JP3900119B2 - ベーンポンプ - Google Patents
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Description
このベーンポンプ100 は、一組のプレート110 、120 によって挟まれたリング130 の内側にロータ室を形成し、そのロータ室にベーン140 を保持するロータ150 が回転可能に収容され、且つロータ150 の回転中心軸がロータ室の中心と偏心した位置に設けられている。これにより、リング130 の内周面とロータ150 の外周面との間にベーン140 によって区画されたポンプ室160 (図21参照)が形成され、このポンプ室160 の容積がロータ150 の回転に伴って変化する。
更に、リング130 には、吸入溝180 を介してポンプ室160 に連通する吸入口190 と、ポンプ室160 に連通する吐出口200 とが設けられている。
このため、摩耗粉を取り除かなければ、堆積した摩耗粉の一部がベーン140 によって掻き出され、摺動部クリアランスに噛み込むことでポンプがロックする虞があった。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、摩耗粉を効果的に排出し、ポンプ内に堆積しないようにして、摺動部クリアランスへの摩耗粉の噛み込みを防止できるベーンポンプを提供することにある。
本発明のベーンポンプは、ポンプ室の容積が減少する領域にポンプ室と吐出口とを連通する吐出溝が凹設され、この吐出溝のロータ回転方向の端部に吐出口が連通していることを特徴とする。
この構成では、吐出溝のロータ回転方向の端部に吐出口が開口しているので、作動流体と共に吐出溝の端部まで流れてきた摩耗粉は、作動流体の流れに乗って吐出口に流出するため、吐出溝の端部に摩耗粉が堆積するのを防止できる。
請求項2に記載のベーンポンプは、吐出口のロータ回転方向の側面が、吐出溝のロータ回転方向の終端面より更にロータ回転方向に位置していることを特徴とする。
この構成では、作動流体と共に吐出溝の端部まで流れてきた摩耗粉が、その吐出溝の端部に堆積することなく、吐出口に滞りなく流出される。
請求項3に記載のベーンポンプでは、ベーンポンプが使用のため据え付けられた状態にある時に、吐出溝は、ロータ回転方向の端部を天地方向の略地方向に向けて配置され、吐出口は、吐出溝のロータ回転方向の端部から天地方向の略地方向に向かって形成されていることを特徴とする。
この構成では、ポンプ室から流出する作動流体の流れに乗って、摩耗粉を効果的に吐出口から排出でき、摩耗粉が吐出溝に堆積することを防止できる。
請求項4に記載のベーンポンプでは、ロータの回転中心軸を天地方向と略直交する方向に向けて使用した時に、吐出溝は、ロータ回転方向の端部を略地方向に向けて配置され、吐出口は、吐出溝のロータ回転方向の端部から略地方向に向かって形成されていることを特徴とする。
この構成では、ロータの回転中心軸を天地方向と略直交する方向に向けて使用した場合に、ポンプ室から流出する作動流体の流れに乗って、摩耗粉を効果的に吐出口から排出でき、摩耗粉が吐出溝に堆積することを防止できる。
請求項5に記載のベーンポンプでは、吐出口が、少なくとも一方の側面がロータの回転接線方向に形成されていることを特徴とする。
この構成では、吐出溝から流出する作動流体の流れ方向に沿って吐出口を形成できるので、作動流体の流れによって効果的に摩耗粉を排出できる。
請求項6に記載のベーンポンプでは、吐出口が、ロータの回転中心軸を略天地方向に向けて使用した時に、吐出溝のロータ回転方向の端部から略地方向に向かって形成された第1の吐出口と、ロータの回転中心軸を天地方向と略直交する方向に向けて使用した時に、吐出溝のロータ回転方向の端部から略地方向に向かって形成された第2の吐出口とで構成されていることを特徴とする。
本発明のベーンポンプは、ポンプ室の容積が減少する領域にポンプ室と連通して凹設された吐出溝を有し、この吐出溝のロータ回転方向の端部と反回転方向の端部との間に吐出口が連通して設けられている。また、吐出溝は、ベーンポンプが使用のため据え付けられた状態にある時に、ロータ回転方向の端部から吐出口に向かって天地方向の略地方向に傾斜して設けられていることを特徴とする。
この構成では、ロータの回転方向に吐出口を過ぎて吐出溝の端部まで流れた摩耗粉が、吐出溝の傾斜によって吐出口へ導かれるため、吐出溝の端部に摩耗粉が堆積するのを抑制できる。
本実施例のベーンポンプ1は、例えば自動車のエバポリークチェックに使用されるもので、図5に示す様に、環状体であるリング2の両面側に一組のプレート3、4を配置して、リング2の内側に円形のロータ室5(図4参照)を形成し、そのロータ室5にべーン6を有するロータ7が回転可能に収容されたポンプ本体と、ロータ7を回転駆動するモータ8とを備えている。なお、このベーンポンプ1は、図3(ポンプ本体の構造を簡略化した断面図)に示す様に、ロータ7の回転中心軸(モータ回転軸8a)を略天地方向に向けて使用される。
これにより、ロータ室5の内周面とロータ7の外周面との間にべーン6によって区画されたポンプ室9が複数箇所(図4では4カ所)形成され、このポンプ室9の容積がロータ7の回転に伴って変化する。
吸入溝10は、ロータ7の回転に伴ってポンプ室9の容積が増大する領域に設けられ、リング2の内周に沿って円弧状に形成されている。
吐出溝12は、ロータ7の回転に伴ってポンプ室9の容積が減少する領域に設けられ、吸入溝10と同様に、リング2の内周に沿って円弧状に形成されている。なお、一組のプレート3、4のうち、何方か一方はリング2と一体に形成されていても良い。
モータ8に駆動されてロータ7が回転すると、べーン6によって区画された4つのポンプ室9がそれぞれ容積変化を伴いながら周方向に移動する。
ここで、1つのポンプ室9を例にとって説明する。
ポンプ室9の容積が増大する過程で、そのポンプ室9が吸入溝10に連通すると、吸入溝10を介して吸入口11からポンプ室9に作動流体が流入する。
その後、ポンプ室9の前側に配置されたべーン6が吐出溝12の後端(反回転方向側の端部)を通過すると、ポンプ室9と吐出溝12とが連通して、ポンプ室9の作動流体が吐出溝12を介して吐出口13より吐出される。
このベーンポンプ1では、ロータ7の回転に伴ってべーン6の先端部がロータ室5の内周面に摺接するため、両者の摩耗により摩耗粉が発生する。この摩耗粉は、作動流体に含まれてポンプ本体の内部を移動し、ポンプ室9が吐出溝12と連通した時に、作動流体と共に吐出溝12に流れ込む。ここで、本実施例のベーンポンプ1は、図2に示した様に、吐出口13の入口が吐出溝12の終端部に開口しており、且つ吐出溝12の終端面12aと吐出口13の側面13aとが段差の無い一つの連続的な面として接続されているので、作動流体と共に吐出溝12に流れ込んだ摩耗粉は、吐出溝12の終端部に堆積することなく、図2(a)に矢印で示す様に、作動流体と共に吐出口13より効果的に排出される。
本実施例のベーンポンプ1は、図6に示す様に、吐出口13のロータ回転方向の側面13aが、吐出溝12のロータ回転方向の終端面12aより反ロータ回転方向(図示右方向)に位置し、その吐出口13の側面13aと吐出溝12の終端面12aとの間に段差が設けられている。但し、段差の長さHは、吐出溝12の深さD以下の長さに設定されている。
本実施例のベーンポンプ1は、図8に示す様に、吐出口13のロータ回転方向の側面13aが、吐出溝12のロータ回転方向の終端面12aより更にロータ回転方向(図示左側)に位置している。この構成によれば、吐出口13の側面13aと吐出溝12の終端面12aとの間に、摩耗粉が堆積できる様な角部が形成されないので、作動流体と共に吐出溝12の終端部まで流れてきた摩耗粉は、図示矢印で示す様に、吐出溝12の終端部にて堆積することなく、吐出口13に滞りなく流出される。
本実施例のベーンポンプ1は、実施例1と同様に、ロータ7の回転中心軸を略天地方向に向けて使用するものであり、吐出口13が吐出溝12の始端部(反回転方向の端部)と終端部との間(略中間部)に位置している(図10参照)。また、吐出溝12は、図11に示す様に、自身の底面が、両端部(始端部及び終端部)から吐出口13に向かって略地方向に傾斜して設けられている。
なお、図11では、吐出溝12の始端部側にも傾斜を設けているが、始端部側は作動流体の流れによって摩耗粉を吐出口13に排出できるので、終端部側だけに傾斜を設けても良い。
本実施例のベーンポンプ1は、ロータ7の回転中心軸を天地方向と略直交する方向に向けて使用する場合の一例である。
このベーンポンプ1は、図13に示す様に、吐出溝12の終端部を略地方向に向けて配置され、吐出口13が吐出溝12の終端部から略地方向に向かって形成されている。
あるいは、図15に示す様に、吐出口13の全体をロータ7の回転接線方向に向けて形成しても良い。
また、図14及び図15に示す構成では、作動流体をロータ7の回転接線方向に吐出できるので、その作動流体の流れに乗って、より効果的に摩耗粉を吐出口13から排出できる。
本実施例のベーンポンプ1は、図16に示す様に、第1の吐出口13bと第2の吐出口13cとを設けた場合の一例である。
即ち、吐出口13は、ロータ7の回転中心軸を略天地方向に向けて使用した時に、吐出溝12の終端部から略地方向に向かって形成された第1の吐出口13bと、ロータ7の回転中心軸を天地方向と略直交する方向に向けて使用した時に、吐出溝12の終端部から略地方向に向かって形成された第2の吐出口13cとで構成される。
これにより、ロータ7の回転中心軸を、I.略天地方向、II. 天地方向と略直交する方向の何れの方向に向けて使用した場合でも摩耗粉を吐出口13より排出でき、吐出溝12に摩耗粉が堆積するのを防止できる。
吐出溝12は、図19に示す様に、リング2の内周面を円弧状に凹設して形成され、吐出口13は、吐出溝12の終端部から略地方向に向けて形成され、且つリング2の外周面まで貫通している(図18参照)。
また、本実施例は、上記の実施例6に記載した構成にも適用できる。
更に、ロータ7の回転中心軸を略天地方向に向けて使用する場合(例えば実施例1及び実施例4の場合)には、リング2とプレート4の両方に吐出口13を設けることで対応可能である。
5 ロータ室
6 べーン
7 ロータ
7a ベーン溝
8a モータ回転軸(ロータの回転中心軸)
9 ポンプ室
11 吸入口
12 吐出溝
12a 吐出溝のロータ回転方向の終端面
13 吐出口
13a 吐出口のロータ回転方向の側面
13b 第1の吐出口
13c 第2の吐出口
H 段差の長さ
D 吐出溝の深さ
Claims (7)
- 円形または楕円形状に開口するロータ室と、
このロータ室に連通する吸入口及び吐出口と、
前記ロータ室に回転可能に配置され、複数のベーン溝を有するロータと、
前記ベーン溝に往復動可能に収納され、前記ロータの回転時に自身の先端部が前記ロータ室の内周面に摺接するベーンとを備え、
前記ロータ室の内周面と前記ロータの外周面との間で前記ベーンによって区画され、且つその容積が前記ロータの回転に伴って変化するポンプ室を形成し、このポンプ室の容積が増大する時に前記吸入口より前記ポンプ室に作動流体を導入し、前記ポンプ室の容積が減少する時に前記吐出口より前記ポンプ室の作動流体を吐出するベーンポンプであって、
前記ポンプ室の容積が減少する領域に前記ポンプ室と前記吐出口とを連通する吐出溝が凹設され、この吐出溝のロータ回転方向の端部に前記吐出口が連通しており、
前記吐出口のロータ回転方向の側面は、前記吐出溝のロータ回転方向の終端面より反ロータ回転方向に位置し、前記吐出口のロータ回転方向の側面と前記吐出溝のロータ回転方向の終端面との間に設けられる段差が、前記吐出溝の深さ以下の長さに設定されていることを特徴とするベーンポンプ。 - 円形または楕円形状に開口するロータ室と、
このロータ室に連通する吸入口及び吐出口と、
前記ロータ室に回転可能に配置され、複数のベーン溝を有するロータと、
前記ベーン溝に往復動可能に収納され、前記ロータの回転時に自身の先端部が前記ロータ室の内周面に摺接するベーンとを備え、
前記ロータ室の内周面と前記ロータの外周面との間で前記ベーンによって区画され、且つその容積が前記ロータの回転に伴って変化するポンプ室を形成し、このポンプ室の容積が増大する時に前記吸入口より前記ポンプ室に作動流体を導入し、前記ポンプ室の容積が減少する時に前記吐出口より前記ポンプ室の作動流体を吐出するベーンポンプであって、
前記ポンプ室の容積が減少する領域に前記ポンプ室と前記吐出口とを連通する吐出溝が凹設され、この吐出溝のロータ回転方向の端部に前記吐出口が連通しており、
前記吐出口のロータ回転方向の側面は、前記吐出溝のロータ回転方向の終端面より更にロータ回転方向に位置していることを特徴とするベーンポンプ。 - 円形または楕円形状に開口するロータ室と、
このロータ室に連通する吸入口及び吐出口と、
前記ロータ室に回転可能に配置され、複数のベーン溝を有するロータと、
前記ベーン溝に往復動可能に収納され、前記ロータの回転時に自身の先端部が前記ロータ室の内周面に摺接するベーンとを備え、
前記ロータ室の内周面と前記ロータの外周面との間で前記ベーンによって区画され、且つその容積が前記ロータの回転に伴って変化するポンプ室を形成し、このポンプ室の容積が増大する時に前記吸入口より前記ポンプ室に作動流体を導入し、前記ポンプ室の容積が減少する時に前記吐出口より前記ポンプ室の作動流体を吐出するベーンポンプであって、
前記ポンプ室の容積が減少する領域に前記ポンプ室と前記吐出口とを連通する吐出溝が凹設され、この吐出溝のロータ回転方向の端部に前記吐出口が連通しており、
前記ベーンポンプが使用のため据え付けられた状態にある時に、
前記吐出溝は、ロータ回転方向の端部を天地方向の略地方向に向けて配置され、前記吐出口は、前記吐出溝のロータ回転方向の端部から天地方向の略地方向に向かって形成されていることを特徴とするベーンポンプ。 - 請求項3に記載したベーンポンプにおいて、
前記ロータの回転中心軸を天地方向と略直交する方向に向けて使用した時に、
前記吐出溝は、ロータ回転方向の端部を略地方向に向けて配置され、
前記吐出口は、前記吐出溝のロータ回転方向の端部から略地方向に向かって形成されていることを特徴とするベーンポンプ。 - 請求項3または4に記載したベーンポンプにおいて、
前記吐出口は、少なくとも一方の側面が前記ロータの回転接線方向に形成されていることを特徴とするベーンポンプ。 - 請求項1〜3に記載した何れかのベーンポンプにおいて、
前記吐出口は、前記ロータの回転中心軸を略天地方向に向けて使用した時に、
前記吐出溝のロータ回転方向の端部から略地方向に向かって形成された第1の吐出口と、前記ロータの回転中心軸を天地方向と略直交する方向に向けて使用した時に、前記吐出溝のロータ回転方向の端部から略地方向に向かって形成された第2の吐出口とで構成されていることを特徴とするベーンポンプ。 - 円形または楕円形状に開口するロータ室と、
このロータ室に連通する吸入口及び吐出口と、
前記ロータ室に回転可能に配置され、複数のベーン溝を有するロータと、
前記ベーン溝に往復動可能に収納され、前記ロータの回転時に自身の先端部が前記ロータ室の内周面に摺接するベーンとを備え、
前記ロータ室の内周面と前記ロータの外周面との間で前記ベーンによって区画され、且つその容積が前記ロータの回転に伴って変化するポンプ室を形成し、このポンプ室の容積が増大する時に前記吸入口より前記ポンプ室に作動流体を導入し、前記ポンプ室の容積が減少する時に前記吐出口より前記ポンプ室の作動流体を吐出するベーンポンプであって、 前記ポンプ室の容積が減少する領域に前記ポンプ室と連通して凹設された吐出溝を有し、この吐出溝のロータ回転方向の端部と反回転方向の端部との間に前記吐出口が連通して設けられ、
前記ベーンポンプが使用のため据え付けられた状態にある時に、前記吐出溝は、ロータ回転方向の端部から前記吐出口に向かって天地方向の略地方向に傾斜しており、
前記ロータの回転中心軸を略天地方向に向けて使用した時に、前記吐出溝の底面が、ロータ回転方向の端部から前記吐出口に向かって略地方向に傾斜していることを特徴とするベーンポンプ。
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