JP3740854B2 - レンズシートへの遮光パターンの形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過型プロジェクションスクリーンに代表されるレンズシートヘの遮光パターンの形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、透過型スクリーン(レンズシート)の観察面側にコントラストを向上させるための遮光パターンを形成する方法として、特開昭59−121033号公報などで知られている。
【0003】
上記公報は、透過型スクリーン(レンズシート)の観察面側にポジ形感光性粘着剤(感光することで粘着性が消失する粘着剤)を配設し、この粘着剤面と反対面より投射光源(プロジェクター)又はこれと同等の開口を有する光源から投射した光線で該粘着剤を露光し、レンズシートの各単位レンズの集光部の粘着性を失わせた後、観察面上から遮光性トナーを散布し、粘着性の残っている未霞光部分に粘着させ、露光により粘着性のなくなった部分に付着しただけのトナー及び余剰のトナーを除去することにより、遮光パターンを形成した透過形投射スクリーンを得る方法である。
【0004】
しかしながら、上記の遮光パターンの形成方法では、トナーの付着むらが大きく、スクリーン全体にわたって均一な遮光パターンを形成することが困難であるばかりか、遮光パターンが緻密、精細になるほどトナーの付着が悪く、遮光濃度を得られないなどの問題を有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、レンズシートの背面(非レンズ部側)に緻密・精細な遮光パターンを形成するのに好適な、むらのない均一な遮光パターンの形成方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いて上記課題を達成するために、請求項1の発明では、
支持体上に、少なくとも色材と、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物と、光重合性を有しない有機重合体からなる熱粘着性の結合剤と、光重合開始剤と、を層内に含む感光層を設けてなる画像形成シートを用い、
少なくとも以下の〔1〕〜〔3〕の工程を具備するレンズシートへの遮光パターンの形成方法とするものである。
〔1〕片面にレンズアレイが形成され、他面が平坦であるレンズシートの平坦面に、画像形成シートを形成する工程。
〔2〕レンズアレイ側より平行光からなる紫外線を照射して、レンズによって集光した部分の前記感光層を硬化させ、感光層の集光部と非集光部とに熱粘着性の差を生ぜしめる工程。
〔3〕画像形成シートの支持体を、感光層の硬化部分(集光部分)とともに剥離除去し、
感光層の非硬化部分(非集光部分)のみをレンズシートに残留させる工程。
【0007】
また、請求項2の発明では、前記工程〔3〕の後に、工程〔4〕として、
〔4〕色材含有層が形成された支持体の色材含有層を、前記工程〔3〕でパターン化された感光層に密着させる工程。
該工程〔4〕の後に、工程〔5〕として、
〔5〕色材含有層が形成された支持体を剥離して、パターン化された感光層に、色材含有層を付着残留し、遮光パターンをレンズシートに形成する工程。
の2工程を追加することを特徴とする請求項1記載のレンズシートへの遮光パターンの形成方法としたものである。
【0008】
また、請求項3の発明では、前記画像形成シートの感光層が、色材を含まないことを特徴とする請求項2記載のレンズシートヘの遮光パターンの形成方法としたものである。
【0009】
また、請求項4の発明では、前記工程〔3〕の後に、工程〔6〕として、
〔6〕昇華性染料または、染料混合物を含有した色材含有層が形成された支持体の色材含有層を、前記工程〔3〕でパターン化された感光層に密着させる工程。
該工程〔6〕の後に、工程〔7〕として、
〔7〕密着させつつ、レンズシート、色材含有層が形成された支持体、またはその両者を染料が昇華して、前記工程〔3〕でパターン化された感光層に凝縮するような温度で加熱する工程。
該工程〔7〕の後に、工程〔8〕として、
〔8〕色材含有層が形成された支持体を除去する工程。
の3工程を追加することを特徴とする請求項1記載のレンズシートへの遮光パターンの形成方法としたものである。
【0010】
さらにまた、請求項5の発明では、前記画像形成シートの感光層が、色材を含まないことを特徴とする請求項4記載のレンズシートヘの遮光パターンの形成方法としたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明によるレンズシートへの遮光パターンの形成方法を工程順に示す説明図である。
【0012】
図1(a)は、レンズシート(10)の平坦面(10a)へ画像形成シート(40)を載置する工程の側断面図であり、
まず、片面に所定形状の凹凸からなるレンズアレイが形成され、他面が平坦であるレンズシート(10)の平坦面(10a)に、支持体(20)上に感光層(30)を設けた画像形成シート(40)を、熱ロールを通して貼り合わせる。
【0013】
レンズシート(10)としては、ポリアクリル,ポリ塩化ビニル,ポリカーボネートなどの透明な熟可塑性樹脂を任意の方法で成型したものでも良いし、または∪∨硬化型樹脂やEB硬化型樹脂などの電離放射線硬化型樹脂の硬化物からなるレンズ部を有するものでも良い。
【0014】
また、前記感光層(30)は、少なくとも、色材と、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物と、光重合性を有しない有機重合体からなる熱粘着性の結合剤と、光重合開始剤からなり、多くの特許公報、あるいは文献等で開示されている。
【0015】
前記感光層(30)に用いられる光重合性化合物は、フリーラジカル付加重合が可能な、または架橋可能なエチレン性不飽和基を有する化合物であって、1以上のエチレン性不飽和基、例えばビニル基またはアリル基を有するモノマー、オリゴマー、または末端または側鎖にエチレン性不飽和基を有するポリマーである。その例としては例えば、アクリル酸およびその塩、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸およびその塩、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類、イタコン酸エステル類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、N−ビニル複素環類、アリルエーテル類、アリルエステル類、およびこれらの誘導体などを挙げることができる。
【0016】
さらに具体的には、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、プチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサン(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、2一工チルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メテロール(メタ)アクリルアミド、スチレン、アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメテロールプロバンテトラ(メタ)アクリ レート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂やポリエステル樹脂の末端に(メタ)アクリレートが結合したポリマー、石油樹脂のアクリレート変性体、不蝕和ポリエステル樹脂などの高分子量化合物などが好適に使用できる。これらの化合物は1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0017】
また、上記画像形成シート(40)の感光層(30)に用いる結合剤は、光重合性を有しない有機重合体からなり、これは感光層に配合されて、各種添加剤の分散媒になるとともに、粘着力の調整剤としても用いられるものである。この結合剤は上記の光重合性化合物と相溶性であることが望ましい。一般的な結合剤の例としては、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルアセタール、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリエステル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン−メタクリレート共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体、セルロース誘導体、ポリオレフイン、ジアリルフタレート樹脂、各種合成ゴム例えばブタジエン−アクリロニトリル共重合体などを挙げることができる。
【0018】
また、画像形成シート(40)の感光層(30)に用いる光開始剤としては、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフエノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフエノン、2−エチルアントラキノン、フェナントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフエニルエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン、2−(o−クロロフエニル)−4,5−ジフエニルイミダゾリル二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ−(m−メトキシフエニル)イミダゾリル二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−メトキシフエニル)−4,5−ジフエニルイミダゾリル二量体などが挙げられる。
【0019】
上記イミダゾリル二量体は、連鎖移動剤例えば、2−メルカプトベンゾキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールあるいは他の有機チオールと共に使用することができる。
【0020】
さらに、画像形成シート(40)の感光層(30)に用いる色材は、従来から用いられている染料または顔料のいずれでも良く、またはそれらの混合物であっても良い。これら以外にも、例えば金属粉、白色顔料、蛍光顔料、体質頗料などを用いる場合もある。またこの他にも、この感光層(30)は、酸化チタン,タルク,炭酸カルシウムなどの充填剤、ロジン酸エステル,テルペン樹脂などの増粘剤、ウレタン,アクリル微粒子などの拡散剤、酸化防止剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤、ハジキ防止剤、安定剤、各種ポリマーなどを配合しても良い。
【0021】
画像形成シート(40)の形成に用いる支持体(20)としては、熱圧負荷時に感光層(30)を平面性と寸法とを安定に保って支持することができる、いかなるものでも良い。その例としては、アセテートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどを挙げることができる。特に、熱と水に対して寸法安定性が高く、感光層(30)の塗布時の作業性及び露光、転写時の操作性に優れている二軸廷伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好適である。
【0022】
またこの画像形成シート(40)は、印刷の簡易校正刷に使用される市販の感光性カラーシートもそのまま使用でき、具体的にはインキプルーフ(東洋インキ製造社製)などが挙げられる。
【0023】
次に図1(b)は、レンズシート(10)への紫外線照射工程を示すもので、上記でレンズシート(10)の平坦面(10a)に載置された画像形成シート(40)に、レンズシート(10)のレンズアレイ側から全面に平行紫外線(UV)を照射し、レンズ機能によって集光された集光部(32)の前記感光層(30)を硬化させ、その硬化感光層(32a)のレンズシート(10)に対する接着力f1が、感光層(30)の支持体(20)に対する接着力f2との関係で、f1<f2となるようにする。
【0024】
続いて、図1(c)に示すように、前記画像形成シート(40)を、レンズの集光部(32)となる硬化感光層(32a)とともに除去し、非集光部(34)の非硬化感光層(34a)のみをレンズシート(10)に残留させて遮光パターンを得る。
【0025】
このまま工程を終了しても良いが、請求項2の発明は、この遮光パターンとなる非硬化感光層(34a)の上にさらに、色材を付与して、遮光濃度を調整するものである。この発明を図2で説明する。
【0026】
先ず、図2(a)に示すように、レンズシート(10)に残留する、パターン化された、粘着性を有したままの非硬化感光層(34a)の上に、さらに色材含有層(50)をその支持体(60)に形成した色材含有層支持シート(70)を、熱ロールで圧着し、パターン化された非硬化感光層(34a)に、色材含有層(50)を粘着させる。
【0027】
この粘着条件は、非硬化感光層(34a)に色材含有層(50)が十分に粘着し、色材含有層の支持体(60)から完全に移行する温度、圧力であることが必要である。
【0028】
上記色材含有層(50)の色材は、従来から用いられている染料または顔料のいずれでも良く、またはそれらの混合物であっても良い。これら以外にも、例えば金属粉、白色顔料、蛍光顛料、体質顔料、酸化チタン,タルク,炭酸カルシウムなどの充填剤、ロジン酸エステル,テルペン樹脂などの増粘剤、ウレタン,アクリル徹粒子などの拡敢剤、酸化防止剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤、ハジキ防止剤、安定剤、各種ポリマー、などを配合しても良い。
【0029】
色材含有層の支持体(60)は、図1(a)に示す画像形成シート(40)の形成に用いる支持体(20)と同様、熟圧負荷時に色材含有層(50)を平面性と寸法とを安定に保って支持することができるいかなるものでも良い。
【0030】
また、上記感光層(30)の色材と色材含有層(50)の色材は、同一色である条件の他、場合によっては異なる色を使用することも可能である。
また、請求項3の発明では、上記感光層(30)の色材を除いて、色材含有層(50)の色材だけで、遮光パターンを着色形成することが可能とするものであり、感光層(30)の感度を上げたい場合などに有効としたものである。
【0031】
次に、図2(b)に示すように、非硬化感光層(34a)に粘着していない色材含有層部分を、色材含有層支持シート(70)と共に除去し、非硬化感光層(34a)の上に、これと同一形状の色材含有層(50)を形成した遮光パターンを形成できるものである。
【0032】
続いて、請求項4の発明について、すなわち前記色材含有層(50)の色材が、昇華性染料または、染料混合物を含有する場合の遮光パターンの染色形成工程を説明する。
【0033】
図3(a)に示すように、上記請求項2の発明で形成した、レンズシート(10)にパターン化された非硬化感光層(34a)の粘着性を有したままの面に、昇華性染料または、染料混合物を含有する昇華性色材含有層(80)をその支持体(90)に形成した昇華性色材含有層支持シート(100)を、熱圧ロールで圧着し、パターン化した非硬化感光層(34a)に、昇華性色材含有層(80)を密着させる。
【0034】
この昇華性色材含有層(80)中の昇華性染料または、染料混合物は、パターン化された非硬化感光層(34a)を染色することを目的として配合されているものであり、この目的を達成できるいかなる染料も用いることができる。具体的には、「染料便覧」(有機合成化学協会編、昭和45年刊)などに記載されたものが使用できる。
【0035】
次に、このレンズシート(10)、非硬化感光層(34a)、昇華性色材含有層支持シート(100)が積層されたものを、密着させつつ、昇華性色材含有層(80)中の染料が昇華させ、非硬化感光層(34a)に凝縮するような温度で、レンズシート(10)、昇華性色材含有層支持シート(100)または、その両者を加熱する。
【0036】
次に、図3(b)に示すように、昇華性染料または、染料混合物を含有する昇華性色材含有層支持シート(100)を、レンズシート(10)から除去することで、非硬化感光層(34a)を、これと同一形状に染色して、濃度を調整した遮光パターンを形成するものである。
【0037】
また、上記図1(a)で示す感光層(30)の色材と、昇華性色材含有層(80)の昇華性染料色材は、同一色である条件の他、場合によっては異なる色を使用することも可能である。
また、請求項5の発明では、上記感光層(30)の色材を除いて、昇華性色材含有層(80)中の昇華性染料色材による染色だけで、遮光パターンを着色形成することが可能とするものであり、感光層(30)の感度を上げたい場合などに有効としたものである。
【0038】
以上のように、本発明のレンズシート(10)ヘの遮光パターンの形成方法では、予め、支持体(20)上に感光層(30)が形成された画像形成シート(40)を用いて、これをパターン状に転写するため、透過型スクリーン全体にわたって濃度の均一な遮光パターンが得られる他、パターン化した感光層(30)は、粘有性を有しており、これに色材含有層(50)をさらに積層するか、あるいは、染色することで、遮光パターンの遮光濃度を自由に調整することが可能とするものである。
【0039】
なお、上記レンズシート(10)のレンズアレイは、レンチキュラーレンズ型でも蠅の目レンズ型でもよいが、レンズの作成が比較的容易な点から透過型スクリーン用にはレンチキュラーレンズが一般的に使用されている。
【0040】
【実施例】
次に本発明を実施例により、本発明を具体的に説明する。
〈実施例1〉
下記成分からなる感光層(30)組成物を調整した。
この感光性組成物をガラスビーズとともに分散し、着色感光液を調整した。
【0041】
続いて、支持体(20)として、25μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムをコロナ処理し、その上に上記で得られた着色感光液を、乾燥後の膜厚が1μmとなるようにワイヤーバーコーターで塗布し、100℃の温風乾燥機で2分間乾操した。次に、保護カバーとなる50μmのポリエチレンフィルムをこの表面に、70℃、1m/分、2kg圧に設定したラミネータを通して貼り合わせ、画像形成シート(40)を作成した。
【0042】
次に、上記保護カバーとしてのポリエチレンフィルムを剥離して、片面にレンズアレイを形成したポリカーボネートの他面(レンズシート(10)の平坦面(10a))に、画像形成シート(40)を、80℃、2m/分、2kg圧に設定したラミネータを通して、貼り合わせた。
【0043】
続いて、レンズシート(10)のレンズアレイ側から全面に平行紫外線(UV)を、ランプ強度;20w/cm、露光量90mJ/cm2 の量で照射した。次いで画像形成シート(40)を、感光層の硬化部分とともに、25℃、2m/分の速度で剥離し、非硬化感光層(34a)のみをレンズシート(10)に残留させて遮光パターンを得た。
【0044】
〈実施例2〉
下記成分からなる感光層(30)組成物を調整した。
この感光性組成物を用い、実施例1と同様に画像形成シート(40)を作成し、遮光パターンを形成した。
【0045】
〈実施例3〉
厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム全面に、下記の黒色インキ組成1を乾燥後の膜厚が1μmとなるようにワイヤーバーコーターで塗布し、100℃の温風乾燥機で2分間乾燥した。
この黒色インキシートを、実施例1で作成した遮光パターン面に、80℃、1m/分、2kg圧に設定したラミネータを通して貼り合わせ、続いて室温でシートを剥離して、遮光パターン上に黒色インキを形成した.
〔黒色インキ組成例1〕
ポリメチルメタアクリレート(BR−85 三菱レイヨン社製)15.0部
カーボンブラック(MA−7 三菱化学社製) 4.4部
メチルエチルケトン 40部
トルエン 28部
【0046】
〈実施例4〉
実施例2で作成した遮光パターンを使用した他は、実施例3と同様にして遮光パターン上に黒色インキを形成した。
【0047】
〈実施例5〉
厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム全面に、下記の黒色染料含有インキ組成2を、乾燥後の膜厚が1μmとなるようにワイヤーバーコーターで塗布し、100℃の温風乾燥機で2分間乾燥した。
【0048】
この黒色インキシートを、実施例1で作成した遮光パターン面に、80℃、1m/分、2kg圧に設定したラミネータを通して貼り合わせ、レンズシート全体を100℃で30秒間加熱し、室温まで冷却した後シートを剥離して、遮光パターンを黒色に染色した。
【0049】
〔黒色インキ組成例2〕
ポリメチルメタアクリレート(BR−85 三菱レイヨン社製)15.0部
カーボンブラック(MA−7 三菱化学社製) 4.4部
黒色昇華性染料 2.0部
メチルエチルケトン 40部
トルエン 28部
【0050】
〈実施例6〉
実施例2で作成した遮光パターンを使用した他は、実施例5と同様にして遮光パターンを黒色に染色した。
【0051】
〈比較例1〉
特開昭59−121033号公報に記載されている方法で、レンズシート(10)の平坦面(10a)側にポジ形感光性粘着剤(商品名;クロマリン、デュボン社製)を配設し、レンズアレイ側から平行紫外線(UV)を120w/cm、80mJ/cm2 で照射した。次いで、そのカバーフィルムを剥離して、感光剤面にカーボンブラック(MA−7、三菱化学社製)を散布し、粘着性のなくなった部分および余剰のカーボンブラックをフアーブラシで除去することにより、遮光パターンを形成した。
【0052】
それぞれの条件で形成した遮光パターンの形状を目視で、また遮光パターン濃度を反射濃度計で測定した。形成条件とともに、結果をまとめて下記表1 に示した。
【0053】
【表1】
【0054】
上記表1より、実施例1〜6の本発明によって形成した遮光パターンは、遮光に十分な濃度を有し、形状も良好であった。また、遮光パターン濃度も、パターンの重ね工程や、染色工程を追加することで、調整が可能であった。これに対し従来の方法である比較例1における遮光パターンは、濃度に難点があり、さらにパターン形状に凹凸やむら等のあるものであった。
【0055】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
即ち、少なくとも片面にレンズアレイが形成され、他面が平坦であるレンズシートの平坦面に、画像形成シートを形成する工程とレンズアレイ側より平行光からなる紫外線を照射して、レンズによって集光した部分の前記感光層を硬化させ、感光層の集光部と非集光部とに熱粘着性の差を生ぜしめる工程と画像形成シートの支持体を、感光層の硬化部分(集光部分)とともに剥離除去する工程を具備するレンズシートへの遮光パターンの形成方法において、前記支持体上に少なくとも色材と、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物と、光重合性を有しない有機重合体からなる熱粘着性の結合剤と、光重合開始剤からなる感光層を設けた画像形成シートを用いるレンズシートへの遮光パターンの形成方法としたので、透過型スクリーン全体にわたって濃度の均一な遮光パターンを得ることができる。
【0056】
また、パターン化した感光層は、粘有性を有しており、これに色材含有層をさらに積層するか、あるいは、昇華性色材含有層により染色することで、遮光パターンの遮光濃度を自由に調整することができる。
【0057】
従って本発明は、透過型プロジェクションスクリーンのコントラスト向上のための遮光パターンの形成において、優れた実用上の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレンズシートへの遮光パターンの形成方法の工程の一実施の形態を示す側断面図であり、
(a)は、レンズシートに画像形成シートを密着した状態を示すものであり、
(b)は、平行紫外線を照射した状態を示すものであり、
(c)は、遮光パターンが形成された状態を示すものである。
【図2】本発明のレンズシートへの遮光パターンの形成方法の工程の一実施の形態を示す側断面図であり、
(a)は、レンズシートの遮光パターン上に色材含有層支持シートを密着した状態を示すものであり、
(b)は、遮光パターン上に色材含有層を積層した状態を示すものである。
【図3】本発明のレンズシートへの遮光パターンの形成方法の工程の一実施の形態を示す側断面図であり、
(a)は、レンズシートの遮光パターン上に昇華性色材含有層支持シートを密着した状態を示すものであり、
(b)は、遮光パターンを染色した状態を示すものである。
【符号の説明】
10‥‥レンズシート
10a‥‥レンズシートの平坦面
20‥‥支持体
30‥‥感光層
32‥‥集光部
32a‥‥硬化感光層
34‥‥非集光部
34a‥‥非硬化感光層
40‥‥画像形成シート
50‥‥色材含有層
60‥‥色材含有層の支持体
70‥‥色材含有層支持シート
80‥‥昇華性色材含有層
82‥‥染料
90‥‥昇華性色材含有層の支持体
100‥‥昇華性色材含有層支持シート
UV‥‥平行紫外線
f1‥‥硬化感光層のレンズシートに対する接着力
f2‥‥感光層の支持体に対する接着力
Claims (5)
- 支持体上に、少なくとも色材と、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物と、光重合性を有しない有機重合体からなる熱粘着性の結合剤と、光重合開始剤と、を層内に含む感光層を設けてなる画像形成シートを用い、
少なくとも以下の〔1〕〜〔3〕の工程を具備するレンズシートへの遮光パターンの形成方法。
〔1〕片面にレンズアレイが形成され、他面が平坦であるレンズシートの平坦面に、画像形成シートを形成する工程。
〔2〕レンズアレイ側より平行光からなる紫外線を照射して、レンズによって集光した部分の前記感光層を硬化させ、感光層の集光部と非集光部とに熱粘着性の差を生ぜしめる工程。
〔3〕画像形成シートの支持体を、感光層の硬化部分(集光部分)とともに剥離除去し、
感光層の非硬化部分(非集光部分)のみをレンズシートに残留させる工程。 - 前記工程〔3〕の後に、工程〔4〕として、
〔4〕色材含有層が形成された支持体の色材含有層を、前記工程〔3〕でパターン化された感光層に密着させる工程。
該工程〔4〕の後に、工程〔5〕として、
〔5〕色材含有層が形成された支持体を剥離して、パターン化された感光層に、色材含有層を付着残留し、遮光パターンをレンズシートに形成する工程。
の2工程を追加することを特徴とする請求項1記載のレンズシートへの遮光パターンの形成方法。 - 前記画像形成シートの感光層が、色材を含まないことを特徴とする請求項2記載のレンズシートヘの遮光パターンの形成方法。
- 前記工程〔3〕の後に、工程〔6〕として、
〔6〕昇華性染料または、染料混合物を含有した色材含有層が形成された支持体の色材含有層を、前記工程〔3〕でパターン化された感光層に密着させる工程。
該工程〔6〕の後に、工程〔7〕として、
〔7〕密着させつつ、レンズシート、色材含有層が形成された支持体、またはその両者を染料が昇華して、前記工程〔3〕でパターン化された感光層に凝縮するような温度で加熱する工程。
該工程〔7〕の後に、工程〔8〕として、
〔8〕色材含有層が形成された支持体を除去する工程。
の3工程を追加することを特徴とする請求項1記載のレンズシートへの遮光パターンの形成方法。 - 前記画像形成シートの感光層が、色材を含まないことを特徴とする請求項4記載のレンズシートヘの遮光パターンの形成方法。
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