JP3821336B2 - 液圧倍力装置およびこの液圧倍力装置を用いたブレーキ液圧倍力システム - Google Patents

液圧倍力装置およびこの液圧倍力装置を用いたブレーキ液圧倍力システム Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液圧により入力を所定の大きさに倍力させて出力する液圧倍力装置およびこの液圧倍力装置を用いたブレーキ液圧倍力装置の技術分野に属し、特に、サーボ制御時の途中でサーボ比を変化させることができるようにする液圧倍力装置およびこの液圧倍力装置を用いたブレーキ液圧倍力装置の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車のブレーキ液圧倍力装置等に用いられる液圧倍力装置は、小さな入力で大きな出力を得るようにするものである。この液圧倍力装置の一例として、自動車のブレーキシステムに用いられたブレーキ液圧倍力装置が、実願平4ー33402号(実開平5ー84553号)のマイクロフィルムにより提案されている。
【0003】
図9は、このマイクロフィルムに開示されているブレーキ液圧倍力装置を示す図である。図中、1′はブレーキ液圧倍力装置、2′はハウジング、3′はプラグ、4′はパワーピストン、5′は制御弁、6′は弁座部材、7′は筒状固定部材、8′はナット、9′はボール弁、10′は弁体、11′は筒状部材、12′は入力軸、13′は筒状ストッパ部材、14′は反力ピストン、15′は動力室、16′は出力軸である。
【0004】
このブレーキ液圧倍力装置1′においては、図示の非作動状態では、制御弁5′のボール弁9′が弁座部材6′に着座しているとともに、筒状部材11′の先端弁部がボール弁9′から離座している。したがって、動力室15′が、図示しない液圧源に常時接続されている入力口17′から遮断しているとともに、同じく図示しないリザーバに常時接続されている室18′に連通し、動力室15′には液圧が導入されていなく、パワーピストン4′は作動しない。
【0005】
この非作動状態から入力が加えられて、入力軸12′が前進すると、筒状部材11′も前進して、筒状部材11′の先端弁部が制御弁5′のボール弁9′に当接するとともにこのボール弁9′を押して、弁座部材6′から離座する。これにより、動力室15′は入力口17′に連通するとともに、室18′から遮断し、動力室15′に圧液が導入され、パワーピストン4′が作動する。パワーピストン4′の作動により、ブレーキ液圧倍力装置1′は出力軸16′から出力し、図示しないマスタシリンダのピストンを作動し、マスタシリンダはブレーキ液圧を発生する。動力室15′の液圧が入力に応じた大きさになると、ボール弁9′が弁座部材6′に着座するので、ブレーキ液圧倍力装置1′の出力は、入力を倍力した大きさとなる。
【0006】
動力室15′の液圧により、反力ピストン14′がスプリング19′に対抗して後方に押圧されるが、動力室15′の液圧がまだ小さく、ブレーキシステムのロスストロークが解消しないで実質的にブレーキ力が発生しない初期段階では、反力ピストン14′が入力軸12′の段部12′aに当接しないので、倍力比つまりサーボ比がきわめて大きいサーボ制御によるジャンピング作用が行われる。動力室15′の液圧が所定圧となって、反力ピストン14′が入力軸12′の段部12′aに当接した後は、ブレーキ力が実質的に発生し、このときサーボ比が小さくなって通常ブレーキのサーボ比となり、これ以後ブレーキ液圧倍力装置1′は、入力をこのサーボ比で倍力した出力を発生する通常ブレーキ時のサーボ制御を行うようになる。
【0007】
動力室15′の液圧が液圧源で発生する圧力で決まる最大圧となって、それ以上上昇しなくなると、ブレーキ液圧倍力装置1′は全負荷となってサーボ制御を行わなく、それ以後は入力の上昇分に基づく出力上昇分は倍力されない大きさとなる。
【0008】
入力をなくすと、入力軸12′が図示しないリターンスプリングにより後退するので、筒状部材11′も後退して、筒状部材11′の先端弁部が制御弁5′のボール弁9′から離座する。これにより、動力室15′は入力口17から遮断するとともに、室18′に連通し、動力室15′に導入された液圧がリザーバに排出され、パワーピストン4′がリターンスプリング20′により後退する。入力軸12′に固定された筒状ストッパ部材13′がプラグ3′のストッパ21′に当接すると、入力軸12′はそれ以上後退しなく、後退限となって、図示の非作動状態に戻る。動力室15′の液圧が完全に排出されると、パワーピストン4′も図示の非作動状態に戻り、ブレーキ液圧倍力装置1′は出力しなく、マスタシリンダも非作動状態となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この従来のブレーキ液圧倍力装置1′においては、図10に示すように実質的にブレーキ力が発生するサーボ制御でのサーボ比は一定となっている。
【0010】
しかしながら、このようにサーボ比が常に一定であると、ブレーキ力がある程度上昇した後も、入力の上昇に対して出力が常に同じ割合で上昇し、ブレーキ力が必要以上に大きくなってしまう。このため、ブレーキフィーリングが必ずしも良好であるとは言えない。そこで、ブレーキ力がある程度上昇した後は、入力の上昇に対して出力の上昇を小さくして、ブレーキ力が必要以上に大きくなるのを抑制し、ブレーキフィーリングをより一層良好にすることが求められる。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡単な構造で、サーボ制御の途中からからサーボ比を小さくして、入出力特性を滑らかにすることのできる液圧倍力装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、請求項1の発明の液圧倍力装置は、液圧を発生する液圧源と、作動液を貯えるリザーバと、出力を発生するパワーピストンと、このパワーピストンの受圧面が面する動力室と、非作動時に前記動力室を前記液圧源から遮断するとともに前記リザーバに連通し、作動時に前記動力室を前記リザーバから遮断するとともに前記液圧源に連通して、前記液圧源の圧液をその作動に応じて前記動力室に導入する制御弁と、この制御弁を作動制御するとともに、制御弁側の部分が小径でかつ制御弁側と反対側の部分が大径の段部を有する段付の入力軸とを備え、前記入力軸の段部が位置するように反力室が形成されており、前記動力室の液圧が所定圧より小さいときには前記反力室に大気圧を導入するとともに前記動力室の液圧が前記所定圧以上のときには前記反力室にサーボ比制御圧の圧液を導入するように制御するサーボ比制御圧制御弁が設けられていることを特徴としている。
【0013】
また請求項2の発明は、前記サーボ比制御圧制御弁が、1つの切換弁または2つの開閉弁からなることを特徴としている。
更に請求項3の発明は、前記切換弁または前記開閉弁が、前記動力室の液圧によって作動制御されるか、前記動力室の液圧に応じて励磁される電磁力によって制御されることを特徴としている。
【0014】
更に請求項4の発明は、前記サーボ比制御圧制御弁と前記反力室との間の通路に、少なくとも、オリフィスと、このオリフィスより前記サーボ比制御圧制御弁側に位置して低圧アキュムレータとが設けられていることを特徴としている。 更に請求項5の発明は、前記サーボ比制御圧が、前記動力室の液圧または前記液圧源の液圧であることを特徴としている。その場合、液圧源の液圧は液圧源の液圧自体でもよいし、液圧源の液圧を圧力調整弁で調整した液圧でもよい。
【0015】
更に請求項6の発明は、前記サーボ比制御圧制御弁が、前記動力室の液圧に応じて制御される電磁比例制御弁であり、前記サーボ比制御圧が、前記動力室の液圧または前記液圧源の液圧を前記電磁比例制御弁によって制御された液圧であることを特徴としている。
【0016】
更に請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれか1記載の液圧倍力装置と、この液圧倍力装置の出力によって作動制御され、ブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと、このマスタシリンダのブレーキ液圧が導入されることによりブレーキ力を発生するブレーキシリンダとを備えていることを特徴としている。
【0017】
更に請求項8の発明は、2系統のブレーキシステムにおいて、請求項1ないし6のいずれか1記載の液圧倍力装置と、この液圧倍力装置の出力によって作動制御され、ブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと、前記液圧倍力装置の前記動力室の液圧が導入されることによりブレーキ力を発生する一方の系統のブレーキシリンダと、前記マスタシリンダのブレーキ液圧が導入されることによりブレーキ力を発生する他方の系統のブレーキシリンダとを備えて、セミフルパワーブレーキが構成されていることを特徴としている。
【0018】
【作用】
このような構成をした請求項1ないし6の発明の液圧倍力装置においては、作動時動力室の液圧が所定圧より小さい時は反力室の液圧が大気圧となっているので、大きいサーボ比でのサーボ制御が行われ、入力上昇に対する液圧倍力装置の出力上昇が大きくなる。更に、動力室の液圧が所定圧以上になると、反力室にサーボ比制御圧が導入され、このサーボ比制御圧が入力軸の段部に入力と対抗する方向に作用するようになる。このため、小さいサーボ比でのサーボ制御が行われ、入力上昇に対する液圧倍力装置の出力上昇が小さくなる。
【0019】
このように、請求項1ないし6の発明においては、入力軸に段部を形成するとともに、この段部を反力室に位置させ、この反力室の液圧を制御するだけで、簡単な構造で、液圧倍力装置は、大きなサーボ比によるサーボ制御の途中から小さいサーボ比によるサーボ制御に変わる二段サーボ特性を発揮するようになる。
【0020】
この二段サーボ特性により、所定以上の大きさの出力上昇が抑制され、液圧倍力装置の入出力特性は滑らかになる。
【0021】
特に、請求項3の発明においては、切換弁または開閉弁が動力室の液圧に応じて励磁される電磁力によって制御される場合、サーボ比制御圧の急上昇時に電磁力による切換弁または開閉弁の切換を遅らせることにより、反力室の液圧上昇が遅れるので、大きいサーボ比から小さいサーボ比への移行が遅れるようになる。つまりサーボ比切換点が変更する。これにより、液圧倍力装置の出力が通常時より大きくなる。
【0022】
また請求項4の発明においては、サーボ比制御圧の急上昇時にサーボ比制御圧の圧液がオリフィスにより絞られて反力室の液圧上昇が遅れるので、大きいサーボ比から小さいサーボ比への移行が遅れるようになる。つまりサーボ比切換点が変更する。これにより、液圧倍力装置の出力が通常時より大きくなる。
【0023】
更に請求項5の発明においては、液圧源の液圧は動力室の液圧より高いので、サーボ比制御圧として液圧源の液圧を用いることにより、より小さいサーボ比を設定することができる。なお、液圧源の液圧は液圧源の液圧自体でもよいし、液圧源の液圧を圧力調整弁で調整した液圧でもよい。
【0024】
更に、請求項6の発明においては、電磁比例制御弁により、反力室へのサーボ比制御圧が制御されるので、サーボ比の切り換えが滑らかに行われるようになる。 更に、請求項7および8の発明のブレーキ液圧倍力システムにおいては、簡単な構造で、サーボ制御の途中から大きなサーボ比から小さなサーボ比へ移行する二段サーボ制御を行うことができるようになるので、ブレーキフィーリングがより良好になる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係るブレーキ液圧倍力装置の実施の形態の第1例を示す断面図、図2は図1の部分拡大断面図である。
【0026】
図1および図2に示すようにこの第1例のブレーキ液圧倍力装置1は、マスタシリンダ2が一体に設けられており、このマスタシリンダ2と共通のハウジング3を備えている。
【0027】
ハウジング3には、比較的軸方向に長い段付孔4が図1において右端に開口して穿設されているとともに、この段付孔4の小径部4aが一定の断面積でブレーキ液圧倍力装置1からマスタシリンダ2まで延びている。この軸方向孔4の右端開口部は、Oリング5を有するプラグ6によって液密に閉塞されている。このプラグ6は段付筒状突出部6aを有しており、この段付筒状突出部6aの小径突出部6bがハウジング3の段付孔4の小径部4a内に位置するようにして、段付筒状突出部6aの大径突出部6cが小径部4a内に圧入されているとともに、プラグ6はハウジング3に螺合されたナット7によって段付孔4の段部に当接されてハウジング3に固定されている。
【0028】
段付孔4の小径部4a内にパワーピストン8が液密にかつ摺動可能に配設されている。パワーピストン8には、その中心に位置して軸方向に延びるとともにパワーピストン8の右端に開口する段付孔9が穿設されており、段付孔9の小径部9a内には、端部に第1弁座10aを有する筒状の弁座部材10が圧入されている。弁座部材10の右端のフランジ部10bが段付孔9の段部に当接されているとともに、段付孔9の大径部9b内に嵌入された筒状固定部材11によって軸方向に支持されており、更に筒状固定部材11はCリング12によってパワーピストン8に固定されている。
【0029】
段付孔9の小径部9a内には、カラー13が圧入されており、このカラー13に、円錐弁14が一体に形成された筒状の弁体15が摺動可能に配設されており、この弁体15はスプリング16により円錐弁14が弁座部材10の第1弁座10aに着座する方向に常時付勢されている。また、弁座部材10の軸方向孔10c内には、弁作動部材17の先端に形成された第2弁座17aが円錐弁14に着座可能に配設されている。また、弁作動部材17は入力軸18に嵌合固定されているとともに、この弁作動部材17には、プラグ6の小径突出部6bの先端に当接可能で、この当接時に入力軸18の後退限を規定するフランジ状のストッパ部17bが一体に設けられている。弁座部材10と弁作動部材17との間にはスプリング19が縮設されていて、弁作動部材17および入力軸18は、常時図において右方に付勢されている。入力軸18は前方の小径部と後方の大径部とにより形成された段部18aを有する段付軸に形成されており、入力軸18の大径部がプラグ6を液密に貫通し、その後端は図示しないがブレーキペダルに連結されている。
【0030】
また、ハウジング3には、圧液が導入される入力口22と、この入力口22と段付孔4の小径部4aとを連通する通路孔23とが設けられているとともに、パワーピストン8に、この通路孔23と段付孔9の小径部9aとを連通する通路孔24が穿設されている。その場合、通路孔24は、弁座部材10とカラー13との間の小径部9aに開口している。これらの入力口22および通路孔23,24により、液圧供給通路が構成されている。
【0031】
プラグ6とパワーピストン8の右端との間には、動力室25が形成されており、この動力室25は弁座部材10の軸方向孔10cに常時連通されている。この動力室25内に、弁作動部材17のストッパ部材17bが位置されている。なお、プラグ6の小径突出部6bの外周面と筒状固定部材11の内周面との間には、隙間が設けられていて、作動液が自由に流動可能となっている。
【0032】
また、動力室25は、ハウジング3に穿設された通路孔26を介して出力口27に常時連通されているとともに、この出力口27は2ブレーキ系統のうちの一方の系統におけるホイールシリンダ28,29に常時連通されている。
【0033】
更に、弁体15には軸方向に貫通する軸方向孔30が穿設されており、この軸方向孔30はパワーピストン8に穿設された径方向孔31に常時連通している。この径方向孔31は小径部4aを介してハウジング3に穿設された排出口32に常時連通されており、この排出口32はリザーバ33に常時連通されている。 更に、動力室25は、パワーピストン8に穿設された通路孔34を介して弁体15の段部15aに面する室35に常時連通されている。
【0034】
更に、入力口22とリザーバ33とを接続する液圧回路36に、モータ37で駆動される液圧ポンプ38と、液圧ポンプ38の吐出側にチェックバルブ39を介してアキュムレータ40とがそれぞれ設けられている。アキュムレータ40には、液圧ポンプ38の吐出圧によって常時所定圧が蓄えられるようになっている。
【0035】
ところで、本例のブレーキ液圧倍力装置1は、更にプラグ6に形成された反力室41が設けられており、この反力室41に、入力軸18の段部18aが面するようになっている。そして、反力室41はプラグ6に穿設された径方向孔42、ハウジング3とプラグ6との間の環状空間43、ハウジング3に穿設された軸方向孔44を介して、制御圧導入口45に常時連通されている。
【0036】
図1に示すように、制御圧導入口45は可変サーボ装置61に接続されており、この可変サーボ装置61は二位置三方弁からなる圧力切換弁46を備えている。二位置三方切換弁46は、制御圧導入口45を、リザーバ33に常時連通する液圧回路36に接続する第1位置Iと、制御圧導入口45を、出力口27とホイールシリンダ28,29とを接続するブレーキ液通路に接続する第2位置IIとが設定されており、通常時は第1位置Iに設定されるとともに、出力口27の液圧、つまり動力室25の液圧が設定作動圧(すなわちサーボ比切換圧)になったとき、第2位置IIに切換制御されるようになっている。
【0037】
一方、パワーピストン8の前部には、マスタシリンダ2のマスタシリンダピストン47が一体に形成されており、このマスタシリンダピストン47はパワーピストン8の有効受圧面積と同じ有効受圧面積に設定されて、ハウジング3の段付孔4の小径部4aに、カップシール48により一方向にのみ液密に、かつ摺動可能に嵌合されている。
【0038】
また、小径部4a内にはマスタシリンダピストン47により液室49が画成されているとともに、この液室49は出力口50を介して2ブレーキ系統のうちの他方の系統におけるホイールシリンダ51,52に常時連通されている。更に、マスタシリンダピストン47には、径方向孔31つまりリザーバ33と液室49とを連通する軸方向孔53が穿設されている。この軸方向孔53には、先端に弁54が設けられた弁ロッド55が貫通しており、この弁ロッド55は、ハウジング3に小径部4aを径方向に貫通して設けられた弁解放ロッド56に当接可能となっている。更に、弁54はスプリング57によって弁座58に着座する方向に常時付勢されている。そして、マスタシリンダピストン47が図示の非作動位置にあるときは、弁ロッド55が弁解放ロッド56に当接することにより、弁54がスプリング57のばね力に抗して弁座58から離座し、リザーバ33と液室49とが連通されるようになっている。また、マスタシリンダピストン47が前進したときは、スプリング57のばね力により弁54が弁座58に着座しかつ弁ロッド55が弁解放ロッド56から離れ、リザーバ33と液室49とが遮断されてマスタシリンダ圧が発生するようになっている。
更に、液室49内には、マスタシリンダピストン47が一体となったパワーピストン8を常時非作動方向に付勢するリターンスプリング59が縮設されている。
【0039】
このように、本例のマスタシリンダ2と一体のブレーキ液圧倍力装置1を用いたブレーキシステムは、一方のブレーキ系統がそのホイールシリンダ28,29に動力室25の液圧が導入されるフルパワーブレーキ系統であり、また他方のブレーキ系統がそのホイールシリンダ51,52にマスタシリンダ圧が導入される液圧ブレーキ系統であるセミフルパワーブレーキシステムとして構成されている。
【0040】
次に、この例のマスタシリンダと一体のブレーキ液圧倍力装置の作用について説明する。
ブレーキペダルが踏み込まれないブレーキ非操作時は、円錐弁14、弁座部材10の第1弁座10aおよび弁作動部材17の第2弁座17aは、図1および図2に示す位置関係にある。すなわち、円錐弁14が弁座部材10の第1弁座10aに着座しているとともに、弁作動部材17の第2弁座17aが円錐弁14から離座している。この状態では、入力口22に常時連通している通路孔24と弁座部材10の軸方向孔10cとが遮断されているとともに、弁座部材10の軸方向孔10cと排出口32に常時連通している弁体15の軸方向孔30とが連通している。したがって、ブレーキ非操作時は、動力室25がポンプ38およびアキュムレータ40から遮断されているとともにリザーバ33に連通し、動力室25には圧液が供給されない。
【0041】
また、弁作動部材17のストッパ部17bがプラグ6の小径突出部6bに当接した位置となっている。更に圧力切換弁46が図示の第1位置Iにあり、反力室32はリザーバ33に連通している。
【0042】
ブレーキペダルの踏込みによるブレーキ操作時は、入力軸18が前進し、弁作動部材17の第2弁座17aが円錐弁14に着座するとともに、円錐弁14が弁座部材10の第1弁座10aから離座するので、この状態では通路孔24と弁座部材10の軸方向孔10cとが連通するとともに、弁座部材10の軸方向孔10cと弁体15の軸方向孔30とが遮断される。したがって、動力室25がリザーバ33から遮断されるとともにポンプ38およびアキュムレータ40に連通し、動力室25にアキュムレータ40の圧液が供給される。この場合、円錐弁14、第1弁座10aおよび第2弁座17aにより、動力室25をポンプ38およびアキュムレータ40の液圧源またはリザーバ33に選択的に切換制御するブレーキ液圧倍力装置1の制御弁60が構成されている。
【0043】
動力室25内に導入された圧液がリターンスプリング59のばね力に打ち勝つ圧力になると、この液圧によりパワーピストン8が前進してブレーキ液圧倍力装置1が出力を発生するとともに、マスタシリンダピストン47が前進して、弁54が弁座58に着座して、液室49にマスタシリンダ圧が発生する。そして、動力室25内の液圧が一方の系統の両ホイールシリンダ28,29に導入されるとともに、マスタシリンダ圧が他方の系統の両ホイールシリンダ51,52に導入され、両系統のブレーキが作動する。このとき、動力室25内の液圧が作用するパワーピストン8の有効受圧面積が液室49のマスタシリンダ圧が受けるマスタシリンダピストン44の有効受圧面積とが等しいことから、動力室25内の液圧とマスタシリンダ圧とはバランスして等しくなる。したがって、各ホイールシリンダ28,29;51,52にはともに等しい液圧の圧液が供給される。
【0044】
更に動力室25内の圧液は軸方向の通路孔34を介して室35内にも導入され、この室35内の液圧が弁体15の段部15aに作用することにより、弁体15は動力室25の液圧に対抗する方向に付勢される。
入力軸18は、その先端にある弁作動部材17の比較的小さな有効受圧面積が受ける動力室25内の液圧による力が作用されるようになり、この力が反力として運転者に伝えられる。
【0045】
入力軸18の反力が入力軸18の入力に等しくなると、円錐弁14が弁座部材10の第1弁座10aおよび弁作動部材17の第2弁座17aのいずれにも着座し、動力室25はアキュムレータ40およびリザーバ33のいずれからも遮断される。入力軸18の入力が更に上昇すると、再び円錐弁14が第1弁座10aから離座し、動力室25には更に圧液が供給され、動力室25内の液圧が更に上昇する。以後、円錐弁14が第1弁座10aに対する着座および離座を繰り返すことにより、動力室25内の液圧が入力軸18の入力の上昇にしたがって上昇する
いま、ブレーキ液圧倍力装置1の出力をFout、ブレーキ液圧倍力装置1の入力をFin、段付の入力軸18の小径部外径の断面積(有効受圧面積;以下、他の断面積も同じ)をA1(図2に図示:以下、他の断面積の符号も同じ)、入力軸18の大径部外径の断面積をA2、円錐弁14と第2弁座17aとのシート断面積をA3、パワーピストン8の外径の断面積をA4(ここで、A3<A1<A2<A4)、各スプリング19,59のばね力をそれぞれSPG1,SPG2とすると、このときの、ブレーキ液圧倍力装置1の入出力特性は、
【0046】
【数1】
Figure 0003821336
【0047】
で与えられるとともに、図3に示すように直線αで表され、大きなサーボ比でサーボ制御が行われる。
【0048】
また、このサーボ制御中で、入力が所定の大きさになるまでは、動力室25内の液圧が圧力切換弁46の作動圧まで上昇しないので、圧力切換弁46は第1位置Iに設定されたままとなり、反力室41はリザーバ33に接続されたままとなっている。
【0049】
入力が所定量になって、動力室25内の液圧が圧力切換弁46のサーボ比切換圧になると、圧力切換弁46は切り換えられて第2位置IIに設定される。すると、反力室41は出力口27とホイールシリンダ28,29との間のブレーキ液通路に接続され、反力室41には、サーボ比制御圧である出力口27の液圧、つまり動力室25の液圧が導入される。そして、反力室41に導入された液圧は、入力軸18の段部18aに、入力軸18に加えられている入力と対抗するように作用するようになる。このため、入力軸18に作用される反力が大きくなって、図3に示す直線αで表される大きなサーボ比でのサーボ制御が終了し、以後、ブレーキ液圧倍力装置1の出力は入力軸18の入力に対してこれまでのサーボ制御よりは小さく上昇する。すなわち、ブレーキ液圧倍力装置1は反力が大きくなることから比較的小さなサーボ比で入力軸18の入力を倍力して出力するサーボ制御を行うようになる。これにより、各ホイールシリンダ28,29;51,52はそれぞれ入力軸18の入力に対して直線αによるブレーキ力より小さなブレーキ力を発生する。このときの、ブレーキ液圧倍力装置1の入出力特性は、
【0050】
【数2】
Figure 0003821336
【0051】
で与えられるとともに、図3に示すように直線βで表される。このように、ブレーキ液圧倍力装置1は、入力が所定以上大きくなると、これまでのサーボ比より小さなサーボ比でサーボ制御を行う二段サーボ特性を有している。
【0052】
更に、入力が上昇して、動力室25の液圧がアキュムレータ40に蓄圧される最大設定圧になると、動力室25の液圧はそれ以上上昇しなく、ブレーキ液圧倍力装置1は大きなサーボ比によるサーボ制御を終了し、全負荷状態となる。したがって、これ以後、ブレーキ液圧倍力装置1の出力上昇分は、入力上昇分を倍力しないものとなる。
【0053】
ブレーキペダルを解放してブレーキ作動を解除すると、入力軸18および弁作動部材17がともに右方へ後退して制御弁60の第2弁座17aが円錐弁14から離座し、動力室25内の圧液が、弁座部材10の軸方向孔10c、円錐弁14と第2弁座17aとの間の隙間、弁体15の軸方向孔30,径方向孔31、段付孔4の小径部4a、および排出口32を介してリザーバ33に排出される。入力軸18が大きく後退するので、第2弁座17aが円錐弁14から大きく開き、動力室25内の圧液は迅速に排出される。
【0054】
動力室25内の圧液の排出により、一方の系統の両ホイールシリンダ28,29の圧液も迅速に動力室25を通ってリザーバ33に排出されて、両ホイールシリンダ28,29の液圧が低下する。一方、リターンスプリング59のばね力により、マスタシリンダピストン44およびパワーピストン8が迅速に後退するため、液室49の液圧および他方の系統の両ホイールシリンダ51,52の液圧がともに低下する。そして、弁ロッド55が弁開放ロッド56に当接すると、それ以後のマスタシリンダピストン47の後退に対して、弁54が弁座58から離座し、液室49がリザーバ33に接続される。このため、両ホイールシリンダ51,52の圧液も迅速に液室49を通ってリザーバ33に排出されて、両ホイールシリンダ51,52の液圧が更に低下する。これにより、ブレーキ液圧倍力装置1の出力は入力軸18の入力低下に対して全負荷から直線βの小さなサーボ比で低下し、両系統のブレーキが解除開始される。
【0055】
動力室25内の液圧が圧力切換弁46のサーボ比切換圧より低下すると、圧力切換弁46が第1位置Iに切り換わり、反力室41がリザーバ33に接続される。このため、反力室41の液圧がなくなって入力軸18の段部18aに作用しなくなり、直線αの大きなサーボ比でのサーボ制御に移行し、以後、ブレーキ液圧倍力装置1の出力は入力軸18の入力低下に対して直線βの小さなサーボ比でのサーボ制御よりは大きく低下する。
【0056】
ブレーキ解除がほぼ終了するまで入力軸18が更に後退すると、弁作動部材17のストッパ部17bがプラグ6の小径突出部6bの先端に当接することにより、入力軸18および弁作動部材17の後退が停止し、入力軸18および弁作動部材17はともに後退限となる。しかしながら、入力軸18および弁作動部材17の後退が停止しても、パワーピストン8、円錐弁14および弁座部材10は、ともに更に後退を続ける。このため、円錐弁14が弁作動部材17の第2弁座17aに近づいてくる。
【0057】
パワーピストン8の右端がプラグ6に当接すると、パワーピストン8の後退が停止し、マスタシリンダピストン47およびパワーピストン8は非作動位置となって、ブレーキが迅速にかつ完全に解除される。
【0058】
パワーピストン8の非作動位置では、円錐弁14が弁作動部材17の第2弁座17aにきわめて近づいて円錐弁14と第2弁座17aとの間の間隙がきわめて小さくなり、着座寸前となる。したがってブレーキペダルが踏み込まれて入力軸18および弁作動部材17が前進すると、直ぐに第2弁座17aが円錐弁14に着座するとともに円錐弁14が弁座部材10の第1弁座10aから直ぐに離座する。すなわち、制御弁60の切換作動を行うためのロスストロークがきわめて小さくなり、ブレーキが迅速に作動する。
【0059】
このようにして、ブレーキ操作時には迅速にブレーキが作動するとともに、ブレーキ操作解除時にはブレーキ作動が迅速に解除し、ブレーキ液圧発生装置1はきわめて応答性のよいものとなる。
この例のブレーキ液圧倍力装置1によれば、ブレーキ時のサーボ制御の途中において、動力室25の液圧が所定圧以上の時、換言すればブレーキペダルからの入力が所定の大きさ以上の時、これまでのサーボ比より小さなサーボ比でサーボ制御を行う二段サーボ特性を発揮することができるようになる。その場合、入力軸18の段部18aが位置する場所に、反力室41を設けるとともに、圧力切換弁46により、この反力室41に動力室25の液圧を導入するという簡単な構造で、この二段サーボ特性を得ることができる。
【0060】
これにより、ブレーキ液圧倍力装置1は、ブレーキ力の上昇が、所定のブレーキ力以上では小さく抑制されるようになり、ブレーキフィーリングが良好になる。 なお、圧力切換弁46の設定作動圧を可変にして種々調整することにより、サーボ比切換点を変えることが可能となる。
【0061】
また、反力室41にアキュムレータ40の蓄圧を導入することもできる。この場合には、アキュムレータ40の蓄圧自体を反力室41に導入することもできるが、アキュムレータ40の蓄圧を圧力調整弁で調整した液圧を反力室41に導入するようにする。これにより、液圧倍力装置は、より小さなサーボ比が得られるようになる。
【0062】
図4は、本発明の実施の形態の第2例を部分的に示す部分断面図である。
前述の第1例では可変サーボ装置73が動力室25の液圧によるパイロット圧で切換制御される圧力切換弁46を備えているが、この第2例のブレーキ液圧倍力装置1では、図4に示すように可変サーボ装置61がこの圧力切換弁46に代えて電磁切換弁62を備えている。また、第2例のブレーキ液圧倍力装置1では、この電磁切換弁62を切換制御するための圧力センサ63が設けられている。
【0063】
電磁切換弁62は、前述の圧力切換弁46とまったく同じ、第1位置Iと第2位置IIとが設定された二位置三方弁からなっている。圧力センサ63は、動力室25の液圧を検出して図示しない電子制御装置に出力し、電子制御装置はこの圧力センサ63からの圧力検出信号に基づいて、動力室25の液圧が前述の圧力切換弁46の作動圧と同じ圧力となったとき、電磁切換弁62を第2位置IIに切り換えるようになっている。
【0064】
またこの第2例においては、電子制御装置は、圧力センサ63からの検出信号に基づいて動力室25の液圧の、通常ブレーキ時より急速な上昇を検知して、急ブレーキ操作が行われたと判断したときは、電磁切換弁62を第2位置IIへの切換を遅らせるようにする。
この第2例のブレーキ液圧倍力装置1の他の構成は、前述の第1例と同じである。
【0065】
このように構成された第2例のブレーキ液圧倍力装置1においては、動力室25の液圧が電磁切換弁62の作動圧より低いときは、電子制御装置が電磁切換弁62を第1位置Iに設定するので、反力室41がリザーバ33に接続されて大気圧となり、前述の図3に示す直線αで表される大きなサーボ比でサーボ制御が行われる。また、動力室25の液圧が電磁切換弁62の作動圧以上のときは、電子制御装置が電磁切換弁62を第2位置IIに設定するので、反力室41に動力室25の液圧が導入されて入力軸18の段部18aに作用し、前述の図3に示す直線βで表される小さなサーボ比でサーボ制御が行われる。
【0066】
また、急ブレーキ操作が行われると、動力室25の液圧が通常ブレーキ時よりも急速に上昇する。電子制御装置は、圧力センサ63からの検出信号に基づいて動力室25の液圧のこの急上昇を検知したときは、電磁切換弁62を第2位置IIへの切換を遅らせる。これにより、図3に二点鎖線γで示すように直線αの大きなサーボ比から直線βの小さなサーボ比への移行が遅くなる。つまり、サーボ比切換点が変わり、大きなサーボ比によるサーボ制御の終了が遅くなる。したがって、その分ブレーキ液圧倍力装置1は大きな出力を発生するようになり、急ブレーキ時により大きなブレーキ力を得ることができる。
この第2例のブレーキ液圧倍力装置1の他の作用効果は、前述の第1例と同じである。
【0067】
図5は、本発明の実施の形態の第3例を部分的に示す図である。
前述の第2例では、動力室25の液圧の急上昇時に電磁切換弁62の切換を遅らせることによりサーボ比の切換を遅らせて、急ブレーキ時に大きなブレーキ力を得るようにしているが、この第3例のブレーキ制御装置1の可変サーボ装置61では、図5に示すように前述の第2例の電磁切換弁62と制御圧導入口45との間の通路に、更に、ピストン64、シリンダ65、およびスプリング66を有し、液を溜めるための低圧アキュムレータ67と、指示圧導入口45と電磁切換弁62および低圧アキュムレータ67との間の通路に設けられたオリフィス68と、このオリフィス68をバイパスして設けられ、指示圧導入口45から電磁切換弁62および低圧アキュムレータ67への液の流れのみを許容するチェックバルブ69とを備え、オリフィス68と低圧アキュムレータ67とによりサーボ比の切換を遅らせて、急ブレーキ時に大きなブレーキ力を得るようにしている。
この第3例のブレーキ液圧倍力装置1の他の構成は、第2例と同じである。
【0068】
この第3例のブレーキ液圧倍力装置1においては、急ブレーキ操作が行われると、動力室25の液圧が急速に上昇する。すると、電磁切換弁62が第2位置IIに切り換えられたとき、動力室25の圧液が反力室41へ急速に流動するようになるが、この圧液はオリフィス68によって絞られるとともに低圧アキュムレータ67に貯えられ、その結果低圧アキュムレータ67が蓄圧されるようになる。このため、反力室41の液圧上昇が遅れるので、その分、図3に二点鎖線γで示すように直線αの大きなサーボ比から直線βの小さなサーボ比への移行が遅くなる。つまり、サーボ比切換点が変わり、大きなサーボ比によるサーボ制御の終了が遅くなる。したがって、その分ブレーキ液圧倍力装置1は大きな出力を発生するようになり、急ブレーキ時により大きなブレーキ力を得ることができる。なお、その後、電磁切換弁62が切り換えられて第1位置Iに設定されたときは、反力室41の圧液はチェックバルブ69を介して迅速にリザーバ33へ排出されるようになる。
この第3例のブレーキ液圧倍力装置1の他の作用効果は、第2例と同じである。
【0069】
なお、第3例のブレーキ液圧倍力装置1に、急ブレーキ時に、第2例のような電磁切換弁62の切換の遅延制御を組み合わせることにより、急ブレーキ時に更に大きなブレーキ力を得ることができる。
【0070】
図6は、本発明の実施の形態の第4例を部分的に示す図である。
図6に示すように、この第4例のブレーキ制御装置1の可変サーボ装置61では、図4に示す第2例の二位置三方弁からなる電磁切換弁62に代えて、2個の第1および第2電磁開閉弁70,71が設けられている。
【0071】
第1電磁開閉弁70は連通位置Iと遮断位置IIとからなる常開の開閉弁であり、また第2電磁開閉弁71は遮断位置Iと連通位置IIとからなる常閉の開閉弁である。これらの第1および第2電磁開閉弁70,71は、前述の電磁切換弁62と同様に、圧力センサ63によって検出された動力室25の液圧が電磁開閉弁70,71の作動圧以上のとき、電子制御装置が第1および第2電磁開閉弁70,71をそれぞれ第2位置IIに切換設定するようになっている。
この第4例のブレーキ液圧倍力装置1の他の構成および作用効果は第2例と同じである。
【0072】
図7は、本発明の実施の形態の第5例を示す図である。
図7に示すように、この第5例のブレーキ液圧倍力装置1では、可変サーボ装置61に電磁比例制御弁72が設けられているとともに、この電磁比例制御弁72は圧力調整弁73を介してアキュムレータ40に接続されている。そして、電磁比例制御弁72は、前述の各電磁弁と同様に圧力センサ63により検出された動力室25の液圧に基づいて電子制御装置により制御されて、非作動時に制御圧導入口45をリザーバ33に接続するとともに圧力調整弁73から遮断し、また作動時に制御圧導入口45をリザーバ33から遮断するとともに圧力調整弁73に接続するようになっている。その場合、電磁比例制御弁72は、圧力調整弁73からの出力圧をソレノイドに入力される制御信号に比例的に制御して出力する。したがって、反力室41には、アキュムレータ40の蓄圧が圧力調整弁73で調整され、更に電磁比例制御弁72で動力室25の液圧に応じて制御された圧力が導入されるようになっている。
この第5例のブレーキ液圧倍力装置1の他の構成は、第2例と同じである。
【0073】
この第5例のブレーキ液圧倍力装置1においては、非作動時は、電磁比例制御弁72が反力室41をリザーバ33に接続し、反力室41は大気圧となっている。
【0074】
この状態で、ブレーキ操作が行われると、ブレーキ液圧倍力装置1は、図8に示す直線α(図3の直線αと同じ)の大きなサーボ比によるサーボ制御を行うようになる。
【0075】
動力室25の液圧がサーボ比切換圧になると、圧力センサ63の検出信号に基づいて、電子制御装置は電磁比例制御弁72を作動し、反力室41をリザーバ33から遮断する。これ以後、動力室25の液圧上昇に対して、電子制御装置は電磁比例制御弁72をこの動力室25の液圧に応じて制御するので、電磁比例制御弁72は動力室25の液圧に応じた圧力を出力し、この出力圧の圧液が反力室41に導入される。これにより、ブレーキ液圧倍力装置1は、図8に示すようにサーボ比を直線αから直線γに沿って徐々に変化させながら、直線βに切り換える。 このようにして、第5例のブレーキ液圧倍力装置1においては、サーボ比が滑らかに切り換えられるようになる。
【0076】
なお、電磁比例制御弁72を適宜制御することにより、図8に二点鎖線δで示すように直線αのサーボ比から直接全負荷に移行させることもできる。また、反力室41に導入される液圧として、アキュムレータの蓄圧に代えて動力室25の液圧を用いることもできる。
この第5例のブレーキ液圧倍力装置1の他の作用効果は、第2例と同じである。 前述の各例では、本発明の液圧倍力装置をブレーキ液圧倍力装置に適用して説明しているが、ブレーキ以外の他の液圧倍力装置にも適用できる。
【0077】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の液圧倍力装置によれば、簡単な構造で、サーボ制御の途中から大きなサーボ比から小さなサーボ比へ移行する二段サーボ特性を得ることができる。
また、サーボ比切換点を変更することができ、これにより求められる種々の入出力特性に柔軟に対応することが可能となる。
【0078】
更に、電磁比例制御弁を用いているので、サーボ比を滑らかに変えることができるようになる。
更に、本発明のブレーキ液圧倍力装置によれば、二段サーボ制御を行うことにより、簡単な構造で、ブレーキフィーリングをより一層良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るブレーキ液圧倍力装置の実施の形態の第1例を示す断面図である。
【図2】 図1に示すブレーキ液圧倍力装置の部分拡大断面図である。
【図3】 図1に示すブレーキ液圧倍力装置の入出力特性を示す図である。
【図4】 本発明の実施の形態の第2例を示す断面図である。
【図5】 本発明の実施の形態の第3例を示す断面図である。
【図6】 本発明の実施の形態の第4例を示す断面図である。
【図7】 本発明の実施の形態の第5例を示す断面図である。
【図8】 図7に示すブレーキ液圧倍力装置の入出力特性を示す図である。
【図9】 従来のブレーキ液圧倍力装置を部分的に示す部分断面図である。
【図10】図9に示すブレーキ液圧倍力装置の入出力特性を示す図である。
【符号の説明】
1…ブレーキ液圧倍力装置、2…マスタシリンダ、3…ハウジング、8…パワーピストン、18…入力軸、18a…段部、20…反力ピストン、20e…反力ピストンの右端、21…スプリング、25…動力室、27…出力口、33…リザーバ、40…アキュムレータ、41…反力室、44…マスタシリンダピストン、45…制御圧導入口、46…切換弁、60…制御弁、61…可変サーボ装置、62…電磁切換弁、63…圧力センサ、67…低圧アキュムレータ、68…オリフィス、69…チェックバルブ、70…第3電磁切換弁、71…第4電磁切換弁、72…電磁比例制御弁、73…圧力調整弁

Claims (8)

  1. 液圧を発生する液圧源と、作動液を貯えるリザーバと、出力を発生するパワーピストンと、このパワーピストンの受圧面が面する動力室と、非作動時に前記動力室を前記液圧源から遮断するとともに前記リザーバに連通し、作動時に前記動力室を前記リザーバから遮断するとともに前記液圧源に連通して、前記液圧源の圧液をその作動に応じて前記動力室に導入する制御弁と、この制御弁を作動制御するとともに、制御弁側の部分が小径でかつ制御弁側と反対側の部分が大径の段部を有する段付の入力軸とを備え、
    前記入力軸の段部が位置するように反力室が形成されており、前記動力室の液圧が所定圧より小さいときには前記反力室に大気圧を導入するとともに前記動力室の液圧が前記所定圧以上のときには前記反力室にサーボ比制御圧の圧液を導入するように制御するサーボ比制御圧制御弁が設けられていることを特徴とする液圧倍力装置。
  2. 前記サーボ比制御圧制御弁は、1つの切換弁または2つの開閉弁からなることを特徴とする請求項1記載の液圧倍力装置。
  3. 前記切換弁または前記開閉弁は、前記動力室の液圧によって作動制御されるか、前記動力室の液圧に応じて励磁される電磁力によって制御されることを特徴とする請求項2記載の液圧倍力装置。
  4. 前記サーボ比制御圧制御弁と前記反力室との間の通路に、少なくとも、オリフィスと、このオリフィスより前記サーボ比制御圧制御弁側に位置して低圧アキュムレータとが設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1記載の液圧倍力装置。
  5. 前記サーボ比制御圧は、前記動力室の液圧または前記液圧源の液圧であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1記載の液圧倍力装置。
  6. 前記サーボ比制御圧制御弁は、前記動力室の液圧に応じて制御される電磁比例制御弁であり、前記サーボ比制御圧は、前記動力室の液圧または前記液圧源の液圧を前記電磁比例制御弁によって制御された液圧であることを特徴とする請求項1記載の液圧倍力装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1記載の液圧倍力装置と、この液圧倍力装置の出力によって作動制御され、ブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと、このマスタシリンダのブレーキ液圧が導入されることによりブレーキ力を発生するブレーキシリンダとを備えていることを特徴とするブレーキ液圧倍力システム。
  8. 2系統のブレーキシステムにおいて、
    請求項1ないし6のいずれか1記載の液圧倍力装置と、この液圧倍力装置の出力によって作動制御され、ブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと、前記液圧倍力装置の前記動力室の液圧が導入されることによりブレーキ力を発生する一方の系統のブレーキシリンダと、前記マスタシリンダのブレーキ液圧が導入されることによりブレーキ力を発生する他方の系統のブレーキシリンダとを備えて、セミフルパワーブレーキが構成されていることを特徴とするブレーキ液圧倍力システム。
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