JPH093228A - ポリオレフィン微多孔膜の製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン微多孔膜の製造方法

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JPH093228A
JPH093228A JP17810595A JP17810595A JPH093228A JP H093228 A JPH093228 A JP H093228A JP 17810595 A JP17810595 A JP 17810595A JP 17810595 A JP17810595 A JP 17810595A JP H093228 A JPH093228 A JP H093228A
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Japan
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polyolefin
molecular weight
stretching
weight
ratio
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JP17810595A
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Koichi Kono
公一 河野
Kotaro Takita
耕太郎 滝田
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Tonen Chemical Corp
Original Assignee
Tonen Sekiyu Kagaku KK
Tonen Chemical Corp
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  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 突刺強度が大きく裂けにくいポリオレフィ
ン微多孔膜の製造方法を提供する。 【構成】 超高分子量ポリオレフィンを含有し、分子
量分布が広い(Mw/Mnが大きい)ポリオレフィンの
溶液を冷却することによりゲル状成形物を形成し、得ら
れたゲル状成形物を特定の延伸温度で、縦横方向の延伸
倍率とその比が特定の範囲となるように延伸するポリオ
レフィン微多孔膜の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超高分子量ポリオレフ
ィンを含有するポリオレフィンの微多孔膜及びその製造
方法に関し、特に、突刺強度が大きく裂けにくいポリオ
レフィン微多孔膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、微多孔膜は、電池用セパレータ
ー、電解コンデンサー用隔膜、各種フィルター、透湿防
水衣料、逆浸透濾過膜、限外濾過膜、精密濾過膜等の各
種用途に用いられている。
【0003】最近、高強度及び高弾性のフィルムに成形
し得る超高分子量ポリオレフィンを用いた高強度の微多
孔膜が種々提案されている。例えば、重量平均分子量
が、5×105 以上の超高分子量ポリオレフィンを溶媒
中で加熱溶解した溶液からゲル状シートを形成し、前記
ゲル状シート中の溶媒量を脱溶媒処理により調整し、次
いで加熱延伸した後、残留溶媒を除去することにより、
超高分子量ポリオレフィンの微多孔膜を製造する方法が
種々提案されている(特開昭60−242035号、特
開昭61−495132号、特開昭61−195133
号、特開昭63−39602号、特開昭63−2736
51号)。
【0004】しかしながら、上記超高分子量ポリオレフ
ィン微多孔膜の製造方法は、いずれも超高分子量ポリオ
レフィンを2軸延伸するために、ポリオレフィンのある
程度稀薄な溶液を調製する必要があり、このため得られ
た溶液は、シート成形するダイス出口でスウェルやネッ
クインが大きく、シート成形が困難であり、さらにシー
ト中には溶媒が過剰に含まれているため、そのまま延伸
しても目的の微多孔膜は得られないので脱溶媒処理して
シート中の溶媒量を調整する必要がある等、生産性にお
いて問題があった。
【0005】このような問題を解決する方法として、本
発明者らが、超高分子量ポリオレフィンを含有し、重量
平均分子量/数平均分子量(以下「Mw/Mn」とい
う)が特定の範囲内にある組成物を用いたポリオレフィ
ン微多孔膜及びその製造方法を提案した(特開平3−6
4334号)。この方法により、延伸性が良好で、高濃
度溶液のポリオレフィンからポリオレフィン微多孔膜を
製造することが可能となった。
【0006】しかしながら、上記の方法によるポリオレ
フィン微多孔膜も、特に電池やコンデンサーのセパレー
ターとして用いる場合には突刺強度を大きくすることが
必要であった。この突刺強度を向上させるために配向度
を高める一方向への高倍率の延伸は、微多孔膜を裂けや
すくしたり又は伸びを生じやすくさせたりする。この微
多孔膜は、電池やコンデンサーのセパレーターとして用
いる時やその製造工程において内部短絡の原因となる恐
れがある。特に、充電式の二次電池のセパレーターとし
て用いると、電極の体積変化によりセパレーターが破れ
内部短絡の原因となる恐れがあり安全上問題となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、突刺強度が大きく裂けにくいポリオレフィン微多孔
膜の製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、超高分子量ポリオレフィンを含
有し、分子量分布が広い(Mw/Mnが大きい)ポリオ
レフィンからなるゲル状成形物を特定の延伸温度で、延
伸倍率とその比とを特定の範囲で延伸することにより得
られる微多孔膜は、突刺強度が大きく裂けにくいことを
見出し、本発明に想到した。
【0009】すなわち、本発明のポリオレフィン微多孔
膜を製造する方法は、重量平均分子量が7×105 以上
の超高分子量ポリオレフィンを1重量%以上含有し、M
w/Mnが10〜300のポリオレフィン10〜50重
量%と、溶媒50〜90重量%とからなる溶液を調製
し、前記溶液をダイより押出し、冷却してゲル状成形物
を形成し、前記ゲル状成形物を前記ポリオレフィンの結
晶分散温度以上融点+10℃以下の温度でλmとλtと
の比λm/λtが0.5以上3以下で、かつλm及びλ
tが2以上となるように延伸することを特徴とする。
【0010】本発明を以下詳細に説明する。
【0011】本発明の方法において製造するポリオレフ
ィン微多孔膜は、重量平均分子量7×105 以上の超高
分子量ポリオレフィンを1重量%以上含有し、Mw/M
nが10〜300のポリオレフィンからなる。
【0012】上記ポリオレフィンのMw/Mnは10〜
300、好ましくは12〜250である。Mw/Mnが
10未満では、平均分子鎖長が大きく、溶解時の分子鎖
同士の絡み合い密度が高くなるため、高濃度溶液の調製
が困難である。又、Mw/Mnが300を超えると、延
伸時に低分子量成分の破断が起こり膜全体の強度が低下
する。
【0013】なお、Mw/Mnは、分子量分布の尺度と
して用いられているものであり、この分子量の比が大き
くなるほど分子量分布の幅は拡大する。すなわち重量平
均分子量の異なるポリオレフィンからなる組成物の場
合、組成物の分子量の比が大きいほど、配合するポリオ
レフィンの重量平均分子量の差が大きく、又、逆に組成
物の分子量の比が小さいほど、配合するポリオレフィン
の重量平均分子量の差が小さいことを示している。又、
単独のポリオレフィンの場合、分子量の比はその分布の
広がりを示し、その値が大きいほど分子量分布が広がっ
ていることを示している。
【0014】本発明においては、ポリオレフィンのMw
/Mnを10〜300と、通常の超高分子量ポリオレフ
ィン自身のMw/Mn(通常6程度)よりも大きく設定
している。この結果、分子量分布は低分子量側へと広が
りをみせるため、高濃度のポリオレフィン溶液の調製が
可能となる。
【0015】又、上記ポリオレフィン中に分子量7×1
5 以上の成分が1重量%未満では、延伸性の向上に寄
与する超高分子量ポリオレフィンの分子鎖の絡み合いが
ほとんど形成されず、高強度の微多孔膜を得ることがで
きない。一方、超高分子量の含有率の上限は特に限定的
ではないが、90重量%を超えるとポリオレフィン溶液
の高濃度化の達成が困難となるため好ましくない。
【0016】このポリオレフィンは、上記分子量及び分
子量分布を有していれば、単独のポリオレフィン(混合
物でないもの)か、2種以上のポリオレフィンからなる
組成物のどちらでもよい。
【0017】単独のポリオレフィンの場合、例えば重量
平均分子量7×105 以上の超高分子量ポリオレフィン
を1重量%以上含有し、Mw/Mnが10〜300とな
るように多段重合することにより製造することができ
る。多段重合としては、二段重合により高分子量部分と
低分子量部分とを製造するのが好ましい。
【0018】又、ポリオレフィン組成物(混合物)の場
合、重量平均分子量7×105 以上の超高分子量ポリオ
レフィンと、重量平均分子量7×105 未満のポリオレ
フィンとをMw/Mnが上記範囲となるように適量混合
することによって得ることができる。
【0019】組成物の場合、超高分子量ポリオレフィン
は、重量平均分子量7×105 以上、好ましくは1×1
6 から15×106 のものである。重量平均分子量が
7×105 未満では、最大延伸率が低く、目的の微多孔
膜が得られない。一方、上限は特に限定的ではないが1
5×106 を超えるものは、ゲル状成形物の形成におい
て、成形性に劣る。
【0020】このような超高分子量ポリオレフィンとし
ては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル
−1−ペンテン、1−ヘキセン等を重合した結晶性の単
独重合体、又は共重合体及びこれらのブレンド物等が挙
げられる。これらのうち超高分子量ポリエチレン、特に
高密度の超高分子量ポリエチレンが好ましい。
【0021】又、前記ポリオレフィン組成物中の超高分
子量ポリオレフィン以外のポリオレフィンは、重量平均
分子量7×105 未満のものであるが、分子量の下限と
しては1×104 以上のものが好ましい。重量平均分子
量が1×104 未満のポリオレフィンを用いると、延伸
時に破断が起こりやすく、目的の微多孔膜が得られない
ので好ましくない。特に、重量平均分子量が1×105
上7×10 5未満のポリオレフィンを超高分子量ポリオ
レフィンに配合するのが好ましい。
【0022】このようなポリオレフィンとしては、エチ
レン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペン
テン、1−ヘキセン等を重合した結晶性の単独重合体、
又は共重合体及びこれらのブレンド物等が挙げられる。
特に、エチレンを主体とする重合体である高密度ポリエ
チレンが好ましい。
【0023】尚、上述したようなポリオレフィンには、
必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、アン
チブロック剤、顔料、染料、無機充填剤等の各種添加剤
を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができ
る。
【0024】次に、上述したようなポリオレフィンか
ら、ポリオレフィン微多孔膜を製造する本発明の方法に
ついて以下説明する。
【0025】本発明において、原料となるポリオレフィ
ンの高濃度溶液は、上述のポリオレフィンを溶媒に加熱
溶解することにより調製する。
【0026】この溶媒としては、ポリオレフィンを十分
に溶解できるものであれば特に限定されない。例えば、
ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、流動パラフィ
ン等の脂肪族又は環式の炭化水素、あるいは沸点がこれ
らに対応する鉱油留分等が挙げられるが、溶媒含有量が
安定なゲル状成形物を得るためには流動パラフィンのよ
うな不揮発生の溶媒が好ましい。
【0027】加熱溶解は、ポリオレフィンが溶媒中で完
全に溶解する温度で攪拌しながら行う。その温度は使用
する重合体及び溶媒により異なるが、例えば、ポリエチ
レンの場合には140〜250℃の範囲である。又、ポ
リオレフィン溶液の濃度は、10〜50重量%、好まし
くは10〜40重量%である。濃度が10重量%未満で
は、使用する溶媒量が多く経済的でないばかりか、シー
ト状に成形する際に、ダイス入口でスウェルやネックイ
ンが大きくシートの成形が困難となる。一方、濃度が5
0重量%を超えると、均一な溶液の調製が困難となる。
尚、加熱溶解にあたってはポリオレフィンの酸化を防止
するために酸化防止剤を添加するのが好ましい。
【0028】次に、このポリオレフィンの加熱溶液をダ
イスから押し出して成形する。ダイスは、通常長方形の
口金形状をしたシートダイスが用いられるが、2重円筒
状のインフレーションダイス等も用いることができる。
シートダイスを用いた場合のダイスギャップは通常0.
1〜5mmであり、押し出し成形温度は140〜250
℃である。この際押し出し速度は、通常20〜30cm
/分及至2〜3m/分である。
【0029】このようにしてダイスから押し出された溶
液は、冷却することによりゲル状物に成形される。冷却
は少なくともゲル化温度以下までは50℃/分以上の速
度で行うのが好ましい。一般に冷却速度が遅いと、得ら
れるゲル状物の高次構造が粗くなり、それを形成する疑
似細胞単位も大きなものとなるが、冷却速度が速いと、
密な細胞単位となる。冷却速度が50℃/分未満では、
結晶化度が上昇し、延伸に適したゲル状成形物となりに
くい。従って、冷却速度を調整することにより、得られ
る微多孔膜の孔径を変化させることができる。
【0030】冷却方法としては、冷風、冷却水、その他
の冷却媒体に直接接触させる方法、冷媒で冷却したロー
ルに接触させる方法等を用いることができる。尚、ダイ
スから押し出された溶液は、冷却前あるいは冷却中に、
1〜10好ましくは1〜5の引取比で引き取ってもよ
い。引取比が10以上になるとネックインが大きくな
り、又、延伸時に破断を起こしやすくなり好ましくな
い。
【0031】次に、このゲル状成形物に対して延伸を行
う。延伸は、ゲル状成形物を加熱し、2軸延伸で行う。
2軸延伸では、縦横同時延伸又は逐次延伸のいずれでも
よい。
【0032】延伸温度は、ポリオレフィンの結晶分散温
度以上融点+10℃以下、好ましくは結晶分散温度から
融点未満の範囲である。例えば、超高分子量ポリエチレ
ン含有ポリエチレンの場合は90〜140℃で、より好
ましくは、100〜130℃の範囲である。延伸温度が
融点+10℃を超える場合は、樹脂の溶融により延伸に
よる分子鎖の配向ができない。又、延伸温度が結晶分散
温度未満では、樹脂の軟化が不十分で、延伸において破
膜し易く、高倍率の延伸ができない。
【0033】尚、「結晶分散温度」とは、結晶内の分子
鎖のミクロブラウン運動が活発になる温度で、動的粘弾
性測定により測定する。ここで、「動的粘弾性」とは、
粘弾性体に定常的な正弦波の歪みを与えて正弦波の応力
を測定したり、逆に、応力に対する歪みを測定して求め
る。又、「融点」は、ポリオレフィンが結晶状態から液
体状態へ転移する温度で、示差走査熱量計により測定す
る。
【0034】延伸速度は、所定の延伸倍率になるように
設定され、通常は0.1〜100m/分である。
【0035】延伸倍率は、λmとλtとの比λm/λt
が0.5以上3以下で、かつλm及びλtのそれぞれが
2以上である。好ましくは、λm/λtが1以上3以下
で、かつλm及びλtが3〜30、面倍率(λm×λ
t)が10以上、より好ましくは15〜400である。
λm/λtが0.5未満では、縦方向の延伸が横方向の
延伸に比べて不十分であり、縦方向の引張破断強度(以
下「Sm」という)が不十分となり、突刺強度が小さく
横裂けが生じやすくなる。一方、λm/λtが3を超え
る場合は、横方向の延伸が縦方向の延伸に比べて不十分
であり、横方向の引張破断強度(以下「St」という)
が不十分となり突刺強度が小さく縦裂けが生じやすくな
る。又、λm及びλtのそれぞれが2未満では延伸が不
十分で高弾性、高強度の微多孔膜が得られない。又、面
倍率が10未満でも上記と同様の理由で好ましくない。
【0036】従って、突刺強度が大きくなり縦裂けも横
裂けもしにくい本発明のポリオレフィン微多孔膜を得る
には、バランスよく配向度を高くすることである。上記
の延伸倍率とその比により微多孔膜の引張破断強度を向
上させるとともにそのSmをStより大きくし、かつそ
の比Sm/Stを特定する範囲とすることになる。例え
ば、その比Sm/Stは5以下で、さらには0.5〜3
が好ましい。
【0037】得られた延伸成形物は、溶剤で洗浄し残留
する溶媒を除去する。洗浄溶剤としては、ペンタン、ヘ
キサン、ヘプタン等の炭化水素、塩化メチレン、四塩化
炭素等の塩素化炭化水素、三フッ化エタン等のフッ化炭
化水素、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類
等の易揮発生のものを用いることができる。これらの溶
媒はポリオレフィンの溶解に用いた溶媒に応じて適宜選
択し、単独もしくは混合して用いる。洗浄方法は、溶剤
に浸漬し抽出する方法、溶剤をシャワーする方法、又
は、これらの組み合わせによる方法等により行うことが
できる。
【0038】上述のような洗浄は、延伸成形物中の残留
溶媒が1重量%未満になるまで行う。その後洗浄溶剤を
乾燥するが、洗浄溶剤の乾燥方法は、加熱乾燥、熱風に
よる風燥、加熱ロールに接触させ、加熱媒体に浸漬する
等の方法で行うことができる。
【0039】以上のようにして製造したポリオレフィン
微多孔膜は、突刺強度が400g以上で大きく、又、横
裂けも縦裂けも生じにくい。又、本発明のポリオレフィ
ン微多孔膜の厚さは、用途に応じて適宜選択しうるが、
一般に0.1〜50μmであり、好ましくは2〜40μ
mである。
【0040】尚、得られたポリオレフィン微多孔膜は、
結晶分散温度〜融点の温度範囲で熱固定することが望ま
しい。さらに必要に応じて、プラズマ照射、界面活性剤
含浸、表面グラフト等で親水化処理することができる。
【0041】
【作用】本発明においては、超高分子量ポリオレフィン
を含有し、分子量分布が広い(Mw/Mnが大きい)ポ
リオレフィンの溶液を冷却することにより得られたゲル
状成形物を特定の延伸温度で、縦横方向の延伸倍率とそ
の比が特定の範囲となるように延伸を施すことにより微
多孔膜を製造しているので、得られる微多孔膜は、突刺
強度が大きく裂けにくいものである。
【0042】このような効果が得られる理由について
は、必ずしも明らかではないが、延伸工程において縦横
方向の延伸倍率とその比が特定の範囲となるように延伸
を施すことにより、バランスよく配向度を高めることが
できるため、得られた微多孔膜において延伸の縦方向と
横方向の引張破断強度の向上とそのバランスがとれ、突
刺強度が大きくなり縦裂けも横裂けもしにくくなるため
であると考えられる。
【0043】
【実施例】以下に本発明の実施例を示す。また、実施例
における試験方法は次の通りである。なお、本発明は以
下の実施例によって限定されるものではない。 (1)分子量及び分子量分布:ウォーターズ(株)製の
GPC装置を用い、カラムに東ソー(株)製GMH−
6、溶媒に0−ジクロルベンゼンを使用し、温度135
℃、流量1.0ml/分にて、ゲルパーミエーションク
ロマトグラフィー(GPC)法により測定。 (2)フィルムの厚さ:断面を走査型電子顕微鏡により
測定。 (3)透気度:JIS P8117に準拠して測定。 (4)引張破断強度:幅15mmの短冊状試験片の破断
強度をASTM D882に準拠して測定。 (5)突刺強度:直径2mm、先端半径1mmの針を2
mm/秒で微多孔膜を突き刺し、破断した時の荷重を測
定するとともに、破断の形状を観察した。実施例1 重量平均分子量(Mw)が2.5×106 の超高分子量
ポリエチレン3重量部と、重量平均分子量(Mw)6.
8×105 の高密度ポリエチレン14重量部とを混合し
たMw/Mn18.2の原料樹脂と、流動パラフィン
(64cst/40℃)83重量部とを混合し、ポリエ
チレン組成物の溶液を調整した。次に、このポリエチレ
ン組成物の溶液100重量部に、酸化防止剤0.375
重量部を混合した。この混合液を攪拌機付のオートクレ
ーブに充填して200℃で90分間攪拌し、均一な溶液
を得た。
【0044】この溶液を直径45mmの押出機により、
200℃のTダイから押し出し、20℃に冷却した冷却
ロールで引き取りながらゲル状シートを形成した。
【0045】得られたシートを2軸延伸機にセットし、
温度115℃、製膜速度5m/分で4×4倍に同時二軸
延伸を行った。得られた延伸膜を塩化メチレンで洗浄し
て残留する流動パラフィンを抽出除去し、室温で乾燥し
た後、120℃で30秒間熱固定処理して厚さ39μm
のポリエチレン微多孔膜を得た。このポリエチレン微多
孔膜の膜厚、透気度、突刺強度及び引張破断強度の測定
を行った。その結果を第1表に示す。実施例2 実施例1において、延伸工程での延伸倍率7×7倍にし
た以外は同様にして、厚さ13μmのポリエチレン微多
孔膜を製造した。その特性を第1表に示す。実施例3 実施例1において、延伸工程で逐次延伸により延伸倍率
を8×3倍にした以外は同様にして、厚さ26μmのポ
リエチレン微多孔膜を製造した。その結果を第1表に示
す。実施例4 実施例1において、延伸工程で逐次延伸により延伸倍率
6×4倍にした以外は同様にして、厚さ27μmのポリ
エチレン微多孔膜を製造した。その結果を第1表に示
す。比較例1 実施例1において、延伸工程で逐次延伸により延伸倍率
を10×2倍にした以外は同様にして、厚さ31μmの
ポリエチレン微多孔膜を製造した。その結果を第1表に
示す。比較例2 実施例1において、延伸工程で逐次延伸により延伸倍率
を2×6倍にした以外は同様にして、厚さ50μmのポ
リエチレン微多孔膜を製造した。その結果を第1表に示
す。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明において
は、超高分子量ポリオレフィンを含有し、分子量分布が
広い(Mw/Mnが大きい)ポリオレフィンの溶液を冷
却することにより得られたゲル状成形物を特定の延伸温
度で、縦横方向の延伸倍率とその比が特定の範囲となる
ように延伸を施すことにより微多孔膜を製造しているの
で、得られる微多孔膜は、突刺強度が大きく裂けにく
い。
【0048】このような本発明の方法によるポリオレフ
ィン微多孔膜は、電池用セパレーター、電解コンデンサ
ー用隔膜、超精密濾過膜、限界濾過膜、各種フィルタ
ー、透湿防水衣料用多孔質膜等の各種用途に好適であ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均分子量7×105 以上の超
    高分子量ポリオレフィンを1重量%以上含有し、重量平
    均分子量/数平均分子量が10〜300のポリオレフィ
    ン10〜50重量%と、溶媒50〜90重量%とからな
    る溶液を調製し、前記溶液をダイより押出し、冷却して
    ゲル状成形物を形成し、前記ゲル状成形物を前記ポリオ
    レフィンの結晶分散温度以上融点+10℃以下の温度で
    縦方向の延伸倍率(以下「λm」という)と横方向の延
    伸倍率(以下「λt」という)との比λm/λtが0.
    5以上3以下で、かつλm及びλtが2以上となるよう
    に延伸することを特徴とするポリオレフィン微多孔膜の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記λmとλtとの比λm/λtが
    1以上3以下で、かつλm及びλtが3〜30、面倍率
    が10以上である請求項1に記載のポリオレフィン微多
    孔膜の製造方法。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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