JP3920956B2 - カラーフィルタの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明はカラーフィルタの製造方法に係り、特に液晶ディスプレイ等に用いられるカラーフィルタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイ(LCD)においては、近年のカラー化の要請に対応するために、アクティブマトリックス方式および単純マトリックス方式のいずれの方式においてもカラーフィルタが用いられている。例えば、薄膜トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリックス方式の液晶ディスプレイでは、カラーフィルタは赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の着色パターンを備え、R,G,Bのそれぞれの画素に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッタとして作動し、R,G,Bのそれぞれの画素を光が透過してカラー表示が行われる。そして、色混合は2色以上の画素に対応する液晶シャッタを開いて混色し別の色に見せる加色混合の原理により網膜上で視覚的に行われる。
【0003】
上記のカラーフィルタの製造方法の1種として、従来から着色感材法が用いられている。この着色感材法では、透明な感光性樹脂に着色剤として染料、無機顔料、有機顔料等を分散した感光性組成物をスピンコート法等により透明基板上に塗布して感光性樹脂層を形成し、この感光性樹脂層を所定のフォトマスクを介して露光し、未露光部分の感光性樹脂層を溶解する現像液を使用して湿式現像して着色パターンを形成する操作をR,G,Bの3回行って各色の着色パターンを形成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の着色感材法では、透明基板への感光性樹脂組成物のスピンコート法等による塗布工程における材料ロスが避けられず、また、各色の着色パターン形成ごとに湿式現像工程と洗浄工程が必要であり、材料使用効率の向上や工程の簡略化が困難で製造コスト低減に支障を来していた。
【0005】
このような着色感材法における問題を解消するために、フィルム上に予め形成した所定色の感光性樹脂層を所定のフォトマスクを介して露光・現像し、その後、透明基板に転写することにより、塗布工程をなくして材料の使用効率を高めたカラーフィルタの製造方法が開発されている(特開昭61−99102号)。しかしながら、このカラーフィルタの製造方法では、確かに材料の使用効率は向上するものの、湿式の現像工程および洗浄工程は、従来の着色感材法と同様に必要であり、製造コストの低減は不十分なものであった。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、高精細なカラーフィルタの製造が可能であるとともに、材料の使用効率に優れ、湿式の現像工程および洗浄工程を含まず工程が簡便なカラーフィルタの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明はポリビニルピロリドンを用いて転写基材シートにプライマー層を形成し、該転写基材シートのプライマー層と剥離フィルムとの間に着色剤を含有した感光性樹脂層を形成する第1の工程と、所定のフォトマスクを介して前記剥離フィルム側から前記感光性樹脂層を露光し、その後、前記剥離フィルムを剥離することにより前記感光性樹脂層の露光部を転写基材シート上から除去し、前記転写基材シートの前記プライマー層上に前記感光性樹脂層の未露光部を残して感光性樹脂パターンを形成する第2の工程と、前記転写基材シート上に形成された前記感光性樹脂パターンに、カラーフィルタ用の透明基板を位置合わせして圧着し、前記透明基板側から前記感光性樹脂パターンを露光し、その後、前記転写基材シートを前記プライマー層とともに剥離することにより、前記透明基板上に前記感光性樹脂パターンを転写して着色パターンを形成する第3の工程と、を必要な色数分繰り返すことにより、所望の色数の着色パターンを前記透明基板上に形成するような構成とした。
【0008】
また、本発明のカラーフィルタの製造方法は、第1の工程で形成する感光性樹脂層の厚みを、必要な色数分繰り返すごとに前回の操作での感光性樹脂層の厚み以上とし、かつ、厚みの差を10%以下とするような構成とした。
【0009】
このような本発明では、転写基材シートと感光性樹脂層との間に介在するプライマー層が、感光性樹脂層を適度の粘着性により保持するとともに、感光性樹脂層の構成成分の転写基材シートへの移行を防止する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1乃至図3は本発明のカラーフィルタの製造方法の一実施形態を説明するための工程図である。ここでは、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の着色パターンを備えたカラーフィルタを例にして説明する。
(1)赤色の着色パターン形成
第1の工程
まず、第1の工程として、図1(A)に示されるように、プライマー層13を備えた転写基材シート12と剥離フィルム14の間に赤色の着色剤を含有した感光性樹脂層15Rを設けて複合体11Rを形成する。
【0012】
使用する転写基材シート12としては、後述するように柔軟性を有し、かつ、張力もしくは圧力で著しい変形を生じない材料を使用する必要がある。このような転写基材シート12の厚みは20μm〜2mm程度が好ましい。
【0013】
本発明では、転写基材シート12と感光性樹脂層15Rとの間に介在するプライマー層13を、水溶性樹脂を用いて形成する。このプライマー層13は、露光前後における感光性樹脂層15(上記の感光性樹脂層15Rと、後述する感光性樹脂層15G、15Bも含む)と転写基材シート12との接着力を適度な値に調節するための層であり、感光性樹脂層15(15R,15G,15B)の構成成分(例えば、アクリレートモノマー類のような光硬化性低分子量体)が拡散し難い材料からなり、感光性樹脂層15の構成成分が転写基材シート12へ移行するのを防止する。これは、感光性樹脂層15の構成成分がプライマー層13に徐々に拡散した場合、プライマー層13の軟化温度や粘着性や凝集力、あるいは、感光性樹脂層15(15R,15G,15B)との接着力、さらには、転写基材シート12との接着力がこれに伴って徐々に変化してしまい、このような現象を防止することを目的としている。また、このようなプライマー層13を設けることにより、転写基材シート12の表面が感光性樹脂層14を形成するために必要な表面平滑性を備えていない場合であっても、プライマー層材料を極めて平滑になるよう精密にコートすることで、必要とされる表面平滑性を転写基材シート12に与えることも可能である。
【0014】
感光性樹脂層15Rは、例えば、転写基材シート12のプライマー層13上にダイレクトグラビアコーティング法、グラビアリバースコーティング法、リバースロールコーティング法、スライドダイコーティング法、スリットダイコーティング法等の公知の塗布手段により感光性樹脂組成物を塗布、乾燥し、この塗布膜上に剥離フィルム14を重ねて圧着することにより形成することができる。また、剥離フィルム14上に感光性樹脂組成物を塗布して乾燥し、この塗布膜上にプライマー層13を備えた転写基材シート12を重ねて圧着してもよい。尚、上記の複合体11R形成時の圧着は、加熱圧着でもよく、この場合、加熱温度はプライマー層13と感光性樹脂層15Rの熱的物性に応じて適宜設定することができる。
【0015】
上記の第1の工程において感光性樹脂層15Rを形成するための感光性樹脂組成物は、染料、無機顔料、有機顔料等の赤色着色剤を含有した公知の種々の感光性樹脂組成物から適宜選択して使用することができる。上記の感光性樹脂組成物としては、後述するようにバインダー、重合開始剤、着色剤等を配合したものを使用できる。形成される感光性樹脂層15Rの厚みは0.5〜5.0μm程度、好ましくは1.0〜3.0μm程度の範囲で設定することができる。そして、赤色の着色パターン、緑色の着色パターン、青色の着色パターンの順序で透明基板上に着色パターンを形成する本実施形態では、感光性樹脂層15Rの厚みA1および後述の感光性樹脂層15Gの厚みA2、感光性樹脂層15Bの厚みA3を、A1≦A2≦A3の関係を満足するように設定する必要がある。これは、後述の緑色の着色パターン形成、青色の着色パターン形成において、既に透明基板上に形成されている他の色の着色パターンの谷間にはめ込むように着色パターンを転写形成するためである。尚、A1とA2、あるいはA2とA3が等しくない場合、カラーフィルタに要求される表面平滑性を考慮して、その差は小さいことが好ましく、例えば、(A2−A1)がA1の10%以下、(A3−A2)がA2の10%以下となるように設定することが好ましい。
【0016】
また、剥離フィルム14は、後述するように柔軟性を有し、かつ、張力もしくは圧力で著しい変形を生じず、さらに、感光性樹脂層15Rに所望の露光量での露光行うための光が透過する材料を使用する必要がある。この剥離フィルム14は、感光性樹脂パターン15(15R,15G,15B)の特性を考慮して転写基材シート12およびプライマー層13との関係から適宜選定することができる。
【0017】
尚、上述の転写基材シート12および剥離フィルム14は、枚葉タイプでもよく、また、長尺体であってもよい。転写基材シート12および剥離フィルム14を長尺体とすることにより、複合体11Rをロール状に巻き回して保管し、随時必要量を送り出してカラーフィルタの製造に供することができる。そして、本発明では、上述のように転写基材シート12と感光性樹脂層15(15R,15G,15B)との間にプライマー層13が介在するため、複合体11Rの保存安定性が極めて高いものとなる。
第2の工程
次に、赤色の着色パターン用のフォトマスク21Rを介して、複合体11Rの感光性樹脂層15Rを露光する(図1(B))。本発明では、この露光を剥離フィルム14側から行うことを必須とする。これにより、感光性樹脂層15Rの露光部は、剥離フィルム14側から硬化が優先的に進行して剥離フィルム14に対する接着力が大幅に増大し、一方、転写基材シート12側では当初の接着力のままで感光性樹脂層15Rとプライマー層13とが接着された状態となる。
【0018】
このような剥離フィルム14側からの感光性樹脂層15Rの露光量は、感光性樹脂層15Rの光硬化反応が転写基材シート12上のプライマー層13側まで進行しない範囲で適宜設定することができ、例えば、感光性樹脂層15Rの光硬化反応が完全に進行するのに必要な最小露光量の2〜60%の範囲とすることができる。この露光において、露光量が不足すると、プライマー層13と感光性樹脂層15Rの未露光部との接着力に対して、剥離フィルム14と感光性樹脂層15Rとの露光による接着力上昇が不十分となり、下記の剥離現像が良好に行えないことになる。また、露光量が上記の最小露光量に近すぎると、プライマー層13と感光性樹脂層15Rの露光部との接着力が大きくなりすぎて、剥離フィルム14と感光性樹脂層15Rの露光部との接着力に対して、その差が不十分となり、やはり、下記の剥離現像が良好に行えない。上記のような露光量で剥離フィルム14側から感光性樹脂層15Rを露光することにより、感光性樹脂層15Rの露光部では厚み方向で照射光到達量が剥離フィルム14側から徐々に減少し、感光性樹脂層15Rのプライマー層13側は未露光(未硬化)状態となる。
【0019】
次に、剥離フィルム14を剥離することにより感光性樹脂層15Rの露光部を剥離フィルム14とともに転写基材シート12(プライマー層13)から除去し、感光性樹脂層15Rの未露光部の少なくとも一部を感光性樹脂パターン16Rとして転写基材シート12上に残すような剥離現像を行う(図1(C))。感光性樹脂層15Rの露光が上述のような露光量のもとで行われ、かつ、転写基材シート12と感光性樹脂層15Rとの間にプライマー層13が介在しているため、この剥離現像では感光性樹脂層15Rの露光部と未露光部の膜切れ性が良好であり、感光性樹脂パターン16Rはパターン形状が良好なものとなる。
【0020】
尚、感光性樹脂層15Rの未露光部の全部が感光性樹脂パターン16Rとして転写基材シート12上に残るか、その厚み方向の一部が感光性樹脂パターン16Rとして残るかは、剥離フィルム14と感光性樹脂層15Rとの密着力と、感光性樹脂層15Rの凝集力との関係で決定されるものである。このため、感光性樹脂パターン16Rに必要とされる厚みに応じて、剥離フィルム14の材質、感光性樹脂層15Rの構成材料、感光性樹脂層15Rの層厚等を適宜設定する必要がある。
【0021】
ここで、上述の感光性樹脂層15の光硬化反応進行率は、ゲル分率で規定することができる。すなわち、一定面積の感光性樹脂層が形成されたサンプルAを準備し、このサンプルAにおける感光性樹脂層の重量aを測定する。次に、サンプルAをテトラヒドロフランで定法にしたがって加熱還流させて可溶成分を抽出除去し、不溶成分を分離した後乾燥させて得たサンプルBの重量bを測定する。次に、サンプルAに任意の露光量の紫外線を照射したサンプルCの重量cを測定し、サンプルAと同様にテトラヒドロフランで抽出した後の溶剤不溶成分Dの乾燥重量dを測定する。次に、下記の式(1)によってサンプルCに含まれる感光性樹脂組成物含有量eを算出する。
【0022】
e=d−c×b÷a 式(1)
さらに、下記の式(2)によってサンプルCの全重量に対する感光性樹脂組成物含有率、すなわち、ゲル分率f(%)を算出する。
【0023】
f=(d−c×b÷a)÷c×100 式(2)
サンプルCに対する紫外線の露光量を変えながら各々のゲル分率fを測定し、露光量を増大してもゲル分率fが変化しなくなったときのゲル分率fの値を最終感光性樹脂組成物含有率g、あるいは、最終ゲル分率gとし、gを与える最小露光量を光硬化反応完結露光量とする。また、露光量の異なる各サンプルのゲル分率fを算出し、下記の式(3)から各露光量に対する光硬化反応進行率hが算出される。
【0024】
h=f÷g×100 式(3)
第3の工程
上述の第2の工程において転写基材シート12上に形成された感光性樹脂パターン16Rに、カラーフィルタ用の透明基板2を位置合わせした後に圧着する(図1(D))。
【0025】
透明基板2と感光性樹脂パターン16Rとの位置合わせは、例えば、次のように行うことができる。すなわち、上述の第2の工程での露光において、4隅と周辺部に見当印形成用の遮光部を設けたフォトマスク21Rを使用し、感光性樹脂パターン16Rの形成と同時に転写基材シート12(プライマー層13)上に位置合わせ用の見当印を形成する。一方、カラーフィルタ用の透明基板2上にも、この位置合わせを行う際の温度条件下において転写基材シート12上の見当印と同一の寸法精度を有する見当印を予め設ける。そして、転写基材シート12にしわが入らないために必要な最小限の張力をかけながら、上記の見当印を用いて透明基板2と転写基材シート12の位置合わせを行うことができる。
【0026】
尚、透明基板2上に設ける位置合わせ用の見当印は、例えば、透明基板2に予めブラックマトリックスを形成する場合には、このブラックマトリックスの形成と同時に形成することができる。
【0027】
また、感光性樹脂パターン16Rと透明基板2との密着性を高めるために、両者の位置合わせ後に加熱圧着を行ってもよい。
【0028】
次に、感光性樹脂パターン16Rを露光する(図1(D))。本発明では、この露光を透明基板2側から行うことを必須とする。これにより、感光性樹脂パターン16Rは、透明基板2側で硬化が優先的に進行して透明基板2に対する接着力が大幅に増大し、一方、転写基材シート12側では当初の接着力のままで感光性樹脂パターン16Rとプライマー層13とが接着された状態である。したがって、転写基材シート12を剥離することによって、感光性樹脂パターン16Rのみが透明基板2上に転写され、赤色の着色パターン3Rが形成される(図1(E))。その後、透明基板2上の着色パターン3Rを露光あるいは加熱して硬化反応を完結させることにより、透明基板2上への赤色の着色パターンの形成が完了する。
【0029】
上記のような透明基板2側からの感光性樹脂パターン16Rの露光は、感光性樹脂パターン16Rの光硬化反応が転写基材シート12上のプライマー層13側まで進行しない範囲の露光量で行うことができ、例えば、感光性樹脂パターン16Rの光硬化反応が完全に進行するのに必要な最小露光量の2〜60%の範囲の露光量で行うことができる。この露光において、露光量が不足すると、透明基板2と感光性樹脂パターン16Rとの露光による接着力上昇が不十分となり、透明基板2への着色パターン形成が良好に行えない。また、露光量が上記の最小露光量に近すぎると、転写基材シート12上のプライマー層13と感光性樹脂パターン16Rとの接着力が大きくなりすぎて、透明基板2と感光性樹脂パターン16Rとの接着力に対して、その差が不十分となり、やはり、透明基板2への着色パターン形成が良好に行えない。透明基板2側から上記のような露光量で露光することにより、感光性樹脂パターン16Rは厚み方向で照射光到達量が透明基板2側から徐々に減少し、感光性樹脂パターン16Rのプライマー層13側は未露光(未硬化)状態となる。ここで、感光性樹脂パターン16Rの光硬化反応進行率は、上述のゲル分率で規定することができる。
【0030】
尚、上記の転写基材シート12の剥離は、転写基材シート12を加熱しながら行ってもよい。
(2)緑色の着色パターン形成
第1の工程
上述の赤色の着色パターン形成と同様に、転写基材シート12上のプライマー層13と剥離フィルム14の間に緑色の着色剤を含有した感光性樹脂層15Gを設けて複合体11Gを形成する(図2(A))。
【0031】
尚、転写基材シート12、プライマー層13および剥離フィルム14は、上述の赤色の着色パターン形成と同様とすることができる。
第2の工程
次に、緑色の着色パターン用のフォトマスク21Gを介して、剥離フィルム14側から複合体11Gの感光性樹脂層15Gを露光する(図2(B))。これにより、感光性樹脂層15Gの露光部は、剥離フィルム14側から硬化が優先的に進行して剥離フィルム14に対する接着力が大幅に増大し、一方、転写基材シート12側では当初の接着力のままで感光性樹脂層15Gとプライマー層13とが接着された状態となる。この露光も、感光性樹脂層15Gの光硬化反応が転写基材シート12側まで進行しない範囲の露光量で行うことができ、例えば、感光性樹脂層15Gの光硬化反応が完全に進行するのに必要な最小露光量の2〜60%の範囲の露光量で行うことができる。
【0032】
次に、剥離フィルム14を剥離することにより感光性樹脂層15Gの露光部を剥離フィルム14とともに転写基材シート12(プライマー層13)から除去し、感光性樹脂層15Gの未露光部の少なくとも一部を感光性樹脂パターン16Gとして転写基材シート12上に残す(図2(C))。
【0033】
尚、感光性樹脂層15Gの未露光部の全部が感光性樹脂パターン16Gとして転写基材シート12上に残るか、その一部が感光性樹脂パターン16Gとして残るかは、剥離フィルム14と感光性樹脂層15Gとの密着力と、感光性樹脂層15Gの凝集力との関係で決定されるものである。このため、感光性樹脂パターン16Gに必要とされる厚みに応じて、剥離フィルム14の材質、感光性樹脂層15Gの構成材料、感光性樹脂層15Gの層厚等を適宜設定する必要がある。
第3の工程
上述の第2の工程において転写基材シート12上に形成された感光性樹脂パターン16Gに、既に赤色の着色パターン3Rが形成されているカラーフィルタ用の透明基板2を位置合わせして圧着する(図2(D))。この透明基板2と感光性樹脂パターン16Gとの位置合わせは、上述の赤色の着色パターン形成と同様に行うことができる。尚、感光性樹脂パターン16Gと透明基板2との密着性を高めるために、両者を加熱圧着してもよい。
【0034】
次に、透明基板2側から感光性樹脂パターン16Gを露光する(図2(D))。これにより、感光性樹脂パターン16Gは、透明基板2側で硬化が優先的に進行して透明基板2に対する接着力が大幅に増大し、一方、転写基材シート12側では当初の接着力のままで感光性樹脂パターン16Gとプライマー層13とが接着された状態となる。したがって、転写基材シート12を剥離することによって、感光性樹脂パターン16Gのみが透明基板2上に転写され、緑色の着色パターン3Gが形成される(図2(E))。その後、透明基板2上の着色パターン3Gを露光あるいは加熱して硬化反応を完結させることにより、透明基板2上への緑色の着色パターンの形成が完了する。
【0035】
上記のような透明基板2側からの感光性樹脂パターン16Gの露光は、感光性樹脂パターン16Gの光硬化反応が転写基材シート12側まで進行しない範囲の露光量で行うことができ、例えば、感光性樹脂パターン16Gの光硬化反応が完全に進行するのに必要な最小露光量の2〜60%の範囲の露光量で行うことができる。
【0036】
上述の緑色の着色パターン形成においても、水溶性樹脂を用いて形成されたプライマー層13が転写基材シート12と感光性樹脂層15G(感光性樹脂パターン16G)との間に介在するので、感光性樹脂層15G(感光性樹脂パターン16G)と転写基材シート12との接着力が適度な値に調節され、かつ、感光性樹脂層15G(感光性樹脂パターン16G)の構成成分が転写基材シート12に移行することが防止される。したがって、第2の工程における剥離現像では感光性樹脂層15Gの露光部と未露光部の膜切れ性が良好であり、感光性樹脂パターン16Gはパターン形状が良好なものとなる。また、第3の工程では、感光性樹脂パターン16Gの透明基板2への確実な転写が行える。その結果、色ずれや色抜け等の転写不良を生じることなく緑色の着色パターン3Gを形成することができる。
(3)青色の着色パターン形成
第1の工程
上述の赤色の着色パターン形成と同様に、転写基材シート12上のプライマー層13と剥離フィルム14の間に青色の着色剤を含有した感光性樹脂層15Bを設けて複合体11Bを形成する(図3(A))。
【0037】
尚、転写基材シート12、プライマー層13および剥離フィルム14は、上述の赤色の着色パターン形成と同様とすることができる。
第2の工程
次に、青色の着色パターン用のフォトマスク21Bを介して、剥離フィルム14側から複合体11Bの感光性樹脂層15Bを露光する(図3(B))。これにより、感光性樹脂層15Bの露光部は、剥離フィルム14側から硬化が優先的に進行して剥離フィルム14に対する接着力が大幅に増大し、一方、転写基材シート12側では当初の接着力のままで感光性樹脂層15Bとプライマー層13とが接着された状態となる。この露光も、感光性樹脂層15Bの光硬化反応がプライマー層13まで進行しない範囲の露光量で行うことができ、例えば、感光性樹脂層15Bの光硬化反応が完全に進行するのに必要な最小露光量の2〜60%の範囲の露光量で行うことができる。
【0038】
次に、剥離フィルム14を剥離することにより感光性樹脂層15Bの露光部を剥離フィルム14とともに転写基材シート12(プライマー層13)から除去し、感光性樹脂層15Bの未露光部の少なくとも一部を感光性樹脂パターン16Bとして転写基材シート12上に残す(図3(C))。
【0039】
尚、感光性樹脂層15Bの未露光部の全部が感光性樹脂パターン16Bとして転写基材シート12上に残るか、その一部が感光性樹脂パターン16Bとして残るかは、剥離フィルム14と感光性樹脂層15Bとの密着力と、感光性樹脂層15Bの凝集力との関係で決定されるものである。このため、感光性樹脂パターン16Bに必要とされる厚みに応じて、剥離フィルム14の材質、感光性樹脂層15Bの構成材料、感光性樹脂層15Bの層厚等を適宜設定する必要がある。
第3の工程
上述の第2の工程において転写基材シート12上に形成された感光性樹脂パターン16Bに、既に赤色の着色パターン3Rと緑色の着色パターン3Gが形成されているカラーフィルタ用の透明基板2を位置合わせして圧着する(図3(D))。この透明基板2と感光性樹脂パターン16Bとの位置合わせは、上述の赤色の着色パターン形成と同様に行うことができる。尚、感光性樹脂パターン16Bと透明基板2との密着性を高めるために、両者を加熱圧着してもよい。
【0040】
次に、透明基板2側から感光性樹脂パターン16Bを露光する(図3(D))。これにより、感光性樹脂パターン16Bは、透明基板2側で硬化が優先的に進行して透明基板2に対する接着力が大幅に増大し、一方、転写基材シート12側では当初の接着力のままで感光性樹脂パターン16Bとプライマー層13とが接着された状態となる。したがって、転写基材シート12を剥離することによって、感光性樹脂パターン16Bのみが透明基板2上に転写され、青色の着色パターン3Bが形成される(図3(E))。その後、透明基板2上の着色パターン3Bを露光あるいは加熱して硬化反応を完結させることにより、透明基板2上への青色の着色パターンの形成が完了する。
【0041】
上記のような透明基板2側からの感光性樹脂パターン16Bの露光は、感光性樹脂パターン16Bの光硬化反応が転写基材シート12側まで進行しない範囲の露光量で行うことができ、例えば、感光性樹脂パターン16Bの光硬化反応が完全に進行するのに必要な最小露光量の2〜60%の範囲の露光量で行うことができる。
【0042】
上述の青色の着色パターン形成においても、水溶性樹脂を用いて形成されたプライマー層13が転写基材シート12と感光性樹脂層15B(感光性樹脂パターン16B)との間に介在するので、感光性樹脂層15B(感光性樹脂パターン16B)と転写基材シート12との接着力が適度な値に調節され、かつ、感光性樹脂層15B(感光性樹脂パターン16B)の構成成分が転写基材シート12に移行することが防止される。したがって、第2の工程における剥離現像では感光性樹脂層15Bの露光部と未露光部の膜切れ性が良好であり、感光性樹脂パターン16Bはパターン形状が良好なものとなる。また、第3の工程では、感光性樹脂パターン16Bの透明基板2への確実な転写が行える。その結果、色ずれや色抜け等の転写不良を生じることなく青色の着色パターン3Bを形成することができる。
【0043】
尚、本発明の第2の工程および第3の工程における露光は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、レーザー等の公知の露光手段を使用して行うことができる。
【0044】
また、上述のカラーフィルタの製造方法では、各色の着色パターンを透明基板2上に形成するごとに露光あるいは加熱して硬化反応を完結させているが、赤(R)、緑(G)、青(B)のすべての着色パターンを形成した後に、露光あるいは加熱により硬化反応を完結させてもよい。
【0045】
また、上述のカラーフィルタの製造方法では、各色の着色パターン用のフォトマスク21R,21G,21Bを使用しているが、共通の着色パターン用のフォトマスクを使用してもよい。
【0046】
さらに、カラーフィルタ用の透明基板2には、予めブラックマトリックスを形成し、このブラックマトリックスの非形成部に各色の着色パターンを形成できることは勿論である。
【0047】
次に、本発明において使用する材料について詳細に説明する。
プライマー層
まず、本発明において転写基材シート12に形成するプライマー層13について説明する。
【0048】
上述の第2の工程において転写基材シート12から感光性樹脂層15の露光部を剥離フィルム14とともに除去する際、感光性樹脂層15に接するプライマー層13を共に剥離除去するためには、露光部と未露光部の境界に沿ってプライマー層13を切断する必要がある。したがって、プライマー層13の材料には切断が容易に行えるような層内凝集力の低い材料を選択する必要がある。しかし、このようなプライマー層13を形成した場合は、剥離現像によって転写基材シート12上に形成された感光性樹脂パターン16(16R,16G,16B)を第3の工程でカラーフィルタ用の透明基板2に転写する際、プライマー層13内部の凝集力が低いため、転写基材シート12を剥離除去することによって透明基板2上に転写形成された着色パターンの表面にプライマー層13が付着してしまうという不都合が生じる。従って、このような不都合を防止するためには、転写基材シート12から感光性樹脂層15の露光部を剥離フィルム14に硬化接着させて除去する際、プライマー層13を全て転写基材シート12に保持しておくことが望ましい。
【0049】
このような性能を有するプライマー層13を設ける場合、転写基材シート12とプライマー層13との接着力は、露光前後の感光性樹脂層15とプライマー層13との接着力、露光前後の感光性樹脂層15と剥離フィルム14との接着力、露光前後の感光性樹脂層15の凝集力、露光前後のプライマー層13の凝集力、のいずれに対しても高いことが必要とされる。
【0050】
本発明では、このようなプライマー層13を水溶性樹脂を用いて形成する。本発明における水溶性樹脂とは、水または熱水100gに対して1g以上溶解する樹脂である。
【0051】
プライマー層13の形成に使用できる水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロール、カルボキシメチルエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等の親水性樹脂の1種、または、2種以上の混合物を挙げることができる。
【0052】
上述のような水溶性樹脂で形成されるプライマー層13は、後述するように感光性樹脂層15(15R,15G,15B)のバインダーにアクリレートモノマー類のような光硬化性低分子量体が配合されている場合でも、これらがプライマー層13に拡散したり、さらに、転写基材シート12に移行することを有効に防止する。したがって、プライマー層13の軟化温度や粘着性や凝集力、あるいは、感光性樹脂層15(15R,15G,15B)との接着力、あるいは、転写基材シート12との接着力は、安定したものとなる。
【0053】
また、プライマー層13は、イソシアネート系架橋剤やキレート系架橋剤等の架橋剤によって上記の水溶性樹脂を架橋することによって形成してもよい。架橋剤は、架橋させる樹脂の反応性官能基に応じて適宜選択することができ、公知のものから任意に選ぶことができる。架橋剤の一例として、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート水添体、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、前記のジイソシアネートをトリメチロールプロパンに付加させたアダクト体、前記のジイソシアネートのビウレット体、前記のジイソシアネートのトリマー体、エポキシ基やアジリジン基やオキザゾリン基を有する架橋剤、アルミニウム・亜鉛・チタン・ジルコニウム等の金属原子を有するキレート化剤等を挙げることができる。
【0054】
上述のようにプライマー層を架橋させる場合、配合される架橋剤に応じて公知の触媒を添加することができる。例えば、イソシアネートを架橋剤に用いた場合には、ジ−n−ブチル錫ジラウレート、ジ−n−オクチル錫ジラウレート、テトラメチルブタンジアミン、N,N,N´,N´−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、1,4−ジアザ−ビシクロ〔2,2,2〕オクタン等を用いることができる。
【0055】
プライマー層を転写基材シート12に形成するには、上記のような水溶性樹脂に必要に応じて架橋剤や架橋反応促進触媒等の必要な添加剤を加えたものを、適当な有機溶剤または水に溶解したり、有機溶剤と水の混合溶剤に溶解したり、あるいは有機溶剤や水に分散させた分散体を調製し、これを、例えばグラビアダイレクトコーティング法、グラビアリバースコーティング法、リバースロールコーティング法、スライドダイコーティング法、スリットダイコーティング法等の手段により転写基材シート12の一方の面に塗布・乾燥することができる。また、スライドダイコーティング法を用いる場合、プライマー層13と感光性樹脂層15を同時に塗布及び乾燥させることも可能である。
【0056】
形成するプライマー層13の厚みは0.05〜5μm、好ましくは0.1〜2μmの範囲で設定することができる。プライマー層13の厚みが0.05μm未満である場合は、プライマー層として必要とされる塗膜強度が得られない。また、5μmを超えると、塗膜の表面の均一性を高めることが困難になるという問題点を生じる。
転写基材シート
次に、本発明で使用する転写基材シート12について説明する。転写基材シート12は、柔軟性を有し、かつ、張力もしくは圧力で著しい変形を生じない材料を使用する必要がある。
【0057】
転写基材シート12に用いる材料としては、まず、樹脂フィルムを挙げることができる。樹脂フィルムの具体例としては、ポリエチレンフィルム、エチレンー 酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン- ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリメタクリル酸フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルブチラールフィルム、ナイロンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリサルフォンフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルフィルム、ポリビニルフルオライドフィルム、テトラフルオロエチレン−エチレンフィルム、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンフィルム、ポリクロロトリフルオロエチレンフィルム、ポリビニリデンフルオライドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエステルフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、これらの樹脂材料にフィラーを配合したフィルム、これらの樹脂材料を用いたフィルムを1軸延伸もしくは2軸延伸したもの、これらの樹脂材料を用いて流れ方向より幅方向の延伸倍率を高めた2軸延伸フィルム、これらの樹脂材料を用いて幅方向より流れ方向の延伸倍率を高めた2軸延伸フィルム、これらのフィルムのうちの同種または異種のフィルムを貼り合わせたもの、および、これらのフィルムに用いられる原料樹脂から選ばれる同種または異種の樹脂を共押し出しすることによって作成される複合フィルム等を挙げることができる。
【0058】
また、転写基材シート12として金属箔や金属鋼帯を用いることもできる。このような金属箔や金属鋼帯の具体例として、銅箔、銅鋼帯、アルミニウム箔、アルミニウム鋼帯、SUS430、SUS301、SUS304、SUS420J2およびSUS631等のステンレス鋼帯、ベリリウム鋼帯等を挙げることができる。このなかで、熱膨張率がカラーフィルタ用のガラス基板の熱膨張率に近いという点で、好ましくはステンレス鋼帯、特に好ましくはSUS430のステンレス鋼帯を用いることができる。
【0059】
さらに、転写基材シート12に用いる材料として、上述の金属箔あるいは金属鋼帯を上述の樹脂フィルムに貼り合わせたものを使用することもできる。金属箔や金属鋼帯を樹脂フィルムと比較した場合、単位厚み当たりの張力に対する抵抗力は金属箔や金属鋼帯の方が勝るものが多い一方、単位厚み当たりの価格は樹脂フィルムの方が安価であるものが多い。さらに、樹脂フィルムは金属箔や金属鋼帯に比べ表面平滑性に優れたものが多く、カラーフィルタ画素パターンである着色パターン3R,3G,3Bを転写形成するための転写基材シート12として好ましく用いることができる。従って、金属鋼帯や金属箔に樹脂フィルムを適宜貼り合わせて転写基材シート12とすることにより、単位厚み当たりの張力に対する抵抗力と表面平滑性と材料価格の低さにバランスのとれた転写基材シート12を得ることが可能となる。
剥離シート
次に、本発明で使用する剥離シート14について説明する。剥離シート14は、柔軟性を有し、かつ、張力もしくは圧力で著しい変形を生じず、さらに、感光性樹脂層15(15R,15G,15B)に所望の露光量での露光行うための光が透過する材料を使用する必要がある。
【0060】
剥離シート14の具体例としては、ポリエチレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリメタクリル酸フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルブチラールフィルム、ナイロンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリサルフォンフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルフィルム、ポリビニルフルオライドフィルム、テトラフルオロエチレン−エチレンフィルム、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンフィルム、ポリクロロトリフルオロエチレンフィルム、ポリビニリデンフルオライドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエステルフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、これらの樹脂材料にフィラーを配合したフィルム、これらの樹脂材料を用いたフィルムを1軸延伸もしくは2軸延伸したもの、これらの樹脂材料を用いて流れ方向より幅方向の延伸倍率を高めた2軸延伸フィルム、これらの樹脂材料を用いて幅方向より流れ方向の延伸倍率を高めた2軸延伸フィルム、これらのフィルムのうちの同種または異種のフィルムを貼り合わせたもの、および、これらのフィルムに用いられる原料樹脂から選ばれる同種または異種の樹脂を共押し出しすることによって作成される複合フィルム等を挙げることができる。これらのフィルムのうちで、特に2軸延伸ポリエステルフィルムを使用することが好ましい。
感光性樹脂組成物
次に、本発明において感光性樹脂層15(15R,15G,15B)を形成するための感光性樹脂組成物を説明する。本発明で使用する感光性樹脂組成物は、硬化性バインダー、非硬化性バインダー、重合開始剤、着色剤等を配合したものを使用できる。
【0061】
(i)硬化性バインダー
硬化性バインダーの具体例としては、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピルアクリレ−ト、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェ−ト、テトラヒドロフルフリ−ルアクリレ−ト、ジシクロペンテニルアクリレ−ト、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ−ト、1,3−ブタンジオ−ルジアクリレ−ト、1,4−ブタンジオ−ルジアクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジアクリレ−ト、ジエチレングリコ−ルジアクリレ−ト、ネオペンチルグリコ−ルジアクリレ−ト、ポリエチレングリコ−ルジアクリレ−ト、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコ−ルジアクリレ−ト、トリプロピレングリコ−ルジアクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリアクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルトリアクリレ−ト、ジペンタエリスリト−ルヘキサアクリレ−ト、フェノール−エチレンオキサイド変性アクリレート、フェノール−プロピレンオキサイド変性アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、ビスフェノールA−エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のアクリレートモノマー、あるいは、これらの化学構造のアクリレート基をメタクリレート基に置換したしたもの、ポリウレタン構造を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたポリエステルアクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたエポキシアクリレートオリゴマー、ポリウレタン構造を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたウレタンメタクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたポリエステルメタクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたエポキシメタクリレートオリゴマー、アクリレート基を有するポリウレタンアクリレート、アクリレート基を有するポリエステルアクリレート、アクリレート基を有するエポキシアクリレート樹脂、メタクリレート基を有するポリウレタンメタクリレート、メタクリレート基を有するポリエステルメタクリレート、メタクリレート基を有するエポキシメタクリレート樹脂等を挙げることができる。これらは使用することのできる硬化性バインダーの一例であり、これらに限定されるものではない。
【0062】
(ii) 非硬化性バインダー
非硬化性バインダーの具体例としては、エチエレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレンビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレンメタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等を挙げることができる。
【0063】
好ましくは、合わせて使用する硬化性バインダー材料との相溶性や熱に対する黄変性等の観点から、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂とポリメタクリル酸エチル樹脂の共重合体、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルローストリアセテート等を使用することができる。
【0064】
また、特に好ましくはポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂とポリメタクリル酸エチル樹脂の共重合体、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、および、これらの変性物を用いることができる。
【0065】
(iii)光重合開始剤
光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、ミヒラーケトン、N,N´テトラメチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4´−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4´−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾ−ル2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾ−ル2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾ−ル2量体、2,4,5−トリアリ−ルイミダゾ−ル2量体、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾ−ル、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾ−ル、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾ−ル等のハロメチルチアゾ−ル系化合物、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3ブタジエニル)−S−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビストリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン等のハロメチル−S−トリアジン系化合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュアー369(チバガイギー社製)、イルガキュアー651(チバガイギー社製)、イルガキュアー907(チバガイギー社製)等が挙げられる。
【0066】
また、光硬化反応速度を高めるために、これらの光重合開始剤を複数種混合して使用することも可能である。
【0067】
光重合開始剤の添加量は、感光性樹脂組成物の総固形分に対して0.1〜10.0重量%の範囲が望ましい。光重合開始剤の添加量が0.1重量%に満たない場合は、光重合開始剤の種類によらず、光重合開始剤としての効果を発現させることが非常に困難となる。また、10.0重量%を超える場合は、光重合の反応速度が非常に速くなる一方で、光重合開始剤が感光性樹脂層の黄変を引き起こす度合いが大きくなり、カラーフィルターとしての耐光性が低下してしまうという問題が生じる。
【0068】
(iv) 着色顔料
感光性樹脂組成物に含有させる着色剤としては、公知の顔料あるいは染料を用いることができる。顔料を用いる場合は粒子の平均粒径が0.4μm以下であることが望ましい。平均粒径が0.4μmを超えると、形成した着色パターンの可視光透過率が極めて低くなり、カラーフィルタとしての実用性に支障を来すようになる。
【0069】
着色剤として使用できる好ましい染料および顔料の例としては、ビクトリア・ピュアブルーBO(C.I.42595)、オーラミン(C.I.41000)、ファット・ブラックHB(C.I.26150)、モノライト・エローGT(C.I.ピグメント・エロー12)、パーマネント・エローGR(C.I.ピグメント・エロー17)、パーマネント・エローHR(C.I.ピグメント・エロー83)、パーマネント・カーミンFBB(C.I.ピグメント・レッド146)、ホスターパームレッドESB(C.I.ピグメントバイオレット19)、パーマネント・ルビーFBH(C.I.ピグメント・レッド11)、ファステル・ピンクBスブラ(C.I.ピグメント・レッド81)、モナストラル・ファスト・ブルー(C.I.ピグメント・ブルー15)、モノライト・ファースト・ブラックB(C.I.ピグメント・ブラック1)、イルカジンレッドBPT、銅フタロシアニン(緑)、フタロシアニンブルー(青)、および、カーボン等を挙げることができる。
【0070】
さらに、カラーフィルタを形成するために好ましい顔料としては、C.I.ピグメント・レッド97、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド149、C.I.ピグメント・レッド168、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド180、C.I.ピグメント・レッド192、C.I.ピグメント・レッド215、C.I.ピグメント・グリーン7、C.I.ピグメント・グリーン36、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:4、C.I.ピグメント・ブルー15:6、C.I.ピグメント・ブルー22、C.I.ピグメント・ブルー60、C.I.ピグメント・ブルー64、C.I.ピグメント・イエロー83、C.I.ピグメント・バイオレト23等を挙げることができる。
【0071】
また特開平5−119213号公報に記載の反応性染料をバインダーポリマーに反応させた系や、特開平6−107663号公報に記載の含フッ素フタロシアニン化合物は、消偏性等の特性に優れた系として用いることができる。
【0072】
尚、感光性樹脂組成物に着色剤を含有させる場合、着色剤の分散性を向上させるために公知の分散剤を適宜配合することができる。
【0073】
感光性樹脂組成物に対する着色剤の含有割合は、5〜30重量%の範囲とすることが好ましい。また、この感光性樹脂組成物には、添加剤として増感剤、重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、安定剤等が必要に応じて用いられる。
カラーフィルタ用の透明基板
上述の本発明のカラーフィルタの製造方法において使用できるカラーフィルタ用の透明基板2には特に制限はなく、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス基板、ホウケイ酸ガラス基板、石英ガラス基板、シリコン基板等を使用することができる。
【0074】
また、感光性樹脂パターン(着色パターン)の接着性を向上させるために、カラーフィルタ用の透明基板表面に表面処理を行うことができる。このような目的のための表面処理には、従来公知の種々の手法を用いることが可能である。その一例として、シランカップリング剤を挙げることができる。使用するシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジクロロシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0075】
【実施例】
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
【0076】
まず、水溶性樹脂を用いた下記の組成の2種のプライマー層用の樹脂組成物I、IIを調製した。
プライマー層用の樹脂組成物I
・ポリビニルピロリドン(数平均分子量90万) … 5重量部
・水 … 95重量部
プライマー層用の樹脂組成物 II
・ポリビニルアルコール(けん化度86.5〜89.0%)… 5重量部
・水 … 95重量部
次に、転写基材シートとして厚み100μmの長尺状の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを準備し、この転写基材シート上に上述の2種のプライマー層用樹脂組成物(I、II)をもちいて、グラビアリバースコーティング法によりプライマー層(厚み0.7μm)を形成した。
【0077】
一方、下記の組成の赤色着色パターン用の感光性樹脂組成物を調製した。
赤色着色パターン用の感光性樹脂組成物
・ポリメタクリル酸メチルメタクリレート
(重量平均分子量40000) … 15重量部
・トリメチロールプロパントリアクリレート … 40重量部
・ウレタンアクリレート(東亜合成(株)製M−1600)
(粘度8000〜12000cps/50℃) … 25重量部
・光重合開始剤(チバガイギー社製イルガキュアー369)… 2重量部
・イルカジンレッドBPT … 20重量部
・メチルエチルケトン …150重量部
・トルエン …150重量部
次に、上述のようにプライマー層を形成した2種の転写基材シートのプライマー層上に、上記の赤色の感光性樹脂組成物をグラビアリバースコーティング法により塗布し乾燥して感光性樹脂層(厚み2.0μm)を形成し、この感光性樹脂層に厚み12μmの剥離フィルム(2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)を重ねて、直径100mmのロール2本で圧着して赤色の複合体を作製した。この複合体は転写基材シートを外側にした巻き取り状態とした。(以上、第1の工程)
次に、上述のように作製した2種の赤色の複合体を、作製直後、および、40℃で200時間放置した後の2種の条件で、剥離フィルム側から、270μm×80μmの長方形の開口部を所定のパターンで備えたフォトマスク(縦300mm×横400mm)を介して赤色の感光性樹脂層を露光した。フォトマスクとしては、下記のガラス基板が備える位置合わせ見当印と同一の寸法精度で見当印形成用の遮光部が4隅および周辺部に設けられたものを使用した。また、この露光は超高圧水銀灯を使用し、露光量は赤色の感光性樹脂層を完全に硬化するのに必要な最小露光量20000mJの5%とした。
【0078】
次いで、上記複合体を水平に保持しながら剥離フィルムを剥離して、感光性樹脂層の露光部を剥離フィルムとともに除去し、感光性樹脂層の未露光部を転写基材シートに設けたプライマー層上に残す剥離現像を行い、転写基材シート上に感光性樹脂パターンおよび位置合わせ見当印を形成した。(以上、第2の工程)
次に、クロム蒸着とパターンエッチングにより形成したマトリックス状のブラックマトリックス(開口部250μm×60μm)および位置合わせ見当印を備えるカラーフィルタ用のガラス基板(ホウケイ酸ガラス製、厚み1mm、縦300mm×横400mm)を準備した。ガラス基板に設けた見当印は、上記のフォトマスクの見当印用の遮光部と同様のものであり、第2の工程における露光時の温度条件でフォトマスクと同一の寸法精度を有するものである。そして、このガラス基板の位置合わせ見当印と上記の転写基材シートの位置合わせ見当印とを用いて位置合わせを行い、転写基材シートにしわが入らないような張力をかけながら転写基材シート上の感光性樹脂パターンとガラス基板とを重ね、直径100mmのロール2本で圧着した。
【0079】
次いで、ガラス基板側から超高圧水銀灯を用いた紫外線を照射する露光を行った。この露光における露光量は、赤色の感光性樹脂パターンを完全に硬化するのに必要な最小露光量20000mJの5%とした。
【0080】
その後、転写基材シートを剥離してガラス基板上に赤色の感光性樹脂パターンを転写し、この感光性樹脂パターン側から超高圧水銀灯を用いた紫外線を照射する露光を行って光硬化反応を完結させ、赤色の着色パターンを備えたカラーフィルタ(試料1〜4)とした。この露光での露光量は、赤色着色パターンのテトラヒドロフランに対する耐溶剤性がもはや変化しなくなるのに必要な露光量とした。(以上、第3の工程)
また、比較として、親水性構造をもちながら非水溶性である樹脂を用いて調整したプライマー層用の樹脂組成物III を調製した。そして、上記の樹脂組成物Iに代わりに樹脂組成物III を用いた他は上述の試料1、2と同様にして、赤色の着色パターンを備えたカラーフィルタ(試料5、6)を作製した。
【0081】
さらに、比較として、プライマー層を形成しない他は上述と同様にして、赤色の着色パターンを備えたカラーフィルタ(試料7、8)を作製した。
【0082】
上記のカラーフィルタ(試料1〜8)について、パターンのエッジ精度(剥離現像での膜切れ性)を下記のように評価して、結果を下記の表1に示した。
パターンエッジ精度(膜切れ性)の評価方法
A:エッジの振れ幅は1μm以下であり、極めて良好な直線性を示し、カラーフィルタとして使用するために十分なエッジ精度を有していた。
【0083】
B:エッジの振れ幅は3μm以下であり、良好な直線性を示し、カラーフィルタとして使用するために十分なエッジ精度を有していた。
【0084】
C:エッジの振れ幅は5μm以下であり、必要最低限度以上の直線性を示し、カラーフィルタとして使用するために必要なエッジ精度を有していた。
【0085】
D:エッジの振れ幅は5μmより大きく、必要最低限の直線性は得られず、カラーフィルタとして使用するために必要なエッジ精度を有していなかった。
【0086】
Z:露光された感光性樹脂層の全部または大部分が剥離フィルムによって剥離除去されず、転写基材シート上にカラーフィルタパターンが形成されなかった。
【0087】
【表1】
表1に示されるように、プライマー層を備えた転写基材シートを使用して作製したカラーフィルタ(試料1、3)は、いずれもパターンエッジ精度が良好であり、また、赤色の複合体の状態で40℃、200時間の保存を行った場合のカラーフィルタ(試料2、4)においてもパターンエッジ精度が良好であることより、赤色の複合体の長期保存が可能であることが確認された。
【0088】
これに対して、非水溶性樹脂を用いたプライマー層が形成されている転写基材シートを使用して作製したカラーフィルタ(試料5、6)は、いずれもパターンエッジ精度が低く、特に、赤色の複合体の状態で40℃、200時間の保存を行った場合のカラーフィルタ(試料6)におけるパターンエッジ精度が低く、カラーフィルタとして実用に供し得ないものであった。
【0089】
また、プライマー層が形成されていない転写基材シートを使用して作製したカラーフィルタ(試料7、8)は、いずれもパターンエッジ精度が低く、特に、赤色の複合体の状態で40℃、200時間の保存を行った場合のカラーフィルタ(試料8)におけるパターンエッジ精度が低く、カラーフィルタとして実用に供し得ないものであった。
【0090】
尚、赤色着色剤(イルカジンレッドBPT)の代わりに緑色着色剤(銅フタロシアニン)を添加して調製した緑色着色パターン用の感光性樹脂組成物を使用して、上述の第1の工程から第3の工程による赤色の着色パターン形成と同様に、緑色の着色パターンを同一のガラス基板上に形成し、この着色パターンについて、上述のようにパターンのエッジ精度(剥離現像での膜切れ性)を評価したところ、同様の結果が得られた。
【0091】
また、赤色着色剤(イルカジンレッドBPT)の代わりに青色着色剤(フタロシアニンブルー)を添加して調製した青色着色パターン用の感光性樹脂組成物を使用して、上述の第1の工程から第3の工程による赤色の着色パターン形成と同様に、青の着色パターンを同一のガラス基板上に形成し、この着色パターンについて、上述のようにパターンのエッジ精度(剥離現像での膜切れ性)を評価したところ、同様の結果が得られた。
【0092】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば第1の工程で、水溶性樹脂を用いて転写基材シートにプライマー層を形成し、この転写基材シートのプライマー層と剥離フィルムとの間に着色剤を含有した感光性樹脂層を形成し、第2の工程で、所定のフォトマスクを介して剥離フィルム側から感光性樹脂層を露光し、その後、剥離フィルムを剥離して感光性樹脂層の露光部を剥離フィルムとともに転写基材シートから除去し感光性樹脂層の未露光部を感光性樹脂パターンとして転写基材シート上に残し、次に、第3の工程で、カラーフィルタ用の透明基板を感光性樹脂パターン上に位置合わせして圧着し、透明基板側から感光性樹脂パターンを露光し、転写基材シートを剥離して感光性樹脂パターンを透明基板上に転写して着色パターンが形成され、この一連の操作において、転写基材シートと感光性樹脂層(感光性樹脂パターン)との間に介在するプライマー層によって感光性樹脂層(感光性樹脂パターン)の成分が転写基材シートへ移行することが防止され、かつ、プライマー層が感光性樹脂層(感光性樹脂パターン)を適度の粘着性により保持するので、第2の工程での剥離現像において感光性樹脂層の露光部のみがプライマー層(転写基材シート)から剥離除去されパターン精度の良好な感光性樹脂パターンの形成が可能となり、第3の工程では、露光された感光性樹脂パターンがプライマー層(転写基材シート)から確実に剥離して透明基板上に転写されるので、透明基板上へ高い精度で着色パターンを形成することができ、色ずれや色抜け等のない高精細なカラーフィルタの製造が可能である。また、転写基材シートと感光性樹脂層との間にプライマー層が介在することにより、第1の工程が終了した後の状態での材料の保存安定性が大幅に向上し、工程管理が容易なものとなる。さらに、上記の第1の工程から第3の工程のいずれも、カラーフィルタ用の透明基板へのスピンコート等による塗布工程がないので材料ロスが極めて少なく、かつ、湿式現像工程や洗浄工程は不要で廃液処理の必要がなく、第1の工程から第3の工程を必要な色数分繰り返して、所望の色数の着色パターンを透明基板上に形成することによってカラーフィルタを製造するので、材料の使用効率が高く、工程が簡便なものとなり、したがって、製造コストの低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるカラーフィルタの製造方法を説明するための工程図である。
【図2】本発明によるカラーフィルタの製造方法を説明するための工程図である。
【図3】本発明によるカラーフィルタの製造方法を説明するための工程図である。
【符号の説明】
1…カラーフィルタ
2…透明基板
3R,3G,3B…着色パターン
11R,11G,11B…複合体
12…転写基材シート
13…プライマー層
14…剥離フィルム
15(15R,15G,15B)…感光性樹脂層
16(16R,16G,16B)…感光性樹脂パターン
21R,21G,21B…フォトマスク
Claims (2)
- ポリビニルピロリドンを用いて転写基材シートにプライマー層を形成し、該転写基材シートのプライマー層と剥離フィルムとの間に着色剤を含有した感光性樹脂層を形成する第1の工程と、
所定のフォトマスクを介して前記剥離フィルム側から前記感光性樹脂層を露光し、その後、前記剥離フィルムを剥離することにより前記感光性樹脂層の露光部を転写基材シート上から除去し、前記転写基材シートの前記プライマー層上に前記感光性樹脂層の未露光部を残して感光性樹脂パターンを形成する第2の工程と、
前記転写基材シート上に形成された前記感光性樹脂パターンに、カラーフィルタ用の透明基板を位置合わせして圧着し、前記透明基板側から前記感光性樹脂パターンを露光し、その後、前記転写基材シートを前記プライマー層とともに剥離することにより、前記透明基板上に前記感光性樹脂パターンを転写して着色パターンを形成する第3の工程と、
を必要な色数分繰り返すことにより、所望の色数の着色パターンを前記透明基板上に形成することを特徴としたカラーフィルタの製造方法。 - 第1の工程で形成する感光性樹脂層の厚みは、必要な色数分繰り返すごとに前回の操作での感光性樹脂層の厚み以上とし、かつ、厚みの差は10%以下とすることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
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