JP3743142B2 - 自動車天井材および自動車天井材用発泡積層シート - Google Patents
自動車天井材および自動車天井材用発泡積層シート Download PDFInfo
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Description
【発明の層する技術分野】
発明は、自動車天井材に関し、更に詳しくは、耐熱性、軽量性に優れた自動車天井材、およびそれを製造するための発泡積層シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車内装材として、熱可塑性樹脂発泡体を主体とする基材にウレタンフォームを積層したものや、スチレン−無水マレイン酸共重合体からなる発泡層の上下面にスチレン−無水マレイン酸共重合体の非発泡層を積層した積層シートを所望の形状に成形したものが広く用いられている。それらの自動車内装材は、軽量で断熱性が高く、成形加工性が優れているという特徴がある。
【0003】
しかしながら、上記のような従来の自動車内装材、特に自動車天井材は、高温に長時間さらされると、耐熱性が不十分であるため、フロント部が自重で垂れ下がったり(ヒートサグ)、変形を生じるなどの問題を発生することがあった。
【0004】
そこで、これらの問題を解決するために、無機質のガラス繊維とプラスチックの複合材料をベースとした自動車内装材が使用されている。しかし、この複合材料では、耐熱性という品質は維持できるものの、軽量化が図れない上に、ガラス繊維のリサイクル性が悪く、またコスト高になるといった問題がある。
【0005】
そこで、軽量で耐熱性のある変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(以下、「変性PPE系樹脂」と記す。)からなる発泡層の両面に、変性PPE系樹脂非発泡層を積層した発泡積層シートを用いた自動車天井材用発泡積層シートが提案されている(実開平4−11162号公報)。この変性PPE系樹脂を用いた自動車天井材用発泡積層シートは、耐熱性に優れ、軽量であるため、高温下での変形や自重による垂れ下がりを改善することができるとされている。
【0006】
一方、近年、自動車の耐熱性、軽量性、コストに対する要求は更に厳しくなっているため、この市場要求に対応する更なる改善が必要である。例えば、自動車天井材のフロント部、リヤ部は、太陽光があたり100℃前後まで温度が上がることがあり、変形が大きくなるという問題を有しており、上記のような単純な構成の変性PPE系樹脂を用いた自動車天井材用発泡積層シートでは、フロント部、リア部では耐熱性に問題が生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の如き実情に鑑み、優れた耐熱性、軽量性を有する自動車天井材および、自動車天井材用発泡積層シートを、安価で、且つ容易に製造可能とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記の如き実情に鑑み、優れた耐熱性、軽量性を有し、安価で、且つ容易に製造可能な自動車天井材を提供するために、変性PPE系樹脂発泡層に積層する非発泡層のゴム成分について鋭意検討を行った結果、車内側の非発泡層にゴム成分を混合しないことで、軽量で、従来にない耐熱性の高い、良好な寸法安定性、成形性、耐衝撃性、遮音性、断熱性、コスト競争力を有する変性PPE系樹脂の自動車天井材を製造できることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明に係る自動車天井材用発泡積層シートは、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)からなる発泡層の両面に熱可塑性樹脂からなる非発泡層を形成し、車内側の非発泡層の表面にホットメルト接着剤層を形成し、前記ホットメルト接着剤を介して表皮材を積層してなり、前記車内側の非発泡層が実質的にゴム成分を含まない変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(II)からなるとともに、車外側の非発泡層にゴム成分を含む、ことを特徴とする自動車用天井材用発泡積層シート(請求項1)、車外側の非発泡層が変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(III)またはポリスチレン系樹脂からなる請求項1記載の自動車天井材用発泡積層シート(請求項2)、発泡層の変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)中のフェニレンエーテル成分の含有量が35重量%〜75重量%、スチレン系成分の含有量が25重量%〜65重量%である請求項1又は2記載の自動車用天井材用発泡積層シート(請求項3)、である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の自動車天井材は、変性PPE系樹脂(I)からなる発泡層(1次発泡層)の片面または両面に非発泡層を形成してなる1次発泡積層シートを、その片面の実質的にゴム成分を含有しない変性PPE系樹脂(II)非発泡層を車内側として2次発泡させ、成形して得られた成形体である。
【0012】
図1で示すように、自動車天井材2は自動車の屋根1の内側に取り付けられる。更に、図2に示すように、本発明では、実質的にゴム成分を含まない変性PPE系樹脂(II)からなる非発泡層4を車内側(下側)に配置している。
【0013】
変性PPE系樹脂(I)からなる発泡層3は、自動車天井材の基体となる層であり、この層が変性PPE系樹脂から形成されているため、耐熱性および成形性が良好で、耐熱性良好な2次発泡積層シートが容易に成形可能となり、また、この層が発泡層であるため、軽量で、遮音性、断熱性に優れ、また密度が低いため使用樹脂量が少量で済みコスト競争力を有するものとなる。
【0014】
変性PPE系樹脂(I)発泡層を形成する変性PPE系樹脂としては、PPE系樹脂とPS系樹脂との混合樹脂、PPE系樹脂にスチレン系単量体(以下、「St系単量体」と記す。)を重合させたグラフト、ブロックなどの共重合体(以下、「PPE−St共重合体」と記す。)などが挙げられ、下記のような混合形態がある。
(イ)「PPE系樹脂」+「PS系樹脂」
(ロ)「PPE−St共重合体」
(ハ)「PPE−St共重合体」+「PS系樹脂」
(ニ)「PPE系樹脂」+「PPE−St共重合体」
(ホ)「PPE系樹脂」+「PPE−St共重合体」+「PS系樹脂」
これらのうちでは、PPE系樹脂とPS系樹脂との混合樹脂(イ)が、製造が容易であるなどの点から好ましい。
【0015】
発泡層を形成する変性PPE系樹脂(I)中のPhE成分の含有量としては、通常35重量%〜75重量%、好ましくは35重量%〜60重量%、スチレン系成分(以下、「St系成分」と記す。)の含有量が25重量%〜65重量%、好ましくは40重量%〜65重量%である。変性PPE系樹脂(I)中のPhE成分の割合が小さすぎると耐熱性が劣る傾向があり、PhE成分の割合が大きすぎると加熱流動時の粘度が上昇し、発泡成形が困難になる場合がある。
【0016】
前記PPE系樹脂としては、例えばポリ(2,6−ジメチルフェニレン一1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジエチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジエチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−n−プロピルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−n−ブチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−ブロムフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−エチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、ポリ(2,6−ジメチルフェニレン−1,4−エーテル)が、原料の汎用性、コストの点から好ましい。また、難燃性を付与したい場合は、ハロゲン系元素が含まれるポリ(2−メチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−ブロムフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−エチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)などが好ましい。
【0017】
PPE系樹脂と混合樹脂を形成するPS系樹脂は、スチレンまたはその誘導体、例えばα−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレンなどを主成分とする樹脂である。したがって、PS系樹脂は、スチレンまたはスチレン誘導体だけからなる単独重合体に限らず、他の単量体との共重合体であってもよい。また、例えばハイインパクトポリスチレン(以下、「HIPS」と記す。)のように、スチレンまたはスチレン誘導体を重合させる際に、合成ゴムまたはゴムラテックスを添加して重合させたものであってもよい。
【0018】
前記PPE系樹脂と混合樹脂を形成するPS系樹脂の製造に使用されうる、スチレンまたはその誘導体と共重合可能な他の単量体としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、無水マレイン酸、イタコン酸などが挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
前記PS系樹脂の具体例としては、ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレンの共重合体、HIPSで代表されるスチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。これらのうちでは、ポリスチレンがその汎用性、コストの面から好ましい。
【0020】
また、前記PPE系樹脂に重合、好ましくはグラフト重合させるSt系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。これらのうちではスチレンが、汎用性、コストの点から好ましい。
【0021】
前記PPE系樹脂にSt系単量体を重合させる際に、St系単量体が主成分(60重量%以上)になる範囲でSt系単量体と共重合可能な単量体、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、無水マレイン酸、イタコン酸などの1種または2種以上を含有させてもよい。
【0022】
前記PPE系樹脂にSt系単量体を重合させたグラフト共重合体は、従来周知の方法、例えば特公昭52−30991号公報、特公昭52−38596号公報などに開示されている、PPE系樹脂にラジカル開始剤およびSt系単量体を加え、無水の状態で、有機溶媒の存在下または不存在下130〜200℃の温度範囲で攪拌しながらSt系単量体を重合する方法により製造される。
【0023】
前記PPE樹脂に混合されるPS系樹脂、およびPPE系樹脂に重合させるSt系単量体の割合としては、PPE系樹脂35重量%〜75重量%、更には35重量%〜60重量%、特には38重量%〜58重量%に対して、PS系樹脂またはSt系単量体が25重量%〜65重量%、更には40重量%〜65重量%、特には42重量%〜62%が好ましい。PPE系樹脂の混合割合が小さいと耐熱性が劣る傾向にあり、PPE系樹脂の混合割合が大きいと加熱流動時の粘度が上昇し発泡成形が困難になる場合がある。
【0024】
前記の如き変性PPE系樹脂(I)を基材樹脂とする変性PPE系樹脂発泡層の1次発泡層としては、厚みが1〜5mm、更には1.5〜3.5mm、発泡倍率が3〜20倍、更には5〜15倍、セル径が0.05〜0.9mm、更には0.1〜0.7mm、独立気泡率が70%以上、更には80%以上であるのが好ましい。また、1次発泡層中の残存揮発成分の量は発泡層全重量に対して1〜5重量%、更には2〜4重量%が好ましい。なお、残存揮発成分の量は、ガスクロマトグラフィーにより測定しても良いが、通常、発泡層サンプルを変性PPE系樹脂が軟化しはじめる温度以上で分解温度以下に加熱して揮発成分を充分揮発させて、加熱前後の重量差により測定する。
【0025】
前記1次発泡層の厚さが1mm未満の場合、強度および断熱性に劣り自動車天井材用発泡積層シートとして適当でない場合がある。一方、5mmを越えると成形加熱時に熱が発泡層の厚み方向の中心部まで伝わり難く、そのため充分な加熱が行なえず、成形性が悪くなることがある。また、充分な加熱を行うべく加熱時間を長くすると、発泡層表面のセルの破泡などが生じ、製品として許容できるものが得られ難くなることがある。また、1次発泡倍率が3倍未満の場合、柔軟性に劣り、曲げなどによる破損が生じ易く、また軽量化の効果が少ない。20倍を越えると強度が低下し、中心部まで加熱し難いことにより成形性が低下する傾向がある。更に、セル径が0.05mm未満の場合は充分な強度が得られ難く、0.9mmを越えると断熱性に劣る傾向がある。また、独立気泡率が70%未満では断熱性、剛性に劣るとともに成形加熱によっても目的とする2次発泡倍率が難くなり、成形性に劣る傾向がある。残存揮発成分が1重量%を下回ると2次発泡倍率が低くなり過ぎ、良好に成形できない場合があり、5重量%を越えると非発泡層との間に空気だまりが発生したり、経時による寸法安定性が悪くなることがある。
【0026】
本発明において使用される変性PPE系樹脂(I)からなる発泡層の基材樹脂には、必要に応じて気泡調整剤、耐衝撃性改良剤、滑剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、安定剤、臭気低減剤などを添加してもよい。
【0027】
次に、車内側に使用される変性PPE系樹脂(II)には実質的にゴム成分が含まれないことが必要である。ゴム成分が含まれた場合、弾性率が小さくなり、加熱収縮率が大きくなるため天井材の耐熱性が悪くなる。また、車内側にはホットメルト接着剤を介して表皮材が積層されるため、ゴム成分を含まなくともトリミング時の割れなどの問題はない。ここで実質的にゴム成分が含まれないとは、上記効果を満たす範囲でゴム成分が含まれる場合を含む。例えば、ゴム成分が3重量%以内の場合である。
【0028】
PPE系樹脂(II)の具体例、好ましいもの、St系単量体の具体例は発泡層のPPE系樹脂(I)と同じである。ただ、非発泡層のPPE系樹脂(II)の場合には、PS系樹脂としてゴム成分を含むHIPSは除かれる。
【0029】
前記PPE系樹脂(II)に混合されるPS系樹脂、およびPPE系樹脂に重合させるSt系単量体の割合としては、PPE系樹脂15重量%〜75重量%、更には25重量%〜60重量%に対して、PS系樹脂またはSt系単量体が25重量%〜85重量%、更には40重量%〜75重量%が好ましい。PPE系樹脂の混合割合が小さいと耐熱性が劣る傾向にあり、PPE系樹脂の混合割合が大きいと加熱流動時の粘度が上昇し押出成形が困難になる場合がある。
【0030】
前記車内側の変性PPE系樹脂(II)非発泡層を形成する場合、必要に応じて、充填剤、滑剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、安定剤、臭気低減剤などを単独または2種以上を組み合わせて添加してもよい。
【0031】
前記充填剤は、強度、剛性、寸法安定性などを向上するために使用される成分であり、使用される充填剤には特に制限はない。充填剤の具体例としては、ガラス繊維、カーボン系繊維、タルク(ケイ酸マグネシウム)、炭酸カルシウム(重質、軽質、膠質など)、マイカ、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、シリカ、クレー、カオリン、ホワイトカーボン、水酸化マグネシウム、カーボンブラック、ゼオライト、モリブデンなどが挙げられる。これらの中では、特にガラス繊維、タルク、炭酸カルシウム、マイカが好ましい。
【0032】
前記充填剤の添加量は、変性PPE樹脂(II)100部(重量部、以下同様)に対して1〜50部、好ましくは5〜40部である。この添加量が1部未満の場合は充填剤(無機物)を添加した明確な効果が得られず、50部を越えて添加すると樹脂組成物の粘度が増加し、押出機に大きな負荷がかかるため好ましくない。
【0033】
前記の如き発泡層に熱可塑性樹脂の非発泡層(変性PPE系樹脂(II)の反対側の層) が形成されるのが好ましい。この場合の熱可塑性樹脂の具体例としてPS系樹脂、変性PPE系樹脂(III) 、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリエチレテレフタレート(PET)系樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド(ナイロン)系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、塩化ビニル系樹脂が挙げられ、これらは単独または2種以上組み合わせて用いられるが、変性PPE系樹脂(I)発泡層との接着性からPS系樹脂、変性PPE系樹脂(III) が好ましい。
【0034】
また、車外側の非発泡層に使用される熱可塑性樹脂としては、PS系樹脂が好適である。PS系樹脂は、スチレンまたはその誘導体、例えばα−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレンなどを主成分(60重量%以上、好ましくは70重量%以上)とする樹脂である。したがって、PS系樹脂は、スチレンまたはスチレン誘導体だけからなる単独重合体に限らず、他の単量体との共重合体であってもよい。また、例えばHIPSのように、スチレンまたはスチレン誘導体を重合させる際に、合成ゴムまたはゴムラテックスを添加して重合させたものであってもよい。前記PS系樹脂の製造に使用されうる、スチレンまたはその誘導体と共重合可能な他の単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合せて用いてもよい。前記PS系樹脂の具体例としては、ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレンの共重合体、HIPSで代表されるスチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。このうちでは、ポリスチレン、HIPSがその汎用性、コストの面から好ましい。耐熱のより高いPS系樹脂としては、スチレンとカルボキシル基含有モノマーとの共重合体が挙げられ、例えばスチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−イタコン酸共重合体がある。
【0035】
前記PS系樹脂は単独で用いても良く、2種類以上を組み合わせても良い。また、他の熱可塑性樹脂とブレンドしても良い。
【0036】
また、車外側の非発泡層に変性PPE系樹脂(III) を使用するのも好ましい。この変性PPE系樹脂(III) の具体例、好ましいもの、PS系樹脂の具体例、好ましいものSt系単量体の具体例は発泡層の変性PPE系樹脂(I)と同じである。
【0037】
前記変性PPE樹脂(III) に混合されるPS系樹脂、およびPPE系樹脂に重合させるSt系単量体の割合としては、PPE系樹脂が0重量%〜75重量%、更には0重量%〜40重量%に対して、PS系樹脂またはSt系単量体が25重量%〜100重量%、更には90重量%〜60重量%が好ましい。PPE系樹脂の混合割合が大きいと加熱流動時の粘度が上昇し押出成形が困難になる場合がある。
【0038】
前記車外側非発泡層を形成する場合、必要に応じて、耐衝撃性改良剤、充填剤、滑剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、安定剤、臭気低減剤などを単独または、2種以上を組み合わせて添加してもよい。
【0039】
前記耐衝撃性改良剤としては、基材樹脂に混合することによってその効果を発揮するものや、基材樹脂に重合させることによってその効果を発揮するものであれば特に限定なく使用しうる。例えばHIPSなどは、非発泡層として単独で、またはポリスチレン系樹脂に混合して使用される。
【0040】
耐衝撃性改良剤の例としては、天然ゴム、合成ゴムのようなゴムや、ゴム粒子のまわりにスチレン、メチルメタクリレートなどのオレフィン二重結合をもつ単量体をグラフト重合させたものなどが好適に使用される。ゴムの具体例としては、例えばスチレン−ブタジエンゴム、水添スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン−アクリルゴムなどがある。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせてもよい。これらのうちでは、PS系樹脂、耐熱PS系樹脂、変性PPE樹脂との相溶性の高さ、汎用性などからスチレン−ブタジエンゴム、水添スチレンブタジエンゴムが好ましい。
【0041】
また、非発泡層に使用する変性PPE系樹脂(II)、変性PPE系樹脂(III) およびPS系樹脂と、発泡層に使用する変性PPE系樹脂(I)とは接着性が高くこの点でも良好である。
【0042】
本発明に係る発泡積層シートにおいて、非発泡層は発泡層の片面または両面に積層できる。非発泡層の厚みは50〜300μm、更には75〜200μmが好ましい。該非発泡層の厚さが50μmより薄いと強度、剛性、耐熱性などが劣り、300μmより厚いと積層シートの成形性が劣る傾向にある。発泡層の両面に非発泡層を設けると、剛性、耐熱性、寸法安定性に優れるが、この場合には、非発泡層の厚さを50〜200μmにするのが好ましい。一方、発泡層の片面にのみに非発泡層を設けると、積層体として軽量化が図れるうえ、材料費が節減でき、また製造工程が簡略化されコスト上のメリットがある。片面のみに非発泡層を設ける場合の厚さは75〜300μmにするのが好ましい。
【0043】
前記の如き1次発泡シートを加熱して2次発泡させ成形する際には、1次発泡シート(発泡倍率:3〜20倍、好ましくは5〜15倍、厚さ:1〜5mm、好ましくは1.5〜3.5mm)に対して、通常1.2〜4倍に2次発泡させるが、更には1.5〜3倍に2次発泡させるのが好ましい(この結果、2次発泡後のシート倍率は、3.6〜80倍、好ましくは7.5〜45倍、特に好ましくは10〜40倍、厚さは、1.2〜20.0mm、好ましくは2.25〜10.5mm、特に好ましくは3.0〜7.0mmとなる)。
【0044】
前記表皮材の具体例としては、従来の自動車内装材として用いられるものが使用できる。例えば、織布や不織布を配するが、これらには、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリアクリロニトリル、モダアクリル(例えば鐘淵化学工業株式会社製「カネカロン(登録商標)」)などの合成樹脂や、羊毛、木綿などの天然素材のものや、それらを適宜組み合わせたものが使われる。このような表皮材に、必要に応じて、更にウレタンフォームや、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンフォームからなる発泡層を単層または複層で積層したものが使用できる。
【0045】
次に、本発明の自動車天井材の製造法について説明する。
【0046】
本発明において使用される変性PPE系樹脂(I)からなる発泡層(1次発泡層)は、PPE系樹脂とPS系樹脂との混合樹脂またはPPE系樹脂にSt系単量体をグラフト共重合させた共重合体などに、要すれば各種の添加剤を加えたものを押出機により150℃〜400℃で溶融・混練し、ついで150〜400℃、3〜50MPaの高温高圧下で樹脂100部に対して発泡剤1〜15部を圧入し発泡最適温度(150〜300℃)に調節して、サーキュラーダイなどを使って低圧帯(通常大気中)に押し出したのち、マンドレルなどに接触させて、例えば0.5〜40m/分の速度で引き取りながらシート状に成形し、カット後、巻き取るなどの方法により製造することができる。
【0047】
前記変性PPE系樹脂(I)発泡層を製造する際に使用される発泡剤としては、ブタン、プロパン、ペンタン、塩化メチル、ジクロロメタン、クロロフロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロジフロロエタンなどの炭化水素系発泡剤、ハロゲン化炭化水素系発泡剤などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上組み合わせて使用しても良い。なかでも炭化水素系発泡剤が汎用性、コストの面から好ましい。
【0048】
前記1次発泡層に熱可塑性樹脂非発泡層を積層する方法としては、予めフィルム状に成形した樹脂を、発泡成形され供給される1次発泡層の上面および(または)下面に熱ロールなどにより接着する方法、多層押出金型を用いて行う共押出積層方法などが挙げられるが、予め発泡成形して供給される1次発泡層の上面および(または)下面に押出機から供給した非発泡層用樹脂組成物を層状に積層し、可塑状態にある非発泡層を冷却ローラーなどによって固着する方法が好ましい。なかでも、1次発泡層の押出発泡シート成形と非発泡層の押出をインラインで行って積層する方法が製造工程が簡略化できる点で好ましい。
【0049】
得られた1次発泡積層シートから自動車天井材を成形する方法としては、上下にヒーターを持つ加熱炉の中央に1次発泡積層シートをクランプして導き、成形に適した温度、例えば120〜200℃に加熱して2次発泡させたのち、温度調節した金型にて真空成形、圧空成形する。真空成形、圧空成形の例としてプラグ成形、フリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースドロー成形などの方法が挙げられる。このうち、プラグ成形、マッチド・モールド成形など、自動車内側(凸)金型、自動車外側(凹)金型の両方の金型からなり、それぞれの温調が可能な金型を使用するのが望ましい。
【0050】
前記成形においては、加熱によって発泡積層シートの表面にケロイド状態が発生する前の状態で成形するのが好ましい。本発明者の研究によれば、成形加熱時に表面にケロイド状態が発生した状態で成形を行うと、独立気泡率が低くなり、成形体の剛性が低下することが分かっている。ケロイド状態は発泡層の破泡により生ずるものであり、そのため独立気泡率の低下が生じるためである。
【0051】
また、1次発泡積層シートを、所定のクリアランスを有する金型で成形するに際しては、2次発泡積層シートの厚さTが2次発泡時の発泡積層シートのフリーの厚さtに対して0.5t≦Tを満足するように2次発泡させ、成形するのが望ましい。なお、前記2次発泡時の発泡積層シートのフリーの厚さtとは、金型を用いて成形する場合と同じ条件で加熱して、金型による成形を行わないで、冷却したときの発泡積層シートの厚さを言う。
【0052】
更に、自動車天井材が表皮を有する場合の製造法としては、予め表皮材に接着剤をつけてあるものを1次発泡積層シートに熱ロールなどを用いて接着する方法、接着剤を1次発泡積層シートにバインダーラミネーシヨン法により積層したり、予めフィルム状に成形された接着剤を熱ラミネーシヨン法などにより積層した発泡積層シートに表皮材を熱ロールなどを用いて接着する方法、1次発泡積層シートに表皮材を仮止めし、加熱成型時に成形と接着を同時に行う方法、接着剤を1次発泡積層シートに積層する際に表皮材を同時に接着する方法などが挙げられる。
【0053】
前記接着剤としては、熱可塑性接着剤、ホットメルト接着剤、ゴム系接着剤、熱硬化性接着剤、モノマー反応型接着剤、無機系接着剤、天然物接着剤などが挙げられるが、接着が容易な点でホットメルト接着剤が好適である。
【0054】
前記ホットメルト接着剤としては、ポリオレフィン系、変性ポリオレフィン系、ポリウレタン系、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系、ポリアミド系、ポリエステル系、熱可塑性ゴム系、スチレンーブタンジエン共重合体系、スチレン−イソプレン共重合体系などの樹脂を成分とするものが挙げられる。
【0055】
前記の如く本発明の自動車天井材は、従来のように変性PPE系樹脂からなる発泡層の両面に非発泡層を配置するだけでなく、車内側の非発泡層に実質的にゴム成分を含まない変性PPE系樹脂を使用することにより、太陽光のあたるフロント部およびリヤ部での熱変形を抑えることができ、耐熱性が良く、軽量な自動車天井材を得ることができる。そして車外側の非発泡層にゴム成分を含むことにより、トリミング時の割れがない自動車天井材を得ることができる。
【0056】
【実施例】
以下に本発明の実施例について説明する。なお、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。
【0057】
実施例、比較例に用いた樹脂を表1に、また、ホットメルトフィルム、表皮材を表2に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
実施例および比較例で行った評価方法を以下に示す。
〔発泡層および成形体の厚さ〕
1次発泡シートまたは成形体の幅方向に20カ所の厚さを測定し、その測定値の平均値を算出した。
〔発泡倍率〕
1次発泡シートの密度dfをJISK7222に準じて測定し、変性PPE系樹脂の密度dpをJISK7112に準じて測定し、次式より求めた。
発泡倍率=dp/df
〔独立気泡率〕
ASTMD−2859に準じて評価して求めた(マルチピクノメーター(ベックマン社製)を使用)。
〔セル径〕
発泡層の断面を光学顕微鏡で観察し、20個のセル径を測定し、その測定値の平均値を算出した。
〔目付〕
1次発泡シートの押し出し方向に5カ所より、10cm×10cmの大きさの試験片を切り出し、それらの重量を測定したのち、平均値を算出した。
【0061】
〔実装耐熱性試験〕
図3に示す自動車天井材2(幅930mm×長さ1425mm)を自動車天井部(カットボディ)に装着し(片面のみ非発泡層をつけたものについては非発泡窟を車内側とした)、サンバイザー、ルームミラー、ルームランプ、ガニッシュ、ピラーを介して実車と同等となるように固定した。なお、図中、9はアシストグリップ取付穴、10はサンバイサー取付穴、11はルームミラー取付穴、12はサンバイサー留め取付穴、13は室内灯取付穴である。また、フロント部分に測定点を6点、成形体の中心線と対称に120mm間隔で刻印した(図3中a〜f)。フロント部の測定点付近に標線を設け、垂直方向の距離を測定した。次に100±1℃に設定した恒温室に、天井材2を取り付けた自動車天井部を24時間投入した後、フロント部に刻印された測定点の垂直方向の寸法変化量を測定し、a〜fの最小値を記録した。なお、垂直反り上がり方向をプラス(+)、垂直垂れ下がり方向をマイナス(−)として測定した。
【0062】
(実施例1)
PPE樹脂成分40重量%、PS樹脂成分60重量%となるようにPPE樹脂(A)72.7部とPS樹脂(B)27.3部とを混合した混合樹脂100部に対してiso−ブタンを主成分とする発泡剤(iso−ブタン/n−ブタン=85/15)2.7部およびタルク0.3部を押出機により混練し、樹脂温度201℃まで冷却し、サーキュラーダイスにより押出し、8m/分の速さの引き取りロールを介して巻取りロールにロール状に巻き取り、1次厚み1.6mm、1次発泡倍率9倍、独立気泡率90%、セル径0.15mm、目付け180g/m2 の発泡シートを得た。次に、この発泡シートを繰り出し、PPE樹脂成分30重量%、PS樹脂成分70重量%となるようにPPE樹脂(A)54.5部、PS樹脂(B)45.5部を溶融・混練し、Tダイを用いて樹脂温度280℃で押出し、発泡層の片面に厚み120μmの非発泡層を形成した。次いで、前記と同様にして他の面にPPE樹脂成分30重量%、PS樹脂成分64重量%、ゴム成分6重量%となるようにPPE樹脂(A)54.5部、PS樹脂(B)35.5部、耐衝撃改良剤(C)10部を溶融・混練し、Tダイを用いて樹脂温度280℃で押出し、厚み120μmの非発泡層を形成し、両面に非発泡層を有する発泡積層シートを得た。更に、この発泡積層シートを繰り出し、同時にゴム成分を含有しない非発泡層面にホットメルトフィルム(D)を繰り出し、120℃に温調された熱ロールを介して10m/分の速さで巻取り、ホットメルト接着剤を積層した発泡積層シートを得た。この発泡積層シートのホットメルト接着剤面に表皮材(E)を仮止めし、四方をクランプしてオーブンに入れ、発泡積層シート表面温度が135℃となるように30秒加熱した後、20℃に温調した金型にて金型クリアランス4.0mmでプラグ成形を行い、トリミング、パンチング加工を施し、良好な自動車天井材を得た。得られた天井材について耐熱性を評価した。
【0063】
(実施例2)
実施例1と同様にして得られた発泡シートを繰り出し、PPE樹脂成分40重量%、PS樹脂成分60重量%となるようにPPE樹脂(A)72.7部、PS樹脂(B)27.3部を溶融・混練し、Tダイを用いて樹脂温度280℃で押出し、発泡層の片面に厚み120μmの非発泡層を形成した。次いで、前記と同様にして他の面にPPE樹脂成分40重量%、PS樹脂成分54重量%、ゴム成分6重量%となるようにPPE樹脂(A)72.7部、PS樹脂(B)17.3部、耐衝撃改良剤(C)10部を溶融・混練し、Tダイを用いて樹脂温度280℃で押出し、厚み120μmの非発泡層を形成し、両面に非発泡層を有する発泡積層シートを得た。更に、この発泡積層シートを繰り出し、同時にゴム成分を含有しない非発泡層面にホットメルトフィルム(D)を繰り出し、120℃に温調された熱ロールを介して10m/分の速さで巻き取りホットメルト接着剤を積層した発泡積層シートを得た。この発泡積層シートのホットメルト接着剤面に表皮材(E)を仮止めし、四方をクランプしてオーブンに入れ、発泡積層シート表面温度が135℃となるように30秒加熱した後、20℃に温調した金型にて金型クリアランス4.0mmでプラグ成形を行い、トリミング、パンチング加工を施し、良好な自動車天井材を得た。得られた天井材について耐熱性を評価した。
【0064】
(実施例3)
実施例1と同様にして得られた発泡シートを繰り出し、PPE樹脂成分30重量%、PS樹脂成分70重量%となるようにPPE樹脂(A)54.5部、PS樹脂(B)45.5部を溶融・混練し、Tダイを用いて樹脂温度280℃で押出し、発泡層の片面に厚み120μmの非発泡層を形成した。次いで、前記と同様にして他の面にPS樹脂成分94重量%、ゴム成分6重量%となるようにPS樹脂(B)90部、耐衝撃改良剤(C)10部を溶融・混練し、Tダイを用いて樹脂温度280℃で押出し、厚み120μmの非発泡層を形成し、両面に非発泡層を有する発泡積層シートを得た。更に、この発泡積層シートを繰り出し、同時にゴム成分を含有しない非発泡層面にホットメルトフィルム(D)を繰り出し、120℃に温調された熱ロールを介して10m/分の速さで巻き取り、ホットメルト接着剤を積層した発泡積層シートを得た。この発泡積層シートのホットメルト接着剤面に表皮材(E)を仮止めし、四方をクランプしてオーブンに入れ、発泡積層シート表面温度が135℃となるように30秒加熱した後、20℃に温調した金型にて金型クリアランス4.0mmでプラグ成形を行い、トリミング、パンチング加工を施し、良好な自動車天井材を得た。得られた天井材について耐熱性を評価した。
【0065】
(実施例4)
実施例1と同様にして得られた発泡シートを繰り出し、PPE樹脂成分30重量%、PS樹脂成分70重量%となるようにPPE樹脂(A)54.5部、PS樹脂(B)45.5部を溶融・混練し、Tダイを用いて樹脂温度280℃で押出し、発泡層の片面に厚み120μmの非発泡層を形成し、片面のみに非発泡層を有する発泡積層シートを得た。更に、この発泡積層シートを繰り出し、同時に非発泡層面にホットメルトフィルム(D)を繰り出し、120℃に温調された熱ロールを介して10m/分の速さで巻き取り、ホットメルト接着剤を積層した発泡積層シートを得た。この発泡積層シートのホットメルト接着剤面に表皮材(E)を仮止めし、四方をクランプしてオーブンに入れ、発泡積層シート表面温度が135℃となるように30秒加熱した後、20℃に温調した金型にて金型クリアランス3.9mmでプラグ成形を行い、トリミング、パンチング加工を施し、良好な自動車天井材を得た。得られた天井材について耐熱性を評価した。
【0066】
(実施例5)
PPE樹脂成分55重量%であるPPE樹脂(A)100部に対してiso−ブタンを主成分とする発泡剤(iso−ブタン/n−ブタン=85/15)2.7部およびタルク0.3部を押出機により混練し、樹脂温度215℃まで冷却し、サーキュラーダイスにより押出し、8m/分の速さの引き取りロールを介して巻取りロールにロール状に巻き取り、1次厚み1.6mm、1次発泡倍率9倍、独立気泡率90%、セル径0.15mm、目付け180g/m2 の発泡シートを得た。次に、この発泡シートを繰り出し、PPE樹脂成分40重量%、PS樹脂成分60重量%となるようにPPE樹脂(A)72.7部、PS樹脂(B)27.3部を溶融・混練し、Tダイを用いて樹脂温度280℃で押出し、発泡層の片面に厚み120μmの非発泡層を形成した。次いで、前記と同様にして他の面にPPE樹脂成分40重量%、PS樹脂成分54重量%、ゴム成分6重量%となるようにPPE樹脂(A)72.7部、PS樹脂(B)17.3部、耐衝撃性改良剤(C)10部を溶融・混練し、Tダイを用いて樹脂温度280℃で押出し、厚み120μmの非発泡層を積層し、両面に非発泡層を有する発泡積層シートを得た。更に、この発泡積層シートを繰り出し、同時にゴム成分を含有しない非発泡層面にホットメルトフィルム(D)を繰り出し、120℃に温調された熱ロールを介して10m/分の速さで巻取り、ホットメルト接着剤を積層した発泡積層シートを得た。この発泡積層シートのホットメルト接着剤面に表皮材(E)を仮止めし、四方をクランブしてオーブンに入れ、発泡積層シート表面温度が135℃となるように30秒加熱した後、20℃に温調した金型にて金型クリアランス4.0mmでプラグ成形を行い、トリミング、パンチング加工を施し、良好な自動車天井材を得た。得られた天井材について耐熱性を評価した。
【0067】
(比較例1)
実施例1と同様にして得られた発泡シートを繰り出し、PPE樹脂成分30重量%、PS樹脂成分64重量%、ゴム成分6重量%となるようにPPE樹脂(A)54.5部、PS樹脂(B)35.5部、耐衝撃性改良剤10部を溶融・混練し、Tダイを用いて樹脂温度280℃で押出し、発泡層の片面に厚み120μmの非発泡層を形成した。次いで他の面にPPE樹脂成分30重量%、PS樹脂成分70重量%となるようにPPE樹脂(A)54.5部、PS樹脂(B)45.5部を溶融・混練し、Tダイを用いて樹脂温度280℃で押出し、厚み120μmの非発泡層を形成し、両面に非発泡層を有する発泡積層シートを得た。更に、この発泡積層シートを繰り出し、同時にゴム成分を含有する非発泡層面にホットメルトフィルム(D)を繰り出し、120℃に温調された熱ロールを介して10m/分の速さで巻取り、ホットメルト接着剤を積層した発泡積層シートを得た。この発泡積層シートのホットメルト接着剤面に表皮材(E)を仮止めし、四方をクランプしてオーブンに入れ、発泡積層シート表面温度が135℃となるように30秒加熱した後、20℃に温調した金型にて金型クリアランス4.0mmでプラグ成形を行い、トリミング、パンチング加工を施したところ、部分的に成形体に割れが生じた。得られた天井材について耐熱性を評価した。
【0068】
(比較例2)
実施例1と同様にして得られた発泡シートを繰り出し、PPE樹脂成分30重量%、PS樹脂成分64重量%、ゴム成分6重量%となるようにPPE樹脂(A)54.5部、PS樹脂(B)35.5部、耐衝撃性改良剤10部を溶融・混練し、Tダイを用いて樹脂温度280℃で押出し、発泡層の片面に厚み120μmの非発泡層を積層した。次いで他の面にPPE樹脂成分30重量%、PS樹脂成分64重量%、ゴム成分6重量%となるようにPPE樹脂(A)54.5部、PS樹脂(B)35.5部、耐衝撃性改良剤10部を溶融・混練し、Tダイを用いて樹脂温度280℃で押出し、厚み120μmの非発泡層を形成し、両面に非発泡層を有する発泡積層シートを得た。更に、この発泡積層シートを繰り出し、同時にゴム成分を含有する非発泡層面にホットメルトフィルム(D)を繰り出し、120℃に温調された熱ロールを介して10m/分の速さで巻取り、ホットメルト接着剤を積層した発泡積層シートを得た。この発泡積層シートのホットのメルト接着剤面に表皮材(E)を仮止めし、四方をクランプしてオーブンに入れ、発泡積層シート表面温度が135℃となるように30秒加熱した後、20℃に温調した金型にて金型クリアランス4.0mmでプラグ成形を行い、トリミング、パンチング加工を施し、良好な自動車天井材を得た。得られた天井材について耐熱性を評価した。
【0069】
以上の実施例、比較例の天井材についての耐熱性試験結果を表3に示す。
【0070】
【表3】
【0071】
表3に示したとおり、車内側の非発泡層にゴム成分を含まない実施例1〜5の天井材は、車内側の非発泡層にゴム成分を含む比較例の天井材に比べて耐熱変形量が小さく、しかもトリミングによる割れなどがなく、自動車天井材として良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自動車天井材を自動車に装着した状態を示す一部切欠説明図である。
【図2】 本発明に係る自動車天井材を自動車屋根に取り付けた状態を示す自動車フロントガラス上部付近の断面説明図である。
【図3】 本発明の実施例および比較例において成形された自動車天井材の平面説明図である。
【符号の説明】
1 自動車屋根、
2 自動車天井材、
3 変性PPE系樹脂(I)発泡層、
4 変性PPE系樹脂(II)非発泡層、
5 ホットメルト接着剤層、
6 表皮材、
7 熱可塑性樹脂非発泡層、
8 フロントガラス、
9 アシストグリップ取付穴、
10 サンバイサー取付穴、
11 ルームミラー取付穴、
12 サンバイサー留め取付穴、
13 室内灯取付穴。
Claims (3)
- 変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)からなる発泡層の両面に熱可塑性樹脂からなる非発泡層を形成し、
車内側の非発泡層の表面にホットメルト接着剤層を形成し、前記ホットメルト接着剤を介して表皮材を積層してなり、前記車内側の非発泡層が実質的にゴム成分を含まない変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(II)からなるとともに、
車外側の非発泡層にゴム成分を含む、
ことを特徴とする自動車用天井材用発泡積層シート。 - 車外側の非発泡層が変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(III)またはポリスチレン系樹脂からなる請求項1記載の自動車天井材用発泡積層シート。
- 発泡層の変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)中のフェニレンエーテル成分の含有量が35重量%〜75重量%、スチレン系成分の含有量が25重量%〜65重量%である請求項1又は2記載の自動車用天井材用発泡積層シート。
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