JP3741531B2 - 液圧倍力装置およびこの液圧倍力装置を用いたブレーキ液圧倍力システム - Google Patents
液圧倍力装置およびこの液圧倍力装置を用いたブレーキ液圧倍力システム Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液圧により入力を所定の大きさに倍力させて出力する液圧倍力装置およびこの液圧倍力装置を用いたブレーキ液圧倍力システムの技術分野に属し、特に、サーボ制御時の途中でサーボ比を変化させることができるようにする液圧倍力装置およびこの液圧倍力装置を用いたブレーキ液圧倍力システムの技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車のブレーキ液圧倍力装置は、小さなペダル踏力で大きなブレーキ力を得るようにするものである。このブレーキ液圧倍力装置の一例として、自動車のブレーキ液圧倍力システムに用いられたブレーキ液圧倍力装置が、実願平4ー33402号(実開平5ー84553号)のマイクロフィルムにより提案されている。
【0003】
図12は、このマイクロフィルムに開示されているブレーキ液圧倍力装置を示す図である。図中、1′はブレーキ液圧倍力装置、2′はハウジング、3′はプラグ、4′はパワーピストン、5′は制御弁、6′は弁座部材、7′は筒状固定部材、8′はナット、9′はボール弁、10′は弁体、11′は筒状部材、12′は入力軸、13′は筒状ストッパ部材、14′は反力ピストン、15′は動力室、16′は出力軸である。
【0004】
このブレーキ液圧倍力装置1′においては、図示の非作動状態では、制御弁5′のボール弁9′が弁座部材6′に着座しているとともに、筒状部材11′の先端弁部がボール弁9′から離座している。したがって、動力室15′が、図示しない液圧源に常時接続されている入力口17′から遮断しているとともに、同じく図示しないリザーバに常時接続されている室18′に連通し、動力室15′には液圧が導入されていなく、パワーピストン4′は作動しない。
【0005】
この非作動状態から入力が加えられて、入力軸12′が前進すると、筒状部材11′も前進して、筒状部材11′の先端弁部が制御弁5′のボール弁9′に当接するとともにこのボール弁9′を押して、弁座部材6′から離座する。これにより、動力室15′は入力口17′に連通するとともに、室18′から遮断し、動力室15′に圧液が導入され、パワーピストン4′が作動する。パワーピストン4′の作動により、ブレーキ液圧倍力装置1′は出力軸16′から出力し、図示しないマスタシリンダのピストンを作動し、マスタシリンダはブレーキ液圧を発生する。動力室15′の液圧が入力に応じた大きさになると、ボール弁9′が弁座部材6′に着座するので、ブレーキ液圧倍力装置1′の出力は、入力を倍力した大きさとなる。
【0006】
動力室15′の液圧により、反力ピストン14′がスプリング19′に対抗して後方に押圧されるが、動力室15′の液圧がまだ小さく、ブレーキシステムのロスストロークが解消しないで実質的にブレーキ力が発生しない初期段階では、反力ピストン14′が入力軸12′の段部12′aに当接しないので、倍力比つまりサーボ比がきわめて大きいサーボ制御によるジャンピング作用が行われる。動力室15′の液圧が所定圧となって、反力ピストン14′が入力軸12′の段部12′aに当接した後は、ブレーキ力が実質的に発生し、このときサーボ比が小さくなって通常ブレーキのサーボ比となり、これ以後ブレーキ液圧倍力装置1′は、入力をこのサーボ比で倍力した出力を発生する通常ブレーキ時のサーボ制御を行うようになる。
【0007】
動力室15′の液圧が液圧源で発生する圧力で決まる最大圧となって、それ以上上昇しなくなると、ブレーキ液圧倍力装置1′は全負荷となってサーボ制御を行わなく、それ以後は入力の上昇分に基づく出力上昇分は倍力されない大きさとなる。
【0008】
入力をなくすと、入力軸12′が図示しないリターンスプリングにより後退するので、筒状部材11′も後退して、筒状部材11′の先端弁部が制御弁5′のボール弁9′から離座する。これにより、動力室15′は入力口17′から遮断するとともに、室18′に連通し、動力室15′に導入された液圧がリザーバに排出され、パワーピストン4′がリターンスプリング20′により後退する。入力軸12′に固定された筒状ストッパ部材13′がプラグ3′のストッパ21′に当接すると、入力軸12′はそれ以上後退しなく、後退限となって、図示の非作動状態に戻る。動力室15′の液圧が完全に排出されると、パワーピストン4′も図示の非作動状態に戻り、ブレーキ液圧倍力装置1′は出力しなく、マスタシリンダも非作動状態となる。
【0009】
この従来のブレーキ液圧倍力装置1′においては、図13に示すように実質的にブレーキ力が発生するサーボ制御でのサーボ比は一定となっている。通常は、このサーボ比は通常ブレーキ時で望まれる入出力特性に合わせて設定されている。このようにサーボ比が一定であると、急ブレーキ時でも入出力特性が通常ブレーキ時の場合と同じになり、通常ブレーキ時でも、急ブレーキ時でも、同じ入力に対してブレーキ力は同じ速さで上昇するようになっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両のブレーキシステムにおいては、急ブレーキ時は、通常ブレーキ時よりはなるべく早く大きなブレーキ力を発生させることができるようにすることが望ましい。
【0011】
また、急ブレーキ時に大きなブレーキ力を発生させる必要があるが、初心者等の自動車の運転に慣れていないドライバのなかには、ブレーキペダルを大きく踏み込むことができなく、大きなブレーキ力を発生させることができない場合があり、このような場合には、運転に慣れていないドライバであっても、確実に大きなブレーキ力を発生させるために補助できるようにすることが望ましい。
【0012】
しかしながら、従来のブレーキ液圧倍力装置1′では、実質的にブレーキ作動が行われるサーボ制御でのサーボ比が一定であるため、急ブレーキ時に通常ブレーキ時より早く大きなブレーキ力を発生させることはできないばかりでなく、運転に慣れていない人に対して、確実に大きなブレーキ力を発生させるように補助することはできなく、前述のような要望に確実に応えることが難しい。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡単な構造で、所定以上の入力で通常の出力より大きな出力を得ることのできる液圧倍力装置を提供することである。
【0014】
また、本発明の他の目的は、急ブレーキ時にはなるべく早く大きなブレーキ力を得ることができるとともに、運転に慣れていない人にも、確実に大きなブレーキ力を発生させるように補助することのできるブレーキ液圧倍力装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、請求項1の発明の液圧倍力装置は、液圧を発生する液圧源と、作動液を貯えるリザーバと、前部が小径部にかつ後部が大径部になる段部を有するとともに出力を発生するパワーピストンと、このパワーピストンの後方部の受圧面が面する動力室と、非作動時に前記動力室を前記液圧源から遮断するとともに前記リザーバに連通し、作動時に前記動力室を前記リザーバから遮断するとともに前記液圧源に連通して、前記液圧源の圧液をその作動に応じて前記動力室に導入する制御弁と、この制御弁を作動制御する入力軸とを備え、前記パワーピストンの段部が位置するように反力室が形成されており、前記動力室の液圧が所定圧より小さい時に前記反力室にサーボ比制御圧の圧液を導入するとともに、前記動力室の液圧が前記所定圧以上の時に前記反力室の圧液を前記リザーバに排出するサーボ比制御圧制御弁が設けられていることを特徴としている。
【0016】
また請求項2の発明は、液圧を発生する液圧源と、作動液を貯えるリザーバと、前部が小径部にかつ後部が大径部になる段部を有するとともに出力を発生するパワーピストンと、このパワーピストンの後方部の受圧面が面する動力室と、非作動時に前記動力室を前記液圧源から遮断するとともに前記リザーバに連通し、作動時に前記動力室を前記リザーバから遮断するとともに前記液圧源に連通して、前記液圧源の圧液をその作動に応じて前記動力室に導入する制御弁と、この制御弁を作動制御する入力軸と、外径が前記入力軸の制御弁側と反対側の部分の径より大きく設定されて筒状に形成されているとともに前記入力軸の小径部に摺動可能に嵌合され、その前端が前記動力室に面しかつその後端が前記入力軸の段部に当接可能な反力ピストンと、この反力ピストンの後端が前記入力軸の段部から離れる方向に常時付勢するとともに、前記動力室の液圧が第1所定圧以上の時前記反力ピストンの後端を前記入力軸の段部に当接させるスプリングと、入力が加えられて前記入力軸を作動する操作手段とを備え、前記パワーピストンの段部が位置するように反力室が形成されており、前記動力室の液圧が前記第1所定圧より大きい第2所定圧より小さい時に前記反力室にサーボ比制御圧の圧液を導入するとともに、前記動力室の液圧が前記第2所定圧以上の時に前記反力室の圧液を前記リザーバに排出するように制御するサーボ比制御圧制御弁が設けられていることを特徴としている。
【0017】
更に請求項3の発明は、前記サーボ比制御圧制御弁が、パワーピストンに設けられ、前記動力室の液圧によって作動制御される切換弁であることを特徴としている。
更に、請求項4の発明は、前記切換弁が、スプール弁であることを特徴としている。
【0018】
更に、請求項5の発明は、前記サーボ比制御圧制御弁が、1つの切換弁または2つの開閉弁からなることを特徴としている。
更に、請求項6の発明は、前記切換弁または前記開閉弁が、前記動力室の液圧によって作動制御されるか、前記動力室の液圧に応じて励磁される電磁力によって制御されることを特徴としている。
【0019】
更に、請求項7の発明は、前記サーボ比制御圧が、前記動力室の液圧であることを特徴としている。
更に、請求項8の発明は、前記サーボ比制御圧制御弁が、前記動力室の液圧に応じて制御される電磁比例制御弁であり、前記サーボ比制御圧は、前記動力室の液圧または前記液圧源の液圧を前記電磁比例制御弁によって制御された液圧であることを特徴としている。
【0020】
更に、請求項9の発明は、請求項1ないし8のいずれか1記載の液圧倍力装置と、この液圧倍力装置の出力によって作動制御され、ブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと、このマスタシリンダのブレーキ液圧が導入されることによりブレーキ力を発生するブレーキシリンダとを備えていることを特徴としている。
【0021】
更に、請求項10の発明は、2系統のブレーキシステムにおいて、請求項1ないし8のいずれか1記載の液圧倍力装置と、この液圧倍力装置の出力によって作動制御され、ブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと、前記液圧倍力装置の前記動力室の液圧が導入されることによりブレーキ力を発生する一方の系統のブレーキシリンダと、前記マスタシリンダのブレーキ液圧が導入されることによりブレーキ力を発生する他方の系統のブレーキシリンダとを備えて、セミフルパワーブレーキが構成されていることを特徴としている。
【0022】
【作用】
このような構成をした請求項1の発明の液圧倍力装置においては、作動時動力室の液圧が所定圧より小さい間は、反力室が動力室の液圧と等しい液圧となっているとともに、この反力室のサーボ比制御圧がパワーピストンの段部に、動力室の液圧と対抗するように作用するので、サーボ比は通常ブレーキ時の小さいサーボ比となり、このサーボ比でサーボ制御が行われる。更に、動力室の液圧が所定圧以上の時は、反力室の圧液がリザーバに排出されて大気圧となり、パワーピストンの段部には圧力が作用しないので、大きいサーボ比となり、液圧倍力装置の出力が大きくなる。
【0023】
このように、パワーピストンに段部を形成するとともに、この段部を反力室に位置させるだけで、簡単な構造で、液圧倍力装置は、入力がある所定以上大きくなったとき、小さいサーボ比から大きいサーボ比に変更する、いわゆる逆二段サーボ特性を発揮するようになる。
【0024】
また、請求項2の発明の液圧倍力装置においては、作動時動力室の液圧が第1所定圧より小さい時は、反力ピストンが入力軸の段部に当接しなく、液圧倍力装置はジャンピング作用を行うようになる。また、反力ピストンが入力軸の段部に当接して、ジャンピング作用の終了後は、請求項1の発明と同様に逆二段サーボ作用を行うようになる。
【0025】
更に、請求項3の発明においては、動力室の液圧が所定圧となると、切換弁が切換制御され、これにより反力室のサーボ比制御圧がリザーバに排出され、大きなサーボ比のサーボ制御が行われる。
更に、請求項4の発明においては、反力室に対するサーボ比制御圧の給排がスプール弁で制御されるようになる。
【0026】
更に、請求項5の発明においては、動力室の液圧が所定圧となると、1つの切換弁または2つの開閉弁が切換制御され、これにより反力室のサーボ比制御圧がリザーバに排出され、大きなサーボ比のサーボ制御が行われる。
更に、請求項6の発明においては、請求項5の切換弁または開閉弁が、動力室の液圧、または動力室の液圧に応じて励磁される電磁力によって制御されるようになる。
【0027】
更に、請求項7の発明においては、動力室の液圧がサーボ比制御圧として反力室に導入され、この動力室の液圧によりサーボ比変更が制御されるようになる。
【0028】
更に、請求項8の発明においては、電磁比例制御弁により、反力室へのサーボ比制御圧が制御されるので、サーボ比の切り換えが滑らかに行われるようになる。 更に、請求項9および10の発明のブレーキ制御システムにおいては、簡単構造で、ジャンピング特性によりブレーキ力の立ち上がりが早くなるとともに、逆二段サーボ制御により、急ブレーキ時や初心者等の運転者でも大きなブレーキ力を得ることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係るブレーキ液圧倍力システムの実施の形態の第1例を示す断面図、図2は図1の部分拡大断面図である。
【0030】
図1および図2に示すように本例のブレーキ液圧倍力システムに用いられているブレーキ液圧倍力装置1は、マスタシリンダ2が一体に設けられており、このマスタシリンダ2と共通のハウジング3を備えている。
【0031】
ハウジング3には、小径部4a、中径部4b、および大径部4cからなる段付孔4が軸方向にかつ図1において右端に開口して穿設されている。この段付孔4の右端開口部は、Oリング5を有するプラグ6によって液密に閉塞されている。このプラグ6は段付筒状突出部6aを有しており、この段付筒状突出部6aの小径突出部6bがハウジング3の段付孔4の中径部4b内に配置されているとともに、段付筒状突出部6aの大径突出部6cが中径部4b内に液密に嵌合されている。また、プラグ6はハウジング3に螺合されたナット7によって段付孔4の中径部4bと大径部4cとの間の段部に当接されてハウジング3に固定されている。
【0032】
段付孔4の中径部4b内にパワーピストン8が液密にかつ摺動可能に配設されている。パワーピストン8には、その中心に位置して軸方向に延びるとともにパワーピストン8の後端(図1および図2において右端)に開口する段付孔9が穿設されており、段付孔9の小径部9a内には、第1弁座10aを有する筒状の弁座部材10が液密に嵌合されている。弁座部材10の右端のフランジ部10bが段付孔9の段部に当接されているとともに、段付孔9の大径部9b内に嵌入された筒状固定部材11によって反力ピストン20を介して軸方向に支持されており、更に筒状固定部材11はナット12によってパワーピストン8に固定されている。なお、反力ピストン20は、後述するようにブレーキ液圧倍力装置1にジャンピング機能を持たせるものであるが、この第1例では、反力ピストン20は作動不能とされて、第1例のブレーキ液圧倍力装置1の機能に直接的に関与しないので、省略することもできる。その場合には、弁座部材10の右端のフランジ部10bは筒状固定部材11によって軸方向に直接固定支持される。
【0033】
段付孔9の小径部9a内には、カラー13が液密に嵌合されているとともに、このカラー13に、ボール弁14を支持した弁体15が摺動可能に配設されており、この弁体15はスプリング16によりボール弁14が弁座部材10の第1弁座10aに着座する方向に常時付勢されている。また、弁座部材10の軸方向孔10c内に、筒状部材17の先端部が配置されており、その先端に第2弁座17aがボール弁14に着座可能に設けられている。また、筒状部材17の後端部はは、段部18aを有する入力軸18の先端に嵌合固定されている筒状ストッパ部材22に液密に嵌合されている。
【0034】
筒状ストッパ部材22には、プラグ6の小径突出部6bの先端に当接可能で、この当接時に入力軸18の後退限を規定するフランジ状のストッパ部22aが設けられている。弁座部材10と筒状部材17との間にはスプリング19が縮設されていて、筒状部材17および入力軸18は、常時右方に付勢されている。入力軸18はプラグ6を液密に貫通し、その後端は、図示しないがブレーキペダルに連結されるようになっている。
【0035】
ハウジング3には、圧液が導入される入力口23と、この入力口23とパワーピストン8の外周に形成された環状凹部24とを常時接続する通路孔25とが設けられている。また、パワーピストン8には、環状凹部24と段付孔9の小径部9aとを連通する通路孔26が穿設されている。その場合、通路孔26は、弁座部材10とカラー13との間の小径部9aに開口している。
【0036】
プラグ6とパワーピストン8の右端との間の段付孔4の中径部4bには、動力室27が形成されており、この動力室27は弁座部材10の軸方向孔10cに常時連通されている。この動力室27内に、筒状ストッパ部材22のストッパ部22aおよび筒状部材17がそれぞれ位置されている。なお、プラグ6の小径突出部6bの外周面と筒状固定部材11の内周面との間には隙間が設けられていて、筒状固定部材11の軸方向の両方向で作動液が自由に流動可能となっている。また、動力室27は、ハウジング3に穿設された通路孔28を介して出力口29に常時連通されているとともに、この出力口29は2ブレーキ系統のうちの一方の系統におけるホイールシリンダ30,31に常時連通されている。
【0037】
また、左右両端に開口する筒状部材17の軸方向の通路孔17bは、入力軸18に穿設された軸方向の通路孔32および径方向の通路孔33、プラグ6に形成された環状溝34および径方向の通路孔35、プラグ6とハウジング3との間に形成された環状室36、ハウジング3に穿設された軸方向の通路孔37を介して排出口38に常時連通されており、この排出口38はリザーバ39に連通可能とされている。更に、動力室27は、パワーピストン8に穿設された通路孔40を介して弁体15の左端に面する室41に常時連通されている。
【0038】
入力口23とリザーバ39とを接続する液圧回路42に、モータ43で駆動される液圧ポンプ44と液圧ポンプ44の吐出側にチェックバルブ45を介してアキュムレータ46とがそれぞれ設けられている。アキュムレータ46には、液圧ポンプ44の吐出圧によって常時所定圧が蓄えられるようになっている。
【0039】
パワーピストン8の前部側には、パワーピストン8とプラグ47とにより、軸方向空間48が形成されているとともに、この軸方向空間48はパワーピストン8の径方向通路孔49を介して、パワーピストン8の小径部8aの外周面とハウジング3における段付孔4の中径部4bの内周面との間に形成された環状の反力室50に常時連通している。この反力室50は、パワーピストン8の大径部8bに設けられたOリング51と小径部8aに設けられたカップシール52とにより、軸方向に液密にされている。カップシール52は、パワーピストン8と後述するマスタシリンダピストンとの間の、段付孔4の小径部4aに設けられた室53から反力室50に向かう液の流れは許容するようになっている。更に、反力室50には、パワーピストン8の段部8cとハウジング3の段付孔4の小径部4aと中径部4bとの間の段部との間に、リターンスプリング54が縮設されており、このリターンスプリング54はパワーピストン8を常時非作動方向に付勢している。
【0040】
軸方向空間48には、スプール弁55が摺動可能に設けられている。スプール弁55の外周面には、第1および第2環状溝56,57が形成されている。また、スプール弁55には、第1環状溝56に連通するとともに、スプール弁55の後端面に開口する第1通路孔58が設けられているとともに、第2環状溝57に連通するとともに、スプール弁55の前端面に開口する第2通路孔59が設けられている。更に、スプール弁55の後端面は、パワーピストン8に穿設された通路孔60を介して室41に常時面しており、またスプール弁55の前端面は、パワーピストン8およびプラグ46に穿設された通路孔61を介して室53に常時面している。
【0041】
更に、スプール弁55はスプリング62により後方へ常時付勢されていて、」通常時は図示の非作動位置に設定されている。そして、スプール弁55のこの非作動位置では、第1環状溝56が径方向通路孔49に連通するとともに第2環状溝57が径方向通路孔49から遮断されている。したがって、この状態では、反力室50は、径方向通路孔49、第1環状溝56、第1通路孔58、通路孔60、室41、通路孔40を通って、動力室27に連通され、かつ室53から遮断されるようになっている。また、室41の液圧つまりは動力室27の液圧が所定圧以上になると、スプール弁55は、スプリング62のばね力に抗して前進する。すると、第1環状溝56が径方向通路孔49から遮断されるとともに第2環状溝57が径方向通路孔49に連通するようになる。したがって、この状態では、反力室50は、径方向通路孔49、第2環状溝57、第2通路孔59、および通路孔61を通って室53に連通され、かつ室41から遮断されるようになっている。室53は接続口63に常時連通している。
【0042】
ところで、この第1例のブレーキ液圧倍力システムは自動ブレーキの機能も有しており、自動ブレーキの機能のために、電磁切換弁64と電磁開閉弁65とが設けられている。電磁切換弁64は、接続口63をリザーバ39に接続する第1位置Iと、接続口63を、圧力調整弁66を介してアキュムレータ46に接続する第2位置IIとが設定されており、通常時は第1位置Iに設定されている。また、電磁開閉弁65は、排出口38をリザーバ39に接続する第1位置Iと、排出口38とリザーバ39とを遮断する第2位置IIとが設定されており、通常時は第1位置Iに設定されている。
【0043】
一方、パワーピストン8の前方には、マスタシリンダ2のマスタシリンダピストン67が配設されており、このマスタシリンダピストン67は、パワーピストン8の小径部8aの有効受圧面積と同じ有効受圧面積に設定されて、ハウジング3の段付孔4の小径部4aに摺動可能に嵌合されている。このマスタシリンダピストン67により、ハウジング3の小径部4a内には液室68が画成されているとともに、この液室68は出力口69を介して2ブレーキ系統のうちの他方の系統におけるホイールシリンダ70,71に常時連通されている。
【0044】
マスタシリンダピストン67の両端には、それぞれカップシール72,73が設けられている。カップシール72は、液室68からこのカップシール72より後方の室74へ向かう液の流れを阻止しかつ室74から液室68へ向かう液の流れを許容するようになっている。また、カップシール73は、室53から室74へ向かう液の流れを阻止しかつ室74から室53へ向かう液の流れを許容するようになっている。室74はハウジング3に穿設された図示しないブレーキ液供給口を介してリザーバ39に常時連通している。
【0045】
マスタシリンダピストン67に穿設された軸方向孔67aには、先端に弁75が設けられた弁ロッド76が貫通しており、この弁ロッド76はハウジング3に設けられた弁解放ロッド77に当接可能となっている。弁解放ロッド77は、マスタシリンダピストン67および段付孔4の小径部4aをそれぞれ径方向に貫通しているとともに、マスタシリンダピストン67が弁解放ロッド77に対して軸方向に相対摺動可能となっている。更に、弁75はスプリング78によってマスタシリンダピストン67の軸方向孔を閉じる方向に常時付勢されている。
【0046】
そして、マスタシリンダピストン67が図示の非作動位置にあるときは、弁ロッド76が弁解放ロッド77に当接することにより、弁75がスプリング78のばね力に抗して前進して、軸方向孔67aが開き、液室68と室74とが連通するようになっている。また、マスタシリンダピストン67が前進したときは、弁ロッド76が弁解放ロッド77から離れ、かつスプリング78のばね力により弁75が軸方向孔67aを閉じ、リザーバ39と液室68とが遮断されて、マスタシリンダ圧が発生するようになっている。
液室68内には、マスタシリンダピストン67を常時非作動方向に付勢するリターンスプリング79が縮設されている。
【0047】
更に、マスタシリンダピストン67の後端に突起80が形成されているとともに、この突起80が、パワーピストン8の前端のプラグ47の前面に形成された凹部81に嵌入しかつ凹部81の底部に当接されている。
【0048】
このように、本例のマスタシリンダ2と一体のブレーキ液圧倍力装置1を用いたブレーキ液圧倍力システムは、一方のブレーキ系統のホイールシリンダ30,31に動力室27の液圧が導入されるとともに、他方のブレーキ系統のホイールシリンダ70,71にマスタシリンダ圧が導入されるという、セミフルパワーブレーキシステムとして構成されている。
【0049】
次に、この例のブレーキ液圧倍力装置1の作用について説明する。
ブレーキペダルが踏み込まれないブレーキ非操作時は、ボール弁14、弁座部材10の第1弁座10aおよび筒状部材17の第2弁座17aは、図1および図2に示す位置関係にある。すなわち、ボール弁14が第1弁座10aに着座しているとともに、第2弁座17aがボール弁14から離座している。この状態では、入力口23に常時連通している通路孔26と弁座部材10の軸方向孔10cとが遮断されているとともに、弁座部材10の軸方向孔10cと排出口38に常時連通している筒状部材17の軸方向孔17bとが連通している。したがって、ブレーキ非操作時は、動力室27がポンプ44およびアキュムレータ46から遮断されているとともにリザーバ39に連通し、動力室27には圧液が供給されない。更に、筒状ストッパ部材22のストッパ部22aがプラグ6の小径突出部6bに当接しているとともに、スプール弁55が図示の位置にあり、反力室50は動力室27に連通している。更に、電磁切換弁64および電磁開閉弁65がともに第1位置Iに設定されて、室53および排出口38がともにリザーバ39に接続されている。
【0050】
この状態で、ブレーキペダルの踏込みによりブレーキ操作が行われると、入力軸18が前進し、筒状部材17の第2弁座17aがボール弁14に着座するとともに、ボール弁14が弁座部材10の第1弁座10aから離座するので、通路孔26と弁座部材10の軸方向孔10cとが連通するとともに、弁座部材10の軸方向孔10cと筒状部材17の軸方向孔17bとが遮断される。したがって、動力室27がリザーバ39から遮断されるとともにポンプ44およびアキュムレータ46に連通し、動力室27にアキュムレータ44の圧液が供給される。この場合、ボール弁14、第1弁座10aおよび第2弁座17aにより、動力室27をポンプ44およびアキュムレータ46の液圧源またはリザーバ39に選択的に切換制御するブレーキ液圧倍力装置1の制御弁82が構成されている。
【0051】
動力室27内に導入された圧液がリターンスプリング54のばね力に打ち勝つ圧力になると、この液圧によりパワーピストン8が前進してブレーキ液圧倍力装置1が出力を発生するとともに、マスタシリンダピストン67が前進して、弁75が軸方向孔67aを閉じ、液室68にマスタシリンダ圧が発生する。ブレーキ液圧倍力装置1の出力は入力を倍力したものとなっている。そして、動力室27内の液圧が一方の系統の両ホイールシリンダ30,31に導入されるとともに、マスタシリンダ圧が他方の系統の両ホイールシリンダ70,71に導入され、両系統のブレーキが作動する。
【0052】
動力室27内の圧液は軸方向の通路孔40を介して室41内に導入され、この室41内の液圧が弁体15に作用することにより、弁体15は動力室27の液圧に対抗する方向に付勢される。更に、室41の圧液は通路孔60、第1通路孔58、第1環状溝56、および通路孔49を介して反力室50にも導入される。この反力室50の液圧が、パワーピストン8の段部8cに作用してこのパワーピストン8をその出力に対抗するように付勢する。
【0053】
入力軸18は、その先端にある筒状部材17および筒状ストッパ部材22の有効受圧面が受ける動力室27内の液圧による力が作用されるようになり、この力が反力として運転者に伝えられる。
【0054】
入力軸18の反力が入力軸18の入力に等しくなると、ボール弁14が第1弁座10aおよび第2弁座17aのいずれにも着座し、動力室27はアキュムレータ46およびリザーバ39のいずれからも遮断され、パワーピストン8は入力を倍力した出力を発生するようになる。
【0055】
いまブレーキ液圧倍力装置1の出力をW1、動力室27の液圧P1、マスタシリンダピストン67の有効受圧面積をA2、リターンスプリング54のばね力をSPGとすると、このときのブレーキ液圧倍力装置1の出力W1は、
【0056】
【数1】
【0057】
で与えられるとともに、図3に示すように通常ブレーキの小さいサーボ比(小さな傾き)の直線αで表される。
入力軸18の入力が更に上昇すると、再びボール弁14が第1弁座10aから離座し、動力室27には更に圧液が供給され、動力室27内の液圧が更に上昇する。
【0058】
入力が所定量になって、動力室27内の液圧がスプール弁55の作動圧になると、スプール弁55がスプリング62のばね力に抗して前進し、第1環状溝56が通路孔49から遮断され、かつ第2環状溝57が通路孔49に接続される。すると、反力室50は室41から遮断されるとともに、室53つまりリザーバ39に接続され、反力室50の圧液がリザーバ39に排出されて、反力室50は大気圧となる。したがって、パワーピストン8の段部8cには液圧が作用しなくなり、ブレーキ液圧倍力装置1の出力は大きくなる。以後、ブレーキ液圧倍力装置1の出力は入力軸18の入力に対して通常ブレーキ時のサーボ比より大きなサーボ比で大きく上昇する。これにより、各ホイールシリンダ30,31;70,71はそれぞれ入力軸18の入力に対して通常ブレーキ時のブレーキ力より大きなブレーキ力を発生する。このときの、ブレーキ液圧倍力装置1の出力W2は、
【0059】
【数2】
【0060】
で与えられるとともに、図3に示すように大きなサーボ比(大きな傾き)の直線βで表される。
【0061】
このように、この第1例のブレーキ液圧倍力装置1は、入力が所定以上大きくなると通常ブレーキ時のサーボ比より大きなサーボ比でサーボ制御を行う逆二段サーボ作用を行うようになる。
【0062】
更に、入力が上昇して、動力室27の液圧がアキュムレータ46に蓄圧される最大設定圧になると、動力室27の液圧はそれ以上上昇しなく、ブレーキ液圧倍力装置1は大きなサーボ比によるサーボ制御を終了し、全負荷状態となる。したがって、これ以後、ブレーキ液圧倍力装置1の出力上昇分は、入力上昇分を倍力しないものとなる。
【0063】
ブレーキペダルを解放してブレーキ作動を解除すると、入力軸18および筒状部材17がともに後退して制御弁82の第2弁座17aがボール弁14から離座し、動力室27内の圧液が、弁座部材10の軸方向孔10c、ボール弁14と第2弁座17aとの間の隙間、筒状部材17の軸方向の通路孔17b、軸方向通路孔32、径方向通路孔33、環状溝34、径方向通路孔35、環状室36、軸方向通路孔37、排出口38、および電磁開閉弁65を通ってリザーバ39に排出される。このとき、入力軸18がパワーピストン8に対して大きく後退するので、第2弁座17aがボール弁14から大きく開き、動力室27内の圧液は迅速に排出される。動力室27内の圧液の排出により、一方の系統の両ホイールシリンダ30,31の圧液も迅速に動力室27を通ってリザーバ39に排出されて、両ホイールシリンダ30,31の液圧が低下する。
【0064】
一方、リターンスプリング79のばね力により、マスタシリンダピストン67が後退するため、液室68の液圧および他方の系統の両ホイールシリンダ70,71の液圧がともに低下する。そして、弁ロッド76が弁開放ロッド77に当接すると、それ以後のマスタシリンダピストン67の後退に対して、弁75が軸方向孔67aを開き、液室68がリザーバ39に接続される。このため、両ホイールシリンダ70,71の圧液も迅速に液室68を通ってリザーバ39に排出されて、両ホイールシリンダ70,71の液圧が更に低下する。これにより、両系統のブレーキが迅速に解除開始される。
【0065】
動力室27内の液圧がスプール弁55の作動圧より低下すると、スプール弁55が非作動位置に後退し、反力室50がリザーバ39から遮断され、かつ室42に連通される。すると、反力室50に、再び動力室27の圧液が導入され、前述と同様に反力室50の液圧がパワーピストン8の段部8cに作用する。このため、ブレーキ液圧倍力装置1の出力は、入力の低下に対して、小さいサーボ比の直線αに沿って低下するようになる。
【0066】
ブレーキ解除がほぼ終了するまで入力軸18が更に後退すると、筒状ストッパ部材22のストッパ部22aがプラグ6の小径突出部6bの先端に当接することにより、入力軸18および筒状部材17の後退が停止し、入力軸18および筒状部材17はともに後退限となる。しかしながら、入力軸18および筒状部材17の後退が停止しても、パワーピストン8、ボール弁14および弁座部材10は、ともに更に後退を続けるため、ボール弁14が筒状部材17の第2弁座17aに近づいてくる。
【0067】
パワーピストン8の後端がプラグ6に当接すると、パワーピストン8の後退が停止して非作動位置となるとともに、マスタシリンダピストン47が非作動位置となって、ブレーキが迅速にかつ完全に解除される。このブレーキ解除時では、ブレーキ液圧倍力装置1の出力は、入力の低下に対して、入力上昇時とは逆に、全負荷、直線β、および直線αに沿って降下するようなる。
【0068】
パワーピストン8の非作動位置では、ボール弁14が筒状部材17の第2弁座17aにきわめて近づいてボール弁14と第2弁座17aとの間の間隙がきわめて小さくなり、着座寸前となる。したがってブレーキペダルが踏み込まれて入力軸18および筒状部材17が前進すると、直ぐに第2弁座17aがボール弁14に着座するとともにボール弁14が弁座部材10の第1弁座10aから直ぐに離座する。すなわち、制御弁82の切換作動を行うためのロスストロークがきわめて小さくなり、ブレーキが迅速に作動する。
【0069】
このようにして、ブレーキ操作時には迅速にブレーキが作動するとともに、ブレーキ操作解除時にはブレーキ作動が迅速に解除し、ブレーキ液圧発生装置1はきわめて応答性のよいものとなる。
一方、車両の走行状態が自動ブレーキ作動条件を成立させた状態となると、図示しない電子制御装置は、電磁切換弁64および電磁開閉弁65をともに第2位置IIに切換設定し、接続口63をアキュムレータ46側に接続するとともに、排出口38をリザーバ39から遮断する。
【0070】
すると、アキュムレータ46からの圧液が圧力調整弁66で所定圧に調圧されて接続口63に導入され、更に、この圧液は室53、カップシール52、反力室50、通路孔49、スプール弁55の第1通路孔58、通路孔60、室41、および通路孔40を通って動力室27に導入される。更に、この動力室27に導入された圧液は、通路孔28および出力口29を通ってホイールシリンダ30,31に導入され、一方の系統のブレーキが作動する。このとき、排出口38がリザーバ39から遮断されているので、動力室27の圧液はリザーバ39に排出されなく、ブレーキは、ほとんど圧力ロスなく作動するようになる。
【0071】
また、室53の液圧はマスタシリンダピストン67に作用するので、マスタシリンダピストン67が前進し、前述と同様に、マスタシリンダピストン67は液室68にマスタシリンダ圧を発生し、このマスタシリンダ圧がホイールシリンダ70,71に導入され、他方の系統のブレーキが作動する。こうして、自動ブレーキが作動する。
【0072】
自動ブレーキ作動条件成立が解消すると電子制御装置は、電磁切換弁64および電磁開閉弁65を、ともに再び第1位置Iに設定する。すると、室53の圧液がリザーバ39に排出されるとともに、動力室27、室41、反力室50、およびホイールシリンダ30,31の圧液がリザーバ39に排出され、自動ブレーキが解除する。
【0073】
この第1例のブレーキ液圧倍力装置1によれば、通常ブレーキ時のサーボ制御の途中において、動力室27の液圧が所定圧、換言すればブレーキペダルからの入力が所定の大きさ以上になると、通常ブレーキ時のサーボ比より大きなサーボ比でサーボ制御を行う逆二段サーボ作用を行うことができるようになる。その場合、パワーピストン8の段部が面する空間に、反力室50を設けるとともに、パワーピストン8にスプール弁55を設けて、この反力室50に動力室27の液圧を導入するという簡単な構造で、この逆二段サーボ特性を得ることができるようになる。特に、段付のパワーピストン8およびその段部が面する空間は、従来から多く用いられている液圧倍力装置が有しているものであるから、従来の液圧倍力装置に対して大幅な設計変更を必要としなく、この第1例のブレーキ液圧倍力装置1をより一層簡単に構成することができる。
【0074】
これにより、急ブレーキ時には、ブレーキペダルをサーボ比切換点の入力まで踏み込むだけで、従来のようにかなり大きく踏み込まなくても、早く大きなブレーキ力を得ることができる。また、運転に慣れていない運転者でも、急ブレーキ時には確実に大きなブレーキ力を発生させるように補助することができるようになる。
【0075】
更に、スプリング62のばね力を種々設定変更可能にすることにより、スプール弁55の作動圧を種々調整することにより、サーボ比切換点を種々変えることが可能となる。
【0076】
図4および図5は、本発明の実施の形態の第2例を示す、図1および図2と同様の図である。なお、第1例と同じ構成要素には同じ符号を付すことにより、その詳細な説明は省略する(以下、他の例についても、同じである)。
【0077】
前述の第1例では、サーボ比を変更するスプール弁55がパワーピストン8内に設けるようにしているが、この第2例では、サーボ比を変更する圧力切換弁をブレーキ液圧倍力装置1の外に設けるようにしている。すなわち、図4および図5に示すように、ハウジング3に、反力室50に連通する制御圧導入口83が設けられており、この制御圧導入口83に圧力切換弁84が設けられている。この圧力切換弁84は、制御圧導入口83を出力口29つまり動力室27およびホイールシリンダ30,31に接続する第1位置Iと、制御圧導入口83を、リザーバ39に接続する第2位置IIとが設定されており、通常時は第1位置Iに設定されており、出力口29の液圧つまり動力室27の液圧が所定圧以上のときにその液圧により第1位置IIに切換設定されるようになっている。
【0078】
この第2例では、圧力切換弁84が設けられることにより、第1例のスプール弁55が削除されているとともに、スプール弁55に伴って設けられている軸方向空間48、通路孔49,60,61が削除されている。また、この第2例のブレーキ液圧倍力システムは自動ブレーキの機能を有していないので、電磁切換弁64、電磁開閉弁65、圧力調整弁66、カップシール73、および接続口63も削除されている。
【0079】
更に、この第2例のブレーキ液圧倍力装置1では、ジャンピング作用を行わせるための反力ピストン20と、この反力ピストン20を付勢するスプリング21とが設けられている。すなわち、入力軸18と筒状ストッパ部材22の各外周とプラグ6の小径突出部6bの軸方向孔の内周との間に、筒状の反力ピストン20が、入力軸18および筒状ストッパ部材22の各外周、小径突出部6bの内周、筒状固定部材11の内周のいずれにも摺動可能に嵌合されている。
【0080】
図6に示すように、この反力ピストン20の図6において左端部には、第1フランジ部20aと第2フランジ部20bとが設けられている。第1フランジ部20aの左側部は、筒状ストッパ部材22のストッパ部17aが当接可能となっており、このストッパ部17aが第1フランジ部20aの左側部に当接することにより、反力ピストン20に対してこの筒状ストッパ部材22のそれ以上の後退を阻止するストッパ部20cとされている。換言すれば、筒状ストッパ部材22のストッパ部22aが反力ピストン20のストッパ部20cに当接することにより、反力ピストン20に対して入力軸18のそれ以上の後退が阻止されるようになっている。
【0081】
また、第2フランジ部20bの右側部は、反力ピストン20がパワーピストン8に対して所定量後退移動したとき、筒状固定部材11の段部11aに係合する係合部20dとされている。更に、反力ピストン20の右端20eは、入力軸18の段部18aに当接可能となっている。そして、反力ピストン20の第2フランジ部20bと筒状固定部材11との間にスプリング21が縮設されており、このスプリング21により、通常時は反力ピストン20の第2フランジ部20bは弁座部材10のフランジ部10aに当接されている。そして、筒状ストッパ部材22のストッパ部22aおよび反力ピストン20の第1および第2フランジ部20a,20bが、それぞれ動力室27内に位置されている。
【0082】
また、リザーバ39は、液圧倍力装置用リザーバ39aとマスタシリンダ用リザーバ39bとに分割されており、ポンプ44、排出口38、および切換弁84は、ともに液圧倍力装置用リザーバ39aに接続されている。更に、ハウジング3には、マスタシリンダ用リザーバ39bと段付孔4の小径部4aとを連通するブレーキ液供給口85と補償口86とが穿設されている。マスタシリンダピストン44の先端のカップシール45が補償口86の開口端より後方の非作動位置にあるときは、液室68はマスタシリンダ用リザーバ39bに連通して、液室68にはマスタシリンダ圧は発生しないが、マスタシリンダピストン67のカップシール72が補償口86の開口端より前方に前進したときには、マスタシリンダ圧が発生するようになっている。更に、マスタシリンダ用リザーバ39bのブレーキ液がハウジング3に穿設されたブレーキ液供給口85およびマスタシリンダピストン67に穿設された軸方向孔75を介して液室68に供給可能となっている。更に、パワーピストン8とマスタシリンダピストン67との間には、連結ロッド87が介設されている。
【0083】
この第2例のブレーキ液圧倍力装置1の他の構成は、第1例と同じである。
【0084】
このように構成された第2例のブレーキ液圧倍力装置1においては、ブレーキ非操作時は、図4および図5に示す状態となっている。その場合、反力ピストン20の右端20eは、入力軸18の段部18aから離隔している。また、筒状ストッパ部材22のストッパ部22aは、反力ピストン20の第1フランジ部20aのストッパ部20cから離隔してこのストッパ部20cより前進した位置となっている。
【0085】
この状態でブレーキペダルの踏み込みによるブレーキ操作が行われると、第1例と同様に、入力軸18が前進し制御弁82が切り換えられて、動力室27に圧液が導入され、パワーピストン8が作動する。動力室27の圧液がホイールシリンダ30,31に導入されるとともに、パワーピストン8の作動により、マスタシリンダピストン67が作動して、液室68のブレーキ液がホイールシリンダ70,71に導入される。
【0086】
また、動力室27内の液圧により反力ピストン20がスプリング21のばね力に抗してパワーピストン8および入力軸18に対して右方へ相対変位されるが、動力室27内の液圧が比較的小さく、各ホイールシリンダ30,31;70,71のロスストロークがあって実質的にこれら各ホイールシリンダがブレーキ力を発生しない初期段階では、反力ピストン20の後端20eが入力軸18の段部18aに当接するまでには至らないので、入力軸18は反力ピストン20から何らの力も作用されない。このため、ブレーキ液圧倍力装置1は、図7に示す比較的大きなサーボ比の直線γ′に沿って出力し、ジャンピング作用が行われる。
【0087】
動力室27内の液圧が上昇して、その液圧により反力ピストン20の右端20eが入力軸18の段部18aに当接すると、反力ピストン20は動力室27内の液圧による付勢力で入力軸18に力を入力軸18の入力に対抗するように作用する。したがって、入力軸18に作用される反力が大きくなって、ジャンピング作用が終了し、以後、ブレーキ液圧倍力装置1の出力は入力軸18の入力に対してロスストローク中よりは小さく上昇する。すなわち、ブレーキ液圧倍力装置1は反力が大きくなることから、図7に示す比較的小さなサーボ比の直線α′に沿って入力軸18の入力を倍力して出力するサーボ制御を行うとともに、動力室27内の液圧がこのサーボ比に対応した液圧となる。このときのサーボ比は通常ブレーキ時のサーボ比に設定されている。また、このサーボ制御中で、入力が所定の大きさになるまでは、動力室27内の液圧が圧力切換弁84の作動圧まで上昇しないので、圧力切換弁84は第1位置Iに設定されたままとなり、反力室50は出力口29に接続されたままとなっている。
【0088】
動力室27の液圧が圧力切換弁84の作動圧になると、この液圧により、圧力切換弁84が第1位置IIに切換設定される。すると、反力室50は出力口29から遮断されかつ液圧倍力装置用リザーバ39bに接続されるので、反力室50の圧液は液圧倍力装置用リザーバ39bに排出され、反力室50は大気圧となって、反力室50の液圧によるパワーピストン8への作用はなくなる。これにより、図7に示す比較的大きなサーボ比の直線β′に沿って入力軸18の入力を倍力して出力するサーボ制御を行うようになる。
【0089】
ブレーキペダルの解放により、ブレーキ作動を解除すると、筒状ストッパ部材22のストッパ部22aが、反力ピストン20のストッパ部20cに当接するまで、入力軸18が大きく後退するので、第2弁座17aがボール弁14から大きく開き、第1例と同様に動力室27内の圧液は迅速に排出される。
【0090】
この第2例の場合は、ブレーキ解除時、ブレーキ液圧倍力装置1の出力は、入力の低下に対して、入力上昇時とは逆に、全負荷、直線β′、直線α′、および直線γ′に沿って降下するようなる。
【0091】
この第2例のブレーキ液圧倍力装置1によれば、サーボ比を変更させる圧力切換弁84を、ブレーキ液圧倍力装置1の外に設けているので、ブレーキ液圧倍力装置1を小型化できる。
この第2例のブレーキ液圧倍力装置1の他の作用効果は、自動ブレーキの部分を除いて、第1例と同じである。
【0092】
なお、反力室50に導入する液圧を、動力室27の液圧に代えて、アキュムレータ46のアキュムレータ圧を導入することもできる。この場合には、アキュムレータ圧を圧力調整弁で調圧して反力室50に導入するようにする。アキュムレータ圧は、通常ブレーキ時には動力室27の液圧より高いので、大きなサーボ比、すなわち同じ入力に対して大きな出力を得ることができる。このアキュムレータ圧導入については、後述する他の例で具体的に説明する。
【0093】
図8は、本発明の実施の形態の第3例を示す、図5と同様の図である。
前述の第2例では、サーボ比を変更する圧力切換弁84を動力室27の液圧により切換制御するようにしているが、この第3例のブレーキ液圧倍力装置1では、この圧力切換弁84に代えて電磁切換弁88が設けられているとともに、電磁切換弁88を切換制御するために基準となる動力室27の液圧を検出する圧力センサ89が設けられている。電磁切換弁88は、第2例の圧力切換弁84とまったく同様に、制御圧導入口83を出力口29に接続する第1位置Iと、制御圧導入口83を、液圧倍力装置用リザーバ39aに接続する第2位置IIとが設定されている。そして、通常時は第1位置Iに設定されており、動力室27の液圧が所定圧以上のときに、圧力センサ89からの圧力検出信号に基づいて、電子制御装置が第2位置IIに切換設定されるようになっている。
【0094】
この第3例のブレーキ液圧倍力装置1においても、第2例と同じ図7に示す、ジャンピング特性と逆二段サーボ特性とを有するようになる。
この第3例のブレーキ液圧倍力装置1の他の構成および作用効果は、前述の第2例と同じである。
【0095】
図9は、本発明の実施の形態の第4例を示す、図8と同様の図である。
前述の図8に示す第3例では、電磁切換弁88を用いて逆二段サーボ特性を得るようにしているが、この第4例のブレーキ液圧倍力装置1は、図9に示すように第1および第2電磁開閉弁90,91が用いられている。
【0096】
第1電磁開閉弁90は、出力口29と制御圧導入口83とを接続する通路に設けられて、出力口29と制御圧導入口83とを連通する連通位置Iと、出力口29と制御圧導入口83とを遮断する遮断位置IIとが設定されており、通常は連通位置Iに設定される常開の開閉弁とされている。
【0097】
第2電磁開閉弁91は、制御圧導入口83と液圧倍力装置用リザーバ39aとを接続する通路に設けられて、制御圧導入口83と液圧倍力装置用リザーバ39aとを遮断する遮断位置Iと、制御圧導入口83と液圧倍力装置用リザーバ39aとを連通する連通位置IIとが設定されており、通常は遮断位置Iに設定される常閉の開閉弁とされている。更に、これらの第3および第4電磁開閉弁105,106の開閉は、動力室25の液圧によって制御されるようになっており、そのために前述の第3例と同様の、動力室27の液圧を検出する圧力センサ89が設けられている。
この第4例のブレーキ液圧倍力装置1の他の構成は、第3例と同じである。
【0098】
このように構成された第4例のブレーキ液圧倍力装置1においては、動力室27の液圧がサーボ比変更点の圧力になるまでは、電子制御装置は圧力センサ89からの圧力検出信号に基づいて、第1電磁開閉弁90を図示の連通位置Iに切り換えるとともに、第2電磁開閉弁91を遮断位置Iに切り換える。したがって、反力室50には動力室27の液圧が導入される。また、動力室27の液圧がサーボ比変更点の圧力となると、電子制御装置は圧力センサ89からの圧力検出信号に基づいて、第1電磁開閉弁90を遮断位置IIに切り換えるとともに、第2電磁開閉弁91を連通位置IIに切り換える。したがって、反力室50の圧液は液圧倍力装置用リザーバ39bに排出され、反力室50は大気圧となる。
【0099】
この第4例のブレーキ液圧倍力装置1においても、第2例と同じ図7に示す、ジャンピング特性と逆二段サーボ特性とを有するようになる。
この第4例のブレーキ液圧倍力装置1の他の構成および作用効果は、前述の第3例と同じである。
【0100】
なお、第1および第2電磁開閉弁90,91に代えて、図4に示す第2例の圧力切換弁84と同様に、動力室27の液圧で切り換え制御される2つの開閉弁を用いることもできる。
【0101】
図10は、本発明の実施の形態の第5例を示す、図8と同様の図である。
前述の図8に示す第3例では、電磁切換弁88を用いて逆二段サーボ特性を得るようにしているが、この第4例のブレーキ液圧倍力装置1では、図10に示すように電磁比例制御弁92を設けているとともに圧力調整弁93を設けており、アキュムレータ46のアキュムレータ圧を圧力調整弁93によって調整し、この調整した液圧をこの電磁比例制御弁92によって制御して反力室50に導入するようにしている。その場合、電子制御装置は圧力センサ89の検出信号に基づいて動力室27の液圧が所定圧以上であることを判断したとき、圧力センサ89の圧力検出信号の大きさつまり動力室25の液圧に比例した大きさの制御信号を出力して電磁比例制御弁92を作動するようになっている。
【0102】
そして、電磁比例制御弁92は、通常時は反力室50を圧力調整弁93に接続して、アキュムレータ圧を圧力調整弁93で調整した液圧をそのまま反力室50に導入するようになっている。また、電磁比例制御弁92は、作動時は反力室50の液圧が電子制御装置からの制御信号の大きさに比例して制御した液圧となるように、反力室50の液圧を液圧倍力装置用リザーバ39bに排出したり、あるいは圧力調整弁93からの液圧を反力室50に導入したりする制御を行うようになっている。
この第5例のブレーキ液圧倍力装置1の他の構成は、前述の第3および第4例と同じである。
【0103】
このように構成された第5例のブレーキ液圧倍力装置1においては、圧力センサ89からの圧力検出信号に基づいて、電子制御装置は、動力室27の液圧が電磁比例制御弁92の設定作動圧より低いと判断したときは、電磁比例制御弁92を作動しなく、電磁比例制御弁92は反力室41を圧力調整弁93に何ら制限することなく接続する。したがって、このときは、通常ブレーキ時の小さなサーボ比でサーボ制御が行われる。
【0104】
動力室27の液圧が電磁比例制御弁92の作動圧になったことが判断されると、電磁比例制御弁92が作動され、この電磁比例制御弁92は作動して、反力室50の液圧を動力室25の液圧に比例した液圧に制御する。これにより、反力室50の液圧が低くなり、サーボ比が大きい方に変化する。反力室50に導入された液圧は、動力室27の液圧上昇に対してリニア降下するようになるので、サーボ比も比例して次第に大きくなる。
【0105】
反力室50の液圧が動力室25の液圧に等しくなると、前述の第3および第4例とまったく同じになり、ブレーキ液圧倍力装置1は、図11に示す大きなサーボ比の直線β′に沿うサーボ制御を行うようになる。この第5例のブレーキ液圧倍力装置1によれば、直線α′のサーボ比から直線β′のサーボ比への切換えを、直線δ′に沿って滑らかに行うことができる逆二段サーボを行うことができるようになる。また、反力室50にアキュムレータ46の蓄圧を導入するようにしているので、反力室50に動力室27の液圧を導入する場合に比べて、ブレーキ液圧倍力装置1の出力を大きくできる。
この第5例のブレーキ液圧倍力装置1の他の作用効果は、第3および第4例と同じである。
【0106】
なお、反力室50の液圧を制御することにより、図11に二点鎖線で示すように直線α′のサーボ比から直接全負荷に滑らかに変えるようにすることもできる。また、この第5例においても、アキュムレータ圧に代えて、反力室50に動力室27の液圧を電磁比例制御弁92で制御して導入することもできる。
【0107】
なお、第2ないし第5例においては、反力ピストン20およびスプリング21を設けて反力ピストン20によるジャンピング作用を行うものとしているが、サーボ比を変更するための圧力切換弁84等をブレーキ液圧倍力装置1の外に配設することは、図1および図2に示す第1例のように反力ピストン20によるジャンピング作用を行わない液圧倍力装置にも適用することができる。
また、前述の実施例では、本発明の液圧倍力装置をブレーキ液圧倍力装置に適用して説明しているが、ブレーキ以外の他の液圧倍力装置にも適用できる。
【0108】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の液圧倍力装置によれば、簡単な構造で、逆二段サーボ特性を得ることができるようになる。これにより、所定以上の入力で、通常の出力より大きな出力を得ることができる。特に、従来多く用いられている段付のパワーピストンの段部を利用するので、大きな設計変更を必要としなく、より一層構造が簡単になる。
【0109】
また、サーボ比切換点を変更することができ、これにより種々の入出力特性に柔軟に対応することが可能となる。
更に、電磁比例制御弁を用いているので、サーボ比を滑らかに変えることができるようになる。
【0110】
更に、本発明のブレーキ制御システムによれば、簡単構造で、ジャンピング特性によりブレーキ力の立ち上がりを早くできるとともに、逆二段サーボ制御により、急ブレーキ時に迅速に大きなブレーキ力を得ることができるとともに、初心者等の運転者でも大きなブレーキ力を確実に得られるように補助することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るブレーキ液圧倍力システムの実施の形態の第1例を示す断面図である。
【図2】 図1に示すブレーキ液圧倍力装置の部分拡大断面図である。
【図3】 図1に示すブレーキ液圧倍力装置の入出力特性を示す図である。
【図4】 本発明の実施の形態の第2例を示す、図1と同様の断面図である。
【図5】 図4に示すブレーキ液圧倍力装置を示す、図2と同様の部分拡大断面図である。
【図6】 図4に示すブレーキ液圧倍力装置に用いられている反力ピストンを示す断面図である。
【図7】 図4に示すブレーキ液圧倍力装置の入出力特性を示す図である。
【図8】 本発明の実施の形態の第3例を示す、図5と同様の部分拡大断面図である。
【図9】 図6に示すブレーキ液圧倍力装置の入出力特性を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態の第4例を示す、図5と同様の部分拡大断面図である。
【図11】本発明の実施の形態の第5例を示す、図5と同様の部分拡大断面図である。
【図12】従来のブレーキ液圧倍力装置を部分的に示す部分断面図である。
【図13】図12に示すブレーキ液圧倍力装置の入出力特性を示す図である。
【符号の説明】
1…ブレーキ液圧倍力装置、2…マスタシリンダ、3…ハウジング、8…パワーピストン、18…入力軸、18a…段部、20…反力ピストン、20e…反力ピストンの右端、21…スプリング、27…動力室、29…出力口、39…リザーバ、39a…液圧倍力装置用リザーバ、39b…マスタシリンダ用リザーバ、46…アキュムレータ、50…反力室、55…スプール弁、67…マスタシリンダピストン、82…制御弁、83…制御圧導入口、84…圧力切換弁、88…電磁切換弁、89…圧力センサ、90…第1電磁開閉弁、91…第2電磁開閉弁、92…電磁比例制御弁、93…圧力調整弁
Claims (10)
- 液圧を発生する液圧源と、作動液を貯えるリザーバと、前部が小径部にかつ後部が大径部になる段部を有するとともに出力を発生するパワーピストンと、このパワーピストンの後方部の受圧面が面する動力室と、非作動時に前記動力室を前記液圧源から遮断するとともに前記リザーバに連通し、作動時に前記動力室を前記リザーバから遮断するとともに前記液圧源に連通して、前記液圧源の圧液をその作動に応じて前記動力室に導入する制御弁と、この制御弁を作動制御する入力軸とを備え、
前記パワーピストンの段部が位置するように反力室が形成されており、前記動力室の液圧が所定圧より小さい時に前記反力室にサーボ比制御圧の圧液を導入するとともに、前記動力室の液圧が前記所定圧以上の時に前記反力室の圧液を前記リザーバに排出するサーボ比制御圧制御弁が設けられていることを特徴とする液圧倍力装置。 - 液圧を発生する液圧源と、作動液を貯えるリザーバと、前部が小径部にかつ後部が大径部になる段部を有するとともに出力を発生するパワーピストンと、このパワーピストンの後方部の受圧面が面する動力室と、非作動時に前記動力室を前記液圧源から遮断するとともに前記リザーバに連通し、作動時に前記動力室を前記リザーバから遮断するとともに前記液圧源に連通して、前記液圧源の圧液をその作動に応じて前記動力室に導入する制御弁と、この制御弁を作動制御する入力軸と、外径が前記入力軸の制御弁側と反対側の部分の径より大きく設定されて筒状に形成されているとともに前記入力軸の小径部に摺動可能に嵌合され、その前端が前記動力室に面しかつその後端が前記入力軸の段部に当接可能な反力ピストンと、この反力ピストンの後端が前記入力軸の段部から離れる方向に常時付勢するとともに、前記動力室の液圧が第1所定圧以上の時前記反力ピストンの後端を前記入力軸の段部に当接させるスプリングと、入力が加えられて前記入力軸を作動する操作手段とを備え、
前記パワーピストンの段部が位置するように反力室が形成されており、前記動力室の液圧が前記第1所定圧より大きい第2所定圧より小さい時に前記反力室にサーボ比制御圧の圧液を導入するとともに、前記動力室の液圧が前記第2所定圧以上の時に前記反力室の圧液を前記リザーバに排出するように制御するサーボ比制御圧制御弁が設けられていることを特徴とする液圧倍力装置。 - 前記サーボ比制御圧制御弁は、パワーピストンに設けられ、前記動力室の液圧によって作動制御される切換弁であることを特徴とする請求項1または2記載の液圧倍力装置。
- 前記切換弁は、スプール弁であることを特徴とする請求項3記載の液圧倍力装置。
- 前記サーボ比制御圧制御弁は、1つの切換弁または2つの開閉弁からなることを特徴とする請求項1または2記載の液圧倍力装置。
- 前記切換弁または前記開閉弁は、前記動力室の液圧によって作動制御されるか、前記動力室の液圧に応じて励磁される電磁力によって制御されることを特徴とする請求項5記載の液圧倍力装置。
- 前記サーボ比制御圧は、前記動力室の液圧であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1記載の液圧倍力装置。
- 前記サーボ比制御圧制御弁は、前記動力室の液圧に応じて制御される電磁比例制御弁であり、前記サーボ比制御圧は、前記動力室の液圧または前記液圧源の液圧を前記電磁比例制御弁によって制御された液圧であることを特徴とする請求項1または2記載の液圧倍力装置。
- 請求項1ないし8のいずれか1記載の液圧倍力装置と、この液圧倍力装置の出力によって作動制御され、ブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと、このマスタシリンダのブレーキ液圧が導入されることによりブレーキ力を発生するブレーキシリンダとを備えていることを特徴とするブレーキ液圧倍力システム。
- 2系統のブレーキシステムにおいて、
請求項1ないし8のいずれか1記載の液圧倍力装置と、この液圧倍力装置の出力によって作動制御され、ブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと、前記液圧倍力装置の前記動力室の液圧が導入されることによりブレーキ力を発生する一方の系統のブレーキシリンダと、前記マスタシリンダのブレーキ液圧が導入されることによりブレーキ力を発生する他方の系統のブレーキシリンダとを備えて、セミフルパワーブレーキが構成されていることを特徴とするブレーキ液圧倍力システム。
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