JP3744503B2 - 部品圧着装置および部品圧着方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、部品を表示パネルなどの基板に圧着する部品圧着装置および部品圧着方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶パネルなどの表示パネルは、ガラス基板にドライバ用の部品を実装して組み立てられる。部品の実装には、ACF(異方性導電材)などの接着材が用いられ、ガラス基板の実装位置に貼り付けられたテープ状のACFの上に搭載された部品を圧着ツールによって押圧しながら加熱することにより、ACFを硬化させて部品をガラス基板に固着させる。この圧着ツールによる実装においては、圧着ツールがACFの付着により汚損するのを防止するため、圧着ツールの下面と部品との間にクリーニングシートを介在させることが行われる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このクリーニングシートとしては、一般に長尺シート状のものが用いられ、供給リールに卷回した形で供給される。使用時にはクリーニングシートは所定量だけ供給リールから引き出され、圧着ツールの下面側を周回した経路で送られて回収リールに巻き取られる。そして1つの供給リールに卷回収納されたクリーニングシートが全て使用し尽くされて品切れになると、この品切れが報知され供給リールを新しいものと交換するリール交換作業が行われる。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−195675号公報(0010)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来装置においては、クリーニングシートの品切れは、供給リールからクリーニングシートが巻き解かれながら引き出されて、最終端が供給リールから外れることによって検出されていた。そしてリール交換作業に際しては、最終端がフリーとなった状態で使用済みシートを取り出さなければならなかった。このためリール交換時の作業性が良好でなく作業に時間を要しており、クリーニングシート補給時の操作性を改善することが望まれていた。
【0006】
そこで本発明は、クリーニングシート補給時の操作性を改善することができる部品圧着装置および部品圧着方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の部品圧着装置は、基板の上面に接着材を介して搭載された部品を圧着ツールで押圧することによりこの部品を基板に圧着する部品圧着装置であって、前記圧着ツールを昇降させて基板に対して押圧する昇降押圧手段と、前記接着材の圧着ツールへの付着を防止するための長尺シート状のクリーニングシートを圧着ツールの下面と前記部品の上面との間に供給するシート供給手段とを備え、前記シート供給手段は、前記クリーニングシートを卷回状態で収納しこのクリーニングシートの一方側の端末部が固定連結された供給リールと、この供給リールからクリーニングシートを引出して前記圧着ツールの下面側へ送給するシート引出し手段と、前記シート引出し手段に対してシート引出し量を指令するシート引出し指令手段と、引き出されたクリーニングシートが実際に送られたシート送り量を検出する送り量検出手段と、この送り量検出手段の検出結果と前記指令されたシート引出し量とを比較することにより前記供給リールにおけるクリーニングシートの卷回収納量が無くなったことを検知するシート切れ検知手段とを備えた。
【0008】
請求項2記載の部品圧着装置は、基板の上面に接着材を介して搭載された部品を圧着ツールで押圧することによりこの部品を基板に圧着する部品圧着装置であって、前記圧着ツールを昇降させて基板に対して押圧する昇降押圧手段と、前記接着材の圧着ツールへの付着を防止するための長尺シート状のクリーニングシートを圧着ツールの下面と前記部品の上面との間に供給するシート供給手段とを備え、前記シート供給手段は、前記クリーニングシートを卷回状態で収納しこのクリーニングシートの一方側の端末部が固定連結された供給リールと、この供給リールからクリーニングシートを引出して前記圧着ツールの下面側へ送給するシート引出し手段と、シート引き出し手段によって引き出されたクリーニングシートを逆方向に送り戻すシート逆送り手段と、前記圧着ツールの下方を横切るクリーニングシートの下方への弛み量を検出するシート弛み量検出手段と、このシート弛み量検出手段の所定タイミングにおける検出結果に基づいて前記供給リールにおけるクリーニングシートの卷回収納量が無くなったことを検知するシート切れ検知手段とを備えた。
【0009】
請求項3記載の部品圧着方法は、基板の上面に接着材を介して搭載された部品を圧着ツールで押圧することによりこの部品を基板に圧着する部品圧着方法であって、前記圧着ツールを昇降させて前記部品を基板に対して押圧する圧着工程と、前記接着材の圧着ツールへの付着を防止するための長尺シート状のクリーニングシートを圧着ツールの下面側に送給するシート供給工程とを含み、このシート供給工程において、供給リールに一方側の端末部が固定連結された状態で卷回されたクリーニングシートをこの供給リールからシート引出し手段によって引き出した後、シート引出し指令手段から前記シート引出し手段に対して指令されたシート引出し量と、送り量検出手段によって検出された実際のクリーニングシートのシート送り量とを比較することにより、前記供給リールにおけるクリーニングシートの卷回収納量が無くなったことを検知する。
【0010】
請求項4記載の部品圧着方法は、基板の上面に接着材を介して搭載された部品を圧着ツールで押圧することによりこの部品を基板に圧着する部品圧着方法であって、前記圧着ツールを昇降させて前記部品を基板に対して押圧する圧着工程と、前記圧着ツールへの前記接着材の付着を防止するための長尺シート状のクリーニングシートを圧着ツールの下面に供給するシート供給工程とを含み、このシート供給工程において、供給リールに一方側の端末部が固定連結された状態で卷回されたクリーニングシートをこの供給リールからシート引出し手段によって引き出した後、引き出された前記クリーニングシートをシート逆送り手段によって所定量だけ逆方向に送り戻し、このタイミングにおいてシート弛み量検出手段によって検出された圧着ツールの下方を横切るクリーニングシートの下方への弛み量の検出結果に基づいて、前記供給リールにおけるクリーニングシートの卷回収納量が無くなったことを検知する。
【0011】
本発明によれば、供給リールに卷回収納状態で供給されるクリーニングシートを圧着ヘッドに供給するシート供給工程において、クリーニングシートを供給リールからシート引出し手段によって引き出した後、シート引出し指令手段からシート引出し手段に対して指令されたシート引出し量と、送り量検出手段にによって検出された実際のクリーニングシートのシート送り量とを比較してシート切れを検知する方法を用いることにより、または、引き出されたクリーニングシートをシート逆送り手段によって所定量だけ逆方向に送り戻し、このタイミングにおいてシート弛み量検出手段によって検出された圧着ツールの下方を横切るクリーニングシートの下方への弛み量の検出結果に基づいて、前記供給リールにおけるクリーニングシートの卷回収納量が無くなったことを検知する方法を用いることにより、クリーニングシートの端末部を供給リールから巻き解くことなくシート切れを検知することができ、クリーニングシート補給時の操作性を改善することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の部品圧着装置の正面図、図2は本発明の実施の形態1の部品圧着装置の側面図、図3は本発明の実施の形態1の部品圧着装置の制御系の構成を示すブロック図、図4は本発明の実施の形態1の部品圧着装置の動作説明図である。
【0013】
まず、図1、図2を参照して部品圧着装置の構造を説明する。図1、図2において、プレート1の上面には昇降機構2がロッド2aを下向きにして垂直に配設されており、ロッド2aの先端部には圧着ヘッド10が結合されている。圧着ヘッド10は、ロッド2aに固着されたプレート11に、断熱材12を介して圧着ブロック13およびヒータ14を装着して構成されており、圧着ブロック13の下端部には圧着ツール15が設けられている。昇降機構2を駆動することにより圧着ヘッド10は昇降する。
【0014】
圧着ヘッド10の下方のベース部20上には、下受け部21が配設されている。下受け部21の側方には、移動テーブル23が配設されており、移動テーブル23に設けられた基板保持部24には、部品圧着対象の基板25が保持されている。基板25は、表示パネルの本体となるガラス基板であり、矩形パネル状の基板25の各辺には、ドライバ用の半導体チップが予め実装されたフレキシブル基板などの部品26が圧着される。
【0015】
ここで縁部25aに設けられた部品接続用の電極(図示省略)には、予め異方性導電材(ACF)などの接着材であるACF27(図4(a)参照)が貼着されており、部品26はACF27を介して基板25の上面に搭載されている。圧着動作に際しては、基板25の縁部25aを下受け部21によって下受けした状態で、昇降機構2によって圧着ヘッド10を下降させる。そして部品26に後述するシート8を介して圧着ツール15を当接させて押圧することにより、部品26は基板25に圧着される。昇降機構2は、圧着ツール15を昇降させて基板25に対して押圧する昇降押圧手段となっている。
【0016】
次にシート供給手段について説明する。シート供給手段は、上述の部品圧着動作においてACF27の圧着ツール15への付着を防止するための長尺シート状のクリーニングシート8(以下、単に「シート8」と略記する。)を圧着ツール15の下面と部品26の上面との間に供給するものである。このシート8は、例えばシリコーン等の材質からなるものである。
【0017】
図1において、プレート1の下面には、それぞれ1対のブラケット3およびブラケット4が下向きに立設されている。ブラケット3にはシート8の供給リール5が、またブラケット4にはシート8の引出しリール6が装着されている。供給リール5および引出しリール6は1つのカセットを構成しており、ブラケット3およびブラケット4に跨って一体的に装着される。
【0018】
供給リール5は未使用のシート8を卷回状態で収納しており、このシート8の一方側の端末部は供給リール5の巻き芯部に固定連結されている。図3に示すように、供給リール5,引出しリール6はそれぞれ巻戻しモータ5a、引出しモータ6aを備えている。引出しモータ6aを正方向(時計方向)に回転駆動することにより、供給リール5に巻回されたシート8は、供給リール5から引き出される。
【0019】
引き出されたシート8は、2つのガイド9にガイドされ、圧着ツール10の下面と部品26の上面との間を経て、引出しリール6に巻取られる。すなわち引出しリール6および引出しモータ6aは、供給リール5からシート8を引出して圧着ツール15の下面側へ送給するシート引出し手段となっている。そして引出しリール6の回転軸にはエンコーダ7が結合されており、エンコーダ7は引出しリール6の回転量を示すパルス信号を出力する。
【0020】
引出しモータ6aを逆方向に回転駆動することにより、引出しリール6に一旦巻き取られた使用済みのシート8は巻き解かれて逆方向に送り戻される。そしてこの状態で巻戻しモータ5aを反時計方向に回転駆動することにより、引出しリール6に巻き取られた使用済みのシート8を、供給リール5に巻き戻して回収できるようになっている。
【0021】
次に制御系について説明する。図3において、昇降駆動部34は、圧着ヘッド10を昇降させる昇降機構2を駆動する。回転量演算部35は、エンコーダ7のパルス信号に基づいて引出しリール6の回転量を演算する。これにより、シート引き出し手段によって引き出されたシート8の実際の送り量を検出することができる。すなわち、引出しリール6および回転量演算部35は、引き出されたシート8が実際に送られたシート送り量を検出する送り量検出手段となっている。引出しモータ駆動部36,巻戻しモータ駆動部37は、それぞれ引出しモータ6a、巻戻しモータ5aを駆動する。
【0022】
昇降駆動部34,引出しモータ駆動部36,巻戻しモータ駆動部37は、制御部30によって制御される。このとき、制御部30の引出し量指令部32から引出しモータ駆動部36にシート引出し量を指令することにより、シート8のシート送り量、すなわち引出しリール6に巻き取られるべきシート8の長さが指定される。引出し量指令部32は、シート引出し手段に対してシート引出し量を指令するシート引出し指令手段となっている。
【0023】
ここで引出しモータ6aにはステッピングモータが用いられており、引出しリール6はステッピングモータの脱調現象により必ずしも引出し量指令部32からの指令通りには回転せず、過負荷やロックなどの異常が生じた場合には、実際の回転量は指令と異なったものとなる。本実施の形態では、後述するようにこのことを利用して、供給リール5におけるシート8のシート切れを検出するようにしている。
【0024】
すなわち、シート8は一方側の端末部が供給リール5に固定連結されていることから、供給リール5において卷回収納量が無くなるとシート8はロックされた状態となり、実際のシート送り量が引出し量指令部32の指令に追従しないようになる。したがって、実際のシート送り量と指令された引出し量の不一致を検出することにより、シート切れを推定することができる。
【0025】
またシート引出し量の指令としては正負いずれの引出し量の指令も可能となっており、正のシート引出し量の場合には前述の巻き取り方向の引出しリール6の回転量が、また負のシート引出し量の場合には、一旦引出しリール6に巻き取ったシート8を巻き解く方向の回転量が、引出しモータ駆動部36に対して指令される。従って、シート引出し手段としての引出しリール6および引出モータ36aは、シート引出し手段によって引出されたクリーニングシートを逆方向に送り戻すシート逆送り手段にもなっている。
【0026】
引出し量指令部32からのシート引出し量は比較判定部31に対しても出力され、比較判定部31は、このシート引出し量と回転演算部35から送られる引出しリール6の回転量、すなわち送り量検出手段の検出結果とシート引出し量とを比較する。このとき、実際に引出しリール6が回転してシート8を巻き取ることによる送り量がシート引出指令によって指定されたシート送り量と一致していなければ、供給リール5におけるシート8の卷回収納量が無くなったと判定する。
【0027】
すなわち、比較演算部31は、送り量検出手段の検出結果と指令されたシート引出し量とを比較することにより、供給リール5におけるシート8の卷回収納量が無くなったことを検知するシート切れ検知手段となっている。シート切れ検知結果は、表示部33の表示画面上で報知される。上記構成において、供給リール5,引出しリール6,引出しモータ6a、送り量検出手段、シート切れ検知手段は、前述のシート供給手段を構成している。
【0028】
この部品圧着装置は上記のように構成されており、以下動作について図4を参照して説明する。まず図4(a)に示すように、基板25を移動テーブル23の基板保持部24によって保持し、移動テーブル23を駆動して基板25を移動させ、縁部25aの下面を下受け部21によって下受けする。このとき、縁部25aには、電極上面に供給されたACF27を介して部品26が既に搭載された状態にあり、部品26の圧着部位が圧着ヘッド10に正しく位置合わせされるように、移動テーブル23を制御する。この状態では、圧着ヘッド10と部品26との間にはシート8が供給されている。
【0029】
この後圧着動作が開始され、図4(b)に示すように、圧着ヘッド10を下降させて圧着ツール15を部品26に対して下降させる。このとき、圧着ツール15の下面はシート8を介して部品26の上面に当接し、この状態で部品26を基板25の縁部25aに対して押圧する(圧着工程)。
【0030】
そして圧着ツール15を介して部品26,ACF27を加熱するとともに所定の押圧荷重を部品26に対して作用させることにより、ACF27中の導電成分によって基板25の縁部の電極と部品26とが導通するとともに、ACF27の樹脂成分が熱硬化して部品26は基板25に固着される。このとき、シート8が部品26と圧着ツール15との間に介在していることから、圧着時にはみ出したACFが圧着ツール15を汚損する不具合が発生しない。
【0031】
この後図4(c)に示すように、圧着ヘッド10を上昇させるとともに、移動テーブル23を移動させて基板25を下受け部21から離し、基板25を後工程に搬出する。この基板搬送動作とともに、新たなシート8を圧着ツール15の下面側に送給する(シート供給工程)。
【0032】
このシート供給を反復する過程において、供給リール5に卷回収納されたシート8が全て消費されてシート切れが発生すると、新たな供給リール5と交換する必要がある。この供給リール5におけるシート切れ状態は、前述のように、供給リール5からシート引出し手段によって引き出した後、シート引出し指令手段からシート引出し手段に対して指令されたシート引出し量と、送り量検出手段によって検出された実際のシート送り量とを比較することによって検知される。
【0033】
すなわち実際に検出されたシート送り量が、指令されたシート引出し量と異なっている場合(実際のシート送り量が指定されたシート送り量よりも大幅に少ない場合)には、一方側の端末部が供給リール5に固定連結されたシート8によって引出しリール6の回転がロックされた状態、すなわち供給リール5におけるシート8の卷回収納量が無くなった状態であると判定する。そしてこのシート切れ検知結果は、表示部33に表示される。
【0034】
(実施の形態2)
図5は本発明の実施の形態2の部品圧着装置の制御系の構成を示すブロック図、図6、図8は本発明の実施の形態2の部品圧着装置の動作フロー図、図7は本発明の実施の形態2の部品圧着装置の動作説明図である。
【0035】
本実施の形態2は、図1,図2に示す実施の形態1と同様の構成の部品圧着装置において、シート8のシート切れを実施の形態1と異なる検出形態によって検出するようにしたものである。図5において、圧着ヘッド2の下方に水平方向に展張されたシート8の上方には、シート検出センサ28が配設されている。
【0036】
シート検出センサ28の検出信号は距離検出部38に送られ、距離検出部38によってシート検出センサ28の下面からシート8までの距離Dが検出される。これにより、シート8の正規位置からの下方への弛み量が検出される。シート検出センサ28および距離検出部38は、圧着ツール15の下方を横切るシート8の下方への弛み量を検出するシート弛み量検出手段となっている。
【0037】
弛み量検出結果は、制御部30に設けられた判定部31Aに送られる。また判定部31Aには、回転量演算部35からの回転量演算結果が出力される。判定部31Aは、後述するようにシート弛み量検出手段の所定タイミングにおける検出結果に基づいて、供給リール5におけるシート8の卷回収納量が無くなったことを検知するシート切れ検知手段となっている。本実施の形態2においては、供給リール5,引出しリール6,引出しモータ6a、シート弛み量検出手段、シート切れ検知手段が、シート供給手段を構成している。
【0038】
次に図6,図7を参照して、圧着動作およびシート供給動作について説明する。まず、実施の形態1と同様に、基板25に予め搭載された部品26を圧着ヘッド10に対して相対的に位置合わせする(ST1)(図4(a)参照)。次に、前回の圧着動作において使用されたシート8に替えて新たなシート8を圧着ヘッド8の下方に位置させるためにシート8を1ピッチ送る(ST2)。このとき、シート検出センサ28は、展張されたシート8が弛みなく水平位置を保っている場合の正常な距離D0を検出している。
【0039】
この後、供給リール5においてシート切れであるか否かを検出するため、以下の動作を行う。まず、シート8を第1の所定量送り戻す(ST3)。すなわち、実施の形態1と同様のシート逆送り手段によって、引出しリール6を反時計回りに第1の所定角度だけ回転させて、図7(a)に示すように、シート8をわずかに巻き解いて逆方向に送り戻す。なお、第1の所定量および後述する第2の所定量は、記憶部39(図5参照)に記憶されている。
【0040】
そしてこの送り戻しのタイミングにおいて、シート検出センサ28によって、シート8との距離を検出する(ST4)。次いでこの検出距離が所定値、すなわち距離D0よりも大きい距離に設定された閾距離よりも大きいか否かを判定部31Aによって判定する(ST5)。以下、判定部31Aでの判定内容について説明する。
【0041】
前述のシート8の送り戻しにおいて、シート8は供給リール5における状態により次のような異なった挙動を示す。すなわち、供給リール5がシート切れ状態ではなく未だシート8の卷回収納量が無くなっていない場合には、シート8の送り戻しによって、図7(b)において実線で示すようにシート8は下方に弛み、正常な距離D0よりも大きい弛み状態距離D1がシート検出センサ28によって検出される。換言すれば、このような弛み状態距離D1が検出された場合には、供給リール5がまだシート切れではないと判定する。
【0042】
これに対し、供給リール5において既にシート切れとなっている場合には、(ST2)において供給リール5から新たにシート8が引き出されることなく引出しリール6が巻き取り方向に回転することから、シート8にはこの張力によって伸びが生じる。したがって、(ST3)においてシート8を送り戻した場合においても、この送り戻し分のシート8はガイド9間で弛むことなく展張状態を維持する。すなわち、シート検出センサ28の検出結果は、正常な距離D0と同じかまたはこれに近い距離を示す。換言すれば、このような正常な距離D0が検出された場合には、供給リール5においてスクリーン印刷装置でのシート切れが発生していると判定する。
【0043】
そして(ST5)において検出距離が、図7(b)において実線で示すように前述の閾距離(所定値)よりも大きい距離D1であれば、シート有りと判断して、圧着動作に移行する。すなわち、図7(c)に示すように、シート8を第1の所定量よりも大きい第2の所定量だけ送り戻して、ガイド9の間でシート8をさらに大きく弛ませる。そしてこの状態で圧着ヘッド10を下降させて、シート8を介して部品26を圧着する(ST7)。
【0044】
これに対し、(ST5)において検出距離が、図7(b)において破線で示すように閾距離(所定値)よりも小さいD0であれば、供給リール5において卷回収納量が尽きたシートエンド状態と判断して(ST8)、供給リール5側に使用済みのシート8を巻き戻した後、装置を停止する(ST9)。これとともに、表示部33にはシートエンドの警告が表示され(ST10)、この警告により、供給リール5と引出しリール6が一体となったカセットを交換する。
【0045】
なお図6に示す動作例では、(ST3)にてシート8を第1の所定量だけ送り戻した状態でシート弛み量検出を行い、部品圧着前にさらに第2の所定量だけシート8を送り戻す2段階のシート送り戻しを行うようにしているが、図8に示すように、(ST3)’において第1の所定量と第2の所定量の和に相当する量の所定量のシート送り戻しを行うようにしてもよい。
【0046】
上記説明したように、上記実施の形態1,2においては、供給リール5におけるシート8の卷回収納量の有無を検出する方法として、シート8の端末部が供給リール5に固定連結されたままの状態で卷回収納量が無くなったシートエンド状態を検出するようにしている。これにより、従来装置において供給リールからシートが引き出されて、最終端が供給リールから外れ、最終端がフリーとなった状態で使用済みシートを取り出す必要があった場合と比較して、クリーニングシート補給時の操作性を改善することができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、供給リールに卷回収納状態で供給されるクリーニングシートを圧着ヘッドに供給するシート供給工程において、クリーニングシートを供給リールからシート引出し手段によって引き出した後、シート引出し指令手段からシート引出し手段に対して指令されたシート引出し量と、送り量検出手段によって検出された実際のクリーニングシートのシート送り量とを比較してシート切れを検知する方法を用いるようにしたので、または、引き出されたクリーニングシートをシート逆送り手段によって所定量だけ逆方向に送り戻し、このタイミングにおいてシート弛み量検出手段によって検出された圧着ツールの下方を横切るクリーニングシートの下方への弛み量の検出結果に基づいて、前記供給リールにおけるクリーニングシートの卷回収納量が無くなったことを検知する方法を用いるようにしたので、クリーニングシートの端末部を供給リールから巻き解くことなくシート切れを検知することができ、クリーニングシート補給時の操作性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の部品圧着装置の正面図
【図2】本発明の実施の形態1の部品圧着装置の側面図
【図3】本発明の実施の形態1の部品圧着装置の制御系の構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態1の部品圧着装置の動作説明図
【図5】本発明の実施の形態2の部品圧着装置の制御系の構成を示すブロック図
【図6】本発明の実施の形態2の部品圧着装置の動作フロー図
【図7】本発明の実施の形態2の部品圧着装置の動作説明図
【図8】本発明の実施の形態2の部品圧着装置の動作フロー図
【符号の説明】
5 供給リール
5a 巻戻しモータ
6 引出しリール
6a 引出しモータ
7 エンコーダ
8 シート(クリーニングシート)
10 圧着ヘッド
15 圧着ツール
25 基板
28 シート検出センサ
31 比較判定部
31A 判定部
32 引出し量指令部
34 昇降駆動部
35 回転量演算部
38 距離検出部
Claims (4)
- 基板の上面に接着材を介して搭載された部品を圧着ツールで押圧することによりこの部品を基板に圧着する部品圧着装置であって、前記圧着ツールを昇降させて基板に対して押圧する昇降押圧手段と、前記接着材の圧着ツールへの付着を防止するための長尺シート状のクリーニングシートを圧着ツールの下面と前記部品の上面との間に供給するシート供給手段とを備え、
前記シート供給手段は、前記クリーニングシートを卷回状態で収納しこのクリーニングシートの一方側の端末部が固定連結された供給リールと、この供給リールからクリーニングシートを引出して前記圧着ツールの下面側へ送給するシート引出し手段と、前記シート引出し手段に対してシート引出し量を指令するシート引出し指令手段と、引き出されたクリーニングシートが実際に送られたシート送り量を検出する送り量検出手段と、この送り量検出手段の検出結果と前記指令されたシート引出し量とを比較することにより前記供給リールにおけるクリーニングシートの卷回収納量が無くなったことを検知するシート切れ検知手段とを備えたことを特徴とする部品圧着装置。 - 基板の上面に接着材を介して搭載された部品を圧着ツールで押圧することによりこの部品を基板に圧着する部品圧着装置であって、前記圧着ツールを昇降させて基板に対して押圧する昇降押圧手段と、前記接着材の圧着ツールへの付着を防止するための長尺シート状のクリーニングシートを圧着ツールの下面と前記部品の上面との間に供給するシート供給手段とを備え、
前記シート供給手段は、前記クリーニングシートを卷回状態で収納しこのクリーニングシートの一方側の端末部が固定連結された供給リールと、この供給リールからクリーニングシートを引出して前記圧着ツールの下面側へ送給するシート引出し手段と、シート引き出し手段によって引き出されたクリーニングシートを逆方向に送り戻すシート逆送り手段と、前記圧着ツールの下方を横切るクリーニングシートの下方への弛み量を検出するシート弛み量検出手段と、このシート弛み量検出手段の所定タイミングにおける検出結果に基づいて前記供給リールにおけるクリーニングシートの卷回収納量が無くなったことを検知するシート切れ検知手段とを備えたことを特徴とする部品圧着装置。 - 基板の上面に接着材を介して搭載された部品を圧着ツールで押圧することによりこの部品を基板に圧着する部品圧着方法であって、前記圧着ツールを昇降させて前記部品を基板に対して押圧する圧着工程と、前記接着材の圧着ツールへの付着を防止するための長尺シート状のクリーニングシートを圧着ツールの下面側に送給するシート供給工程とを含み、
このシート供給工程において、供給リールに一方側の端末部が固定連結された状態で卷回されたクリーニングシートをこの供給リールからシート引出し手段によって引き出した後、シート引出し指令手段から前記シート引出し手段に対して指令されたシート引出し量と、送り量検出手段によって検出された実際のクリーニングシートのシート送り量とを比較することにより、前記供給リールにおけるクリーニングシートの卷回収納量が無くなったことを検知することを特徴とする部品圧着方法。 - 基板の上面に接着材を介して搭載された部品を圧着ツールで押圧することによりこの部品を基板に圧着する部品圧着方法であって、前記圧着ツールを昇降させて前記部品を基板に対して押圧する圧着工程と、前記圧着ツールへの前記接着材の付着を防止するための長尺シート状のクリーニングシートを圧着ツールの下面に供給するシート供給工程とを含み、
このシート供給工程において、供給リールに一方側の端末部が固定連結された状態で卷回されたクリーニングシートをこの供給リールからシート引出し手段によって引き出した後、引き出された前記クリーニングシートをシート逆送り手段によって所定量だけ逆方向に送り戻し、このタイミングにおいてシート弛み量検出手段によって検出された圧着ツールの下方を横切るクリーニングシートの下方への弛み量の検出結果に基づいて、前記供給リールにおけるクリーニングシートの卷回収納量が無くなったことを検知することを特徴とする部品圧着方法。
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