JPH11269290A - ポリオレフィン微多孔膜 - Google Patents

ポリオレフィン微多孔膜

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JPH11269290A
JPH11269290A JP10090686A JP9068698A JPH11269290A JP H11269290 A JPH11269290 A JP H11269290A JP 10090686 A JP10090686 A JP 10090686A JP 9068698 A JP9068698 A JP 9068698A JP H11269290 A JPH11269290 A JP H11269290A
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JP
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polyolefin
weight
membrane
molecular weight
polyethylene
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JP10090686A
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Kotaro Takita
耕太郎 滝田
Hidehiko Funaoka
英彦 船岡
Norimitsu Kaimai
教充 開米
Koichi Kono
公一 河野
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Tonen Chemical Corp
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Tonen Sekiyu Kagaku KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透過性能及び機械的強度に優れるとともに、
成形時の曲がり等が少なく、電解液の保持量の優れたポ
リオレフィン微多孔膜を提供する。 【解決手段】 重量平均分子量が5×105以上のポリ
エチレンまたはそのポリエチレン組成物70〜95重量
%と、重量平均分子量が1×104以上のポリプロピレ
ン5〜30重量%を含有するポリオレフィン組成物から
なるポリオレフィン微多孔膜であって、膜表面の面方向
に隣り合う左右四方1mm以内の厚み変動が±1μm以
上にし、ポリオレフィン微多孔膜の表面に微視的な凹凸
を生じさせ、成形性、電解液の浸透性、保持性を改良し
たポリオレフィン微多孔膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン微
多孔膜に関するものであって、より詳しくは電池用セパ
レータ等に使用される、透過性能及び機械的強度に優れ
るとともに、電解液の浸透性、保持性の優れた機能を有
するポリオレフィン微多孔膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィン微多孔膜は、有機溶媒に
不溶であり、かつ電解質や電極活物質に対して安定であ
るため、電池のセパレーター、特にリチウムイオン1次
・2次電池のセパレーター、電気自動車等の大型電池用
セパレーターコンデンサーのセパレーター、各種の分離
膜、水処理膜、限外濾過膜、精密濾過膜またははその基
材として広く用いられている。
【0003】最近開発されてきている超高分子量のポリ
オレフィンを用いた高強度および高弾性のポリオレフィ
ン微多孔膜は、電気抵抗が小さく、薄く、機械強度に優
れており、リチウム電池用セパレーターとして用いられ
ている。それらの製造方法としては、例えば、重量平均
分子量が7×105以上の超高分子量ポリオレフィンを
溶媒中で加熱溶解した溶液からゲル状シートを成形し、
前記ゲル状シート中の溶媒を脱溶媒処理し、次いで加熱
延伸した後、残留溶媒を除去することにより、微多孔膜
を製造する方法が提案されている(特開平3−1058
51号公報)。
【0004】上記方法によるポリオレフィン微多孔膜
は、延伸条件等によっては、残留歪みによって経時的に
変形が起こり、通常使用されている形状である巻物とし
た時に曲がりや波打ちが発生し易く、電池用セパレータ
ーとして電池に巻き込んだ時に、折れたり蛇行して電極
が露出したりして好ましくないという問題があった。さ
らに、このポリオレフィン微多孔膜を電池用セパレータ
ーとして用いると、孔径が微細であり、かつ電極との接
触性が良すぎるために、電池組立工程で電解液の注入量
が比較的少なく、電気自動車用の電池に代表される高容
量で大型の電池用セパレーターとしては、問題があっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、透過性能及び機械的強度に優れるとともに、成
形時の曲がり等が少なく、電解液の保持量の優れたポリ
オレフィン微多孔膜を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意研究を行った結果、超高分子量ポリ
エチレンまたはその組成物に特定量のポリプロピレンを
加えることにより、ポリオレフィン微多孔膜の表面に微
視的な凹凸を生じさせ、透過性能及び機械的強度に優れ
るとともに、成形性を改善し、電解液の浸透性、保持性
を改良したポリオレフィン微多孔膜が得られることを見
出し、本発明に想到した。すなわち、本発明は、重量平
均分子量が5×105以上のポリエチレンまたはそのポ
リエチレン組成物70〜95重量%と、重量平均分子量
が1×104以上のポリプロピレン5〜30重量%を含
有するポリオレフィン組成物からなるポリオレフィン微
多孔膜であって、膜表面の面方向に隣り合う左右四方1
mm以内の厚み変動が±1μm以上であるポリオレフィ
ン微多孔膜である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で用いるポリエチレンは、
重量平均分子量が5×105以上、好ましくは1×106
〜15×106の超高分子量のポリエチレンである。重
量平均分子量が5×105未満では、微多孔膜の製造時
の延伸工程において最大延伸倍率が低く、目的の微多孔
膜が得られない。一方、上限は特に限定的ではないが1
5×106を超えるものは、微多孔膜の製造時のゲル状
成形物の形成において成形性に劣る。また、本発明にお
いては、後述のポリオレフィン溶液の高濃度化と微多孔
膜の強度の向上を図るために、重量平均分子量1×10
6以上の超高分子量ポリエチレンと重量平均分子量1×
105以上5×105未満の高密度ポリエチレンとの組成
物を用いることができる。超高分子量ポリエチレンのポ
リエチレン組成物中の含有量は、ポリエチレン組成物全
体を100重量%として1重量%以上が好ましく、より
好ましくは10〜70重量%である。さらに前記ポリエ
チレンまたはそのポリエチレン組成物の分子量分布の尺
度として用いられる重量平均分子量/数平均分子量は3
00以下、好ましくは5〜50である。
【0008】本発明で用いるポリプロピレンとしては、
重量平均分子量が1.0×104以上、好ましくは3.
0×104〜1.0×106のホモポリプロピレン、エチ
レン含有量が1.0重量%以下のエチレンプロピレンラ
ンダムコポリマー、エチレンプロピレンブロックコポリ
マー等を用いることができる。重量平均分子量が1.0
×104未満では、得られるポリオレフィン微多孔膜の
開孔が困難になり、エチレン含有量が1.0重量%を超
えるとポリオレフィンの結晶性が低くなり、ポリオレフ
ィン微多孔膜の開孔が困難になる。
【0009】ポリプロピレンをポリエチレンまたはその
ポリエチレン組成物に加えることにより、得られたポリ
オレフィン微多孔膜の表面に微視的凹凸が生じる。この
微視的凹凸は、ポリオレフィン膜表面の面方向に隣り合
う左右四方1mm以内の厚み変動が±1μm以上、好ま
しくは±1μm〜±3μmである。厚み変動が±1μm
未満では、電解液の保持性の向上には効果がない。本発
明で用いるポリプロピレンの量は、ポリオレフィン全体
の5〜30重量%、好ましくは、5〜25重量%であ
る。5重量%未満では、均一に多数分散した凹凸を形成
できず、電解液保持性向上の効果はみられない。また、
30重量%を超えるとポリオレフィン微多孔膜の強度が
著しく低下し、さらに多くなるとシート成形時にポリエ
チレンとポリプロピレンが相分離してしまい、成形が困
難になる。
【0010】本発明のポリオレフィン微多孔膜は、ポリ
エチレンまたはポリエチレン組成物にポリプロピレンを
加えた樹脂組成物に有機液状体または固体を混合し、溶
融混練後押出成形し、抽出、延伸を施すことにより得ら
れる。また、樹脂組成物および有機液状体または固体の
混合物に無機微粉体を添加しても何等差し支えない。本
発明のポリオレフィン微多孔膜を得る好ましい方法とし
ては、ポリオレフィン組成物にポリオレフィンの良溶媒
を供給しポリオレフィン組成物の溶液を調製して、この
溶液を押出機のダイよりシート状に押し出した後、冷却
してゲル状組成物を形成して、このゲル状組成物を加熱
延伸し、しかる後残存する溶媒を除去する方法である。
【0011】本発明において、原料となるポリオレフィ
ン組成物の溶液は、上述のポリオレフィン組成物を、溶
媒に加熱溶解することにより調製する。この溶媒として
は、ポリオレフィンを十分に溶解できるものであれば特
に限定されない。例えば、ノナン、デカン、ウンデカ
ン、ドデカン、流動パラフィンなどの脂肪族または環式
の炭化水素、あるいは沸点がこれらに対応する鉱油留分
などがあげられるが、溶媒含有量が安定なゲル状成形物
を得るためには流動パラフィンのような不揮発性の溶媒
が好ましい。加熱溶解は、ポリオレフィンが完全に溶解
する温度で強力に撹拌または押出機で混練しながら行
う。その温度は、例えば140〜250℃の範囲が好ま
しい。またポリオレフィン溶液の濃度は、10〜50重
量%好ましくは10〜40重量%である。濃度が10重
量%未満では、使用する溶媒量が多く経済的でないばか
りか、シート状に成形する際に、ダイス出口でスウェル
やネックインが大きくシートの成形が困難となる。な
お、加熱溶解にあたってはポリオレフィンの酸化を防止
するために酸化防止剤を添加するのが好ましい。
【0012】次にこのポリオレフィン組成物の加熱溶液
を好ましくはダイから押し出して成形する。ダイは、通
常長方形の口金形状をしたシートダイが用いられるが、
2重円筒状のインフレーションダイなども用いることが
できる。シートダイを用いた場合のダイギャップは通常
0.1〜5mmであり、押し出し成形温度は140〜2
50℃である。この際押し出し速度は、通常20〜30
cm/分ないし10m/分である。
【0013】このようにしてダイから押し出された溶液
は、冷却することによりゲル状シートに成形される。冷
却は少なくともゲル化温度以下までは50℃/分以上の
速度で行うのが好ましい。一般に冷却速度が遅いと、得
られるゲル状シートの高次構造が粗くなり、それを形成
する疑似細胞単位も大きなものとなるが、冷却速度が速
いと、密な細胞単位となる。冷却速度が50℃/分未満
では、結晶化度が上昇し、延伸に適したゲル状シートと
なりにくい。冷却方法としては、冷風、冷却水、その他
の冷却媒体に直接接触させる方法、冷媒で冷却したロー
ルに接触させる方法などを用いることができる。なお、
ダイから押し出された溶液は、冷却前あるいは冷却中に
好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の引き取り
比で引取ってもよい。引き取り比が10以上になるとネ
ックインが大きくなり、また延伸時に破断を起こしやす
くなり好ましくない。
【0014】次に、このゲル状成形物に延伸を行う。延
伸はゲル状シートを加熱し、通常のテンター法、ロール
法、インフレーション法、圧延法もしくはこれらの方法
の組み合わせによって所定の倍率で行う。延伸は一軸延
伸でも二軸延伸でもよいが、二軸延伸が好ましい。ま
た、二軸延伸の場合は、縦横同時延伸または逐次延伸の
いずれでもよい。延伸温度はポリオレフィンの融点+1
0℃以下、好ましくはポリオレフィンの結晶分散温度か
ら結晶融点未満の範囲である。また延伸倍率は原反の厚
さによって異なるが、一軸延伸では2倍以上が好まし
く、より好ましくは3〜30倍である。二軸延伸では面
倍率で10倍以上が好ましく、より好ましくは15〜4
00倍である。面倍率が10倍未満では延伸が不十分で
高弾性、高強度の微多孔膜が得られない。一方、面倍率
が400倍を超えると、延伸操作などで制約が生じる。
【0015】得られた延伸成形物は、溶剤で洗浄し残留
する溶媒を除去する。洗浄溶剤としては、ペンタン、ヘ
キサン、ヘプタンなどの炭化水素、塩化メチレン、四塩
炭素などの塩素化炭化水素、三フッ化エタンなどのフッ
化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエー
テル類などの易揮発性のものを用いることができる。こ
れらの溶剤はポリオレフィン組成物の溶解に用いた溶媒
に応じて適宜選択し、単独もしくは混合して用いる。洗
浄方法は、溶剤に浸漬し抽出する方法、溶剤をシャワー
する方法、またはこれらの組合せによる方法などにより
行うことができる。
【0016】上述のような洗浄は、延伸成形物中の残留
溶媒が1重量%未満になるまで行う。その後洗浄溶剤を
乾燥するが、洗浄溶剤の乾燥方法は加熱乾燥、風乾など
の方法で行うことができる。乾燥した延伸成形物は、結
晶分散温度〜融点の温度範囲で熱固定することが望まし
い。
【0017】以上のようにして製造したポリオレフィン
微多孔膜は、巻スリットにした時の曲がりが小さく、電
解液の保持量が多く、電池用セパレーターとして用いる
と、その容量を高くすることができる。なお、得られた
ポリオレフィン微多孔膜は、必要に応じてさらに、プラ
ズマ照射、界面活性剤含浸、表面グラフト等の親水化処
理などの表面修飾を施すことができる。
【0018】
【実施例】以下に本発明について実施例を挙げてさらに
詳細に説明するが、本発明は実施例に特に限定されるも
のではない。なお、実施例における試験方法は次の通り
である。 (1)膜厚:断面を走査型電子顕微鏡により測定した。 (2)厚み変動:アンリツ(株)製フィルムシックネス
テスタKG601Aでポリオレフィン微多孔膜の厚み分
布を0.1μmの高分解能で連続測定し、厚み分布を測
定した。 (3)破断強度:幅15mm短冊状試験片の破断強度を
ASTM D882に準拠して測定した。 (4)透気度:JIS P8117に準拠して測定し
た。 (5)曲がり:60mm幅、500m巻きにスリットし
た巻物を1m巻き出した時の曲がりを測定した。 (6)電解液量:10cm×10cmのサンプルを10
枚重ね、5kgの圧力で圧縮しながら、サイドから電解
液(プロピレンカーボネイト)を注入して、微多孔膜に
注入できる電解液量を測定した。
【0019】実施例1 重量平均分子量が2.5×106の超高分子量ポリエチ
レン(UHMWPE)20重量%、3.5×105の高
密度ポリエチレン(HDPE)60重量%及び重量平均
分子量が5.1×105のポリプロピレンが20重量%
からなるポリオレフィン組成物100重量部に酸化防止
剤0.375重量部を加えたポリオレフィン組成物を得
た。このポリオレフィン組成物30重量部を二軸押出機
(58mmφ、L/D=42、強混練タイプ)に投入し
た。またこの二軸押出機のサイドフィーダーから流動パ
ラフィン70重量部を供給し、200rpmで溶融混練
して、押出機中にてポリオレフィン溶液を調製した。
【0020】続いて、この押出機の先端に設置されたT
ダイから190℃で押し出し、冷却ロールで引取りなが
らゲル状シートを成形した。続いてこのゲル状シート
を、115℃で5×5に同時2軸延伸を行い、延伸膜を
得た。得られた延伸膜を塩化メチレンで洗浄して残留す
る流動パラフィンを抽出除去した後、乾燥および熱処理
を行いポリオレフィン微多孔膜を得た。このポリオレフ
ィン微多孔膜の物性評価の結果を表1に示す。
【0021】実施例2 実施例1において、樹脂組成物と流動パラフィンの使用
量を表1に示す値に変更した以外は、実施例1と同様に
して微多孔膜を得た。得られたポリオレフィン微多孔膜
の物性評価の結果を表1に示す。
【0022】実施例3 実施例1において、ポリプロピレンの使用量を表1に示
す値に変更した以外は、実施例1と同様にして微多孔膜
を得た。得られたポリオレフィン微多孔膜の物性評価の
結果を表1に示す。
【0023】実施例4 実施例1において、ポリプロピレンの分子量及び使用量
を表1に示す値に変更した以外は、実施例1と同様にし
て微多孔膜を得た。得られたポリオレフィン微多孔膜の
物性評価の結果を表1に示す。
【0024】比較例1 実施例1において、ポリプロピレンを用いない以外は、
実施例1と同様にして微多孔膜を得た。得られたポリオ
レフィン微多孔膜の物性評価の結果を表1に示す。
【0025】表1から明らかなように、実施例1〜4に
例示されている本発明のポリオレフィン微多孔膜は、膜
表面に微視的凹凸が生じており、成形時の曲がりが少な
く、電解液保持量が多い。一方、ポリプロピレンを添加
しない組成物からのポリエチレン微多孔膜は、膜表面に
微視的凹凸が無く、成形時の曲がりが大きく、電解液保
持量が少ない(比較例1)。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】本発明のポリオレフィン微多孔膜は、成
形時の曲がりが小さく、電解液保持量が多く、高強度、
高透過性でであることから安全性が高く、高容量リチウ
ム電池用セパレーターとして用いる場合は安全性の点で
おおいに信頼できる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均分子量が5×105以上のポリ
    エチレンまたはそのポリエチレン組成物70〜95重量
    %と、重量平均分子量が1×104以上のポリプロピレ
    ン5〜30重量%を含有するポリオレフィン組成物から
    なるポリオレフィン微多孔膜であって、膜表面の面方向
    に隣り合う左右四方1mm以内の厚み変動が±1μm以
    上であるポリオレフィン微多孔膜。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のポリオレフィン微多孔
    膜からなる電池用セパレーター。
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