JP3009495B2 - ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法 - Google Patents
ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法Info
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Description
するポリオレフィンからなる微多孔膜及びその製造方法
に関し、特に微細な孔径を有し、孔径分布がシャープな
ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法に関する。
膜は、電池用セパレーター、電解コンデンサー用隔膜、
各種フィルター、透湿防水衣料、逆浸透濾過膜、限外濾
過膜、精密濾過膜等の各種用途に用いられている。
としては、例えば異種ポリマー等の微粉体からなる孔形
成剤をポリオレフィンに混合してミクロ分散させた後、
孔形成剤を抽出する混合抽出法、ポリオレフィン相を溶
媒でミクロ相分離することにより多孔構造とする相分離
法、異種固体がミクロ分散しているポリオレフィン成形
体に延伸などの歪を与えることにより、異種固体間を界
面破壊して空孔を生じさせて多孔化する延伸法などが用
いられている。しかし、これらの方法では通常分子量が
50万未満程度のポリオレフィンが用いられるため、延伸
による薄膜化及び高強度化には限界があった。
し得る超高分子量ポリオレフィンが開発され、これによ
る高強度の微多孔膜の製造が種々提案された。例えば特
開昭58-5228 号は、超高分子量ポリオレフィンを不揮発
性溶媒に溶解し、この溶液から繊維またはフィルムなど
のゲルを成形し、この溶媒を含むゲルを揮発性溶剤で抽
出処理した後、加熱延伸する方法を開示している。しか
しながら、不揮発性溶媒で高度に膨潤した多孔性組織を
有するゲルは、2方向に延伸しようとしても、高配向の
延伸ができず、網状組織の拡大により破断し易く、得ら
れるフィルムは強度が小さく、また形成される孔径分布
が大きくなるという欠点があった。一方不揮発性溶媒を
揮発性溶剤で抽出した後に乾燥したゲルは、網状組織が
収縮緻密化するが、揮発性溶剤の不均一な蒸発によりフ
ィルム原反にそりが発生し易く、また収縮緻密化によ
り、高倍率の延伸ができないという欠点があった。
以上の超高分子量ポリオレフィンを溶媒中で加熱溶解し
た溶液からゲル状シートを成形し、前記ゲル状シート中
の溶媒量を脱溶媒処理により調製し、次いで加熱延伸し
た後、残留溶媒を除去することにより、超高分子量ポリ
オレフィン( ポリエチレン)の微多孔膜を製造する方法
が種々提案されている(特開昭60-242035 号、特開昭61
-495132 号、特開昭61-195133 号、特開昭63-39602号、
特開昭63-273651 号)。しかしながら、上記超高分子量
ポリオレフィン(ポリエチレン)微多孔膜の製造方法
は、いずれも超高分子量ポリオレフィンを2軸延伸する
ために、ポリオレフィンの希薄溶液を調製する必要があ
り、このため得られた溶液は、シート成形するダイス出
口でスウェルやネックインが大きく、シート成形が困難
であり、さらにシート中には、溶媒が過剰に含まれてい
るため、そのまま延伸しても目的の微多孔膜は得られな
いので脱溶媒処理してシート中の溶媒量を調製する必要
がある等、生産性において問題があった。
て本発明者らは、超高分子量ポリオレフィンを含有し、
(重量平均分子量/数平均分子量)の値が特定の範囲内
にある組成物を用いたポリオレフィン微多孔膜の製造方
法を提案した(特願平1-201785号) 。この方法により、
延伸性が良好で、高濃度溶液とすることが可能なポリオ
レフィン組成物からポリオレフィン微多孔膜を製造する
ことが可能となる。
孔径を調べたところ、上記いずれの方法によるポリオレ
フィン微多孔膜も0.001 〜0.2 μmの範囲で平均貫通孔
径とすることが可能であるが、微細な成分 (例えば外径
0.02μm以下程度) を精度よく分離するのには適さな
い。そこで微細な成分に対して精密な濾過機能を発揮す
るために、孔径が0.001 〜0.02μmの範囲内にあり、そ
の孔径分布がある程度シャープである微多孔膜が望まれ
るようになった。
有し、孔径分布がシャープなポリオレフィン微多孔膜を
提供することである。
孔径を有し、孔径分布がシャープなポリオレフィン微多
孔膜の製造方法を提供することである。
の結果、本発明者らは、超高分子量成分を含有し、分子
量分布が広い(重量平均分子量/数平均分子量が大き
い)ポリオレフィンの溶液をシート状に成形し、急冷し
て得られるゲル状シートに結晶分散温度〜融点の間の温
度で熱セットを施すことにより結晶化度を上昇させ、次
いで延伸することにより得られる微多孔膜は、微細な孔
径を有し、孔径分布がシャープであることを見出し、本
発明に想到した。
膜は、分子量7×105 以上の成分を1重量%以上含有
し、(重量平均分子量/数平均分子量)が10〜300 のポ
リオレフィンからなり、空孔率が35〜95%で、平均貫通
孔径が0.001 〜0.02μmで、15mm幅の破断強度が0.2 kg
以上であり、かつ孔径分布 (最大孔径/平均貫通孔径)
の値が1.5 以下であることを特徴とする。
造方法は、分子量7×105 以上の成分を1重量%以上含
有し、(重量平均分子量/数平均分子量)が10〜300 の
ポリオレフィン10〜50重量%と、溶媒50〜90重量%とか
らなる溶液を調製し、前記溶液をダイより押出し、冷却
してゲル状組成物を形成し、前記ゲル状組成物を前記ポ
リオレフィンの結晶分散温度〜融点の温度で10秒以上熱
セットし、その後融点+10℃以下の温度で延伸し、しか
る後残存溶媒を除去することを特徴とする。
リオレフィン微多孔膜は、分子量7×105 以上の成分を
1重量%以上含有し、分子量分布(重量平均分子量/数
平均分子量)が10〜300 のポリオレフィンからなる。
平均分子量は、10〜300 、好ましくは12〜 250である。
重量平均分子量/数平均分子量が10未満では、平均分子
鎖長が大きく、溶解時の分子鎖同志の絡み合い密度が高
くなるため、高濃度溶液の調製が困難である。また300
を超えると、延伸時に低分子量成分の破断が起こり膜全
体の強度が低下する。
分子量分布の尺度として用いられるものであり、この分
子量の比が大きくなるほど分子量分布の幅は拡大する。
すなわち重量平均分子量の異なるポリオレフィンからな
る組成物の場合、組成物の分子量の比が大きいほど、配
合するポリオレフィンの重量平均分子量の差が大きく、
また小さいほど重量平均分子量の差が小さいことを示し
ている。また単独のポリオレフィンの場合、分子量の比
はその分布の広がりを示し、その値が大きいほど分布が
広がっていることを示している。
平均分子量/数平均分子量を10〜300 と、通常の超高分
子量ポリオレフィン自身の重量平均分子量/数平均分子
量(通常6程度)よりも大きく設定している。この結
果、分子量分布は低分子量側へと広がりをみせるため、
高濃度のポリオレフィン溶液の調製が可能となる。
5 以上の成分が1重量%未満では、延伸性の向上に寄与
する超高分子量ポリオレフィンの分子鎖の絡み合いがほ
とんど形成されず、高強度の微多孔膜を得ることができ
ない。一方、超高分子量成分の含有率の上限は特に限定
的ではないが、90重量%を超えると目的とするポリオレ
フィン溶液の高濃度化の達成が困難となるため好ましく
ない。
子量分布を有していれば、単独のポリオレフィン(混合
物でないもの)か、2種以上のポリオレフィンからなる
組成物のどちらでもよい。
量7×105 以上の超高分子量成分を1重量%以上含有
し、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が10
〜300となるように多段重合することにより製造するこ
とができる。多段重合としては、二段重合により、高分
子量部分と低分子量部分とを製造するのが好ましい。
合、重量平均分子量が7×105 以上の超高分子量ポリオ
レフィンと、重量平均分子量が7×105 未満のポリオレ
フィンとを重量平均分子量/数平均分子量が上記範囲と
なるように適量混合することによって得ることができ
る。
は、重量平均分子量が7×105 以上、好ましくは1×10
6 〜15×106 のものである。重量平均分子量が7×105
未満では、最大延伸倍率が低く、目的の微多孔膜が得ら
れない。一方、上限は特に限定的ではないが15×106 を
超えるものは、ゲル状成形物の形成において、成形性に
劣る。
ては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-
ペンテン、1-ヘキセンなどを重合した結晶性の単独重合
体、2段重合体、又は共重合体及びこれらのブレンド物
等が挙げられる。これらのうち超高分子量ポリエチレ
ン、特に高密度の超高分子量ポリエチレンが好ましい。
オレフィン組成物中の含有量は、ポリオレフィン組成物
全体を100 重量%として、1重量%以上である。超高分
子量ポリオレフィンの含有量が1重量%未満では、延伸
性の向上に寄与する超高分子量ポリオレフィンの分子鎖
の絡み合いがほとんど形成されず、高強度の微多孔膜を
得ることができない。一方、上限は特に限定的ではない
が、90重量%を超えると目的とするポリオレフィン溶液
の高濃度化の達成が困難となるため好ましくない。
ポリオレフィン以外のポリオレフィンは、重量平均分子
量が、7×105 未満のものであるが、分子量の下限とし
ては1×104 以上のものが好ましい。重量平均分子量が
1×104 未満のポリオレフィンを用いると、延伸時に破
断が起こりやすく、目的の微多孔膜が得られないので好
ましくない。特に重量平均分子量が1×105 以上7×10
5 未満のポリオレフィンを超高分子量ポリオレフィンに
配合するのが好ましい。
レン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテン、
1-ヘキセンなどを重合した結晶性の単独重合体、2段重
合体、又は共重合体及びこれらのブレンド物等が挙げら
れる。特にエチレンを主体とする重合体である高密度ポ
リエチレンが好ましい。
は、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、
アンチブロッキング剤、顔料、染料、無機充填剤などの
各種添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加する
ことができる。
いた本発明のポリオレフィン微多孔膜の製造方法につい
て説明する。
ンの高濃度溶液は、上述のポリオレフィンを溶媒に加熱
溶解することにより調製する。
に溶解できるものであれば特に限定されない。例えば、
ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、パラフィン油
などの脂肪族または環式の炭化水素、あるいは沸点がこ
れらに対応する鉱油留分などが挙げられるが、溶媒含有
量が安定なゲル状成形物を得るためにはパラフィン油の
ような不揮発性の溶媒が好ましい。
全に溶解する温度で攪拌しながら行う。その温度は使用
する重合体及び溶媒により異なるが、例えばポリエチレ
ンの場合には140 〜250 ℃の範囲である。また、ポリオ
レフィン溶液の濃度は、10〜50重量%、好ましくは10〜
40重量%である。濃度が10重量%未満では、使用する溶
媒量が多く経済的でないばかりか、シート状に成形する
際に、ダイス出口で、スウェルやネックインが大きくシ
ートの成形が困難となる。一方、濃度が50重量%を超え
ると、均一な溶液の調製が困難となる。なお、加熱溶解
にあたってはポリオレフィンの酸化を防止するために酸
化防止剤を添加するのが好ましい。
スから押し出して成形する。ダイスは、通常長方形の口
金形状をしたシートダイスが用いられるが、2重円筒状
のインフレーションダイス等も用いることができる。シ
ートダイスを用いた場合のダイスギャップは通常0.1 〜
5mmであり、押出し成形時には140 〜250 ℃に加熱され
る。この際押し出し速度は、通常20〜30cm/分乃至2〜
3m/分である。
液は、冷却することによりゲル状物に成形される。冷却
は少なくともゲル化温度以下までは50℃/ 分以上の速度
で行うのが好ましい。冷却速度が遅いと結晶化度が上昇
し、延伸に適したゲル状物となりにくい。冷却方法とし
ては、冷風、冷却水、その他の冷却媒体に直接接触させ
る方法、冷媒で冷却したロールに接触させる方法等を用
いることができる。なおダイスから押し出された溶液
は、冷却前あるいは冷却中に、1〜10好ましくは1〜5
の引取比で引き取っても良い。引取比が10以上になると
ネックインが大きくなり、また延伸時に破断を起こしや
すくなり好ましくない。
う。熱セットの温度は、結晶分散温度乃至融点である。
具体的にはポリエチレン組成物の場合には90〜140 ℃、
好ましくは100 〜130 ℃の範囲である。熱セットの温度
が結晶分散温度未満ではゲル状物の結晶化度を上昇させ
ることが困難であり、一方融点を超えるとポリオレフィ
ンが溶融してしまい成形が困難となる。熱セットの時間
については10秒以上が好ましく、より好ましくは1分以
上である。熱セットの時間が10秒未満ではゲル状物の結
晶化度を上昇させることが困難となる。なお、上限につ
いては酸化劣化が起こらない程度であれば特に限定され
ない。また熱セットの方法としては、熱風を吹きつける
方法、加熱ロールに接触させる方法、加熱媒体に浸漬す
る方法等を用いることができる。
を行う。延伸は、ゲル状成形物を加熱し、通常のテンタ
ー法、ロール法、インフレーション法、圧延法もしくは
これらの方法の組合せによって所定の倍率で行う。2軸
延伸が好ましく、縦横同時延伸または逐次延伸のいずれ
でもよいが、特に同時2軸延伸が好ましい。
以下、好ましくは結晶分散温度から結晶融点未満の範囲
である。例えば、ポリエチレンの場合は90〜140 ℃で、
より好ましくは、100 〜130 ℃の範囲である。延伸温度
が融点+10℃を超える場合は、樹脂の溶融により延伸に
よる分子鎖の配向ができない。また、延伸温度が結晶分
散温度未満では、樹脂の軟化が不十分で、延伸において
破膜し易く、高倍率の延伸ができない。
るが、1軸方向で少なくとも2倍以上、好ましくは3〜
30倍、面倍率で10倍以上、好ましくは15〜400 倍であ
る。面倍率が10倍未満では延伸が不十分で高弾性、高強
度の微多孔膜が得られない。一方、面倍率が400 倍を超
えると、延伸装置、延伸操作などの点で制約が生じる。
する溶媒を除去する。洗浄溶剤としては、ペンタン、ヘ
キサン、ヘプタンなどの炭化水素、塩化メチレン、四塩
化炭素などの塩素化炭化水素、三フッ化エタンなどのフ
ッ化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエ
ーテル類などの易揮発性のものを用いることができる。
これらの溶剤はポリオレフィンの溶解に用いた溶媒に応
じて適宜選択し、単独もしくは混合して用いる。洗浄方
法は、溶剤に浸漬し抽出する方法、溶剤をシャワーする
方法、またはこれらの組合せによる方法などにより行う
ことができる。
溶媒が1重量%未満になるまで行う。その後洗浄溶剤を
乾燥するが、洗浄溶剤の乾燥方法は上述した熱セットの
方法と同様の方法で行うことができる。乾燥した延伸成
形物は、結晶分散温度〜融点の温度範囲で熱固定するこ
とが望ましい。
に応じてさらに、プラズマ照射、界面活性剤含浸、表面
グラフト等で親水化処理することができる。
微多孔膜は、空孔率が35〜95%で、平均貫通孔径が0.00
1 〜0.02μmで、かつ15mm幅の破断強度が0.2 kg以上で
ある。さらに孔径分布 (最大孔径/平均貫通孔径)の値
が1.5 未満と従来法によるポリオレフィン微多孔膜の孔
径分布 (2.0 程度) と比較して驚くほどシャープであ
る。なお、孔径分布において最大孔径及び平均貫通孔径
とは、プルラン溶液の透過率の値をもとにしてフローリ
の理論を利用して、算出した値である。また本発明のポ
リオレフィン微多孔膜の厚さは、用途に応じて適宜選択
しうるが、一般に0.1 〜50μm程度であり、好ましくは
2〜40μmである。
分子量分布が広い(重量平均分子量/数平均分子量が大
きい)ポリオレフィンの溶液をシート状に成形し、急冷
して得られるゲル状シートに結晶分散温度〜融点の間の
温度で熱セットを施してから延伸することによりポリオ
レフィン微多孔膜を製造しているので、得られる微多孔
膜は、微細な孔径を有し、孔径分布がシャープである。
必ずしも明らかではないが、ゲル状シートには、通常ラ
メラ間に非晶部分が存在し、膜の微細構造に不均一を生
じやすく、これが孔径分布が大きくなる原因となってい
るが、本発明においては、ポリオレフィンとして超高分
子量成分を所定量以上含有し、分子量分布が所定の範囲
にあるものを使用し、ゲル状のポリオレフィンに結晶分
散温度〜融点の間の温度で熱セットを行うことにより、
ポリオレフィン中の結晶化度を上昇させ、これに伴いラ
メラ間の非晶部分を減少させている。このポリオレフィ
ンを延伸すると、主にラメラ間の開裂により貫通孔が形
成されるので、微細かつ分布の幅の小さい孔を有する微
多孔膜とすることが可能となるためであると考えられ
る。
における試験方法はつぎの通りである。 (1) 分子量及び分子量分布:ウォーターズ(株)製のGP
C 装置を用い、カラムに東ソー(株)製GMH-6 、溶媒に
O-ジクロルベンゼンを使用し、温度135 ℃、流量1.0 ml
/ 分にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC)法により測定。 (2) フィルムの厚さ:断面を走査型電子顕微鏡により測
定。 (3) 透気度:JIS P8117 に準拠。 (4) 平均孔径:平膜モジュールを用いて、380 mmHgの差
圧下で0.05重量%のプルラン(昭和電工(株)製) の水
溶液を循環させたときに、濾液中に含まれるプルランの
濃度を示差屈折率測定から求めた。そして、次式により
計算した阻止率が50%になるプルランの分子量の値か
ら、後述するようなFlory の理論を利用して、孔径を換
算した。 プルランの阻止率={1−(濾液中のプルラン濃度 /原
液中のプルラン濃度)}×100 溶液状態にある鎖状高分子は球状の糸まり状で、その直
径d は、分子鎖の両末端の2乗平均距離 〈γ2 〉に対して、近似的に 〔d/2 〕2 =〈γ2 〉・・・(1) の関係にあると考えて良い。高分子溶液における粘性と
分子鎖の広がりに関するFlory の理論によると、高分子
の種類に無関係に 〔η〕M=2.1 ×1021〈γ2 〉3/2 ・・・(2) が成立するので、式(1) 及び(2) により、固有粘度
〔η〕の測定値と、阻止率が50%になる分子量Mとから
鎖状高分子の直径d を算出することができる。このdを
ポリエチレン微多孔膜の平均孔径とした。 (5) 孔径分布:上記(4) による測定において、阻止率が
90%となるプルランの分子量の値から同様に孔径を換算
し、最大孔径とし、この最大孔径の値を用いて、最大孔
径÷平均孔径の値により算出。 (6) 空孔率:水銀ポロシメータで測定。 (7) 破断強度:幅15mmの短冊状試験片を用いてASTM D88
2 に準拠して測定。
エチレン2重量部と、重量平均分子量(Mw)3.7 ×10
5 のポリエチレン13重量部とを混合したMw/Mn=11
の原料樹脂と、流動パラフィン (64cst/40℃)85 重量部
とを混合し、ポリエチレン組成物の溶液を調製した。次
にこのポリエチレン組成物の溶液100 重量部に、2,6-ジ
-t- ブチル-p- クレゾール (「BHT 」、住友化学工業
(株)製)0.125重量部とテトラキス〔メチレン-3-(3,5-
ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシルフェニル)-プロピオネー
ト〕メタン (「イルガノックス1010」、チバガイギー
製)0.25 重量部とを酸化防止剤として加えて混合した。
この混合液を攪拌機付のオートクレーブに充填して200
℃で90分間攪拌して均一な溶液を得た。
イから押出し、冷却ロールで引取りながらゲル状シート
を成形した。続いてこのゲル状シートを、速度0.5 m/
分の送り速度で、120 ℃の熱風下に15分間さらすことに
より熱セットを行った。
て、温度115 ℃、延伸速度0.5 m/ 分で5×5倍に同時
二軸延伸を行った。得られた延伸膜を塩化メチレンで洗
浄して残留する流動パラフィンを抽出除去した後、乾燥
して厚さ25μmのポリエチレン微多孔膜を得た。このポ
リエチレン微多孔膜の製造条件を第1表に示す。またポ
リエチレン微多孔膜の透気度、膜厚、空孔率、破断強
度、平均孔径及び孔径分布の測定を行った。結果を第2
表に示す。
(重量平均分子量8.2×105 、重量平均分子量/数平均
分子量=28.8、分子量7×105 以上の成分の割合40重量
%) を用いた以外は同様にして、ポリエチレン微多孔膜
を製造した。得られたポリエチレン微多孔膜の製造条件
を第1表に示す。またポリエチレン微多孔膜の透気度、
膜厚、空孔率、破断強度、平均孔径及び孔径分布の測定
を行った。結果を第2表に示す。
の条件でポリエチレン微多孔膜を製造した。得られたポ
リエチレン微多孔膜の製造条件を第1表に示す。またポ
リエチレン微多孔膜の透気度、膜厚、空孔率、破断強
度、平均孔径及び孔径分布の測定を行った。結果を第2
表に示す。
2のポリエチレン微多孔膜は、従来法により製膜した比
較例1のポリエチレン微多孔膜と比べて透気度及び膜厚
及び平均孔径は同じだが、孔径の分布の幅が狭いもので
あった。
超高分子量成分を含有し、分子量分布が広い(重量平均
分子量/数平均分子量が大きい)ポリオレフィンの溶液
をシート状に成形し、急冷して得られるゲル状シートに
結晶分散温度〜融点の間の温度で熱セットを施してから
延伸することによりポリオレフィン微多孔膜を製造して
いるので、得られる微多孔膜は、微細な孔径を有し、孔
径分布がシャープである。
ィン微多孔膜は、電池用セパレーター、電解コンデンサ
ー用隔膜、超精密濾過膜、限外濾過膜、各種フィルタ
ー、透湿防水衣料用多孔質膜等の各種用途に好適であ
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 分子量7×105 以上の成分を1重量%以
上含有し、(重量平均分子量/数平均分子量)が10〜30
0 のポリオレフィンからなり、空孔率が35〜95%で、平
均貫通孔径が0.001 〜0.02μmで、15mm幅の破断強度が
0.2 kg以上であり、かつ孔径分布 (最大孔径/平均貫通
孔径)の値が1.5 以下であることを特徴とするポリオレ
フィン微多孔膜。 - 【請求項2】 分子量7×105 以上の成分を1重量%以
上含有し、(重量平均分子量/数平均分子量)が10〜30
0 のポリオレフィン10〜50重量%と、溶媒50〜90重量%
とからなる溶液を調製し、前記溶液をダイより押出し、
冷却してゲル状組成物を形成し、前記ゲル状組成物を前
記ポリオレフィンの結晶分散温度〜融点の温度で熱セッ
トし、その後融点+10℃以下の温度で延伸し、しかる後
残存溶媒を除去することを特徴とするポリオレフィン微
多孔膜の製造方法。
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JP4727791A JP3009495B2 (ja) | 1991-01-30 | 1991-01-30 | ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法 |
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JPH06234875A JPH06234875A (ja) | 1994-08-23 |
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