JP3747034B2 - 吊りボルト支持装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は吊りボルトが任意の方向を向くことができるように吊りボルトの上端部を支持する吊りボルト支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビルディング、倉庫、駅舎などの建造物において、種々の物体を天井側から支持するために吊りボルトが垂直方向や斜め方向に自在に方向を選んで物体を吊りボルトの下端で固定することが行われている。
【0003】
従来より、このように吊りボルトが任意の方向を向くことができるように吊りボルトの上端部を支持する吊りボルト支持装置が用いられている。
この種の従来の吊りボルト支持装置は図16、図17に示すような構造であった。
【0004】
即ち、締付けボルト1の先端と受け部2との間で鋼材3の板部3aを挟持することによって固定するための上部金具4と、この上部金具4の下部においてボルト6及びナット7によって回動自在に取付けられた連結金具8と、この連結金具8の下部(例えば折曲げ片9)にボルト11及びナット12によって回動自在に取付けられた下部金具13によって構成されている。
【0005】
従って、上部金具4を締付けボルト1の締付けによって鋼材3の板部3aに固定し、下部金具13の下部に吊りボルト15の上端部をナットによって固定し、連結金具8をボルト6の軸部を中心に上部金具4に対して回動させ且つ下部金具13をボルト11の軸部を中心に連結金具8に対して回動させることによって、吊りボルト15が斜め下方に任意の方向に向くように吊りボルトの上端を支持することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構造の従来の吊りボルト支持装置では、連結金具8と下部金具13とをボルト11及びナット12で連結する他に、上部金具4と連結金具8もボルト6及びナット7で連結しているので、構成が複雑で構成部品点数が多くなり、コスト高となっていた。
【0007】
本発明はこのような問題を解決し、構成が簡単でコスト減を図れるようにした吊りボルト支持装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の吊りボルト支持装置では、
板部に固定するための上部金具と、前記上部金具に回動自在に連結される連結金具と、前記連結金具の下部に回動自在に連結され、吊りボルトの上端部が取付けられる下部金具とから成る吊りボルト支持装置において、
前記上部金具に長穴を設けると共に、前記連結金具に前記長穴に挿通可能な湾曲部を設けて、前記長穴に前記湾曲部を挿通し、前記長穴において前記湾曲部を挿通方向に移動させることによって前記連結金具を前記上部金具に対して傾動自在にしたことを特徴としている。
【0009】
このようにしたため、上部金具と連結金具とが長穴に連結金具を挿通するだけで傾動自在に連結されるから、連結の構造が著しく簡単となり、部品点数を削減でき、コストダウンを実現できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1〜3は本発明の一実施形態の吊りボルト支持具を示している。
【0011】
図中、符号20は上部金具を示している。
上部金具20は、長板状の上板21と、前記上板21の幅方向の両側から垂直方向に延設された互いに平行な一対の側板22a、22bと、前記一対の側板22a、22bの下端部間に連設された前記上板21と平行な底板23とを備えている。
なお、符号23aは、上部金具20を一枚の金属板の折り曲げ加工で作成したための突き合わせ部である。
【0012】
前記一対の側板22a、22bには、鋼材を受け入れるために、横方向の一方側に開口したコ字状の切欠き部24a、24bが設けられていて、切欠き部24a、24bの下側縁部には外方へ水平方向に受け片25a、25bが延設されている。
【0013】
前記上板21には、長手方向の前記切欠き部24a、24b側において締付けボルト26が螺着されるネジ穴21aが設けられている。
前記切欠き部24a、24bの下方において、前記一対の側板22a、22bの下端部と前記底板23との境界部において、一対の長穴27a、27bが水平方向に設けられている。
【0014】
連結金具30は前記一対の長穴27a、27bに挿通可能な幅と厚さの金属平板をU字状に湾曲したものであって、半円形状に湾曲した中央の湾曲部31とその両端の平板部32a、32bから成る。
【0015】
そして、図2に示すように、連結金具30の一端側、例えば平板部32bを、一方の長穴例えば長穴27aに外側から挿通し、もう一つの長穴27bに内側から挿通して両端の平板部32a、32bが上部金具20の底板23の下方に位置するように連結することができ、このため、図4に示すように、半円形状の湾曲部31を一対の長穴27a、27b内で挿通方向に移動させることによって、連結金具30は上部金具20に対して傾動自在になっている。
【0016】
連結金具の一対の平板部32a、32bの下部には、円形の一対のボルト挿通穴33a、33bが設けられている。
下部金具40は中央にネジ穴41を有する底板42と一対の側板43a、43bとから成るコ字状のものであって、一方の側板43aには円形のボルト挿通穴44が設けられ、他方の側板43bにはネジ穴45が設けられている。一対の側板43a、43bの内面間の距離は、前記連結金具30の一対の平板部32a、32bの外面間の距離よりわずかに大となっている(なお、この関係は逆にしてもよいことは勿論である。)。
【0017】
従って、図3、図4に示すように一対の側板43a、43bの間に連結金具30の一対の平板部32a、32bをいれて、連結ボルト50の軸部51を下部金具40の一方の側板43aのボルト挿通穴44から連結金具30の一対のボルト挿通穴33a、33bに挿通して、下部金具40の他方の側板43bのネジ穴45に連結ボルト50を頭部52が下部金具40の側板43aに接触するまで螺着されている。
【0018】
このため、下部金具40は連結金具30に対して連結ボルト50の軸部51を中心に回動自在になっている。この下部金具40の回動は連結金具30の傾動に対して直交する関係となっているから、上部金具20に対して連結金具30を傾動し、且つ、下部金具40を連結金具30に対して回動することによって、下部金具40を上部金具20に対して任意の方向に傾動させることができる。
【0019】
次に、この吊りボルト支持装置の使用方法を説明する。
まず、図4、図5に示すように、例えばL形鋼3の板部3aを上部金具20の切欠き部24a、24b内に最奥部までいれるように上部金具20をL形鋼3に近づけて、上部金具20の上板21のネジ穴21aに螺着された締付けネジ26を回転させて受け片25a、25bと締付けネジ26の先端との間で板部3aを締付けて上部金具20を板部3aに固定する。
【0020】
次に、吊りボルト15の上端部にナット18を螺着し、この上端部を下部金具40のネジ穴41に螺着して底板42の上方まで進入させた後、ナット18を底板42の下面に締付けて吊りボルト15の上端部を下部金具40に固定する。
【0021】
このようにした後、連結金具30の湾曲部31を上部金具20の長穴27a、27b内で挿通方向に動かして傾動させ、且つ下部金具40を連結ボルト50の軸部51を中心として連結金具30に対して回動させることによって、吊りボルト15を所望する方向に任意に傾けて支持することができる。従って、このように所望する方向、即ち、鉛直あるいは斜め下方にした吊りボルト15の下端部に支持台、照明器、その他種々の物体を取付けることができる。
【0022】
なお、図6に示すように、連結金具30の湾曲部31が挿通される一対の長穴28a、28bを上部金具20の底板23に側板22a、22bに対して直交する方向に設けてもよい。
【0023】
また、図7に示すように、上部金具20の底板23に(底板の長手方向の締付けボルト26の近傍において)、側板22a、22bに対して垂直方向に連結金具30の湾曲部31が挿通される一つの長穴29aを設けてもよい。この長穴29aと底板23の長手方向の締付けボルト26側の端部との距離は、連結金具30の一対の側板32a、32b間の距離より僅かに小となるように設定されている。
【0024】
従って、図8〜10に示すように、連結金具30の一方の平板部32bを底板23の上側から下方へ挿通すれば、連結金具30の他方の平板部32aは上部金具20の底板23の端部より外方に位置する。このため湾曲部31は長穴29aの縁部と底板23の長手方向の一端部とに接触した状態になるから、連結金具30の湾曲部31を長穴29a内で挿通方向に移動させることによって、連結金具30は上部金具20に対して傾動自在に連結された状態になっている。
【0025】
連結金具30には下部金具40が図3の場合と同様に連結ボルト50で回動自在に連結されている。
【0026】
従って、連結金具30を上部金具20に対して傾動させ、且つ、下部金具40を連結金具30に対して回動させることによって、下部金具40に上端部を固定した吊りボルト15を所望の方向に支持させることができる。
【0027】
なお、図11に示すように、底板23の端部に長穴29aとほぼ同じ長さの切欠き55を設ければ、連結金具30の横方向のガタツキをなくすことができる。この場合には、長穴29aと切欠き55の縁部55aとの距離を連結金具30の一対の側板32a、32b間の距離より僅かに小となるように設定する。
【0028】
また、図12に示すように、上部金具20の底板23の長手方向の締付けボルト50とは反対側の位置に、側板22a、22bに対して直交する方向に連結金具30の湾曲部31が挿通される一つの長穴29bを設けてもよい。この長穴29bと底板23の長手方向の締付けボルト50側の端部との距離は、連結金具30の一対の側板32a、32b間の距離より僅かに小となるように設定されている。
【0029】
なお、図12に示すように、底板23の端部に長穴29bとほぼ同じ長さの切欠き56を設ければ、連結金具30の横方向のガタツキをなくすことができる。この場合には、長穴29bと切欠き56の縁部56aとの距離を連結金具30の一対の側板32a、32b間の距離より僅かに小となるように設定する。
【0030】
従って、図13に示すように、連結金具30の一方の平板部32bを底板23の上側から下方へ挿通すれば、連結金具30の他方の平板部32aは上部金具20の底板23の端部より外方に位置する。このため湾曲部31は長穴29bの縁部と、底板の長手方向の一端の切欠き56の縁部56aとに接触した状態になるから、連結金具30の湾曲部31を長穴29b内で挿通方向に移動させることによって、連結金具30は上部金具20に対して傾動自在に連結された状態になっている。
【0031】
連結金具30には下部金具40が図3の場合と同様に連結ボルト50で回動自在に連結されている。
従って、連結金具30を上部金具20に対して傾動させ、且つ、下部金具40を連結金具30に対して回動させることによって、下部金具40に上端部を固定した吊りボルト15を所望の方向に支持させることができる。
【0032】
なお、図12に示すように長穴29bの中央において長穴29bの対向する一対の縁部に円形の穴を構成するための円弧状凹部60a、60bを設け、その真上において上板23にも円形の穴61を設けて、連結金具30及び下部金具40を用いずに、図14に示すようにナット62を螺着した吊りボルト15の上端部を底板23の一対の弧状の凹部60a、60bから上板23の円形の穴61に下方から挿通し、吊りボルト15の上端からナット63を螺着し、下側のナット62を底板23の下面に締付け、上側のナット63を上板21の上面から締付けることによって、吊りボルト15を上部金具20に直接取付けることもできる。
なお、上板21の円形の穴61を吊りボルト15が螺着されるネジ穴にしてもよい。
【0033】
また、図7においても長穴29aの中央において長穴29aの対向する一対の縁部に円形の穴を構成するための円弧状凹部(図示せず)を設けて、連結金具及び下部金具を用いず、吊りボルトの上端を挿通して底板23の上下から2つのナットで締付けて吊りボルトを直接上部金具20に取付けるようにすることもできる。
【0034】
なお、図12〜14では、上部金具20の側板22a、22bの切欠き部24a、24bの図1に示した受け片25a、25bを設けず、切欠き部24a、24bの下側の縁部と締付けボルト26の先端とで板部を挟持させるようにしているが、図1と同様に受け片25a、25bを設けてもよいことは勿論である。
【0035】
なお、図12〜14では締付けボルト26を上部金具20の上板21のネジ穴21aに螺着して上側から締付けボルト26を板部3aの上面に締め付けるようにしているが、図15に示すように、締付けボルト26を上部金具20の底板23に設けたネジ穴23aに下側から螺着し、下側から締付けボルト26を板部3aの下面に締め付けるようにしてもよい。
【0036】
なお、図15に示す実施形態では、底板23にネジ穴23aを設けるため、底板23を図1〜14の場合のように突き合わせで形成するのは不都合である。
このため、上部金具20を一枚の金属板の折り曲げ加工で作成する際に、図15では、上板21を左右の側板22a、22bの上端の異なる高さから重なるように折り曲げた二枚の上板21a,21bで構成した場合を示している(図中61a、61bは穴である。)。なお、図1〜14の底板の場合のように、上板21を左右の側板22a、22bの上端の同じ高さの位置から折り曲げて突き合わせで形成してもよいことは勿論である。
【0037】
【発明の効果】
以上のように本発明では、
板部に固定するための上部金具と、前記上部金具に回動自在に連結される連結金具と、前記連結金具の下部に回動自在に連結され、吊りボルトの上端部が取付けられる下部金具とから成る吊りボルト支持装置において、
前記上部金具に長穴を設けると共に、前記連結金具に前記長穴に挿通可能な湾曲部を設けて、前記長穴に前記湾曲部を挿通し、前記長穴において前記湾曲部を挿通方向に移動させることによって前記連結金具を前記上部金具に対して傾動自在にしたことを特徴としている。
【0038】
このようにしたため、上部金具と連結金具とが長穴に連結金具を挿通するだけで傾動自在に連結されるから、連結の構造が著しく簡単となり、部品点数を削減でき、コストダウンを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す組立て前の斜視図
【図2】同実施形態の組立てを示す斜視図
【図3】同実施形態を示す斜視図
【図4】同実施形態の使用状態を示す断面図
【図5】同実施形態の使用状態を示す側面図
【図6】本発明の他の実施形態の上部金具を示す斜視図
【図7】本発明の他の実施形態を示す組立て前の斜視図
【図8】同実施形態を示す斜視図
【図9】同実施形態の使用状態を示す部分断面図
【図10】同実施形態の使用状態を示す部分断面図
【図11】本発明の他の実施形態の上部金具を示す斜視図
【図12】本発明の他の実施形態を示す組立て前の斜視図
【図13】同実施形態の斜視図
【図14】同実施形態の上部金具の使用状態を示す断面図
【図15】本発明の他の実施形態を示す斜視図
【図16】従来装置を示す側面図
【図17】同従来装置を示す正面図
【符号の説明】
20 上部金具
24a、24b 切欠き
26 締付けボルト
27a、27b 長穴
28a、29a、29b 長穴
30 連結金具
31 湾曲部
32a、32b 平板部
40 下部金具
41 ネジ穴
50 連結ボルト
55、56 切欠き

Claims (1)

  1. 板部に固定するための上部金具と、前記上部金具に回動自在に連結される連結金具と、前記連結金具の下部に回動自在に連結され、吊りボルトの上端部が取付けられる下部金具とから成る吊りボルト支持装置において、
    前記上部金具に長穴を設けると共に、前記連結金具に前記長穴に挿通可能な湾曲部を設けて、前記長穴に前記湾曲部を挿通し、前記長穴において前記湾曲部を挿通方向に移動させることによって前記連結金具を前記上部金具に対して傾動自在にしたことを特徴とする吊りボルト支持装置。
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