JP2004191724A - 感光性着色材料及びそれを用いたカラーフィルタの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】着色感光性材料の露光前後で生ずる透明基板との密接着性を改善し、露光硬化後の剥離工程において剥離の角度や速度の変化があっても、所望のパターンが得られる感光性着色材料及びそれを用いたカラーフィルタの製造方法を提供する。
【解決手段】透明基板上に画素パターンを形成するために用いられる感光性の着色材料であって、少なくとも(A)有機重合体からなる結着剤、(B)ラジカル重合性を有するエチレン性二重結合を有する化合物、(C)透明基板と化学的に結合する官能基及び前記感光性着色材料中の成分が有する官能基と重合可能な官能基の両方を有する化合物、(D)着色剤、(E)光重合開始剤を含むことを特徴とする、着色画素パターン形成用感光性着色材料を用いることで、着色画素パターンが透明基板と強固な化学結合で接着されたカラーフィルタを乾式現像法で製造することができる。
【選択図】図1
【解決手段】透明基板上に画素パターンを形成するために用いられる感光性の着色材料であって、少なくとも(A)有機重合体からなる結着剤、(B)ラジカル重合性を有するエチレン性二重結合を有する化合物、(C)透明基板と化学的に結合する官能基及び前記感光性着色材料中の成分が有する官能基と重合可能な官能基の両方を有する化合物、(D)着色剤、(E)光重合開始剤を含むことを特徴とする、着色画素パターン形成用感光性着色材料を用いることで、着色画素パターンが透明基板と強固な化学結合で接着されたカラーフィルタを乾式現像法で製造することができる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー液晶表示装置に搭載されるカラーフィルタ、あるいはカラービデオカメラなどの固体撮像素子に設けて使用可能なカラーフィルタ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カラーフィルタの製造方法として感光性着色材料を用いた乾式現像による方法が提案されている。
【0003】
乾式現像法とは、特許文献1等に代表されるように、ベースフィルム、着色感光性材料層、カバーフィルムの順に形成されてなるドライフィルム状着色感光性材料を作製し、まずカバーフィルムを剥離し、透明基板上に着色感光性材料面を加圧して貼り合わせ、必要ならばさらに加熱しながら透明基板上に着色感光性材料層を形成する。
【0004】
次にベースフィルム側から所定の遮光パターンを有したマスクを介して露光し、しかる後、露光された着色感光性材料の硬化部位をベースフィルムを透明基板より剥離すると同時に除去し、露光されていないパターン化された未露光部位を透明基板上に残留させ、さらにこれに全面よりの紫外線照射やポストベークすることにより着色パターンを形成するものであり、これらの工程を複数回繰り返し複数色のパターンを透明基板上に形成するものである。
【0005】
上記の方法によるカラーフィルタの製造方法においては、ドライフィルム状の着色感光性材料を使用するため、従来のスピンナーによる着色感光性材料層の形成法と比較して、材料の使用効率が非常に高く、着色感光性材料液の廃液処理が不要であること、またフィルムの剥離と同時にパターンを形成できることから、湿式の現像工程を必要としないため、それに要する設備、現像液やその廃液の処理などが不要であるという利点を有している。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−286031号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のカラーフィルタおよびその製造方法においては着色感光性材料の露光前後で生ずるベースフィルムおよび透明基板との密接着性の差のみを利用しているため、露光硬化後の剥離工程において剥離の角度や速度の変化により、未露光部までが剥離除去されてしまったり、露光硬化部が透明基板上に残留するなど、所望のパターンが得られなくなるという問題を有していた。
【0008】
また、露光、現像、後硬化を経て得られた着色パターンの透明基板との密着性が、必ずしも十分であるとはいえず、第二、第三と繰り返し着色パターンを形成していく剥離工程を重複することで、先に形成した着色パターンの一部が同時に剥離され、パターンが欠落するという問題をも有していた。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、乾式現像法を用いることによる利点を損なうことなく、所望のパターンを形成しかつ着色パターンの密着性を向上せしめたカラーフィルタおよびその製造方法を提供することを目的とする。即ち、
請求項1に係る第1の発明は、透明基板上に画素パターンを形成するために用いられる感光性の着色材料であって、少なくとも(A)有機重合体からなる結着剤、(B)ラジカル重合性を有するエチレン性二重結合を有する化合物、(C)透明基板と化学的に結合する官能基及び前記感光性着色材料中の成分が有する官能基と重合可能な官能基の両方を有する化合物、(D)着色剤、(E)光重合開始剤を含むことを特徴とする、着色画素パターン形成用感光性着色材料である。
【0010】
請求項2に係る第2の発明は、前記化合物(C)がシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1記載の着色画素パターン形成用感光性着色材料である。
【0011】
請求項3に係る第3の発明は、支持体上に請求項1または2に記載の感光性着色材料を塗布、乾燥させ感光性着色材料層を設ける前工程と、該感光性着色材料層と前記透明基板とが接するように重ね合わせる工程、次いで、形成しようとするパターンに対応する領域にある該感光性着色材料層を選択的に露光する工程、しかる後に該感光性着色材料層の未露光部分を該支持体と共に剥離除去し、露光部分のみを該透明基板上に残留させる剥離現像工程、さらに該透明基板上に残留した着色パターンを定着させる後硬化工程、以上の工程を繰り返して複数色の着色パターンを透明基板上に形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0012】
請求項4に係る第4の発明は、前記透明基板上に予めブラックマトリックスパターンが形成されたことを特徴とする請求項3記載のカラーフィルタの製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明によるカラーフィルタの製造方法の各工程における層構成を示す説明図である。図2は本発明によるカラーフィルタを示す説明図である。図3は本発明による、ブラックマトリックスを有してなるカラーフィルタを示す説明図である。
【0014】
図1(a)は支持体(1)上に、感光性着色材料を積層することで感光性着色材料層(2)を形成し、さらにカバーフィルム(3)で保護することによって製作した感光性着色フィルム(4)を示す断面図である。
【0015】
上記感光性着色フィルム(4)から図1(b)に示すように、カバーフィルム(3)を剥離し、感光性着色材料層(2)面と透明基板(10)とを接するように貼り合わせる。さらに、図1(c)に示すように、感光性着色材料層(2)を形成した他方の透明基板(10)側に遮光パターン(12)を有するマスク(11)を介し、放射線(5)等の活性光線を照射せしめ、該感光性着色材料層(2)に未露光部位(21)および放射線の照射によって反応が進行した露光硬化部位(22)を形成せしめる。
【0016】
上記放射線の照射によって露光硬化部位(22)と透明基板(10)との間に化学的な結合を形成せしめ、さらに必要ならば加圧およびまたは加熱し露光硬化部位(22)と透明基板(10)との密着性を向上させた後、図1(d)に示すように、支持体(1)と未露光部位(21)とを共に透明基板(10)上から剥離除去し、他方露光硬化部位(22)を透明基板上に着色パターンとして形成する。即ち、露光工程を経ることにより該感光性着色材料層(2)の露光硬化部位(22)と透明基板(10)とを化学的に接着させ、該透明基板(10)上に所望の着色パターンを形成するものである。
【0017】
さらに図1(e)に示すように、透明基板(10)上に形成した着色パターンを加熱およびまたは露光による後硬化過程を経て、第一色目の着色パターン(23)を形成する。
【0018】
本発明においては、第二、第三とさらに複数色の感光性着色材料について上記と同様の工程を繰り返すことにより、必要な色の数の着色パターンを透明基板(10)上に形成することが可能である。
図2は本発明にかかるカラーフィルタを示す断面図であり、第一、二、三色をそれぞれ赤、緑、青色とするものである。また、図3は本発明にかかるブラックマトリックスを有するカラーフィルタを示す断面図であり、第一、二、三色をそれぞれ赤、緑、青色とするものである。
【0019】
本発明にかかる感光性着色材料層(2)は(C)透明基板(10)と化学的に結合する官能基及び前記感光性着色材料中の成分が有する官能基と重合可能な官能基の両方を有する化合物(以下、化合物(C)とする)を必須物質として含有し、その他、少なくとも(A)有機重合体からなる結合剤、(B)ラジカル重合性を有するエチレン性二重結合を有する化合物、(D)着色剤と(E)光重合開始剤とを含むものである。
【0020】
前記透明基板(10)と化学的に結合する官能基及び前記感光性着色材料中の成分が有する官能基と重合可能な官能基の両方を有する化合物(化合物(C))としては、透明基板上に存在する水酸基等の官能基と強固な共有結合を形成することのできるアルコキシ基などの加水分解性基と、感光性着色材料中に含まれる化合物(C)そのものや、他の成分が有する官能基と反応し結合することのできるイソシアネート基、ビニル基、アクリル基やメタアクリル基またはエポキシ基などの重合反応性基とを同一分子中に有する化合物、より具体的にはシランカップリング剤が挙げられ、これらの化合物(C)中に含まれるアルコキシ基などの加水分解性基が該透明基板(10)表面の無機物と加水分解反応を受けて化学結合し、さらに(C)中の重合反応性基が該感光性着色材料層(2)に含まれる(C)自身の重合反応性基や他の化合物の反応性基と化学結合することにより、両者の結合をより強固なものとするものである。
【0021】
このような加水分解性基と重合反応性基を併せ持つ化合物としては、サイラエース(チッソ(株)製)等で代表される重合反応性基を有するアルコキシシラン(シランカップリング剤)が好ましく、重合反応性基としてメタクリル基を有する3−メタクリロキシプリピルトリメトキシシラン等がより好ましい。
該シランカップリング剤の含有量は感光性着色材料中の溶剤を除く固形分の総量に対し、0.1から5重量部、好ましくは0.5から3重量部である。
【0022】
前記(A)有機重合体からなる結合剤は、感光性着色材料層(2)に配合されて、各種添加剤の分散媒になると共に、粘着力の調整剤としても用いられるものであり、上記ラジカル重合性を有するエチレン性二重結合を少なくとも一つ以上有する化合物と相溶性であることが望ましい。例としては、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルアセタール、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリエステル、塩化ビニリデン―アクリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン―メタアクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン―酢酸ビニル共重合体、セルロース誘導体、ポリオレフィン、ジアリルフタレート樹脂、各種合成ゴム等を挙げることができる。
【0023】
また、前記(B)ラジカル重合性を有するエチレン性二重結合を有する化合物としては、例えばビニル基あるいはアリル基を有するモノマー、オリゴマー、末端または側鎖にビニル基あるいはアリル基を有するポリマーである。その例としては、(メタ)アクリル酸及びその塩、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類、イタコン酸エステル類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、N−ビニル複素環類、アリルエーテル類、アリルエステル類、及びこれらの誘導体などを挙げることができ、これらの化合物を1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0024】
また、前記(E)光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントラキノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、エチルベンゾイン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体などのロフィン二量体、N−フェニルグリシンなどのN−アリールグリシン類、4,4’−ジアジドカルコンなどの有機アジド類、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボキシル)ベンゾフェノンなどの有機過酸化物類などが挙げられる。さらに必要に応じてチオキサントン化合物や2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールなど芳香族チオール化合物の増感剤や連鎖移動剤を加えてもよい。
【0025】
また、前記(D)着色剤としては有機もしくは無機化合物からなる顔料あるいは染料を選択することができる。さらに必要に応じて、これら以外にも、例えば、金属粉、蛍光顔料、酸化チタン、タルク、炭酸カルシウム等の充填剤、ロジン酸エステル、テルペン樹脂などの増粘剤、ウレタン、アクリル微粒子などの拡散剤、酸化防止剤、レベリング剤、分散剤、界面活性剤、可塑剤、消泡剤、ハジキ防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、各種ポリマー等を配合してもよい。
【0026】
さらに、化合物(C)であるシランカップリング剤がエポキシ基を有してなる化合物である場合、該感光性着色材料中にエポキシ基を有するモノマー、オリゴマーやポリマーを含有させることにより該透明基板(10)との密着性をさらに向上させることが可能である。
【0027】
上記感光性着色層材料をバーコーター、ロールコーター、ダイコーター、コンマコーター、グラビアコーターなどの公知の塗工手段を用いて支持体(1)上に積層し、感光性着色材料層(2)を形成する。該感光性着色材料層(2)は0.1から20μm、好ましくは0.5から3μm程度が好ましい。
【0028】
感光性着色フィルム(4)の作製に用いる支持体(1)としては、熱圧負荷時に感光性着色材料層(2)を平面性と寸法とを安定に保って保持することができるものであればよく、例えば、ポリアセテートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等を挙げることができる。特に、熱や水に対する安定性が高く、感光性着色材料の塗布時の作業性及び露光、剥離現像時の操作性に優れている二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好適である。また、基板表面上への追従性を考慮すると、30μm以下が好ましいが、薄すぎると膜強度が著しく低下してしまうため、5μm以上が好ましい。
【0029】
また、感光性着色フィルム(4)上の感光性着色材料層(2)の保護に用いるカバーフィルム(3)としては、保存時の損傷または汚染を防ぐことを目的とし、支持体(1)と同様に熱圧負荷時に感光性着色材料層(2)を平面性と寸法とを安定に保って保持することができ、かつ透明基板(10)と貼り合わせる際に感光性着色材料層へダメージを与えることなく容易に剥離可能であるものであればよい。
【0030】
透明基板(10)としてはガラス板、あるいはポリアクリル、メタアクリル−スチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート等からなる透明なフィルムあるいはシートに、化合物(C)の加水分解性基と加水分解可能な無機物、例えばケイ素の微粉末を添加した熱可塑性樹脂を散布、あるいは塗布等したものを用いることができる。透明基板(10)が樹脂フィルムである場合には、フィルム成形時に加水分解可能な官能基を有する成分を含む熱可塑性樹脂と、基板となる樹脂との共押し出し成形を行い、本発明で求める性能を有する透明基板とすることができる。
ガラス基板のように、初めから基板表面上に化合物(C)中の反応性基と化学的に結合が可能な官能基を有する透明基板(10)は、特に上述のコーティングを行わなくても用いることができる。
【0031】
また、本発明においてパターン形成の際に使用される放射線(5)とは、単に放射性元素から放射されるものに限定されるものではなく、広く可視光線や紫外線などの光を含有し、当該放射線の照射によって感光性着色材料中の重合反応性基の反応を促すことができるものであればよい。
【0032】
本発明において使用される遮光パターン(12)を有するマスク(11)としては、例えば石英ガラスなどの透明基板上にエッチング法にて作成したクロムなどの無機金属からなる遮光パターンを有するフォトマスクなどが挙げられ、また、単にストライプ状のパターンを必要とするならば、例えばレンチキュラーレンズなどのセルフアライメント可能な光学レンズをマスクとして使用してもよい。
【0033】
また、本発明におけるブラックマトリックスパターンを有するカラーフィルタにおけるブラックマトリックスとしては、予め透明基板(10)上にクロムやチタン、コバルトなどの無機金属やその酸化物およびその複合物やカーボンブラックなどの黒色の顔料を含有した有機感光性材料をフォトリソグラフィーの工程を経て得られたのもであり、その光学濃度は1.0から4.0が好ましく、その膜厚は無機化合物からなる場合は0.01から0.5μm、黒色顔料含有有機感光性材料からなる場合は、0.5から2μmであることが好ましい。
【0034】
以上のように、本発明によるカラーフィルタ及びその製造方法によれば、感光性着色材料の露光硬化部位が強固に透明基板上に載置されているため、剥離現像工程における着色パターンの欠落を生ぜしめることなくパターンの形成が可能となり、また、その工程における支持体の剥離角度や剥離速度の変化にも対応が可能である。
【0035】
【実施例】
次に本発明を実施例により、具体的に説明する。
【0036】
感光性着色材料は下記成分からなる組成のものを用いた。なお、表中の数値は重量部を表す。
<感光性着色材料の組成例>
【0037】
【表1】
【0038】
まず、(D)着色剤として赤色顔料を用いた赤色の感光性着色材料(以下、感光性赤色材料)をワイヤーバーを用いて、支持体となる12μm厚の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、65℃の乾燥機で10分乾燥し、厚さ1.5μmの感光性赤色材料層を形成した。これにカバーフィルムとして30μmのポリエチレンフィルムを感光性赤色材料層面に重ねるようにして貼り合わせ、感光性赤色フィルムを得た。
【0039】
上記感光性赤色フィルムからカバーフィルムであるポリエチレンフィルムを剥離して、常法にて洗浄を施した透明基板となるガラス基板上に、ラミネーターを用いて加圧しながら感光性赤色材料層側を圧着した。
次に、ガラス基板上に所定の遮光パターンを有するマスクを用いて、超高圧水銀灯を光源とした紫外線によるプロキシミティ露光により露光した。この時の照射量は100mJ/cm2であった。
【0040】
露光後ガラス基板ごと80℃のオーブンに入れ5分間の加熱工程を施すことで加水分解反応を促進し、露光硬化部位とガラス基板の密着性を高めた。その後、室温まで放冷した後、支持体であるポリエチレンテレフタレートフィルムを未露光部位の感光性赤色材料層と共にガラス基板より剥離することにより、マスクの遮光パターンに忠実な赤色露光硬化部位を形成した。さらに、これを220℃にて30分後硬化工程を施し、赤色着色パターンを形成した。
【0041】
上記と同じ工程を、緑、青の感光性着色材料を用いて繰り返すことにより、ガラス基板上に、赤、緑、青の3色の着色パターンが形成されたカラーフィルタを得た。このようにして得られたカラーフィルタにおいては、パターンの位置精度も良好であり、各色のパターンの欠落や重なりも認められなかった。また、パターンの基板との密着性においては、従来の乾式現像法によるカラーフィルタよりも優れているばかりでなく、現在の主法となっている顔料分散感光性樹脂を用いたフォトリソグラフィー法によって得られたカラーフィルタと比較して、なんら遜色のないものであった。
【0042】
さらに、予めブラックマトリックスを形成したガラス基板を用いて、上記と同様の工程によって、赤、緑、青の3色の着色パターンが形成されたカラーフィルタを作製した。こちらにおいてもパターンの欠落や重なりはなく、かつ密着性も優れたものであった。
【0043】
【発明の効果】
以上、本発明による感光性着色材料及びそれを用いたカラーフィルタの製造方法によれば、従来の湿式の現像工程を不要とした乾式現像の利点をそのまま利用することが可能であり、感光性着色材料中に透明基板と化学的に結合する官能基及び前記感光性着色材料中の成分が有する官能基と重合可能な官能基の両方を有する化合物を添加せしめることにより、感光性着色材料層の露光硬化部位が強固に透明基板上に載置され、従来の乾式現像法における問題点であった密着性の改善を図ることにより、剥離現像工程における着色パターンの欠落を生ぜしめることなくパターンの形成が可能となり、また、その工程における支持体の剥離角度や剥離速度の変化にも対応が可能となるものである。
【0044】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるカラーフィルタの作製を工程順に示した説明図である。
【図2】本発明に係わるカラーフィルタの実施例を示した断面図である。
【図3】本発明に係わるブラックマトリックスを有するカラーフィルタの断面図である。
【符号の説明】
1 …支持体
2 …感光性着色材料層
3 …カバーフィルム
4 …感光性着色フィルム
5 …放射線
10 …透明基板
11 …マスク
12 …遮光パターン
21 …未露光部位
22 …露光硬化部位
23 …着色パターン
23R…赤色着色パターン
23G…緑色着色パターン
23B…青色着色パターン
30 …ブラックマトリックスパターン
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー液晶表示装置に搭載されるカラーフィルタ、あるいはカラービデオカメラなどの固体撮像素子に設けて使用可能なカラーフィルタ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カラーフィルタの製造方法として感光性着色材料を用いた乾式現像による方法が提案されている。
【0003】
乾式現像法とは、特許文献1等に代表されるように、ベースフィルム、着色感光性材料層、カバーフィルムの順に形成されてなるドライフィルム状着色感光性材料を作製し、まずカバーフィルムを剥離し、透明基板上に着色感光性材料面を加圧して貼り合わせ、必要ならばさらに加熱しながら透明基板上に着色感光性材料層を形成する。
【0004】
次にベースフィルム側から所定の遮光パターンを有したマスクを介して露光し、しかる後、露光された着色感光性材料の硬化部位をベースフィルムを透明基板より剥離すると同時に除去し、露光されていないパターン化された未露光部位を透明基板上に残留させ、さらにこれに全面よりの紫外線照射やポストベークすることにより着色パターンを形成するものであり、これらの工程を複数回繰り返し複数色のパターンを透明基板上に形成するものである。
【0005】
上記の方法によるカラーフィルタの製造方法においては、ドライフィルム状の着色感光性材料を使用するため、従来のスピンナーによる着色感光性材料層の形成法と比較して、材料の使用効率が非常に高く、着色感光性材料液の廃液処理が不要であること、またフィルムの剥離と同時にパターンを形成できることから、湿式の現像工程を必要としないため、それに要する設備、現像液やその廃液の処理などが不要であるという利点を有している。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−286031号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のカラーフィルタおよびその製造方法においては着色感光性材料の露光前後で生ずるベースフィルムおよび透明基板との密接着性の差のみを利用しているため、露光硬化後の剥離工程において剥離の角度や速度の変化により、未露光部までが剥離除去されてしまったり、露光硬化部が透明基板上に残留するなど、所望のパターンが得られなくなるという問題を有していた。
【0008】
また、露光、現像、後硬化を経て得られた着色パターンの透明基板との密着性が、必ずしも十分であるとはいえず、第二、第三と繰り返し着色パターンを形成していく剥離工程を重複することで、先に形成した着色パターンの一部が同時に剥離され、パターンが欠落するという問題をも有していた。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、乾式現像法を用いることによる利点を損なうことなく、所望のパターンを形成しかつ着色パターンの密着性を向上せしめたカラーフィルタおよびその製造方法を提供することを目的とする。即ち、
請求項1に係る第1の発明は、透明基板上に画素パターンを形成するために用いられる感光性の着色材料であって、少なくとも(A)有機重合体からなる結着剤、(B)ラジカル重合性を有するエチレン性二重結合を有する化合物、(C)透明基板と化学的に結合する官能基及び前記感光性着色材料中の成分が有する官能基と重合可能な官能基の両方を有する化合物、(D)着色剤、(E)光重合開始剤を含むことを特徴とする、着色画素パターン形成用感光性着色材料である。
【0010】
請求項2に係る第2の発明は、前記化合物(C)がシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1記載の着色画素パターン形成用感光性着色材料である。
【0011】
請求項3に係る第3の発明は、支持体上に請求項1または2に記載の感光性着色材料を塗布、乾燥させ感光性着色材料層を設ける前工程と、該感光性着色材料層と前記透明基板とが接するように重ね合わせる工程、次いで、形成しようとするパターンに対応する領域にある該感光性着色材料層を選択的に露光する工程、しかる後に該感光性着色材料層の未露光部分を該支持体と共に剥離除去し、露光部分のみを該透明基板上に残留させる剥離現像工程、さらに該透明基板上に残留した着色パターンを定着させる後硬化工程、以上の工程を繰り返して複数色の着色パターンを透明基板上に形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0012】
請求項4に係る第4の発明は、前記透明基板上に予めブラックマトリックスパターンが形成されたことを特徴とする請求項3記載のカラーフィルタの製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明によるカラーフィルタの製造方法の各工程における層構成を示す説明図である。図2は本発明によるカラーフィルタを示す説明図である。図3は本発明による、ブラックマトリックスを有してなるカラーフィルタを示す説明図である。
【0014】
図1(a)は支持体(1)上に、感光性着色材料を積層することで感光性着色材料層(2)を形成し、さらにカバーフィルム(3)で保護することによって製作した感光性着色フィルム(4)を示す断面図である。
【0015】
上記感光性着色フィルム(4)から図1(b)に示すように、カバーフィルム(3)を剥離し、感光性着色材料層(2)面と透明基板(10)とを接するように貼り合わせる。さらに、図1(c)に示すように、感光性着色材料層(2)を形成した他方の透明基板(10)側に遮光パターン(12)を有するマスク(11)を介し、放射線(5)等の活性光線を照射せしめ、該感光性着色材料層(2)に未露光部位(21)および放射線の照射によって反応が進行した露光硬化部位(22)を形成せしめる。
【0016】
上記放射線の照射によって露光硬化部位(22)と透明基板(10)との間に化学的な結合を形成せしめ、さらに必要ならば加圧およびまたは加熱し露光硬化部位(22)と透明基板(10)との密着性を向上させた後、図1(d)に示すように、支持体(1)と未露光部位(21)とを共に透明基板(10)上から剥離除去し、他方露光硬化部位(22)を透明基板上に着色パターンとして形成する。即ち、露光工程を経ることにより該感光性着色材料層(2)の露光硬化部位(22)と透明基板(10)とを化学的に接着させ、該透明基板(10)上に所望の着色パターンを形成するものである。
【0017】
さらに図1(e)に示すように、透明基板(10)上に形成した着色パターンを加熱およびまたは露光による後硬化過程を経て、第一色目の着色パターン(23)を形成する。
【0018】
本発明においては、第二、第三とさらに複数色の感光性着色材料について上記と同様の工程を繰り返すことにより、必要な色の数の着色パターンを透明基板(10)上に形成することが可能である。
図2は本発明にかかるカラーフィルタを示す断面図であり、第一、二、三色をそれぞれ赤、緑、青色とするものである。また、図3は本発明にかかるブラックマトリックスを有するカラーフィルタを示す断面図であり、第一、二、三色をそれぞれ赤、緑、青色とするものである。
【0019】
本発明にかかる感光性着色材料層(2)は(C)透明基板(10)と化学的に結合する官能基及び前記感光性着色材料中の成分が有する官能基と重合可能な官能基の両方を有する化合物(以下、化合物(C)とする)を必須物質として含有し、その他、少なくとも(A)有機重合体からなる結合剤、(B)ラジカル重合性を有するエチレン性二重結合を有する化合物、(D)着色剤と(E)光重合開始剤とを含むものである。
【0020】
前記透明基板(10)と化学的に結合する官能基及び前記感光性着色材料中の成分が有する官能基と重合可能な官能基の両方を有する化合物(化合物(C))としては、透明基板上に存在する水酸基等の官能基と強固な共有結合を形成することのできるアルコキシ基などの加水分解性基と、感光性着色材料中に含まれる化合物(C)そのものや、他の成分が有する官能基と反応し結合することのできるイソシアネート基、ビニル基、アクリル基やメタアクリル基またはエポキシ基などの重合反応性基とを同一分子中に有する化合物、より具体的にはシランカップリング剤が挙げられ、これらの化合物(C)中に含まれるアルコキシ基などの加水分解性基が該透明基板(10)表面の無機物と加水分解反応を受けて化学結合し、さらに(C)中の重合反応性基が該感光性着色材料層(2)に含まれる(C)自身の重合反応性基や他の化合物の反応性基と化学結合することにより、両者の結合をより強固なものとするものである。
【0021】
このような加水分解性基と重合反応性基を併せ持つ化合物としては、サイラエース(チッソ(株)製)等で代表される重合反応性基を有するアルコキシシラン(シランカップリング剤)が好ましく、重合反応性基としてメタクリル基を有する3−メタクリロキシプリピルトリメトキシシラン等がより好ましい。
該シランカップリング剤の含有量は感光性着色材料中の溶剤を除く固形分の総量に対し、0.1から5重量部、好ましくは0.5から3重量部である。
【0022】
前記(A)有機重合体からなる結合剤は、感光性着色材料層(2)に配合されて、各種添加剤の分散媒になると共に、粘着力の調整剤としても用いられるものであり、上記ラジカル重合性を有するエチレン性二重結合を少なくとも一つ以上有する化合物と相溶性であることが望ましい。例としては、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルアセタール、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリエステル、塩化ビニリデン―アクリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン―メタアクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン―酢酸ビニル共重合体、セルロース誘導体、ポリオレフィン、ジアリルフタレート樹脂、各種合成ゴム等を挙げることができる。
【0023】
また、前記(B)ラジカル重合性を有するエチレン性二重結合を有する化合物としては、例えばビニル基あるいはアリル基を有するモノマー、オリゴマー、末端または側鎖にビニル基あるいはアリル基を有するポリマーである。その例としては、(メタ)アクリル酸及びその塩、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類、イタコン酸エステル類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、N−ビニル複素環類、アリルエーテル類、アリルエステル類、及びこれらの誘導体などを挙げることができ、これらの化合物を1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0024】
また、前記(E)光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントラキノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、エチルベンゾイン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体などのロフィン二量体、N−フェニルグリシンなどのN−アリールグリシン類、4,4’−ジアジドカルコンなどの有機アジド類、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボキシル)ベンゾフェノンなどの有機過酸化物類などが挙げられる。さらに必要に応じてチオキサントン化合物や2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールなど芳香族チオール化合物の増感剤や連鎖移動剤を加えてもよい。
【0025】
また、前記(D)着色剤としては有機もしくは無機化合物からなる顔料あるいは染料を選択することができる。さらに必要に応じて、これら以外にも、例えば、金属粉、蛍光顔料、酸化チタン、タルク、炭酸カルシウム等の充填剤、ロジン酸エステル、テルペン樹脂などの増粘剤、ウレタン、アクリル微粒子などの拡散剤、酸化防止剤、レベリング剤、分散剤、界面活性剤、可塑剤、消泡剤、ハジキ防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、各種ポリマー等を配合してもよい。
【0026】
さらに、化合物(C)であるシランカップリング剤がエポキシ基を有してなる化合物である場合、該感光性着色材料中にエポキシ基を有するモノマー、オリゴマーやポリマーを含有させることにより該透明基板(10)との密着性をさらに向上させることが可能である。
【0027】
上記感光性着色層材料をバーコーター、ロールコーター、ダイコーター、コンマコーター、グラビアコーターなどの公知の塗工手段を用いて支持体(1)上に積層し、感光性着色材料層(2)を形成する。該感光性着色材料層(2)は0.1から20μm、好ましくは0.5から3μm程度が好ましい。
【0028】
感光性着色フィルム(4)の作製に用いる支持体(1)としては、熱圧負荷時に感光性着色材料層(2)を平面性と寸法とを安定に保って保持することができるものであればよく、例えば、ポリアセテートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等を挙げることができる。特に、熱や水に対する安定性が高く、感光性着色材料の塗布時の作業性及び露光、剥離現像時の操作性に優れている二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好適である。また、基板表面上への追従性を考慮すると、30μm以下が好ましいが、薄すぎると膜強度が著しく低下してしまうため、5μm以上が好ましい。
【0029】
また、感光性着色フィルム(4)上の感光性着色材料層(2)の保護に用いるカバーフィルム(3)としては、保存時の損傷または汚染を防ぐことを目的とし、支持体(1)と同様に熱圧負荷時に感光性着色材料層(2)を平面性と寸法とを安定に保って保持することができ、かつ透明基板(10)と貼り合わせる際に感光性着色材料層へダメージを与えることなく容易に剥離可能であるものであればよい。
【0030】
透明基板(10)としてはガラス板、あるいはポリアクリル、メタアクリル−スチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート等からなる透明なフィルムあるいはシートに、化合物(C)の加水分解性基と加水分解可能な無機物、例えばケイ素の微粉末を添加した熱可塑性樹脂を散布、あるいは塗布等したものを用いることができる。透明基板(10)が樹脂フィルムである場合には、フィルム成形時に加水分解可能な官能基を有する成分を含む熱可塑性樹脂と、基板となる樹脂との共押し出し成形を行い、本発明で求める性能を有する透明基板とすることができる。
ガラス基板のように、初めから基板表面上に化合物(C)中の反応性基と化学的に結合が可能な官能基を有する透明基板(10)は、特に上述のコーティングを行わなくても用いることができる。
【0031】
また、本発明においてパターン形成の際に使用される放射線(5)とは、単に放射性元素から放射されるものに限定されるものではなく、広く可視光線や紫外線などの光を含有し、当該放射線の照射によって感光性着色材料中の重合反応性基の反応を促すことができるものであればよい。
【0032】
本発明において使用される遮光パターン(12)を有するマスク(11)としては、例えば石英ガラスなどの透明基板上にエッチング法にて作成したクロムなどの無機金属からなる遮光パターンを有するフォトマスクなどが挙げられ、また、単にストライプ状のパターンを必要とするならば、例えばレンチキュラーレンズなどのセルフアライメント可能な光学レンズをマスクとして使用してもよい。
【0033】
また、本発明におけるブラックマトリックスパターンを有するカラーフィルタにおけるブラックマトリックスとしては、予め透明基板(10)上にクロムやチタン、コバルトなどの無機金属やその酸化物およびその複合物やカーボンブラックなどの黒色の顔料を含有した有機感光性材料をフォトリソグラフィーの工程を経て得られたのもであり、その光学濃度は1.0から4.0が好ましく、その膜厚は無機化合物からなる場合は0.01から0.5μm、黒色顔料含有有機感光性材料からなる場合は、0.5から2μmであることが好ましい。
【0034】
以上のように、本発明によるカラーフィルタ及びその製造方法によれば、感光性着色材料の露光硬化部位が強固に透明基板上に載置されているため、剥離現像工程における着色パターンの欠落を生ぜしめることなくパターンの形成が可能となり、また、その工程における支持体の剥離角度や剥離速度の変化にも対応が可能である。
【0035】
【実施例】
次に本発明を実施例により、具体的に説明する。
【0036】
感光性着色材料は下記成分からなる組成のものを用いた。なお、表中の数値は重量部を表す。
<感光性着色材料の組成例>
【0037】
【表1】
【0038】
まず、(D)着色剤として赤色顔料を用いた赤色の感光性着色材料(以下、感光性赤色材料)をワイヤーバーを用いて、支持体となる12μm厚の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、65℃の乾燥機で10分乾燥し、厚さ1.5μmの感光性赤色材料層を形成した。これにカバーフィルムとして30μmのポリエチレンフィルムを感光性赤色材料層面に重ねるようにして貼り合わせ、感光性赤色フィルムを得た。
【0039】
上記感光性赤色フィルムからカバーフィルムであるポリエチレンフィルムを剥離して、常法にて洗浄を施した透明基板となるガラス基板上に、ラミネーターを用いて加圧しながら感光性赤色材料層側を圧着した。
次に、ガラス基板上に所定の遮光パターンを有するマスクを用いて、超高圧水銀灯を光源とした紫外線によるプロキシミティ露光により露光した。この時の照射量は100mJ/cm2であった。
【0040】
露光後ガラス基板ごと80℃のオーブンに入れ5分間の加熱工程を施すことで加水分解反応を促進し、露光硬化部位とガラス基板の密着性を高めた。その後、室温まで放冷した後、支持体であるポリエチレンテレフタレートフィルムを未露光部位の感光性赤色材料層と共にガラス基板より剥離することにより、マスクの遮光パターンに忠実な赤色露光硬化部位を形成した。さらに、これを220℃にて30分後硬化工程を施し、赤色着色パターンを形成した。
【0041】
上記と同じ工程を、緑、青の感光性着色材料を用いて繰り返すことにより、ガラス基板上に、赤、緑、青の3色の着色パターンが形成されたカラーフィルタを得た。このようにして得られたカラーフィルタにおいては、パターンの位置精度も良好であり、各色のパターンの欠落や重なりも認められなかった。また、パターンの基板との密着性においては、従来の乾式現像法によるカラーフィルタよりも優れているばかりでなく、現在の主法となっている顔料分散感光性樹脂を用いたフォトリソグラフィー法によって得られたカラーフィルタと比較して、なんら遜色のないものであった。
【0042】
さらに、予めブラックマトリックスを形成したガラス基板を用いて、上記と同様の工程によって、赤、緑、青の3色の着色パターンが形成されたカラーフィルタを作製した。こちらにおいてもパターンの欠落や重なりはなく、かつ密着性も優れたものであった。
【0043】
【発明の効果】
以上、本発明による感光性着色材料及びそれを用いたカラーフィルタの製造方法によれば、従来の湿式の現像工程を不要とした乾式現像の利点をそのまま利用することが可能であり、感光性着色材料中に透明基板と化学的に結合する官能基及び前記感光性着色材料中の成分が有する官能基と重合可能な官能基の両方を有する化合物を添加せしめることにより、感光性着色材料層の露光硬化部位が強固に透明基板上に載置され、従来の乾式現像法における問題点であった密着性の改善を図ることにより、剥離現像工程における着色パターンの欠落を生ぜしめることなくパターンの形成が可能となり、また、その工程における支持体の剥離角度や剥離速度の変化にも対応が可能となるものである。
【0044】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるカラーフィルタの作製を工程順に示した説明図である。
【図2】本発明に係わるカラーフィルタの実施例を示した断面図である。
【図3】本発明に係わるブラックマトリックスを有するカラーフィルタの断面図である。
【符号の説明】
1 …支持体
2 …感光性着色材料層
3 …カバーフィルム
4 …感光性着色フィルム
5 …放射線
10 …透明基板
11 …マスク
12 …遮光パターン
21 …未露光部位
22 …露光硬化部位
23 …着色パターン
23R…赤色着色パターン
23G…緑色着色パターン
23B…青色着色パターン
30 …ブラックマトリックスパターン
Claims (4)
- 透明基板上に画素パターンを形成するために用いられる感光性の着色材料であって、少なくとも(A)有機重合体からなる結着剤、(B)ラジカル重合性を有するエチレン性二重結合を有する化合物、(C)透明基板と化学的に結合する官能基及び前記感光性着色材料中の成分が有する官能基と重合可能な官能基の両方を有する化合物、(D)着色剤、(E)光重合開始剤を含むことを特徴とする、着色画素パターン形成用感光性着色材料。
- 前記化合物(C)がシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1記載の着色画素パターン形成用感光性着色材料。
- 支持体上に請求項1または2に記載の感光性着色材料を塗布、乾燥させ感光性着色材料層を設ける前工程と、該感光性着色材料層と前記透明基板とが接するように重ね合わせる工程、次いで、形成しようとするパターンに対応する領域にある該感光性着色材料層を選択的に露光する工程、しかる後に該感光性着色材料層の未露光部分を該支持体と共に剥離除去し、露光部分のみを該透明基板上に残留させる剥離現像工程、さらに該透明基板上に残留した着色パターンを定着させる後硬化工程、以上の工程を繰り返して複数色の着色パターンを透明基板上に形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
- 前記透明基板上に予めブラックマトリックスパターンが形成されたことを特徴とする請求項3記載のカラーフィルタの製造方法。
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