JP3740958B2 - 固体表面の修飾方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は固体表面の修飾方法に関するものであり、詳しくは固体表面にビニル化合物の重合体を結合させて、固体表面に所望の特性を付与する、固体表面の修飾方法に関するものである。本発明方法で修飾された固体は、吸着剤やクロマトグラフィーのカラム充填剤として有用である。
【0002】
【従来の技術】
固体の或る種の特性、例えば親水性、疎水性、帯電性、接着性、摩擦係数など、主として固体の表面状態で決定される特性は、固体の表面を化学的に修飾することにより変化させ得ることが知られており、その修飾方法も種々提案されている。これらの修飾方法の一つに、固体表面にビニル化合物をグラフト重合させる方法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来知られているグラフト重合方法では、オゾン酸化やプラズマ照射などによりグラフト重合を行わせるので、特殊な装置が必要であるという問題がある。従って本発明は、特殊な装置を必要としない固体表面の修飾方法を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、溶媒中でハロアルキル基を有する固体と、ジチオカルバミン酸類とを反応させ、得られた反応生成物にラジカル重合開始剤の存在下にビニル化合物を反応させることにより、固体表面を容易に化学修飾することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明方法で化学修飾を施す対象である、表面にハロアルキル基を有する固体は、有機物であっても無機物であってもよい。例えば無機物としては、シリカゲルやヒドロキシアパタイトの表面に、シランカップリング剤を介してハロアルキル基を導入したものが挙げられる。有機物としては、デキストラン、セルロース、キトサンなどの天然高分子や、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステルなどの合成高分子にハロアルキル基を導入したものが挙げられる。通常は合成高分子にハロアルキル基を導入したものを化学修飾の対象とする。
【0006】
好ましくは、イオン交換樹脂の母体や合成吸着剤などとして用いられている、スチレン−ジビニルベンゼン架橋共重合体や架橋ポリ(メタ)アクリル酸エステルなどの架橋高分子であって、かつハロアルキル基を有するものを、化学修飾の対象とする。これらの架橋高分子はゲル型、ポーラス型のいずれであってもよい。ハロアルキル基としては、アルキル基に少なくとも1個のハロゲン原子を有するものであればよく、場合によってはハロゲン原子以外の他の置換基が存在していてもよい。例えばクロロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基、4−ブロモブチル基などが挙げられる。
【0007】
ハロアルキル基を有する固体の形状は、板状、破砕粒状、球状、繊維状、ペレット状、シート状など、得られる化学修飾された固体の用途に応じて、任意の形状とすることができる。例えばクロマトグラフィーのカラム充填剤として用いる場合には、球状であるのが好ましい。その粒径は分析用か工業用かで異なるが、通常1μm〜2mm、好ましくは3μm〜1.5mmである。
ジチオカルバミン酸類としては、一般式(1)で示されるものが用いられ、通常はこれらをアンモニウム塩、アミン塩、ナトリウム塩、亜鉛塩などの塩として反応に用いる。
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、R1、R2は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基、フェニル基、ベンジル基などの炭化水素基であるが、R1とR2とが結合して2価の炭化水素基を形成していてもよい。)
本発明方法で用いるのに好適なジチオカルバミン酸類の塩のいくつかを例示すると、ジチオカルバミン酸アンモニウム、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸アンモニウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸アンモニウム、ジエチルジチオカルバミン酸ジエチルアンモニウム、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩、テトラメチレンジチオカルバミン酸アンモニウム、ピペコリルジチオカルバミン酸ピペコリン塩、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛などが挙げられる。これらのなかでも、水に対する溶解度が高くて水溶液としてハロアルキル基を有する固体と反応させるのに有利な、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸アンモニウム、ジエチルジチオカルバミン酸アンモニウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ジエチルアンモニウム、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウムなどを用いるのが好ましい。
【0010】
ハロアルキル基を有する固体とジチオカルバミン酸類の塩との反応は、溶媒中にハロアルキル基を有する固体とジチオカルバミン酸類の塩とを加えて保持することにより容易に進行する。溶媒としてはハロアルキル基を有する固体を溶解せず、かつジチオカルバミン酸類の塩を溶解するものであれば、任意のものを用いることができる。通常は水を用いるが、有機溶媒を用いることもできる。例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類や、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどが用いられる。溶媒は単独で用いてもよく、また混合溶媒として用いてもよい。例えば上記の有機溶媒と水との混合溶媒を用いることができる。
反応温度は通常0〜200℃であり、また反応時間は通常1分間〜48時間である。反応は下記のように進行すると考えられている。
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、Pは固体を示し、Rはアルキレン基、Xはハロゲン原子をそれぞれ示す)
なお、固体表面にジチオカルバミン酸類をどの位の密度となるように結合させるかは、固体表面に所望の化学修飾の程度、すなわち固体表面にグラフト重合により結合させるべきビニル化合物の量に応じて決定すればよい。ジチオカルバミン酸類と反応しなかったハロアルキル基は、最終的に得られる化学修飾された固体の用途によってはそのまま放置しておいてもよく、また3級アミンを反応させて第4級アンモニウム基に転換するなど、これを更に化学反応により変化させることもできる。化学反応により変化させるのは、後記するビニル化合物のグラフト重合の前後いずれで行うこともできる。
【0013】
本発明では、上記のジチオカルバミン酸類との反応によりハロアルキル基がジチオカルバモイルアルキル基に転換された固体に、ラジカル重合開始剤の存在下にビニル化合物を反応させる。この反応ではジチオカルバモイル基が分解して、ビニル化合物の重合体が硫黄原子を介してジチオカルバモイルアルキル基のアルキル基に結合するグラフト重合が生起するものと考えられる。
【0014】
【化3】
【0015】
ビニル化合物としては、化学修飾により固体に付与すべき表面特性に応じて、公知のビニル化合物から適宜選択すればよい。例えば表面に疎水性を付与したい場合には、長鎖アルキル基やフェニル基などを有するビニル化合物を用いればよい。また生成するグラフト重合体に親水性やイオン交換能などを付与したい場合には、親水性官能基を有するビニル化合物やイオン交換基を有するビニル化合物、又はグラフト重合後の変性によりこれらの官能基に転換し得る官能基を有するビニル化合物を用いればよい。ビニル化合物は2種以上を併用することもできる。
【0016】
本発明方法で用いるのに好適なビニル化合物のいくつかを例示すると、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルなどの官能基を有しない(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2,3−ジヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルなどの官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などの(メタ)アクリルアミド類;スチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アリルアルコール及びそのエステルやエーテル類;アリルアミン、ジアリルアミンなどのアリルアミン類;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのビニルアミン誘導体などが挙げられる。また、これら以外にも(メタ)アクリロニトリル、アクリロレイン、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、P−スチレンスルホン酸ナトリウム、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドンなども好適に用いられる。
【0017】
ラジカル重合開始剤としては、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)などのアゾ系重合開始剤;t−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシイソブチレートなどの有機過酸化物系重合開始剤;さらには過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの無機過酸化物系重合開始剤やこれらにアミン、重亜硫酸ナトリウムなどの還元剤を組合せたものなど、常用のものを用いればよい。
【0018】
ラジカル重合は、ラジカル重合開始剤及びビニル化合物を溶解した溶液中に、前記したジチオカルバモイル基を結合させた固体を加えて反応させればよい。重合開始剤はビニル化合物に対して0.01〜10重量%程度用いればよい。また反応温度は通常は0〜200℃であり、重合時間は重合開始剤の半減期前後ないしはそれ以上が好ましく、通常は3〜48時間程度である。固体単位量当りの重合量は、付与すべき表面特性に応じて異なるが、通常は0.01〜200重量%程度である。反応溶媒は反応に不活性であって、ビニル単量体及び重合開始剤を溶解し、かつカルバモイル基を結合させた固体を溶解しないものであれば任意のものを用いることができる。通常はメタノール、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリール、プロピレングリコール、グリセリンなどのアルコール類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、エチレングリコールモノアセテートなどのエステル類;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類やエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類;クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエンなどのハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ジメチルホルムアミド、ピリジン、ニトロベンゼンなどの含窒素化合物、さらには二硫化炭素、ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物などが用いられる。また水を溶媒とすることもできる。これらの溶媒は2種以上併用することもできる。
【0019】
本発明方法によれば、グラフト重合させるビニル化合物を選択することにより、固体に用途に適した表面特性を付与することができる。例えば金属イオンを捕捉する官能基又はこのような官能基に転換し得る官能基を有するビニル化合物を用いることにより、固体に金属イオン捕捉能を付与することができ、このものは溶液中から金属イオンを吸着分離する吸着剤として用いることができる。本発明方法は特にクロマトグラフィー用カラム充填剤の製造に好適であり、イオン交換性基を有するビニル化合物を用いることによりイオン交換クロマトグラフィー用充填剤を、アルキル基を有するビニル化合物を用いることにより逆相クロマトグラフィー用充填剤を、フェニル基を有するビニル化合物を用いることにより疎水クロマトグラフィー用充填剤を、光学活性基を有するビニル化合物を用いることにより光学分割クロマトグラフィー用充填剤を、アミノ基及びシアノ基を有するビニル化合物を用いることにより順相クロマトグラフィー用充填剤を、水酸基を有するビニル化合物を用いることにより水系サイズ排除クロマトグラフィー用充填剤をそれぞれ製造することができる。
【0020】
【実施例】
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
攪拌機及びコンデンサを備えた反応器に、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート及びエチレングリコールジメタクリレートの三元共重合体(重合比率=3:56:24(重量比))である平均粒径5μmの多孔質樹脂5.0g、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム・三水和物2.67g、及び脱塩水24gを仕込み、90℃で6時間反応させた。濾過・水洗して、ジエチルジチオカルバモイル基が導入された樹脂を得た。
攪拌機、コンデンサ、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応器に、上記で得たジエチルジチオカルバモイル基が導入された樹脂の全量と、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド5.0g、1規定塩酸32ml、過硫酸カリウム40mg及び脱塩水12mlを仕込み、70℃で6時間反応させ、表面にポリ(ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)を有する樹脂を得た。このものはジメチルアミノプロピル基に由来するイオン交換能を有しており、そのイオン交換容量は0.14ミリ当量/g−樹脂乾燥であった。
【0021】
実施例2
攪拌機及びコンデンサを備えた反応器に、クロロメチル化されたスチレン−ジビニルベンゼン共重合体(ジビニルベンゼン含有量4.6重量%、ゲル型、粒径300〜1180μm)15g、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム・三水和物150mg及び脱塩水150gを仕込んだ。90℃で4時間反応させたのち濾過、水洗してジエチルジチオカルバモイル基が導入された樹脂を取得した。
攪拌機及びコンデンサを備えた反応器に、上記で得た樹脂の全量と、トルエン38ml、脱塩水45ml、及び30%トリメチルアミン水溶液33mlを仕込み、50℃で8時間反応させて樹脂に残存していたクロロメチル基をトリメチルアミノ化した。濾過・水洗してクロロメチル基がトリメチルアミノ化された樹脂を取得した。
【0022】
攪拌機、コンデンサ、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応器に、上記で得たトリメチルアミノ化した樹脂の全量と、メタクリル酸ヒドロキシエチル6.0g、過硫酸カリウム150mg、脱塩水150mlを仕込んだ。80℃で6時間反応させ、表面にポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル)を有する強塩基性陰イオン交換樹脂を得た。このものの含水率は39.9%で、イオン交換容量は1.20ミリ当量/ml−湿潤樹脂であった。
なお、クロロメチル基を有するスチレン−ジビニルベンゼン共重合体に、ジエチルジチオカルバモイル基を導入することなく、上記と同様にしてクロロメチル基のトリメチルアミノ化を行ったものは、含水率が45.7%で、イオン交換容量は1.43ミリ当量/ml−湿潤樹脂であった。
【0023】
実施例3
実施例2において、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム・三水和物の仕込量を600mgとした以外は、実施例2と同様にしてジエチルジチオカルバモイル基の導入、残存クロロメチル基のトリメチルアミノ化、及びメタクリル酸ヒドロキシエチルのグラフト重合を行った。得られた強塩基性陰イオン交換樹脂の含水率は39.5%で、イオン交換容量は1.21ミリ当量/ml−湿潤樹脂であった。
【0024】
実施例4
実施例2において、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム・三水和物の仕込量を75mgとし、かつメタクリル酸ヒドロキシエチル及び過硫酸カリウムの仕込量をそれぞれ1.5g及び40mgとした以外は、実施例2と同様にしてジエチルジチオカルバモイル基の導入、残存クロロメチル基のトリメチルアミノ化、及びメタクリル酸ヒドロキシエチルのグラフト重合を行った。得られた強塩基性陰イオン交換樹脂の含水率は44.4%で、イオン交換容量は1.32ミリ当量/ml−湿潤樹脂であった。
【0025】
実施例5
実施例2と同様にして得られたジエチルジチオカルバモイル基が導入された樹脂の全量と、イソブチルビニルエーテル6.0g、2,2′−アソビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)150mg、及びエタノール150mlを、攪拌機、コンデンサ、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応器に仕込んだ。70℃で6時間反応させて表面にポリ(イソブチルビニルエーテル)を有する樹脂を得た。
攪拌機及びコンデンサを備えた反応器に、上記で得た樹脂の全量と、トルエン38ml、脱塩水45ml及び30%トリメチルアミン水溶液33mlを仕込み、50℃で8時間反応させて残存しているクロロメチル基をトリメチルアミノ化した。得られた強塩基性陰イオン交換樹脂の含水率は46.8%で、イオン交換容量は1.36ミリ当量/ml−湿潤樹脂であった。
【0026】
実施例6
実施例5において、イソブチルビニルエーテル及び2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の仕込量を、それぞれ3.0g及び75mgとした以外は実施例5と同様にしてイソブチルビニルエーテルのグラフト重合、及び残存しているクロロメチル基のトリメチルアミノ化を行った。得られた強塩基性陰イオン交換樹脂の含水率は47.1%で、イオン交換容量は1.36ミリ当量/ml−湿潤樹脂であった。
【0027】
実施例7
実施例1で得られた樹脂を、内径8mm、長さ100mmのガラス製カラムに充填し、これを高速液体クロマトグラフ(島津製作所製、LC−6A)に装着した。これを用いて下記の条件でイオン交換クロマトグラフィーによる蛋白質の分離を行った。結果を図1に示す。
溶離液A:14mMトリスヒドロキシメチルアミノメタン−塩酸緩衝液(pH8.1)
溶離液B:溶離液A+0.5M塩化ナトリウム溶液
グラジエント:A→B 30分リニアグラジエント
流速:1.0ml/10分
検出:UV280nm
試料注入量:10μl、この試料中にはミオグロビン25μg、オバルブミン100μg、及び大豆トリプシンインヒビター50μgが含有され ている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた表面修飾された樹脂を充填剤とする高速液体クロマトグラフィーにより得られたクロマトグラムの1例である。
【符号の説明】
1 ミオグロビン
2 オバルブミン
3 大豆トリプシンインヒビター
Claims (8)
- 溶媒中でハロアルキル基を有する固体とジチオカルバミン酸類とを反応させ、得られた反応生成物にラジカル重合開始剤の存在下にビニル化合物を反応させることを特徴とする固体表面の修飾方法。
- ジチオカルバミン酸類を塩として反応に供することを特徴とする請求項1記載の固体表面の修飾方法。
- ハロアルキル基を有する固体が、ハロアルキル基を有する架橋高分子であることを特徴とする請求項1又は2記載の固体表面の修飾方法。
- ビニル化合物が官能基を有するものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の固体表面の修飾方法。
- ビニル化合物を反応させたのち、生成物のビニル化合物部分を変性することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の固体表面の修飾方法。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の修飾方法で得られた、表面にビニル化合物の重合体が結合している固体。
- 請求項6に記載の固体からなる吸着剤。
- 請求項6に記載の固体をカラム充填剤として用いることを特徴とするクロマト分離方法。
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