JP2015062174A - 多孔質フィルム - Google Patents

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Munenori Yamada
宗紀 山田
直史 藤岡
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直史 藤岡
耕 竹内
Ko Takeuchi
耕 竹内
健太 柴田
Kenta Shibata
健太 柴田
朗 繁田
Akira Shigeta
朗 繁田
寿史朗 江口
Jushiro Eguchi
寿史朗 江口
雅弘 細田
Masahiro Hosoda
雅弘 細田
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Yoshiaki Echigo
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Abstract

【課題】イオン透過性および耐熱性(耐熱イオン透過性および耐熱変形性)に優れた多孔質フィルムを提供すること。
【解決手段】二次電池用セパレータまたはキャパシタ用セパレータとして使用可能な多孔質フィルムであって、耐熱性多孔質体に変性ポリオレフィン系樹脂が含浸されてなり、200℃に加熱した際の形状維持率が98%以上である多孔質フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、多孔質フィルムに関し、詳しくはリチウム二次電池またはキャパシタに使用されるセパレータとして使用可能な多孔質フィルムに関する。
リチウム二次電池やキャパシタは、エネルギー密度が高いので電気自動車やパーソナルコンピュータ、携帯電話等の電子機器に用いる蓄電デバイスとして広く使用されている。なお、ここで言うキャパシタとは電気二重層コンデンサやリチウムイオンキャパシタ等を含むものである。
リチウム二次電池は、電池の破損等により内部短絡または外部短絡が生じた場合には、大電流が流れて、例えば200℃程度に異常発熱することがある。そのため、リチウム二次電池には一定以上の発熱を防止し、高い安全性を確保することが重要である。この安全性確保手段として、異常発熱の際に、セパレータに、電極間のイオンの通過を遮断して、発熱を防止するシャットダウン機能を持たせる方法が広く実用化されている。
このシャットダウン機能を有するセパレータとしては例えば、ポリオレフィンからなる多孔質フィルムが用いられる。この多孔質フィルムからなるセパレータは、電池の異常発熱時には、ポリオレフィンが溶融して無孔化するためイオンの通過をシャットダウンすることができる。しかしながら、これらポリオレフィン製セパレータは、200℃程度の高温になると収縮や破断が起こりやすいので、場合によっては、正極と負極が直接接触して、短絡を起こすおそれがあり、短絡による異常発熱を抑制できないことがある。従い、このような高温でも充分に絶縁性が確保できるセパレータが求められている。また、キャパシタにおいては、例えば、200℃程度のハンダリフロー工程で閉塞せずに絶縁性と透過性が維持可能なセパレータが求められている。すなわち、リチウム二次電池またはキャパシタに使用されるセパレータとしては、200℃程度の高温でも、収縮や破断が充分に抑制されて通常時のイオン透過性を維持できるセパレータが求められている。
このような問題を解決する方法として、ポリエステル製不織布やアルミナ短繊維からなる不織布等に、フィラーを配合したバインダ樹脂を含浸することにより、高温での形状安定性が付与されたセパレータが提案されている(例えば、特許文献1、2)。
しかしながら、このような方法では、基材である不織布そのものの剛性が低いので、フィラーおよびバインダ樹脂を含む耐熱層は、例えば200℃のような高温での安定性は必ずしも充分ではなかった。この問題を解消する方法として、耐熱性と力学的強度に優れ、かつ均一性が良好なガラス繊維からなる織物(以下「Gクロス」と略記することがある)を用いたセパレータが提案されている。例えば、ポリオレフィンからなる多孔質フィルム層に、厚みが25μm〜100μmであって、バインダ樹脂を含有しないGクロスを積層した電池セパレータ用多孔質フィルムが提案されている(特許文献3)。しかしながら、このような多孔質フィルムは、Gクロスとポリオレフィン微多孔膜との層間接着が不十分なため積層体が剥がれやすいという問題があった。また、熱誘起相分離法により微多孔構造が形成されたポリオレフィンを含浸したGクロスからなるセパレータも提案されている(特許文献4)。しかしながら、このような方法でも、ポリオレフィンとGクロスの密着性が充分でないため、高温でのイオン透過性が損なわれるという問題があった。
特許第5213007号公報 特許第4743747号公報 特開平10−12211号公報 特開2004−269579号公報
そこで、本発明の課題は、リチウム二次電池やキャパシタのセパレータとして使用可能な多孔質フィルムであって、耐熱性に優れた多孔質フィルムを提供することにある。
本発明の課題は、すなわち、イオン透過性および耐熱性(耐熱イオン透過性および耐熱変形性)に優れた多孔質フィルムを提供することにある。
本明細書中、「イオン透過性」は特記しない限り、リチウム二次電池またはキャパシタにおいて通常、もたらされる100℃以下の温度環境下でのイオン透過性を意味する。200℃程度の高温環境下でのイオン透過性は、特に「耐熱イオン透過性」と呼ぶものとする。「耐熱イオン透過性」は、180℃以下の温度環境下でのイオン透過性が200℃程度の高温環境下でも充分に維持される特性を意味する。
「耐熱変形性」は、200℃程度の高温環境下においても、多孔質フィルムが全体形状として収縮および膨張(特に収縮)を起こさない特性を意味する。
本発明は、
二次電池用セパレータまたはキャパシタ用セパレータとして使用可能な多孔質フィルムであって、
耐熱性多孔質体に変性ポリオレフィン系樹脂が含浸されてなり、
200℃での形状維持率が98%以上であることを特徴とする多孔質フィルムに関する。
本発明によれば、耐熱性(耐熱イオン透過性および耐熱変形性)が要求される、リチウム二次電池用セパレータまたはキャパシタ用セパレータとして使用可能な多孔質フィルムを提供することができる。
[多孔質フィルム]
本発明の多孔質フィルムは、耐熱性多孔質体に、変性ポリオレフィン系樹脂がバインダとして含浸されたされたものである。
耐熱性多孔質体としては、ガラス転移温度が200℃以上の有機高分子からなる織物や不織布もしくは通気性フィルム、ガラス繊維、セラミックス繊維等の無機繊維からなる織物もしくは不織布を用いることができる。この中で、耐熱変形性のさらなる向上の観点からは、無機繊維からなる織物もしくは不織布、特にガラス繊維からなる織物(Gクロス)を好ましく用いることができる。耐熱多孔質体の目付けは、所望の透気度が達成される限り特に限定されず、特にGクロスの目付は通常、5〜50g/mであり、好ましくは10〜40g/mである。耐熱性多孔質体の好ましい厚みは50μm以下であり、30μm以下であることがより好ましく、25μm以下であることが更に好ましい。耐熱性多孔質体の厚みの下限値は特に限定されず、当該厚みは通常5μm以上であり、好ましくは10μm以上である。Gクロスは、アミノ基やエポキシ基を含有するシランカップリング剤で処理されていることが好ましい。このようにすることにより、変性ポリオレフィン系樹脂との強固な接着性を確保することができる。
耐熱性多孔質体は市販品として入手可能である。例えば、ユニチカ株式会社製のGクロス(品番E02R SK、E01Z SK)が使用可能である。
本発明で用いられる変性ポリオレフィン系樹脂は、耐熱性多孔質体との接着性が向上した変性ポリオレフィン系樹脂であれば制限はないが、例えば、ポリオレフィンに対して不飽和カルボン酸がランダム共重合またはグラフト共重合した構造を有する共重合体が好ましく用いられる。
変性ポリオレフィン系樹脂の骨格となるポリオレフィンの具体例としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブタジエン等を挙げることができる。
不飽和カルボン酸は、1分子中、少なくとも1つのラジカル重合性結合(特に二重結合)と少なくとも1つのカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸およびその無水物である。その具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸等を挙げることができる。変性ポリオレフィン系樹脂は不飽和カルボン酸として2種類以上の化合物を含有してもよい。ポリオレフィン樹脂への導入のし易さの点および前記シランカップリング剤で処理されたGクロスとの接着性確保の点から、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
変性ポリオレフィン系樹脂は、所定のモノマーを界面重合法、溶液重合法、懸濁重合法等の公知の方法により重合させることにより製造することもできるし、または市販品として水を主分散媒とした水性エマルジョン、有機溶媒を主溶媒とした溶液等の形態で入手することもできる。変性ポリオレフィン系樹脂は、環境適合性の観点から、水性エマルジョン形態のものを用いることが好ましい。変性ポリオレフィン系樹脂の水性エマルジョンは、例えば、特許第3699935号、特許第3759160号公報等に記載された方法で製造することができる。市販品としては、ユニチカ株式会社製「アローベース」(商品名)の品番SA−1200、SB−1200、SE−1200、SB−1010等を例示することができる。このような市販品は変性ポリオレフィン系樹脂の水性エマルジョンである。
変性ポリオレフィン系樹脂としては、組成、分子量および/または融点が異なる2種以上の変性ポリオレフィン系樹脂を用いてもよい。このとき、2種以上の変性ポリオレフィン系樹脂はそれぞれが上述の範囲のものであればよい。
本発明において、変性ポリオレフィン系樹脂中には、フィラー、架橋剤またはこれらの混合物等の配合剤が配合される。このため、配合剤は変性ポリオレフィン系樹脂とともに、耐熱性多孔質体に含浸される。含浸とは、耐熱性多孔質体の構造中の間隙に浸透または充填させることをいう。本発明では、上記配合剤が、変性ポリオレフィン系樹脂とともに、耐熱性多孔質体中に含浸されるため、耐熱イオン透過性が向上する。フィラーも架橋剤も配合されないと、耐熱イオン透過性が低下する。
フィラーとは、プラスチックの分野で、硬さ、剛性、衝撃強さ等の物理的性質を改善するために使用される添加剤のことである。このようなフィラーとしては、無機または有機のフィラーを用いることができる。フィラーは、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
有機フィラーとして具体的には、スチレン、ビニルケトン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸メチル等の単独あるいは2種類以上の共重合体;ポリテトラフルオロエチレン、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、4フッ化エチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド等のフッ素系樹脂;メラミン樹脂;尿素樹脂;ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリメタクリレート等の有機物からなるフィラーが挙げられる。有機フィラーとしては、シャトダウン特性の向上を図る観点からポリエチレンやポリプロピレンが好ましい。
無機フィラーとして具体的には、炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、シリカ、ハイドロタルサイト、珪藻土、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、マイカ、ゼオライト、ガラス等の無機物からなるフィラーが挙げられる。無機フィラーとしては、化学的安定性の観点から、アルミナフィラーが好ましい。アルミナには、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ等の多くの結晶形が存在するが、α−アルミナが熱的・化学的安定性が高いため、最も好ましい。
フィラーとしては、耐熱イオン透過性のさらなる向上の観点から、無機フィラー、特にアルミナが好ましい。
フィラーの形状に制限はなく、例えば、不定形状、粒子状(特に球状)、繊維状等、いかなる形状でもよい。均一な通気性を確保する観点から、粒子状(特に球状)が好ましい。
フィラーが特に粒子状の場合、当該フィラーの平均粒径は、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。フィラーの平均粒径の下限値は特に限定されず、フィラーの平均粒径は通常0.01μm以上であり、好ましくは0.1μm以上である。平均粒径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置で測定した体積基準の平均粒径を言う。
架橋剤は変性ポリオレフィン系樹脂の架橋剤であり、変性ポリオレフィン系樹脂が有するカルボキシル基や酸無水物基と反応し得る反応性基を1分子中、2個以上有する有機化合物(熱可塑性または熱硬化性の高分子を含む)である。架橋剤の具体例としては、オキサゾリン系、メラミン系、エポキシ系等の架橋剤を挙げることができ、耐熱イオン透過性のさらなる向上の観点から、オキサゾリン系の架橋剤が好ましい。
オキサゾリン系架橋剤は1分子中、オキサゾリン基を2個以上有する有機化合物(熱可塑性または熱硬化性の高分子を含む)である。オキサゾリン系架橋剤としては、日本触媒株式会社製のWS−700等として入手可能である。
フィラーが配合される場合、フィラーの配合量は変性ポリオレフィン系樹脂に対して80〜400質量%が好ましく、より好ましくは90〜300質量%である。この場合、変性ポリオレフィン系樹脂およびフィラーの合計含浸量は耐熱性多孔質体に対して10〜60質量%が好ましく、より好ましくは20〜50質量%である。フィラーの配合量が少なすぎると、耐熱イオン透過性が低下する。フィラーの配合量が多すぎると、通常使用時からイオン透過性が低下する。上記合計含浸量が少なすぎると、耐熱イオン透過性が低下する。上記合計含浸量が多すぎると、通常使用時からイオン透過性が低下する。2種類以上のフィラーを使用する場合、それらの合計配合量が上記配合量の範囲内であればよく、それらのフィラーと変性ポリオレフィン系樹脂の合計含浸量が上記範囲内であればよい。
架橋剤が配合される場合、架橋剤の配合量は変性ポリオレフィン系樹脂に対して3〜30質量%が好ましく、より好ましくは5〜20質量%である。この場合、変性ポリオレフィン系樹脂および架橋剤の合計含浸量は耐熱性多孔質体に対して5〜40質量%が好ましく、より好ましくは10〜30質量%である。2種類以上の架橋剤を使用する場合、それらの合計配合量が上記配合量の範囲内であればよく、それらの架橋剤と変性ポリオレフィン系樹脂の合計含浸量が上記範囲内であればよい。
前記フィラーと架橋剤は、これらを併用して使用することもできる。
本発明の多孔質フィルムは、以下の2工程を含む製造方法により製造できる。
第1工程:
変性ポリオレフィン系樹脂を溶液もしくはエマルジョンとし、これに、所定量のフィラー、架橋剤またはこれらの混合物を添加し、均一に分散した含浸液(以下、単に「含浸液」と略記することがある)を調製する。含浸液には、界面活性剤、増粘剤等の他の添加剤が含有されてもよい。
第2工程:
前記含浸液を前記耐熱性多孔質体に含浸または塗布した後、乾燥して溶媒もしくは分散媒を除去する。ここで必要に応じ、乾燥後の多孔質フィルムを熱プレス処理しても良い。熱プレス処理により、表面が平滑な多孔質フィルムが得られる。また、熱プレスする際に、本発明の多孔質フィルムと、二次電池もしくはキャパシタ用セパレータとして市販されているポリオレフィン製多孔質フィルムとを積層一体化しても良い。ポリオレフィン製多孔質フィルムの市販品としては、SK社やFoshan社のポリエチレン製多孔質フィルムやCelgard社のポリプロピレン多孔質フィルムを例示することができる。これらの市販品は、9〜25μmの厚みを有するものである。
本発明の多孔質フィルムは、200℃での形状維持率が98%以上である。当該形状維持率が98%未満であると、耐熱変形性が低下するため、セパレータとして使用した場合、正極と負極が直接接触して、短絡を起こすおそれがあり、短絡による異常発熱を抑制できないことがある。
形状維持率は、加熱後の形状維持率であって、加熱前の全体寸法に対する加熱後の全体寸法の変化の割合であり、詳しくは後述の耐熱変形性の評価方法に記載の方法により測定された値を用いている。
本発明の多孔質フィルムはリチウム二次電池用セパレータまたはキャパシタ用セパレータとして使用可能である。リチウム二次電池用セパレータまたはキャパシタ用セパレータとして使用可能であるとは、本発明の多孔質フィルムの用途がリチウム二次電池用セパレータまたはキャパシタ用セパレータに限定されることを意味するものではなく、リチウム二次電池用セパレータまたはキャパシタ用セパレータに適した特性を要する他の用途にも使用され得ることを意味する。そのような他の用途として、例えば、電子基板、チップパッケージ、回路ボード等の電子デバイス用基板材料、および液体や気体のフィルタ等が挙げられる。
本発明の多孔質フィルムが有する二次電池用セパレータまたはキャパシタ用セパレータに適した特性とは、以下に示す透気度およびガーレ値変動率のことである。
本発明の多孔質フィルムの好ましい透気度は、ガーレ値(JIS規格P8117)で1000秒/100cc以下であり、800秒/100cc以下がより好ましく、600秒/100cc以下であることが更に好ましい。好ましい透気度の下限値は特に限定されず、好ましい透気度は通常、1秒/100cc以上であり、10秒/100cc以上がより好ましく、50秒/100cc以上であることが更に好ましい。透気度は、セパレータのイオン透過性を示す指標となるものである。ガーレ値が小さすぎても、大きすぎても、初期のイオン透過性が充分ではない。
本発明の多孔質フィルムはまた、200℃に加熱した際のガーレ値の変動率が−50%以下であることが好ましく、−30%以下がより好ましく、−20%以下が更に好ましい。また、この変動率は、+20%未満であることが好ましく、+10%以下であることがより好ましい。ガーレ値の変動率をこのような範囲とすることにより、良好な耐熱イオン透過性を確保することができる。ガーレ値の変動は加熱による破膜や閉塞等に起因するものである。ガーレ値変動率が小さすぎても、大きすぎても、耐熱イオン透過性が充分ではない。
本発明の多孔質フィルムにおいて、透気度およびガーレ値変動率を前記範囲とするには、前記耐熱性多孔質体に、フィラー、架橋剤またはこれらの混合物を配合した変性ポリオレフィン系樹脂を含浸する際、これらの含浸量を、耐熱性多孔質体に対して前記範囲内とすればよい。詳しくは、フィラー、架橋剤またはこれらの混合物を配合する場合の各場合において、含浸量を規定の範囲内で調整することにより、透気度およびガーレ値変動率を上記範囲内に制御することができる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお本発明は実施例により限定されるものではない。
実施例及び比較例において多孔質フィルムの特性等は以下の方法(1)〜(3)で評価した。
(1)厚み(単位:μm)
多孔質フィルムの厚みは、JIS K7130−1992に基づいて測定した。
(2)透気度:ガーレ値(単位:秒/100cc)
多孔質フィルムの透気度は、JIS P8117に基づいてガーレ値を測定した。
(3)耐熱性(耐熱変形性)
多孔質フィルムを、8cm×8cmに切り出し、その中に6cm×6cmの四角を書き入れた。この多孔質フィルムをアラミド短繊維からなるノメックス紙に挟んで、200℃のオーブンに入れて3分加熱した。加熱後のフィルム(縦方向および横方向)の線間隔を測定することで、加熱後の形状維持率(縦方向および横方向の平均値)を算出した。
加熱後の縦方向形状維持率=加熱後の縦方向線間隔/加熱前の縦方向線間隔
加熱後の横方向形状維持率=加熱後の横方向線間隔/加熱前の横方向線間隔
加熱後の形状維持率=(加熱後の縦方向形状維持率+加熱後の横方向形状維持率)/2
(4)耐熱性(耐熱イオン透過性)
耐熱性(耐熱変形性)の評価方法で得られた加熱後のフィルムの透気度(ガーレ値)を上記方法により測定することにより、ガーレ値変動率を算出した。
ガーレ値変動率=(加熱後のガーレ値−加熱前のガーレ値)/加熱前のガーレ値
〔実施例1〕
耐熱性多孔質体として、ユニチカ株式会社製Gクロス(品番E02R SK、目付け24g/m、厚み20μm)を用意し、アミノ基含有シランカップリング剤で表面処理した。一方、含浸用の変性ポリオレフィン系樹脂として、変性ポリオレフィン系樹脂の水性エマルジョンであるユニチカ株式会社製「アローベース」(商品名)の品番SB−1200を用意した。この水性エマルジョンに、平均粒径が0.2μmのα−アルミナ粉末を加えて撹拌し均一な分散体とすることによりMPO樹脂からなる含浸液を調製した。(含浸液中の固形分を「MPO樹脂」という)。ここで、α−アルミナ粉末の配合量は変性ポリオレフィン系樹脂に対し100質量%とした。前記Gクロスを、適度に希釈した前記含浸液に浸漬処理し、マングルで絞液し、次いで、100℃で乾燥することによりMPO樹脂の含浸量がGクロス当たり32.2質量%の多孔質フィルムA−1を得た。多孔質フィルムA−1を評価し、結果を表1に示す。
〔実施例2〕
α−アルミナ粉末の配合量を変性ポリオレフィン系樹脂に対し250質量%とすること以外は、実施例1と同様に行い、MPO樹脂の含浸量がGクロス当たり40.5質量%の多孔質フィルムA−2を得た。多孔質フィルムA−2を評価し、結果を表1に示す。
〔実施例3〕
平均粒径が0.7μmのα−アルミナ粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、MPO樹脂の含浸量がGクロス当たり33.1質量%の多孔質フィルムA−1を得た。多孔質フィルムA−1を評価し、結果を表1に示す。
〔実施例4〕
実施例1で用いた変性ポリオレフィン系樹脂の水性エマルジョンに、オキサゾリン系架橋剤(日本触媒株式会社製WS−700)を加えて撹拌し、均一な分散体とすることによりMPO樹脂からなる含浸液を調製した。ここで、オキサゾリン系架橋剤の配合量は、変性ポリオレフィン系樹脂に対し、5.9質量%とした。実施例1で用いたGクロス(シランカップリング剤処理品)を、適度に希釈した前記含浸液に浸漬処理し、マングルで絞液し、次いで、100℃で乾燥して、MPO樹脂の含浸量がGクロス当たり17.0質量%の多孔質フィルムA−4を得た。多孔質フィルムA−4を評価し、結果を表1に示す。
〔実施例5〕
オキサゾリン系架橋剤の配合量を変性ポリオレフィン系樹脂に対し6.8質量%としたこと以外は、実施例4と同様に行い、MPO樹脂の含浸量がGクロス当たり18.5質量%の多孔質フィルムA−5を得た。多孔質フィルムA−5を評価し、結果を表1に示す。
〔実施例6〕
耐熱性多孔質体として、ユニチカ株式会社製Gクロス(品番E01Z SK、目付け12g/m、厚み13μm、シランカップリング剤処理品)を用いたこと以外は、実施例4と同様に行い、MPO樹脂の含浸量がGクロス当たり16.5質量%の多孔質フィルムA−6を得た。多孔質フィルムA−6を評価し、結果を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1で用いたGクロスを、適度に希釈した変性ポリオレフィン系樹脂の水性エマルジョン(実施例1で用いたもの)に浸漬処理し、マングルで絞液し、次いで、100℃で乾燥して、MPO樹脂の含浸量がGクロス当たり18.3質量%の多孔質フィルムB−1を得た。多孔質フィルムB−1を評価し、結果を表1に示す。
〔比較例2〕
α−アルミナ粉末の配合量を2000質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、MPO樹脂の含浸量がGクロス当たり10.0質量%の多孔質フィルムB−2を得た。この多孔質フィルムでは、用いたα−アルミナ粉末が、フィルム表面から脱落し、フィラーの接着性に劣るものであった。
〔比較例3〕
MPO樹脂の含浸量をGクロス当たり61.2質量%に調整したこと以外は、実施例1と同様にして多孔質フィルムB−3を得た。多孔質フィルムB−3を評価し、結果を表1に示す。
〔比較例4〕
オキサゾリン系架橋剤の配合量を変性ポリオレフィン系樹脂に対し1.5質量%としたこと以外は、実施例4と同様に行い、MPO樹脂の含浸量がGクロス当たり16.9質量%の多孔質フィルムB−4を得た。多孔質フィルムB−4を評価し、結果を表1に示す。
実施例1〜6で示した様に、本発明の多孔質フィルムは、通気性に優れる上、200℃加熱時の形状維持率が98%以上であり、かつガーレ値変動率が−50%以下、+20%未満であるので、耐熱性(耐熱変形性および耐熱イオン透過性)が要求されるリチウム二次電池やキャパシタのセパレータとして好適に使用することができる。これに対し、比較例1〜4で示した多孔質フィルムは、耐熱性が要求される二次電池もしくはキャパシタのセパレータとして使用するには不適である。
Figure 2015062174
本発明の多孔質フィルムは、リチウム二次電池やキャパシタのセパレータだけでなく、電子基板、チップパッケージ、回路ボード等の電子デバイス用基板材料、および液体や気体のフィルタ等としても有用である。

Claims (5)

  1. リチウム二次電池用セパレータまたはキャパシタ用セパレータとして使用可能な多孔質フィルムであって、
    耐熱性多孔質体に変性ポリオレフィン系樹脂が含浸されてなり、
    200℃に加熱した際の形状維持率が98%以上であることを特徴とする多孔質フィルム。
  2. 耐熱性多孔質体がガラス繊維織物である請求項1に記載の多孔質フィルム。
  3. 変性ポリオレフィン系樹脂中にフィラーが配合されている請求項1に記載の多孔質フィルム。
  4. 変性ポリオレフィン系樹脂中に架橋剤が配合されている請求項1に記載の多孔質フィルム。
  5. 前記多孔質フィルムがガーレ値(JIS規格P8117)で1000秒/100cc以下1秒/100cc以上の透気度を有し、
    前記多孔質フィルムを200℃に加熱した際のガーレ値の変動率が+20%未満、−50%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質フィルム。
JP2014169392A 2013-08-22 2014-08-22 多孔質フィルム Pending JP2015062174A (ja)

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