JP3742467B2 - 軒樋吊り具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は軒樋を軒先に取り付ける軒樋吊り具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、軒樋を軒先に取り付ける軒樋吊り具としては種々あるが、多く使用されている軒樋吊り具としては、実開昭62−40120号公報、実開昭62−40121号公報、実開平4−82232号公報に記載されている軒樋吊り具がある。
この軒樋吊り具を図6および図7を参照しながら簡単に説明すると、軒樋吊り具100は軒先に取り付けられる取付部101と、この取付部101から屋外側に突出して設けられた支持腕102と、この支持腕102の屋外側先端部に設けられた屋外側耳保持部104と、この屋外側耳保持部より屋内側に設けられた屋内側耳保持部105とからなる。
【0003】
この軒樋吊り具100は、図7に示すように、取付部101を鼻隠し板等の軒先300に取り付け、軒樋吊り具100の屋外側耳保持部104と屋内側耳保持部105にそれぞれ軒樋200の屋外側耳204と屋内側耳205とを保持させて軒樋200を軒樋吊り具100で軒先に吊り下げて、使用する。
又、実開平2−2916号公報、実開平2−2917号公報、実開平2−9625号公報記載あるように、軒樋の屋外側耳部を支持腕に取り付けられたバネで押さえて、軒樋を外れ難くした軒樋吊り構造が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図6に示す軒樋吊り具100で、図7に示すように、軒樋200を取り付けて長年月使用していると、軒樋200が夏冬等の温度差によって、図8の矢印に示すように、軒に沿った方向に膨張収縮を繰り返すので、この軒樋200を軒先に取り付けている軒樋吊り具100には軒先に沿った方向に力が加わる。
【0005】
更に、図8に示すような寄せ棟形式の屋根の軒先に軒樋200を取り付けていると、下り棟の先端部分400では軒樋200が直角に折曲しているので、軒樋200が膨張すると、図9(イ)の矢印に示すように、この直角200に折曲している角部の軒樋が両側から押されて突き出たり、底面がより多く膨張して反り上がる。その結果、角近傍の軒樋200を取り付けている軒樋吊り具100には屋外方向に突出する方向に力が加わったり上方向の力が加わる。又、軒樋200が収縮すると、図9(ロ)の矢印に示すように、角部の軒樋200が両側から引っ張られて丸くなったり、底面がより多く収縮して垂れたりする。その結果、角近傍の軒樋200を取り付けている軒樋吊り具100には屋内方向に力が加わったり下方向の力が加わる。
【0006】
更に、図10に示すように、積雪地方では、雪が屋根に積もり、この積雪500が屋根の傾斜面に沿って落下し、軒樋200や軒樋吊り具100の上に覆い被さると、図10の矢印に示すような下方向の力が働く。このように、軒樋吊り具には軒先に沿った方向や屋内外方向に力が加わったり、上下方向に力が加わるので、軒樋が軒樋吊り具から外れ易いという問題がある。屋外側耳部をバネで押さえる軒樋吊り具では、バネで押さえているから外れ難くなっているが、それでも尚軒樋が軒樋吊り具から外れることがある。
そこで、本発明の目的は、軒樋が膨張収縮したり、積雪が落下しても、軒樋が外れ難い軒樋吊り具を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであって、請求項1記載の発明は、軒先に取り付けられる取付部と、この取付部から屋外方向に突出した腕部と、腕部の先端に設けられた屋外側耳保持部と、この屋外側耳保持部より屋内側に設けられた屋内側耳保持部とからなる軒樋吊り具において、前記屋外側耳保持部が腕部の先端部に上下方向および左右方向に回動可能に連結され、前記屋内側耳保持部が腕部の屋内側に前後方向および左右方向に回動可能に吊り下げられているものである。
【0008】
本発明の軒樋吊り具では、屋外側耳保持部が腕部の先端部に上下方向および左右方向に回動可能に連結されているが、このように回動可能に連結する構造としては種々ある。例えば、軸を設けて、この軸に回動可能に取り付けてもよいし、回動可能に吊り下げてもよい。また、屋内側耳保持部が腕部の屋内側に前後方向および左右方向に回動可能に吊り下げられているが、このように回動可能に吊り下げる構造としては種々ある。例えば、ほぼ水平な回転軸を設け、この回転軸に回動可能に取り付けてもよいし、ほぼ垂直な軸を設け、この軸に回動可能に吊り下げてもよい。
【0009】
(作用)一般に、軒樋吊り具で軒樋を取り付けて使用していると、軒樋が夏冬等の温度差によって膨張収縮を繰り返して、その結果、軒樋吊り具に軒先に沿った方向に力が加ったり上下方向の力が加わる。すると、請求項1記載の軒樋吊り具では、屋外側耳保持部が腕部の先端部に上下方向および左右方向に回動可能に連結され、また、屋内側耳保持部が腕部の屋内側に前後方向および左右方向に回動可能に吊り下げられているから、屋外側耳保持部が軒樋と一緒になって左右や上下に回動し、また、屋内側耳保持部が軒樋と一緒になって左右や上下に回動するので、軒樋吊り具から軒樋が外れない。又、積雪地方では、積雪が軒樋や軒樋吊り具に覆い被さって下方向の力が加わる。すると、屋外側耳保持部が軒樋と一緒になって下方向に回動し、また、屋内側耳保持部が上方向に回動して、軒樋の屋外側耳が下方に傾斜して、軒樋や軒樋吊り具から積雪が滑って落下し、軒樋が軒樋吊り具から外れない。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
(実施例1)図1〜図4は本発明の一実施例を示すもので、図1は軒樋吊り具の説明図、図2は図1のA部分を斜めから見た状態を拡大して示す説明図、図3は図1の軒樋吊り具の使用状態を示す説明図、図4は軒樋に下方向の力が加わったときの状態を示す説明図である。
【0011】
図3において、7は軒樋であり、この軒樋7は、屋外側壁71と底板72と屋内側壁73とが断面コ字形の溝形に形成された長尺体であり、屋外側壁71の上端部には断面C形の屋外側耳75が設けられ、屋内側壁73の上端部には断面ロ字形に膨出した屋内側耳76が設けられている。
1は軒樋吊り具であり、この軒樋吊り具1は、図1に示すように、取付部2と腕部3と屋外側耳保持部4と屋内側耳保持部5とからなる。取付部2は軒先に沿う板状体で、軒先に取り付けるビスや釘を挿入する取付孔25が3個設けられている。
【0012】
腕部3は取付部2の上縁部から屋外方向に突出した棒状体である。屋外側耳保持部4は、C字形に湾曲した小片である。この屋外側耳保持部4の先端部41は上方に突出していて、この先端部41を軒樋7の屋外側耳75の断面C形の中に挿入すると、軒樋の屋内側耳75が保持できるようになっている。又、根元部42は、腕部3の先端部から下方に垂下した2個の垂下片31、31の間に挿入され、この垂下片31から根元部42を貫通している回転軸32によって、図1の矢印に示すように、上下方向に回動可能に取り付けられている。又、この回転軸32と根元部42を貫通する通孔とは余裕があるので、図1の矢印に示すように、左右方向にも回動可能になっている。又、垂下片31には両側の垂下片31、31を連結した弾性材からなるストッパー35が設けられていて、屋外側耳保持部4がほぼ水平位置に保持できるようになっている。そして、下方向の力が加わるとストッパー35の弾性により屋外側耳保持部4が若干下方に傾くようになっている。
【0013】
屋内側耳保持部5はC字形の小片であり、このC字形の両側の先端部51、52で軒樋の屋内側耳76を両側から挟んで屋内側耳76を保持するようになっている。又、この屋内側耳保持部5は腕部3の屋内側に軸38で前後および左右に回動可能に吊り下げられている。そして、この屋内側耳保持部5の上方の腕部3には窪んだ凹部39が設けられていて、屋内側耳保持部5が上方に若干回動しても腕部2に衝突しないようになっている。又、屋内側耳保持部5の屋内側の取付部2にも窪んだ凹部29が設けられていて屋内側耳保持部5が屋内方向に若干回動可能しても取付部2に衝突しないようになっている。
このような構造になっているから、この屋内側耳保持部5は、図1の矢印に示すように、上下方向および左右方向に回動可能になっている。8は鼻隠し板からなる軒先である。
【0014】
次に、この軒樋吊り具の使用方法および作用について説明する。
先ず、取付部2を軒先8の所定位置に当接させ取付孔25の中にビスや釘を挿入し、軒先に螺入したり打ち込んで、軒樋吊り具1を軒先8に取り付ける。このようにして、複数の軒樋吊り具1を軒先8の所定位置に取り付ける。軒樋7の屋外側耳75の断面C字形の開口の中に軒樋吊り具1の屋外側耳保持部4の先端41を挿入して保持させ、軒樋7の屋内側耳76を軒樋吊り具1の屋内側耳保持部5のC字形の中に挿入して保持させて、軒樋7を軒樋吊り具1に取り付ける。このようにして、複数の軒樋吊り具1に軒樋7を架け渡して取り付ける。
【0015】
このようにして軒樋を軒樋吊り具1で取り付けて使用していると、軒樋7が夏冬等の温度差によって膨張収縮を繰り返して軒樋吊り具1に軒先に沿った方向に力や上下方向の力が加わる。すると、屋外側耳保持部4と屋内側耳保持部5が軒樋7と一緒になって左右や上下または前後に回動するので、軒樋吊り具1から軒樋7が外れない。又、積雪地方では、積雪が軒樋7や軒樋吊り具1に覆い被さって下方向の力が加わる。すると、図4に示すように、屋外側耳保持部4の先端部分Xが屋外側耳75のY部分に引っ掛かって外れないように取り付けられているし、屋外側耳保持部4が軒樋7と一緒になって下方向に、又、屋内側耳保持部5が上方向に回動して、軒樋7の屋外側耳75が下方に傾斜して軒樋7や軒樋吊り具1から積雪が滑って落下するので、軒樋7が軒樋吊り具1から外れない。
【0016】
(実施例2)図5は本発明軒樋吊り具の他の実施例を示すもので、軒樋吊り具の使用状態を示す説明図である。
【0017】
この図5に示す実施例2の軒樋吊り具1aを図1〜図4の実施例1の軒樋吊り具と比較すると、屋外側耳保持部4aの構造が異なる。
即ち、屋外側耳保持部4aはC字形に湾曲した小片である。この屋外側耳保持部4aの先端部41aは上方に突出していて、この先端部41aを軒樋7aの屋外側耳75aの断面C字形の中に挿入すると、軒樋7aの屋外側耳75aが屋外側耳保持部4aで保持できるようになっている。又、根元部42aの上面には通孔が設けられていて、この通孔に腕部3aに設けられた軸36aを回動可能に貫通させて、屋外側耳保持部4aを腕部3aの先端部に吊り下げている。又、この軸36aと根元部42aに設けられた通孔とは余裕があるので、屋外側耳保持部4aが上下方向にも回動可能になっている。
このように、屋外側耳保持部4aが腕部3aの先端部に左右方向および上下方向に回動可能に取り付けられていて、実施例1と同じ作用をする。その他の部分は同じ構造で同じ作用するから説明を省略する。
【0018】
【発明の効果】
請求項1記載の軒樋吊り具では、屋外側耳保持部が腕部の先端部に上下方向および左右方向に回動可能に連結され、また、屋内側耳保持部が腕部の屋内側に前後方向および左右方向に回動自在に吊り下げられているから、この軒樋吊り具で軒樋を取り付けて使用していて、軒樋が夏冬等の温度差によって膨張収縮を繰り返したり、又、積雪が覆い被さっても、屋外側耳保持部が軒樋と一緒になって左右や上下に回動し、また、屋内側耳保持部が軒樋と一緒になって左右や上下に回動するので、軒樋吊り具から軒樋が外れなく安心である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、軒樋吊り具の説明図である。
【図2】図1のA部分を斜めから見た状態を拡大して示す説明図である。
【図3】図1の軒樋吊り具の使用状態を示す説明図である。
【図4】軒樋に下方向の力が加わったときの状態を示す説明図である。
【図5】本発明軒樋吊り具の他の実施例を示すもので、軒樋吊り具の使用状態を示す説明図である。
【図6】従来の軒樋吊り具を示す説明図である。
【図7】従来の軒樋吊り具の使用状態を示す説明図である。
【図8】従来の軒樋吊り具を寄せ棟に取り付けた状態を示す説明図である。
【図9】図10の400部分を示す説明図である。
【図10】積雪が軒樋吊り具の上に覆い被さった状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1、1a 軒樋吊り具
2 取付部
3、3a 腕部
4、4a 屋外側耳保持部
5 屋内側耳保持部
7 軒樋
75 屋外側耳
76 屋内側耳

Claims (1)

  1. 軒先に取り付けられる取付部と、この取付部から屋外方向に突出した腕部と、腕部の先端に設けられた屋外側耳保持部と、この屋外側耳保持部より屋内側に設けられた屋内側耳保持部とからなる軒樋吊り具において、
    前記屋外側耳保持部が腕部の先端部に上下方向および左右方向に回動可能に連結され、前記屋内側耳保持部が腕部の屋内側に前後方向および左右方向に回動可能に吊り下げられていることを特徴とする軒樋吊り具。
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