JP3741618B2 - 電磁継電器の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は産業機器、自動車等に適用される電磁継電器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、上述の電磁継電器は、鉄心、鉄心にコイルボビンを介して巻回されたコイル、鉄心の一端に固定された継鉄、継鉄にヒンジばねによって接続され鉄心の他端に対向して設けられた接極子、可動接点、固定接点、これらを固着固定するベースブロック等を含んで構成されている。そして、鉄心、コイル、継鉄、接極子等の電磁石アセンブリはベースブロック内の所定位置に固定され、また、可動接点、固定接点等の接点ばね組もベースブロック内の所定位置に固定される(参照:特開昭60−249221号公報)。この場合、これらの位置関係は、組み立てた後に、動作時に可動接点と固定接点との間に十分なばね接触圧力が得られるように接極子負荷を得るように予め設定されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実際には、各部品の寸法、強度等にはばらつきがある。従って、可動接点と固定接点の接点ゲージング及び接極子負荷特性も電磁継電器毎にばらつく。この結果、通常、接点ゲージング及び接極子負荷特性も各部品のばらつきを見込んで設計されている。
【0004】
従って、上述の従来形においては、電磁石の吸引力(起磁力)は最大の接極子負荷特性に合わせて設計しなければならないために、電磁石が大型化し、ひいては電磁継電器が大型化するという課題があり、また、大型化した電磁石を動作させるのに消費電力が大きくなるという課題もある。
従って、本発明の目的は、小型化かつ低消費電力の電磁継電器の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、本発明によれば、鉄心、該鉄心にコイルボビンを介して巻回されたコイル、該鉄心の一端に固定された継鉄、該継鉄に取り付けられたヒンジばね、及び該継鉄に該ヒンジばねによって接続され前記鉄心の他端に対向して設けられた接極子を有する電磁石アセンブリと、一端部分、中間部分及び他端部分を有し、該中間部分は前記電磁石アセンブリの前記継鉄が該一端部分側に向けられ且つ前記接極子が該他端部分側に位置するように当該電磁石アセンブリを収容する収容部を一体に備え、前記一端部分には接点ばね組が固着されているベースブロックと、前記接極子及び前記接点ばね組を結合するカードと、を具備する電磁継電器を製造する方法であって、前記電磁石アセンブリによって与えられた前記接極子と前記接点ばね組との間隙に前記カードを介在させ、治具により、前記接極子が前記鉄心に吸引されて密接した状態に保持すると共に、前記電磁石アセンブリを前記ベースブロックの収容部に挿入し、前記ベースブロックの収容部に対して前記電磁石アセンブリを収容して前記接極子と前記接点ばね組との相対的位置を、前記接極子と前記接点ばね組との間隙に前記カードを介在させた状態で該カードを移動させて、前記接点ばね組の接点間に所定の接触圧力が加わるように調整し、該調整された収容部の所定位置で、前記電磁石アセンブリを前記ベースブロックに取り付けたことを特徴とした電磁継電器の製造方法が提供される。
【0006】
上述の電磁継電器の製造方法によれば、電磁石アセンブリによって与えられた接極子と接点ばね組との間隙にカードを介在させ、治具により、接極子が鉄心に吸引されて密接した状態に保持すると共に、電磁石アセンブリをベースブロックの収容部に挿入し、ベースブロックの収容部に対して電磁石アセンブリを収容して接極子と接点ばね組との相対的位置を、接極子と接点ばね組との間隙にカードを介在させた状態で該カードを移動させて、接点ばね組の接点間に所定の接触圧力が加わるように調整し、そして、該調整された収容部の所定位置で、電磁石アセンブリをベースブロックに取り付ける。
【0007】
なお、カードによるベースブロックの高さ増加は実質的にない。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明が適用される電磁継電器の一実施例を示す分解斜視図、図2は図1の電磁継電器を組立てた後の一部切り欠いた組立正面図である。図1、図2において、1はコイルボビン(巻枠)であって、コイル2を巻回し、鍔部1cから突出したブロック状部分1a,1bにコイル端子3a,3bを圧入し、このコイル端子3a,3bにコイル2の両端をからげて接続してある。
【0009】
4は鉄心であって、コイル2が巻回されたコイルボビン1の中心孔を貫挿し、その先端部4aを継鉄5の孔5aに嵌挿して後、鉄心4の先端部4aをかしめて継鉄5に固着されるものである。
6はヒンジばねであって、これに設けた孔6aを接極子7の押出部7aに嵌合して後、押出部7aをかしめて接極子アセンブリとし、ヒンジばね6に設けた2つの孔6a,6bを継鉄5の下面に設けた押出部5b,5bに係合することにより電磁石アセンブリXが完成する。
【0010】
また、ベースブロック8には、その一端部分に可動接点9aを固着した可動接点ばね9、及び固定接点10a,11aを固着した固定接点ばね10,11が圧入固着され、固定接点ばね11は、その係止部11bがベースブロック8より突出したストッパ8cにより係止され、所定の位置に配置し、ベースブロックアセンブリYが完成する。ここで、ベースブロック8の中間部分には一体に形成された収容部である開口部が形成され、その他端部分には接極子7が配置される。
【0011】
12はカードであって、その端部に設けた係合部12a,12bを接極子7の切込部7b,7cに係合し、他端の突出接触部12c,12d(図3をも参照)を可動接点ばね9の孔9b,9cに挿入することにより、接極子7が鉄心4に吸引されて接極子7が回動した時、これに連動してカード12が右方向に動作することにより、可動接点ばね9が動作して可動接点9aが固定接点10aと開離した後、固定接点11aと接触するようになっている。
【0012】
13は電磁継電器の上部をカバーするための箱である。
次に、上述の電磁継電器の組立について図4を参照して説明する。ここでは、コイルボビン1、コイル2、コイル端子3a,3b、鉄心4、継鉄5、ヒンジばね6、接極子7は既に電磁石アセンブリXとして存在し、ベースブロック8は接点ばね9,10,11が既に固着されたベースブロックアセンブリYとして存在するものとする。
【0013】
始めに、電磁石アセンブリXにカード12を装着する。すなわち、上述のごとく、カード12の係合部12a,12bを接極子7の切込部7b,7cに係合せしめる。この場合、カード12は2つの腕部12e,12fを有しており、他方、ベースブロック8はコイル2の外周に沿って傾斜面部8d,8eが形成されている。従って、ベースブロック8の高さはカード12によって本来実質的に増大するが、本発明においては、カード12によるベースブロック8の高さの増大はなく、従って、電磁継電器の小型化に寄与する。
【0014】
次に、カード12が装着された電磁石アセンブリXをベースブロックアセンブリYのベースブロック8の開口部に圧入する。この場合、治具により接極子7が鉄心4に吸引されて密接した状態に保持し、この状態で電磁石アセンブリXを徐々に圧入する。すなわち、電磁石アセンブリXをベースブロック8の上部円筒状の開口部より、ベースブロック8の内壁および底部の突出部8aと、コイルボビン1の鍔部1cおよび継鉄5に設けた4個の張出部5cとを密接させながら鉄心5の軸方向に滑動して圧入する。
【0015】
この結果、接極子変位D(電磁石アセンブリXのベースブロック8に対する変位でもある)が図4のD0 となった時点で、カード12の突出接触部12c,12dがベースブロックアセンブリYの可動接点ばね9の孔9b,9cより挿入後、可動接点ばね9に接触する。
さらに、電磁石アセンブリXをベースブロック8の開口部に圧入すると、カード12の突出接触部12c,12dによって可動接点ばね9は電磁石アセンブリXの圧入方向と同一方向に移動され、その可動接点ばね9の負荷により接極子負荷Lも図4のL1 まで上昇する。この状態で電磁石アセンブリXをベースブロック8の開口部にさらに圧入すると、可動接点ばね9は固定接点ばね11に向かって移動し、接極子負荷Lも図4の値L1 より徐々に増大する。
【0016】
ここで、接極子負荷Lが図4の値L2 に到達したときの接極子変位D2 は可動接点ばね9が固定接点ばね11に接触した時点である。この時点で電磁石アセンブリXの圧入操作を一旦停止する。その後、この接極子変位D2 を基準として図4に示す一定の変位ΔDだけ電磁石アセンブリXを治具により圧入し、この結果、接極子変位D4 を電磁石アセンブリXのベースブロックアセンブリYに対する固設位置とする。
【0017】
なお、このままでも電磁石アセンブリXはベースブロック8に緊着しているが、振動、衝撃等に対する強度を増大させるため、ベースブロック8の側面に設けた孔8bより、継鉄5の張出部5cをかしめるか、または接着剤を注入する等により電磁石アセンブリXのベースブロック8に対する緊着度を強化する。
次に、上部に箱13を被せて電磁継電器は完成する。
【0018】
上述のごとく組立てられた電磁継電器の動作をやはり図4を参照して説明する。
図4の接極子変位D0 、接極子負荷0の状態は、接極子7の不動作状態つまり鉄心4の非励磁状態を示し、この状態(D0 ,0)では、可動接点9aは固定接点10aに接触している。他方、図4の接極子変位D4 、接極子負荷L4 の状態は接極子7の動作状態つまり鉄心4の励磁状態を示し、この状態では、可動接点9aは固定接点11aに接触している。
【0019】
コイル2に電流を供給すると、(接極子変位D、接極子負荷L)は(D0 ,0)から(D4 ,L4)に移行する。これを詳細に説明すると、接極子7が鉄心4に吸引されて接極子変位がD0 からD1 に変化して可動接点9aが固定接点10aから開離する。その後、接極子変位DがD2 になると、可動接点9aは固定接点11aに接触する。この結果、固定接点ばね11のばね圧に対抗して可動接点ばね9が撓みつつ接極子変位Dは値D2 から値D3 となって接極子負荷Lは値L2 から値L3 へ急上昇する。この状態(L3 ,D3)にて、固定接点ばね11はベースブロック8のストッパ8cから離脱し、さらに可動接点9aが固定接点11aを押しながら変位し、最終的な状態(D4 ,L4)となる。この最終的な状態(D4 ,L4)では、接極子7は鉄心4に完全に密着し、接極子変位Dは停止し、可動接点9aの変位も停止する。
【0020】
図4における変位ΔDは、可動接点9aが固定接点11aに接触した時点から接極子7が鉄心4に密着する時点までのいわゆる接点追従(フォロー)と称される接極子変位であって、接点9a,11aが摩耗しても接点9a,11a間の接触を保証するものである。この変位ΔDの間では、接極子7の負荷Lが最も重くなる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、電磁石アセンブリXとベースブロックアセンブリYとの相対的距離を調整可能としたので、各部品の組立時のばらつきを吸収して図4における変位ΔDを略一定に保つことができ所定の接極子負荷特性Lを小さく設定できる。従って、鉄心の吸引力を小さくすなわち電磁石を小型化でき、ひいては電磁継電器を小型化できる。また、電磁石を小型化できた分、消費電力も小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される電磁継電器の一実施例を示す分解斜視図である。
【図2】図1の電磁継電器を組立てた後の一部切り欠いた組立正面図である。
【図3】図1のカードの側面図である。
【図4】図1の電磁継電器の組立操作及び動作特性を説明するグラフである。
【符号の説明】
X…電磁石アセンブリ
Y…ベースブロックアセンブリ
1…コイルボビン
2…コイル
3a,3b…コイル端子
4…鉄心
5…継鉄
6…ヒンジばね
7…接極子
8…ベースブロック
9…可動接点ばね
10,11…固定接点ばね
12…カード
13…箱
Claims (1)
- 鉄心(4)、該鉄心にコイルボビン(1)を介して巻回されたコイル(2)、該鉄心の一端に固定された継鉄(5)、該継鉄に取り付けられたヒンジばね(6)、及び該継鉄に該ヒンジばねによって接続され前記鉄心の他端に対向して設けられた接極子(7)を有する電磁石アセンブリ(X)と、
一端部分、中間部分及び他端部分を有し、該中間部分は前記電磁石アセンブリ(X)の前記継鉄(5)が該一端部分側に向けられ且つ前記接極子(7)が該他端部分側に位置するように当該電磁石アセンブリ(X)を収容する収容部を一体に備え、前記一端部分には接点ばね組(9,10,11)が固着されているベースブロック(8)と、
前記接極子(7)及び前記接点ばね組(9,10,11)を結合するカード(12)と、を具備する電磁継電器を製造する方法であって、
前記電磁石アセンブリ(X)によって与えられた前記接極子(7)と前記接点ばね組(9,10,11)との間隙に前記カード(12)を介在させ、
治具により、前記接極子(7)が前記鉄心(4)に吸引されて密接した状態に保持すると共に、前記電磁石アセンブリ(X)を前記ベースブロック(8)の収容部に挿入し、
前記ベースブロック(8)の収容部に対して前記電磁石アセンブリ(X)を収容して前記接極子(7)と前記接点ばね組(9,10,11)との相対的位置を、前記接極子(7)と前記接点ばね組(9,10,11)との間隙に前記カード(12)を介在させた状態で該カード(12)を移動させて、前記接点ばね組(9,10,11)の接点間に所定の接触圧力が加わるように調整し、
該調整された収容部の所定位置で、前記電磁石アセンブリ(X)を前記ベースブロック(8)に取り付けたことを特徴とした電磁継電器の製造方法。
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