JP3072163B2 - ポリオレフィン微多孔膜、その製造方法及びそれを用いた電池用セパレータ - Google Patents

ポリオレフィン微多孔膜、その製造方法及びそれを用いた電池用セパレータ

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JP3072163B2 JP3283499A JP28349991A JP3072163B2 JP 3072163 B2 JP3072163 B2 JP 3072163B2 JP 3283499 A JP3283499 A JP 3283499A JP 28349991 A JP28349991 A JP 28349991A JP 3072163 B2 JP3072163 B2 JP 3072163B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超高分子量成分を含有
するポリオレフィンからなる微多孔膜、それを製造する
方法及びそれを用いた電池用セパレータに関し、特に
水、各種の有機溶媒等との親和性に優れたポリオレフィ
ン微多孔膜、それを製造する方法、及びそれを用いた電
池用セパレータに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリオ
レフィン微多孔膜は、孔径分布が比較的シャープで、適
度な孔径を有し、しかもある程度の薄膜化が容易である
ので、電池用セパレータ、電解コンデンサ等への適用が
広く行われている。このような電池用セパレータ等は、
電解質溶液に対する濡れ性、保液性に優れているのが好
ましい。
【0003】しかしながら、リチウム電池、電解コンデ
ンサ等の電解質溶液は、プロピレンカーボネート、ジメ
トキシエタン5-ブチロラクトン、スルフォラン等の高沸
点の溶媒が用いられることが多い。高沸点溶媒は一般に
表面張力が高く、このため通常のポリオレフィン微多孔
膜は、電解液に対する濡れ性が悪く、電池として組み上
げた際に電気抵抗値が大きくなるという問題がある。
【0004】そこで、ポリオレフィン微多孔膜に親水化
処理、親溶媒処理等を施すことが行われている。このよ
うな処理としては、微多孔膜の細孔の内部表面の一部又
は全部をポリエチレングリコールで被覆する方法、プロ
ピレングリコールモノ脂肪酸エステル等の界面活性剤で
細孔内を被覆する方法、有機溶剤湿潤・水置換法、物理
的吸着法、親水性、親溶媒性等のモノマー等をグラフト
する化学的表面変性法等が挙げられる。
【0005】一方、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法
としては、例えば異種ポリマー等の微粉体からなる孔形
成剤をポリオレフィンに混合してミクロ分散させた後、
孔形成剤を抽出する混合抽出法、ポリオレフィン相を溶
媒でミクロ相分離することにより多孔構造とする相分離
法、異種固体がミクロ分散しているポリオレフィン成形
体に延伸などの歪を与えることにより、異種固体間を界
面破壊して多孔化する延伸法などが、従来から用いられ
ている。しかし、これらの方法では通常分子量が50万未
満程度のポリオレフィンが用いられるため、延伸による
薄膜化及び高強度化には限界があった。
【0006】また高強度及び高弾性のフィルムに成形し
得る超高分子量ポリオレフィンが開発され、これによる
高強度の微多孔膜の製造が種々提案された。しかしなが
ら、この方法では、高倍率の延伸ができないという欠点
があった。このように従来のポリオレフィン微多孔膜で
は、電池用セパレータとして十分な強度を有し、かつ薄
膜化されたものとするのが困難である。
【0007】したがって、本発明の目的は、十分な強度
を有し、薄膜とすることができ、しかも水、各種有機溶
媒等の溶媒に対する親和性に優れたポリオレフィン微多
孔膜、及びそれを製造する方法を提供することである。
【0008】また、本発明のもう一つの目的は、上記ポ
リオレフィン微多孔膜を用いた電池用セパレータを提供
することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、超高分子量成分を含有し、分子
量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が所定の範囲
内にあるポリオレフィンの溶液をシート状に成形し、急
冷して得られるゲル状シートに所定の温度で少なくとも
1軸方向に延伸を施すことにより得られる微多孔膜は、
薄膜で十分な強度を有しており、それに界面活性剤によ
る処理を施したものは、水、各種有機溶媒に対する親和
性に優れており、電池用セパレータとして優れた性能を
発揮することを見出し、本発明に想到した。
【0010】すなわち、本発明のポリオレフィン微多孔
膜は、重量平均分子量7×105 以上の成分を1重量%以
上含有し、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子
量)が10〜300 のポリオレフィンからなり、厚さが0.1
〜50μmで、空孔率が35〜95%で、平均貫通孔径が0.00
1 〜0.2 μmであり、15mm幅の破断強度が0.2 kg以上で
あるポリオレフィン微多孔膜において、前記ポリオレフ
ィン微多孔膜の細孔の内部表面及び膜表面に界面活性剤
処理が施され、さらに収縮防止処理若しくは延伸処理の
いずれかの処理とともに乾燥処理が施されていることを
特徴とする。
【0011】また、上記ポリオレフィン微多孔膜を製造
する本発明の方法は、重量平均分子量7×105 以上の成
分を1重量%以上含有し、分子量分布(重量平均分子量
/数平均分子量)が10〜300 のポリオレフィン10〜50重
量%と、溶媒50〜90重量%とからなる溶液を調製し、前
記溶液をダイより押出し、冷却してゲル状組成物を形成
し、前記ゲル状組成物を前記ポリオレフィンの融点+10
℃以下の温度で延伸し、しかる後残存溶媒を除去するこ
とにより、基材となるポリオレフィン微多孔膜を製造
し、得られたポリオレフィン微多孔膜の細孔の内部表面
及び膜表面を界面活性剤溶液で被覆し、続いて乾燥処理
を収縮防止処理若しくは延伸処理のいずれかの処理とと
もに行うことを特徴とする。
【0012】さらに、本発明の電池用セパレータは、重
量平均分子量7×105 以上の成分を1重量%以上含有
し、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が10
〜300のポリオレフィンからなり、厚さが0.1 〜50μm
で、空孔率が35〜95%で、平均貫通孔径が0.001 〜0.2
μmであり、15mm幅の破断強度が0.2 kg以上であるポリ
オレフィン微多孔膜により形成され、前記ポリオレフィ
ン微多孔膜の細孔の内部表面及び膜表面に界面活性剤処
理が施され、さらに収縮防止処理若しくは延伸処理のい
ずれかの処理とともに乾燥処理が施されていることを特
徴とする。
【0013】本発明を以下詳細に説明する。まず、本発
明のポリオレフィン微多孔膜について説明する。本発明
のポリオレフィン微多孔膜は、重量平均分子量7×105
以上の超高分子量成分を1重量%以上含有し、分子量分
布(重量平均分子量/数平均分子量)が特定の範囲内に
あるポリオレフィンからなる。
【0014】上記ポリオレフィンの重量平均分子量/数
平均分子量は10〜300 、好ましくは12〜 250である。重
量平均分子量/数平均分子量が10未満では、平均分子鎖
長が大きく、溶解時の分子鎖同志の絡み合い密度が高く
なるため、高濃度溶液の調製が困難である。また300 を
超えると、延伸時に低分子量成分の破断が起こりやす
く、得られる膜の強度が低い。
【0015】なお、分子量分布の尺度として用いられる
重量平均分子量/数平均分子量の比は、大きいほど分子
量分布の幅が広いことを意味する。
【0016】本発明においては、ポリオレフィンの重量
平均分子量/数平均分子量を10〜300 と、通常の超高分
子量ポリオレフィン自身の重量平均分子量/数平均分子
量(通常6程度)よりも大きく設定している。この結
果、分子量分布は低分子量側へと広がりをみせるため、
高濃度のポリオレフィン溶液の調製が可能となる。
【0017】また上記ポリオレフィン中に重量平均分子
量7×105以上の成分が1重量%未満では、延伸性の向
上に寄与する超高分子量ポリオレフィンの分子鎖の絡み
合いがほとんど形成されず、高強度の微多孔膜を得るこ
とができない。一方、超高分子量成分の含有率の上限は
特に限定的ではないが、90重量%を超えると目的とする
ポリオレフィン溶液の高濃度化が困難となるため好まし
くない。
【0018】このポリオレフィンは、上記分子量及び分
子量分布を有していれば、単独のポリオレフィンか、2
種以上のポリオレフィンからなる組成物のどちらでもよ
い。
【0019】単独のポリオレフィンの場合、例えば重量
平均分子量7×105 以上の超高分子量成分を1重量%以
上含有し、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子
量)が10〜300 となるように多段重合することにより製
造することができる。多段重合としては、二段重合によ
り超高分子量部分と低分子量部分を製造するのが好まし
い。
【0020】またポリオレフィン組成物(混合物)の場
合、重量平均分子量が7×105 以上の超高分子量ポリオ
レフィンと、重量平均分子量が7×105 未満のポリオレ
フィンとを重量平均分子量/数平均分子量が上記範囲と
なるように適量混合することによって得ることができ
る。
【0021】組成物の場合、超高分子量ポリオレフィン
は、重量平均分子量が7×105 以上、好ましくは1×10
6 〜15×106 のものである。重量平均分子量が7×105
未満では、最大延伸倍率が低く、目的の微多孔膜が得ら
れない。一方、上限は特に限定的ではないが15×106
超えるものは、ゲル状成形物の形成において、成形性に
劣る。
【0022】このような超高分子量ポリオレフィンとし
ては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-
ペンテン、1-ヘキセンなどを重合した結晶性の単独重合
体、2段重合体、又は共重合体及びこれらのブレンド物
等が挙げられる。これらのうち超高分子量ポリエチレ
ン、特に高密度の超高分子量ポリエチレンが好ましい。
【0023】また上記超高分子量ポリオレフィンのポリ
オレフィン組成物中の含有量は、ポリオレフィン組成物
全体を100 重量%として、1重量%以上である。超高分
子量ポリオレフィンの含有量が1重量%未満では、延伸
性の向上に寄与する超高分子量ポリオレフィンの分子鎖
の絡み合いがほとんど形成されず、高強度の微多孔膜を
得ることができない。一方、上限は特に限定的ではない
が、90重量%を超えると目的とするポリオレフィン溶液
の高濃度化が困難となるため好ましくない。
【0024】またポリオレフィン組成物中の超高分子量
ポリオレフィン以外のポリオレフィンは、重量平均分子
量が7×105 未満のものであるが、重量平均分子量の下
限としては1×104 である。重量平均分子量が1×104
未満のポリオレフィンを用いると、延伸時に破断が起こ
りやすく、目的の微多孔膜が得られない。特に重量平均
分子量が1×105 以上7×105 未満のポリオレフィンを
超高分子量ポリオレフィンに配合するのが好ましい。
【0025】このようなポリオレフィンとしては、エチ
レン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテン、
1-ヘキセンなどを重合した結晶性の単独重合体、2段重
合体、又は共重合体、及びこれらのブレンド物等が挙げ
られる。特にエチレンを主体とする重合体である高密度
ポリエチレンが好ましい。
【0026】なお、上述したようなポリオレフィンに
は、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、
アンチブロッキング剤、顔料、染料、無機充填剤などの
各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で添加す
ることができる。
【0027】次に、本発明のポリオレフィン微多孔膜の
製造方法について説明する。
【0028】原料となるポリオレフィンの高濃度溶液
は、上述のポリオレフィンを溶媒に加熱溶解することに
より調製する。この溶媒としては、ポリオレフィンを十
分に溶解できるものであれば特に限定されない。例え
ば、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、パラフィ
ン油などの脂肪族または環式の炭化水素、あるいは沸点
がこれらに対応する鉱油留分などが挙げられるが、溶媒
含有量が安定なゲル状成形物を得るためには、パラフィ
ン油のような不揮発性の溶媒が好ましい。
【0029】加熱溶解は、ポリオレフィンが溶媒中で完
全に溶解する温度で撹拌しながら行う。その温度は使用
する重合体及び溶媒により異なるが、例えばポリエチレ
ンの場合には140 〜250 ℃の範囲である。また、ポリオ
レフィン溶液の濃度は、10〜50重量%、好ましくは10〜
40重量%である。濃度が10重量%未満では、使用する溶
媒量が多く経済的でないばかりか、シート状に成形する
際に、ダイス出口で、スウェルやネックインが大きくシ
ートの成形が困難となる。一方、濃度が50重量%を超え
ると、均一な溶液の調製が困難となる。なお、加熱溶解
にあたってはポリオレフィンの酸化を防止するために酸
化防止剤を添加するのが好ましい。
【0030】次にこのポリオレフィンの加熱溶液をダイ
スから押し出して成形する。ダイスは、通常長方形の口
金形状をしたシートダイスが用いられるが、2重円筒状
の中空系ダイス、インフレーションダイス等も用いるこ
とができる。シートダイスを用いた場合のダイスギャッ
プは通常0.1 〜5mmであり、押出し成形時には140 〜25
0 ℃に加熱される。この際押し出し速度は、通常20〜30
cm/分乃至2〜3m/分である。
【0031】このようにしてダイスから押し出された溶
液は、冷却することによりゲル状物に成形される。冷却
は少なくともゲル化温度以下までは50℃/ 分以上の速度
で行うのが好ましい。冷却速度が遅いと結晶化度が上昇
し、延伸に適したゲル状物となりにくい。冷却方法とし
ては、冷風、冷却水、その他の冷却媒体に直接接触させ
る方法、冷媒で冷却したロールに接触させる方法等を用
いることができる。なおダイスから押し出された溶液
は、冷却前あるいは冷却中に、1〜10、好ましくは1〜
5の引取比で引き取るのが好ましい。引取比が10以上に
なるとネックインが大きくなり、また延伸時に破断を起
こしやすくなり好ましくない。
【0032】次にこのゲル状成形物を延伸する。延伸
は、ゲル状成形物を加熱し、通常のテンター法、ロール
法、インフレーション法、圧延法もしくはこれらの方法
の組合せによって所定の倍率で行う。2軸延伸が好まし
く、縦横同時延伸または逐次延伸のいずれでもよいが、
特に同時2軸延伸が好ましい。
【0033】延伸温度は、使用するポリオレフィンの融
点+10℃以下、好ましくは結晶分散温度から結晶融点未
満の範囲である。ここで融点とはJIS K 7121に準じてDS
C により測定した値をいい、結晶分散温度とはASTM D 4
06に基づいて粘弾性特性により求めた値をいう。例え
ば、多段重合ポリエチレンの場合は90〜140 ℃で、より
好ましくは100 〜130 ℃の範囲である。延伸温度が融点
+10℃を超える場合は、樹脂の溶融により分子鎖の配向
ができない。また、延伸温度が結晶分散温度未満では、
樹脂の軟化が不十分で、延伸中破断し易く、高倍率の延
伸ができない。
【0034】また、延伸倍率は原反の厚さによって異な
るが、1軸方向で少なくとも2倍以上、好ましくは3〜
30倍であり、面倍率で10倍以上、好ましくは15〜400 倍
である。面倍率が10倍未満では延伸が不十分で高弾性、
高強度の微多孔膜が得られない。一方、面倍率が400倍
を超えると、延伸装置、延伸操作などの点で制約が生じ
る。
【0035】得られた延伸成形物は、溶剤で洗浄するこ
とにより残留する溶媒を除去する。洗浄溶剤としては、
ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素、塩化メ
チレン、四塩化炭素などの塩素化炭化水素、三フッ化エ
タンなどのフッ化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキ
サンなどのエーテル類などの易揮発性のものを用いるこ
とができる。これらの溶剤は、ポリオレフィンの溶解に
用いた溶媒に応じて適宜選択し、単独でもしくは混合し
て用いる。溶媒除去方法としては、洗浄溶剤に浸漬して
抽出する方法、洗浄溶剤をシャワーする方法、またはこ
れらの組合せなどがある。
【0036】上述のような洗浄は、延伸成形物中の残留
溶媒が1重量%未満になるまで行う。その後洗浄溶剤を
乾燥するが、洗浄溶剤の乾燥方法は加熱乾燥、風乾など
の方法で行うことができる。乾燥した延伸成形物は、結
晶分散温度〜融点の温度範囲で熱固定することが望まし
い。
【0037】このようにして得られたポリオレフィン微
多孔膜に対して、界面活性剤による処理を施す。上記界
面活性剤としては、例えば電池用セパレータとして使用
する場合には、イオンの移動を妨げず、粘性が低い方が
良いことから、ノニオン系界面活性剤を用いるのが好ま
しい。ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキル
フェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリ
ルエーテル類、脂肪酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪
酸エステル等が挙げられる。これらのうちでは、特にポ
リオキシエチレンアルキルエーテル類が好ましい。
【0038】上述したような界面活性剤による表面処理
(界面活性剤による被覆)は、細孔の内部表面及び膜表
面の両方に対して行う。表面処理方法としては、界面
活性剤溶液に微多孔膜を浸漬した後、乾燥させる方法、
界面活性剤溶液を微多孔膜に噴霧した後、乾燥させる
方法、界面活性剤の溶液をコーティングする方法等が
挙げられる。
【0039】界面活性剤の溶液は、溶液全体を100 重量
%として0.1 〜10重量%の濃度とするのが好ましい。界
面活性剤の濃度が0.1 重量%未満では、微多孔膜を十分
に親水化、親溶媒化するのが困難であり、また10重量%
を超えると、細孔への界面活性剤の導入量が過剰となり
好ましくない。なお、上記界面活性剤溶液の溶媒として
は、界面活性剤を溶解しうるものであれば特に制限はな
いが、揮発性を有するものが好ましく、メタノール、エ
タノール、イソプロパノール等のアルコール類、脱イオ
ン水、あるいは適当な濃度に調整したアルコール水溶液
等が好ましい。
【0040】また、乾燥はテンター式熱風乾燥機、ロー
ル式加熱乾燥機、風乾法等により、使用するポリオレフ
ィンの融点以下で溶媒の沸点以上の温度で行うのが好ま
しい。
【0041】なお、界面活性剤溶液を乾燥するには、収
縮防止処理若しくは延伸処理を行う。延伸処理は、少な
くとも1軸方向に行う。その後若干のリラックスをかけ
ながら熱セットを行ってもよい。このように、乾燥時に
延伸し、熱セットを行えば、孔径及び孔径分布を調節す
ることができるため、透気性能、透水性能、空孔率等を
適宜制御することができる。
【0042】この場合の延伸は、使用するポリオレフィ
ンの結晶分散温度以下で室温以上の温度で行うのが好ま
しい。延伸温度が結晶分散温度を超えると、局部延伸を
起こし、膜厚が不均一になりやすい。また室温以下で
は、延伸効率が著しく低下するため好ましくない。また
延伸倍率については、面倍率で1.1 〜5倍程度が好まし
い。延伸倍率が5倍を超えると、延伸に伴い微細なクラ
ックが生じ、得られる微多孔膜の膜強度が低下するため
好ましくない。
【0043】また熱セット温度は、使用するポリオレフ
ィンの結晶分散温度〜融点+10℃とするのが好ましい。
熱セット温度が結晶分散温度未満では、熱セットによる
効果が発現せず、また融点+10℃を超えると、膜の溶融
により細孔が閉塞してしまうため好ましくない。熱セッ
トの時間は、延伸倍率により、適宜設計すればよいが、
30秒以上行うのが好ましい。熱セットの時間が、30秒未
満では微多孔膜に十分な熱量を付与することができず、
熱収縮を生じやすいため好ましくない。さらにリラック
スの程度は、約30%以下であればよい。30%を超える
と、収縮が過剰となり、透気性能が著しく低下するた
め、好ましくない。
【0044】以上のようにして製造したポリオレフィン
微多孔膜は、空孔率が35〜95%で、平均貫通孔径が0.00
1 〜0.2 μmで、かつ15mm幅の破断強度が0.2 kg以上で
ある。さらに界面活性剤による処理により、濡れ指数
(JIS 6768により測定) が55dyn/cm以上であり、未処理
のポリオレフィン微多孔膜のそれ(濡れ指数30dyn/cm程
度) と比較して大幅に向上したものとすることができ
る。またポリオレフィン微多孔膜の厚さは、適宜選択し
うるが、一般に0.1 〜50μmであり、好ましくは2〜40
μmにすることができる。
【0045】
【作用】本発明のポリオレフィン微多孔膜は、超高分子
量成分を含有し、分子量分布(重量平均分子量/数平均
分子量)が所定の範囲内にあるポリオレフィンの溶液を
シート状に成形し、急冷して得られるゲル状シートに所
定の温度で少なくとも1軸方向に延伸を施すことにより
微多孔膜を形成し、それに界面活性剤による処理を施し
てなるので、薄膜で十分な膜強度を有するとともに、
水、各種有機溶媒等に対する親和性に優れており、電池
用セパレータとして優れた性能を発揮する。
【0046】このような効果が得られる理由については
必ずしも明らかではないが、基材となる微多孔膜とし
て、強度的に極めて優れた薄膜を使用するとともに、こ
れに界面活性剤 (特にノニオン系界面活性剤) による処
理を施すことにより、膜強度が低下せず、水、各種有機
溶媒に対する親和性が向上するためであると考えられ
る。
【0047】
【実施例】以下に本発明の実施例を示す。なお、実施例
における試験方法は次の通りである。 (1) 分子量及び分子量分布:ウォーターズ(社)製のGP
C 装置を用い、カラムに東ソー(株)製GMH-6 、溶媒に
O-ジクロルベンゼンを使用し、温度135 ℃、流量1.0 ml
/ 分にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC)法により測定。 (2) 破断荷重:幅10mmの短冊状試験片の破断荷重をASTM
D882 に準拠して測定。 (3) フィルムの厚さ:断面を走査型電子顕微鏡により測
定。 (4) 透気度:JIS P8117 に準拠。 (5) 溶媒親和性評価: 濡れ指数:JIS 6768に準拠して測定。 水に対する濡れ性:サンプルを水平面上に置き、上か
ら蒸留水を滴下して、この際に、蒸留水がサンプルの反
対側の面(下面)に到達するまでの時間 (秒)を測定
し、以下の基準により評価した。 ◎:瞬時 (0.5 秒未満) △:0.5 〜2秒 ×:2秒を超えるもの γ−ブチロラクトンに対する濡れ性:蒸留水の代わり
にγ−ブチロラクトンを使用した以外は上記の評価試
験と同様の方法により、評価を行った。 (6) 平均孔径:平膜モジュールを用いて、380 mmHgの差
圧下で0.05重量%のプルラン(昭和電工(株)製) の水
溶液を循環させ、濾液中に含まれるプルランの濃度を示
差屈折率測定から求め、下記の式(1) により阻止率が50
%になるプルランの分子量を計算し、その値から、下記
Flory の式(2) 〜(3) により、孔径を算出した。 プルランの阻止率={1−(濾液中のプルラン濃度 /原
液中のプルラン濃度)}×100 ・・・(1) 溶液状態にある鎖状高分子は球状の糸まり状で、その直
径d は、分子鎖の両末端の2乗平均距離〈γ2 〉に対し
て、近似的に 〔d/2 〕2 =〈γ2 〉・・・(2) の関係にあると考えられる。高分子溶液における粘性と
分子鎖の広がりに関するFlory の理論によると、高分子
の種類に無関係に 〔η〕M=2.1 ×1021〈γ2 3/2 ・・・(3) が成立するので、式(2) 及び(3) により、固有粘度
〔η〕の測定値と、阻止率が50%になる分子量Mとか
ら、鎖状高分子の直径d を算出することができる。この
dをポリエチレン微多孔膜の平均孔径とした。 (7) 孔径分布:上記(6) と同じ方法により、阻止率が90
%となるプルランの分子量の値から同様に孔径を算出し
て最大孔径とし、この最大孔径の値を用いて、最大孔径
÷平均孔径の値により算出した。 (8) 空孔率:水銀ポロシメータで測定。
【0048】実施例1 重量平均分子量(Mw)が 9.0×105 で、分子量分布
(重量平均分子量/数平均分子量)=195 で、分子量7
×105 以上の成分の割合が21重量%の2段重合ポリエチ
レン15重量部と、流動パラフィン (64cst/40℃)85 重量
部とを混合し、2段重合ポリエチレンの溶液を調製し
た。次にこのポリエチレンの溶液100 重量部に、2,6-ジ
-t- ブチル-p- クレゾール (「BHT 」、住友化学工業
(株)製)0.125重量部と、テトラキス〔メチレン-3-(3,
5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシルフェニル)-プロピオネ
ート〕メタン (「イルガノックス1010」、チバガイギー
製)0.25重量部とを酸化防止剤として加えて混合した。
この混合液を撹拌機付のオートクレーブに充填して、20
0 ℃で90分間撹拌し、均一な溶液を得た。
【0049】この溶液を直径45mmの押出機のTダイから
押出し、冷却ロールで引取りながらゲル状シートを成形
した。
【0050】得られたシートを2軸延伸機にセットし
て、温度115 ℃、延伸速度0.5 m/ 分で5×5倍に同時
2軸延伸を行った。得られた延伸膜を塩化メチレンで洗
浄して、残留する流動パラフィンを抽出除去した後、乾
燥してポリエチレン微多孔膜を得た。
【0051】このポリエチレン微多孔膜を、界面活性剤
溶液(ポリオキシエチレンラウリルエーテル (エマルゲ
ン108 花王(株)製)4重量%溶液(溶媒、エタノー
ル:水=4:1))に3秒間浸漬し、テンター式の乾燥
機を用いて90℃で3分間、膜の収縮を防止しながら乾燥
し、親水化ポリエチレン微多孔膜を製造した。
【0052】得られたポリエチレン微多孔膜の破断荷
重、膜厚、透気度、平均孔径の測定、濡れ指数、水に対
する濡れ性、γ−ブチロラクトンに対する濡れ性の評価
を行った。結果を第1表に示す。
【0053】実施例2 重量平均分子量 2.0×106 の超高分子量ポリエチレン13
重量%と、重量平均分子量(Mw)3.9 ×105 の高密度
ポリエチレン87重量%とからなるMw/Mn=12の原料
樹脂組成物(組成物の重量平均分子量4.9 ×105 、分子
量7.0 ×105 以上の割合57重量%) 15重量部と、流動パ
ラフィン (64cst/40℃)85 重量部とを混合し、ポリエチ
レン組成物の溶液を調製した。次にこのポリエチレン組
成物の溶液100 重量部に、2,6-ジ-t- ブチル-p- クレゾ
ール (「BHT 」、住友化学工業(株)製)0.125重量部
と、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒ
ドロキシルフェニル)-プロピオネート〕メタン (「イル
ガノックス1010」、チバガイギー製)0.25 重量部とを酸
化防止剤として加えて混合した。この混合液を撹拌機付
のオートクレーブに充填して、200 ℃で90分間撹拌し、
均一な溶液を得た。
【0054】この溶液を直径45mmの押出機のTダイから
押出し、冷却ロールで引取りながらゲル状シートを成形
した。
【0055】得られたシートを2軸延伸機にセットし
て、温度115 ℃、延伸速度0.5 m/ 分で5×5倍に同時
2軸延伸を行った。得られた延伸膜を塩化メチレンで洗
浄して、残留する流動パラフィンを抽出除去した後、乾
燥してポリエチレン微多孔膜を得た。
【0056】このポリエチレン微多孔膜を、界面活性剤
溶液(ポリオキシエチレンラウリルエーテル (エマルゲ
ン108 花王(株)製)4重量%エタノール溶液) に3秒
間浸漬し、テンター式の乾燥機を用いて90℃で、1軸方
向に1.5 倍に延伸しながら乾燥した。乾燥後、120 ℃で
1分間熱セットすることにより、微多孔膜の平均孔径を
拡大し、空孔率及び透気性能の向上した親水化ポリエチ
レン微多孔膜を製造した。
【0057】得られたポリエチレン微多孔膜の破断荷
重、膜厚、透気度、平均孔径の測定、濡れ指数、水に対
する濡れ性、γ−ブチロラクトンに対する濡れ性の評価
を行った。結果を第1表に示す。
【0058】実施例3 実施例2で得られたポリエチレン微多孔膜(未処理のも
の)を、界面活性剤溶液(ポリオキシエチレンラウリル
エーテル (エマルゲン108 花王(株)製)2重量部と、
ソルビタンモノラウレート(エマゾールL10F 花王
(株)製) 1重量部との混合液の3重量%エタノール溶
液) に3秒間浸漬し、テンター式の乾燥機を用いて、90
℃で1軸方向に2.0 倍に延伸しながら乾燥した。乾燥
後、120 ℃で1分間熱セットすることにより、微多孔膜
の平均孔径を拡大し、空孔率及び透気性能の向上した親
水化ポリエチレン微多孔膜を製造した。
【0059】得られたポリエチレン微多孔膜の破断荷
重、膜厚、透気度、平均孔径の測定、濡れ指数、水に対
する濡れ性、γ−ブチロラクトンに対する濡れ性の評価
を行った。結果を第1表に示す。
【0060】実施例4 重量平均分子量(Mw)が 9.0×105 で、分子量分布
(重量平均分子量/数平均分子量)=78.2で、分子量7
×105 以上の成分の割合が32重量%の2段重合ポリエチ
レン15重量部と、流動パラフィン (64cst/40℃)85 重量
部とを混合し、2段重合ポリエチレンの溶液を調製し
た。次にこのポリエチレンの溶液100 重量部に、2,6-ジ
-t- ブチル-p- クレゾール (「BHT 」、住友化学工業
(株)製)0.125重量部と、テトラキス〔メチレン-3-(3,
5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシルフェニル)-プロピオネ
ート〕メタン (「イルガノックス1010」、チバガイギー
製)0.25重量部とを酸化防止剤として加えて混合した。
この混合液を撹拌機付のオートクレーブに充填して、20
0 ℃で90分間撹拌し、均一な溶液を得た。
【0061】この溶液を直径45mmの押出機のTダイから
押出し、冷却ロールで引取りながらゲル状シートを成形
した。
【0062】得られたシートを2軸延伸機にセットし
て、温度115 ℃、延伸速度0.5 m/ 分で5×5倍に同時
2軸延伸を行った。得られた延伸膜を塩化メチレンで洗
浄して、残留する流動パラフィンを抽出除去した後、乾
燥してポリエチレン微多孔膜を得た。
【0063】このポリエチレン微多孔膜を、界面活性剤
溶液(ポリオキシエチレンラウリルエーテル (エマルゲ
ン108 花王(株)製)4重量%水溶液に3秒間浸漬し、
テンター式の乾燥機を用いて90℃で3分間、膜の収縮を
防止しながら乾燥し、親水化ポリエチレン微多孔膜を製
造した。
【0064】得られたポリエチレン微多孔膜の破断荷
重、膜厚、透気度、平均孔径の測定、濡れ指数、水に対
する濡れ性、γ−ブチロラクトンに対する濡れ性の評価
を行った。結果を第1表に示す。
【0065】実施例5 重量平均分子量 2.0×106 の超高分子量ポリエチレン13
重量%と、重量平均分子量(Mw)2.9 ×105 の高密度
ポリエチレン87重量%とからなるMw/Mn=32.4の原
料樹脂組成物(組成物の重量平均分子量4.5 ×105 、分
子量7.0 ×105 以上の割合52重量%) 15重量部と、流動
パラフィン (64cst/40℃)85 重量部とを混合し、ポリエ
チレン組成物の溶液を調製した。次にこのポリエチレン
組成物の溶液100 重量部に、2,6-ジ-t- ブチル-p- クレ
ゾール (「BHT 」、住友化学工業(株)製)0.125重量部
と、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒ
ドロキシルフェニル)-プロピオネート〕メタン (「イル
ガノックス1010」、チバガイギー製)0.25 重量部とを酸
化防止剤として加えて混合した。この混合液を撹拌機付
のオートクレーブに充填して、200 ℃で90分間撹拌し、
均一な溶液を得た。
【0066】この溶液を直径45mmの押出機のTダイから
押出し、冷却ロールで引取りながらゲル状シートを成形
した。
【0067】得られたシートを2軸延伸機にセットし
て、温度115 ℃、延伸速度0.5 m/ 分で5×5倍に同時
2軸延伸を行った。得られた延伸膜を塩化メチレンで洗
浄して、残留する流動パラフィンを抽出除去した後、乾
燥してポリエチレン微多孔膜を得た。
【0068】このポリエチレン微多孔膜を、界面活性剤
溶液(ポリオキシエチレンラウリルエーテル (エマルゲ
ン108 花王(株)製)5重量%エタノール溶液) に3秒
間浸漬し、テンター式の乾燥機を用いて90℃で、1軸方
向に1.5 倍に延伸しながら乾燥した。乾燥後、120 ℃で
1分間熱セットすることにより、微多孔膜の平均孔径を
拡大し、空孔率及び透気性能の向上した親水化ポリエチ
レン微多孔膜を製造した。
【0069】得られたポリエチレン微多孔膜の破断荷
重、膜厚、透気度、平均孔径の測定、濡れ指数、水に対
する濡れ性、γ−ブチロラクトンに対する濡れ性の評価
を行った。結果を第1表に示す。
【0070】実施例6 重量平均分子量 2.0×106 の超高分子量ポリエチレン13
重量%と、重量平均分子量(Mw)1.2 ×105 の高密度
ポリエチレン87重量%とからなるMw/Mn=127.5 の
原料樹脂組成物(組成物の重量平均分子量2.7 ×105
分子量7.0 ×105 以上の割合42重量%) 15重量部と、流
動パラフィン (64cst/40℃)85 重量部とを混合し、ポリ
エチレン組成物の溶液を調製した。次にこのポリエチレ
ン組成物の溶液100 重量部に、2,6-ジ-t- ブチル-p-ク
レゾール (「BHT 」、住友化学工業(株)製)0.125重量
部と、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-t- ブチル-4-
ヒドロキシルフェニル)-プロピオネート〕メタン (「イ
ルガノックス1010」、チバガイギー製)0.25 重量部とを
酸化防止剤として加えて混合した。この混合液を撹拌機
付のオートクレーブに充填して、200 ℃で90分間撹拌
し、均一な溶液を得た。
【0071】この溶液を直径45mmの押出機のTダイから
押出し、冷却ロールで引取りながらゲル状シートを成形
した。
【0072】得られたシートを2軸延伸機にセットし
て、温度115 ℃、延伸速度0.5 m/ 分で5×5倍に同時
2軸延伸を行った。得られた延伸膜を塩化メチレンで洗
浄して、残留する流動パラフィンを抽出除去した後、乾
燥してポリエチレン微多孔膜を得た。
【0073】このポリエチレン微多孔膜を、界面活性剤
溶液(ポリオキシエチレンラウリルエーテル (エマルゲ
ン108 花王(株)製)1重量%エタノール溶液) に3秒
間浸漬し、テンター式の乾燥機を用いて90℃で、1軸方
向に1.5 倍に延伸しながら乾燥した。乾燥後、120 ℃で
1分間熱セットすることにより、微多孔膜の平均孔径を
拡大し、空孔率及び透気性能の向上した親水化ポリエチ
レン微多孔膜を製造した。
【0074】得られたポリエチレン微多孔膜の破断荷
重、膜厚、透気度、平均孔径の測定、濡れ指数、水に対
する濡れ性、γ−ブチロラクトンに対する濡れ性の評価
を行った。結果を第1表に示す。
【0075】比較例1 実施例2で得られた未処理のポリエチレン微多孔膜につ
いて、破断荷重、膜厚、透気度、平均孔径の測定、濡れ
指数、水に対する濡れ性、γ−ブチロラクトンに対する
濡れ性の測定を行った。結果を第1表に示す。
【0076】 第 1 表 物 性 実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 破断荷重 (kgf/10mm幅) 2.3 2.7 3.0 2.2 膜厚 (μm) 25 25 25 25 透気度* 500 200 58 500 (秒/100cc) 平均孔径 (μm) 0.03 0.04 0.05 0.03 空孔率 (%) 50 60 70 50 濡れ指数(dyn/cm) 56 56 56 56 濡れ性の評価 水 ◎ ◎ ◎ ◎ γ−ブチロラクトン ◎ ◎ ◎ ◎ 注)*:界面活性剤をエタノールで洗浄した後の膜に対して試験を行った。
【0077】
【0078】第1表から明らかなように、本発明のポリ
エチレン微多孔膜は、濡れ指数が55dyn/cm以上であり、
水及びγ−ブチロラクトンに対する濡れ性に著しく優れ
ており、かつ十分な大きさの破断荷重を有するのもので
あった。しかも、製造条件により、透気度の調整が自在
であり、電池用セパレータとして極めて優れた特性を有
していることがわかる。
【0079】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のポリオレ
フィン微多孔膜は、超高分子量成分を含有し、分子量分
布(重量平均分子量/数平均分子量)が所定の範囲内に
あるポリオレフィンの溶液をシート状に成形し、急冷し
て得られるゲル状シートに特定の温度で少なくとも1軸
方向に延伸を施し、得られた微多孔膜に界面活性剤処理
後に乾燥処理が施され、当該界面活性剤処理は細孔の内
部表面及び膜表面に施され、当該乾燥処理が収縮防止処
理若しくは延伸処理のいずれかの処理とともに施されて
なるので、薄膜で十分な膜強度を有するとともに水、各
種有機溶媒等に対する親和性に優れており、電池用セパ
レータとして優れた性能を発揮する。
【0080】このような本発明のポリオレフィン微多孔
膜は、電池用セパレータの他、電解コンデンサー用隔
膜、超精密濾過膜、限外濾過膜、各種フィルター、透湿
防水衣料用多孔質膜等の各種用途にも好適である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08J 9/36 CES C08J 9/36 CES // C08L 23:00 (72)発明者 恒吉 衛 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡1−3−1 東燃株式会社 総合研究所内 (56)参考文献 特開 平3−64334(JP,A) 特開 平1−186752(JP,A) 特開 平3−105851(JP,A) 米国特許4024323(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 2/16 - 2/18 B01D 71/26 B29C 55/02 C08J 7/00 C08J 9/00 C08J 9/36 C08L 23/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均分子量7×105 以上の成分を1
    重量%以上含有し、分子量分布(重量平均分子量/数平
    均分子量)が10〜300 のポリオレフィンからなり、厚さ
    が0.1 〜50μmで、空孔率が35〜95%で、平均貫通孔径
    が0.001 〜0.2 μmであり、15mm幅の破断強度が0.2 kg
    以上であるポリオレフィン微多孔膜において、前記ポリ
    オレフィン微多孔膜の細孔の内部表面及び膜表面に界面
    活性剤処理が施され、さらに収縮防止処理若しくは延伸
    処理のいずれかの処理とともに乾燥処理が施されている
    ことを特徴とするポリオレフィン微多孔膜。
  2. 【請求項2】 重量平均分子量7×105 以上の成分を1
    重量%以上含有し、分子量分布(重量平均分子量/数平
    均分子量)が10〜300 のポリオレフィン10〜50重量%
    と、溶媒50〜90重量%とからなる溶液を調製し、前記溶
    液をダイより押出し、冷却してゲル状組成物を形成し、
    前記ゲル状組成物を前記ポリオレフィンの融点+10℃以
    下の温度で延伸し、しかる後残存溶媒を除去することに
    より、基材となるポリオレフィン微多孔膜を製造し、得
    られたポリオレフィン微多孔膜の細孔の内部表面及び膜
    表面を界面活性剤溶液で被覆し、続いて乾燥処理を収縮
    防止処理若しくは延伸処理のいずれかの処理とともに行
    ことを特徴とするポリオレフィン微多孔膜の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 重量平均分子量7×105 以上の成分を1
    重量%以上含有し、分子量分布(重量平均分子量/数平
    均分子量)が10〜300 のポリオレフィンからなり、厚さ
    が0.1 〜50μmで、空孔率が35〜95%で、平均貫通孔径
    が0.001 〜0.2 μmであり、15mm幅の破断強度が0.2 kg
    以上であるポリオレフィン微多孔膜により形成され、
    記ポリオレフィン微多孔膜の細孔の内部表面及び膜表面
    に界面活性剤処理が施され、さらに収縮防止処理若しく
    は延伸処理のいずれかの処理とともに乾燥処理が施され
    ていることを特徴とする電池用セパレータ。
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