JP3747760B2 - 液晶セルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、大型基板を用いて複数の液晶セルを製造する液晶セルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶セルは、それぞれ内面に電極や端子等が形成された一対のガラス板等の基板を、その電極形成面を互いに対向させると共にこれら両基板を枠状のシール材で貼り合わせてなる。枠状のシール材の一部には液晶を注入するための注入口が形成されている。
【0003】
そして、このような液晶セルを製造した後に、前記両基板と枠状のシール材とで囲まれた空間内に前記注入口から液晶を注入し、この注入後にその注入口を封止材で封止して液晶表示素子を完成させる。
【0004】
一般にこのような液晶セルは、それぞれ所定の領域に電極を形成した一対の大型基板をその各領域に設けた枠状のシール材を介して貼り合わせ、これら大型基板を所定のラインに沿ってスクライブし、その各領域に対応する複数の液晶セルに切り離す方法で製造されている。
【0005】
図5には大型基板1,2とシール材3との配置の関係を示してあり、大型基板1の所定の領域aにシール材3がスクリーン印刷等により枠状に塗布されている。シール材3は帯状をなしてその領域aの内側の周辺に沿って延び、このシール材3の途中に注入口4が形成されている。この注入口4はシール材3の材料を、領域aの内側から外側に向かって並行するように突出させた一対の突出壁5により構成されている。
【0006】
そして大型の両基板1,2を前記シール材3を介して互いに貼り合わせ、この貼り合わせ後に大型基板1,2を所定のスクライブラインL1,L2に沿って縦横にスクライブし、各領域aに対応する複数の液晶セルに切り離す。
【0007】
液晶を注入するための注入口4は、前述のようにシール材3による一対の突出壁5により構成されているが、その突出壁5の突出端面は液晶セルとして切り離したときの基板の端面と面一となるように揃えることが好ましい。これは注入口4を封止材で封止するときの確実性や能率性を高めるためである。
【0008】
このようなことから従来においては、大型基板1,2の互いに隣り合う領域aを分断させる横方向のスクライブラインL1とは別に、これと隣接してさらに各領域a内の注入口構成用の突出壁5を横切るスクライブラインL1′を設定して2.0mm程度の幅のいわゆる割しろPを設定し、前記スクライブラインL1に沿ってスクライブした後に、さらに前記スクライブラインL1′に沿って大型基板1,2をスクライブし、これにより液晶セルとして切り離したときの基板の端面と注入口4を構成する突出壁5の端面とが面一に揃うようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように大型基板1,2に割しろPを設ける手段においては、基板の材料に無駄が生じ、歩留まりが悪くなり、またスクライブの処理数が増し、製造能率が低下する。
【0010】
そこで、注入口4を構成するシール材3の突出壁5を隣り合う一方の領域aから他方の領域aにまで突出させ、その領域a間のスクライブラインL1に沿って大型基板1,2をスクライブするときに、その突出させた突出壁5の途中を切断し、これにより液晶セルとして切り離したときの基板の端面と注入口を構成する突出壁5の端面とを面一に揃えるようにすることが考えられる。
【0011】
ところがこの場合、一方の領域aからシール材3の突出壁5が突出する他方の領域の部分は一般に端子の配列部となっており、したがってシール材3の突出壁5の突出端部がその隣り合う他方の領域aの端子配列部の上に配置して液晶セルとして切り離した際に、そのシール材3の突出壁5の突出端部が液晶セルの端子配列部に残ってしまうことになる。
【0012】
シール材3の幅は通常0.6mm程度の比較的広い幅となっており、このような幅の広いシール材3の材料が端子配列部にそのまま残ると、その端子配列部に対する配線接続作業等に支障が生じる恐れがある。
【0013】
この発明はこのような点に着目してなされたもので、その目的とするところは、歩留まりや作業能率の低下を招くことなく、かつ端子配列部にシール材の材料が僅かしか残ることのない液晶セルを製造することが可能な製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明はこのような目的を達成するために、液晶セルの各単位となる複数の領域に電極等を形成した一対の大型基板をその各領域に設けた枠状のシール材を介して貼り合わせ、これら大型基板を所定のラインに沿ってスクライブしてその各領域ごとに切り離して複数の液晶セルを製造する液晶セルの製造方法において、大型基板に隣接させて前記複数の領域を配列し、これらの各領域に設ける枠状のシール材には、互いに並行して一方の領域の内側から外側に向かって隣接する他方の領域に突出する液晶注入口構成用の一対の突出壁を形成すると共に、これら突出壁の先端部をその幅が突出壁の基部の幅より狭い狭幅部とし、この狭幅部を隣り合う一方の領域から他方の領域内に突出させ、前記一方の領域と他方の領域の間をスクライブする工程により前記狭幅部を切断するようにしたものである。そして例えば、突出壁の基部の幅は0.6mm、狭幅部の幅は0.3mmとする。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明は、上述のように、液晶セルの各単位となる複数の領域に電極等を形成した一対の大型基板をその各領域に設けた枠状のシール材を介して貼り合わせ、これら大型基板を所定のラインに沿ってスクライブしてその各領域ごとに切り離して複数の液晶セルを製造する方法である。
【0016】
そして、大型基板の各領域に設ける枠状のシール材の途中には、互いに並行して領域の内側から外側に向かって突出する液晶注入口構成用の一対の突出壁を形成する。これら突出壁の先端部はその幅が突出壁の基部の幅より狭い狭幅部とし、この狭幅部を隣り合う一方の領域から他方の領域内に突出させる。そしてその領域間をスクライブする工程により前記狭幅部を切断する。突出壁の基部の幅は例えば0.6mmとし、狭幅部の幅は例えば0.3mmとする。
【0017】
【実施例】
以下、この発明の具体的な実施例について図1ないし図4を参照して説明する。
【0018】
図1には、ガラス板等からなる一方の大型基板11と、この大型基板11の上にシール材13を介して貼り合わせたガラス板等からなる他方の大型基板12を示してある。
【0019】
これら大型基板11,12には、液晶セルの各単位となる領域aのそれぞれの内面に所定の電極および端子等(図示せず)が形成されている。そしてさらに一方の大型基板1の各領域aの内面にシール材13がシルク印刷等により枠状に塗布され、これらシール材13を介して一方の大型基板11に他方の大型基板12が互いに重なり合うように貼り付けられている。
【0020】
各シール材13の途中には液晶を注入するための注入口14が形成され、この注入口14は互いに並行して領域aの内側から外側に向かって突出する一対の突出壁15により構成されている。
【0021】
各シール材13の突出壁15の先端部は、図2に示すように、その基部15aより幅の狭い狭幅部15bとなっていて、この狭幅部15bが互いに隣り合う一方の領域aから他方の領域aに突出するように配置されている。
【0022】
突出壁15の基部15aの幅W1は例えば0.6mmであり、狭幅部15bの幅W2はその1/2の0.3mmとなっており、また狭幅部15bの突出の長さLは0.3mmとなっている。そして突出壁15の基部15aと狭幅部15bとの境が隣り合う一方の領域aと他方の領域aとの境に一致している。
【0023】
互いに隣り合う領域aの境界線は大型基板11,12に対する横方向のスクライブラインL1であり、大型基板11,12を互いに貼り合わせた後には、その横方向のスクライブラインL1および縦方向のスクライブラインL2に沿って大型基板11,12をスクライブし、各領域aに対応する複数の液晶セルに切り離す。
【0024】
図3には切り離した液晶セルSの1つを示してある。11a,12aが液晶セルSの基板で、20が端子配列部である。大型基板11,12から液晶セルSが切り離された後には、その液晶セルSの端子配列部20を外部に露出させるために、液晶セルSの一方の基板12aの一端縁および一側縁が所定の幅で切り落とされる。
【0025】
大型基板11,12を縦横のスクライブラインL1,L2に沿ってスクライブすると、シール材13における突出壁15の狭幅部15bが切断され、切り離された液晶セルSの基板11a,12aの端面と注入口14を構成する突出壁15の端面とが面一に揃う。
【0026】
突出壁15の狭幅部15bは大型基板11,12の一方の領域aから他方の領域a、つまりその他方の領域aにより構成される液晶セルの端子配列部に突出する状態にあり、したがってシール材13からなる突出壁15の一部である狭幅部15bがスクライブにより切り離された液晶セルの端子配列部に残ることになるが、この狭幅部15bの幅が小さく、また長さも小さいから、その端子配列部に対する配線接続作業等に支障が生じる恐れがない。
【0027】
また、大型基板11,12に従来のような割しろを設ける必要がなく、このため基板11,12の材料の無駄を省いて歩留まりを高めることができ、かつスクライブの処理数が減らして製造能率の向上を図ることができる。
【0028】
前記実施例においては、突出壁15の基部15aと狭幅部15bとの境が隣り合う一方の領域aと他方の領域aとの境に一致するように設定したが、図4に示すように、突出壁15の基部15aと狭幅部15bとの境が、隣り合う一方の領域aと他方の領域aとの境よりもその一方の領域aの内側方向に例えば0.2mm程度ずれるように位置させ、両領域aの境界線つまりスクライブラインL1が狭幅部15bの途中を横切るような状態とすることも可能である。
【0029】
この場合には、設定されたスクライブラインL1と実際に大型基板11,12をスクライブするときのラインとに多少のずれがあっても、それを許容することが可能となる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明によれば、大型基板からスクライブにより切り離された液晶セルの端子配列部に残るシール材の狭幅部は、その幅が小さく、また長さも短いから、その端子配列部に対する配線接続作業等に支障が生じる恐れがないので、大型基板の各液晶セルを形成する領域それぞれの間に割しろを設ける必要がなくなり、基板の材料の無駄を省いて、且つスクライブの処理数が減らして製造能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す一部破断の平面図。
【図2】図1中のA部を拡大して示す平面図。
【図3】大型基板から切り離した液晶セルを示す一部破断の平面図。
【図4】シール材の突出壁で構成する注入口部分の変形例を示す平面図。
【図5】従来の技術を説明するための平面図。
【符号の説明】
11,12…大型基板
13…シール材
14…注入口
15…突出壁
15a基部
15b…狭幅部
L1,L2…スクライブライン
Claims (2)
- 液晶セルの各単位となる複数の領域に電極等を形成した一対の大型基板をその各領域に設けた枠状のシール材を介して貼り合わせ、これら大型基板を所定のラインに沿ってスクライブしてその各領域ごとに切り離して複数の液晶セルを製造する液晶セルの製造方法において、
大型基板に隣接させて前記複数の領域を配列し、これらの各領域に設ける枠状のシール材には、互いに並行して一方の領域の内側から外側に向かって隣接する他方の領域に突出する液晶注入口構成用の一対の突出壁を形成すると共に、これら突出壁の先端部をその幅が突出壁の基部の幅より狭い狭幅部とし、この狭幅部を隣り合う一方の領域から他方の領域内に突出させ、前記一方の領域と他方の領域の間をスクライブする工程により前記狭幅部を切断することを特徴とする液晶セルの製造方法。 - 突出壁の基部の幅が0.6mmで、狭幅部の幅が0.3mmであることを特徴とする請求項1に記載の液晶セルの製造方法。
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