JP3766480B2 - カラーフィルタの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明はカラーフィルタの製造方法に係り、特に液晶ディスプレイ等に用いられるカラーフィルタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイ(LCD)においては、近年のカラー化の要請に対応するために、アクティブマトリックス方式および単純マトリックス方式のいずれの方式においてもカラーフィルタが用いられている。例えば、薄膜トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリックス方式の液晶ディスプレイでは、カラーフィルタは赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の着色パターンを備え、R,G,Bのそれぞれの画素に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッタとして作動し、R,G,Bのそれぞれの画素を光が透過してカラー表示が行われる。そして、色混合は2色以上の画素に対応する液晶シャッタを開いて混色し別の色に見せる加色混合の原理により網膜上で視覚的に行われる。
【0003】
上記のカラーフィルタの製造方法の1種として、従来から着色感材法が用いられている。この着色感材法では、透明な感光性樹脂に着色剤として染料、無機顔料、有機顔料等を分散した感光性組成物をスピンコート法等により透明基板上に塗布して感光性樹脂層を形成し、この感光性樹脂層を所定のフォトマスクを介して露光し、未露光部分の感光性樹脂層を溶解する現像液を使用して湿式現像して着色パターンを形成する操作をR,G,Bの3回行って各色の着色パターンが形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の着色感材法では、透明基板への感光性樹脂組成物のスピンコート法等による塗布工程における材料ロスが避けられず、また、各色の着色パターン形成ごとに湿式現像工程と洗浄工程があるため廃液処理が必要となり、材料使用効率の向上や工程の簡略化が困難で製造コスト低減に支障を来していた。
【0005】
このような着色感材法における問題を解消するために、湿式現像工程を不要とする製造方法が開発されている(特開平2−151805号公報)。このカラーフィルタ製造方法は、支持シートBに着色剤を含む感光性樹脂層を塗布乾燥させた後、支持シートAを積層し、ついで感光性樹脂層を放射線硬化し、支持シートBを支持シートAから加熱して剥離し、支持シートAに未硬化のパターン部分の感光性樹脂層を保持させ、ついで感光性樹脂層の未硬化パターン部分を支持シートAとともにカラーフィルタ用の透明基板へ圧着または加熱圧着し、支持シートAの剥離後に未硬化のパターン部分を放射線硬化し、このような操作を各色相の着色剤を含む感光性樹脂層について同一の透明基板に対し順次繰り返すものである。
【0006】
しかし、上記のカラーフィルタの製造方法は、湿式現像工程を省きうるという極めて優れた長所がある一方で、支持シートA上の感光性樹脂層パターンをカラーフィルタ用の透明基板に対して正確に位置合わせをしながら転写することが現実的には難しく、色ずれや色抜けの無い良品を高い歩留まりで製造すことは極めて困難であるという問題点があった。すなわち、剥離現像によってパターンを形成する際の剥離が加熱しながら行われる結果、熱膨張により支持シート自体が加熱前に比べて伸びるとともに、支持シートを保持するために加えられていた張力に対する抵抗力が支持シートの温度上昇と共に変化し、支持シートがさらに伸びてしまうという不都合が生じた。これにより、剥離現像で支持シートに形成されたパターンが、パターン露光によって潜像として形成された際の配列に比較して、寸法に著しいずれを生じることになる。
【0007】
また、特開平2−151805号公報に開示された技術に従い、剥離現像によって支持シートA上に形成されたパターンを、熱ロールで加熱しながら透明基板に圧着すると、熱ロールによる加熱によって支持シートAが熱ロールの進行方向に大きく伸びてしまい、圧着後の両者の見当は大きくずれ、パターン精度の大幅な低下を来すという問題があった。
【0008】
さらに、特に加熱を行わない圧着によって支持シートA上のパターンをカラーフィルタ用の透明基板に転写した場合でも、転写の際の摩擦熱等の原因により圧着ロールの温度が徐々に上昇してしまい、転写作業を複数のサンプルに対して繰り返し行う間に圧着ロールが熱をもち、この圧着ロールによって支持シートAが加熱されることになる。このような状態で転写が行われた透明基板上のパターンは、熱ロールによって加熱圧着を行った場合と同様に位置精度の低いものになるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、高精細なカラーフィルタの製造が可能であるとともに、材料の使用効率に優れ、湿式の現像工程および洗浄工程を含まず工程が簡便なカラーフィルタの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明は転写基材シートと剥離フィルムの間に着色剤を含有した感光性樹脂層を形成する第1の工程と、所定のフォトマスクを介して前記剥離フィルム側から前記感光性樹脂層を露光する第2の工程と、前記剥離フィルムを剥離することにより前記感光性樹脂層の露光部を転写基材シート上から除去し、前記転写基材シート上に前記感光性樹脂層の未露光部を残して感光性樹脂パターンを形成する第3の工程と、前記転写基材シート上に形成された前記感光性樹脂パターンに、カラーフィルタ用の透明基板を位置合わせして圧着する第4の工程と、前記透明基板側から前記感光性樹脂パターンを露光し、その後、前記転写基材シートを剥離することにより、前記透明基板上に前記感光性樹脂パターンを転写して着色パターンを形成し、次いで、該着色パターンを硬化させる第5の工程と、を少なくとも第2の工程から第4の工程における前記転写基材シートの温度変動を5℃以内に保ちながら必要な色数分繰り返すことにより、所望の色数の着色パターンを前記透明基板上に形成するような構成とした。
【0011】
また、本発明のカラーフィルタの製造方法は、少なくとも第2の工程から第4の工程における前記転写基材シートの温度を20〜25℃の範囲内に維持するような構成とした。
また、本発明のカラーフィルタの製造方法は、第2の工程では、露光の光源から放出される赤外線成分を遮断すること、冷風を使用すること、および、22.5℃に温度調整された金属に転写基材シートを接触させことの少なくとも1種の温度制御の操作を行い、第3の工程では、冷風を使用すること、および、22.5℃に温度調整された金属に転写基材シートを接触させることの少なくとも1種の操作を行い、第4の工程では、冷風を使用すること、および、22.5℃に温度調整された金属ロールを用いて圧着することの少なくとも1種の温度制御の操作を行うような構成とした。
【0012】
また、本発明のカラーフィルタの製造方法は、第4の工程と第5の工程との間に前記感光性樹脂パターンと前記透明基板との密着性を高めるための加熱工程を有するような構成とした。
【0013】
また、本発明のカラーフィルタの製造方法は、第1の工程で形成する感光性樹脂層の厚みを、必要な色数分繰り返すごとに前回の操作での感光性樹脂層の厚み以上とし、かつ、厚みの差を10%以下とするような構成とした。
【0014】
このような本発明では、所定のフォトマスクを介して剥離フィルム側から感光性樹脂層を露光し、剥離フィルムを剥離して感光性樹脂層の露光部を剥離フィルムとともに転写基材シートから除去し感光性樹脂層の未露光部を感光性樹脂パターンとして転写基材シート上に残し、次に、カラーフィルタ用の透明基板を感光性樹脂パターン上に位置合わせして圧着する一連の操作を通じて、転写基材シートの温度変動が5℃以内とされるので、転写基材シートの熱膨張や張力による伸びが極めて少ないものとなり、透明基板上へ高い精度で着色パターンを形成することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1乃至図3は本発明のカラーフィルタの製造方法の実施形態を説明するための工程図である。本発明は、剥離現像および圧着による着色パターン転写における転写基材シートの温度変化が、熱膨張による転写基材シートの伸び量と張力による転写基材シートの伸び量に影響を与えることに着目してなされたものである。そして、本発明は第1の工程乃至第5の工程からなる着色パターンの形成操作を、少なくとも第2の工程から第4の工程における転写基材シートの温度変動(最高温度と最低温度の差)を5℃以内に保ちながら、必要な色数分繰り返すことにより透明基板上に所望の色数の着色パターンを備えたカラーフィルタを製造するものである。ここでは、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の着色パターンを備えたカラーフィルタを例にして本発明を説明する。
(1)赤色の着色パターン形成
第1の工程
まず、第1の工程として、図1(A)に示されるように、転写基材シート12と剥離フィルム13の間に赤色の着色剤を含有した感光性樹脂層14Rを設けて複合体11Rを形成する。感光性樹脂層14Rは、例えば、転写基材シート12上にダイレクトグラビアコーティング法、グラビアリバースコーティング法、リバースロールコーティング法、スライドダイコーティング法、スリットダイコーティング法等の公知の塗布手段により感光性樹脂組成物を塗布、乾燥し、この塗布膜上に剥離フィルム13を重ねて圧着することにより形成することができる。また、剥離フィルム13上に感光性樹脂組成物を塗布して乾燥し、この塗布膜上に転写基材シート12を重ねて圧着してもよい。尚、上記の複合体11R形成時の圧着は、加熱圧着でもよく、この場合、加熱温度は感光性樹脂層14Rの熱的物性に応じて適宜設定することができる。
【0017】
上記の感光性樹脂層14Rを形成するための感光性樹脂組成物は、染料、無機顔料、有機顔料等の赤色着色剤を含有した公知の種々の感光性樹脂組成物から適宜選択して使用することができる。上記の感光性樹脂組成物としては、後述するようにバインダー、重合開始剤、着色剤等を配合したものを使用できる。形成される感光性樹脂層14Rの厚みは0.5〜5.0μm程度、好ましくは1.0〜3.0μm程度の範囲で設定することができる。そして、赤色の着色パターン、緑色の着色パターン、青色の着色パターンの順序で透明基板上に着色パターンを形成する本実施形態では、感光性樹脂層14Rの厚みA1および後述の感光性樹脂層14Gの厚みA2、感光性樹脂層14Bの厚みA3を、A1≦A2≦A3の関係を満足するように設定する必要がある。これは、後述の緑色の着色パターン形成、青色の着色パターン形成において、既に透明基板上に形成されている他の色の着色パターンの谷間にはめ込むように着色パターンを転写形成する必要があるためである。尚、A1とA2、あるいはA2とA3が等しくない場合、カラーフィルタに要求される表面平滑性を考慮して、その差は小さいことが好ましく、例えば、(A2−A1)がA1の10%以下、(A3−A2)がA2の10%以下となるように設定することが好ましい。
【0018】
ここで使用する転写基材シート12は、後述するように柔軟性を有し、かつ、張力もしくは圧力で著しい変形を生じない材料を使用する必要がある。転写基材シート12は、剥離フィルム13と感光性樹脂層14(上記の感光性樹脂層14Rおよび後述の感光性樹脂層14G、14Bを含む)の特性を考慮して選定することができる。すなわち、感光性樹脂層14に対する転写基材シート12の密着力が、剥離フィルム13と感光性樹脂層14との密着力よりも強くなるような転写基材シート12を使用する。このような転写基材シート12の厚みは0.02〜2mm程度に設定することができる。尚、転写基材シート12には、感光性樹脂層14との密着力を高めるために、後述するようなプライマー層を形成してもよい。
【0019】
また、剥離フィルム13は、後述するように柔軟性を有し、かつ、張力もしくは圧力で著しい変形を生じず、さらに、感光性樹脂層14Rに所望の露光量での露光行うための光が透過する材料を使用する必要がある。この剥離フィルム13は、上述のように、感光性樹脂層14(14R,14G,14B)の特性を考慮して転写基材シート12との関係から適宜選定することができる。
【0020】
尚、上述の転写基材シート12および剥離フィルム13は、枚葉タイプでもよく、また、長尺体であってもよい。転写基材シート12および剥離フィルム13を長尺体とすることにより、複合体11Rをロール状に巻き回して保管し、随時必要量を送り出してカラーフィルタの製造に供することができる。
第2の工程
次に、赤色の着色パターン用のフォトマスク21Rを介して、複合体11Rの感光性樹脂層14Rを露光する(図1(B))。本発明では、この露光を剥離フィルム13側から行うことを必須とする。これにより、感光性樹脂層14Rの露光部は、剥離フィルム13側から硬化が優先的に進行して剥離フィルム13に対する接着力が大幅に増大し、一方、転写基材シート12側では当初の接着力のままで感光性樹脂層14Rと転写基材シート12とが接着された状態となる。
【0021】
このような剥離フィルム13側からの感光性樹脂層14Rの露光量は、感光性樹脂層14Rの光硬化反応が転写基材シート12側まで進行しない範囲で適宜設定することができ、例えば、感光性樹脂層14Rの光硬化反応が完全に進行するのに必要な最小露光量の2〜60%の範囲とすることができる。この露光において、露光量が不足すると、転写基材シート12と感光性樹脂層14Rの未露光部との接着力に対して、剥離フィルム13と感光性樹脂層14Rとの露光による接着力上昇が不十分となり、下記の剥離現像が良好に行えないことになる。また、露光量が上記の最小露光量に近すぎると、転写基材シート12と感光性樹脂層14Rの露光部との接着力が大きくなりすぎて、剥離フィルム13と感光性樹脂層14Rの露光部との接着力に対して、その差が不十分となり、やはり、下記の剥離現像が良好に行えない。上記のような露光量で剥離フィルム13側から感光性樹脂層14Rを露光することにより、感光性樹脂層14Rの露光部では厚み方向で照射光到達量が剥離フィルム13側から徐々に減少し、感光性樹脂層14Rの転写基材シート12側は未露光(未硬化)状態となる。
【0022】
本発明では、この第2の工程における転写基材シート12の温度変動を5℃以内、好ましくは転写基材シート12の温度を20〜25℃の範囲に保つことが必要となる。このためには、例えば、上記の露光工程において光源から放出される赤外線によって転写基材シート12の温度が上昇しないように照射光の赤外線成分を遮断したり、冷風を適宜使用したり、22.5℃に温度調整された金属に転写基材シート12を接触させる等の操作を行うことが好ましい。
【0023】
ここで、上述の感光性樹脂層14の光硬化反応進行率は、ゲル分率で規定することができる。すなわち、一定面積の感光性樹脂層が形成されたサンプルAを準備し、このサンプルAにおける感光性樹脂層の重量aを測定する。次に、サンプルAをテトラヒドロフランで定法にしたがって加熱還流させて可溶成分を抽出除去し、不溶成分を分離した後乾燥させて得たサンプルBの重量bを測定する。次に、サンプルAに任意の露光量の紫外線を照射したサンプルCの重量cを測定し、サンプルAと同様にテトラヒドロフランで抽出した後の溶剤不溶成分Dの乾燥重量dを測定する。次に、下記の式(1)によってサンプルCに含まれる感光性樹脂組成物含有量eを算出する。
【0024】
e=d−c×b÷a 式(1)
さらに、下記の式(2)によってサンプルCの全重量に対する感光性樹脂組成物含有率、すなわち、ゲル分率f(%)を算出する。
【0025】
f=(d−c×b÷a)÷c×100 式(2)
サンプルCに対する紫外線の露光量を変えながら各々のゲル分率fを測定し、露光量を増大してもゲル分率fが増大しなくなったときのゲル分率fの値を最終感光性樹脂組成物含有率g、あるいは、最終ゲル分率gとし、gを与える最小露光量を光硬化反応完結露光量とする。また、露光量の異なる各サンプルのゲル分率fを算出し、下記の式(3)から各露光量に対する光硬化反応進行率hが算出される。
【0026】
h=f÷g×100 式(3)
第3の工程
次に、剥離フィルム13を剥離することにより感光性樹脂層14Rの露光部を剥離フィルム13とともに転写基材シート12から除去し、感光性樹脂層14Rの未露光部の少なくとも一部を感光性樹脂パターン15Rとして転写基材シート12上に残すような剥離現像を行う(図1(C))。感光性樹脂層14Rの露光が上述のような露光量のもとで行われているため、この剥離現像では感光性樹脂層14Rの露光部と未露光部の膜切れ性が良好であり、感光性樹脂パターン15Rはパターン形状が良好なものとなる。
【0027】
本発明では、この第3の工程における転写基材シート12の温度変動を5℃以内、好ましくは転写基材シート12の温度を20〜25℃の範囲に保つことが必要となる。このためには、例えば、冷風を適宜使用したり、22.5℃に温度調整された金属に転写基材シート12を接触させる等の操作を行うことが好ましい。
【0028】
尚、感光性樹脂層14Rの未露光部の全部が感光性樹脂パターン15Rとして転写基材シート12上に残るか、その厚み方向の一部が感光性樹脂パターン15Rとして残るかは、剥離フィルム13と感光性樹脂層14Rとの密着力と、感光性樹脂層14Rの凝集力との関係で決定されるものである。このため、感光性樹脂パターン15Rに必要とされる厚みに応じて、剥離フィルム13の材質、感光性樹脂層14Rの構成材料、感光性樹脂層14Rの層厚等を適宜設定する必要がある。
第4の工程
上述の第3の工程において転写基材シート12上に形成された感光性樹脂パターン15Rに、カラーフィルタ用の透明基板2を位置合わせした後に圧着する(図1(D))。
【0029】
本発明では、この第4の工程における転写基材シート12の温度変動を5℃以内、好ましくは転写基材シート12の温度を20〜25℃の範囲に保つことが必要となる。このためには、例えば、冷風を適宜使用したり、圧着を行うための金属ロールが常に22.5℃になるように公知の手法で温度調節を行う等の操作を行うことが好ましい。
【0030】
透明基板2と感光性樹脂パターン15Rとの位置合わせは、例えば、次のように行うことができる。すなわち、上述の第2の工程での露光において、4隅と周辺部に見当印形成用の遮光部を設けたフォトマスク21Rを使用し、感光性樹脂パターン15R形成と同時に転写基材シート12上に位置合わせ用の見当印を形成する。一方、カラーフィルタ用の透明基板2上にも、この位置合わせを行う際の温度条件下において転写基材シート12上の見当印と同一の寸法精度を有する見当印を予め設ける。そして、転写基材シート12にしわが入らないために必要な最小限の張力をかけながら、上記の見当印を用いて透明基板2と転写基材シート12の位置合わせを行うことができる。尚、透明基板2上に設ける位置合わせ用の見当印は、例えば、透明基板2に予めブラックマトリックスを形成する場合には、このブラックマトリックスの形成と同時に形成することができる。
【0031】
本発明では、少なくとも上述の第2の工程から第4の工程の一連の操作において、転写基材シート12の温度変動を5℃以内、好ましくは転写基材シート12の温度を20〜25℃の範囲に保つので、転写基材シート12の熱膨張や張力による伸びを極めて少ないものとすることができる。このため、第2の工程のおけるフォトマスク21Rを使用した露光で形成されたパターン潜像である感光性樹脂パターン15Rを極めて高い精度で透明基板2に密着させることができる。また、第4の工程における転写基材シート12の温度を、第2工程の露光時の転写基材シート12の温度の5℃以内にしても、その間の転写基材シート12の温度変動が5℃を超えると、転写基材シート12の熱膨張や張力による伸びが大きくなり、第4の工程における感光性樹脂パターン15Rと透明基板2との高精度の位置合わせが困難となる。
【0032】
尚、第4の工程における透明基板2と転写基材シート12上の感光性樹脂パターン15Rとの位置合わせ後の圧着が完了した後は、環境温度が変化しても透明基板2に対する感光性樹脂パターンの圧着位置は変化しない。このため、感光性樹脂パターン15Rと透明基板2との密着性を高めることを目的とした加熱工程を第4の工程と後述する第5の工程との間に設けてもよい。
第5の工程
次に、感光性樹脂パターン15Rを露光する(図1(D))。本発明では、この露光を透明基板2側から行うことを必須とする。これにより、感光性樹脂パターン15Rは、透明基板2側で硬化が優先的に進行して透明基板2に対する接着力が大幅に増大し、一方、転写基材シート12側では当初の接着力のままで感光性樹脂パターン15Rと転写基材シート12とが接着された状態である。したがって、転写基材シート12を剥離することによって、感光性樹脂パターン15Rは透明基板2上に転写され、赤色の着色パターン3Rが形成される(図1(E))。その後、透明基板2上の着色パターン3Rを露光あるいは加熱して硬化反応を完結させることにより、透明基板2上への赤色の着色パターンの形成が完了する。
【0033】
上記のような透明基板2側からの感光性樹脂パターン15Rの露光は、感光性樹脂パターン15Rの光硬化反応が転写基材シート12側まで進行しない範囲の露光量で行う行うことができ、例えば、感光性樹脂パターン15Rの光硬化反応が完全に進行するのに必要な最小露光量の2〜60%の範囲の露光量で行うことができる。この露光において、露光量が不足すると、透明基板2と感光性樹脂パターン15Rとの露光による接着力上昇が不十分となり、透明基板2への着色パターン形成が良好に行えない。また、露光量が上記の最小露光量に近すぎると、転写基材シート12と感光性樹脂パターン15Rとの接着力が大きくなりすぎて、透明基板2と感光性樹脂パターン15Rとの接着力に対して、その差が不十分となり、やはり、透明基板2への着色パターン形成が良好に行えない。透明基板2側から上記のような露光量で露光することにより、感光性樹脂パターン15Rは厚み方向で照射光到達量が透明基板2側から徐々に減少し、感光性樹脂パターン15Rの転写基材シート12側は未露光(未硬化)状態となる。ここで、感光性樹脂パターン15Rの光硬化反応進行率は、上述のゲル分率で規定することができる。
【0034】
尚、上記の転写基材シート12の剥離は、転写基材シート12を加熱しながら行ってもよい。
(2)緑色の着色パターン形成
第1の工程
上述の赤色の着色パターン形成と同様に、転写基材シート12と剥離フィルム13の間に緑色の着色剤を含有した感光性樹脂層14Gを設けて複合体11Gを形成する(図2(A))。
【0035】
尚、使用する転写基材シート12および剥離フィルム13は、上述の赤色の着色パターン形成と同様とすることができる。
第2の工程
次に、緑色の着色パターン用のフォトマスク21Gを介して、剥離フィルム13側から複合体11Gの感光性樹脂層14Gを露光する(図2(B))。これにより、感光性樹脂層14Gの露光部は、剥離フィルム13側から硬化が優先的に進行して剥離フィルム13に対する接着力が大幅に増大し、一方、転写基材シート12側では当初の接着力のままで感光性樹脂層14Gと転写基材シート12とが接着された状態となる。この露光も、感光性樹脂層14Gの光硬化反応が転写基材シート12側まで進行しない範囲の露光量で行うことができ、例えば、感光性樹脂層14Gの光硬化反応が完全に進行するのに必要な最小露光量の2〜60%の範囲の露光量で行うことができる。
【0036】
この第2の工程においても、上述の赤色の着色パターン形成と同様に、転写基材シート12の温度変動を5℃以内、好ましくは転写基材シート12の温度を20〜25℃の範囲に保つことが必要となる。
第3の工程
次に、剥離フィルム13を剥離することにより感光性樹脂層14Gの露光部を剥離フィルム13とともに転写基材シート12から除去し、感光性樹脂層14Gの未露光部の少なくとも一部を感光性樹脂パターン15Gとして転写基材シート12上に残す(図2(C))。
【0037】
この第3の工程においても、上述の赤色の着色パターン形成と同様に、転写基材シート12の温度変動を5℃以内、好ましくは転写基材シート12の温度を20〜25℃の範囲に保つことが必要となる。
【0038】
尚、感光性樹脂層14Gの未露光部の全部が感光性樹脂パターン15Gとして転写基材シート12上に残るか、その一部が感光性樹脂パターン15Gとして残るかは、剥離フィルム13と感光性樹脂層14Gとの密着力と、感光性樹脂層14Gの凝集力との関係で決定されるものである。このため、感光性樹脂パターン15Gに必要とされる厚みに応じて、剥離フィルム13の材質、感光性樹脂層14Gの構成材料、感光性樹脂層14Gの層厚等を適宜設定する必要がある。
第4の工程
上述の第3の工程において転写基材シート12上に形成された感光性樹脂パターン15Gに、既に赤色の着色パターン3Rが形成されているカラーフィルタ用の透明基板2を位置合わせして圧着する(図2(D))。この透明基板2と感光性樹脂パターン15Gとの位置合わせは、上述の赤色の着色パターン形成と同様に行うことができる。そして、この第4の工程においても転写基材シート12の温度変動を5℃以内、好ましくは転写基材シート12の温度を20〜25℃の範囲に保つことが必要となる。
【0039】
尚、感光性樹脂パターン15Gと透明基板2との密着性を高めることを目的とした加熱工程を第4の工程と後述する第5の工程との間に設けてもよい。
第5の工程
次に、透明基板2側から感光性樹脂パターン15Gを露光する(図2(D))。これにより、感光性樹脂パターン15Gは、透明基板2側で硬化が優先的に進行して透明基板2に対する接着力が大幅に増大し、一方、転写基材シート12側では当初の接着力のままで感光性樹脂パターン15Gと転写基材シート12とが接着された状態である。したがって、転写基材シート12を剥離することによって、感光性樹脂パターン15Gは透明基板2上に転写され、緑色の着色パターン3Gが形成される(図2(E))。その後、透明基板2上の着色パターン3Gを露光あるいは加熱して硬化反応を完結させることにより、透明基板2上への緑色の着色パターンの形成が完了する。
【0040】
上記のような透明基板2側からの感光性樹脂パターン15Gの露光は、感光性樹脂パターン15Gの光硬化反応が転写基材シート12側まで進行しない範囲の露光量で行うことができ、例えば、感光性樹脂パターン15Gの光硬化反応が完全に進行するのに必要な最小露光量の2〜60%の範囲の露光量で行うことができる。
【0041】
上述の緑色の着色パターン形成においても、少なくとも第2の工程から第4の工程の一連の操作で転写基材シート12の温度変動が5℃以内、好ましくは転写基材シート12の温度を20〜25℃の範囲に保たれるので、転写基材シート12の熱膨張や張力による伸びを極めて少ないものとすることができる。このため、第2の工程のおけるフォトマスク21Gを使用した露光で形成されたパターン潜像である感光性樹脂パターン15Gを極めて高い精度で透明基板2に密着させることができ、その結果、色ずれや色抜け等の転写不良を生じることなく緑色の着色パターン3Gを形成することができる。
(3)青色の着色パターン形成
第1の工程
上述の赤色の着色パターン形成と同様に、転写基材シート12と剥離フィルム13の間に青色の着色剤を含有した感光性樹脂層14Bを設けて複合体11Bを形成する(図3(A))。
【0042】
尚、使用する転写基材シート12および剥離フィルム13は、上述の赤色の着色パターン形成と同様とすることができる。
第2の工程
次に、青色の着色パターン用のフォトマスク21Bを介して、剥離フィルム13側から複合体11Bの感光性樹脂層14Bを露光する(図3(B))。これにより、感光性樹脂層14Bの露光部は、剥離フィルム13側から硬化が優先的に進行して剥離フィルム13に対する接着力が大幅に増大し、一方、転写基材シート12側では当初の接着力のままで感光性樹脂層14Bと転写基材シート12とが接着された状態となる。この露光も、感光性樹脂層14Bの光硬化反応が転写基材シート12側まで進行しない範囲の露光量で行うことができ、例えば、感光性樹脂層14Bの光硬化反応が完全に進行するのに必要な最小露光量の2〜60%の範囲の露光量で行うことができる。
【0043】
この第2の工程においても、上述の赤色の着色パターン形成と同様に、転写基材シート12の温度変動を5℃以内、好ましくは転写基材シート12の温度を20〜25℃の範囲に保つことが必要となる。
第3の工程
次に、剥離フィルム13を剥離することにより感光性樹脂層14Bの露光部を剥離フィルム13とともに転写基材シート12から除去し、感光性樹脂層14Bの未露光部の少なくとも一部を感光性樹脂パターン15Bとして転写基材シート12上に残す(図3(C))。
【0044】
この第3の工程においても、上述の赤色の着色パターン形成と同様に、転写基材シート12の温度変動を5℃以内、好ましくは転写基材シート12の温度を20〜25℃の範囲に保つことが必要となる。
【0045】
尚、感光性樹脂層14Bの未露光部の全部が感光性樹脂パターン15Bとして転写基材シート12上に残るか、その一部が感光性樹脂パターン15Bとして残るかは、剥離フィルム13と感光性樹脂層14Bとの密着力と、感光性樹脂層14Bの凝集力との関係で決定されるものである。このため、感光性樹脂パターン15Bに必要とされる厚みに応じて、剥離フィルム13の材質、感光性樹脂層14Bの構成材料、感光性樹脂層14Bの層厚等を適宜設定する必要がある。
第4の工程
上述の第3の工程において転写基材シート12上に形成された感光性樹脂パターン15Bに、既に赤色の着色パターン3Rと緑色の着色パターン3Gが形成されているカラーフィルタ用の透明基板2を位置合わせして圧着する(図3(D))。この透明基板2と感光性樹脂パターン15Bとの位置合わせは、上述の赤色の着色パターン形成と同様に行うことができる。そして、この第4の工程においても転写基材シート12の温度変動を5℃以内、好ましくは転写基材シート12の温度を20〜25℃の範囲に保つことが必要となる。
【0046】
尚、感光性樹脂パターン15Bと透明基板2との密着性を高めることを目的とした加熱工程を第4の工程と後述する第5の工程との間に設けてもよい。
第5の工程
次に、透明基板2側から感光性樹脂パターン15Bを露光する(図3(D))。これにより、感光性樹脂パターン15Bは、透明基板2側で硬化が優先的に進行して透明基板2に対する接着力が大幅に増大し、一方、転写基材シート12側では当初の接着力のままで感光性樹脂パターン15Bと転写基材シート12とが接着された状態である。したがって、転写基材シート12を剥離することによって、感光性樹脂パターン15Bは透明基板2上に転写され、青色の着色パターン3Bが形成される(図3(E))。その後、透明基板2上の着色パターン3Bを露光あるいは加熱して硬化反応を完結させることにより、透明基板2上への青色の着色パターンの形成が完了する。
【0047】
上記のような透明基板2側からの感光性樹脂パターン15Bの露光は、感光性樹脂パターン15Bの光硬化反応が転写基材シート12側まで進行しない範囲の露光量で行うことができ、例えば、感光性樹脂パターン15Bの光硬化反応が完全に進行するのに必要な最小露光量の2〜60%の範囲の露光量で行うことができる。
【0048】
上述の青色の着色パターン形成においても、少なくとも第2の工程から第4の工程の一連の操作で転写基材シート12の温度変動が5℃以内、好ましくは20〜25℃の範囲に保たれるので、転写基材シート12の熱膨張や張力による伸びを極めて少ないものとすることができる。このため、第2の工程のおけるフォトマスク21Bを使用した露光で形成されたパターン潜像である感光性樹脂パターン15Bを極めて高い精度で透明基板2に密着させることができ、その結果、色ずれや色抜け等の転写不良を生じることなく青色の着色パターン3Bを形成することができる。
【0049】
上述の(1)から(3)のように、第1の工程から第5の工程を赤(R)、緑(G)、青(B)の3色分繰り返すことにより、赤色の着色パターン3R、緑色の着色パターン3G、青色の着色パターン3Bを透明基板2上に備えたカラーフィルタ1を製造することができる。
【0050】
本発明では、上述のように、各着色パターンの形成において少なくとも第2の工程から第4の工程の一連の操作での転写基材シート12の温度変動を5℃以内、好ましくは転写基材シート12の温度を20〜25℃の範囲に保つので、転写基材シート12の熱膨張や張力による伸びを極めて少ないものとすることができ、色ずれ、色抜け等を生じることなく着色パターンを高い精度で形成することができる。
【0051】
また、本発明では、第1の工程から第5の工程のいずれも、スピンコート等の塗布工程での材料ロスがなく、かつ、湿式現像工程や洗浄工程は不要であり、材料の使用効率が高く、工程が簡便なものとなる。
【0052】
尚、本発明の第2の工程および第5の工程における露光は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、レーザー等の公知の露光手段を使用して行うことができる。
【0053】
また、上述のカラーフィルタの製造方法では、各色の着色パターンを透明基板2上に形成するごとに露光あるいは加熱して硬化反応を完結させているが、赤(R)、緑(G)、青(B)のすべての着色パターンを形成した後に、露光あるいは加熱により硬化反応を完結させてもよい。
【0054】
また、上述のカラーフィルタの製造方法では、各色の着色パターン用のフォトマスク21R,21G,21Bを使用しているが、共通の着色パターン用のフォトマスクを使用してもよい。
【0055】
さらに、カラーフィルタ用の透明基板2には、予めブラックマトリックスを形成し、このブラックマトリックスの非形成部に各色の着色パターンを形成できることは勿論である。
【0056】
次に、本発明において使用する材料について詳細に説明する。
転写基材シート
まず、本発明で使用する転写基材シート12について説明する。転写基材シート12は、柔軟性を有し、かつ、張力もしくは圧力で著しい変形を生じない材料を使用する必要がある。
【0057】
転写基材シート12に用いる材料としては、まず、樹脂フィルムを挙げることができる。樹脂フィルムの具体例としては、ポリエチレンフィルム、エチレンー 酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン- ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリメタクリル酸フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルブチラールフィルム、ナイロンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリサルフォンフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルフィルム、ポリビニルフルオライドフィルム、テトラフルオロエチレン−エチレンフィルム、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンフィルム、ポリクロロトリフルオロエチレンフィルム、ポリビニリデンフルオライドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエステルフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、これらの樹脂材料にフィラーを配合したフィルム、これらの樹脂材料を用いたフィルムを1軸延伸もしくは2軸延伸したもの、これらの樹脂材料を用いて流れ方向より幅方向の延伸倍率を高めた2軸延伸フィルム、これらの樹脂材料を用いて幅方向より流れ方向の延伸倍率を高めた2軸延伸フィルム、これらのフィルムのうちの同種または異種のフィルムを貼り合わせたもの、および、これらのフィルムに用いられる原料樹脂から選ばれる同種または異種の樹脂を共押し出しすることによって作成される複合フィルム等を挙げることができる。
【0058】
また、転写基材シート12として金属箔や金属鋼帯を用いることもできる。このような金属箔や金属鋼帯の具体例として、銅箔、銅鋼帯、アルミニウム箔、アルミニウム鋼帯、SUS430、SUS301、SUS304、SUS420J2およびSUS631等のステンレス鋼帯、ベリリウム鋼帯等を挙げることができる。このなかで、熱膨張率がカラーフィルタ用のガラス基板の熱膨張率に近いという点で、好ましくはステンレス鋼帯、特に好ましくはSUS430のステンレス鋼帯を用いることができる。
【0059】
さらに、転写基材シート12に用いる材料として、上述の金属箔あるいは金属鋼帯を上述の樹脂フィルムに貼り合わせたものを使用することもできる。金属箔や金属鋼帯を樹脂フィルムと比較した場合、単位厚み当たりの張力に対する抵抗力は金属箔や金属鋼帯の方が勝るものが多い一方、単位厚み当たりの価格は樹脂フィルムの方が安価であるものが多い。さらに、樹脂フィルムは金属箔や金属鋼帯に比べ表面平滑性に優れたものが多く、カラーフィルタ画素パターンである着色パターン3R,3G,3Bを転写形成するための転写基材シート12として好ましく用いることができる。従って、金属鋼帯や金属箔に樹脂フィルムを適宜貼り合わせて転写基材シート12とすることにより、単位厚み当たりの張力に対する抵抗力と表面平滑性と材料価格の低さにバランスのとれた転写基材シート12を得ることが可能となる。
プライマー層
パターン露光前の感光性樹脂層14(14R,14G,14B)と転写基材シート12との接着力が不足している場合、もしくはパターン露光後の感光性樹脂層14と転写基材シート12間の接着力が高すぎる場合、両者間の接着力を適度な値に調節するために、上記転写基材シート12に予めプライマー層を設けてもよい。また、このようなプライマー層を設けることにより、転写基材シート12の表面が感光性樹脂層14を形成するために必要な表面平滑性を備えていない場合であっても、プライマー層材料を極めて平滑になるよう精密にコートすることで、必要とされる表面平滑性を転写基材シート12に与えることも可能である。
【0060】
ここで、第3の工程において転写基材シート12から感光性樹脂層14の露光部を剥離フィルム13とともに除去する際、感光性樹脂層14に接するプライマー層を共に剥離除去するためには、露光部と未露光部の境界に沿ってプライマー層を切断する必要がある。したがって、プライマー層の材料には切断が容易に行えるような層内凝集力の低い材料を選択する必要がある。しかし、このようなプライマー層を形成した場合は、剥離現像によって転写基材シート12上に形成された感光性樹脂パターン15(15R,15G,15B)を第5の工程でカラーフィルタ用の透明基板2に転写する際、プライマー層内部の凝集力が低いため、転写基材シート12を剥離除去することにより透明基板2上に転写形成された着色パターンの表面にプライマー層が付着してしまうという不都合が生じる。従って、このような不都合を防止するためには、転写基材シート12から感光性樹脂層14の露光部を剥離フィルム13に硬化接着させて除去する際、プライマー層を全て転写基材シート12に保持しておくことが望ましい。
【0061】
このような性能を有するプライマー層を設ける場合、転写基材シート12とプライマー層間の接着力は、露光前後の感光性樹脂層14とプライマー層との接着力、露光前後の感光性樹脂層14と剥離フィルム13との接着力、露光前後の感光性樹脂層14の凝集力、露光前後のプライマー層の凝集力、のいずれに対しても高いことが必要とされる。
【0062】
このようなプライマー層に用いることのできる材料としては、エチエレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレンビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレンメタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロール、カルボキシメチルエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、メラミン樹脂等を挙げることができる。
【0063】
また、後述するように感光性樹脂層14(14R,14G,14B)のバインダーにアクリレートモノマー類の様な光硬化性低分子量体が配合されている場合、プライマー層にはアクリレートモノマー等が拡散しないような材料を用いることが好ましい。これはアクリレートモノマー等がプライマー層に徐々に拡散した場合、プライマー材料の軟化温度や粘着性や凝集力、あるいは、感光性樹脂層14(14R,14G,14B)との接着力、あるいは、転写基材シート12との接着力がこれに伴って徐々に変化してしまう可能性が高まるためである。従って、アクリレートモノマー類のような光硬化性低分子量体が拡散し難い材料を選定することが好ましい。このような材料の一例として、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロール、カルボキシメチルエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等の水溶性樹脂を挙げることができる。また、これらの水溶性樹脂を複数種類混ぜ合わせて使用することも可能である。
【0064】
また、イソシアネート系架橋剤やキレート系架橋剤等の架橋剤によって上記の樹脂を架橋したプライマー層としてもよい。架橋剤は、架橋させる樹脂の反応性官能基に応じて適宜選択することができ、公知のものから任意に選ぶことができる。架橋剤の一例として、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート水添体、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、前記のジイソシアネートをトリメチロールプロパンに付加させたアダクト体、前記のジイソシアネートのビウレット体、前記のジイソシアネートのトリマー体、エポキシ基やアジリジン基やオキザゾリン基を有する架橋剤、アルミニウム・亜鉛・チタン・ジルコニウム等の金属原子を有するキレート化剤等を挙げることができる。
【0065】
上述のようにプライマー層を架橋させる場合、配合される架橋剤に応じて公知の触媒を添加することができる。例えば、イソシアネートを架橋剤に用いた場合には、ジ−n−ブチル錫ジラウレート、ジ−n−オクチル錫ジラウレート、テトラメチルブタンジアミン、N,N,N´,N´−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、1,4−ジアザ−ビシクロ〔2,2,2〕オクタン等を用いることができる。
【0066】
プライマー層を転写基材シート12に形成するには、転写基材シート12の一方の面に、上記のような樹脂に必要に応じて架橋剤や架橋反応促進触媒等の必要な添加剤を加えたものを、適当な有機溶剤または水に溶解したり、有機溶剤と水の混合溶剤に溶解したり、あるいは有機溶剤や水に分散させた分散体を、例えばグラビアダイレクトコーティング法、グラビアリバースコーティング法、リバースロールコーティング法、スライドダイコーティング法、スリットダイコーティング法等の手段により塗布・乾燥することができる。また、スライドダイコーティング法を用いる場合、プライマー層と感光性樹脂層14を同時に塗布及び乾燥させることも可能である。
【0067】
形成するプライマー層の厚みは0.05〜5μm、好ましくは0.1〜2μmの範囲で設定することができる。プライマー層の厚みが0.05μm未満である場合は、プライマー層として必要とされる塗膜強度が得られない。また、5μmを超えると、塗膜の表面の均一性を高めることが困難になるという問題点を生じる。
【0068】
プライマー層を転写基材シート12上に設けた場合であっても、第1の工程において感光性樹脂層14をプライマー層が設けられた転写基材シート12に塗布形成した後に剥離フィルム13を加熱または加熱圧着することも可能であり、あるいは剥離フィルム13に感光性樹脂層14を塗布塗布した後に、プライマー層を設けた転写基材シート12を圧着または加熱圧着することもできる。
剥離シート
次に、本発明で使用する剥離シート13について説明する。剥離シート13は、柔軟性を有し、かつ、張力もしくは圧力で著しい変形を生じず、さらに、感光性樹脂層14(14R,14G,14B)に所望の露光量での露光行うための光が透過する材料を使用する必要がある。
【0069】
剥離フィルム13の具体例としては、ポリエチレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリメタクリル酸フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルブチラールフィルム、ナイロンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリサルフォンフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルフィルム、ポリビニルフルオライドフィルム、テトラフルオロエチレン−エチレンフィルム、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンフィルム、ポリクロロトリフルオロエチレンフィルム、ポリビニリデンフルオライドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエステルフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、これらの樹脂材料にフィラーを配合したフィルム、これらの樹脂材料を用いたフィルムを1軸延伸もしくは2軸延伸したもの、これらの樹脂材料を用いて流れ方向より幅方向の延伸倍率を高めた2軸延伸フィルム、これらの樹脂材料を用いて幅方向より流れ方向の延伸倍率を高めた2軸延伸フィルム、これらのフィルムのうちの同種または異種のフィルムを貼り合わせたもの、および、これらのフィルムに用いられる原料樹脂から選ばれる同種または異種の樹脂を共押し出しすることによって作成される複合フィルム等を挙げることができる。これらのフィルムのうちで、特に2軸延伸ポリエステルフィルムを使用することが好ましい。
感光性樹脂組成物
次に、本発明において感光性樹脂層14(14R,14G,14B)を形成するための感光性樹脂組成物を説明する。本発明で使用する感光性樹脂組成物は、硬化性バインダー、非硬化性バインダー、重合開始剤、着色剤等を配合したものを使用できる。
【0070】
(i)硬化性バインダー
硬化性バインダーの具体例としては、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピルアクリレ−ト、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェ−ト、テトラヒドロフルフリ−ルアクリレ−ト、ジシクロペンテニルアクリレ−ト、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ−ト、1,3−ブタンジオ−ルジアクリレ−ト、1,4−ブタンジオ−ルジアクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジアクリレ−ト、ジエチレングリコ−ルジアクリレ−ト、ネオペンチルグリコ−ルジアクリレ−ト、ポリエチレングリコ−ルジアクリレ−ト、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコ−ルジアクリレ−ト、トリプロピレングリコ−ルジアクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリアクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルトリアクリレ−ト、ジペンタエリスリト−ルヘキサアクリレ−ト、フェノール−エチレンオキサイド変性アクリレート、フェノール−プロピレンオキサイド変性アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、ビスフェノールA−エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のアクリレートモノマー、あるいは、これらの化学構造のアクリレート基をメタクリレート基に置換したしたもの、ポリウレタン構造を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたポリエステルアクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたエポキシアクリレートオリゴマー、ポリウレタン構造を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたウレタンメタクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたポリエステルメタクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたエポキシメタクリレートオリゴマー、アクリレート基を有するポリウレタンアクリレート、アクリレート基を有するポリエステルアクリレート、アクリレート基を有するエポキシアクリレート樹脂、メタクリレート基を有するポリウレタンメタクリレート、メタクリレート基を有するポリエステルメタクリレート、メタクリレート基を有するエポキシメタクリレート樹脂等を挙げることができる。これらは使用することのできる硬化性バインダーの一例であり、これらに限定されるものではない。
【0071】
(ii) 非硬化性バインダー
非硬化性バインダーの具体例としては、エチエレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレンビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレンメタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等を挙げることができる。
【0072】
好ましくは、合わせて使用する硬化性バインダー材料との相溶性や熱に対する黄変性等の観点から、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂とポリメタクリル酸エチル樹脂の共重合体、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルローストリアセテート等を使用することができる。
【0073】
また、特に好ましくはポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂とポリメタクリル酸エチル樹脂の共重合体、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、および、これらの変性物を用いることができる。
【0074】
(iii)光重合開始剤
光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、ミヒラーケトン、N,N´テトラメチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4´−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4´−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾ−ル2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾ−ル2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾ−ル2量体、2,4,5−トリアリ−ルイミダゾ−ル2量体、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾ−ル、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾ−ル、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾ−ル等のハロメチルチアゾ−ル系化合物、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3ブタジエニル)−S−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビストリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン等のハロメチル−S−トリアジン系化合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュアー369(チバガイギー社製)、イルガキュアー651(チバガイギー社製)、イルガキュアー907(チバガイギー社製)等が挙げられる。
【0075】
また、光硬化反応速度を高めるために、これらの光重合開始剤を複数種混合して使用することも可能である。
【0076】
光重合開始剤の添加量は、感光性樹脂組成物の総固形分に対して0.1〜10.0重量%の範囲が望ましい。光重合開始剤の添加量が0.1重量%に満たない場合は、光重合開始剤の種類によらず、光重合開始剤としての効果を発現させることが非常に困難となる。また、10.0重量%を超える場合は、光重合の反応速度が非常に速くなる一方で、光重合開始剤が感光性樹脂層の黄変を引き起こす度合いが大きくなり、カラーフィルターとしての耐光性が低下してしまうという問題が生じる。
【0077】
(iv) 着色顔料
感光性樹脂組成物に含有させる着色剤としては、公知の顔料あるいは染料を用いることができる。顔料を用いる場合は粒子の平均粒径が0.4μm以下であることが望ましい。平均粒径が0.4μmを超えると、形成した着色パターンの可視光透過率が極めて低くなり、カラーフィルタとしての実用性に支障を来すようになる。
【0078】
着色剤として使用できる好ましい染料および顔料の例としては、ビクトリア・ピュアブルーBO(C.I.42595)、オーラミン(C.I.41000)、ファット・ブラックHB(C.I.26150)、モノライト・エローGT(C.I.ピグメント・エロー12)、パーマネント・エローGR(C.I.ピグメント・エロー17)、パーマネント・エローHR(C.I.ピグメント・エロー83)、パーマネント・カーミンFBB(C.I.ピグメント・レッド146)、ホスターパームレッドESB(C.I.ピグメントバイオレット19)、パーマネント・ルビーFBH(C.I.ピグメント・レッド11)、ファステル・ピンクBスブラ(C.I.ピグメント・レッド81)、モナストラル・ファスト・ブルー(C.I.ピグメント・ブルー15)、モノライト・ファースト・ブラックB(C.I.ピグメント・ブラック1)、イルカジンレッドBPT、銅フタロシアニン(緑)、フタロシアニンブルー(青)、および、カーボン等を挙げることができる。
【0079】
さらに、カラーフィルタを形成するために好ましい顔料としては、C.I.ピグメント・レッド97、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド149、C.I.ピグメント・レッド168、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド180、C.I.ピグメント・レッド192、C.I.ピグメント・レッド215、C.I.ピグメント・グリーン7、C.I.ピグメント・グリーン36、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:4、C.I.ピグメント・ブルー15:6、C.I.ピグメント・ブルー22、C.I.ピグメント・ブルー60、C.I.ピグメント・ブルー64、C.I.ピグメント・イエロー83、C.I.ピグメント・バイオレト23等を挙げることができる。
【0080】
また特開平5−119213号公報に記載の反応性染料をバインダーポリマーに反応させた系や、特開平6−107663号公報に記載の含フッ素フタロシアニン化合物は、消偏性等の特性に優れた系として用いることができる。
【0081】
尚、感光性樹脂組成物に着色剤を含有させる場合、着色剤の分散性を向上させるために公知の分散剤を適宜配合することができる。
【0082】
感光性樹脂組成物に対する着色剤の含有割合は、5〜30重量%の範囲とすることが好ましい。また、この感光性樹脂組成物には、添加剤として増感剤、重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、安定剤等が必要に応じて用いられる。
カラーフィルタ用の透明基板
上述の本発明のカラーフィルタの製造方法において使用できるカラーフィルタ用の透明基板2には特に制限はなく、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス基板、ホウケイ酸ガラス基板、石英ガラス基板、シリコン基板等を使用することができる。
【0083】
また、感光性樹脂パターン(着色パターン)の接着性を向上させるために、カラーフィルタ用の透明基板表面に表面処理を行うことができる。このような目的のための表面処理には、従来公知の種々の手法を用いることが可能である。その一例として、シランカップリング剤を挙げることができる。使用するシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジクロロシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0084】
【実施例】
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
【0085】
下記の組成の赤色着色パターン用の感光性樹脂組成物を調製した。
次に、転写基材シートとして厚み100μmの長尺状の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを準備し、この転写基材シート上に、上述の赤色の感光性樹脂組成物をグラビアリバースコーティング法により塗布し乾燥して感光性樹脂層(厚み2.0μm)を形成し、この感光性樹脂層に厚み12μmの剥離フィルム(2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)を重ねて、直径100mmのロール2本で圧着して赤色の複合体を作製した。(以上、第1の工程)
次に、赤色の複合体の剥離フィルム側から、270μm×80μmのドット形状の開口部を所定のパターンで備えたフォトマスク(縦300mm×横400mm)を介して赤色の感光性樹脂層を露光した。フォトマスクとしては、下記のガラス基板が備える位置合わせ見当印と同一の寸法精度で見当印形成用の遮光部が4隅および周辺部に設けられたものを使用した。また、この露光は超高圧水銀灯を使用し、露光量は赤色の感光性樹脂層を完全に硬化するのに必要な最小露光量20000mJの5%とした。さらに、露光において超高圧水銀灯から放出される赤外線によってフォトマスクと転写基材シートの温度が室温以上に上昇しないように、照射光の赤外線成分を遮蔽し、かつ、冷風を適宜使用しながら露光を行った。(以上、第2の工程)
次いで、上記複合体を水平に保持しながら剥離フィルムを剥離して、感光性樹脂層の露光部を剥離フィルムとともに除去し、感光性樹脂層の未露光部を転写基材シート上に残す剥離現像を行い、転写基材シート上に感光性樹脂パターンおよび位置合わせ見当印を形成した。(以上、第3の工程)
次に、クロム蒸着とパターンエッチングにより形成したマトリックス状のブラックマトリックス(開口部250μm×60μm)および位置合わせ見当印を備えるカラーフィルタ用のガラス基板(ホウケイ酸ガラス製、厚み1mm、縦300mm×横400mm)を準備した。ガラス基板に設けた見当印は、上記のフォトマスクの見当印用の遮光部と同様のものであり、第2の工程における露光時の温度条件でフォトマスクと同一の寸法精度を有するものである。そして、このガラス基板の位置合わせ見当印と上記の転写基材シートの位置合わせ見当印とを用いて位置合わせを行い、転写基材シートにしわが入らないために必要な必要最小限の張力をかけながら転写基材シート上の感光性樹脂パターンとガラス基板とを重ね、直径100mmのロール2本で圧着した。この際、転写基材シートとガラス基板の温度を、上述の第2の工程での露光時の転写基材シートの温度と同一となるように冷風を用いて温度調節を行った。(以上、第4の工程)
次いで、ガラス基板側から超高圧水銀灯を用いた紫外線を照射する露光を行った。この露光における露光量は、赤色の感光性樹脂パターンを完全に硬化するのに必要な最小露光量20000mJの5%とした。
【0086】
その後、転写基材シートを剥離してガラス基板上に赤色の感光性樹脂パターンを転写し、この感光性樹脂パターン側から超高圧水銀灯を用いた紫外線を照射する露光を行って光硬化反応を完結させ、赤色の着色パターンを備えたカラーフィルタ(試料1)とした。この露光での露光量は、赤色着色パターンのテトラヒドロフランに対する耐溶剤性がもはや変化しなくなるのに必要な露光量とした。(以上、第5の工程)
上記の試料1の作製では、全工程の作業環境温度T1を23℃に調節し、また、第2の工程における転写基材シートの温度T2、第3の工程における転写基材シートの温度T3、および、第4の工程における転写基材シートの温度T4が23℃となるように、圧着ロールの温度や冷風または温風で温度調節を行った。この場合、第2の工程から第4の工程での転写基材シートの温度T2、T3、T4の最大温度差(Td)は0℃であった。尚、転写基材シートの温度測定は、赤外線放射温度計(堀場製作所(株)製 IT−340S)を使用して行った。
【0087】
上記のカラーフィルタ(試料1)について、4隅および周辺部での、ガラス基板のクロム蒸着による見当印と、赤色着色パターンとともに転写形成された見当印との位置のずれ幅を顕微鏡にて測定し、最も大きいずれ幅の値をZとして、下記の表1に示した。
【0088】
一方、全工程の作業環境温度T1、転写基材シートの第2の工程から第4の工程での温度T2、T3、T4、および、最大温度差Tdを下記の表1のように変更した他は、上記の試料1と同様にしてカラーフィルタ(試料2〜6、比較試料1〜5)を作製し、見当印の最大ずれ幅Zを測定して下記の表1に示した。
【0089】
【表1】
表1に示されるように、第2の工程から第4の工程までの転写基材シートの最大温度差Tdが5℃以内の試料1〜6は、いずれも見当印の最大ずれ幅Zが10μm以下と小さく、高精度の着色パターンを備えたカラーフィルタであることが確認された。
【0090】
これに対して、第2の工程から第4の工程までの転写基材シートの最大温度差Tdが5℃を超える比較試料1〜5は、いずれも見当印の最大ずれ幅Zが大きく、カラーフィルタとして実用に供し得ないものであった。
【0091】
尚、赤色着色剤(イルカジンレッドBPT)の代わりに緑色着色剤(銅フタロシアニン)を添加して調製した緑色着色パターン用の感光性樹脂組成物を使用して、上述の第1の工程から第5の工程による赤色の着色パターン形成と同様に、緑色の着色パターンを同一のガラス基板上に形成し、この着色パターンについて、上述のように見当印の最大ずれ幅Zを測定したところ、同様の結果が得られた。
【0092】
また、赤色着色剤(イルカジンレッドBPT)の代わりに青色着色剤(フタロシアニンブルー)を添加して調製した青色着色パターン用の感光性樹脂組成物を使用して、上述の第1の工程から第5の工程による赤色の着色パターン形成と同様に、青の着色パターンを同一のガラス基板上に形成し、この着色パターンについて、上述のように見当印の最大ずれ幅Zを測定したところ、同様の結果が得られた。
【0093】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば第1の工程で、転写基材シートと剥離フィルムの間に着色剤を含有した感光性樹脂層を形成し、第2の工程で、所定のフォトマスクを介して剥離フィルム側から感光性樹脂層を露光し、第3の工程で、剥離フィルムを剥離して感光性樹脂層の露光部を剥離フィルムとともに転写基材シートから除去し感光性樹脂層の未露光部を感光性樹脂パターンとして転写基材シート上に残し、第4の工程で、カラーフィルタ用の透明基板を感光性樹脂パターン上に位置合わせして圧着し、第5の工程で、透明基板側から感光性樹脂パターンを露光し、転写基材シートを剥離して感光性樹脂パターンを透明基板上に転写して着色パターンを形成し、このような第1の工程から第5の工程のうち、少なくとも第2の工程から第4の工程における一連の操作を通じて、転写基材シートの温度変動(最高温度と最低温度の差)が5℃以内とされるので、転写基材シートの熱膨張や張力による伸びが極めて少ないものとなり、透明基板上への感光性樹脂パターンの位置合わせを高い精度で行うことができ、したがって、透明基板上へ高い精度で着色パターンを形成することができ、色ずれや色抜け等のない高精細なカラーフィルタの製造が可能である。また、上記の第1の工程から第5の工程のいずれも、カラーフィルタ用の透明基板へのスピンコート等による塗布工程がないので材料ロスが極めて少なく、かつ、湿式現像工程や洗浄工程は不要で廃液処理の必要がなく、第1の工程から第5の工程を必要な色数分繰り返して、所望の色数の着色パターンを透明基板上に形成することによってカラーフィルタを製造するので、材料の使用効率が高く、工程が簡便なものとなり、したがって、製造コストの低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるカラーフィルタの製造方法を説明するための工程図である。
【図2】本発明によるカラーフィルタの製造方法を説明するための工程図である。
【図3】本発明によるカラーフィルタの製造方法を説明するための工程図である。
【符号の説明】
1…カラーフィルタ
2…透明基板
3R,3G,3B…着色パターン
11R,11G,11B…複合体
12…転写基材シート
13…剥離フィルム
14(14R,14G,14B)…感光性樹脂層
15(15R,15G,15B)…感光性樹脂パターン
21R,21G,21B…フォトマスク
Claims (5)
- 転写基材シートと剥離フィルムの間に着色剤を含有した感光性樹脂層を形成する第1の工程と、
所定のフォトマスクを介して前記剥離フィルム側から前記感光性樹脂層を露光する第2の工程と、
前記剥離フィルムを剥離することにより前記感光性樹脂層の露光部を転写基材シート上から除去し、前記転写基材シート上に前記感光性樹脂層の未露光部を残して感光性樹脂パターンを形成する第3の工程と、
前記転写基材シート上に形成された前記感光性樹脂パターンに、カラーフィルタ用の透明基板を位置合わせして圧着する第4の工程と、
前記透明基板側から前記感光性樹脂パターンを露光し、その後、前記転写基材シートを剥離することにより、前記透明基板上に前記感光性樹脂パターンを転写して着色パターンを形成し、次いで、該着色パターンを硬化させる第5の工程と、
を少なくとも第2の工程から第4の工程における前記転写基材シートの温度変動を5℃以内に保ちながら必要な色数分繰り返すことにより、所望の色数の着色パターンを前記透明基板上に形成することを特徴としたカラーフィルタの製造方法。 - 少なくとも第2の工程から第4の工程における前記転写基材シートの温度を20〜25℃の範囲内に維持することを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
- 第2の工程では、露光の光源から放出される赤外線成分を遮断すること、冷風を使用すること、および、22.5℃に温度調整された金属に転写基材シートを接触させことの少なくとも1種の温度制御の操作を行い、第3の工程では、冷風を使用すること、および、22.5℃に温度調整された金属に転写基材シートを接触させることの少なくとも1種の操作を行い、第4の工程では、冷風を使用すること、および、22.5℃に温度調整された金属ロールを用いて圧着することの少なくとも1種の温度制御の操作を行うことを特徴とする請求項2に記載のカラーフィルタの製造方法。
- 第4の工程と第5の工程との間に前記感光性樹脂パターンと前記透明基板との密着性を高めるための加熱工程を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法。
- 第1の工程で形成する感光性樹脂層の厚みは、必要な色数分繰り返すごとに前回の操作での感光性樹脂層の厚み以上とし、かつ、厚みの差は10%以下とすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法。
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