JPH11291888A - 液圧倍力装置およびこの液圧倍力装置を用いたブレーキ液圧倍力システム - Google Patents

液圧倍力装置およびこの液圧倍力装置を用いたブレーキ液圧倍力システム

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JPH11291888A
JPH11291888A JP10290499A JP29049998A JPH11291888A JP H11291888 A JPH11291888 A JP H11291888A JP 10290499 A JP10290499 A JP 10290499A JP 29049998 A JP29049998 A JP 29049998A JP H11291888 A JPH11291888 A JP H11291888A
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JP
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input shaft
brake
hydraulic
hydraulic pressure
valve
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JP10290499A
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Inventor
Hiroyuki Oka
岡弘之
Michio Kobayashi
小林道夫
Masahiro Shimada
島田昌宏
Mamoru Sawada
沢田護
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Jidosha Kiki Co Ltd
Denso Corp
Original Assignee
Jidosha Kiki Co Ltd
Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ヒシテリシスを有する液圧倍力装置を用いて、
簡単な構成で安価にブレーキアシストを行うようにす
る。 【解決手段】反力ピストン18の後端18cが、作動方
向では、動力室14の液圧が所定圧より小さいときは入
力軸5の段部5aから離れるとともに、動力室14の液
圧が所定圧以上のとき入力軸5の段部5aに当接し、作
動解除方向では、中間負荷状態のとき入力軸5の段部5
aから離れる。これにより、ブレーキ液圧倍力装置1の
入出力特性が作動方向と作動解除方向とで異なるヒステ
リシスをメカニカルに有するものとなる。ブレーキアシ
ストが必要なブレーキ操作時に液圧供給弁57が開かれ
て、ポンプ37の吐出圧が動力室14内に導入される。
これにより、ブレーキ力が増大する。このブレーキ力
は、ブレーキ液圧倍力装置1のヒステリシスの範囲内で
種々制御される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液圧により入力を
所定の大きさに倍力して出力する液圧倍力装置およびこ
の液圧倍力装置を用いて小さな操作力で大きなブレーキ
力を得るようになっているブレーキ液圧倍力システムの
技術分野に属し、特に、作動方向と作動解除方向との間
に大きなヒステリシスを有する液圧倍力装置およびこの
液圧倍力装置のヒステリシスによりブレーキアシストの
機能を備えたブレーキ液圧倍力システムの技術分野に属
するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車のブレーキ液圧倍力システムに用
いられているブレーキ液圧倍力装置は、液圧を用いて、
ブレーキペダルの小さな踏力で大きなブレーキ力を得る
ものである。
【0003】図6は、従来のこのようなブレーキ液圧倍
力装置の一例を示す図である。図中、1はブレーキ液圧
倍力装置、2はハウジング、3はハウジング2の孔、4
はハウジング2の孔3内に、液密にかつ摺動可能に設け
られたパワーピストン、5はハウジング2を液密にかつ
摺動可能に貫通して、先端部(図において左端部)がパ
ワーピストン4の孔内に進入するとともに、後端(図に
おいて右端)が図示しない(後述する)ブレーキペダル
に連結され、更に前端部が小径に後端部が大径に形成さ
れて段部5aを有する入力軸、6はパワーピストン4と
入力軸5との間に設けられている制御弁、7はボール弁
からなる弁、8は弁7を支持した弁体、9はパワーピス
トン4に設けられ、弁7が着離座する第1弁座9aを有
する弁座部材、10は入力軸5の先端に摺動可能に設け
られ、弁7に着離座する第2弁座10aを有する筒状の
弁作動部材、11は弁7が第1弁座9aに着座する弁体
8を常時付勢するスプリング、12は弁作動部材10を
介して入力軸5を後方に常時付勢するスプリング、13
は先端にストッパ13aが設けられ、かつハウジング2
の孔3を塞ぐプラグ、14はハウジング2の孔3内でパ
ワーピストン4とプラグ13との間に設けられた動力
室、15は弁座部材9を軸方向に固定する筒状固定部
材、16は筒状固定部材15を軸方向に固定する筒状固
定部材ナット、17は入力軸5に連結され、先端にフラ
ンジ状のストッパ17aを有する筒状ストッパ部材、1
8は先端にフランジ状の第1ストッパ8aを、第1スト
ッパ18aの後方に第2ストッパ18bをそれぞれ有
し、入力軸5とプラグ13との間に摺動可能に設けられ
て後端18cが入力軸5の段部5aに当接可能な反力ピ
ストン、19は第1ストッパ18aと筒状固定部材15
との間に縮設されて反力ピストン18を前方へ常時付勢
するスプリング、20は液圧源からの液圧が常時導入さ
れている入力口、21はパワーピストン4に穿設され、
入力口20に導入された液圧を第1弁座9aより弁体8
側に導入する通路孔、22は弁作動部位10、入力軸
5、プラグ13、ハウジング2およびハウジング2と後
述するリザーバとの間に配設され、リザーバに常時連通
する液圧排出通路、23は液圧排出通路22の途中に設
けられ、段部5aおよび後端18cが位置する室、24
はパワーピストン4の前端に設けられた出力軸、25は
パワーピストン4を後方に常時付勢するリターンスプリ
ングである。
【0004】このブレーキ液圧倍力装置1においては、
ブレーキ非作動時は、すべての構成要素は図6に示す非
作動状態に設定されている。この非作動状態では、制御
弁6のボール弁7が第1弁座9aに着座しているととも
に、第2弁座10aが弁7から離座している。すなわ
ち、動力室14が入力口20から遮断されているととも
に、液圧排出通路22を介してリザーバに接続されてい
るので、動力室14は液圧が導入されなく大気圧となっ
ていて、パワーピストン4は作動しない。このため、ブ
レーキ液圧倍力装置1は作動しなく、出力を発生しな
い。
【0005】この非作動状態から、ブレーキペダルの踏
み込みで通常ブレーキ操作が行われると、入力軸5が前
進するので、弁作動部材10も前進して、第2弁座10
aが制御弁6の弁7に当接するとともにこの弁7を押し
て、第1弁座9aから離座する。すると、動力室14は
入力口20に接続されるとともに液圧排出通路22から
遮断され、動力室14に圧液が導入され、パワーピスト
ン4が作動する。パワーピストン4の作動により、ブレ
ーキ液圧倍力装置1は出力軸24から出力する。このブ
レーキ液圧倍力装置1の出力は、入力つまりブレーキペ
ダルの踏力を倍力した大きさとなる。このブレーキ液圧
倍力装置1の出力により、図示しないマスタシリンダが
作動してマスタシリンダ圧を発生し、このマスタシリン
ダ圧がホイールシリンダに導入されてブレーキが作動す
る。
【0006】動力室14の液圧により、反力ピストン1
8がスプリング19に対抗するように後方に押圧される
が、動力室14の液圧がまだ小さく、ブレーキシステム
のロスストロークが解消しないで実質的にブレーキ力が
発生しない初期段階では、スプリング19が収縮しな
く、反力ピストン18の後端18cが入力軸5の段部5
aに当接しないので、動力室14の液圧を受ける入力軸
5の有効受圧面積は小さくなり、入力軸5が入力に対抗
する方向に受ける、動力室14の液圧による力は比較的
小さい。したがって、図7に示すように倍力比つまりサ
ーボ比がきわめて大きいサーボ制御によるジャンピング
作用が行われる。
【0007】動力室14の液圧が所定圧となると、スプ
リング19が収縮して反力ピストン18が後方へ移動
し、反力ピストン18の後端18cが入力軸5の段部5
aに当接する。このため、動力室14の液圧を受ける入
力軸5の有効受圧面積が大きくなって、入力軸5が受け
る、動力室14の液圧による力が大きくなるので、ジャ
ンピング作用が終了する。この段階では、ブレーキシス
テムのロスストロークが解消して、ブレーキ力が実質的
に発生する。このとき、ブレーキ液圧倍力装置1のサー
ボ比が小さな通常ブレーキのサーボ比となり、これ以後
ブレーキ液圧倍力装置1は中間負荷状態となり、入力を
このサーボ比で倍力した出力を発生する、つまり図7に
おいて通常ブレーキのサーボ比のラインに沿った通常ブ
レーキ時のサーボ制御を行うようになる。
【0008】動力室14の液圧が液圧源の液圧で決まる
最大圧となって、それ以上上昇しなくなると、ブレーキ
液圧倍力装置1は全負荷状態となってサーボ制御を行わ
なく、それ以後はブレーキ液圧倍力装置1の出力は、図
7において全負荷のラインに沿った入力の上昇分に基づ
く出力上昇分が倍力されない大きさとなる。
【0009】ブレーキペダルを解放すると、入力軸5お
よび弁作動部材10が後退するので、弁7が第1弁座9
aに着座するとともに、第2弁座10aが弁7から離座
する。これにより、動力室14は入力口20から遮断さ
れるとともに液圧排出通路22に接続され、動力室14
に導入された圧液が液圧排出通路22を介してリザーバ
に排出され、パワーピストン13がリターンスプリング
25により後退する。
【0010】動力室14の液圧が液圧源の液圧で決まる
最大圧より小さくなるまでは、図7に示すように出力は
入力の低下とともに全負荷のラインに沿って低下する。
更に、動力室14の液圧がこの最大圧より低下すると、
出力は通常サーボ比のラインに沿って低下し、動力室1
4の液圧が更に低下して、この液圧により反力ピストン
18を押す力がスプリング19のばね力より小さくなる
と、反力ピストン18が入力軸5に対して前方へ相対移
動し、反力ピストン18の後端18cが入力軸5の段部
5aから離れる。これにより、ブレーキ液圧倍力装置1
の出力は通常のサーボ比のラインから、サーボ比の大き
なジャンピング特性のラインに沿って低下するようにな
る。
【0011】入力軸5に固定された筒状ストッパ部材1
7のストッパ17aがプラグ13のストッパ13aに当
接すると、入力軸5はそれ以上後退しなく、後退限とな
って、図示の非作動状態に戻る。動力室14の液圧が完
全に排出されると、パワーピストン4も図示の非作動状
態に戻り、ブレーキ液圧倍力装置1は出力しなく、マス
タシリンダも非作動状態となる。こうして、ブレーキが
解除される。
【0012】この従来のブレーキ液圧倍力装置1におい
ては、図7に示すようにその入出力特性は、入力の上昇
側と降下側とで同じ経路をたどり、実質的にヒステリシ
スのない特性となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ブレーキシ
ステムにおいては、急ブレーキ時は、通常ブレーキ時よ
りはなるべく早く大きなブレーキ力を発生させることが
できるようにすることが望ましい。また、急ブレーキ時
に大きなブレーキ力を発生させる必要があるが、初心者
等の自動車の運転に慣れていないドライバのなかには、
ブレーキペダルを大きく踏み込むことができなく、大き
なブレーキ力を発生させることができない場合があり、
このような場合には、運転に慣れていない初心者等のド
ライバであっても、確実に大きなブレーキ力を発生させ
るためにブレーキアシストをできるようにすることが望
ましい。その場合、ブレーキアシストのための専用の部
品を必要とすることなく、従来の部品をできるだけ利用
して簡単な構成でブレーキアシストを可能にすることが
よい。
【0014】しかしながら、前述の従来のブレーキ液圧
倍力装置1では、図7に示すように実質的にブレーキ作
動が行われるサーボ制御でのサーボ比が一定であるた
め、急ブレーキ時に通常ブレーキ時より早く大きなブレ
ーキ力を発生させることはできないばかりでなく、運転
に慣れていない人に対して、確実に大きなブレーキ力を
発生させるようにアシストすることはできなく、前述の
ような要望に確実に応えることが難しい。
【0015】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、その目的は、簡単な構成で安価な、ヒ
シテリシスを有する液圧倍力装置を提供することであ
る。また、簡単な構成で安価にブレーキアシストを行う
ことのできるブレーキ液圧倍力システムを提供すること
である。
【0016】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、請求項1の発明の液圧倍力装置は、液圧を発生す
る液圧源と、作動液を貯えるリザーバと、出力を発生す
るパワーピストンと、このパワーピストンの受圧面が面
する動力室と、非作動時に前記動力室を前記液圧源から
遮断するとともに前記リザーバに連通し、作動時に前記
動力室を前記リザーバから遮断するとともに前記液圧源
に連通して、前記液圧源の圧液を前記動力室に導入する
制御弁と、作動時前進しかつ作動解除時に後退して前記
制御弁を作動制御するとともに、制御弁側の部分が小径
でかつ制御弁側と反対側の部分が大径の段部を有する段
付の入力軸と、外径が前記入力軸の制御弁側と反対側の
部分の径より大きく設定されて筒状に形成されていると
ともに前記入力軸の小径部に摺動可能に嵌合され、その
前端が前記動力室に面しかつその後端が前記入力軸の段
部に当接可能な反力ピストンとを備え、前記反力ピスト
ンが、作動方向では、前記動力室の液圧が所定圧より小
さいときは前記入力軸の段部から離れるとともに、前記
動力室の液圧が所定圧以上のとき前記入力軸の段部に当
接し、作動解除方向では、中間負荷状態のとき前記入力
軸の段部から離れるように設定されていることを特徴と
している。
【0017】また、請求項2の発明は、前記制御弁を作
動制御する弁作動部材が、前記入力軸に対して第1所定
距離だけ相対移動可能に設けられているとともに、前記
反力ピストンが前記パワーピストンに対して第2所定距
離だけ相対移動可能に設けられており、非作動時におけ
る、前記入力軸に設けられた弁作動部材と前記制御弁と
の間の隙間をAとし、前記第1所定距離をBとし、非作
動時における、前記反力ピストンと前記入力軸の段部と
の隙間をCとし、前記第2所定距離をDとしたとき、各
隙間A,Cと第1および第2所定距離B,Dとが C − A − B < D < C − A に設定されていることを特徴としている。
【0018】更に、請求項3の発明は、請求項1または
2記載の液圧倍力装置と、この液圧倍力装置の出力によ
ってマスタシリンダ圧を発生するマスタシリンダピスト
ンを有するママスタシリンダと、前記マスタシリンダ圧
が導入されることによりブレーキ力を発生するブレーキ
シリンダと、液圧を発生する第2の液圧源と、作動時に
この第2の液圧源からの液圧を前記動力室に前記制御弁
を介することなく導入する、電磁弁からなる液圧供給弁
と、必要時に前記液圧供給弁を作動制御する電子制御装
置とを備えていることを特徴としている。
【0019】更に、請求項4の発明は、前記パワーピス
トンの有効受圧面積と前記マスタシリンダピストンの有
効受圧面積とが等しく設定されていることを特徴として
いる。 更に、請求項5の発明は、前記電子制御装置
が、前記入力軸を操作する操作部材の操作速度または操
作部材の操作力に応じて前記液圧供給弁を制御すること
を特徴としている。
【0020】
【作用】このような構成をした請求項1および2の発明
においては、反力ピストンが、作動方向では、動力室の
液圧が所定圧より小さいときは入力軸の段部から離れる
とともに、動力室の液圧が所定圧以上のとき入力軸の段
部に当接し、作動解除方向では、中間負荷状態のとき入
力軸の段部から離れるようにしているので、液圧倍力装
置の入出力特性が作動方向と作動解除方向とで異なるヒ
ステリシスをメカニカルに有するようになる。その場
合、液圧倍力装置のサーボ比が作動方向で小さく作動解
除方向で大きくなるヒステリシスを有する入出力特性と
なる。
【0021】また、請求項3ないし5の発明において
は、液圧倍力装置のヒステリシス特性および第2の液圧
源の液圧により、ブレーキアシストが必要なブレーキ操
作時にブレーキ力が増大されるとともに、同じ入力に対
するブレーキ力の大きさが、液圧倍力装置の入出力特性
のヒステリシスの範囲内で種々制御されるようになる。
【0022】特に、請求項4の発明では、パワーピスト
ンおよびマスタシリンダピストンの両有効受圧面積が互
いに等しく設定されているので、ブレーキシリンダの液
圧および動力室の液圧がバランスしながら同圧で上昇す
るようになる。
【0023】また、請求項5の発明では、操作部材の操
作速度や操作力に応じてブレーキ力が増大されるように
なる。したがって、急ブレーキ時等のブレーキアシスト
を必要とする場合には、ブレーキアシストが確実に行わ
れるようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
の形態について説明する。図1は本発明に係るブレーキ
液圧倍力装置およびブレーキ液圧倍力システムの実施の
形態の第1例を模式的に示す図、図2はこの第1例のブ
レーキ液圧倍力装置を部分的に拡大して示す部分拡大断
面図である。なお、以下の例において、それより前の例
と同じ構成要素には同じ符号を付すことにより、その詳
細な説明は省略する。
【0025】前述の図6に示す従来例のブレーキ液圧倍
力装置1では、入力軸5と筒状ストッパ部材17とが別
体に形成されかつ一体的に連結されているが、この第1
例のブレーキ液圧倍力装置1では、図1および図2に示
すように入力軸5と筒状ストッパ部材17とが単一部材
から一体に形成されている。したがって、ストッパ17
aは入力軸5に形成されている。
【0026】また、従来例のブレーキ液圧倍力装置1で
は、弁作動部材10がスプリング12により入力軸5に
押圧されてこの入力軸5と一体的に移動するようになっ
ているが、この第1例のブレーキ液圧倍力装置1では、
スプリング12が入力軸5を直接付勢するようになって
いる。すなわち、弁作動部材10はスプリング12によ
っては何ら付勢されなく、入力軸5に対して相対摺動可
能となっている。その場合、弁作動部材10は入力軸5
の先端中央部に固定された筒状部材26の外周に液密に
かつ摺動可能に外嵌されているとともに、入力軸5に摺
動可能に内嵌されている。その場合、弁作動部材10は
入力軸5の先端に設けられたストッパ27により入力軸
5に対する前方移動が規制されているとともに、筒状部
材26により入力軸5に対する後方移動が規制されてい
る。更に、筒状部材10は、これと入力軸5との間に縮
設されたスプリング28によりストッパ27の方向へ常
時付勢されている。このスプリング28のばね力は、弁
体8を付勢するスプリング11のばね力より小さく設定
されている。そして、非作動時は、図示のように筒状部
材10はストッパ27に当接した状態に保持されてい
る。
【0027】更に、第1例のブレーキ液圧倍力装置1で
は、各部材間の非作動時における各隙間が次のように設
定されている。すなわち、第2弁座10aと弁7との間
の隙間(第2弁座10aが弁7に着座するまでの相対移
動距離)をA、弁作動部材10と筒状部材26との間の
隙間(弁作動部材10が筒状部材26に着座するまで相
対移動する第1所定距離)をB、反力ピストン18の後
端18cと入力軸5の段部5aとの間の隙間(反力ピス
トン18が段部5aに当接するまで入力軸5に対して相
対移動する距離)をC、反力ピストン18の第1ストッ
パ18aと筒状固定部材15の段部15aとの間の隙間
(反力ピストン18の第1ストッパ18aが段部15a
に当接するまでパワーピストン4に対して相対移動する
第2所定距離)をD、入力軸5のストッパ17aと反力
ピストン18の第2ストッパ18bとの間の隙間(スト
ッパ17aが第2ストッパ18bに当接するまでの相対
移動距離)をEとすると、各隙間A,B,C,D,Eは、そ
れらの間に
【0028】
【数1】C − A − B < D < C − A の関係が成立するように設定されている。
【0029】これは、ジャンピング特性を発生させるた
めには、作動後反力ピストン18がパワーピストンの段
部15aに当接する前に、反力ピストン18の後端18
cが入力軸5の段部5aに当接されなければならない。
したがって、隙間A,Bが0の時、隙間Cが隙間Dより
小さく設定される必要があるから、ジャンピング特性の
発生条件は、
【0030】
【数2】C − (A + B) < D で与えられる。
【0031】また、ブレーキ液圧倍力装置1の作動解除
時のサーボ比を作動時のサーボ比より大きくすることに
より、ブレーキ液圧倍力装置1にヒステリシスを持たせ
るための条件は、作動解除方向において、反力ピストン
18の後端18cが入力軸5の段部5aから離れるよう
にすればよい。すなわち、中間負荷状態の隙間A,Bが
0で後端18cが段部5aに当接している状態から、入
力軸5が戻り、その先端のストッパ27が弁作動部材1
0に当接する前に、反力ピストン18の第1ストッパ1
8aが筒状固定部材15の段部15aに当接すれば、後
端18cが段部5aから離れる。隙間A,B,Cがともに
0の時の第1ストッパ18aと段部15aとの隙間は、
D−C+(A+B)であり、また弁作動部材10が入力
軸5に固定されているストッパ27に当接するまでのス
トローク(ブレーキ解除方向でのこの状態では弁作動部
材10が移動して入力軸5に固定されている筒状部材2
6に当接している)がBであるから、
【0032】
【数3】D − C + (A + B) < B となり、結局、ブレーキ液圧倍力装置1にヒステリシス
を持たせるための条件は、
【0033】
【数4】D < C − A で与えられる。
【0034】したがって、数式2および数式4から、ブ
レーキ液圧倍力装置1の作動方向で反力ピストン18の
後端18cが入力軸5の段部5aに当接し、かつ戻り方
向で後端18cが段部5aから離れる条件は、前述の数
式1で与えられる。
【0035】なお、作動開始時の弁7の開弁量を少なく
ともα(例えば1mm程度)以上に設定すると、この開弁
量は、隙間A,Bがともに0になってから反力ピストン
18の後端18cが入力軸5の段部5aに当接するまで
の入力軸5のストローク量であるから、
【0036】
【数5】α < C − (A + B) となる。また、戻り時の弁7と第2弁座10aとの間の
最大隙間(すなわち、排出側の最大開弁量)を少なくと
もβ(例えば1mm程度)以上に設定すると、この最大開
弁量は、中間負荷時では、A+D+E となり、入力軸
5のストッパ17aがプラグ13のストッパ13aに当
接した時点、すなわち戻り終了直前では、A+E(>
β)となり、戻り終了時、すなわち図示の非作動時で
は、A(>0)となる。
【0037】このように各隙間A,B,C,D,Eが設定さ
れたブレーキ液圧倍力装置1の入出力特性は、図3に示
すような特性となる。すなわち、作動方向では、入力軸
5の前進により、従来例と同様に第2弁座10aが弁7
に着座して、弁7が第1弁座9aから離座する。入力が
上昇するにつれて、弁作動部材10を後方に押圧する力
が増大する。このため、弁作動部材10が後方へ移動し
て、筒状部材26の先端に当接する。作動開始直後のこ
の段階では、まだ反力ピストン18の後端18cが入力
軸5の段部5aに当接しなく、前述の従来例と同様にジ
ャンピング作用が行われる。反力ピストン18の後端1
8cが入力軸5の段部5aに当接した後は前述と同様
に、中間負荷において通常ブレーキの比較的小さなサー
ボ比のサーボ制御が行われ、その後全負荷状態となる。
【0038】全負荷状態からの作動解除方向(戻り方
向)では、入力軸5およびパワーピストン4等の摺動抵
抗により、入力が所定量低下するまで出力が保持された
後、入力の低下にともない、出力が全負荷状態の勾配で
低下し、動力室14の液圧が液圧源(後述するポンプ、
アキュムレータ)の圧力(アキュムレータの蓄圧)で決
定される最大圧より低下するようになると、全負荷状態
から中間負荷状態に移行するが、前述のように各隙間
A,B,C,Dが設定されているので、中間負荷状態で
は、反力ピストン18の後端18cが入力軸の段部5a
から離れる。このため、動力室14の液圧が作用する入
力軸5の受圧面積がジャンピング特性時の小さい面積と
なり、サーボ比が大きなサーボ制御が行われる。
【0039】このように、このブレーキ液圧倍力装置1
は、作動方向と作動解除方向とで、入出力特性の経路が
異なり、大きなヒステリシスを有するようになる。
【0040】更に、ハウジング11には、通路孔29を
介して動力室14に連通する液圧供給口30が設けられ
ている。
【0041】なお、第1例のブレーキ液圧倍力装置1で
は、図6に示す従来例におけるパワーピストン4のリタ
ーンスプリング25が省略されている。更に、弁作動部
材10と筒状ストッパ部材22とが一体に形成されてい
る。すなわち、ストッパ部22aが弁作動部材10に形
成されている。この第1例のブレーキ液圧倍力装置1の
他の構成および他の作用は、図6の従来例と同じであ
る。
【0042】図1に示すように、本発明のブレーキ液圧
倍力システム31は、この第1例のブレーキ液圧倍力装
置1を備えている。また、このブレーキ液圧倍力システ
ム31は、このブレーキ液圧倍力装置1の他に、タンデ
ムマスタシリンダ32と、2系統のうち一方の系統のホ
イールシリンダ33,34および他方の系統のホイール
シリンダ35,36と、ブレーキ液圧倍力装置1の液圧
源であるポンプ37とアキュムレータ38と、入力軸5
に連結されたブレーキペダル39とを備えている。
【0043】マスタシリンダ32は、そのハウジングが
ブレーキ液圧倍力装置1のハウジング2と共通にされて
いる。
【0044】ハウジング2の孔3内には、マスタシリン
ダ32のプライマリピストン40が摺動可能に設けられ
ており、このプライマリピストン40はパワーピストン
4と一体に設けられている。また、ハウジング2の孔3
内には、プライマリピストン40の前方に位置して、セ
カンダリピストン41が摺動可能に設けられている。そ
して、パワーピストン4、プライマリピストン40およ
びセカンダリピストン41の各有効受圧面積が同じに設
定されている。マスタシリンダ3の両ピストン40,4
1は、それらの最大の間隔が間隔規制手段42によって
規制されている。そして、両ピストン40,41は、そ
れらの間に縮設されたスプリング43によって互いに離
隔する方向に付勢されており、非作動時は図示の最大間
隔に設定されている。
【0045】プライマリピストン40が位置するハウジ
ング2の内周面には、カップシール44が設けられてい
るとともに、このカップシール44をプライマリピスト
ン40が一方向において液密にかつ摺動可能に貫通して
いる。また、セカンダリピストン41が位置するハウジ
ング2の内周面には、カップシール45,46がそれぞ
れ設けられているとともに、これらのカップシール4
5,46をセカンダリピストン41が一方向において液
密にかつ摺動可能に貫通している。そして、2つのカッ
プシール44,45の間の孔3内に、第1液圧室47が
画成されているとともに、カップシール46の前方の孔
3内に、第2液圧室48が画成されている。第1液圧室
47は第1通路49を介して一系統のホイールシリンダ
33,34に接続されているとともに、第2液圧室48
は第2通路50を介して他系統のホイールシリンダ3
6,37に接続されている。
【0046】マスタシリンダ32側のハウジング2に
は、カップシール36,37の後方近傍にブレーキ液給
排口51,52がそれぞれ設けられており、これらブレ
ーキ液給排口51,52は、ブレーキ液を貯えるリザー
バ53に常時連通している。また、プライマリおよびセ
カンダリピストン40,41には径方向の貫通孔54,5
5がそれぞれ穿設されている。そして、プライマリピス
トン40の非作動位置では、貫通孔54がカップシール
44より後方に位置するようにされているとともに、セ
カンダリピストン41の非作動位置では、貫通孔55が
カップシール46より後方に位置するようにされてい
る。これにより、非作動時には、ブレーキ液はそれぞれ
第1液圧室47とリザーバ53との間、および第2液圧
室48とリザーバ53の間で両方向に自由に流れるよう
になっている。
【0047】また作動時は、両ピストン40,41がと
もに前進し、それぞれの貫通孔54,55がカップシー
ル44,46を通り過ぎると、第1および第2液圧室4
7,48からリザーバ53に向かう液の流れはそれぞれ
阻止され、更に、両ピストン40,41が作動状態から
後退するときは、リザーバ53のブレーキ液が第1およ
び第2液圧室47,48にそれぞれ補給されるようにな
っている。第2液圧室48内には、セカンダリピストン
41を常時非作動位置方向に付勢するリターンスプリン
グ56が設けられている。
【0048】一方、アキュムレータ38はブレーキ液圧
倍力装置1の入力口20に接続されている。このアキュ
ムレータ38内には、ポンプ37によって常時一定の液
圧が蓄圧されている。また、ポンプ37は遮断位置と連
通位置とが設定されている常閉の電磁開閉弁からなる液
圧供給弁57を介してブレーキ液圧倍力装置1の液圧導
入口30に接続されている。更に、第1通路49に、連
通位置とリリーフ位置とが設定された電磁弁からなる差
圧弁58が設けられているとともに、ポンプ37がこの
差圧弁58よりホイールシリンダ33,34側の第1通
路49に接続されている。この差圧弁58は通常時は連
通位置に設定され、ブレーキアシスト時に電子制御装置
によりリリーフ位置に設定されるようになっている。差
圧弁58がリリーフ位置に設定されたときは、ホイール
シリンダ33,34側の圧力がマスタシリンダ32の第
1液圧室47側の圧力より所定圧高くなったとき開い
て、ホイールシリンダ33,34側の圧力が第1液圧室
47側に逃れるようになっている。
【0049】このように構成された第1例のブレーキ液
圧倍力システム31においては、ブレーキペダル39の
踏込によって通常ブレーキ操作が行われると、前述の従
来例と同様に動力室14にアキュムレータ38の圧液が
導入され、パワーピストン4はペダル踏力を倍力して出
力し、この出力がマスタシリンダ32プライマリピスト
ン40に伝えられ、プライマリピストン42が前進す
る。プライマリピストン42の前進で貫通孔54がカッ
プシール44を通過すると、第1液圧室47内にマスタ
シリンダ圧が発生するとともに、このマスタシリンダ圧
によりセカンダリピストン41が前進する。セカンダリ
ピストン41の前進で貫通孔55がカップシール46を
通過すると、第2液圧室48内にマスタシリンダ圧が発
生する。これらのマスタシリンダ圧が、それぞれホイー
ルシリンダ33,34,35,36に導入される。
【0050】作動初期においては、まずホイールシリン
ダ33,34,35,36のロスストローク等のブレーキ
システムのロスストロークの間、ブレーキ液圧倍力装置
1が、前述の図3に示すようにジャンピング作用を行
う。このジャンピング作用により、これらのロスストロ
ークが迅速に解消される。ブレーキ液圧倍力装置1がジ
ャンピング作用を終了すると、通常ブレーキ時の比較的
小さいサーボ比でサーボ制御が行われる。このときには
ロスストロークが解消されているので、ブレーキ力が発
生し、実質的にブレーキが作動するようになる。こうし
て、通常ブレーキ作動が行われ、このとき各ピストン
4,47,41の有効受圧面積が等しいので、各室14,
47,48の液圧は等しくなる。前述のように通常ブレ
ーキのサーボ制御が終了すると、ブレーキ液圧倍力装置
1は全負荷状態となる。
【0051】ブレーキ液圧倍力装置1の全負荷状態か
ら、ブレーキペダル39の踏込を弱めてブレーキ作動解
除操作が行われると、ブレーキ液圧倍力装置1は、前述
のように出力が一定に保持された後、全負荷ラインに沿
って低下するので、ブレーキ力もこれに応じて低下す
る。ブレーキ液圧倍力装置1が全負荷状態から中間負荷
状態に移行すると、反力ピストン18の後端18cが入
力軸5の段部5aから離れるので、中間負荷状態では大
きなサーボ比のサーボ制御が行われる。ブレーキペダル
39を完全に解放すると、ブレーキ液圧倍力装置1、マ
スタシリンダ32およびホイールシリンダ33,34,3
5,36が非作動となり、ブレーキが解除される。
【0052】ところで、この第1例のブレーキ液圧倍力
システム31では、ブレーキ液圧倍力装置1のヒステリ
シスを利用して、ブレーキアシスト制御を行うことがで
きるようにしている。このブレーキアシスト制御の作用
について説明する。
【0053】ブレーキペダル39の踏込でブレーキ操作
が行われたとき、ペダルストローク(図示しないストロ
ークセンサで検出される)の上昇速度あるいはペダル踏
力(図示しない踏力センサで検出される)等のペダル踏
込状況に基づいて、電子制御装置はブレーキアシスト制
御が必要であると判断すると、ポンプ37を駆動すると
同時に液圧供給弁57を開く。すると、ポンプ37の吐
出圧が、液圧供給弁57、液圧供給口30および通路孔
29を通って、動力室14に導入され、動力室14の液
圧が上昇する。このとき、ブレーキ液圧倍力装置1のヒ
ステリシスにより、同じペダル踏力でも動力室14の液
圧がヒステリシスの範囲内で上昇するようになる。
【0054】動力室14の液圧が上昇することにより、
パワーピストン4の出力も上昇するようになるので、プ
ライマリピストン40およびセカンダリピストン41が
それぞれ発生するマスタシリンダ圧も上昇する。この上
昇したマスタシリンダ圧が両系統のホイールシリンダ3
3,34,35,36に導入されるので、ホイールシリン
ダ圧も上昇する。このとき、各ピストン4,40,41の
有効受圧面積が等しくなっているので、各ホイールシリ
ンダ圧および動力室14の液圧はバランスしながら同圧
で上昇するようになる。これにより、ブレーキ力が増大
し、ブレーキアシストが行われる。
【0055】また、このブレーキアシスト制御時に、一
系統側のホイールシリンダ圧の上昇によリホイールシリ
ンダ33,34のストロークが増加するが、このときに
は一系統側の差圧弁58がリリーフ位置に設定されて、
第1液圧室47からホイールシリンダ33,34の方へ
のブレーキ液の流れが阻止されるので、ホイールシリン
ダ33,34のストローク増加分は、ペダルストローク
に影響しない。このように、ブレーキアシスト制御時
に、一系統側はペダルストロークに影響しないので、そ
の分、ブレーキアシスト制御時におけるペダルストロー
ク増加を防止できる。
【0056】なお、ホイールシリンダ33,34のスト
ローク増加分は、動力室14の圧液(ポンプ37の吐出
液)がホイールシリンダ33,34に供給されることに
より、吸収される。一方、ブレーキアシスト制御時に、
他系統側のホイールシリンダ35,36のホイールシリ
ンダ圧の上昇によりホイールシリンダ35,36のスト
ロークが増加するが、第2液圧室48のブレーキ液がホ
イールシリンダ35,36へ供給されるので、ホイール
シリンダ35,36のストローク増加分はペダルストロ
ークに影響するようになる。
【0057】この第1例のブレーキ液圧倍力装置1によ
れば、入出力特性がブレーキ作動方向とブレーキ作動解
除(戻り)方向との間でヒステリシスを有するものとな
る。その場合、従来のブレーキ液圧倍力装置をほとんど
変更することがないので、ヒステリシスを有するブレー
キ液圧倍力装置1を簡単にかつコストをほとんど増大さ
せることなく形成することができる。
【0058】また、ブレーキ液圧倍力システム31によ
れば、このブレーキ液圧倍力装置1のヒステリシスを利
用するとともに、電子制御装置が電磁弁開閉弁57をブ
レーキペダル39の踏込速度あるいは踏力に応じて制御
することにより、簡単かつ確実にブレーキアシストを行
うことができるようになる。
【0059】しかも、ブレーキアシスト時に動力室14
に導入する液圧のための第2の液圧源として、ブレーキ
液圧倍力装置1の液圧源であるポンプ37を兼用してい
るので、ブレーキアシスト機能をブレーキ液圧倍力シス
テム31に、部品点数を増大させることなく、より一層
安価に持たせることができるようになる。
【0060】なお、図示しないがブレーキ液圧倍力シス
テム31がアンチロックブレーキシステム(ABS)お
よびトラクションコントロール(TRC)を備えている
場合には、これらのABSやTRCのためのポンプを、
ブレーキアシストのための第2の液圧源として兼用する
こともできる。また、もちろん、前述の効果は得られな
いが、第2の液圧源として、専用の液圧源を設けること
ができることは言うまでもない。この第1例を具体化し
たブレーキ液圧倍力装置1を図4に示すが、その構成お
よび作用の説明は省略する。
【0061】図5は、本発明の実施の形態の第2例を模
式的に示す図である。前述の第1例では、液圧排出通路
22が入力軸5側に設けられているが、この第2例で
は、図5に示すように液圧排出通路22が弁7および弁
体8側に設けられている。すなわち、液圧排出通路22
は弁7および弁体8に穿設された通路孔22aと、パワ
ーピストン4に穿設され、通路孔22aに連通する通路
孔22bと、パワーピストン4の外周に形成され、通路
孔22bおよびブレーキ液給排口51に連通する軸方向
の溝22cと、ブレーキ液給排口51とからなってい
る。したがって、ブレーキ作動解除時、動力室14の圧
液はこれらの通路孔22a,22b、溝22cおよびブ
レーキ液給排口51を通ってリザーバ53に排出され
る。
【0062】また、室23は通路59を介してリザーバ
53に接続されていて、段付の入力軸5の進退動による
室23の圧力変動が吸収され、入力軸5の進退動が滑ら
かに行われるようになっている。この第2例の他の構成
及び他の作用効果は、第1例と同じである。
【0063】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1ないし3の発明の液圧倍力装置によれば、反力ピスト
ンが、作動方向では、動力室の液圧が所定圧より小さい
ときは入力軸の段部から離れるとともに、動力室の液圧
が所定圧以上のとき入力軸の段部に当接し、作動解除方
向では、中間負荷状態のとき入力軸の段部から離れるよ
うにしているので、液圧倍力装置の入出力特性に作動方
向と作動解除方向とでメカニカルにヒステリシスを持た
せることができるようになる。その場合、従来からジャ
ンピング特性のために設けられている反力ピストンを有
する液圧倍力装置の構成部品間の寸法を所定寸法に単に
設定しかつ動力室へ第2の液圧源の液圧を導入する通路
を形成すればよいだけであるので、従来の液圧倍力装置
をほとんど設計変更することなく、簡単にかつ安価にヒ
ステリシスを有する液圧倍力装置を形成することができ
る。
【0064】また、請求項3ないし5の発明のブレーキ
液圧倍力システムによれば、液圧倍力装置のヒステリシ
ス特性および第2の液圧源の液圧により、ブレーキアシ
スト必要時にブレーキ力を大きくすることができる。そ
の場合、同じ入力に対するブレーキ力の大きさを、液圧
倍力装置の入出力特性のヒステリシスの範囲内で種々制
御できるようになる。また、請求項5の発明によれば、
急ブレーキ時等のブレーキアシストを必要とする場合
に、ブレーキアシストを簡単かつ確実に行うことができ
るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る液圧倍力装置およびブレーキ液
圧倍力システムの実施の形態の第1例を模式的に示す図
である。
【図2】 図1に示す第1例のブレーキ液圧倍力装置の
一部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【図3】 図2に示すブレーキ液圧倍力装置の、ヒステ
リシスを有する入出力特性を示す図である。
【図4】 図1に示す液圧倍力装置の具体化した断面図
である。
【図5】 本発明の実施の形態の第2例を模式的に示す
図である。
【図6】 従来のブレーキ液圧倍力装置の一例を示す断
面図である。
【図7】 図6に示す従来のブレーキ液圧倍力装置の、
ヒステリシスを有さない入出力特性を示す図である。
【符号の説明】
1…ブレーキ液圧倍力装置、2…ハウジング、4…パワ
ーピストン、5…入力軸、5a…入力軸5の段部、6…
制御弁、7…弁、8…弁体、9…弁座部材、9a…第1
弁座、10…弁作動部材、10a…第2弁座、14…動
力室、15…筒状固定部材、15a…筒状固定部材の段
部、17…筒状ストッパ部材、17a…ストッパ、18
…反力ピストン、18a…第1ストッパ、18b…第2
ストッパ、18c…反力ピストン18の後端、22…液
圧排出通路、29…通路孔、30…液圧供給口、31…
ブレーキ液圧倍力システム、32…マスタシリンダ、3
3,34,35,36…ホイールシリンダ、37…ポン
プ、38…アキュムレータ、39…ブレーキペダル、4
0…プライマリピストン、41…セカンダリピストン、
44,46…カップシール、47…第1液圧室、48…
第2液圧室、49…第1通路、50…第2通路、53…
リザーバ、57…液圧供給弁、58…差圧弁、A…第2
弁座10aと弁7との間の隙間、B…弁作動部材10と
筒状部材26との間の隙間、C…反力ピストン18の後
端18cと入力軸5の段部5aとの間の隙間、D…反力
ピストン18の第1ストッパ18aと筒状固定部材15
の段部15aとの間の隙間D
フロントページの続き (72)発明者 島田昌宏 埼玉県東松山市神明町2丁目11番6号 自 動車機器株式会社松山工場内 (72)発明者 沢田護 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソ−内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液圧を発生する液圧源と、作動液を貯え
    るリザーバと、出力を発生するパワーピストンと、この
    パワーピストンの受圧面が面する動力室と、非作動時に
    前記動力室を前記液圧源から遮断するとともに前記リザ
    ーバに連通し、作動時に前記動力室を前記リザーバから
    遮断するとともに前記液圧源に連通して、前記液圧源の
    圧液を前記動力室に導入する制御弁と、作動時前進しか
    つ作動解除時に後退して前記制御弁を作動制御するとと
    もに、制御弁側の部分が小径でかつ制御弁側と反対側の
    部分が大径の段部を有する段付の入力軸と、外径が前記
    入力軸の制御弁側と反対側の部分の径より大きく設定さ
    れて筒状に形成されているとともに前記入力軸の小径部
    に摺動可能に嵌合され、その前端が前記動力室に面しか
    つその後端が前記入力軸の段部に当接可能な反力ピスト
    ンとを備え、 前記反力ピストンは、作動方向では、前記動力室の液圧
    が所定圧より小さいときは前記入力軸の段部から離れる
    とともに、前記動力室の液圧が所定圧以上のとき前記入
    力軸の段部に当接し、作動解除方向では、中間負荷状態
    のとき前記入力軸の段部から離れるように設定されてい
    ることを特徴とする液圧倍力装置。
  2. 【請求項2】 前記制御弁を作動制御する弁作動部材
    が、前記入力軸に対して第1所定距離だけ相対移動可能
    に設けられているとともに、前記反力ピストンが前記パ
    ワーピストンに対して第2所定距離だけ相対移動可能に
    設けられており、 非作動時における、前記入力軸に設けられた弁作動部材
    と前記制御弁との間の隙間をAとし、前記第1所定距離
    をBとし、非作動時における、前記反力ピストンと前記
    入力軸の段部との隙間をCとし、前記第2所定距離をD
    としたとき、各隙間A,Cと第1および第2所定距離B,
    Dとが C − A − B < D < C − A に設定されていることを特徴とする請求項1記載の液圧
    倍力装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の液圧倍力装置
    と、この液圧倍力装置の出力によってマスタシリンダ圧
    を発生するマスタシリンダピストンを有するマスタシリ
    ンダと、前記マスタシリンダ圧が導入されることにより
    ブレーキ力を発生するブレーキシリンダと、液圧を発生
    する第2の液圧源と、作動時にこの第2の液圧源からの
    液圧を前記動力室に前記制御弁を介することなく導入す
    る、電磁弁からなる液圧供給弁と、必要時に前記液圧供
    給弁を作動制御する電子制御装置とを備えていることを
    特徴とするブレーキ液圧倍力システム。
  4. 【請求項4】 前記パワーピストンの有効受圧面積と前
    記マスタシリンダピストンの有効受圧面積とが等しく設
    定されていることを特徴とする請求項3記載のブレーキ
    液圧倍力システム。
  5. 【請求項5】 前記電子制御装置は、前記入力軸を操作
    する操作部材の操作速度または操作部材の操作力に応じ
    て前記液圧供給弁を制御することを特徴とする請求項3
    または記載のブレーキ液圧倍力システム。
JP10290499A 1997-10-30 1998-10-13 液圧倍力装置およびこの液圧倍力装置を用いたブレーキ液圧倍力システム Pending JPH11291888A (ja)

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FR9813589A FR2770477B1 (fr) 1997-10-30 1998-10-29 Dispositif amplificateur d'une pression hydraulique et systeme amplificateur de la pression de freinage employant le dispositif
US09/181,994 US6196641B1 (en) 1997-10-30 1998-10-29 Fluid pressure boosting device and brake pressure boosting system employing the device

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012030788A (ja) * 2010-07-28 2012-02-16 Robert Bosch Gmbh 電気油圧昇圧機

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012030788A (ja) * 2010-07-28 2012-02-16 Robert Bosch Gmbh 電気油圧昇圧機

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