JP3741849B2 - こんろ用鍋底温度センサ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、こんろの環状の熱源の内径部に挿設した鍋底温度センサと、該センサを隙間を存して囲繞する遮熱リングとを備えるこんろ用の鍋底温度センサ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
鍋底温度センサは、こんろの五徳上に載置する鍋の底面に当接して鍋底の温度を検出するものであり、鍋底に弾接するようにこんろ本体に対しばねで上方に付勢されている。また、こんろの熱源からの熱が鍋底温度センサに及ぶと鍋底の温度を正確に検出できなくなるため、鍋底温度センサを隙間を存して囲繞する遮熱筒を設け、鍋底温度センサを熱源に対し遮熱している。遮熱筒は、一般に、こんろ本体に対し固定されているが、特開昭63−175369号公報に見られるように、こんろ本体に対し遮熱筒をばねで上方に付勢したものも知られており、更に、鍋底温度センサに対して遮熱筒を固定したものも提案されている。
【0003】
ところで、遮熱筒内のセンサ雰囲気温度の上昇を防止する上で、鍋底と遮熱筒の上端との間に若干の隙間を確保し、遮熱筒内にその下端からこの隙間に向けて空気が流れるようにすることが望まれる。鍋底温度センサに対して遮熱筒を固定するものでは、上記隙間を正確に管理できるが、こんろ本体に対して遮熱筒を固定するものでは、五徳の汚れ等による鍋底の載置高さのばらつきや遮熱筒の取付公差等により鍋底と遮熱筒との間の隙間量がばらつく。また、こんろ本体に対し遮熱筒をばねで上方に付勢するものでは、遮熱筒が鍋底に弾接して、鍋底と遮熱筒との間に隙間を確保できなくなる。
【0004】
ところで、底が上方に凹入した鍋(鍋の座りを良くするためにこのようにすることがある)を使用すると、鍋底の凹入中央部に温度センサが当接し、凹入中央部より下方に位置する鍋底の外周寄りの部分が鍋底と遮熱筒との間の隙間を外方から囲うようになる。その結果、鍋底と遮熱筒との間の隙間からの空気の流出が妨げられ、この妨害度合は鍋底の凹入深さが大きくなる程大きくなる。ここで、鍋底温度センサに対して遮熱筒を固定したものでは、鍋底と遮熱筒との間の隙間量が鍋底の凹入深さに係りなく略一定となるため、凹入深さの大きな鍋を使用した場合には隙間からの空気の流出がかなり妨げられ、遮熱筒内に空気が流れにくくなり、センサ雰囲気温度が上昇して鍋底温度の検出精度に悪影響が及ぶ。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の点に鑑み、底が上方に凹入した鍋を使用する場合にも鍋底温度を正確に検出し得るようにした鍋底温度センサ装置を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明では、こんろの環状の熱源の内径部に挿設した鍋底温度センサと、該センサを隙間を存して囲繞する遮熱筒とを備えるものにおいて、鍋底温度センサを、こんろ本体に対し支持部ばねで上方に付勢した上下動自在な支持部と、該支持部又はこんろ本体に対し感熱部ばねで上方に付勢した、鍋底に上端が当接する上下動自在な感熱部とで構成し、感熱部と支持部との間に、支持部に対する感熱部の所定ストローク以上の下降を阻止するストッパ手段を設け、支持部に遮熱筒を、こんろに鍋を載置しない自由状態で該遮熱筒から感熱部が前記所定ストローク以上の高さで突出するように固定している。
【0007】
底が平坦な鍋をこんろの五徳上に置くと、先ず、鍋底が感熱部に当接して感熱部が感熱部ばねに抗して押し下げられ、所定ストローク押し下げられたところでストッパ手段により支持部に対する感熱部のそれ以上の下降が阻止され、以後支持部が感熱部と一体に支持部ばねに抗して押し下げられる。そして、支持部の押し下げに伴って遮熱筒が下降するから、鍋底と遮熱筒との間にストッパ手段で規定される所定の隙間が確保される。
【0008】
底が上方に凹入した鍋を使用する場合は、鍋底の凹入深さ分だけ感熱部の押し下げ量が減少する。そして、凹入深さが大きくなって感熱部の押し下げ量が上記所定ストローク未満になると、支持部に対する感熱部の下降がストッパ手段で規制される前に鍋が五徳に着座し、感熱部と遮熱筒との高低差は上記所定の隙間分の高低差より大きくなり、且つ、鍋底の凹入深さが大きくなる程大きくなる。従って、鍋底と遮熱筒との間の隙間量も鍋底の凹入深さが大きくなる程大きくなり、鍋底形状に起因して鍋底と遮熱筒との間の隙間からの空気の流出が妨げられても、この妨害による空気流出量の減少は隙間量の増加で補償される。かくて、鍋底の凹入深さが大きな鍋を使用する場合でも、遮熱筒内に充分に空気が流れてセンサ雰囲気温度の上昇が防止され、鍋底温度が正確に検出される。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1を参照して、1はこんろ本体であり、こんろ本体1の上面の天板2に開設した開口2aの周縁部上面に五徳3を載置すると共に、開口2a内に汁受皿4を装着し、汁受皿4を通してその上方に突出する熱源たるバーナ5を設け、汁受皿4とバーナ5との間の隙間を煮こぼれ防止リング4aで閉塞している。
【0010】
バーナ5は、外周に炎孔5aを有する環状バーナで構成されており、バーナ5の内径部に、鍋Pの底面に当接して鍋底の温度を検出する鍋底温度センサ7と、該センサ7を隙間を存して囲繞する遮熱筒8とを挿設している。
【0011】
鍋底温度センサ7は、こんろ本体1に固定のブラケット1aに立設したロッド9の上端部に設けられている。鍋底温度センサ7は、図2に示す如く、鍋底に当接するキャップ状の感熱部70と、感熱部70を上下動自在に支持する上端を閉塞した筒状の支持部71とで構成されている。感熱部70の下面には感熱素子たるサーミスタ70aが取付けられており、サーミスタ70aに連なるリード線70bを感熱部70に垂設した中空のセンサ軸70cとロッド9とを通してこんろ本体1内の制御部10に接続している。そして、バーナ5用のガス弁ユニット11に制御部10からの信号を入力し、鍋底温度センサ7の検出温度に基づいて、空炊き等により鍋Pの温度が異常に上昇したときバーナ5を消火し、或いは、鍋Pの温度が所定温度に維持されるようにバーナ5の火力を自動調整する。
【0012】
ロッド9の上端には支持部71の下端に摺動自在に内挿されるリテーナ9bが設けられており、前記センサ軸70cの下部に第1のばね受け70dを取付けて、該ばね受け70dとリテーナ9bとの間にコイルスプリングから成る第1ばね(感熱部ばね)72を縮設し、感熱部70をロッド9に対し第1ばね72で上方に付勢している。ここで、ロッド9はブラケット1aを介してこんろ本体1に固定されているから、感熱部70はこんろ本体1に対し上方に付勢されることになる。
【0013】
また、支持部71の内周に第2のばね受け71aを取付けて、該ばね受け71aと前記リテーナ9bとの間に前記第1ばね72を囲うようにしてコイルスプリングから成る第2ばね(支持部ばね)73を縮設し、支持部71をロッド9、即ち、こんろ本体1に対し第2ばね73で上方に付勢している。尚、上記各ばね72,73は板ばね等のコイルスプリング以外のもので構成しても良い。
【0014】
遮熱筒8は、その内周の周方向複数箇所のピン8aを介して支持部71に対し固定されており、支持部71と一体に上下動される。そして、遮熱筒8の下端から空気が遮熱筒8に流入するようにしている。
【0015】
前記センサ軸70cの上部には、支持部71の上端に下方から当接して感熱部70を支持部71に対し抜止めする抜止め片70eが取付けられており、自由状態(鍋Pを載置しない状態)における感熱部70の遮熱筒8からの突出高さが図2(A)に示す如く所定量L1に規制される。また、自由状態において第1のばね受け70dは第2のばね受け71aの上方に所定距離L2だけ離間しており、L1>L2に設定されている。
【0016】
支持部71の下端には、リテーナ9bの下面に当接して支持部71を上方に抜止めする抜止め部71bが形成されており、自由状態において遮熱筒8の上端が五徳3の上面より若干上方に位置し、感熱部70の上面と五徳3の上面との間の上下方向距離L3がL1より大きくなるようにしている。
【0017】
次に、上記実施形態の作用を説明する。
五徳3に底の平坦な鍋Pを載置する際は、先ず、鍋底が感熱部70に当接して、感熱部70が第1ばね72の付勢力に抗して押し下げられる。そして、感熱部70がL2に等しいストロークだけ押し下げられると、第1のばね受け70dが第2のばね受け71aに当接し、両ばね受け70d,71aが支持部70に対する感熱部70の下降を阻止するストッパ手段74として機能し、以後感熱部70と一体に支持部71が下降し、これに伴い遮熱筒8も下降する。その結果、五徳3に鍋Pが着座した状態で、遮熱筒8と鍋底との間に、図2(B)に示す如く、L1とL2の差に等しい所定量Lの隙間が確保される。そのため、遮熱筒8にその下方から鍋底との間の隙間に向けて空気が流れ、遮熱筒8内の温度、即ち、センサ雰囲気温度の上昇が防止される。そして、五徳3の汚れ等により鍋底の載置高さがばらついても、隙間は所定量Lに正確に管理されるから、鍋底温度センサ7により鍋底の温度を正確に検出できる。
【0018】
また、鍋底が上方に凹入した鍋Pを使用した場合、鍋底の凹入深さがL3以下である限り、感熱部70は鍋底の凹入中央部に当接し、鍋底の外周の最下部が五徳3に着座するまで第1ばね72の付勢力に抗して押し下げられる。この押し下げ量は、鍋底の平坦な鍋を使用した場合に比し、鍋底の凹入深さ分だけ減少する。そして、凹入深さが大きく、感熱部70の押し下げ量がL2未満になると、図2(C)に示す如く、第1のばね受け70dが第2のばね受け71aに当接する前に鍋Pが五徳3に着座する。そのため、鍋底と遮熱筒8との間の隙間量L´は上記所定量Lより大きくなり、且つ、L´は凹入深さが大きくなる程大きくなる。従って、上方に凹入した鍋底形状に起因して鍋底と遮熱筒8との間の隙間からの空気の流出が妨げられても、この妨害による空気流出量の減少は隙間量の増加で補償される。かくて、鍋底の凹入深さが大きな鍋を使用する場合でも、遮熱筒8内に充分に空気が流れてセンサ雰囲気温度の上昇が防止され、鍋底温度が正確に検出される。
【0019】
ところで、上記実施形態では、感熱部70を第1ばね72によってこんろ本体1に対し上方に付勢したが、図3に示す第2実施形態のように、センサ軸70cに取付けた第1ばね受け70dと支持部71に取付けた第2ばね受け71aとの間に第1ばね72を縮設し、感熱部70を支持部71に対し第1ばね72によって上方に付勢しても良い。また、第2実施形態では、自由状態における感熱部70と支持部71の上端との間の距離をL2に設定し、支持部71に対する感熱部70の所定ストロークL2以上の下降を阻止するストッパ手段74を支持部71の上端で構成している。尚、感熱部70が支持部71に対しストッパ手段74で規制される位置まで下降する前に支持部71が下降すると、遮熱筒8と鍋底との間の隙間が広くなる。そこで、支持部71を上方に付勢する第2ばね73を第1ばね72より強くして、感熱部70がストッパ手段74で規制される位置に下降するまで支持部71が定位置に保持されるようにしている。
【0020】
以上、熱源として環状バーナを用いるこんろについて説明したが、熱源として環状の電気ヒータを用いるこんろにも同様に本発明を適用できる。
【0021】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、底の平坦な鍋を使用する場合、鍋底の載置高さがばらついても遮熱筒と鍋底との間の隙間量を正確に管理でき、更に、底が上方に凹入した鍋を使用する場合は、鍋底温度センサに対し遮熱筒を固定したものと異り、鍋底の凹入深さに応じて鍋底と遮熱筒との間の隙間量が変化するため、凹入深さの大きな鍋を使用する場合でも遮熱筒内に充分に空気が流れ、センサ雰囲気温度の上昇を防止して鍋底温度の検出精度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明装置を具備するこんろの一例の断面図
【図2】 (A)第1実施形態の要部の断面図、(B)底の平坦な鍋を使用したときの断面図、(C)鍋底が上方に凹入する鍋を使用したときの断面図
【図3】 第2実施形態の要部の断面図
【符号の説明】
1 こんろ本体 5 バーナ(熱源)
7 鍋底温度センサ 70 感熱部
71 支持部 72 第1ばね
73 第2ばね 74 ストッパ手段
Claims (1)
- こんろの環状の熱源の内径部に挿設した鍋底温度センサと、該センサを隙間を存して囲繞する遮熱筒とを備えるものにおいて、
鍋底温度センサを、こんろ本体に対し支持部ばねで上方に付勢した上下動自在な支持部と、該支持部又はこんろ本体に対し感熱部ばねで上方に付勢した、鍋底に上端が当接する上下動自在な感熱部とで構成し、
感熱部と支持部との間に、支持部に対する感熱部の所定ストローク以上の下降を阻止するストッパ手段を設け、
支持部に遮熱筒を、こんろに鍋を載置しない自由状態で該遮熱筒から感熱部が前記所定ストローク以上の高さで突出するように固定する、
ことを特徴とするこんろ用鍋底温度センサ装置。
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JP35762497A JP3741849B2 (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | こんろ用鍋底温度センサ装置 |
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