JP3747597B2 - 自動車内装材および自動車内装材用発泡積層シート - Google Patents

自動車内装材および自動車内装材用発泡積層シート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車内装材、特に自動車天井材に関し、更に詳しくは、耐熱性、軽量性に優れた自動車内装材、特に自動車天井材、およびその製造に用いられる発泡積層シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車内装材として、熱可塑性樹脂発泡体を主体とする基材にウレタンフォームを積層したものや、スチレン−無水マレイン酸共重合体からなる発泡層の上下面にスチレン−無水マレイン酸共重合体の非発泡層を積層した積層シートを所望の形状に成形したものが広く用いられている。それらの自動車内装材は、軽量で断熱性が高く、成形加工性が優れているという特徴がある。
【0003】
しかし、従来の自動車内装材、特に自動車天井材は、高温に長時間さらされると、耐熱性が不十分であるため、フロント部が自重で垂れ下がったり(ヒートサグ)、変形を生じるなどの問題を発生することがあった。
【0004】
そこで、これらの問題を解決するために、無機質のガラス繊維とプラスチックの複合材料をベースとした自動車内装材も使用されている。しかし、この複合材料では、耐熱性という品質は維持できるが、軽量化が図れない上に、ガラス繊維のためにリサイクル性が悪く、またコスト高になるといった問題がある。
【0005】
そこで、軽重で耐熱性のある変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(以下、「変性PPE系樹脂」と記す。)発泡層の両面に、変性PPE系樹脂非発泡層を積層した発泡積層シートを用いた自動車天井材用発泡積層シートが提案されている(実開平4−11162号公報)。この変性PPE系樹脂を用いた自動車天井材用発泡積層シートは、耐熱性に優れ、且つ軽量であるため、高温下での変形や自重による垂れ下がりを改善することができるとされている。
【0006】
一方、近年自動車の耐熱性、軽量性、コストに対する要求は更に厳しくなっているため、この市場要求に対応する更なる改善が必要である。例えば、自動車天井材の場合、フロント部は太陽光が当たるため100℃前後まで温度が上がるため変形量が大きくなるという問題が発生している。一方、上記変性PPE系樹脂発泡積層シートは、好適な条件下で2次成形が行われないと、成形体に残留応力が発生し、高温(例えば80℃以上)の雰囲気中に長時間さらされたときに穏やかに残留応力が緩和され、その結果、屈曲形状を有する部分や2次成形時の延伸率が大きい部分(例えばフロント部)が変形し、使用に耐えなくなるという問題を含んでいる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の如き実情に鑑み、優れた断熱性、耐熱性、軽量性を有する自動車内装材用発泡積層シートおよび自動車内装材、特には自動車天井材として好適な成形体を、安価に、且つ容易に製造する方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記の如き実状に鑑み、優れた耐熱性、軽量性を有し、しかも安価で、且つ容易に製造可能な自動車内装材を提供するために、変性PPE系樹脂を使用した自動車内装材の非発泡層構成とその配置と耐熱性との関係について鋭意検討を行った結果、優れた耐熱性、軽量性を有する自動車内装材を得た。それは、耐熱性の高い変性PPE系樹脂を発泡層に用いて発泡シートの耐熱性を確保する一方、発泡層両面に設けられる2つの非発泡層のうちの車外側の非発泡層を発泡層より耐熱性の低い樹脂を用いて形成するのである。これにより、成形時の非発泡層の車外側、車内側の残留歪みのバランスをとり、軽量で、従来にない耐熱性の高い、良好な寸法安定性、成形性、耐衝撃性、遮音性、断熱性、コスト競争力を有する変性PPE系樹脂の自動車天井材を製造できることが分かった。更に、車内側の非発泡層にゴム成分を含まない樹脂を使用して該車内側非発泡層の耐熱剛性を上げれば、耐熱性がより向上することが分かり、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明に係る自動車内装材は、変性PPE系樹脂(I)からなる発泡層の片面に変性PPE系樹脂(II)からなる非発泡層を、他方の面に耐衝撃性改良剤を含有したポリスチレン系樹脂(以下、「PS系樹脂」と記す。)(III)からなる非発泡層を形成してなる発泡積層シートからなり、変性PPE系樹脂(II)からなる非発泡層が車内側に位置することを特徴とする自動車内装材(請求項1)、変性PPE系樹脂(II)からなる非発泡層がゴム成分を含まない請求項1記載の自動車内装材(請求項2)、発泡層の変性PPE系樹脂(I)中のフェニレンエーテル成分(以下、「PhE成分」と記す。)の含有量が35重量%〜75重量%、スチレン系成分(以下、「St系成分」と記す。)の含有量が25重量%以上65重量%未満である請求項1または2記載の自動車内装材(請求項3)、PS系樹脂(III)がハイインパクトポリスチレン(以下、「HIPS」と記す。)である請求項1、2、または3記載の自動車内装材(請求項4)、発泡積層シートの1次発泡層が、厚みが1〜5mm、発泡倍率が3〜20倍、セル径が0.05〜0.9mm、独立気泡率が70%以上の変性PPE系樹脂発泡シートである請求項1〜のいずれかに記載の自動車内装材用(請求項)、非発泡層の厚みが50〜300μmである請求項1〜のいずれかに記載の自動車内装材(請求項)、である。
【0010】
また、本発明に係る自動車内装材用発泡積層シートは、変性PPE系樹脂(I)からなる発泡層の片面に変性PPE系樹脂(II)からなる非発泡層を、他方の片面にPS系樹脂(III)からなる非発泡層を形成してなり、変性PPE系樹脂(II)からなる非発泡層の表面にホットメルト接着剤からなる層を形成してなることを特徴とする自動車内装材用発泡積層シート(請求項)、変性PPE系樹脂(II)からなる非発泡層がゴム成分を含まない請求項記載の自動車内装材用発泡積層シート(請求項)、発泡層の変性PPE系樹脂(I)中のPhE成分の含有量が35重量%〜75重量%、St系成分の含有量が25重量%〜65重量%である請求項7または8記載の自動車内装材用発泡積層シート(請求項)、PS系樹脂(III)がHIPSである請求項7、8、または9記載の自動車内装材用発泡積層シート(請求項10、1次発泡層が、厚みが1〜5mm、発泡倍率が3〜20倍、セル径が0.05〜0.9mm、独立気泡率が70%以上の変性PPE系樹脂発泡シートである請求項7〜10のいずれかに記載の自動車内装材用発泡積層シート(請求項11)、非発泡層の厚みが50〜300μmである請求項7〜11のいずれかに記載の自動車内装材用発泡積層シート(請求項12)、である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の自動車内装材用発泡積層シートから成形した自動車内装材は、変性PPE系樹脂発泡層(1次発泡層)の片面にPS系樹脂非発泡層を、もう一方の面に変性PPE系樹脂非発泡層を積層してなる発泡積層シートを2次発泡させ、変性PPE系樹脂非発泡層が車内側になるように成形して得られた成形体であり、特に自動車天井材に好適である。
図1で示すように、自動車天井材2は、自動車の屋根1の内側に取り付けられる。更に、本発明では、変性PPE系樹脂(II)からなる非発泡層を車内側(下側)に配置している。
【0012】
前記変性PPE系樹脂発泡層は、自動車内装材の基体となる層であり、この層が変性PPE系樹脂から形成されているため、耐熱性および成形性が良好で、耐熱性良好な2次発泡積層シートが容易に成形可能となり、また、この層が発泡層であるため、軽量で、遮音性、断熱性に優れ、また密度が低いため使用樹脂量が少量で済むためコスト競争力を有するものとなる。
【0013】
変性PPE系樹脂発泡層を形成する変性PPE系樹脂(I)としては、PPE系樹脂とPS系樹脂との混合樹脂、PPE系樹脂にSt系単量体を重合させたグラフト、ブロックなどの共重合体(以下、「PPE−St共重合体」と記す。)などが挙げられ、下記のような混合形態がある。
(イ)「PPE系樹脂」+「PS系樹脂」
(ロ)「PPE−St共重合体」
(ハ)「PPE−St共重合体」+「PS系樹脂」
(ニ)「PPE系樹脂」+「PPE−St共重合体」
(ホ)「PPE系樹脂」+「PPE−St共重合体」+「PS系樹脂」
これらのうちでは、PPE系樹脂とPS系樹脂との混合樹脂(イ)が、製造が容易であるなどの点から好ましい。
【0014】
発泡層を形成する変性PPE系樹脂(I)中のPhE成分の含有量としては、通常35重量%〜75重量%、好ましくは35重量%〜60重量%、St系成分の含有量が25重量%〜65重量%、好ましくは40重量%〜65重量%である。PhE成分の割合が小さすぎると、耐熱性が劣る傾向があり、PhE成分の割合が大きすぎると加熱流動時の粘度が上昇し、発泡成形が困難になる場合がある。
【0015】
前記PPE系樹脂としては例えば、ポリ(2,6−ジメチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジエチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジエチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−n−プロピルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−n−ブチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−ブロムフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−エチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。これらのうちではポリ(2,6−ジメチルフェニレン一1,4−エーテル)が、原料の汎用性、コストの点から好ましい。また、難燃性を付与したい場合はハロゲン系元素が含まれるポリ(2−メチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−ブロムフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−エチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)などが好ましい。
【0016】
PPE系樹脂と混合樹脂を形成するPS系樹脂は、スチレンまたはその誘導体、例えばα−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレンなどを主成分とする樹脂である。したがって、PS系樹脂はスチレンまたはスチレン誘導体だけからなる単独重合体に限らず他の単量体との共重合体でもよい。また、例えばHIPSのように、スチレンまたはスチレン誘導体を重合させる際に、合成ゴムまたはゴムラテックスを添加して重合させたものでもよい。
【0017】
前記PPE系樹脂と混合樹脂を形成するPS系樹脂の製造に使用され得る、スチレンまたはその誘導体と共重合可能な他の単量体としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、無水マレイン酸、イタコン酸などが挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0018】
前記PS系樹脂の具体例としては、ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレンの共重合体、HIPSで代表されるスチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。このうちでは、ポリスチレンが、その汎用性、コストの面から好ましい。
【0019】
また、前記PPE系樹脂に重合、好ましくはグラフト重合させるSt系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせてもよい。これらのうちでは、スチレンが、その汎用性、コストの点から好ましい。
【0020】
前記PPE系樹脂にSt系単量体を重合させる際に、St系単量体が主成分(60重量%以上)になる範囲で、St系単量体と共重合可能な他の単量体、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、無水マレイン酸、イタコン酸などの1種または2種以上を含有させてもよい。
【0021】
前記PPE系樹脂にSt系単量体を重合させたグラフト共重合体は、従来周知の方法、例えば特公昭52−30991号公報、特公昭52−38596号公報などに開示されている、PPE系樹脂にラジカル開始剤およびSt系単量体を加え、無水の状態で、有機溶媒の存在下または不存在下130〜200℃の温度範囲で攪拌しながらSt系単量体を重合する方法により製造される。
【0022】
前記PPE系樹脂に混合されるPS系樹脂、およびPPE系樹脂に重合させるSt系単量体の割合としては、PPE系樹脂35重量%〜75重量%、更には35重量%〜60重量%、特には38重量%〜58重量%に対して、PS系樹脂またはSt系単量体が、25重量%〜65重量%、更には40重重重量%〜65重量%、特には42重量%〜62重量%が好ましい。PPE系樹脂の混合割合が小さいときは耐熱性が劣る傾向にあり、PPE系樹脂の混合割合が大きいときは加熱流動時の粘度が上昇し発泡成形が困難になる場合がある。
【0023】
前記の如き変性PPE系樹脂(I)を基材樹脂とする変性PPE系樹脂発泡層の1次発泡層としては、厚みが1〜5mm、更には1.5〜3.5mm、発泡倍率としては3〜20倍、更には5〜15倍、セル径が0.05〜0.9mm、更には0.1〜0.7mm、独立気泡率が70%以上、更には80%以上であるのが好ましい。また、1次発泡層中の残存揮発成分の量は発泡層全重量に対して1〜5重量%、更には2〜4重量%が好ましい。なお、残存揮発成分の量は、ガスクロマトグラフィーにより測定しても良いが、通常、発泡層サンプルを変性PPE系樹脂が軟化しはじめる温度以上で分解温度以下に加熱して揮発成分を充分揮発させて、加熱前後の重量差により測定する。
【0024】
前記1次発泡層の厚さが1mm未満の場合、強度および断熱性に劣り自動車内装材用発泡積層シートとして適当でない場合がある。一方、5mmを越える場合、成形加熱時に熱が発泡層の厚み方向の中心部まで伝わり難く、そのため充分な加熱が行なえず、成形性が悪くなる場合がある。また、充分な加熱を行うべく加熱時間を長くすると、発泡層表面のセルの破泡などが生じ、製品として許容できるものが得られ難くなる場合がある。また、1次発泡倍率が3倍未満の場合、柔軟性に劣り、曲げなどによる破損が生じ易く、また軽量化の効果が少ない。20倍を越える場合は強度が低下し、中心部まで加熱し難いことにより成形性が低下する傾向がある。更に、セル径が0.05mm未満では、充分な強度が得られ難く、0.9mmを越えると、断熱性に劣る傾向がある。また、独立気泡率が70%未満では、断熱性、剛性に劣るとともに成形加熱によっても目的とする2次発泡倍率が得難くなり、成形性に劣る傾向がある。また、残存揮発成分が1重量%を下回ると2次発泡倍率が低くなりすぎ良好に成形できない場合があり、5重量%を越えると非発泡層との間に空気だまりが発生したり、経時による寸法安定性が悪くなる場合がある。
【0025】
本発明において使用される発泡層の基材樹脂である変性PPE系樹脂(I)には、必要に応じて気泡調整剤、耐衝撃性改良剤、滑剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、安定剤、臭気低減剤などを添加してもよい。
【0026】
次に、非発泡層に使用される変性PPE系樹脂(II)は、前記発泡層を形成する変性PPE樹脂(I)と同じものが挙げられ、下記のような混合形態がある。
(イ)「PPE系樹脂」+「PS系樹脂」
(ロ)「PPE−St共重合体」
(ハ)「PPE−St共重合体」+「PS系樹脂」
(ニ)「PPE系樹脂」+「PPE−St共重合体」
(ホ)「PPE系樹脂」+「PPE−St共重合体」+「PS系樹脂」
これらのうちでは、PPE系樹脂とPS系樹脂との混合樹脂(イ)が、製造が容易であるなどの点から好ましい。
【0027】
変性PPE系樹脂(II)中のPhE成分の含有量は、1重量%〜70重量%、好ましくは5重量%〜58重量%、St系成分の含有量は25重量%〜65重量%、好ましくは40重量%〜65重量%である。
【0028】
変性PPE系樹脂(II)中のPPE系樹脂の具体例、好ましいもの、PS系樹脂の具体例、好ましいもの、PS系単量体の具体例、好ましいもの、更には、PPE系樹脂やPS系樹脂やSt系単量体の重合可能な単量体の具体例、使用量、使用する理由などは、前記発泡層の基材樹脂である変性PPE系樹脂(I)の場合と同様であるが、PS系樹脂としてはゴム成分を含まないポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレンの共重合体などがより好ましい。変性PPE系樹脂中のPhE成分の割合が小さすぎると、耐熱性が劣る傾向があり、PhE成分の割合が大きすぎる加熱流動時の粘度が上昇し、押出加工が困難になる場合がある。
【0029】
また、非発泡層に使用されるPS系樹脂(III) は、スチレンまたはその誘導体、例えばα−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレンなどを主成分(60重量%以上、好ましくは70重量%以上)とする樹脂である。したがって、PS系樹脂はスチレンまたはスチレン誘導体だけからなる単独重合体に限らず、他の単量体との共重合体であってもよい。また、例えばHIPSのように、スチレンまたはスチレン誘導体を重合させる際に、合成ゴムまたはゴムラチックスを添加して重合させたものでもよい。
【0030】
前記PS系樹脂の製造に使用され得るスチレンまたはその誘導体と共重合可能な他の単量体としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記PS系樹脂の具体例としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレンの共重合体、HIPSで代表されるスチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。このうちでは、ポリスチレン、HIPSがその汎用性、コストの面から好ましい。耐熱のより高いPS系樹脂としては、スチレンとカルボキシル基含有モノマーとの共重合体が挙げられ、例えばスチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−イタコン酸共重合体がある。
【0031】
前記PS系樹脂は単独で用いても良く、2種類以上を組み合わせても良い。また、他の熱可塑性樹脂とブレンドしても良い。
【0032】
本発明者らの研究によれば、得られた成形体の非発泡層に残留応力が存在する場合、高温下(例えば80℃以上)にさらされると、その残留応力が緩和される結果、成形体に変形が生じ、例えば、自動車天井材の場合には、フロント部やリア部で変形が発生する。この変形の防止策として、本発明では、耐熱性の高い変性PPE系樹脂(II)からなる非発泡層を車内側に配置して高温剛性を上げ、かつ、高温下において応力緩和が生じ、その緩和による力がフロント部やリア部の変形を抑制する方向に働くように車外側に耐熱性の低いPS系樹脂(III) を非発泡層として用い、これにより残留歪みのバランスをとることによって、耐熱性に優れた自動車内装材が得られる。また、車内側の非発泡層を形成する変性PPE系樹脂(II)にゴム成分を入れないことにより、その剛性が上がり、耐熱性が向上する。
【0033】
また、非発泡層に使用する変性PPE系樹脂(II)、PS系樹脂(III) と発泡層に使用する変性PPE系樹脂(I)とは接着性が高く、この点でも良好である。
【0034】
本発明における発泡積層シートにおいて、発泡層に積層される非発泡層の厚みは50〜300μm、更には75〜200μmが好ましい。該非発泡層の厚さが50μmより薄い場合には、強度、剛性、耐熱性などが劣り、300μmより厚い場合には成形性が劣る傾向にある。
【0035】
前記非発泡層を形成する場合、必要に応じて、耐衝撃性改良剤、充填剤、滑剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、安定剤、臭気低減剤などを単独で、または2種以上を組み合わせて添加してもよい。
【0036】
前記耐衝撃性改良剤としては、基材樹脂に混合することによってその効果を発揮するものや、基材樹脂に重合させることによってその効果を発揮するものであれば特に限定なく使用し得る。例えばHIPSなどは、非発泡層として単独で、またはPS系樹脂に混合して使用される。耐衝撃性改良剤の使用量は、非発泡層を形成する樹脂に対して2〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。使用量が2重量%未満では使用した効果が充分に発現されず、25重量%を越えると耐熱性や剛性に劣る傾向にある。
【0037】
耐衝撃性改良剤としては、天然ゴム、合成ゴムのようなゴムや、ゴム粒子のまわりにスチレン、メチルメタクリレートなどの炭素−炭素二重結合をもつ単量体をグラフト重合させたものなどが好適に使用される。前記ゴムの具体例としては、例えばスチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、多硫化ゴム、水素化ニトリルゴム、ポリエーテル系特殊ゴム、フッ素ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、プロピレンオキサイドゴム、エチレン−アクリルゴム、液状ゴム、ノルボルネンゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、MBS樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙けられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、変性PPE系樹脂、PS系樹脂との相溶性のよさ、汎用性などの点からスチレン−ブタジエンゴムおよび水添スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
【0038】
前記充填剤は、強度、剛性、寸法安定性などの向上のために使用される成分であり、使用される充填剤には特に制限はない。充填剤の具体例としては、タルク、(ケイ酸マグネシウム)、炭酸カルシウム、マイカ、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、シリカ、クレー、カオリン、ホワイトカーボン、水酸化マグネシウム、カーボンブラック、ゼオライト、モリブデンなどが挙げられる。これらのうちでは特にタルク、炭酸カルシウム、マイカが好ましい。
【0039】
充填剤の添加量は、非発泡層を形成する樹脂100部(重量部、以下同様)に対して1〜50部、好ましくは5〜40部である。この添加量が1部未満の場合、充填剤(無機物)を充填した明確な効果が得られず、50部を越えて添加すると、樹脂組成物の粘度が増加し、押出機に大きな負荷がかかるため好ましくなく、また、非発泡層の衝撃強度の低下が著しくなる。
【0040】
更に、前記1次発泡積層シートの変性PPE系樹脂(II)からなる非発泡層の表面には、ホットメルト接着剤からなる層が形成される。ホットメルト接着剤は、自動車内装材が表皮を有する場合、表皮を成形体に接着するのに用いられる。このホットメルト接着剤層を予め形成することにより、加熱時のホットメルト接着剤の収縮によるホットメルト接着剤層の穴あき、非発泡層とホットメルト接着剤の間の空気だまりなどによる表皮材の接着不良を防止することができる。また、予め1次発泡積層シートにホットメルト接着剤を積層することにより、成形時におけるホットメルトフィルムなどの仮止め工程が省略され、コストダウンになる。
【0041】
前記の1次発泡シートを加熱2次発泡させる際には、1次発泡シート(発泡倍率:3〜20倍、好ましくは5〜15倍、厚さ:1〜5mm、好ましくは、1.5〜3.5mm)に対して、通常1.2〜4倍に2次発泡させるが、更には1.5〜3倍に2次発泡させるのが好ましい(この結果、2次発泡後の発泡倍率は、3.6〜80倍、好ましくは7.5〜45倍、特に好ましくは10〜40倍、厚さは、1.2〜20.0mm、好ましくは2.25〜10.5mm、特に好ましくは3.0〜7.0mmとなる)。
【0042】
前記の如き1次発泡積層シートから得られる成形体の厚みは、好ましくは2.0〜10mm、より好ましくは3.0〜8mm、1次発泡積層シートに対する発泡倍率は、好ましくは1.2〜4倍、より好ましくは1.5〜3倍、平均セル径は、好ましくは0.06〜2.0mm、より好ましくは、0.075〜0.9mm、独立気泡率は、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である。
【0043】
成形体の厚さが2.0mm未満では強度及び耐熱性に劣り、自動車内装材として使用に適さない場合がある。一方、10mmを超えると、必要以上に嵩高くなり車内が狭くなる。また、発泡倍率が1.2倍末満では柔軟性に劣り、曲げなどによる破損が生じやすい。一方、4倍を超えると強度が低下する傾向がある。更に、平均セル径が0.06mm未満では充分な強度が得られ難く、2.0mmより大きいと断熱性に劣る傾向がある。更に、独立気泡率が60%未満では剛性が劣ることがある。
【0044】
前記表皮材の具体例としては、従来の自動車内装材として用いられるものが使用できる。例えば、織布や不織布を配するが、これらには、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリアクリロニトリル、モダアクリル(例えば、鐘淵化学工業株式会社製「カネカロン(登録商標)」)などの合成樹脂や羊毛、木綿などの天然素材を使用したものや、それらを適宜組み合わせたものが使われる。このような表皮材に、必要に応じて、更にウレタンフォームや、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンフォームからなる発泡層を単層または複層で積層したものが使用できる。
【0045】
次に、本発明の自動車内装材の製造法について説明する。
【0046】
本発明において使用される変性PPE系樹脂発泡層(1次発泡層)は、PPE系樹脂とPS系樹脂との混合樹脂またはPPE系樹脂にSt系単量体をグラフト共重合させた共重合体などに、要すれば各種の添加剤を加えたものを押出機により150℃〜400℃で溶融・混練し、ついで150〜400℃、3〜50MPaの高温高圧下で樹脂100部に対して発泡剤1〜15部を圧入し、発泡最適温度(150〜300℃)に調節して、サーキュラーダイなどを使い低圧帯(通常は大気中)に押し出したのち、マンドレルなどに接触させて、例えば0.5〜40m/分の速度で引き取りながらシート状に成形し、カット後、巻き取るなどの方法により製造することができる。
【0047】
前記変性PPE系樹脂発泡層を製造する際に使用される発泡剤としては、ブタン、プロパン、ペンタン、塩化メチル、ジクロロメタン、クロロフロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロジフロロエタンなどの炭化水素系発泡剤、ハロゲン化炭化水素系発泡剤などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用しても良い。なかでも炭化水素系発泡剤が、汎用性、コストの面から好ましい。
【0048】
前記1次発泡層に熱可塑性樹脂非発泡層を積層する方法としては、予めフィルム状に成形した樹脂を、発泡成形され供給される1次発泡層の上面および下面に熱ロールなどにより接着する方法、多層押出金型を用いて行う共押出積層方法などが挙げられるが、予め発泡成形して供給される1次発泡層の上面および下面に押出機から供給した非発泡層用樹脂組成物を層状に積層して可塑状態にある非発泡層を冷却ローラーなどによって固着する方法が好ましい。なかでも、1次発泡層の押出発泡シート成形と非発泡層の押出をインラインで行って積層する方法が製造工程が、簡略化できる点で好ましい。
【0049】
得られた1次発泡積層シートから自動車内装材を成形する方法としては、上下にヒーターを持つ加熱炉の中央に1次発泡積層シートをクランプして導き、成形に適した温度、例えば120〜200℃に加熱して2次発泡させたのち、温度調節した金型にて真空成形、圧空成形する。真空成形、圧空成形の例としては、プラグ成形、フリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリッブ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースドロ一成形などの方法が挙げられる。このうち、プラグ成形、マッチド・モールド成形など、自動車内側(凸)金型、自動車外側(凹)金型の両方の金型からなり、それぞれの温調が可能な金型を使用するのが望ましい。
【0050】
前記成形においては、加熱によって発泡積層シートの表面にケロイド状態が発生する前の状態で成形するのが好ましい。本発明者の研究によれば、成形加熱時に表面にケロイド状態が発生した状態で成形を行うと、独立気泡率が低くなり、成形体の剛性が低下することが分かっている。ケロイド状態は発泡層の破泡により生ずるものであり、そのため独立気泡率の低下が生じるためである。
【0051】
また、1次発泡積層シートを所定のクリアランスを有する金型で2次発泡させる場合、2次発泡積層シートの厚さTが2次発泡時の発泡積層シートのフリーの厚さtに対して0.5t≦Tを満足するように2次発泡させ、成形するのが望ましい。成形体の発泡層の厚さTが0.5tよりも小さい場合には、成形体の発泡層に大きな残留歪みが残り耐熱性が劣る。
【0052】
このようにして、本発明の自動車内装材が製造されるが、成形された2次発泡積層シートである自動車内装材が表皮を有する場合には、予め表皮材に接着剤をつけてあるものを1次発泡積層シートに熱ロールなどを用いて接着する方法、接着剤を1次発泡積層シートにバインダーラミネーション法で積層したり、予めフィルム状に成形された接着剤を熱ラミネーション法などにより積層した発泡積層シートに表皮材を熱ロールなどを用いて接着する方法、1次発泡積層シートに表皮材を仮止めし、加熱成型時に成形と接着を同時に行う方法、接着剤を1次発泡積層シートに積層する際に表皮材を同時に接着する方法などが挙げられる。
【0053】
前記接着剤としては、熱可塑性接着剤、ホットメルト接着剤、ゴム系接着剤、熱硬化性接着剤、モノマー反応型接着剤、無機系接着剤、天然物接着剤などが挙げられるが、接着が容易な点でホットメルト接着剤が好適である。
【0054】
前記ホットメルト接着剤としては、ポリオレフィン系、変性ポリオレフィン系、ポリウレタン系、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系、ポリアミド系、ポリエステル系、熱可塑性ゴム系、スチレン−ブタンジエン共重合体系、スチレン−イソプレン共重合体系などの樹脂を成分とするものが挙げられる。
【0055】
前記の如き本発明の自動車内装材は、変性PPE系樹脂(I)発泡層の車内側に変性PPE系樹脂(II)からなる非発泡層を、車外側にPS系樹脂(III) からなる非発泡層を配置することにより、耐熱性がよく、且つ軽量な自動車内装材を得ることができる。
【0056】
【実施例】
以下に本発明の実施例について説明する。なお、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。
【0057】
実施例、比較例に用いた樹脂、および材料を表1に示す。
【0058】
【表1】
Figure 0003747597
【0059】
実施例および比較例で行った評価方法を以下に示す。
〔発泡層および成形体の厚さ〕
1次発泡シートまたは成形体の幅方向に20カ所の厚さを測定し、その測定値の平均値を算出した。
〔発泡倍率〕
1次発泡シートの密度dfをJISK7222に準じて測定し、変性PPE系樹脂の密度dpをJISK7112に準じて測定し、次式より求めた。
発泡倍率=dp/df
〔独立気泡率〕
ASTMD−2859に準じて評価して求めた(マルチピクノメーター(ベックマン社製)を使用)。
〔セル径〕
発泡層の断面を光学顕微鏡で観察し、20個のセル径を測定し、その測定値の平均値を算出した。
〔目付〕
1次発泡シートの押し出し方向に5カ所より、10cm×10cmの大きさの試験片を切り出し、それらの重量を測定したのち、平均値を算出した。
【0060】
また、成形体の耐熱性試験として、以下の実装耐熱試験を行なった。
〔実装耐熱性試験方法〕
図2に示す成形した自動車天井材2(幅930mm×長さ1425mm)を自動車天井部(カットボディ)に装着し、サンバイサー、ルームミラー、ルームランプ、ガニッシュ、ビラーを介して実車と同等となるように固定した。また、フロント部分に測定点を6点、成形体の中心線と対称に120mm間隔で刻印した(図1中a〜f)。尚、図中、3はアシストグリップ取付穴、4はサンバイサー取付穴、5はサンバイザー留め取付穴、6ルームミラー取付穴、7は室内灯取付穴である。フロント部の測定点付近に標線を設け、垂直方向の距離を測定した。次に100±1℃に設定した恒温室に、天井材2を取り付けた自動車天井部を24時間投入した後、フロント部に刻印された測定点の垂直方向の寸法変化量を測定し、a〜fの最小値を記録した。なお、垂直反り上がり方向をプラス(+)、垂直垂れ下がり方向をマイナス(−)として測定した。
【0061】
耐熱性の評価基準は以下の通りである。
○:垂直方向の変化量が−2.0mm以上。
×:垂直方向の変化量が−2.0mm未満。
【0062】
(実施例1)
PPE樹脂成分40重量%、PS樹脂成分60重量%となるように変性PPE樹脂(A)72.7部とPS樹脂(B)27.3部とを混合した混合樹脂100部に対してiso−ブタンを主成分とする発泡剤(iso−ブタン/n−ブタン=85/15)3部、およびタルク0.32部を押出機により混練し、樹脂温度198℃まで冷却し、サーキュラーダイスにより押出し、8m/分の速さの引き取りロールを介して巻取りロールにロール状に巻き取り、1次厚み2.6mm、1次発泡倍率11倍、独立気泡率85%、セル径0.19mm、目付け240g/m2 の発泡シートを得た。得られた発泡シートを繰り出し、HIPS(C)83.3部に耐衝撃性改良剤(D)16.7重量%(全ゴム成分15重量%)を溶融・混練し、Tダイを用いて樹脂温度245℃で押出し、発泡シートの片面に厚み120μmのPS系樹脂非発泡層を形成し、巻き取りロールにロール状に巻き取った。更に、得られたシートを繰り出し、PPE系樹脂成分30重量%、PS系樹脂成分64重量%、ゴム成分6重量%になるように、PPE樹脂(A)54.5部、PS樹脂(B)35.5部、耐衝撃性改良剤(C)10部を溶融、混練し、Tダイを用いて樹脂温度278℃で押出し、シートの発泡層面に厚み120μmの変性PPE系樹脂非発泡層を形成し、両面に非発泡層を有する発泡積層シートを得た。この発泡積層シートを繰り出し、同時に変性PPE系樹脂非発泡層側にホットメルトフィルム(E)を繰り出し、10m/分の速さの120℃に調温された熱ロールを介して巻き取り、変性PPE系樹脂非発泡層の表面にホットメルト接着剤を積層した1次発泡積層シートを得た。この1次発泡積層シートのホットメルトフィルム面に表皮材(F)を仮止めし、その四方をクランプしてオーブンに入れ、発泡積層シート表面温度が135℃となるように60秒加熱した後、変性PPE系樹脂非発泡層が車内側になるように配置した金型にて、金型クリアランス4.0mmでプラグ成形を行い、トリミング、パンチング加工を施し、良好な自動車天井材を得た。
【0063】
(実施例2)
変性PPE系樹脂非発泡層の基材樹脂を、PPE系樹脂成分30重重%、PS系樹脂成分70重量%になるように、PPE樹脂(A)54.5部、PS樹脂(B)45.5部とした以外は実施例1と同様の方法にて自動車天井材を得た。
【0064】
(実施例3)
PPE樹脂(A)100部に対してiso−ブタンを主成分とする発泡剤(iso−ブタン/n−ブタン=85/15)3部およびタルク0.32部を押出機により混練し、樹脂温度205℃まで冷却し、サーキュラーダイスにより押出し、8m/分の速さの引き取りロールを介して巻取りロールにロール状に巻き取り、1次厚み2.3mm、1次発泡倍率10倍、独立気泡率87%、セル径0.17mm、目付け240g/m2 の発泡シートを得た。得られた発泡シートを繰り出し、HIPS(C)83.3部に耐衝撃性改良剤(D)16.7部(全ゴム成分15重量%)を溶融、混練し、Tダイを用いて樹脂温度245℃で押出し、発泡層の片面に厚み120μmのPS系樹脂非発泡層を形成し、巻き取りロールにロール状に巻き取った。更に、このシートを繰り出し、PPE系樹脂成分40重量%、PS系樹脂成分54重量%、ゴム成分6重量%になるように、PPE樹脂(A)72.7部、PS樹脂(B)17.3部、耐衝撃性改良剤(C)10部を溶融、混練し、Tダイを−用いて樹脂温度288℃で押出し、シートの発泡層面に厚み120μmの変性PPE系樹脂非発泡層を形成し、両面に非発泡層を有する発泡積層シートを得た。そして、実施例1と同様の方法にて良好な自動車天井材を得た。
【0065】
(比較例1)
実施例1と同様にして1次発泡シートを得た。得られた1次発泡シートを繰り出し、HIPS(C)83.3部に耐衝撃性改良剤(D)16.7部(全ゴム成分15重量%)を溶融、混練し、Tダイを用いて樹脂温度245℃で押出し、発泡層の片面に厚み120μmのPS系樹脂非発泡層を形成し、次いで同様にして他の面に厚み120μmのPS系樹脂非発泡層を形成し、両面に非発泡層を有する発泡積層シートを得た。そして、実施例1と同様の方法にてホットメルトフィルム(E)を積層し、プラグ成形を行い、良好な自動車天井材を得た。
【0066】
(比較例2)
車外側の非発泡層を変性PPE系樹脂非発泡層とし、車内側のホットメルトフィルム積層面をPS系樹脂非発泡層面とする以外は実施例1と同様にして良好な自動車天井材を得た。
【0067】
上記実施例1〜3、比較例1〜2で得られた天井材について耐熱性を評価した。結果を表2に示す。
【0068】
【表2】
Figure 0003747597
【0069】
表2の結果から、両面にPS系樹脂非発泡層を形成した比較例1に比べて、片面に変性PPE系樹脂非発泡層を、他面にPS系樹脂非発泡層を形成した実施例の場合、耐熱性試験によるフロント部の変形が小さく、耐熱性が優れていることがわかる。更に、実施例1と比較例2との比較から、変性PPE系樹脂からなる非発泡層を車内側に配置することによって、耐熱性の向上が認められる。更に、実施例1、2より、車内側の変性PPE系樹脂非発泡層には、ゴム成分を含まないほうが耐熱性が優れていることが分かる。
【0070】
【発明の効果】
本発明の自動車内装材、および自動車内装材用発泡積層シートは、耐熱性が改善されており、しかも成形性、寸法安定性、遮音性、耐衝撃性、断熱性などの特性が良好で、かつ軽重であり、しかも安価で容易に製造可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自動車天井材を自動車に装着した状態を示す一部切欠断面図である。
【図2】 成形された自動車天井材の平面説明図である。
【符号の説明】
1 自動車屋根、
2 自動車天井材、
3 アシストグリップ取付穴、
4 サンバイサー取付穴、
5 サンバイザー留め取付穴、
6 ルームミラー取付穴、
7 室内灯取付穴。

Claims (12)

  1. 変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)からなる発泡層の片面に変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(II)からなる非発泡層を、他方の面に耐衝撃性改良剤を含有したポリスチレン系樹脂(III)からなる非発泡層を形成してなる発泡積層シートからなり、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(II)からなる非発泡層が車内側に位置することを特徴とする自動車内装材。
  2. 変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(II)からなる非発泡層がゴム成分を含まない請求項1記載の自動車内装材。
  3. 発泡層の変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)中のフェニレンエーテル成分の含有量が35重量%〜75重量%、スチレン系成分の含有量が25重量%〜65重量%である請求項1または2記載の自動車内装材。
  4. ポリスチレン系樹脂(III)がハイインパクトポリスチレンである請求項1、2、または3記載の自動車内装材。
  5. 発泡積層シートの1次発泡層が、厚みが1〜5mm、発泡倍率が3〜20倍、セル径が0.05〜0.9mm、独立気泡率が70%以上の変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡シートである請求項1〜のいずれかに記載の自動車内装材。
  6. 非発泡層の厚みが50〜300μmである請求項1〜のいずれかに記載の自動車内装材。
  7. 変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)からなる発泡層の片面に変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(II)からなる非発泡層を、他方の片面に耐衝撃性改良剤を含有したポリスチレン系樹脂(III)からなる非発泡層を形成してなり、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(II)からなる非発泡層の表面にホットメルト接着剤からなる層を形成してなることを特徴とする自動車内装材用発泡積層シート。
  8. 変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(II)からなる非発泡層がゴム成分を含まない請求項記載の自動車内装材用発泡積層シート。
  9. 発泡層の変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)中のフェニレンエーテル成分の含有量が35重量%〜75重量%、スチレン系成分の含有量が25重量%〜65重量%である請求項7または8記載の自動車内装材用発泡積層シート。
  10. ポリスチレン系樹脂(III)がハイインパクトポリスチレンである請求項7、8、または9記載の自動車内装材用発泡積層シート。
  11. 発泡積層シートの1次発泡層が、厚みが1〜5mm、発泡倍率が3〜20倍、セル径が0.05〜0.9mm、独立気泡率が70%以上の変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡シートである請求項7〜10のいずれかに記載の自動車内装材用発泡積層シート。
  12. 非発泡層の厚みが50〜300μmである請求項7〜11のいずれかに記載の自動車内装材用発泡積層シート。
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