JP3744349B2 - ポンプ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の吐出ポートを有するポンプ装置に関するものであり、特に、複数の吐出ポートから吐出された作動油の、その円周方向の流れが相互に干渉しないようにし、これによって流量制御装置へ通ずるパス路内における作動油(吐出油)の流れに乱れを生じさせないようにしたポンプ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の、二つの吐出ポートを有する平衡型ベーンポンプ装置等においては、例えば図4に示す如く、二つの吐出ポート10、20から吐出された作動油は、例えば円環状に形成された圧力室40内を図示の矢印で示す二つのルートに沿って流動するとともに、最終的には流量制御弁につながるパス路30の開口部にて合流した後、パス路30内へと流入して行くようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の平衡型ベーンポンプ装置においては、パス路30に近い側に設けられた吐出ポート10からの吐出油は、実線矢印方向と、破線矢印方向との2方向に分かれた状態でパス路30側へと向うようになっている。ところで、このパス路30側へ直接流動する吐出油(作動油)は、他の吐出ポート20側から吐出された吐出油(作動油)の流れと、上記パス路30の入口で衝突して、当該パス路30の入口で乱流を生じさせることとなる。そして、この乱流の発生によって、上記パス路30内にてキャビテーション等を生じさせることとなり、上記流量制御弁への作動油の供給が不安定な状態となるおそれがある。このような問題点を解決するために、上記一方の吐出ポートからの吐出油が、直接パス路側へは流動しないようにし、上記パス路の入口において、吐出油(作動油)の流れが層流となるようにしたポンプ装置を提供しようとするのが、本発明の目的(課題)である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明においては次のような手段を講ずることとした。すなわち、請求項1記載の発明においては、二つの吐出ポートに連通するものであって各吐出ポートから吐出された作動油が合流する圧力室と、当該圧力室の一部に開口し、かつ、当該圧力室内にて合流した作動油を流量制御装置へ導くパス路と、を有するポンプ装置に関して、上記二つの吐出ポートに連続して形成されるものであって円環状の形態からなる圧力室内に、パス路に近い側のものである一方の吐出ポートの開口部と上記パス路の開口部との間に位置するものであって上記吐出ポートから吐出された作動油が上記パス路側へ直接流動して行かないように遮断する遮断壁を設けるようにした構成を採ることとした。
【0005】
このような構成を採ることにより、本発明のものにおいては、各吐出ポートから吐出された吐出油(作動油)の流れ方向は、ハウジング内に円環状に設けられた圧力室内において同一の方向に制御されることとなる。従って、圧力室からパス路への流入部において、作動油の流れは層流となり、本ポンプ装置全体における作動油の流動損失等を最小限に抑えることができるようになる。すなわち、本発明のものにおいては、パス路に近い側に設けられた吐出ポートからの吐出油は、上記吐出ポートの圧力室側への出口のところに設けられた遮断壁の作用により、直接パス路側へは流動して行かないようになる。その結果、当該吐出ポートから吐出された吐出油(作動油)は、他の吐出ポートから吐出された作動油の流動方向と同じ方向へ流動することとなり、すべての吐出ポートから吐出された吐出油(作動油)は合流後、その流れが層流状態に制御されて、上記パス路へと流入して行く。その結果、パス路入口等において、作動油の流れに乱れが生ぜず、パス路から流量制御装置へは作動油が整流化された状態で導入されるようになる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図1ないし図3を基に説明する。本実施の形態に関するものの、その構成は、図1及び図2に示す如く、上下方向の対称形の位置に設けられる二つの吐出ポート31、32を有する平衡型のベーンポンプ装置からなることを基本とするものである。そして、これら二つの吐出ポート31、32に連続して形成されるものであって、これら各吐出ポート31、32から吐出された吐出油(作動油)が合流する円環状の圧力室3が、ハウジング4内に設けられるようになっている。そして更に、上記圧力室3には、当該圧力室3内に集められた作動油を、図1に示す流量制御装置(流量制御弁)5側へ送るためのパス路2が設けられている。
【0007】
また、このような構成からなる圧力室3内であって、パス路2に近い側のものである一方の吐出ポート31、すなわち、図2における上側の吐出ポート31の圧力室3側への開口部の周辺部であって上記パス路2側に近いところには、衝立状の遮断壁1が設けられている。この遮断壁1は、図1及び図2に示す如く、上記一方の吐出ポート31から吐出された吐出油(作動油)が、上記パス路2側へ直接流動して行くのを抑止するようになっているものである。すなわち、この遮断壁1の設けられる側に形成される吐出ポート31から吐出された吐出油(作動油)は、図2の矢印図示のように流動して、下側に設けられた吐出ポート32側へと流動して行く。そして、ここで、下側の吐出ポート32から吐出された吐出油(作動油)と一緒になって圧力室3内を循環し、パス路2側へと流動して行く。なお、この遮断壁1はハウジング4に一体的に形成されるか、または、別部材にて形成されるものであって、これらがハウジング4に取付けられるようにしたものからなるものであってもよい。
【0008】
このような吐出ポート31、32及び圧力室3、更にはパス路2等を有する本ポンプ装置は、通常の平衡型のベーンポンプ装置からなるものである。すなわち、本ベーンポンプ装置は、図1に示す如く、回転軸6を中心にして形成されるものであって、当該回転軸6に係合して当該回転軸6にて回転駆動されるロータ7、当該ロータ7に係合して回転運動及びロータ7の放射軸方向へ進退運動をするとともにポンプ機能を発揮するベーン71、当該ベーン71の外側に設けられるものであってポンプ室の形成に寄与するカムリング77等からなるものである。そして、このようなポンプ機能部の一方の側面部側には上記二つの吐出ポート31、32を有するものであって上記ポンプ室と圧力室3との間のつなぎの役目を果すサイドプレート33が設けられている。また、上記ポンプ機能部を形成するカムリング77、ベーン71、ロータ7のもう一方側には、もう一方のサイドプレートを形成するエンドカバー8が設けられている。そして、このエンドカバー8には上記ポンプ室内へ作動油を供給する吸入路88が設けられている。
【0009】
このような構成からなる本実施の形態のものについての、その作動態様等について説明する。まず、図1において、回転軸6が回転運動を始めることによってロータ7を初めとしたポンプ機能部が稼動を開始すると、サイドプレート33に設けられた各吐出ポート31、32からは吐出油(作動油)が吐出される。そして、これら吐出油(作動油)は圧力室3内にて合流し、ここからパス路2を通って流量制御弁5へと導かれる。
【0010】
これら一連の作動において、吐出油(作動油)の流れは、具体的には、図2に示す如く、上側の吐出ポート31から吐出された吐出油(作動油)は、矢印図示の如く、圧力室3内へと吐出され、当該圧力室3内を流動して行く。そして、これとともに、下側の吐出ポート32から吐出された吐出油(作動油)と一緒になって円環状の圧力室3内を流動して、最終的にパス路2内へと流動して行く。このような一連の流動運動に関連して、本実施の形態のものにおいては、図1及び図2に示す如く、上側の吐出ポート31の圧力室3内への開口部位であって上記パス路2に近い側の端部側には吐出油(作動油)のパス路2側への流動を遮断する遮断壁1が設けられているので、上記上側の吐出ポート31から吐出された吐出油(作動油)は、すべて、図2の実線矢印図示の如く、または、図1の破線矢印図示の如く、圧力室3内を下側の吐出ポート32側へと流動して行くようになる。従って、上側の吐出ポート31から吐出された吐出油(作動油)が、直接パス路2側へと流動して、当該パス路2の入口にて吐出油(作動油)の流れに乱れを生じさせるようなことがない。すなわち、図3に示す如く、パス路2の入口において、作動油の流れは層流状態に整えられ、このような整流化された作動油がパス路2を介して流量制御弁5へと供給されるようになる。
【0011】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の吐出ポートに連通するものであって各吐出ポートから吐出された作動油が合流する圧力室と、当該圧力室の一部に開口し、かつ、当該圧力室内にて合流した作動油を流量制御装置へ導くパス路と、を有するポンプ装置に関して、上記圧力室内に、一方の吐出ポートの開口部と上記パス路の開口部との間に位置するものであって上記吐出ポートから吐出された作動油が上記パス路側へ直接流動して行かないように遮断する遮断壁を設けるようにした構成を採ることとしたので、各吐出ポートから吐出された吐出油(作動油)の流れ方向は、円環状に形成された圧力室内において同一の方向に制御されるようになり、圧力室からパス路への流入部において、作動油の流れに乱れ等が生じないようになった。従って、パス路から流量制御装置へ導入される作動油の流れは層流状態となり、本ポンプ装置全体における作動油の流動損失等を最小限に抑えることができるようになった。
【0012】
すなわち、本発明のものにおいては、パス路に近いところに設けられた吐出ポートからの吐出油は、上記吐出ポートの圧力室側への出口のところに設けられた遮断壁の作用により、直接パス路側へは流動して行かないようになり、当該吐出ポートから吐出された吐出油(作動油)は、他の吐出ポートから吐出された作動油の流動方向と同じ方向へ流動するようになった。従って、すべての吐出ポートから吐出された吐出油(作動油)が合流した状態で、かつ、その流れが層流状態に制御されて、上記パス路へと流動して行くようになった。その結果、パス路入口等において、作動油の流れに乱れが生ぜず、パス路から流量制御装置へは作動油が整流化された状態で導入されるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるポンプ装置の全体構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明の主要部を成す圧力室、パス路、及び遮断壁周りの全体構造を示す図1のII−II断面図である。
【図3】本発明の主要部を成すパス路、遮断壁周りの構造を示す部分断面図である。
【図4】従来のものの全体構成を示す横断面図である。
【符号の説明】
1 遮断壁
2 パス路
3 圧力室
31 吐出ポート(上側の吐出ポート)
32 吐出ポート(下側の吐出ポート)
33 サイドプレート
4 ハウジング
5 流量制御装置(流量制御弁)
6 回転軸
7 ロータ
71 ベーン
77 カムリング
8 エンドカバー
88 吸入路

Claims (1)

  1. 二つの吐出ポートに連通するものであって各吐出ポートから吐出された作動油が合流する圧力室と、当該圧力室の一部に開口し、かつ、当該圧力室内にて合流した作動油を流量制御装置へ導くパス路と、を有するポンプ装置において、上記二つの吐出ポートに連続して形成されるものであって円環状の形態からなる圧力室内に、パス路に近い側のものである一方の吐出ポートの開口部と上記パス路の開口部との間に位置するものであって上記吐出ポートから吐出された作動油が上記パス路側へ直接流動して行かないように遮断する遮断壁を設けるようにしたことを特徴とするポンプ装置。
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