】
本発明に係るポリエチレン微多孔膜は鋭敏なヒューズ効果と高い耐熱性を併せ持つため、特に電池用セパレーターとして使用する事によりヒューズ状態下の膜の安定性が向上し、破膜による電流復帰を未然に防止する事によって電池の安全性をさらに高めることが可能となる。

Claims (3)

  1. 架橋点間分子量が20万以下、収縮残存率が15%以上、気孔率が20〜80%、ゲル分率が80%以上であり、透過性であるポリエチレン微多孔膜を用いたことを特徴とする電池用セパレータ。
  2. 透過法による平均孔径が0.001〜0.1μmであることを特徴とする請求項に記載の電池用セパレータ。
  3. 請求項1または請求項2のいずれかに記載の電池用セパレータを用いた電池。
JP18166996A 1996-06-24 1996-06-24 高耐熱性ポリエチレン微多孔膜 Expired - Fee Related JP3747963B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18166996A JP3747963B2 (ja) 1996-06-24 1996-06-24 高耐熱性ポリエチレン微多孔膜

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18166996A JP3747963B2 (ja) 1996-06-24 1996-06-24 高耐熱性ポリエチレン微多孔膜

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH107831A JPH107831A (ja) 1998-01-13
JP3747963B2 true JP3747963B2 (ja) 2006-02-22

Family

ID=16104804

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18166996A Expired - Fee Related JP3747963B2 (ja) 1996-06-24 1996-06-24 高耐熱性ポリエチレン微多孔膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3747963B2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6322923B1 (en) * 1998-01-30 2001-11-27 Celgard Inc. Separator for gel electrolyte battery
US6432586B1 (en) 2000-04-10 2002-08-13 Celgard Inc. Separator for a high energy rechargeable lithium battery
JP5207569B2 (ja) * 2001-01-16 2013-06-12 旭化成イーマテリアルズ株式会社 リチウム電池用セパレータ
JP4012822B2 (ja) * 2001-03-09 2007-11-21 旭化成ケミカルズ株式会社 微多孔膜およびその製造方法
WO2008146758A1 (ja) 2007-05-24 2008-12-04 Nitto Denko Corporation 多孔質フィルムの製造方法及び多孔質フィルム、並びに非水電解質電池用セパレータ及びこれを用いた非水電解質電池
JP2015062174A (ja) * 2013-08-22 2015-04-02 ユニチカ株式会社 多孔質フィルム
WO2019190126A1 (ko) * 2018-03-27 2019-10-03 주식회사 엘지화학 전고체 전지용 복합 고체 전해질 막 및 이를 포함하는 전고체 전지
US11342577B2 (en) 2018-03-27 2022-05-24 Lg Energy Solution, Ltd. Lithium metal battery including phase transformation layer facing lithium metal negative electrode
CN116426054B (zh) * 2023-04-07 2023-11-10 云南惠强塑料制品有限公司 一种晶须改性的高密度聚乙烯组合物

Also Published As

Publication number Publication date
JPH107831A (ja) 1998-01-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3525390B2 (ja) ポリエチレン微多孔膜および製造方法
JP3177744B2 (ja) 耐ショート性ポリエチレン微多孔膜
JP5722305B2 (ja) 微多孔膜、バッテリーセパレーターフィルム、電池及び微多孔膜の製造方法
JP4583532B2 (ja) 多孔質膜
JP5967589B2 (ja) ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法
JP5630827B2 (ja) ポリオレフィン多孔質膜およびその製造方法ならびにその製造装置
JP4195810B2 (ja) ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法並びに用途
JP4677663B2 (ja) ポリオレフィン微多孔膜
JP3113287B2 (ja) 低いヒューズ温度を有するポリエチレン微多孔膜
JP4703076B2 (ja) 微多孔フィルム
JP4606532B2 (ja) ポリオレフィン製微多孔膜
JP4206182B2 (ja) 微多孔フィルム
JP3747963B2 (ja) 高耐熱性ポリエチレン微多孔膜
JP4752000B2 (ja) ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法
JP2016191006A (ja) ポリオレフィン微多孔膜の製造方法、電池用セパレータ、及び非水電解液二次電池
JP4799179B2 (ja) ポリオレフィン微多孔膜
JPH11269290A (ja) ポリオレフィン微多孔膜
JPH0899382A (ja) オレフィン系重合体の積層微孔性フィルム、その製法 およびその用途
JP3669777B2 (ja) ポリエチレン微多孔膜
JPH1067870A (ja) ポリエチレン製微多孔膜および製造方法
JP2001200082A (ja) ポリエチレン微多孔膜及びその製造方法
JP4713441B2 (ja) ポリオレフィン微多孔膜の製造方法
JP4248093B2 (ja) 多孔質フィルム
JP2003119313A (ja) 多孔質フィルムの製造方法
JP2019157060A (ja) ポリオレフィン微多孔膜

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050114

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050118

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050316

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050412

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050609

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20050801

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132

Effective date: 20051018

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051031

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20051122

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20051122

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081209

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091209

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091209

Year of fee payment: 4

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091209

Year of fee payment: 4

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091209

Year of fee payment: 4

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091209

Year of fee payment: 4

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101209

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101209

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111209

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111209

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121209

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121209

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131209

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees