JP3612767B2 - 転写シート及びそれを用いたカラーフィルタの製造方法 - Google Patents

転写シート及びそれを用いたカラーフィルタの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、パーソナルコンピュータやカラーテレビ、カラーモニターなどに搭載されるカラー液晶表示装置、あるいはカラービデオカメラなどの固体撮像素子に使用される、色分解用カラーフィルタに利用される転写シート及びそれを用いたカラーフィルタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のカラーフィルタの製造方法として、従来、印刷法、フォトリソグラフィ法、電着法、及び転写法などが知られている。
【0003】
各製法にはそれぞれの利点及び欠点がある。例えば、パターン精度からするとフォトリソグラフィ法が一番であるが、工程が多く複雑であるためコスト及び歩留りの点に難がある。コストの点からすると、印刷法は優れている。しかし、印刷インキのにじみ、平滑性及び位置合わせの点に問題がある。電着法は透明基板上に透明導電体層を成膜し、色パターンに合わせて微細加工した後、各色毎に透明導電体層に通電して色材を電着するが、画素形状や画素配列に制約がある。転写法もコストの点では比較的優れている。
【0004】
しかしながら、転写法は被転写体に精密なパターンを付与しようとする場合や微小な被転写体にパターンを付与しようとすると、次のような色々な問題点があった。
【0005】
例えば、転写箔の転写層に所望のカラーパターンを形成するには印刷等の手段が用いられるが、印刷によって精密なパターンを作れる精度は10μm程度が限界であり、この精度以上のパターンは形成困難である。
【0006】
また、転写箔の転写層の特定の意匠の部分を被転写体の決められた位置に転写しようとする場合、転写層と被転写体の位置を正確に決めることが要求されるが転写箔の転写層の意匠が微細になると転写箔の位置決めを正確に行うことは、非常に手間がかかり、転写法の特徴である意匠付与の効率の良さが損なわれてしまうという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、転写法によるカラーフィルタの製造方法において十分な精度を保ち、意匠付与の効率を保ち、複数繰り返しても位置精度に問題のない転写シート及びそれを用いたカラーフィルタの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、支持体上に、活性光線の照射により、照射部分が、支持体との接着性が向上する感光性着色層を設け、さらに、該感光性着色層上に活性光線の照射により、照射部分が、粘着性が低下する粘着剤層とを設けてなることを特徴とする転写シートである。
【0009】
カラーフィルタ基材の表面に、請求項1記載の転写シートを、該転写シートの粘着剤層が密着するように重ね、密着する密着工程と、カラーフィルタを形成する各色パターンを形成する着色パターンに対応した遮蔽部が形成されたマスクを用い、該マスクを介して、前記転写シートに活性光線を照射する露光工程と、前記露光工程で、転写シートの感光性着色層と粘着剤層の露光部に対応する部分を、前記支持体と共に、カラーフィルタ基材から引き離す剥離工程とからなることを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0010】
以下、本発明を図面に基づき詳細に説明する。
図1に本発明の転写シートの断面の構造を示す。転写シート1は支持体2上に、感光性着色層3と粘着剤層4が積層されたものである。
【0011】
図2に本発明の転写シート及びそれを用いたカラーフィルタの製造方法の概念を示す。まず、同図(A)は支持体2上に、活性光線により該支持体2との接着性が強まる感光性着色層3、及び、活性光線に対し非露光時に粘着性を示し、露光時に非粘着性を示す粘着剤層4をこの順で設けた転写シート1の粘着剤層4を、予めブラックマトリックス5が形成されたカラーフィルタ基材6に圧着させる工程であり、同図(B)は画像様に露光して潜像を形成する工程であり、同図(C)は転写シートをブラックマトリックス5が形成されたカラーフィルタ基材6から引き離して、感光性着色層3、粘着剤層4の未露光部に対応する部分を該カラーフィルタ基材6に転写させる工程である。
【0012】
同様に、図3に、本発明の転写シート及びそれを用いたカラーフィルタの製造方法の工程の概念を示す。まず、同図(A)に示すように、予め、ブラックマトリックス5を形成したカラーフィルタ基材6上に、支持体2上に感光性赤色着色層7と粘着剤層4を有する赤色転写シート8を、圧着させ、次いで赤色カラーフィルタパターン(ネガ)の活性光線を照射し、同図(B)に示すように、赤色転写シート8をカラーフィルタ基材6から引き離すと、未照射部分の感光性赤色着色層7と粘着剤層4のみ、カラーフィルタ基材6上に転写される。次に、感光性赤色着色層7と粘着剤層4が転写されたカラーフィルタ基材6表面の他の部分に、同様な方法で、感光性緑色着色層9と粘着剤層4を有する緑色転写シートを用いて、緑色カラーフィルタパターン(ネガ)の活性光線を照射して、転写した結果を同図(C)に示す。次に、感光性赤色着色層7、感光性緑色着色層9、粘着剤層4が転写されたカラーフィルタ基材6表面の他の部分に、同様な方法で、感光性青色着色層10と粘着剤層4を有する緑色転写シートを用いて、青色カラーフィルタパターン(ネガ)の活性光線を照射して、転写した結果を同図(D)に示す。
【0013】
<カラーフィルタ基材>
前記カラーフィルタ基材としては、透明で寸法安定性がよく、画像形成の際の熱に耐えるものならば、何でもよいが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリビニルアルコールセロファン、ポリスチレンのような耐熱性のプラスチックフィルムやガラス基板を用いることが出来る。
【0014】
<感光性着色層>
前記感光性着色層としては、アクリル系樹脂、顔料、分散剤、光重合性モノマー、重合開始剤、および、溶剤を主成分としており、活性光線の照射により生ずる重合、架橋、二量化等の反応により硬化し、支持体との接着力が向上するように配合されたもので、光硬化性樹脂を主体とする組成物である。
【0015】
アクリル系樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタアクリレートなどのアルキルアクリレートまたはアルキルメタアクリレート、環状のアクリレートまたはメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレートまたはメタクリーレートなどの内から3〜5種類程度のモノマーを用いて、分子量5000〜100000程度に合成した樹脂を用いる。
【0016】
顔料としては、赤色(Red)としてC.I.Pig.9、97、122、123、149、168、177、180、192、215など、緑色(Green)としてはC.I.Pig.7、36、青色(Blue)としてはC.I.Pig.15:3、15:6、22、60、64、黄色(Yellow)としてはC.I.Pig.12、20、83、86、138、139、154、紫色(Violet)としてはC.I.Pig.23が一般的に用いられる。
【0017】
分散剤としては、界面活性剤、顔料の中間体、染料の中間体などの広範囲のものが使用される。分散の際の組成の割合は特に限定されるものではないが、分散用アクリル樹脂に対する顔料の添加量は50〜150重量部程度であり、分散剤は顔料の1〜10重量部程度である。また、カラーフィルタの分光調整のために、任意の顔料を2〜3点混ぜ合わせて調整する。
【0018】
光重合性モノマーとしては、2官能、3官能、多官能モノマーがあり、2官能モノマーとして、1,6−ヘキサジオールジアクリレート、エチレングルコールジアクリレート、ネオペンチルグルコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレートなどがあり、3官能モノマーとして、トリメチロールプロパトントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートなどがあり、多官能モノマーとして、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタおよびヘキサアクリレートなどがあり、これらのモノマーは、昭和高分子(株)、東亞合成化学工業(株)、日本化薬(株)などの市販品がある。光重合性モノマーの添加量は特に限定されるものではないが、分散用アクリル樹脂に20〜150重量部である。
【0019】
光重合開始剤としてはトリアジン系化合物、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−メトキシ−1’−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどがあり、またイミダゾール系化合物としては、2−(2,3−ジクロロフェニル)−4,5−ジフェニル−イミダゾール二量体、2−(2,3−ジクロロフェニル)−4,5−ビス(3−メトキシフェニル)−イミダゾール二量体、2−(2,3−ジクロロフェニル)−4,5−ビス(4−メトキシフェニル)−イミダゾール二量体、2−(2,3−ジクロロフェニル)−4,5−ビス(4−クロロフェニル)−イミダゾール二量体、2−(2,3−ジクロロフェニル)−4,5−ジ(2−フリル)−イミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1−2’−ビイミダゾール、「HB22」(保土ヶ谷化学(株)製)などがある。また、上記以外の光重合開始剤としては、「イルガキュア907,651」(ベンジルジメチルケタール),「184」(チバガイギー(株)製)や、ジエテルチオキサンソン(日本化薬(株)製)、ベンゾフェノン等を使用することができ、これらを複数種混合して用いることもできる。なお、光重合開始剤の添加量は特に限定されるものではないが、全樹脂量の1〜50重量部、好ましくは5〜30重量部を1種または2種添加して用いる。
【0020】
溶剤としては、トルエン、キシレン、エチルセルソルブ、エチルセルソルブアセテート、ジクライム、シクロヘキサノンなどが用いられるが、樹脂のモノマー組成、光重合性モノマー、光重合開始剤などによって異なるので、単一または複数の溶剤組成の溶剤を適宜選択される。
感光性着色層を構成する、顔料を分散した光硬化性樹脂液の支持体への塗布は、グラビアコーター、グラビアオフセットコーターグラビアリバースコーター、バーコーター、リップコーター、ナイフコーター、スピンナー、シルクスクリーンあるいはロールコーターによって行えばよい。塗工時に溶液中に含まれる不揮発成分やその量は、目的とする層厚やコーターの種類により適宜選択すればよく、乾燥後の層厚は0.5〜3μm、特に1〜1.5μmが好ましい。
【0021】
支持体は、熱、化学薬品、光等に安定であり、同時に活性光線を透過する材料が好適である。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、トリアセテート、セルロースアセテート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリイミド等のフィルムまたはシートである。特にポリエステルフィルムおよびポリプロピレンフィルム(二軸延伸したもの)は、透明性、熱安定性、強度や寸法安定性に優れ、感光性着色層と適度な接着力を持ち好ましい。これらのシートはそのまま使用してもよいが、適当なプライマー処理、コロナ放電処理、あるいは剥離処理を施し、接着力の制御を行ってもよい。支持体の厚みとしては5〜100μm程度のものが好ましく用いられる。
【0022】
また、前述のカラーフィルタ基材にブラックマトリックスを形成する方法としては、予め形成する方法と後から形成する方法がある。予め形成する方法としては、カラーフィルタ基材上に、蒸着やスパッタリングによってCr薄膜を全面に形成しフォトリソ法でパターンを作るやり方と本発明の感光性着色層で使用する光硬化性樹脂にカーボンブラックなどの黒色顔料を混合して黒色感光性樹脂を作り、カラーフィルタ基材上に塗工し、フォトリソ法で露光、現像を行いパターンを作る方法がある。後から形成する方法としては、本発明の転写シートと同様に、支持体上に感光性黒色着色層と粘着剤層を設けた黒色転写シートを用意し、本発明の方法によってブラックマトリックスも形成する方法がある。どちらの方法によっても、ブラックマトリックスはカラーフィルタ基材上に形成できる。
【0023】
続いて粘着剤層について説明する。粘着剤層は、活性光線に対し未露光状態で粘着性を示し、露光状態で非粘着状態を示すものであれば種々のどのような材料をも使用し得る。そのような材料の例として、桂皮酸ビニル、感光性アジド化合物などの感光性化合物をポリマーにブレンドした系等が使用し得るが、光感度等の点で最も好適な系は光重合性感光材料である。
【0024】
粘着剤層で使用する好適な光重合性感光材料は、
i)少なくとも1種の、付加重合によって光重合体を形成し得る光重合性モノマー及び/又はオリゴマー、
ii)少なくとも1種の、有機重合体結合剤(ポリマーバインダー)、及び
iii)少なくとも1種の、活性光線によって活性化される光重合開始剤を含有し、必要に応じて更に熱重合禁止剤、界面活性剤等の添加剤を含有する。
【0025】
上記の光重合性モノマー及びオリゴマー(以下、オリゴマーも含めて単に「光重合モノマー」と言うことがある)は、付加重合によって光重合体を形成し得るものであれば特に限定されないが、多官能ビニルまたはビニリデン化合物であることが好ましい。多官能ビニルまたはビニリデン化合物として適当なものは、例えばポリオールの不飽和エステル、特にアクリル酸又はメタクリル酸のエステル、例えばエチレングリコールジアクリレート、グリセリントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1、3−プロパンジオールメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1、2、4−ブタントリオールトリメタクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリトリットジメタクリレート、ペンタエリトリットトリメタクリレート、ペンタエリトリットテトラメタクリレート、ペンタエリトリットジアクリレート、ペンタエリトリットトリアクリレート、ペンタエリトリットテトラアクリレート、ジペンタエリトリットーポリアクリレート、1、3−プロパンジオールージアクリレート、1、5−ペンタンジオールージメタクリレート、200〜400の分子量を有するポリエチレングリコールのビスアクリレート及びビスメタクリレート及び類似の化合物、不飽和アミド、特にそのアルキレン鎖が炭素原子によって開かれていてもよいα、ω−ジアミンを有するアクリル酸及びメタクリル酸の不飽和アミド及びエチレンビス−メタクリルアミド等である。更に、例えば多価アルコールと多価の有機酸のエステルと、アクリル酸又はメタクリル酸との縮合によるポリエステルアクリレートも使用し得るが、これらに限定されるものではない。
【0026】
上記ii)の有機重合体結合剤は粘着剤層の硬さを決めるのみならず、その粘着性をも決める大きな要因の一つである。上記の結合剤として好適な材料は、熱可塑性樹脂又はその混合物であり、その例としてはアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等のようなアクリル系モノマーの単独重合体又は共重合体、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートのようなセルロース系ポリマー、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等のようなビニル系ポリマー及びそれらの共重合体、ポリエステル、ポリアミドのような縮合系ポリマー、塩素化ゴム、ブタジエン−スチレン共重合体のようなゴム系ポリマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどのポリオレフィン系ポリマーなどが挙げられる。これらの中で、各種アクリル系モノマーの共重合体は、広い範囲で軟化点等の熱的性質を制御することが容易であり、また光重合性モノマーとの相容性が良好であり好ましい。これらの重合体は、10,000〜2,000,000の平均分子量を有するものであることが好ましい。ここで、光重合性モノマーと有機重合体結合剤の混合比は、使用される光重合性モノマーと結合剤の組み合わせによって適性比は異なるが、一般的には光重合性モノマー:結合剤比が0.1:1.0〜2.0:1.0(重量比)であることが好ましい。
【0027】
また、上記の光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ミヒラ−ケトン 〔4,4’−ビス−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン〕、4,4’−ビス−(メエルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェノントラキノン、及びその他の芳香族ケトン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルのようなベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン及びその他のベンゾイン類、並びに2−(O−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(O−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール、2−(O−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(P−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(P−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、及び2,4,5−トリアクリルイミダゾール二量体等が用いられる。
【0028】
光重合開始剤の添加量としては、光重合性モノマーに対して0.01〜30重量%が好ましい。
【0029】
粘着剤層中には熱重合禁止剤を添加することができる。この例としては、P−メトキシフェノール、ハイドロキノン、アルキル又はアリール置換ハイドロキノン、ターシャルブチルカテコール、ピロガロール、ナフチルアミン、β−ナフトール、フェノチアジン、ピリジン、ニトロベンゼン、φ−トルチノン、アリールフォスファイト等があるがこれらに限定されるものではない。
【0030】
粘着剤層に添加することが出来る他の成分としては可塑剤、残留溶媒、界面活性剤、不活性充填剤等がある。
【0031】
可塑剤としては、フタル酸ジフェニル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジヒドロアビエチル、イソフタル酸ジメチル、安息香酸スクロース、二安息香酸エチレングリコール、三安息香酸トリメチールエタン、三安息香酸グリセド、四安息香酸ペンタエリスリット、八酢酸スクロース、クエン酸トリシクロヘキシル、N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド等が挙げられる。
【0032】
粘着剤層は、感光性着色層を形成した方法と同様な、それ自体公知の塗膜形成方法に従って、上記のような成分を含む粘着剤層形成用塗布液を、感光性着色層上に塗布し、乾燥することにより形成することができる。また、ドライラミネート法により粘着剤層を感光性着色層上に積層することもできる。粘着剤層の膜厚は約0.1〜100μm、好ましくは約1〜50μmの範囲にあることが好ましい。
【0033】
図には示されていないが、粘着剤層には、支持体と反対側の面に、記録前の粘着剤層を保護すると共に露光の際に空気中の酸素による重合抑制効果を小さくするために、カバーフィルムを設けることが好ましい。このカバーフィルムの材料は一般的には例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−アクリルニトリル共重合体などの高分子化合物を挙げることができ、特に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。カバーフィルムの厚さは一般的には5〜400μm、特に10〜200μmであることが好ましい。
【0034】
カバーフィルムの粘着剤層と接する表面には、粘着剤層との密着性を下げるためにシリコーン樹脂等による剥離層を設けてもよい。その厚みには特に制限はないが、通常は0.01〜2μmが好ましい。
【0035】
【作用】
本発明の転写シート及びそれを用いたカラーフィルタの製造方法によれば、露光部は支持体と感光性着色層の間の接着力は強くなり、粘着剤層は非粘着性になり、未露光部は支持体と感光性着色層の間の接着力は弱いままで、粘着剤層は粘着性を保ったままなので、その2つの相乗効果によりカラーフィルタ基材上に精度良く転写でき、且つ、転写ムラも防ぐことができる。
【0036】
更に本発明の画像形成方法を用いてカラーフィルタを製造する本発明の製造方法によれば、従来の転写法や印刷法、電着法及び染色法に比べてカラーフィルタを容易に生産性良く製造することができ、しかもフィルタ部を高い精度で形成できる。
また、赤、緑、青の各カラーフィルタの非形成部に、これらの各フィルタ部形成前に、赤、緑、青の各カラーフィルタ部の境界部分において、重なり合うように隠蔽性の黒のフィルタパターンを転写以外の方法で形成することにより、より黒色フィルタ部の隠蔽性が良くなり、カラーフィルタ部の転写位置が多少ずれた場合でも一定なカラーフィルタ部を形成することができる。
【0037】
【実施例】
<実施例1>
以下、本発明の実施例を説明する。まず、厚さ50μmのポリエステルフィルム上に、感光性着色層として赤色フィルタ用感光性顔料分散レジスト(富士ハント社製「CR6000」)をワイヤーバーコーターにて塗布し、70℃にて乾燥を行い、乾燥後の厚さを1.2μmとした。次に、粘着剤層として、デュポン社製クロマリンフィルムを装置としてラミネーターモデル2700を使用し、約100℃の熱と圧で感光性着色層にラミネートを行い、赤色フィルタ用転写シートを作製した。同様に、緑色フィルタ用感光性顔料分散レジスト(富士ハント社製「CG5111」)、青色フィルタ用感光性顔料分散レジスト(富士ハント社製「CB6000」)とクロマリンフィルムを用いて、それぞれ緑色フィルタ用転写シート、青色フィルタ用転写シートを作製した。
次いで、透明なガラス基板上に前記赤色フィルタ用転写シートの粘着剤層を密着させ、加熱ロールで圧着してガラス基板に接着させた。さらに転写シートの支持体側より、ガラス基板にカラーフィルタ用パターンを形成したクロムマスクを重ね合わせた。転写シートの支持体側から紫外線露光機(オーク製作所製「UV−330AP1」)により300mJの露光を行い、マスク開口部(露光部)の感光性着色層と支持体との接着力を強め、且つ、粘着剤層とガラス基板の粘着力を喪失させた。転写シートの支持体を引き剥がす、剥離現像によって、カラーフィルタの赤色パターンを形成した。
続いて、前記の赤色パターンを形成したカラーフィルタ基材に、緑色フィルタ用転写シートの粘着剤層を同様に密着させ、転写シートの支持体側に緑色フィルタパターンのクロムマスクを重ね、前述同様に紫外線を照射、剥離現像を行い、緑色パターンを形成した。
さらに、前記の赤色および緑色パターンを形成したカラーフィルタ基材に、青色フィルタ用転写シートの粘着剤層を同様に密着させ、転写シートの支持体側に青色フィルタパターンのクロムマスクを重ね、前述同様に紫外線を照射、剥離現像を行い、青色パターンを形成した。
以上のようにして、赤、緑、青の3色のパターンを有するカラーフィルタを作製した。
【0038】
【発明の効果】
本発明の転写シート及びそれを用いたカラーフィルタの製造方法によれば、露光部は支持体と感光性着色層の間の接着力は強くなり、粘着剤層は非粘着性になり、未露光部は支持体と感光性着色層の間の接着力は弱いままで、粘着剤層は粘着性を保ったままなので、その2つの相乗効果によりカラーフィルタ基材上に精度良く転写でき、且つ、転写ムラも防ぐことができる。
【0039】
更に本発明の画像形成方法を用いてカラーフィルタを製造する本発明の製造方法によれば、従来の転写法や印刷法、電着法及び染色法に比べてカラーフィルタを容易に生産性良く製造することができ、しかもフィルタ部を高い精度で形成できる。
また、赤、緑、青の各カラーフィルタの非形成部に、これらの各フィルタ部形成前に、赤、緑、青の各カラーフィルタ部の協会部分において、重なり合うように隠蔽性の黒のフィルタパターンを転写以外の方法で形成することにより、より黒色フィルタ部の隠蔽性が良くなり、カラーフィルタ部の転写位置が多少ずれた場合でも一定なカラーフィルタ部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転写シートの構成図である。
【図2】本発明の転写シート及びそれを用いたカラーフィルタの製造方法の概念図である。
【図3】本発明の転写シート及びそれを用いたカラーフィルタの製造方法の工程概念図である。
【符号の説明】
1…転写シート 2…支持体 3…感光性着色層 4…粘着剤層
5…ブラックマトリックス 6…カラーフィルタ基材
7…感光性赤色着色層 8…赤色転写シート 9…感光性緑色着色層
10…感光性青色着色層

Claims (2)

  1. 支持体上に、活性光線の照射により、照射部分が、支持体との接着性が向上する感光性着色層を設け、さらに、該感光性着色層上に活性光線の照射により、照射部分が、粘着性が低下する粘着剤層とを設けてなることを特徴とする転写シート。
  2. カラーフィルタ基材の表面に、請求項1記載の転写シートを、該転写シートの粘着剤層が密着するように重ね、密着する密着工程と、カラーフィルタを形成する各色パターンを形成する着色パターンに対応した遮蔽部が形成されたマスクを用い、該マスクを介して、前記転写シートに活性光線を照射する露光工程と、前記露光工程で、転写シートの感光性着色層と粘着剤層の露光部に対応する部分を、前記支持体と共に、カラーフィルタ基材から引き離す剥離工程とからなることを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
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